説明

酸化窒素を用いた口腔内の疾患を治療するデバイスおよびその製造方法

口腔内の疾病の治療のためのデバイスおよび方法、並びにデバイスの製造方法について記載されている。デバイスは酸化窒素(NO)を放出するポリマーを含む。酸化窒素放出ポリマーは口腔内で使用されるとき酸化窒素を治療有効量放出する。デバイスは口腔内の感染、創傷の標的治療ができる。酸化窒素放出ポリマーを含むデバイスは、口腔内の感染部位に接触するように配置され、酸化窒素の治療有効量の投与が、酸化窒素放出ポリマーからその部位に放出される。酸化窒素放出ポリマーはキャリア材料と一体化され、キャリア材料は酸化窒素の治療投与量を調整し制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内疾患の治療方法に関する。より詳細には、口腔内疾患の治療方法およびデバイス、並びに酸化窒素(NO)を含む前記デバイスの製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
バクテリア、ウイルス、カビ、酵母による感染は、傷口の治療期間中の合併症の根本的な原因である。そのような疾患を治療するために様々な方法が開発されており、それらは物理的、化学的あるいは多様な抗菌剤を使用するものである。これらの広範囲の適用にもかかわらず、侵襲の抑制力や、微生物感染の広がりを抑えることには、一般に限界があると認識されている。
【0003】
口腔内の粘膜は外部(身体の外側)環境の様々な物質にさらされるので、口腔内疾患(例えば、歯周病(paradontosis))の治療は特に困難である。口腔内疾患の治療としては、抗生物質を使用するものが提案されている。抗生物質による治療はある欠点を有する。それは、長期に渡る使用によりバクテリアが耐性を有するようになり、根絶することが困難になるからである。
【0004】
酸化窒素(NO)は、抗生物質のような一般的な治療法の代替法を提供するものとして知られる。酸化窒素は細胞の多くの機能に含まれる高反応性分子である。実際、酸化窒素は免疫システムで重要な役割を果たし、カビ、ウイルス、バクテリアなどの病原菌や一般的な微生物による侵襲に対して自己防衛としてのマクロファージによる活性化分子として用いられる。治癒の改善は、酸化窒素による血液血小板の活性化、凝集を阻害すること、また、インプラントの場所における炎症性反応を抑制することによる。さらに酸化窒素は、治癒に影響し、促進する血管拡張効果も有する。
【0005】
酸化窒素は、抗病原菌、特に抗ウイルス作用、抗仙骨作用(anti-sacral effect)、および抗ガン作用、治療濃度における細胞毒性、細胞増殖抑制、殺腫瘍性および殺菌性の作用などを有する。例えば白血病、リンパ腫患者の血液の悪性の細胞に対して、酸化窒素は細胞毒性作用を有する。一般の抗ガン剤に対しては、細胞が抵抗性を有するようになることがあるとしても、酸化窒素は前記血液の病気に対する化学療法薬として用いることができる。例えば多くの抗ガン剤のような悪影響がなく、酸化窒素のこのような抗病原性、抗腫瘍性は本発明の利点である。
【0006】
しかし、酸化窒素は半減期が短いために、ウイルス、バクテリア、カビ、酵母などの感染治療に用いるのは困難であった。このことにより、大量投与によるマイナスの作用や、毒性が問題となる。酸化窒素は血管拡張作用があり、大量に摂取すると体内の血液循環作用を崩壊させるおそれがある。一方、酸化窒素は一旦放出されると、ほんの数秒という非常に短い半減期を有する。従って、酸化窒素の短い半減期と毒性とを管理することは、抗病原菌、抗癌剤の分野における使用を制限する要素となる。
【0007】
近年、水と接触したときに酸化窒素を放出する能力のあるポリマーが見出されている。そのようなポリマーとして、直鎖ポリエチレンイミン(L−PEI)、分岐ポリエチレンイミン(B−PEI)などのポリアルキレンイミンがあり、生体適合性が良いという利点を有する。
【0008】
米国公開特許2004/265244には、歯肉や他の粘膜の疾病を予防するために抗菌性の酸化窒素を放出する組成物および方法について記載されている。米国公開特許2004/265244に記載される酸化窒素の溶出は、ニトシル(nitosyl)基含有有機金属化合物の光による活性化で始まる。従って、米国公開特許2004/265244の活性化プロセスは複雑である。さらに、米国公開特許2004/265244では、酸化窒素の放出の調整に関しては何も開示していない。
【0009】
米国特許5958427には、酸化窒素ドナー混合物および、粘膜先端表面に酸化窒素を輸送するために酸化窒素ドナー混合物を含む薬剤が記載されている。しかし米国特許5958427には、デバイスから酸化窒素の放出を調整することについては何も開示されていない。
【0010】
ヨーロッパ特許1300424には、極めて疎水性の酸化窒素放出ポリマーが記載されている。これらのポリマーは広範囲に架橋された、ポリアミン誘導体ジビニルベンゼン ジアゼンイウムジオラート(diazeniumdiolates)である。ヨーロッパ特許1300424のポリマーは極めて疎水性であるから、口腔内で得られる酸化窒素の放出が充分ではない。ポリエチレンイミンについては9頁35行に賦形剤ポリマーとしてブレンドしあるいは共重合体として開示されているだけである。またヨーロッパ特許1300424には、デバイスから酸化窒素の放出を調整することについては何も開示されていない。
【0011】
米国特許5691423には、酸化窒素を放出する重合体、薬剤、混合物について記載されており、ポリマーに結合したN22官能基を酸化窒素放出の為に有する多糖を含む重合組成物に関する。しかし米国特許5691423には、デバイスから酸化窒素の放出を調整することについては何も開示されていない。
【0012】
米国特許6737447には、L−PEIのナノファイバを使用して酸化窒素を放出するコーティング薬剤について記載されている。米国特許6737447はそのコーティングが水に不溶性であることを強く主張している。このことから、水よりも何か他のものによって酸化窒素が放出されると解される。さらに、米国特許6737447には、デバイスから酸化窒素の放出を調整することについては何も開示されていない。
【0013】
他の例として米国特許5770645には酸化窒素を溶出するポリマーについて記載され、ポリマーの1200原子量当たりNOx基(Xは1または2)を少なくとも1つ有するポリマー誘導体である。1例として、遊離チオール基のニトロシル(nitrosylated)化の為に適当な条件でニトロシル化剤とポリチオレートポリマーを反応させることにより、S-ニトロシル化ポリマーが得られることが述べられている。
【0014】
アクロン(Akron)大学では、酸化窒素を溶出するL−PEI分子が開発された。この分子はインプラントのような医療器具の表面にナノスパン(nano-spun)され、この器具がインプラントされる場合に炎症を減少させ、治癒プロセスが著しく改善されることが示されている。米国特許6737447によれば、直鎖ポリ(エチレンイミン)−ジアゼンイウムジオラートのナノファイバを用いて酸化窒素の輸送を提供する医療デバイスのコーティングについて述べられている。直鎖ポリ(エチレンイミン)−ジアゼンイウムジオラートは組織を傷つけるような障害を防止して治癒プロセスを補助し、組織、器官に対して酸化窒素を制御しつつ放出する。電気的に紡糸された直鎖ポリ(エチレンイミン)−ジアゼンイウムジオラートのナノファイバは、医療デバイスの特徴の変化を最小にしつつ、デバイスの周囲を被覆し、組織に対して酸化窒素を治療レベルで輸送する。ナノファイバの単位重量当たりの小さいサイズおよび広い表面積によって、医療デバイスの他の特性の変化を最小にしつつ、ナノファイバ被覆は単位重量当たりのより広い表面積を提供する。
【0015】
しかし、前記両報告ともに口腔内疾病の治療に関連して本発明の改善点、酸化窒素の抗病原菌性や、どのようにして治療を調整するかに関しては、記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、バクテリア、ウイルス、カビ、酵母、ヘルペスなどによる感染症を防止し治療するための、改善された、より優れたデバイスを提供すること。バクテリアの耐性を誘発することなく、血液循環を増進し、治癒推進として作用するデバイスを提供することが望ましい。さらに、治療が管理できることも望ましい。特に、歯科インプラントに関する骨造成と軟組織の治癒の両方に適した標的療法のためのデバイスを提供することが望まれる。そのようなデバイスにより口腔内の歯周病(paradontosis)または他の感染性創傷、癌の防止および治療ができることは非常に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は上記問題点の一つ以上を、軽減し、緩和し、削除し、本発明の請求の範囲により提供されるデバイスによって、上記言及された不利な問題の一つまたはそれ以上の組合せを解決する。
【0018】
本発明の一つの目的は、口腔内の感染または創傷の標的療法を可能にするデバイスを提供することである。そのデバイスは口腔内の感染領域に接触するように酸化窒素を放出するポリマーを含み、前記領域に酸化窒素を放出するポリマーから放出された酸化窒素を治療的に投与するものである。
【0019】
本発明の別の目的は、前記のようなデバイスの製造プロセスを提供することであり、口腔内の感染、創傷を標的治療することができるデバイスの形成プロセスを提供する。このプロセスは、酸化窒素を放出する複数のポリマー繊維を選択し、デバイス内にパッチまたはパッドとして、酸化窒素放出ポリマー繊維を配置することを含む。
【0020】
本発明は、感染或いは創傷部位に酸化窒素を標的療法によって提供するという従来技術にはない有利な効果を有し、抗ウイルス、抗バクテリア、抗カビに優れ、効果的な抗ガン療法が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
歯周病やヘルペスなどの口腔内の感染または創傷の標的療法の可能な、パッドまたはパッチ形態の本発明のデバイスの具体例を以下に詳細に説明する。また、変形例についても記載する。
【0022】
酸化窒素(一酸化窒素、NO)の生理学的、薬理学的な機能は、多くの注目を浴び、研究されている。酸化窒素は酸化窒素シンターゼ(NOS)によりアルギニンを基質として合成される。NOSは構成酵素cNOSに分類され、生体内に通常の状態で存在する。また、誘導酵素iNOSが、ある刺激に応答して多量に製造する。cNOSによって製造される酸化窒素濃度より、iNOSによって製造される酸化窒素濃度の方が2〜3オーダー高く、iNOSは極めて多量の酸化窒素を生産する。
【0023】
iNOSにより生産される場合に酸化窒素が多量に発生すると、酸化窒素が活性酸素と反応して外因性の微生物やガン細胞に攻撃するだけでなく、組織を傷つけ炎症の原因にもなることが知られている。一方、cNOSにより生産される少量の酸化窒素は、生体にとってサイクリックGMP(cGMP)による様々な防御機能を活性化する。例えば、血管拡張反応や、血液循環の増進、抗血小板凝固反応、抗バクテリア反応、抗ガン反応、消化管における吸収の増進、腎臓機能の調整、神経伝達物質の反応、勃起(生殖反応)、学習、食欲増進などである。従来、NOS酵素活性の阻害は、組織の炎症や障害を防止する目的で試みられてきた。それは、生体内で多量の酸化窒素が生成することに起因するものである。しかし、NOS(特にcNOS)の酵素活性(あるいは量で表される)の増進は、酵素活性の促進および酸化窒素の適量の生産による生体の前記多種の防御反応の目的のために試みられたことはなかった。
【0024】
近年、水と接触することにより酸化窒素を放出することができるポリマーが開発された。そのようなポリマーは例えばポリアルキレンイミンであり、L−PEI(直鎖ポリエチレンイミン)やB−PEI(分岐鎖ポリエチレンイミン)などである。これらのポリマーは生体適合性が良いという利点を有する。
【0025】
これらのポリマーは電気紡糸、ガス紡糸、エアー紡糸、ウェット紡糸、ドライ紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸などによって製造することができる。電気紡糸は、懸濁ポリマーを荷電することにより製造するものである。特徴的電圧下で、ジェットによって運ばれる電荷とともに適用された電場の相互作用により発生された張力に応じる表面から、ポリマーの細いジェットが放出される。このプロセスは、ナノファイバのような、ポリマー繊維の束を生成する。ポリマー繊維のジェットは処理すべき表面に導入される。
【0026】
ポリマーは他の具体例、例えばエアー紡糸、ウェット紡糸、ドライ紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸により製造することができる。
【0027】
さらに、米国特許6382526、同6520425、同6695992には、ポリマー繊維の各種製造プロセス、装置などが記載されている。これらの技術はガス流紡糸を基本とし、繊維を形成することのできる液体または溶液を使用してエアー紡糸の技術により形成される。
【0028】
本発明の具体例として、図1にはナノ紡糸、酸化窒素放出性スポンジ、またはファイバ被覆スポンジ、或いはスポンジ様のデバイスとして、デバイス10が示され、それはスポンジまたは綿ボール、まくらなどである。この酸化窒素放出性スポンジは、血行を促進し炎症を抑えるために唇と歯の間に置くことができる。本発明のナノ紡糸、酸化窒素放出性スポンジを口腔内の水分と接触させると、治療したい領域に酸化窒素を放出し始める。このナノ紡糸、酸化窒素放出性スポンジは、好ましくは酸化窒素を放出するポリマーのナノ紡糸ファイバを含む。そのようなポリマーは、L−PEI(直鎖ポリエチレンイミン)またはB−PEI(分岐鎖ポリエチレンイミン)などのポリアルキレンイミンであり、これらのポリマーは後に生分解され、生体適合性が良いという利点を有する。
【0029】
このスポンジは、容易に活性化されるという利点を有する。さらに、酸化窒素を局部的に放出し、酸化窒素放出性ポリマー材料から放出される酸化窒素の半減期が短いことにより、身体の他の部分への影響をなくすことができる。このように、血管システムに関連する影響は非常に局所的であり、低く維持されると同時に、酸化窒素の効果が有効に使われるのである。
【0030】
本発明の具体例による別のスポンジの例では、治療すべき領域にスティックまたはピンの形状で口腔内に適用される。この領域は口腔内の何処でも良い。例えば、歯と歯肉(gum)の間、歯と歯の間、歯間ポケットなどである。さらに別の例として、スポンジがスティック(の好ましくは端部)に離脱可能に接着していてもよい。端部がスポンジと共に口腔内に導入され、(例えば、スポンジ部分を二本指で挟み、スティックを引き上げることによって)スティックから外す。スティックは口腔内から取り出され、口腔内の治療のためにスポンジが残される。
【0031】
アクロン大学は、酸化窒素を放出するL−PEI分子を開発し、体内に恒久的にインプラントする医療用具の表面にナノ紡糸によって被覆した。そしてそのような医療用具をインプラントする場合に、治癒プロセスおよび炎症の抑制に非常に効果があることを示した。米国特許6737447によれば、医療用具のコーティングは、直鎖ポリエチレンイミン−ジアゼンイウムジオラートのナノファイバを用いた酸化窒素のデリバリーを提供する。直鎖ポリエチレンイミン−ジアゼンイウムジオラートは、制御された方法で酸化窒素を放出する。
【0032】
しかし、米国特許6737447の“制御(controlled)”とは、コーティングからどれくらいの期間酸化窒素が放出されるかを示すものである。例えば一度に放出される酸化窒素の量ではない。従って、米国特許6737447の“制御”と、本発明の“調整(regulating)”とは異なるのである。本発明による“制御または調整”は、酸化窒素の様々な放出が可能で、異なる放出履歴を達成することができることである解釈されるべきである。
【0033】
O-ニトロシル基を含むポリマーもまた酸化窒素を放出するポリマーである。本発明の一具体例では、酸化窒素放出ポリマーはジアゼンイウムジオラート基、S-ニトロシル基、O-ニトロシル基、その他これらの組合せの基を含む。
【0034】
本発明のまた別の具体例では、酸化窒素放出ポリマーは、ポリアルキレンイミンジアゼンイウムジオラートであり、例えばL−PEI−NO(直鎖(ポリエチレンイミン)ジアゼンイウムジオラート)である。酸化窒素放出ポリマーは、ジアゼンイウムジオラート基に酸化窒素が含まれ、治療部位での酸化窒素の放出を変化させる。
【0035】
酸化窒素放出ポリマーの他の例としては、アミノセルロース、アミノデキストラン、キトサン、アミノ化キトサン、ポリエチレンイミン、PEI-セルロース、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリウレタン、ポリ(ブタンジオール スペルメート(buthanediol spermate))、ポリ(イミノカーボネート)、ポリペプチド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリスチレン、ポリ(ビニルクロリド)、ポリジメチルシロキサン、またはこれらの組合せ、および、例えばポリサッカリド主鎖やセルロース主鎖などの不活性な主鎖に上記ポリマーをグラフトした化合物などから選択されるものがある。
【0036】
本発明の他の具体例として、酸化窒素放出ポリマーはO-誘導化NONOエートがある。この種のポリマーは、酸化窒素の放出に酵素反応が必要となる場合がある。
【0037】
酸化窒素放出ポリマーとして好適であるポリマーを別の方法で記載するならば、例えばL−PEIのように2級アミン(=N−N)基、あるいは例えばアミノセルロースのような2級アミン(=N−N)をペンダント基として有するポリマーである。
【0038】
本発明の具体例による酸化窒素放出性スポンジ内のナノ紡糸ファイバは、L−PEIを含むことが好ましい。この具体例では、スポンジは唇と歯の間以外にも口腔内の別の場所に配置することが可能である。デバイスを治療する位置に配置すると、治療すべき領域にスポンジから酸化窒素が放出される結果、骨造成と軟組織の治癒を促進するだけでなく、歯周病、炎症、創傷の治療および防止ができる。ナノファイバの電気紡糸またはガスジェット紡糸の利点の一つは、単位体積あたりの表面積が大きくなることである。このことがスポンジによる効果的な治療とともにコンパクトなデバイスにできる理由でもある。
【0039】
デバイスの適用分野の一つに、歯科用インプラントがある。例えば、治癒を促進し、手術による炎症を制御することが、本発明により簡単にそしてより効果的かつ便利になるのである。
【0040】
酸化窒素の放出ポリマーによる他の例は米国特許5770645で提案されているが、そのポリマー誘導体は、ポリマーの1200原子量あたり少なくとも一つの−NOx基を有すること、xは1または2であることが記載されている。一例としてはS-ニトロシル化ポリマーであり、遊離のチオール基をニトロシル化するために適当な条件下でニトロシル化剤とともにポリチオレートポリマーを反応させることにより得られる。そのようなポリマーは、本発明によるデバイスの他の具体例としても使用することができるものである。しかし、ここで述べたデバイスによる治療の結果、望ましくない副反応を誘発する他の二次生成物無しで酸化窒素を放出するL−PEIが好ましいのである。
【0041】
本発明による別の具体例では、図2に示すパッドまたはパッチ20の形態がある。パッドまたはパッチは、スポンジに関連して上記の物質を含む本発明の具体例によって示されたナノ紡糸ファイバによって被覆され、あるいは少なくとも一部に含むか、少なくとも一方の側に存在する。ナノ紡糸ファイバの放出する酸化窒素は治療薬として作用し、有害な二次生成物または廃棄物のないナノ紡糸ファイバからの酸化窒素の放出は、口腔内において湿気と接触するときにこの目的のために活性化される。この具体例では、簡単に適用できること、標的部位の上に、あるいはそこから移動させることができるという利点がある。さらに、このパッドまたはパッチは、容易に活性化されるという利点がある。また、酸化窒素は局部的に放出され、酸化窒素放出ポリマーから放出された酸化窒素の短い半減期のために、身体の他の部分には影響を与えない。もし、何らかの理由により口腔内の湿気が欠乏している場合、パッチおよび本発明の具体例による他のデバイスに対して、例えば水中に投入して湿気を与えたり、デバイスに水をスプレーするなどによって直ちに活性化することができる。
【0042】
本発明の具体例によるデバイスは、口腔内で溶解するものであってもよい。デバイスが口腔内の湿気の中に置かれると、デバイス全体が崩壊しても、デバイスの溶解する時間を必要な要求に合わせて、例えば治療濃度の継続的放出がなされる。この具体例の有利な点は、簡単に適用でき、別のデバイスに置き換えるためにそれを除去する必要がなく、デバイスによる治療後はそのままで完了することである。
【0043】
本発明の別の具体例は、デバイスまたはシステムから酸化窒素を一方向にのみ放出させることである。この種の具体例は、本発明のデバイスの一方側を、酸化窒素を殆ど通さない、または実質的に通さないものにすることである。これは、本発明のデバイスの一方の側に適用される材料を、酸化窒素を通さないものにすることで達成される。そのような材料は通常のプラスチック、例えば、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される。この具体例もまた、酸化窒素放出ポリマーとして、例えばL−PEI(または、前記詳細に説明した酸化窒素放出ポリマーまたはキャリア材料)を、例えば上記プラスチック、ラテックス、綿の表面に電気またはガスジェットにより紡糸することで容易に製造できる。
【0044】
また別の具体例として、膜を用いて前記デバイスを提供することができる。それは、デバイスの第一の側の膜を酸化窒素透過性とし、デバイスの第二の側に別の膜として、酸化窒素の透過性の低い膜または実質的に酸化窒素を通さない膜を用いることである。この具体例では、デバイスの第一の側から放出され、第二の側からの酸化窒素の放出は実質的に阻止される。従って、治療したい領域に到達する酸化窒素の量を高めることができる。
【0045】
本発明の別の具体例では、図3に示すように酸化窒素の放出が一方向のみに限定されたものである。この種の具体例では、パッチまたはパッド30の一方の側が酸化窒素を透過しない。これは、パッチまたはパッドの一方の側の上に酸化窒素を透過しない材料を適用することにより達成される。そのような材料は通常のプラスチック材料から選択され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される。これにより、酸化窒素の治療効果は、口腔内の他の領域に影響を与えず、特定の領域に容易に直接適用できる。
【0046】
さらに本発明の具体例を図4に示す。図には、デバイスがコンドーム/シース40の形状とされ、共に酸化窒素を放出するポリマーで製造されているか、ナノ電気紡糸またはガスジェット紡糸により被覆されている。この具体例のコンドーム/シースは使いやすいようにスティック41に固定することもできる。スティックに被せたコンドーム/シースは、治療する部位に適用される。それからスティックは口腔内より取り出される。コンドーム/シースが治療部位に適合して口腔内に残される。前記部位はコンドーム/シースが適用可能であれば、口腔内の歯と歯の間、歯間ポケット、その他の如何なる部位であってもよい。
【0047】
前記コンドーム/シースは歯と歯の間、歯間ポケットなどそれが挿入されるに適した大きさにすることができる。コンドーム/シースの挿入に際しては、スティックあるいはピンなどの適当な補助具を使用することもできる。この具体例の利点は、治療部位へのピンポイントでの適用と、適用の容易さである。
【0048】
本発明の他の具体例は、図5に記載したように、酸化窒素放出のナノ粒子、または高分子微粒子(ミクロスフェア)であり、酸化窒素放出ポリマーより製造される。ナノ粒子は、例えば唇と歯の軟質組織との間、歯間ポケット、その他の口腔内のデバイスが適用された部位において溶解する可溶性フィルムにミクロスフェアの形で埋設されていてもよく、口腔内の湿気と可溶性フィルムが接触したとき、或いは頬の内側と歯肉との間で、一方向または両方向に酸化窒素を放出する。
【0049】
本発明の他の具体例であるナノ粒子、またはミクロスフェアは、ガムを噛むときまたは歯を磨くときの圧力で崩壊する材料中にカプセルで包含されていても良い。すなわち、チューインガムや歯磨きペースト中に含ませても良いのである。この種のチューインガムや歯磨きペーストは口腔内の障害予防または治療、炎症、癌、歯周病、骨造成の促進、歯科用インプラント埋植後の軟組織治癒などに用いることができる。これらのナノ粒子、ミクロスフェアをカプセルで包含する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される。この具体例の利点は、適用が容易で、口腔内の全ての部位の治療効果があり、製造が容易である点である。
【0050】
本発明における“カプセルで包含”とは、酸化窒素放出ポリマーを3次元マトリクスにより固定することを意味し、フォーム、フィルム、ナノファイバまたはファイバの不織マット、他の酸化窒素放出ポリマーを固定できる材料、包摂するに適した他の材料により包含するものと理解するべきである。
【0051】
本発明の別の具体例では、図6に示すように、ナノ粒子、ミクロスフェアは適当な洗口剤、例えば二酸化塩素などと組み合わせても良い。洗口剤を口腔内で使用する際、ナノ粒子、ミクロスフェアは崩壊され、酸化窒素を放出する。もちろん、二酸化塩素を本発明のすべての具体例、例えばパッチなどと組み合わせてもよい。これにより酸化窒素の抗菌効果をさらに増大するという利点がある。
【0052】
本発明の別の具体例では、酸化窒素放出デバイスは、例えば調合薬、ビタミン、ニコチン、ニトログリセリンなどの薬剤放出パッチのための増進器として作用させることもできる。この具体例は、一つの治療によって2つの治癒効果を得ることができるデバイスを提供する。相乗効果としては、組合体を作用させる部位にデバイスからの酸化窒素の放出による血管拡張効果がある。組織の血管拡張は、薬剤の感受性をより高めるので、薬剤による治療もより容易になり、しかも、酸化窒素は抗炎症性、抗バクテリアその他の効果がある。従って、予想以上の治療効果が得られるのである。
【0053】
他の具体例として、酸化窒素放出ポリマーを粉体、ナノ粒子、ミクロスフェアなどとしてフォーム(発泡体)と組み合わせることである。フォームとしてはオープンセル構造を有することができ、プロトンドナーを酸化窒素放出ポリマーに輸送するのに適している。フォームの好適な材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される。
【0054】
別の具体例として、クリーム状、またはゲル状若しくはこれらの組み合わせの形態もできる。この具体例の利点は、歯肉や皮膚など治療する部位の近くで酸化窒素を放出させ、ポケット部、コーナー部に浸透させることができることである。
【0055】
クリーム状、またはゲル状若しくはこれらの組み合わせの形態では、プロトンドナーによって酸化窒素放出ポリマーが活性化されるので、デバイスとして使用する際に、酸化窒素の放出を開始させたいときまで、酸化窒素放出ポリマーをプロトンドナーから隔離することができる。これを遂行する一つの方法は、2つの収容部を有するシリンジを利用することである。一つの収容部にはプロトンドナーゲルが、他方の収容部にはプロトンドナーゲルを排除し、酸化窒素放出ポリマーを含むゲルを収容する。デバイスを使用する場合には、シリンジから絞りだして両方を混ぜ合わせ、プロトンドナーを含む第一のゲルが、酸化窒素放出ポリマーを含む第二のゲルと接触して、酸化窒素の放出が始まる。
【0056】
本発明の別の具体例には、歯科用インプラントのチタンのスクリュー部などや、他の生分解性あるいは生体適合性プレートなどがある。そして、本発明のファイバ、ナノ粒子、ミクロスフェアで、例えばデバイスを被覆することにより固定することができる。被覆方法として非常に便利なのは、デバイスの表面に電気紡糸またはガスジェット紡糸により酸化窒素放出ポリマーを提供することである。この具体例では、口腔内の手術中に感染のリスクを低減することである。
【0057】
デバイスには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される材料を含むことができる。本発明の全ての具体例において、何れの材料であっても、酸化窒素放出ポリマーとともに一体化されるか、紡糸されるか、または表面に紡糸される。
【0058】
酸化窒素放出ポリマーから酸化窒素の放出を制御し調整するために3つの重要な要素がある。一つは、ジアゾリウムジオラート基などのプロトンドナーと、酸化窒素放出ポリマーとをいかに素早く接触させるか。一つは、酸化窒素放出ポリマーの周囲の酸性環境、そして、酸化窒素放出ポリマーの周囲の温度(高い温度は酸化窒素の放出を促進する)である。
【0059】
本発明の酸化窒素放出ポリマーの一例として、L−PEI−NOとキャリアポリマーとを混合して酸化窒素の放出を遅く、長くするものがある。別の例では、1以上のキャリアポリマーと混合することもでき、必要に応じて放出または分離を調整することができる。例えば、酸化窒素放出ポリマーの周囲環境を疎水性にすれば、初期の放出をゆっくりにすることができる。そして酸化窒素放出ポリマーの周囲環境がより親水性になったとき、第二の期間はより早い放出とすることができる。これは、例えば生分解性ポリマーを使用することによってもでき、第一の期間は低放出であって、疎水性ポリマーが分解されて、親水性ポリマーとなったら酸化窒素のより高い放出が得られる。このように、疎水性キャリアポリマーは、例えば水や体液などの活性プロトンドナーは疎水性キャリアポリマーをゆっくりと侵入するから、酸化窒素の遅延放出を与える。一方、親水性ポリマーはその反対の作用がある。親水性ポリマーの一例としてポリエチレンオキシド、疎水性ポリマーの一例としてポリスチレンがある。これらのキャリアポリマーは酸化窒素放出ポリマーと混合して、電気紡糸により適当なファイバに形成することができる。当業者においては、他のポリマーも同様の目的で使用できることが理解されよう。図7は、2つの異なるポリマー混合物からの放出挙動(酸化窒素濃度 対 時間)を示した図である。親水性キャリアポリマーと酸化窒素放出ポリマーを酸性環境下で混合した場合(A)と、疎水性キャリアポリマーと酸化窒素放出ポリマーを中性環境下で混合した場合(B)である。
【0060】
一例としては、このキャリアポリマーが疎水性または親水性の特徴を有する別の材料を代わりに使用することもできる。従って、本発明における“キャリア材料”はキャリアポリマーと、親水性または疎水性の特徴を有する他の材料を意味すると解されるべきである。
【0061】
本発明の別の具体例において、L−PEI−NOなどの酸化窒素放出ポリマーからの酸化窒素の放出は、プロトンの存在により影響を受ける。これは、より酸性環境下では酸化窒素の放出が促進されることを意味する。酸化窒素放出ポリマーを活性化することにより、または酸化窒素放出ポリマーとキャリアポリマーに、アスコルビン酸溶液などの酸性液体を混合することにより、酸化窒素の放出を加速することができる。
【0062】
前記キャリアポリマーとキャリア材料は、酸化窒素の放出を調整する以外に他の特徴に影響を与えることもできる。そのような特徴としては機械的強度などである。
【0063】
キャリアポリマーまたはキャリア材料については、酸化窒素放出ポリマーがその中に一体化され、共に紡糸され、或いはその上に紡糸して、本発明の具体例のいずれについても適用することができる。前記紡糸には、電気紡糸、エアー紡糸、ウェット紡糸、ドライ紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸などが含まれる。このような方法により、酸化窒素放出ポリマーと、キャリアポリマーまたはキャリア材料とを含み、酸化窒素の放出特性を予め設定したポリマー混合物のファイバが製造される。これらの特徴は、異なるアプリケーションで異なる放出挙動に合わせることができる。
【0064】
酸化窒素放出ポリマーからの酸化窒素(NO)の放出は、治療適用量であり、それは0.001〜5000ppm、あるいは0.01〜3000ppm、あるいは0.1〜1000ppm、あるいは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,または100ppmである。この濃度は何処を測定するかによって様々に変化する。もし、濃度の測定を酸化窒素放出ポリマーの近くで測定すれば1000ppmもしくはそれ以上であり、組織内で測定すれば、1〜1000ppm程度に低下する。
【0065】
本発明の具体例において、デバイスからの酸化窒素の放出時間を制御、調整することが好ましい。これはデバイスに他のポリマーまたは材料を一体化させることにより達成することができる。これらのポリマーまたは材料は以下の何れの材料またはポリマーであってよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される材料を含むことができる。
【0066】
本発明によるデバイスのサイズは、口腔内に使用するに適当な範囲で各種設定できるが、典型的には7〜15mm×20〜40mm、好ましくは9〜13mm×25〜35mm、或いは10mm×30mmである。
【0067】
本発明によるデバイス内の酸化窒素放出ポリマーは、銀、例えば水素活性化銀などと結合させることもできる。本発明に従ってデバイス内に銀を結合させ、治癒プロセスをさらに促進する。好ましくは銀はデバイスから銀イオンとして離脱できるとよい。デバイス内に結合された銀はいくつかの利点がある。そのような利点の一つは、酸化窒素放出ポリマーが標的部位で酸化窒素を治療のために放出する間、デバイスがバクテリアやウイルスの増殖を抑えることである。
【0068】
酸化窒素放出ポリマーは、前記のように2級アミンを、主鎖または側鎖に有していても良い。これにより良好な酸化窒素放出ポリマーを作ることが出来る。2級アミンは強い負電荷を有するので酸化窒素を付加し易い。例えば窒素原子、炭素原子に対して、もし2級アミンの近く(例えば隣の原子)に窒素より高い電気陰性度のリガンドがあると、酸化窒素をポリマーに付加することは非常に困難である。一方、例えば窒素原子、炭素原子に対して、もし2級アミンの近く(例えば隣の原子)に電気的に陽性のリガンドがあると、アミンの電気陰性度が増強されポリマーに酸化窒素を付加する可能性が高くなる。
【0069】
本発明の一つの具体例において、酸化窒素放出ポリマーは塩によって安定化することができる。例えばジアゼンイウムジオラート基のような酸化窒素の放出基は、通常陰性であり、陽性のカウンターイオン例えばカチオンは、酸化窒素放出基を安定化するために使用できる。このカチオンは、周期律表の第一または第二グループから選択されるカチオンで、例えば、Na、K、Li、Be2+、Ca2+、Mg2+、Ba2+、およびSr2+などである。同じ酸化窒素放出ポリマーでも塩が異なると、異なる特徴を有する。このように目的に応じて適当な塩(カチオン)を選択することができる。カチオン安定化ポリマーの例として、L−PEI−Na(例えばL−PEIジアゼンイウムジオラートをナトリウムで安定化したもの)や、L−PEI−Ca(例えばL−PEIジアゼンイウムジオラートをカルシウムで安定化したもの)がある。
【0070】
本発明の別の具体例として、酸化窒素放出ポリマー、または酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料との混合物に、吸収剤を混合するものがある。この具体例は、ポリマーまたはポリマー混合物が吸収剤によって、より早く活性化のための液体(例えば水または体液)を吸収することができるので、酸化窒素の放出が促進されるという利点がある。具体例としては、酸化窒素放出ポリマー、又は酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料との混合物に80%(w/w)の吸収剤を混合したもの、酸化窒素放出ポリマー、又は酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料との混合物に10〜50%(w/w)の吸収剤を混合したものなどがある。
【0071】
酸化窒素の放出は口腔内の水などのプロトンドナーによって活性化されるので、酸化窒素放出ポリマーまたは酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料との混合物を、プロトンドナーとの接触を維持することが有利である。もし長期間に渡り酸化窒素を放出することが求められれば、プロトンドナーと、酸化窒素放出ポリマーまたは、酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料との混合物との接触を維持するシステムが有効である。従って、本発明の別の具体例では、吸収剤を添加することにより酸化窒素の放出を調整することができる。吸収剤はプロトンドナー(例えば水)を吸収し、長期間に渡って酸化窒素放出ポリマーとプロトンドナーとの接触を維持する。吸収剤は、ポリアクリレート、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、綿、スターチなどである。この吸収剤は充填剤としても使用することができる。この場合の充填剤は、酸化窒素放出ポリマーまたは、酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料との混合物に所望の質感を与える。
【0072】
デバイスは、例えばL−PEIを電気紡糸することにより製造できる。L−PEIは特徴的な電圧により荷電され、L−PEIポリマーファイバの束として、細いL−PEIジェットが放出される。このポリマーファイバのジェットは処理部の表面に直接あてることもできる。処理部の表面は、デバイスとして好適な材料からなる。L−PEIの電気紡糸ファイバは材料に接着し、本発明のデバイスの上にL−PEIの被膜/層を形成する。
【0073】
上記のようにして、本発明の範囲内において、デバイスに他の酸化窒素放出ポリマーを電気紡糸することも勿論可能である。
【0074】
他の製造方法、例えば、ウェット紡糸、ドライ紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸なども本発明の範囲内である。
【0075】
本発明による酸化窒素放出ポリマーの一例として、電気紡糸によって純粋な酸化窒素放出ポリマーを得ることもできる。
【0076】
デバイスの上に酸化窒素放出ポリマーをガス流紡糸、エアー紡糸、ウェット紡糸、ドライ紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸することは、本発明の範囲内である。
【0077】
本発明による製造プロセスにより、酸化窒素放出ポリマーの表面が広い接触面積を有するから、酸化窒素放出ポリマーを効率よく使用し、デバイスの生産コストにも効果的である。
【0078】
本発明のデバイスは、術後の感染、炎症などの予防、治療、軽減などにも使用できる。特に口腔内の術後の疾患を予防する。酸化窒素の効果は本発明のデバイスによって簡便な方法で提供される。そのような効果は例えば、前記したように、抗炎症、抗病原性、特に抗ウイルス、抗バクテリア作用である。さらに酸化窒素の抗ガン効果、例えば顎骨のガン治療などに有利な効果がある。
【0079】
ここで、本発明の用途について以下に記載する。
口腔内の疾患治療方法であり、患者の口腔内に請求項1乃至6記載のデバイスを分離可能に結合するスティックまたはピンを入れ、患者の口腔内でスティックまたはピンからデバイスを外して、口腔内の治療部位に接触させ、その部位に酸化窒素放出ポリマーから放出される酸化窒素を治療のために投与する。
【0080】
前記方法であって、治療部位が、口腔内の感染部位または、デバイスの効果によって感染を予防したい部位である。
【0081】
前記方法であって、治療部位が、歯科手術後の部位である。
【0082】
前記方法であって、治療部位が、口腔内の腫瘍部位である。
【0083】
口腔内の疾病の治療のために酸化窒素を治療として投与する用途であり、その用途は例えば、歯周病の治療または予防である。
【0084】
本発明は、各種の適当な形態で使用することができる。本発明の具体例である要素、部品は物理的に、機能的に、論理的に適当な方法により用いることができる。実際、機能性は、単一のユニット、複数のユニット、あるいは他の機能的ユニットの一部として実行される。
【0085】
本発明は前記のように詳細な具体例に関して説明したが、ここに説明した詳細な形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は請求項の記載にのみ限定されるものであり、前記の詳細な具体例と同様の他の具体例も、ここに付加された請求項の範囲内である。
【0086】
請求項において、“含む/含んでいる”は他の要素または工程を排除していないことを意味する。さらに、個別に挙げられているが、複数の手段、要素、ステップが伴われることも許容されている。また、個々の特徴は異なる請求項に含まれても良く、これらが有効に結合され、異なる請求項に包含されることは、特徴の組合せが実現可能でないとか有利でないなどを意味するものではない。さらに、単一の関係は複数のそれを排除するものではない。“ひとつ(a)”“ひとつ(an)”“第一(first)”“第二(second)”などは複数を排除していない。請求項の引用は例を明確にするためのものであり、請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
本発明の目的、特徴、効果を明らかにし、図面を参照しつつ、本発明の具体例を説明する。
【図1】図1は、本発明に従うスポンジの概略図である。
【図2】図2は、本発明のパッチまたはパッドを示す概略図である。
【図3】図3は、酸化窒素放出部が一方の面のみに存在する、本発明のパッチまたはパッドの別例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明のコンドーム/シースを示す概略図である。
【図5】図5は、本発明のナノパーティクルまたはマクロスフィアを示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の洗口剤を示す概略図である。
【図7】図7は、担体に酸化窒素放出ポリマーを2種類の異なる混合方法により得られる、2種の放出挙動を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内の疾病を治療または予防するように構成されたデバイスであって、
前記デバイスが、口腔内の標的部位の治療または予防に使用されるとき酸化窒素(NO)の治療用量の放出がされるように構成された酸化窒素放出ポリマーを含み、使用されるポリマーが酸化窒素(NO)を放出するとき、標的部位が酸化窒素にさらされるように構成されるとともに、
前記酸化窒素(NO)放出ポリマーがキャリア材料と一体化され、キャリア材料が酸化窒素(NO)の治療用量の放出を制御、調整することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
酸化窒素(NO)放出ポリマーが、ジアゼンイウムジオラート(diazeniumdiolate)基、S-ニトロシル(nitrosylated)基、O-ニトロシル基、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
酸化窒素(NO)放出ポリマーが、ジアゼンイウムジオラート基、S-ニトロシル基、O-ニトロシル基、またはこれらの組合せにより酸化窒素(NO)が付加されたL−PEI(直鎖ポリエチレンイミン)であり、口腔内の標的部位に酸化窒素(NO)を放出するように設定されている、請求項1又は2記載のデバイス。
【請求項4】
酸化窒素放出ポリマーが、アミノセルロース、アミノデキストラン、キトサン、アミノキトサン、ポリエチレンイミン、PEI−セルロース、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリウレタン、ポリ(ブタンジオール スペルメート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリペプチド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリスチレン、ポリ(ビニルクロリド)、ポリジメチルシロキサン、またはこれらの組合せ、およびポリサッカリド(多糖)主鎖あるいはセルロース主鎖のような不活性な主鎖に前記ポリマーがグラフトされているものを含む群より選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
口腔内に適用する際に、スポンジ、パッド、パッチ、コンドーム/シースの形態である、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
デバイスが、スティックまたはピンの補助具により口腔内に適用される構成である、請求項1、2、3、4、または5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
口腔内で湿気または水にさらされたとき、崩壊するように構成されている請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
酸化窒素放出ポリマーが、銀と結合し口腔内の治療部位を治療するように構成されている請求項1記載のデバイス。
【請求項9】
酸化窒素の放出を調整、制御するキャリア材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される、請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
酸化窒素放出ポリマーがナノ粒子、ミクロスフェアの形態である、請求項1乃至9記載のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
ナノ粒子またはミクロスフェアが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択される材料中に封入されている請求項10記載のデバイス。
【請求項12】
ナノ粒子またはミクロスフェアが、歯磨き粉内に一体化されている請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項13】
ナノ粒子またはミクロスフェアが、チューインガム内に一体化されている請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項14】
ナノ粒子またはミクロスフェアが、洗口剤内に一体化されている請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項15】
洗口剤が二酸化塩素を含む、請求項14記載のデバイス。
【請求項16】
酸化窒素放出ポリマーが、主鎖内またはペンダント基として2級アミンを含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項17】
2級アミンの隣接原子に、ポジティブリガンド(positive ligand)が配置されている請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
さらに吸収剤を含む、請求項1または9に記載のデバイス。
【請求項19】
吸収剤が、ポリアクリレート、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、微結晶性セルロース、綿、スターチ、またはこれらの組合せから選択される、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
酸化窒素放出ポリマーの安定化のためにカチオンを含む、請求項1、9、16、17、または18のいずれかに記載のデバイス。
【請求項21】
カチオンが、Na、K、Li、Be2+、Ca2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、またはこれらの組合せから選択される請求項20記載のデバイス。
【請求項22】
請求項1記載のデバイスが、
好ましくは治療部位の方向へ向けて使用され、使用される方向側にデバイスの第一の面を有し、第一の面に酸化窒素を透過する第一の膜と、
治療部位から遠位方向側にデバイスの第二の面を有し、第二の面に酸化窒素を実質的に透過しない第二の膜を含み、
使用時に酸化窒素の第二の面側からの放出を実質的に阻止することにより、酸化窒素が第一の面側から放出されるように方向付けされることを特徴とするデバイス。
【請求項23】
酸化窒素放出ポリマーが、粉末、ナノ粒子またはミクロスフェアであり、フォームに結合されている請求項1記載のデバイス。
【請求項24】
フォームが、プロトンドナーを輸送して酸化窒素の放出を促進するようにオープンセル構造を有する請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
フォームが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリラクトン酸、スターチ、セルロース、ポリヒドロキシアルカネート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、蛋白質ベースポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ラテックス、またはこれらの組合せから選択されるポリマーを含んでいる請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
2つの個別の収容部を有するシリンジ型のデバイスで、
ゲルなど形態で、酸化窒素の放出活性化剤としてプロトンドナーを含む第一の収容部と、
酸化窒素放出ポリマーを含み、プロトンドナーゲルを含まない第二の収容部とを含み、
前記シリンジ型のデバイスが、混合しながら美容処置部位に投与することができるように構成されている請求項1記載のデバイス。
【請求項27】
口腔内の疾病を治療または予防するように構成された請求項1記載のデバイスの製造プロセスであり:
治療または予防するために使用するとき口腔内で酸化窒素を治療用量放出するように構成された酸化窒素(NO)放出ポリマーを選択すること、
酸化窒素(NO)の治療用量の放出を調整、制御するように構成されたキャリア材料を選択すること、
前記キャリア材料が酸化窒素(NO)の治療用量の放出を調整、制御するように、酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料を酸化窒素(NO)放出材料として結合させること、
口腔内の治療標的部位を酸化窒素放出ポリマーから放出される酸化窒素にさらすように構成されたデバイスの、少なくとも一部として形成され、前記酸化窒素放出材料が、好適な形状あるいはキャリアの上に被覆した状態で配置すること、
を含むデバイスの製造プロセス。
【請求項28】
キャリア上に配置することが、酸化窒素放出ポリマーを電気紡糸、エアー紡糸、ガス紡糸、ウェット紡糸、ドライ紡糸、溶融紡糸、またはゲル紡糸することである請求項27記載の製造プロセス。
【請求項29】
酸化窒素(NO)放出ポリマーを選択することが、複数の酸化窒素(NO)放出ポリマーの粒子、好ましくはナノファイバ、ナノ粒子、ミクロスフェアから選択することを含む請求項27または28記載の製造プロセス。
【請求項30】
酸化窒素放出ポリマーとキャリア材料を結合させることが、デバイスの酸化窒素放出特性を事前に設定するために、
キャリア材料に酸化窒素放出ポリマーを一体化すること、酸化窒素放出ポリマーをキャリア材料と共に紡糸すること、またはキャリア材料の上に酸化窒素放出ポリマーを紡糸すること、のいずれかを含む請求項27または28記載の製造プロセス。
【請求項31】
さらに、デバイスに銀を一体化することを含む請求項27記載の製造プロセス。
【請求項32】
口腔内に用いられたとき放出ポリマーからデバイスの放出する酸化窒素が治療用量であり、キャリア材料が酸化窒素の放出を調整または制御するように、デバイスに酸化窒素が付加されており、
口腔内の疾病を治療するデバイスを製造するために酸化窒素(NO)放出ポリマーとキャリア材料の使用法。
【請求項33】
治療用量が、0.001〜5000ppm、0.01〜3000ppm、0.1〜1000ppm、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,または100ppmである請求項32記載の使用法。
【請求項34】
口腔内の治療部位に接触させて、スティックまたはピンから患者の口腔内でデバイスを解放し、酸化窒素の治療用量が、酸化窒素放出ポリマーから治療部位に放出させ、
患者の口腔内に請求項1乃至8の何れかに記載のデバイスを、スティックまたはピンを用いて導入し、解放することにより口腔内の疾病を治療する方法。
【請求項35】
治療部位が、口腔内の感染部位またはデバイスの治療効果による感染予防部位である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
治療部位が、歯科手術後の部位である請求項35記載の方法。
【請求項37】
治療部位が、口腔内の腫瘍発生部位である請求項34記載の方法。
【請求項38】
口腔内疾病治療のための治療用量の酸化窒素(NO)の使用。
【請求項39】
治療が、口腔内の歯周病の治療である請求項38記載の酸化窒素(NO)の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−530054(P2008−530054A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554576(P2007−554576)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050888
【国際公開番号】WO2006/084909
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507271798)ノーラブズ エービー (11)
【Fターム(参考)】