説明

酸素水生成容器

【課題】簡便な構成で、持ち運びができ、時間がたっても溶存酸素濃度が下がらない酸素水を使用すること。
【解決手段】酸素水生成容器1がガス透過膜2によって水貯留室3と酸素発生室4に仕切られ、酸素発生室4では過酸化水素水8と二酸化マンガン10の反応によって生成した酸素がガス透過膜2を通って水貯留室3内へ透過し、高い溶存酸素濃度によって酸素水6が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、美容、育毛などに使用される酸素が高濃度に溶存した酸素水を生成してそのまま容器として使用できる酸素水生成容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近来、飲料、美容、育毛などに使用される酸素が高濃度に溶存した酸素水が注目を浴び、酸素水が容器に詰められて市販されるようになってきている。具体的な酸素水生成方法として、水を循環させながら酸素を溶かし込んでいく装置(例えば特許文献1参照)、密閉した容器に酸素ガスと水を閉じ込めて揺動して酸素を溶かす容器が提案されている。(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−66387号公報
【特許文献2】特開2004−237271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のような市販の酸素水では、流通や保管している間に徐々に酸素が揮発してしまい、使用時に高い溶存酸素濃度な酸素水が維持できているとは限らない。また、容器を開けてしまえば、さらに酸素はぬけていってしまうので、容器内の酸素水を、高い溶存酸素濃度が維持されたまま少しずつ使用することができない。
【0004】
また特許文献1に記載のような装置では、使用するたびに酸素水を生成すれば良いが、装置として大きくてコストがかかり、持ち運びもできない。特許文献2に記載のような容器では、容器を開けてしまえば酸素はぬけていってしまうので、容器内の酸素水を少しずつ使用することができない。
【0005】
前記従来の課題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、一度開けて中味の一部を使用しても、溶存酸素濃度が下がらない酸素水を提供できる酸素水生成容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の酸素水生成容器は、酸素が通るガス透過膜あるいはガス透過壁によって内部が仕切られ、上部に酸素水を取り出せる水貯留室と下部に酸素発生室を形成した容器を備え、前記水貯留室には水を、前記酸素発生室には過酸化水素水と二酸化マンガンをそれぞれ入れ、前記酸素発生室において発生した酸素が前記ガス透過膜あるいはガス透過壁を通って前記水貯留室に入り、酸素が水へ溶存して酸素水となる酸素水生成容器としたものである。
【0007】
本発明のような構成としたことによって、非常に簡単な構成で酸素水を供給することができるとともに、常に酸素を発生する酸素発生室から酸素が水貯留室へ供給され、高い溶存酸素濃度の酸素水を維持でき、かつ持ち運び可能にも容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の酸素水生成容器は、時間の経過で酸素水の酸素濃度が下がらないので、容器内の酸素水を少しずつ使用することもでき、常に必要な溶存酸素濃度が維持でき、かつ持ち運び可能にも容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、酸素が通るガス透過膜あるいはガス透過壁によって内部が仕切られ、上部に酸素水を取り出せる水貯留室と下部に酸素発生室を形成した容器を備え、前記水貯留室には水を、前記酸素発生室には過酸化水素水と二酸化マンガンをそれぞれ入れ、前記酸素発生室において発生した酸素が前記ガス透過膜あるいはガス透過壁を通って前記水貯留室に入り、酸素が水へ溶存して酸素水となる酸素水生成容器としたものである。
【0010】
これによって、酸素発生室で過酸化水素水と二酸化マンガンの反応によって生成する酸素が、ガス透過膜あるいはガス透過壁を通って水貯留室の水に溶け込み続けようとするので、水貯留室の水は常に高い溶存酸素濃度を維持できるのである。従って、容器内の酸素水を少しずつ使用しても常に必要な溶存酸素濃度の酸素水を使用でき、目的に応じた経済的な使用が可能になり、また容器なので持ち運び可能にすることも容易になる。
【0011】
第2の発明は、酸素が通るガス透過膜あるいはガス透過壁によって内部が仕切られ、上部に水貯留室と下部に酸素発生室を形成した容器と、水を入れた前記水貯留室に開閉可能に設けた蓋および過酸化水素水を入れた前記酸素発生室に開閉可能に設け、二酸化マンガンを設けた蓋を備え、前記二酸化マンガンと過酸化水素水との反応が前記酸素発生室にて行なわれるようにした酸素水生成容器としたものである。
【0012】
これによって、過酸化水素水を酸素発生室に注入するときは、底部の蓋を開けて酸素水生成容器を上下反転して注ぎ入れ、底部の蓋を閉めて酸素水生成容器をもとの姿勢に戻すと、過酸化水素水と二酸化マンガンが反応するので、取り扱いが簡便に酸素発生を実現することができるのである。もちろん、上記第1の発明と同様の作用効果も得られるものである。
【0013】
以下、本発明の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における酸素水生成容器の断面図で、図2は本発明の第1の実施の形態における酸素水生成容器の水を入れた状態を入れた状態を示した断面図で、図3は本発明の第1の実施の形態における酸素水生成容器の過酸化水素水を入れる前の状態を示した断面図で、図4は本発明の第1の実施の形態における酸素水生成容器の過酸化水素水を入れて底部蓋を閉めた状態を示した断面図である。
【0015】
図1において、容器となる酸素水生成容器1は、持ち運び可能な瓶のような縦長の容器の形態に形成され、その中を上下二つのスペースに仕切るガス透過膜2が設けてあり、一方の上部のスペースを水貯留室3と他方の下部のスペースを酸素発生室4とに分けている。そして、酸素水生成容器1は水貯留室3の上部の細くなった取り出し口1aには蓋である上部蓋5が閉めてあって、使用のたびに開けて中の酸素水6を取り出し口1aより取り出して使用する。なお、図2と図3、図4においてはこの酸素水6は酸素溶存前なので水7として表す。
【0016】
酸素発生室4の内部には、過酸化水素水8と着脱自在に酸素水生成容器1の底部に設けた蓋である底部蓋9に取り付けられた二酸化マンガン10とを入れ、二酸化マンガン10と過酸化水素水8との反応で酸素が発生し、ガス透過膜2を通って上部の水貯留室3に自然に入り、酸素は水7へ溶存して酸素水6となる構成である。
【0017】
以下、具体的な使用方法、動作、作用などを、図1〜図4を参照しながら説明する。まず使用者は図2のように酸素水生成容器1の上部蓋5を開けた状態で、水貯留室3へ水7を注ぎ入れる。次に使用者は、上部蓋5を閉めて酸素水生成容器1を反転させて、底部蓋
9を開けて図3のような状態とし、酸素発生室4の中に過酸化水素水8を注ぎ入れる。
【0018】
次に使用者は底部蓋9を固く閉め、この状態が図4である。そして、酸素水生成容器1を図1に示す元の姿勢に戻す。戻した状態が図1である。このとき、底部蓋9には二酸化マンガン10が取り付けられているので、過酸化水素水8と二酸化マンガン10が触れ合って反応し、酸素発生室4の底部にて酸素が発生し始める。酸素発生室4は密閉状態であるので発生した酸素はガス透過膜2を通り上部の水貯留室3に自然に入っていく。そして、ガス透過膜2を通る酸素は分子レベルの大きさなので水7にはよく溶解し、条件によっては過溶解状態までになる。
【0019】
ガス透過膜2の材質は、液体を通さず気体をよく通すものであれば何でもよい。本実施の形態では低密度ポリエチレンを用いたが、例えば酸素を選択的によく通すポリシランなどでもよい。また、圧力に耐えうるために膜を用いずに、ある程度厚みのある多孔質の壁状のものであっても良い。
【0020】
なお、過酸化水素水8の濃度は1%ほどで十分である。二酸化マンガン10の表面積で変わってくるが、あまり過酸化水素水8の濃度が高いと酸素が多量に発生しすぎて圧力が上がりすぎることもある。本実施の形態では二酸化マンガン10を底部蓋9の裏の表面に塗布し、過酸化水素水8の濃度を1%とすると、反応後10分で酸素水6の溶存酸素の量は20ppmとなった。
【0021】
20ppm以上あれば、飲用、美容、育毛に効果があるとされている。さらに反応から時間を置けば30ppmほどにもなる。使用者は使いたい分量だけ酸素水6を使えば、上部蓋5を閉めればよい。
【0022】
この後、時間がたっても溶存酸素濃度は上がることがあっても下がることはない。したがって、水7がなくならない限り、いつでも高濃度な酸素水を使用することができ、水がなくなっても上部蓋5を開けて水を追加すればよい。酸素の発生が少なくなれば、酸素発生室4内での泡の生成が見られなくなるので、そのときは底部蓋9をはずして図3のようにして過酸化水素水8を取り替えれば何度でも使用できるのである。
【0023】
以上のようにすれば、過酸化水素水8がある限り、酸素水生成容器1を携帯して、いつでもどこでも取り扱い簡便に酸素発生を実現し、高濃度な酸素水を使用することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる酸素水生成容器は、酸素が高濃度に溶存した酸素水を取り扱い簡便に実現でき、飲料、美容、育毛などに使用されるだけでなく、植物栽培、養殖業などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における酸素水生成容器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における酸素水生成容器の水を入れた状態を入れた状態を示した断面図
【図3】本発明の実施の形態1における酸素水生成容器の過酸化水素水を入れる前の状態を示した断面図
【図4】本発明の実施の形態1における酸素水生成容器の過酸化水素水を入れて底部蓋を閉めた状態を示した断面図
【符号の説明】
【0026】
1 酸素水生成容器
2 ガス透過膜
3 水貯留室
4 酸素発生室
6 酸素水
8 過酸化水素水
9 底部蓋
10 二酸化マンガン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素が通るガス透過膜あるいはガス透過壁によって内部が仕切られ、酸素水の取り出せる水貯留室と酸素発生室を形成した容器を備え、前記水貯留室には水を、前記酸素発生室には過酸化水素水と二酸化マンガンをそれぞれ入れ、前記酸素発生室において発生した酸素が前記ガス透過膜あるいはガス透過壁を通って前記水貯留室に入り、酸素が水へ溶存して酸素水となる酸素水生成容器。
【請求項2】
酸素が通るガス透過膜あるいはガス透過壁によって内部が仕切られ、上部に水貯留室と下部に酸素発生室を形成した容器と、水を入れた前記水貯留室に開閉可能に設けた蓋および過酸化水素水を入れた前記酸素発生室に開閉可能に設け、二酸化マンガンを設けた蓋を備え、前記二酸化マンガンと過酸化水素水との反応が前記酸素発生室にて行なわれるようにした酸素水生成容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−301522(P2007−301522A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134885(P2006−134885)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】