説明

酸素透過に対する遮断性が改良されたポリマー組成物

本発明は、(a)ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するポリマー、及び(b)式(1)〜(6)の化合物から選択される添加物であって、


式中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4は、同一でも異なっていてもよく、式(A)又は式(B)の部分から選択される基を独立して表し、


式中、Rは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及び−CO−C1−4アルキルから選択される添加物を含んでなるポリマー組成物、に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)及びポリビニルアルコール(PVOH)等の、ヒドロキシアルキレン繰り返し単位を含有するポリマーを含んでなり、酸素透過に対する遮断性が改良されたポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
EVOH及び/又はPVOHを含むポリマー組成物は、ポリマー組成物に対し酸素遮断性を付与するために一般的に使用されてきた。酸素遮断性は、前記ポリマー組成物への酸素透過を低減させる。低下した酸素透過性は、包装材料、特に食品、医薬品及び診断目的用の製品のような、酸素の作用により劣化する傾向がある商品の包装に使用される包装材料の分野で用いられるポリマー組成物の重要な特徴である。
【0003】
薄い金属箔又は無機酸化物の蒸着層のような、酸素遮断性を付与する他の材料の代わりに、EVOH及び/又はPVOH等のポリマーを使用する利点の1つは、外的影響が排除された(closed)、ピンホールのない表面を有する物品を製造可能な、押出成形、射出成形、インフレート法等のポリマー加工技術を利用できるという点である。しかし、EVOH及びPVOHは感水性であるという欠点を有する。一方、酸素遮断性を改善するために厚い層を使用することは、材料のコストが高く、その外観が不透明であることから、それほど思わしくない。EVOH及び/又はPVOHのフィルムの酸素遮断性を維持するためには、ポリオレフィン等の防湿材料を用いて前記フィルムを被覆又は積層することが通常必要である。かかる防湿層を提供すること、即ち、EVOH及び/又はPVOHを含有する内層を有する多層フィルムを製造することは、製造プロセスの複雑さが増加することを意味する。前記多層フィルムの個々の層は、フィルムを使用する過程で個々の層が分離(層剥離)するといった問題を回避できるような方法で構築する必要がある。
【0004】
これを達成するためには、層剥離を避けるためにEVOH及び/又はPVOHとの適合性の問題が生じないように、防湿層を調製できるポリマーを選択することが必要である。この理由から、ポリオレフィンが防湿層として一般的に使用されてきた。
【0005】
更に、個々の薄膜の同時押出、熱ラミネート等のような加工工程を適用する必要があり、このことはより複雑な製造装置が必要であることを意味している。その上、納得のいく防湿性を付与するのに十分な厚みの層を提供することは、多層フィルムに関する技術的制約に加えて、材料コストの増加をも意味する。
【0006】
よって、一般的に公知の遮断フィルムと比べて防湿層の厚みを低減できるような、湿気に対する安定性という観点から、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するポリマー、特に、EVOH又はPVOHのようなヒドロキシルエチレン繰り返し単位を含有するポリマーの酸素遮断性を改善することが望ましい。湿気に対するその安定性という観点からは、防湿層を必要としない程度に上述したポリマーの酸素遮断性を改善することが更に望ましい。
【0007】
米国特許出願公開第2002/0022144号(A1)明細書及び米国特許出願公開第2004/0058178号(A1)明細書には、酸素遮断性を改善するために、前記ヒドロキシル基をアルデヒドと反応させてアセチル部分を形成させることにより、EVOHポリマーのヒドロキシル基をブロッキングするという概念が記載されている。特に、前記反応は、酢酸、水、エタノール又はこれらの混合物等の適切な溶媒であって、反応終了後に除去する必要がある溶媒に、EVOH共重合体、前記アルデヒド及び触媒を溶解又は懸濁させることにより実施されることから、前記反応の実施には更なる時間と労力を要することは明らかである。前記操作では、時間、反応装置、並びに前記アルデヒド及び溶媒等の物質の供給が必要となる。更に、満足のいく反応速度と、溶媒のその後の除去を確実とするために充分高い濃度でポリマー材料を溶解させることは煩雑となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0022144号(A1)明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0058178号(A1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するポリマー、特に、EVOH又はPVOH等のヒドロキシルエチレン繰り返し単位を含有するポリマーの酸素遮断性を、簡単且つ効率的な方法で改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、本明細書中で以下に記載する方法で達成される。
【0011】
本発明の説明
驚くべきことに、本発明の目的は、
(a)ポリマー(a)中に存在する繰り返し単位の総数に対し少なくとも10%の量のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するポリマー、
及び
(b)前記ポリマー(a)に対し0.1〜5重量%の、次式(1)〜(6)で表される化合物から選択される少なくとも1種の添加物
【0012】
【化1】

【0013】
式中、
a1、Ra2、Ra3及びRa4は、同一でも異なっていてもよく、式(A)又は式(B)を有する部分から選択される基を独立して表し、
【0014】
【化2】

【0015】
式中、
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及び−CO−C1−4アルキルから選択される、
を含んでなる組成物、を提供することにより達成できることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の前記組成物の成分をより詳細に説明する。
【0017】
ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するポリマー
本発明にかかる組成物中に存在するポリマー(a)は、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するという点で特徴付けられる。前記ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位は、ヒドロキシルエチレン、1−ヒドロキシルプロピレン、及び1−ヒドロキシルn−ブチレンであり得る。
【0018】
前記ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位は、単一の種類であってもよく、又は数種類のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位が存在し得る。
【0019】
本発明にかかる組成物中に存在するポリマー(a)は、様々な全体構造(general constitution)を有し得る:
【0020】
(i)ポリマー(a)は、一種類のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位のみからなり得る。
(ii)ポリマー(a)は、二種類以上のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位からなり得る。
(iii)ポリマー(a)は、一種類のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位と、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位以外の少なくとも一種類の繰り返し単位からなり得る。
(iv)ポリマー(a)は、二種類以上のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位と、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位以外の少なくとも一種類の繰り返し単位からなり得る。
【0021】
本発明で使用するポリマー(a)中に存在する繰り返し単位の総数に対するヒドロキシルアルキレン繰り返し単位の数は、一般に広範囲にわたり変化し得る。しかし、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位の存在は、ポリマーの酸素遮断性のために重要である。従って、本発明の組成物に酸素遮断性を付与するためには、ポリマー中に、特定の最少含有量のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位が存在することが必要である。
【0022】
ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位以外の種類の繰り返し単位をポリマー(a)が含有する場合には、ポリマー(a)中のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位の数の下限値は、一般にポリマー中に存在する繰り返し単位の総数に対し10%である。好ましくは、前記下限値は15%であり、より好ましくは前記下限値は30%であり、更により好ましくは前記下限値は50%であり、最も好ましくは前記下限値は70%である。
【0023】
ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位以外の前記繰り返し単位は、例えば、エチレン、n−プロピレン、i−プロピレン、2−メチルプロピレン、n−ブチレン及びi−ブチレンであり得る。
【0024】
好ましい実施形態では、前記繰り返し単位はエチレンである。
【0025】
より好ましい実施形態では、前記繰り返し単位はエチレンであり、ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位としてのヒドロキシルエチレンと結合する。
【0026】
最も好ましい実施形態では、前記組成物は、前記ポリマー(a)としてエチレン−ヒドロキシルエチレン共重合体を含み、これはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)とも称され、ここでヒドロキシルエチレン繰り返し単位の含有量は10%以上100%未満の範囲であり、好ましくは15%以上100%未満の範囲であり、より好ましくは30%以上100%未満の範囲であり、更により好ましくは50%以上100%未満の範囲であり、更により好ましくは65%以上100%未満の範囲であり、最も好ましくは75%以上100%未満の範囲である。
【0027】
別の好ましい実施形態では、前記ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位の含有量が100%となり、それ故ポリマーが単独重合体となるように、ポリマー(a)は、特定のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位以外の種類の繰り返し単位を含有しない。
【0028】
特に好ましい実施形態では、ヒドロキシルエチレン繰り返し単位の含有量が100%となるように、ポリマー(a)は、ヒドロキシルエチレン繰り返し単位以外の種類の繰り返し単位を含有せず、即ち、ポリマー(a)中にはヒドロキシルエチレン繰り返し単位のみが存在し、それ故ポリマーは単独重合体となる。この場合、前記ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVOH)とも称され得る。
【0029】
ポリマーが組成物の意図される目的、即ち、例えばフィルムの形成に適する限り、ポリマー(a)はその分子量に関し特に制限されない。このことは、分子量を、意図される使用の条件下において組成物の寸法安定性が確保されるような範囲とすべきことを意味する。
【0030】
添加物
本発明においては、適切な添加物は、上記式(1)〜(6)の一種類で表される部分と、式(A)又は(B)で表されるR部分とを組み合わせて得られる部分構造(substructure)を有する任意の化合物である。
【0031】
前記式(1)〜(6)に関し、Rで表されるC1−6アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3ージメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、及び1,2,2−トリメチルプロピルから選択される基である。
【0032】
で表されるC1−6アルコキシ基は、酸素原子を介してRで表される部分の窒素原子に結合する前述したC1−6アルキル基である。
【0033】
で表される−CO−C1−4アルキル基は、−CO−基を介して、Rで表される部分の窒素原子に結合する前述したC1−4アルキル基である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、前記添加物は、上記式(1)又は(2)で表される部分構造を含有する化合物であり、ここでRa1及びRa2は、独立して、上記式(A)及び(B)から選択される部分であり、ここでRは、水素、メチル、エチル、CHO−、メチル−CO−、及びエチル−CO−から選択される。
【0035】
より好ましい実施形態では、前記添加物は、上記式(2)で表される部分構造を含有する化合物であり、ここでRa1及びRa2は、両方共上記式(A)で表される部分であり、ここでRは、水素、メチル、エチル、CHO−、メチル−CO−、及びエチル−CO−から選択される。
【0036】
特に好ましい添加物は、上記式(2)で表される部分構造を含有する化合物であり、ここでRa1及びRa2は、両方共上記式(A)で表される部分であり、ここで、Rは水素であり、即ち、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4ーピペリジル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド(式7)である。前記添加物は、クラリアント社から商標名Nylostab(登録商標)−SEED(登録商標)として入手可能である。
【0037】
【化3】

【0038】
一般に、前記添加物は、ポリマー(a)の量に対し0.1〜5重量%の範囲の量で含有され得る。
【0039】
好ましくは、前記添加物は、0.15〜3重量%の範囲の量で含有され得る。より好ましくは、前記添加物は、0.2〜2重量%の範囲の量で含有される。最も好ましくは、前記添加物は、0.3〜0.5重量%の範囲の量で含有される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、前記組成物は、前記ポリマー(a)としてのEVOHと、上記式(7)で表される添加物とを含み、ここでヒドロキシルエチレン繰り返し単位の含有量は、前述した通りである。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態では、前記組成物は、前記ポリマー(a)としてのPVOHと、上記式(7)で表される添加物とを含む。
【0042】
本発明の組成物は、熱酸化的で光誘発的な分解に対する安定剤、UV吸収剤、マイカのような充填剤、加工添加剤(processing additive)、着色剤、粘土を主成分とする添加剤(「ナノコンポジット」)等の一般的な添加剤を、前記ポリマー(a)に対し0.005〜5重量%の量で更に含んでいてもよい。
【0043】
本発明にかかる組成物の調製方法
本発明の組成物は、押出機又はスタティックミキサー、好ましくは高速ミキサー中での混合のような従来の任意のポリマー混合技術により調製できる。温度のような混合条件と、押出機構成のような任意の混合手段の設定、例えば、バレル長、長さ対直径比、温度プロフィール、スクリュー設定等は、混合される予定の組成物に従って、即ち、前記ポリマーと前記添加物の混合に必要とされる設定に従って選択される。
【0044】
前記ポリマー(a)としてのEVOH又はPVOHと、前記添加物としての上記式(7)の化合物とを含む組成物の場合には、260〜280℃の範囲のバレル温度で、高出力の二軸スクリュー押出機を使用することも好ましい。
【0045】
包装材料
本発明にかかる組成物は、フィルム、バッグ、ポーチ、チューブ、シリンダー、ビン、キャニスター等のような包装材料に加工され得るが、ここで前記材料の具体的な形状は、包装される予定の商品の意図される目的に依存して適切に選択される。
【0046】
本発明の組成物は、酸素の作用により望ましい特性が劣化する傾向がある包装商品に特に有用である。この点においては、シリンダー、ビン、ポーチ、キャニスター等の中に通常包装される医薬品又は診断用薬を挙げることができる。
【0047】
更に、フィルム、バッグ及びポーチの中に通常包装される食品を挙げることができる。
【0048】
意図される使用の条件に依存するが、前記包装材料は、本発明にかかる組成物の本質的に連続的な層を含み得るものであり、この連続的な層は、複合材料(composite)に望ましい特性を付与するために、種々の材料の1以上の層と共に、片面又は両面上に積層される。例えば、湿気に対する保護を補助するために、ポリオレフィンの層を、前記層の片面又は両面上に防湿層として設けることができる。EVOH及び/又はPVOHを含有する従来の酸素遮断層と比較して、湿気に対する保護を補助するための層の厚みは極めて薄いものとなり得る。
【0049】
特に、包装材料が湿度の高い環境で使用される予定である場合には、湿気に対する保護を補助するための層を設けることを考慮できる。例えば、生肉、魚、野菜、果物等のある種の食品は、湿気の含有量が高いか又は飽和湿度でさえあるような、包装材料内の雰囲気をもたらすであろう。
【0050】
包装材料が、医薬品又は診断用薬を包装するために使用される予定である場合、特に、前記商品が固体の形状である場合には、包装材料内の雰囲気の湿気含有量は、通常は飽和から大きくかけ離れるであろう。この場合、更なる防湿層が不要となる可能性がある。しかし、例えば、望ましい機械的特性を提供するために、1以上の更なる層を設けることができる。
【0051】
前記包装材料の調製方法
上述した包装材料は、熱可塑性ポリマー組成物に形状を付与するために一般に使用される標準的なポリマーエンジニアリング技法により調製することができる。例えばキャニスター、容器、ビン、チューブ、シリンダー等を成形するためには、かかる技法には、ブロー成形、射出成形が含まれる。本発明にかかる組成物の層が、熱可塑性ポリマー組成物の別の層と共に、片面又は両面上に積層される場合には、コインジェクション又は同時成形(co−moulding)のような技術を採用し得る。
【0052】
フィルム、バッグ、ポーチ等のような包装材料は、ブロー成形、押出及び溶融延伸(melt−stretching)、一方向又は二方向でのローリング又はカレンダリングのような技術により調製することができる。
【実施例】
【0053】
以下に、本発明を実施例により説明する。
【0054】
エチレン繰り返し単位の含有量が32%である顆粒状EVOH(株式会社クラレの子会社であるエバールヨーロッパ社から入手可能なEVAL F 101 B)を100℃にて4時間乾燥させた。次いで、二軸スクリュー押出機型のブラベンダー・プラスチコーダー DSK 42/7を用い、温度280℃及びスクリュー速度50rpmにて、乾燥したEVOHをNylostab(登録商標) S−EED(登録商標)粉末(商標名、クラリアント社から入手可能)と機械的に混合させた。このようにして、以下の表1に示すような種々の濃度のNylostab(登録商標) S−EED(登録商標)を含む顆粒状組成物を調製し、これを100℃にて4時間再度乾燥させた。得られた組成物から、温度280℃で圧縮成形することにより、厚み1mmのプラック(plaque)を調製した。
【0055】
これらのプラック試料を、周囲温度22℃及び相対湿度50%で3日間保管した。続いて、プラックの各々の酸素透過性を測定した。
【0056】
Macromolecular Rapid Communications, 2005, vol. 26 (11), page 915(「Controlling the De−Intercalation in Hydrogenated Nitrile Rubber (HNBR) / Organo−Montmorrilionite Nanocomposites by Curing with Peroxide」)において、K. G. Gatos, L. Szazdi, B. Pukansky, J. Karger−Kocsisが記載するような、22℃及び相対湿度60%におけるシステック法(Systec method)を用いて、酸素透過性を測定した。
【0057】
【表1】

【0058】
上記の結果は、0.1重量%という低い濃度のNylostab(登録商標) S−EED(登録商標)を添加すると、EVOHの酸素透過性が明らかに低下することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマー(a)中に存在する繰り返し単位の総数に対し少なくとも10%の量のヒドロキシルアルキレン繰り返し単位を含有するポリマー、
及び
(b)前記ポリマー(a)に対し0.1〜5重量%の、次式(1)〜(6)で表される化合物から選択される少なくとも1種の添加物
【化1】

式中、
a1、Ra2、Ra3及びRa4は、同一でも異なっていてもよく、式(A)又は式(B)の部分から選択される基を独立して表し、
【化2】

式中、
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及び−CO−C1−4アルキルから選択される、
を含んでなる組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位の量が、ポリマー(a)中に存在する繰り返し単位の総数に対し少なくとも80%である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマー(a)中の前記ヒドロキシルアルキレン繰り返し単位が、ヒドロキシルエチレン繰り返し単位である請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー(a)が、ヒドロキシルエチレン繰り返し単位とエチレン繰り返し単位からなる共重合体である請求項3記載の組成物。
【請求項5】
ヒドロキシルエチレン繰り返し単位の量が、ポリマー(a)中に存在する繰り返し単位の総数に対し75%以上100%未満である請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシルエチレン繰り返し単位の量が、ポリマー(a)中に存在する繰り返し単位の総数に対し100%である請求項3記載の組成物。
【請求項7】
前記添加物が、式(1)又は(2)で表される化合物であり、式中、Ra1及びRa2は式(A)の部分を表す請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記添加物が、次式で表されるようなN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミドである請求項7記載の組成物。
【化3】

【請求項9】
前記添加物を、前記ポリマー(a)に対し0.3〜0.5重量%の量で含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を含んでなる包装材料。
【請求項11】
フィルム、バッグ、ポーチ、チューブ、シリンダー、ビン、キャニスターから選択される形状である請求項10記載の包装材料。

【公表番号】特表2012−514055(P2012−514055A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542743(P2011−542743)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065815
【国際公開番号】WO2010/072501
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(506174153)
【Fターム(参考)】