説明

重ね合わせ情報紙およびその製造方法

【課題】 情報の漏洩をより確実に防止することができる重ね合わせ情報紙を提供する。
【解決手段】 仮接着フィルム3が、フィルム状の支持体31と、この支持体31の一方の面に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層32と、支持体31の他方の面と熱可塑性樹脂層32の非支持体31側の面とに形成された接着剤層33、34とから構成されている。この仮接着フィルム3の一端部を支持体31が熱可塑性樹脂層32よりも外側に位置するように折り重ね、この折り重ね部3aが重ね合わせた葉書用紙2の開放端部21a、22aに位置するように、仮接着フィルム3を紙片21、22の間に介在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉書用紙やくじ用紙などを剥離可能に重ね合わせた葉書やくじ紙片などの重ね合わせ情報紙と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、請求書や支払通知書のような個人のプライバシーなどに関する書類を郵送する際には、情報の漏洩を防止するために、葉書用紙(情報用紙)を剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ葉書(重ね合わせ情報紙)などが使用されている。このような重ね合わせ葉書として、折られた葉書用紙の紙片同士が仮接着フィルムを介して剥離可能に仮接着(擬似接着、一時的接着)されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、仮接着フィルムは、ポリエチレンテレフタレートなどの支持体の片面に、容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂層が形成され、さらにその両面にポリエステル樹脂などの感熱接着剤層が形成されたものである。そして、この仮接着フィルムが折られた葉書用紙の紙片間に挟み込まれ、ヒータ部を通過されることで、仮接着フィルムの感熱接着剤層が対向するそれぞれの紙片に接着して、紙片同士が仮接着された重ね合わせ葉書となっている。また、このような重ね合わせ葉書の開放端部(折り目と対向する重ね合わせ端部)などをつまみ、紙片を広げると、仮接着フィルムの熱可塑性樹脂層が支持体から剥がれて、紙片同士の仮接着が解除される。これにより、紙片が開いて、紙片の内面に印字等された情報を読むことができるものである。
【特許文献1】特開平3−162997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような重ね合わせ葉書では、折り目以外の重ね合わせ端部が密封されておらず、開放端部などをつまんで紙片を広げるだけで、紙片(葉書)を容易に開けることができる。例えば、家族内の特定の人宛に送られた重ね合わせ葉書を、その家族内の別の人が宛名をよく確認せずに間違って開けてしまう場合などがある。そして、どのような理由によってであれ、葉書が開いてしまうと印字等された情報が他人に読まれてしまう、つまり情報が漏洩することになる。
【0004】
そこで本発明は、情報の漏洩をより確実に防止することができる重ね合わせ情報紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、葉書用紙やくじ用紙などの情報用紙を仮接着フィルムを介して剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ情報紙であって、前記仮接着フィルムが、フィルム状の支持体と、この支持体の一方の面側に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層と、前記支持体の他方の面と前記熱可塑性樹脂層の非支持体側の面とに形成された接着剤層とを備え、前記支持体が前記熱可塑性樹脂層よりも外側に位置するように前記仮接着フィルムの端部を折り重ねた状態で、この仮接着フィルムを重ね合わせた情報用紙の間に介在させたことを特徴としている。
(作用)
仮接着フィルムの端部を折り重ねた折り重ね部では、支持体が折り曲げの外側に位置し、この支持体の他方の(外側の)面に形成された接着剤層が重ね合わせた情報用紙に接着している。すなわち、仮接着フィルムの折り重ね部においては、重ね合わせた情報用紙が支持体を介して一体となっており、熱可塑性樹脂層が支持体から剥がれることで重ね合わせた情報用紙の仮接着が解除されることがない。一方、仮接着フィルムの折り重ね部以外においては、重ね合わせた情報用紙の間に一枚(一層)の仮接着フィルムが介在しており、熱可塑性樹脂層が支持体から剥がれることで重ね合わせた情報用紙の仮接着が解除される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、葉書用紙やくじ用紙などの情報用紙を仮接着フィルムを介して剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ情報紙であって、前記仮接着フィルムが、フィルム状の支持体と、この支持体の一方の面側に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層と、前記支持体の他方の面と前記熱可塑性樹脂層の非支持体側の面とに形成された接着剤層とを備えたオープンフィルムと、フィルム状の支持体と、この支持体の両面に形成された接着剤層とを備えたクローズフィルムとから構成され、重ね合わせた情報用紙の間に、前記オープンフィルムと前記クローズフィルムとを同一平面状に介在させたことを特徴としている。
(作用)
重ね合わせた情報用紙の間にオープンフィルムが介在している用紙部では、オープンフィルムの熱可塑性樹脂層が支持体から剥がれることで、剥離可能となっている。また、クローズフィルムは剥離(分離)構造を有さない接着媒体であり、重ね合わせた情報用紙の間にクローズフィルムが介在している用紙部では、クローズフィルムを介して一体となっており、重ね合わせた情報用紙の接着が解除されない。
【0007】
請求項3に記載の発明は、葉書用紙やくじ用紙などの情報用紙を仮接着フィルムを介して剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ情報紙であって、前記仮接着フィルムが、フィルム状の支持体と、この支持体の一方の面側に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層と、前記支持体の他方の面と前記熱可塑性樹脂層の非支持体側の面とに形成された接着剤層とを備えたオープンフィルムと、フィルム状の支持体と、この支持体の両面に形成された接着剤層とを備えたクローズフィルムとから構成され、前記クローズフィルムの端部が前記オープンフィルムと重ならないように前記オープンフィルムと前記クローズフィルムとを重ねた状態で、前記仮接着フィルムを重ね合わせた情報用紙の間に介在させたことを特徴とする重ね合わせ情報紙。
(作用)
重ね合わせた情報用紙の間にオープンフィルムとクローズフィルムとが重なって介在している用紙部では、オープンフィルムの熱可塑性樹脂層が支持体から剥がれることで、剥離可能となっている。また、オープンフィルムが重なっていないクローズフィルムの端部が介在している用紙部では、クローズフィルムが剥離(分離)構造を有さない接着媒体であるため、クローズフィルムを介して一体となっており、重ね合わせた情報用紙の接着が解除されない。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の重ね合わせ情報紙の製造方法であって、前記仮接着フィルムの端部を折り曲げながらこの仮接着フィルムを前記情報用紙に重ねるように供給するフィルム供給工程と、前記仮接着フィルムを挟んだ状態で前記情報用紙を折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げられた情報用紙を重ね合わせて仮接着させる接着工程と、を備えたことを特徴としている。
(作用)
フィルム供給工程と折り曲げ工程とによって、折り曲げられた情報用紙の間に端部が折り曲げられた仮接着フィルムが介在され、接着工程によって、重ね合わされた情報用紙が仮接着フィルムを介して仮接着される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、情報用紙の形状や重ね合わせ方などに応じて仮接着フィルムの折り重ね部を配設することで、情報の漏洩をより確実に防止することができる。例えば、二つ折りの重ね合わせ葉書において、折り目と対向する端部に仮接着フィルムの折り重ね部を配設すると、この端部においては重ね合わせた葉書の仮接着が解除されず、重ね合わせ葉書が密封(密閉)状態となる。そして、重ね合わせ葉書を開けるには、例えば仮接着フィルムの折り重ね部に接着されている葉書の端部を切り離し、残った葉書の新たな端部をつまんで葉書を広げ、仮接着フィルムの熱可塑性樹脂層を支持体から剥がす必要がある。このように、仮接着フィルムの折り重ね部によって、重ね合わせ情報紙を密封状態にすることができ、折り重ね部に接着されている情報用紙の部分を切り離したりしなければ重ね合わせ情報紙を開けることができないようにすることができる。このため、宛名をよく確認せずに間違って(とっさに)開けてしまうことなどをより確実に防止することができるものである。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、情報用紙の形状や重ね合わせ方などに応じてオープンフィルムとクローズフィルムとを配設することで、情報の漏洩をより確実に防止することができる。例えば、二つ折りの重ね合わせ葉書において、折り目と対向する端部にクローズフィルムを配設し、その他の部分にオープンフィルムを配設する。この場合、クローズフィルムが配設された重ね合わせ葉書の端部においては、重ね合わせた葉書の接着が解除されず、重ね合わせ葉書が密封(密閉)状態となる。そして、重ね合わせ葉書を開けるには、例えばクローズフィルムに接着されている葉書の端部を切り離し、残った葉書の新たな端部をつまんで葉書を広げ、オープンフィルムの熱可塑性樹脂層を支持体から剥がす必要がある。このように、クローズフィルムによって、重ね合わせ情報紙を密封状態にすることができ、クローズフィルムに接着されている情報用紙の部分を切り離したりしなければ重ね合わせ情報紙を開けることができないようにすることができる。このため、宛名をよく確認せずに間違って開けてしまうことなどをより確実に防止することができるものである。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、情報用紙の形状や重ね合わせ方などに応じて、オープンフィルムが重なっていないクローズフィルムの端部を配設することで、請求項2に記載の発明と同様に、情報の漏洩をより確実に防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の重ね合わせ情報紙を容易に製造することが可能になる。すなわち、仮接着フィルムの端部が折り重なっていない従来の(通常の)重ね合わせ情報紙を製造する場合でも、一般に、仮接着フィルムを情報用紙に重ねるように供給するフィルム供給工程と、仮接着フィルムを挟んだ状態で情報用紙を折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げられた情報用紙を重ね合わせて仮接着させる接着工程とを備えている。このため、従来の重ね合わせ情報紙を製造する際のフィルム供給工程において、仮接着フィルムの端部を折り曲げる加工(作業)を加えだけで、請求項1に記載の重ね合わせ情報紙を製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、この実施の形態に係わる二つ折りの重ね合わせ葉書1(重ね合わせ情報紙)の平面図(a)と、正面図(b)と、底面図(c)である。この重ね合わせ葉書1は、葉書用紙2(情報用紙)を半分に折った第1の紙片21と第2の紙片22との間に仮接着フィルム3が介在され、この仮接着フィルム3を介して第1の紙片21と第2の紙片22とが剥離可能に重ね合わされている。
【0015】
仮接着フィルム3は、図2に示すように、フィルム状の支持体31と、この支持体31の一方の面に形成された熱可塑性樹脂層32と、支持体31の他方の面に形成された第1の接着剤層33と、熱可塑性樹脂層32の非支持体31側の面に形成された第2の接着剤層34とから構成されている。支持体31は、本実施形態ではポリエチレンテレフタレート製で、熱可塑性樹脂層32は、支持体31から容易に剥離可能であるが自然剥離しないようにビカット軟化温度が45℃以上で、本実施形態では透明な熱可塑性エラストマー製である。第1の接着剤層33および第2の接着剤層34は、ガラス転移温度が30〜70℃、若しくはビカット軟化温度が40〜65℃の感熱接着剤層で、本実施形態では透明なポリエステル樹脂製である。
【0016】
このような仮接着フィルム3が、その一端部が折り重ねられた状態で、第1の紙片21と第2の紙片22との間に全面的に介在され(挟まれ)ている。すなわち、葉書用紙2の折り目2aと対向する端部が、第1の紙片21と第2の紙片22との開放端部21a、22aに沿って、支持体31が熱可塑性樹脂層32よりも外側に位置するように折り重ねられている。従って、一端部を折り重ねる前の仮接着フィルム3の幅は、紙片21、22の幅よりも折り重ね代だけ大きく設定されている。このように折り重ねられた折り重ね部3aでは、支持体31が折り曲げの外側(第1の紙片21側および第2の紙片22側)に位置し、この支持体31の他方の(非熱可塑性樹脂層32側の)面に形成された第1の接着剤層33が第1の紙片21および第2の紙片22に接着している。すなわち、仮接着フィルム3の折り重ね部3aにおいては、第1の紙片21の開放端部21aと第2の紙片22の開放端部22aとが支持体31を介して一体となり、密封(密閉)状態となっている。このため、開放端部21a、22aにおいては、仮接着フィルム3の熱可塑性樹脂層32が支持体31から剥がれることで、第1の紙片21と第2の紙片22との仮接着が解除されることがない。
【0017】
一方、仮接着フィルム3の折り重ね部3a以外においては、第1の紙片21と第2の紙片22との間に一枚(一層)の仮接着フィルム3が介在しており、熱可塑性樹脂層32が支持体31から剥がれることで第1の紙片21と第2の紙片22との仮接着が解除されるようになっている。また、折り重ね部3aの近傍の折り目2a側において、第1の紙片21と第2の紙片22とに同一線上の切り込み破線21b、22bが、折り重ね部3aに沿って形成されている。さらに、第2の紙片22の切り込み破線22bの一端部には、コーナーカット22c(切欠き)が形成されている。そして、第1の紙片21と第2の紙片22とを開くには、次のようにする。すなわち、図3に示すように、切り込み破線21b、22bに沿って重ね合わせ葉書1を折り曲げて、第2の紙片22を切り込み破線22bに沿って切断する。あるいは、切り込み破線21b、22bに沿って第1の紙片21と第2の紙片22とを切断する。続いて、コーナーカット22cの端をつまんで第2の紙片22を広げると、仮接着フィルム3の熱可塑性樹脂層32が支持体31から剥がれて、図4に示すように、第1の紙片21と第2の紙片22とが開くものである。なお、第1の紙片21と第2の紙片22との内面(仮接着フィルム3側の面)には、情報が印字されている。
【0018】
次に、このような構成の重ね合わせ葉書1の製造方法について説明する。図5は、本重ね合わせ葉書1の製造工程を示すフロー図であり、図6は、その製造装置10を示す概略構成図である。
【0019】
まず、葉書用紙2を製造装置10の送り台11上に供給する(ステップS1)。ここで、供給される葉書用紙2は、単用紙状の枚葉タイプあるいは連続的につながった連続タイプであるが、ここでは連続タイプの葉書用紙2について説明する。次に、連続フィルム状の仮接着フィルム3をその端部を折り曲げられながら、葉書用紙2の上に重なるように供給する(フィルム供給工程、ステップS2)。すなわち、フィルム供給部12によって、コイル状に巻かれた仮接着フィルム3を複数のガイドローラ12aを介して葉書用紙2(第1の紙片21)の上に案内するとともに、折り曲げローラや折り曲げ棒(図示せず)などによって、仮接着フィルム3の端部を折り曲げる。そして、折り曲げ部13によって、仮接着フィルム3を挟んだ状態で葉書用紙2を半分に折り曲げる(折り曲げ工程、ステップS3)。このフィルム供給工程と折り曲げ工程とは、タイムラグを少なくするために、同時進行的に行われる。すなわち、葉書用紙2を折り曲げながら(折り曲げる途中に)仮接着フィルム3を供給するようになっている。このステップS2とステップS3とによって、折り曲げられた葉書用紙2の間に端部が折り曲げられた仮接着フィルム3が介在された状態となる。次に、切断部14によって、葉書用紙2を単用紙状に切断する(ステップS4)。続いて、葉書用紙2をヒータ部15(加熱圧着部)に送り、ヒータ部15によって葉書用紙2を重ね合わせて仮接着する(接着工程、ステップS5)。すなわち、ヒータ部15には加熱された複数のヒートプレート15aを備え、このヒートプレート15a間に葉書用紙2を通過させることで、仮接着フィルム3の接着剤層33、34が葉書用紙2の紙片21、22に接着する。これにより、重ね合わされた葉書用紙2が仮接着フィルム3を介して仮接着され、重ね合わせ葉書1となる。その後、スタック部16において、重ね合わせ葉書1をスタックする(ステップS6)ものである。
【0020】
以上のような重ね合わせ葉書1によれば、情報の漏洩をより確実に防止することができる。すなわち、上記のように、仮接着フィルム3の折り重ね部3aにおいては、第1の紙片21の開放端部21aと第2の紙片22の開放端部22aとが密封状態となっており、第1の紙片21と第2の紙片22との仮接着が解除されることがない。そして、重ね合わせ葉書1を開けるには、上記のように、第2の紙片22を切り込み破線22bに沿って切断などして第2の紙片22を広げ、仮接着フィルム3の熱可塑性樹脂層32を支持体31から剥がす必要がある。このため、宛名をよく確認せずに間違って(とっさに)開けてしまうことなどをより確実に防止することができるものである。
【0021】
しかも、仮接着フィルム3の一端部を折り重ねて第1の紙片21と第2の紙片22との間に介在させるだけであるため、構造が極めて簡単である。すなわち、紙片21、22の幅よりも折り重ね代だけ大きい幅の仮接着フィルム3を使用し、その一端部を折り重ねて紙片21、22の間に介在させただけの構成である。このため、簡易かつ安価に重ね合わせ葉書1を作ることができる。
【0022】
また、上記のような重ね合わせ葉書1の製造方法によれば、重ね合わせ葉書1を容易に製造することが可能になる。すなわち、仮接着フィルムの端部が折り重なっていない従来の二つ折りの重ね合わせ葉書を製造する場合にも、一般に、仮接着フィルムを葉書用紙に重ねるように供給するフィルム供給工程と、仮接着フィルムを挟んだ状態で葉書用紙を折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げられた葉書用紙を重ね合わせて仮接着させる接着工程とを備えている。このため、従来の重ね合わせ葉書を製造する際のフィルム供給工程において、仮接着フィルムの端部を折り曲げる加工(作業)を加えだけで、本重ね合わせ葉書1を製造することが可能になる。この結果、例えば、従来の重ね合わせ葉書を製造する際に使用する製造装置に、仮接着フィルムの端部を折り曲げる加工手段を加えるだけで、重ね合わせ葉書1を製造することが可能になる。
【0023】
(実施の形態2)
図7は、この実施の形態に係わる二つ折りの重ね合わせ葉書100(重ね合わせ情報紙)の正面図である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、同一符号を付して説明する。この重ね合わせ葉書100は、葉書用紙2(情報用紙)を半分に折った第1の紙片21と第2の紙片22との間に仮接着フィルム101が介在され、この仮接着フィルム101を介して第1の紙片21と第2の紙片22とが剥離可能に重ね合わされている。
【0024】
仮接着フィルム101は、オープンフィルム102とクローズフィルム103とから構成されている。オープンフィルム102は、フィルム状の支持体31と、この支持体31の一方の面に形成された熱可塑性樹脂層32と、支持体31の他方の面に形成された第1の接着剤層33と、熱可塑性樹脂層32の非支持体31側の面に形成された第2の接着剤層34とから構成されている。また、クローズフィルム103は、フィルム状の支持体31と、この支持体31の両面に形成された接着剤層33、34とから構成されている。そして、重ね合わせた紙片21、22の間に、オープンフィルム102とクローズフィルム103とが同一平面状に介在されている。すなわち、葉書用紙2の折り目2aと対向する端部側にクローズフィルム103が配設され、その他の部分にオープンフィルム102が配設されている。
【0025】
紙片21、22の間にオープンフィルム102が介在している用紙部では、オープンフィルム102の熱可塑性樹脂層32が支持体31から剥がれることで、剥離可能となっている。一方、クローズフィルム103は剥離構造(熱可塑性樹脂層32)を有さない接着媒体であり、紙片21、22の開放端部21a、22aがクローズフィルム103を介して一体となり、密封(密閉)状態となっている。このような重ね合わせ葉書100を開けるには、実施の形態1の場合と同様に、第2の紙片22を切り込み破線22bに沿って切断などし、コーナーカット22cの端をつまんで第2の紙片22を広げ、オープンフィルム102の熱可塑性樹脂層32を支持体31から剥がすものである。
【0026】
このような構成の重ね合わせ葉書100によれば、実施の形態1の重ね合わせ葉書1と同様に、情報の漏洩をより確実に防止することができる。すなわち、第1の紙片21の開放端部21aと第2の紙片22の開放端部22aとがクローズフィルム103によって密封状態となっており、開放端部21a、22aから紙片21、22の仮接着が解除されることがない。そして、重ね合わせ葉書100を開けるには、第2の紙片22を切断などして第2の紙片22を広げ、オープンフィルム102の熱可塑性樹脂層32を支持体31から剥がす必要がある。このため、宛名をよく確認せずに間違って開けてしまうことなどをより確実に防止することができるものである。
【0027】
(実施の形態3)
図8は、この実施の形態に係わる二つ折りの重ね合わせ葉書110(重ね合わせ情報紙)の正面図である。この重ね合わせ葉書110は、クローズフィルム103の端部がオープンフィルム102と重ならないようにオープンフィルム102とクローズフィルム103とが重ねられた状態で、仮接着フィルム111が重ね合わせた紙片21、22の間に介在されている点で、実施の形態2の重ね合わせ葉書100と構成が異なる。そして、葉書用紙2の折り目2aと対向する端部側(開放端部21a、22a側)に、オープンフィルム102が重なっていないクローズフィルム103の端部が配設されている。
【0028】
紙片21、22の間にオープンフィルム102とクローズフィルム103とが重なって介在している用紙部では、オープンフィルム102の熱可塑性樹脂層32が支持体31から剥がれることで、剥離可能となっている。一方、オープンフィルム102が重なっていないクローズフィルム103の端部が介在している用紙部では、クローズフィルム103が剥離構造(熱可塑性樹脂層32)を有さない接着媒体であるため、紙片21、22の開放端部21a、22aがクローズフィルム103を介して一体となり、密封(密閉)状態となっている。このような重ね合わせ葉書110を開けるには、実施の形態1、2の場合と同様に、第2の紙片22を切り込み破線22bに沿って切断などし、コーナーカット22cの端をつまんで第2の紙片22を広げ、オープンフィルム102の熱可塑性樹脂層32を支持体31から剥がす必要がある。このように、本重ね合わせ葉書110によれば、実施の形態2の重ね合わせ葉書100と同様に、情報の漏洩をより確実に防止することができるものである。
【0029】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態1〜3に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1〜3では、上記のような材料で仮接着フィルム3、101、111を構成しているが、支持体31を、透明もしくは不透明な合成樹脂フィルム、紙とプラスチックとの複合体、染料及び/又は顔料で着色した光吸収性シートなどで構成し、熱可塑性樹脂層32を、アイオノマー樹脂、低分子量ポリオレフィン樹脂などで構成し、接着剤層33、34を、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂などで構成するようにしてもよい。さらに、支持体31と熱可塑性樹脂層32との間に別の層を設けてもよい。
【0030】
また、実施の形態1〜3では、重ね合わせ情報紙が二つ折りの重ね合わせ葉書1、100の場合について説明したが、三つ折りの重ね合わせ葉書や折り目のない合わせ葉書などにも適用でき、さらには、くじ紙片などの重ね合わせ情報紙にも適用できることは勿論である。そして、仮接着フィルム3の折り重ね部3aやクローズフィルム103の配設位置は、重ね合わせ情報紙の形状や折り曲げ方などに応じて決定すればよい。つまり、重ね合わせ情報紙が密封状態になるように配設すればよく、折り重ね部3aやクローズフィルム103を複数設けてもよい。また、切り込み破線21b、22bを設けずに、折り重ね部3aやクローズフィルム103が介在している用紙部をはさみなどで切断するようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
さらに、実施の形態2において、オープンフィルム102とクローズフィルム103とを近接させているが、重ね合わせ情報紙の形状や大きさ、あるいは取扱性などに応じて、隙間を設けるようにしてもよい。また、仮接着フィルム101や重ね合わせ葉書100の製造性などに応じて、オープンフィルム102とクローズフィルム103とを一体(1フィルム)にしてもよく、あるいは別体(2フィルム)にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる重ね合わせ葉書の平面図(a)と、正面図(b)と、底面図(c)である。
【図2】図1の正面図(b)の拡大図(一部切断)である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わる重ね合わせ葉書を開く状態を示す正面図(一部切断)である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わる重ね合わせ葉書を開いた状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わる重ね合わせ葉書の製造工程を示すフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わる重ね合わせ葉書の製造装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係わる重ね合わせ葉書の正面図(一部切断)である。
【図8】本発明の実施の形態3に係わる重ね合わせ葉書の正面図(一部切断)である。
【符号の説明】
【0033】
1 重ね合わせ葉書(重ね合わせ情報紙)
2 葉書用紙(情報用紙)
21 第1の紙片
21a 開放端部
21b 切り込み破線
22 第2の紙片
22a 開放端部
22b 切り込み破線
22c コーナーカット
3 仮接着フィルム
3a 折り重ね部
31 支持体
32 熱可塑性樹脂層
33 第1の接着剤層
34 第2の接着剤層
100 重ね合わせ葉書(重ね合わせ情報紙)
101 仮接着フィルム
102 オープンフィルム
103 クローズフィルム
110 重ね合わせ葉書(重ね合わせ情報紙)
111 仮接着フィルム
10 製造装置
11 送り台
12 フィルム供給部
13 折り曲げ部
14 切断部
15 ヒータ部
16 スタック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉書用紙やくじ用紙などの情報用紙を仮接着フィルムを介して剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ情報紙であって、
前記仮接着フィルムが、フィルム状の支持体と、この支持体の一方の面側に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層と、前記支持体の他方の面と前記熱可塑性樹脂層の非支持体側の面とに形成された接着剤層とを備え、
前記支持体が前記熱可塑性樹脂層よりも外側に位置するように前記仮接着フィルムの端部を折り重ねた状態で、この仮接着フィルムを重ね合わせた情報用紙の間に介在させたことを特徴とする重ね合わせ情報紙。
【請求項2】
葉書用紙やくじ用紙などの情報用紙を仮接着フィルムを介して剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ情報紙であって、
前記仮接着フィルムが、フィルム状の支持体と、この支持体の一方の面側に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層と、前記支持体の他方の面と前記熱可塑性樹脂層の非支持体側の面とに形成された接着剤層とを備えたオープンフィルムと、
フィルム状の支持体と、この支持体の両面に形成された接着剤層とを備えたクローズフィルムとから構成され、
重ね合わせた情報用紙の間に、前記オープンフィルムと前記クローズフィルムとを同一平面状に介在させたことを特徴とする重ね合わせ情報紙。
【請求項3】
葉書用紙やくじ用紙などの情報用紙を仮接着フィルムを介して剥離可能に重ね合わせた重ね合わせ情報紙であって、
前記仮接着フィルムが、フィルム状の支持体と、この支持体の一方の面側に形成され容易に剥離可能であるが自然剥離しない熱可塑性樹脂層と、前記支持体の他方の面と前記熱可塑性樹脂層の非支持体側の面とに形成された接着剤層とを備えたオープンフィルムと、
フィルム状の支持体と、この支持体の両面に形成された接着剤層とを備えたクローズフィルムとから構成され、
前記クローズフィルムの端部が前記オープンフィルムと重ならないように前記オープンフィルムと前記クローズフィルムとを重ねた状態で、前記仮接着フィルムを重ね合わせた情報用紙の間に介在させたことを特徴とする重ね合わせ情報紙。
【請求項4】
請求項1に記載の重ね合わせ情報紙の製造方法であって、
前記仮接着フィルムの端部を折り曲げながらこの仮接着フィルムを前記情報用紙に重ねるように供給するフィルム供給工程と、前記仮接着フィルムを挟んだ状態で前記情報用紙を折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げられた情報用紙を重ね合わせて仮接着させる接着工程と、を備えたことを特徴とする重ね合わせ情報紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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