説明

重合体を製造する方法

【課題】生体触媒(すなわち、細胞全体または細胞性材料の一部のいずれかである、微生物細胞の形態にある;これは、破裂細胞およびその内容物、ならびに懸濁培地、部分的に精製された酵素または精製された酵素の形態でもあり得る)および付随する発酵材料を単量体から除去するには、高価で、時間消費的になりかねない追加的な処理を必要とする。生物学的に生成された単量体を用いて、具体的に設計された特徴を示す重合体生成物を、より費用効果的に提供する。
【解決手段】該単量体が生体触媒反応または発酵工程から得られ、かつ該単量体が細胞性材料および/または発酵ブロスの成分を含み、該エチレン性不飽和単量体または該エチレン性不飽和単量体を含有する単量体混合物を重合させることによって該重合体を形成させ、ここで該細胞性材料および/または該発酵ブロスの成分を該エチレン性不飽和単量体から実質的に除去しない方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン性不飽和単量体の重合体を製造する方法に関する。特に、本発明は、エチレン性不飽和単量体を生体触媒を用いて製造する方法に関する。
【0002】
生体触媒、たとえば、酵素を含有する微生物を、化学反応を実施するのに用いること、または微生物を含まない酵素を用いることは、周知である。様々なエチレン性不飽和単量体を、生体触媒の使用によって、出発材料である基質を所望の単量体に転換することにより製造できることは、公知である。
【0003】
ニトリルヒドラターゼなる酵素は、ニトリルから対応するアミドへの直接的な水和を触媒することが知られている。代表的には、ニトリルヒドラターゼなる酵素は、様々な微生物、たとえばバシラス(Bacillus)、バクテリジウム(Bacteridium)、ミクロコッカス(Micrococcus)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、キサントバクター(Xanthobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、リゾビウム(Rhizobium)、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、アエロモナス(Aeromonas)、シトロバクター(Citrobacter)、アクロモバクター(Achromobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、シュードノカルディア(Pseudonocardia)、ロドコッカス(Rhodococcus)およびコマモナス(Comamonas)属の微生物によって合成することができる。
【0004】
微生物内でのニトリルヒドラターゼの合成に関連する、多くのことが記載されている。Arnaudら[Agric. Biol. Chem., 41: (11)2183-2191 (1977)]は、彼らが「アセトニトリラーゼ」と称する、ブレビバクテリウム属sp R312株からの、アセトニトリルをアミド中間体を経由してアセテートに分解する酵素の特徴性を記載している。浅野ら[Agric. Biol. Chem., 46: (5) 1183-1189 (1982)]は、アセトニトリルからアクリルアミドへの転換を触媒するニトリルヒドラターゼを産生する、シュードモナス・クロロラフィス(S. chlororaphis)B23株を単離して、400g/lのアクリルアミドを生成した。
【0005】
ロドコッカス・ロドクラウス種の様々な菌株は、ニトリルヒドラターゼなる酵素を非常に効果的に産生することが見出されている。欧州特許出願公開第0 307 926号公報(EP-0 307 926)は、ロドコッカス・ロドクラウスの具体的にはJ1株の、コバルトイオンを含有する培地での培養を記載している。ニトリルヒドラターゼは、ニトリルをアミドへと水和すること、特に3−シアノピリジンのニコチンアミドへの転換に用いることができる。一実施態様では、基質のニトリルが存在する微生物の培地中で、アミドを生成している。もう一つの実施態様では、基質のニトリルを培地に加えて、そこで、ニトリルヒドラターゼが蓄積されて、水和反応を実施する。微生物の細胞を単離し、たとえば固定化によって、適切な担体上に支持し、次いでそれを基質に接触させるとの記載もある。ロドコッカス・ロドクラウスJ1株は、アクリロニトリルからアクリルアミド単量体を製造するために商業的にも用いられ、この方法は、長澤および山田[Pure Appl. Chem., 67: 1241-1256 (1995)]が記載している。欧州特許出願公開第0362829号公報(EP-A-0362829)は、ロドコッカス・ロドクラウス種の細菌を培養する方法であって、ニトリルヒドラターゼ活性を有するロドコッカス・ロドクラウスの細胞を調製するために、尿素およびコバルトイオンの少なくとも一方を含む方法を記載している。具体的に記載されたのは、ロドコッカス・ロドクラウスJ1株である。
【0006】
Leonovaら[Appl. Biochem. Biotechnol., 88: 231-241 (2000)]は、「Nitrile Hydratase of Rhodococcus rhodochrous」と題して、ロドコッカス・ロドクラウスM8株の増殖およびニトリルヒドラターゼの合成を記載している。この菌株のNH合成は、この生物による増殖のための窒素源としても用いられる、培地中の尿素によって誘導される。コバルトも、高いニトリルヒドラターゼ活性に必要とされる。この文献の論文の主眼は、誘導および代謝効果にある。
【0007】
Leonovaら[Appl. Biochem. Biotechnol., 88: 231-241 (2000)]は、ロドコッカス・ロドクラウスM8株を用いて、アクリルアミドをロシア国で商業的に生産することも述べている。ロシア国特許第1731814号明細書は、ロドコッカス・ロドクラウスのM8株を記載している。
【0008】
尿素のような誘導物質なしにニトリルヒドラターゼを産生する、ロドコッカス・ロドクラウスM33株が、米国特許第5,827,699号公報(US-A-5827699)に記載されている。微生物のこの菌株は、ロドコッカス・ロドクラウスM8株の派生体である。
【0009】
特にアクリルアミド単量体の製造は、生体触媒の経路を通じるのが望ましい。山田および小林による「Nitrile Hydratase and its Application to Industrial Production of Acrylamide」と題する総説刊行物[Biosci. Biotech. Biochem., 60: (9) 1391-1400 (1966)]には、アクリルアミドまでの生体触媒経路の発展が詳しく説明されている。アクリルアミド生産のための3種類の連続する優れた触媒およびその特徴、特に第三世代の触媒であるロドコッカス・ロドクラウスJ1株が、かなり詳しく記載されている。
【0010】
ニトリラーゼなる酵素の作用によって、アクリル酸アンモニウムをアクリロニトリルから直接生産することも公知である。国際公開第9721827号公報(WO-A-9721827)は、(メタ)アクリロニトリルに対し500マイクロモル未満のKmと、(メタ)アクリル酸アンモニウムに対し100,000マイクロモルを上回るKiとを有するニトリラーゼ酵素を用いて、水の存在下で、(メタ)アクリロニトリルの酵素加水分解によって、(メタ)アクリロニトリルを実質的に含まない(メタ)アクリル酸アンモニウムの濃縮溶液を生産することを記載している。この酵素は、ロドコッカス・ロドクラウスなる微生物から得ることができる。
【0011】
長澤ら[Appl. Microbiol. Biotechnol., 34: 322-324 (1990)]は、アクリル酸およびメタクリル酸の合成にロドコッカス・ロドクラウスJ1株のニトリラーゼを用いることも記載している。彼らは、反応に対する温度、アクリロニトリル濃度、およびpH条件の効果に注目した。
【0012】
ニトリラーゼは、Bengis-GarberおよびGutmanがAppl. Microbiol. Biotechnol., 32: 11-16 (1989)に記載したように、ジニトリルの選択的加水分解を触媒するのにも用いられている。彼らの生物であるロドコッカス・ロドクラウスNCIMB 11216株は、特にフマロニトリルを3−シアノアクリル酸に選択的に転換するのに用いられた。
【0013】
ニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼの併用は、カルボン酸の対応するニトリルからの形成にしばしば記載されている。たとえば、米国特許第2003/0148480号明細書(US-A-2003/0148480)は、アクリル酸およびメタクリル酸を形成するためにコマモナス・テストステローニ(C. testosteroni)5−MGAM−4D株のニトリルヒドラターゼおよびアミダーゼを用いて、高い収率および特異性を得たことを記載している。
【0014】
単量体の成功裡の重合に不都合に影響しかねない、不純物による単量体の汚染を避けるために、生体触媒の細胞を増殖培地から除去してから、バイオマスを用いて単量体を製造することは、標準的な実施である。
【0015】
たとえ少量の不純物でさえ、多少とも、単量体の重合に影響するか、または発生する重合を妨げることがあるということは、一般的に容認されている。たとえば、重合に用いられる開始系は少量で用いられ、そのため、それを不活性化するにはほんの少量の不純物を必要とするにすぎず、重合を停止または一時停止することになる。そのような不純物は、重合体に対する分岐、架橋結合、連鎖停止その他の効果を招き得る。少量の特異的物質を意図的に導入して、重合の際に連鎖移動、分岐または架橋結合を誘導することは公知であるが、これらの物質は、特定の分子構造を生じさせるために、さもなければ実質的に純粋な単量体に、制御された方式で導入される。重合手法における最近の発達は、本質的に純粋な単量体から出発し、痕跡量の化学的添加物を導入して、極めて高い分子量を示す重合体、または特定の分子構造を有する重合体を形成することを可能にしている。その結果、特定の用途、たとえば、懸濁された固体を脱水して改良されたケーキ性固体を与えること、または製紙の分野で保水、排水および形成の改良された組合せに特に適した特性を示す重合体を与えることが可能である。
【0016】
生体触媒の存在下で、エチレン性不飽和単量体を重合させることは、公知である。たとえば、遊離アクリルアミドのレベルが低下したポリアクリルアミドを、単量体混合物にアミダーゼなる酵素を導入してから重合することによって製造できることは、国際公開第92/05205号公報(WO-A-92/05205)から公知である。この方法では、アミダーゼを含有する微生物細胞を、発酵ブロスから分離する。アミダーゼなる生体触媒は、単量体を形成する生体触媒工程には含まれずに、分離工程で加えられる。形成された重合体中の残留レベルのアクリルアミドが除去されるよう、アミダーゼの懸濁液は、比較的少量で用いられた。この重合法は、比較的高レベルの開始剤を用い、土質安定化に用いられる低分子量の重合体が形成された。
【0017】
国際公開第97/06248号公報(WO-A-97/06248)は、アミドまたはニトリルのいずれかを包含する炭素源を用いた炭素制限下での連続培養を用いて、それぞれ、高い安定性のアミダーゼまたはニトリラーゼを生成する方法を記載している。この方法によって製造されたアミダーゼは、(メタ)アクリルアミドを(メタ)アクリル酸アンモニウムへと転換するのに効果的であり、たとえば、アクリルアミドの重合中または重合後に加えることができる。そのため、アクリル酸アンモニウムの単量体を形成するためには、アミダーゼを(メタ)アクリルアミドなる単量体と組み合わせるか、または重合体中に残留する遊離(メタ)アクリルアミドを(メタ)アクリル酸アンモニウムに転換するためには、アミダーゼをポリ(メタ)アクリルアミドと組み合わせる。アミダーゼ酵素および/または微生物を、アクリルアミドを含有する重合性混合物中で組み合わせ、次いで、重合させて重合体を形成し、残留(メタ)アクリルアミド含量を低下させることも開示される。この方法では、アミダーゼなる生体触媒は、重合させようとする単量体を形成せずに、分離工程で加えられる。
【0018】
まさにそれらの性質上、不純物は、可変的要因になり、予測されない、かつ通常は望ましくない影響を重合体に与える傾向がある。たとえ少量でもそのような不純物は、重合体の分子構造に不都合に影響することがあり、そのような状況では、生成物の重合体を意図した用途に適さなくさせてしまう。
【0019】
そのため、目的とされた重合体の分子構造および特性に対する変化を防止するために、重合させようとする単量体中の汚染物質の存在を回避するのは、標準的な実施である。これは、単量体を製造するのに合成触媒を用いたか、または生体触媒を用いたかを問わずに該当する。しかし、単量体の生物学的製造は、細胞性材料および発酵ブロスからの汚染物質の増大する危険性を提示する。
【0020】
通常回避しなければならない汚染物質として、糖、アミノ酸、金属塩、および多糖類、タンパク質、ならびにその他の、バイオマスを生成するために用いられた培地からか、または消費された培地として存在するか、あるいは増殖中の細胞からの代謝物もしくは細胞性材料自体の存在、または細胞の溶解および分解から生じた分解生成物として存在する有機生成物が挙げられる。
【0021】
国際公開第02/088372号公報(WO-A-02/088372)は、生体触媒を用いてアクリルアミド水溶液を生成するための方法および装置を記載している。この方法は、生体触媒を生成物のアクリルアミドから除去するための分離方法を伴う。この方法は、場合により生体触媒を除去するための凝集を併用する、遠心分離の使用を伴う。生体触媒は、水洗して、残留単量体を除去し、次いで、その水を次の生体転換反応に用いる。
【0022】
Maestracciら[Adv. Biochem. Eng. Biotechnol., 36: 69-115 (1988)]は、ブレビバクテリウム属sp R312株を用いて、α−アミノニトリルを、その対応するアミノ酸に転換することを記載している。生成物は、遠心分離、次いで晶出による細胞の除去を包含する、周知の手法によって分離された。
【0023】
長澤ら[Appl. Microbiol. Biotechnol., 34: 322-324 (1990)]は、ロドコッカス・ロドクラウスJ1株のニトリラーゼを用いたアクリル酸およびメタクリル酸の生成に関心を寄せている。反応は、アクリロニトリルを導入した緩衝液中でJ1の細胞全体を用いた。この論文は、39%のアクリル酸を達成したと報告している。反応混合物を遠心分離して細胞を除去し、ジエチルエーテルを用いてアクリル酸およびメタクリル酸を反応混合物から単離した。
【0024】
しかし、生体触媒(すなわち、細胞全体または細胞性材料の一部のいずれかである、微生物細胞の形態にある;これは、破裂細胞およびその内容物、ならびに懸濁培地、部分的に精製された酵素または精製された酵素の形態でもあり得る)および付随する発酵材料を単量体から除去するには、高価で、時間消費的になりかねない追加的な処理を必要とする。その結果、生物学的に生成された単量体を用いて、具体的に設計された特徴を示す重合体生成物を、より費用効果的に提供することが望ましい。
【0025】
本発明によれば、エチレン性不飽和単量体の重合体を製造する方法であって、該単量体が生体触媒工程または発酵工程から得られ、かつ該単量体が細胞性材料および/または発酵ブロスの成分を含み、該エチレン性不飽和単量体または該エチレン性不飽和単量体を含有する単量体混合物を重合させることによって該重合体を形成させ、ここで該細胞性材料および/または該発酵ブロスの成分を該エチレン性不飽和単量体から実質的に除去しない方法を提供する。
【0026】
望ましくは、エチレン性不飽和単量体は、該エチレン性不飽和単量体に転換できる適切な基質を生体触媒で転換することによって製造することができる。代表的には、基質を生体触媒に接触させて、それによって基質を細胞性材料および場合により発酵の成分を含むエチレン性不飽和単量体へと転換する。あるいは、エチレン性不飽和単量体を、発酵工程の生成物として生産することもできる。生体触媒は、望ましくは、微生物を含み、その工程を微生物の細胞の内外で実施することができる。その工程を細胞内で実施する場合、この工程は、単一の細胞内酵素(それが生体触媒工程を実施する)の形態であってもよく、またはその工程が微生物の代謝経路の一部を形成してもよく、かくして、いくつかの生体触媒工程を巻き込んで、エチレン性不飽和単量体を生成し得る。
【0027】
具体的に設計された特徴および特性を有する重合体を、生体触媒または発酵ブロスのいずれを除去する必要もなく製造するのが可能であることが見出された。生体触媒とは、生体触媒活性を有する、微生物の細胞全体;微生物細胞の一部;懸濁液中で破裂させた細胞およびその内容物などの微生物細胞の材料;部分的に精製された酵素、および精製された酵素;発酵培地中の微生物の細胞全体もしくは細胞の一部または酵素;あるいは水、または生理学的に適合する懸濁培地などの別の適切な懸濁培地中のそれを意味する。以下、用語「生体触媒」は、本明細書に記載されたような微生物の細胞および細胞性材料、ならびに酵素と、該酵素とともに存在する生体触媒活性を許すのに必要とされるか否かが不確かである付随する細胞性材料とを構成することが知られているその他の任意の形態の生体触媒も意味する。更に、該方法は、エチレン性不飽和単量体を生体触媒を用いて生成するのを可能にし、これにより、望ましくは、基質化合物の高い転換がもたらされて、基質化合物または副生物の非常に低い濃度を示しつつ単量体を高収率で形成させる。一般的には、生体触媒または発酵ブロスのいずれの存在も、重合および形成される最終重合体生成物に対して悪影響を有することになると予測されるであろう。しかし、これらの予測とは対照的に、生体触媒または発酵ブロスの存在下での単量体の重合は、所望される重合体をいかなる障害もなくもたらす。
【0028】
したがって、本発明によれば、生体触媒または発酵ブロスのいずれの除去も回避することが可能であることになる。したがって、発酵ブロスからの生体触媒の分離を回避することができる結果、単量体は生体触媒および発酵ブロスの双方の存在下で重合する。あるいは、生体触媒を、たとえば生産ライン内のフィルターによるかまたは遠心分離によるかまたは凝集によって、混合物から除去してもよく、その結果、単量体は、発酵ブロスの存在下で、しかし実質的に生体触媒の不在下で重合する。発酵ブロスのみを除去してから、生体触媒を用いて単量体を形成させ、単量体を生体触媒の存在下で重合させることも可能であり得る。しかし、生体触媒も発酵ブロスもいずれも、重合前に単量体から除去しないことが好適である。
【0029】
結果的に、該方法は、そうして適切な品質の単量体を製造して実際に商業的等級の重合体の製造に単量体を用いる前に、発酵ブロスから生体触媒を除去することが必要とされるような処理工程を回避することになる。更に、本方法は、好ましくは、重合の前に生体触媒を単量体から除去する工程を回避する。加えて、単量体は、たとえば、発酵の産物として生成することができ、このようにして生成された単量体は、重合前に発酵ブロスから単離する必要がない。
【0030】
結果的に、本発明の方法は、生体触媒:すなわち先に記載した微生物の細胞全体または破砕細胞の除去のための高価な分離機器(これは、触媒を発酵ブロスから除去するためまたは単量体生成物が製造された後に触媒を除去するために用い得る)の必要性を回避することができる。さらに、重合前に単量体を精製する必要もない。
【0031】
生体触媒は、基質を所望の単量体へと転換できた方がよい。一般的には、それは、問題の転換に適切な酵素を生成できる微生物である。好ましいのは、代謝経路の一部としてかまたはそれから離れて、イタコン酸、マレイン酸、および(メタ)アクリル酸、またはその塩および誘導体の生成を触媒するのに役立つ酵素を与えるものを包含する微生物である。たとえば、これは、非常に多くの微生物の属から選ばれる微生物であることができる。これらは、バシラス、バクテリジウム、ミクロコッカス、ブレビバクテリウム、コリネバクテリウム、シュードモナス、アシネトバクター、キサントバクター、ストレプトマイセス、リゾビウム、クレブシエラ、エンテロバクター、エルウィニア、アエロモナス、シトロバクター、アクロモバクター、アグロバクテリウム、シュードノカルディア、ロドコッカス、コマモナス、サッカロマイセス(Saccharomyces)、ジエチア(Dietzia)、クロストリジウム(Clostridium)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、大腸菌(Escherichia)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、メチロフィラス(Methylophilus)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、アクチノバシラス(Actinobacillus)、メガスフェラ(Megasphaera)、アスペルギルス(Aspergillus)、カンジダ(Candida)およびフザリウム(Fusarium)属から選ばれる微生物を非限定的に包含することができる。加えて、基質化合物の乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸およびグリセリンに触媒作用を及ぼすことによって単量体を生成し、次いで、これらを更なる工程で反応させてエチレン性不飽和単量体を得るような微生物も、用いることができよう。その他の好適な微生物は、ニトリルを対応するアミドまたはカルボン酸に転換する酵素を産生することができるものを包含する。やはり好ましいのは、(メタ)アクリロニトリルを(メタ)アクリラートに転換するのに適切なニトリラーゼを産生できる微生物、たとえばロドコッカス属のものである。特に好適な微生物は、(メタ)アクリロニトリルを(メタ)アクリルアミドに転換するのに適切なニトリルヒドラターゼを産生することができるもの、たとえば、ロドコッカス属のもの、特にロドコッカス・ロドクラウス種である。特に適切な生体触媒は、新規なロドコッカス・ロドクラウスNCIMB41164株であって、これは2003年12月2日付で同時出願されたBT/3−22351/P2なる事例参照番号を割り当てられた英国特許出願公開第0327907.2号公報に記載かつクレームされている。
【0032】
ロドコッカス・ロドクラウスNCIMB41164株
1.起源および寄託
本株は、英国Bradfordの土壌から単離され、2003年3月5日にNational Collection of Industrial and Marine Bacteria(NCIMB)に寄託され、ブダペスト条約の下に登録番号第NCIMB41164号が指定された。
2.形態学的および培養的特徴性
(1)多型増殖
(2)運動性:不動性
(3)非胞子形成種
(4)グラム陽性
(5)好気性
(6)栄養寒天上での増殖は、30℃で48時間以内にサーモンピンク色の円形コロニーを与える。
【0033】
生体触媒は、細胞全体もしくは破砕細胞またはその一部(半精製および精製酵素標品など)の形態をなす細胞性材料を包含し、および場合により発酵ブロスを包含する。細胞性材料には、たとえば細胞壁材料、細胞核酸材料(たとえばDNAまたはRNA)、細胞質またはタンパク質などの微生物細胞の任意の構成要素が挙げられる。一般に、単量体中に存在する細胞性材料の量は、少なくとも0.001重量%、通常は少なくとも0.005重量%である。
【0034】
発酵ブロスは、微生物を培養するのに用いられる代表的な成分のいずれを含んでもよく、微生物が産生した生成物および副生物も含んでいてもよい。発酵ブロスの代表的な成分には、糖類、多糖類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、窒素源、無機塩類、ビタミン、成長調節物質、酵素誘導物質が挙げられる。具体的には、これには、糖類として単糖類または二糖類;アンモニウム塩その他の窒素源;リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などの無機塩類;金属化合物;ビタミン;および複合発酵培地の成分、たとえばトウモロコシ浸出液;ペプトン;酵母エキス;特定の微生物の増殖必要条件のために用い得る有機または無機化合物;特異的な酵素誘導物質;ならびにクエン酸またはピルビン酸などの有機酸;ならびに特定の微生物の成功裡の増殖を確保するのに必要とされ得る他の任意の有機または無機化合物が挙げられる。
【0035】
エチレン性不飽和単量体は、出発材料または特定の物質(基質と呼ばれる)から生物学的に製造することができる任意の物質であってもよい。望ましくは、該単量体として、エチレン性不飽和のアミド、N−置換アミド、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸エステル、遊離アミン、第一級、第二級、第三級アミンおよび第四級アンモニウム化合物などのアミンが挙げられる。好ましくは、該単量体はアクリル性である。やはり好ましくは、エチレン性不飽和単量体は水溶性である。水溶性とは、単量体が25℃で100mlあたり少なくとも5gの溶解度を有することを意味する。より好ましくは、エチレン性不飽和単量体はアクリルアミドまたはメタクリルアミドである。その他の好適な単量体には、イタコン酸(またはその塩)、マレイン酸(またはその塩)、および(メタ)アクリル酸(またはその塩および誘導体)が挙げられる。
【0036】
エチレン性不飽和単量体は、この方法に単独で用いられて単独重合体を形成することができるか、またはその他のエチレン性不飽和単量体と混合されて単量体混合物を形成し重合させられてエチレン性不飽和単量体の共重合体を形成することができる。このためには適切ないかなる共単量体を用いてもよい。特に、エチレン性不飽和単量体が水溶性である場合、共単量体は、望ましくは、水溶性であるかまたは潜在的に水溶性のもの、たとえば無水物でなければならない。代表的な共単量体には、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸(または塩)、イタコン酸(または塩)、マレイン酸(または塩)、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸(または塩)、アリルスルホン酸(または塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(または塩)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート(または第四級アンモニウム塩)、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(または第四級アンモニウム塩)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、C1〜C30アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記の酸である単量体の塩は、適切な任意の陽イオンのものであってもよいが、好ましくはアルカリ金属またはアンモニウム塩である。
【0037】
本発明の方法は、高分子量の水溶性または水膨潤性重合体を製造するのに特に適切である。該重合体は、たとえば、直鎖状もしくは分枝鎖状であるか、または架橋結合されていることができる。好ましくは、該重合体は、高分子量で実質的に水溶性であって、(25℃の1M塩化ナトリウム中の懸垂準位粘度計を用いて測定して)少なくとも3dl/gの固有粘度(IV)を示す。通常、該重合体は、少なくとも4dl/g、一般的にはそれより有意に高い、たとえば少なくとも7または8dl/gの固有粘度を有することになる。多くの場合、該重合体は、少なくとも10または12dl/gのIVを有し、20または30dl/gのように高いことも可能であろう。
【0038】
本発明の方法に従って製造された水溶性または水膨潤性重合体は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性または両性であり得る。それは、実質的に直鎖状であるか、あるいは側鎖または架橋結合を有してもよい。架橋結合または側鎖を有する重合体は、単量体混合物に側鎖形成剤または架橋結合剤を取り込ませることによって製造される。架橋結合剤または側鎖形成剤は、たとえば重合体鎖から懸垂する官能基と反応する二官能性または多官能性材料、たとえば懸垂カルボキシル基と反応することができる多価金属イオンまたはアミン化合物であり得る。しかし、好ましくは、架橋結合剤または側鎖形成剤は、ポリエチレン性不飽和化合物であって、二本以上の重合体鎖へと重合させることになる。代表的には、そのような架橋結合剤には、メチレンビスアクリルアミド、テトラアリルアンモニウムクロリド、トリアリルアミンおよびポリエチレングリコールジアクリラートが挙げられる。該重合体は、高度に架橋結合されて、そのために水に不溶であるが水膨潤性であってもよい。あるいは、該重合体は、水溶性であり、実質的に直鎖状であるかまたは僅かに分枝鎖状であるかのいずれかであり、たとえば、10ppm未満の架橋結合性/側鎖形成性単量体を用いて製造され得る。
【0039】
本発明の方法によって製造される、特に好適な重合体には、アクリルアミドまたはメタクリルアミドの単独重合体または共重合体が挙げられる。望ましくは、該共重合体は、上記共単量体のいずれかを含むが、好ましくは、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとの共重合体、またはアクリルアミドと第四級アンモニウムおよびジメチルアミノエチル(メタ)アクリラートの酸塩との共重合体である。特に好適なアクリルアミドの単独重合体または共重合体は、高分子量のものであり、上記に定義されたとおりの高い固有粘度を示す。
【0040】
重合体は、一般的には、エチレン性不飽和単量体、またはエチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物を、重合性条件に付すことによって形成される。これは、加熱または照射によって、たとえば紫外光を用いて達成し得る。好ましくは、重合開始剤を単量体または単量体混合物に導入して重合を開始させる。望ましくは、これは、酸化還元開始剤および/または熱開始剤を用いることによって達成し得る。代表的には、酸化還元開始剤は、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄などの還元剤、および過硫酸アンモニウムまたは適切なペルオキシ化合物、たとえばtert−ブチルヒドロペルオキシド等の酸化性化合物を包含する。酸化還元開始は、(単量体の重量を基準にして)10,000ppm以下の酸化還元対の各成分を用い得る。好ましくは、酸化還元対の各成分は、1,000ppm未満であることが多いが、代表的には1〜100ppmの範囲内、通常は4〜50ppmの範囲内である。還元剤の酸化剤に対する比率は、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5の範囲内、より好ましくは2:1〜1:2、たとえばおよそ1:1であってもよい。
【0041】
重合は、熱開始剤を単独でか、または他の開始剤系、たとえば酸化還元開始剤と組み合わせて用いることによって実施してもよい。熱開始剤には、高い温度でラジカルを遊離する適切な任意の開始剤、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AZDN)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(ACVA)などのアゾ化合物が挙げられる。代表的には、熱開始剤は、単量体の重量を基準にして、10,000ppm以下の量で用いる。しかし、ほとんどの場合、熱開始剤は、100〜5,000ppm、好ましくは200〜2,000ppmの範囲内、通常はおよそ1,000ppmで用いる。
【0042】
代表的には、水溶性単量体の水溶液を、溶液重合によって重合させて水性ゲルを得るか、または単量体の水溶液を水不混和性液体に懸濁させて重合させ、重合体ビーズを形成させる逆相重合によって重合させるか、あるいは、水性単量体を有機液体中に乳濁させ、次いで重合を実施することによって重合させてもよい。逆相重合の例は、欧州特許出願公開第150933号(EP-A-150933)、第102760号(EP-A-102760)または第126528号公報(EP-A-126528)に示されている。
【0043】
本発明の更なる態様では、エチレン性不飽和単量体を、場合により他の単量体と混合させて、生体触媒によって生成し、次いでイン・シトゥー(in situ)で重合させて重合体を形成することができる。その結果、同じ容器内で、エチレン性不飽和単量体を生成し、次いで重合させ得る。したがって、エチレン性不飽和単量体は、一つの容器内で基質から生成され、場合により、その他の単量体を該容器内に導入して単量体混合物を形成させる。次いで、エチレン性不飽和単量体または単量体混合物を、場合により開始剤を容器に導入することによって、重合条件に付し、それによって、該容器の内部に重合体を形成させる。更に、該方法は、生体触媒を同じ容器内に生成させて、基質を該容器に導入して、次いでエチレン性不飽和単量体に転換し、次いで同じ容器内で重合させて、上記に定義されたとおりの重合体を形成させることによって、より好都合に適合させることができる。
【0044】
このように、本発明の方法は、触媒のブロスから、細胞、細胞性材料、もしくはタンパク質性材料を除去するか、または単量体から不純物もしくは細胞性材料を除去する必要性を回避するという利点を与える。加えて、この方法によって製造される生成物は、新規な組成物である。
【0045】
以下の実施例は、本発明を例示する。
【0046】
実施例1
(1)シュードモナス・フロレセンス(P. florescens)、サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae)およびアスペルギルス・テレウス(A. tereus)を、30℃の栄養ブロス中で、後期指数増殖期に到達するまで培養した。得られた培養ブロスを遠心分離して、バイオマスを除去し、上清を残した。
(2)25%アクリルアミド溶液を調製した。この溶液に、10ppmの次亜リン酸ナトリウムおよび1,000ppmの過酸化水素tert−ブチルの溶液を加えた。酢酸を用いて、pHを4.0に調整した。溶液を脱気し、1,000ppmの硫酸アンモニウム第一鉄を加え、その後、重合体を形成させた。
(3)(2)の手順を、(1)に記載した生物の培養体からの上清を用いて繰り返して、水ではなくアクリルアミド溶液を形成させた。得られた溶液重合体の分子量を測定し、水を用いてアクリルアミド溶液を形成するよう調製しておいた重合体と比較した。結果を表1に示す。重合体の分子量は、すべて、実質的に同じであった。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例2
(1)ロドコッカス・ロドクラウスNCIMB41164株を、下記の成分(g/l):リン酸水素二カリウム0.7;リン酸水素カリウム0.3;グルコース1.0;尿素5.0;酵母エキス3.0;硫酸マグネシウム七水和物0.5;塩化コバルト六水和物0.01を含有する培地180lを有する280l入り発酵槽内で増殖させた。培地のpHを、pH7.2に調整した。培養体を、30℃で3日間成長させた。グルコースも、定期的に培養体に仕込んだ。
【0049】
発酵ブロスのニトリルヒドラターゼ活性を、採集15時間後に測定し、25℃で242,000U/gである(700,000U/l)ことが見出された。
(2)(1)からの発酵ブロス15lを、プロセス水35lと混合し、次いでこの懸濁液を、水250kgを有する600l入り反応器に充填した。アクリロニトリルを、46.8%のアクリルアミドの濃度が達成されるまで、数時間にわたって反応器に仕込んだ。アクリルアミド溶液25kgを遠心分離して、生体触媒を除去した。アクリルアミド25kgは、遠心分離して生体触媒を除去しなかった。
(3)(2)からの遠心分離したアクリルアミドのサンプル、および遠心分離しなかったアクリルアミドのサンプルを、酸化還元および熱開始剤を用いて、単独重合体として重合させて、約17dl/gのIVを有するゲル重合体を得た。cPでの粘度も測定し、遠心分離および非遠心分離アクリルアミドの双方を用いて製造したサンプルには差がなかった。この重合体の粘度測定の結果(cP)を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
(4)(3)で製造した重合体を、16〜28mg/lの用量で、pH2の4%陶土を基質として用いて、凝集剤として試験した。沈降速度を表3に示す。標準的なアクリルアミドサンプルに関する仕様と比較したとき、重合体の性能には、差が観察されなかった。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例3
20重量%以下の微生物ロドコッカス・ロドクラウスNCIMB41164株の発酵ブロスを含有する30重量%のアクリルアミド溶液を調製した。発酵ブロスを加えたアクリルアミドを、酸化還元および熱開始剤を用いて単独重合体として重合させて、約17dl/gのIVを有するゲル重合体を形成させた。重合体溶液のそれぞれについての一点固有粘度による粘度測定の結果を表4に示す。粘度の結果は、すべて、この重合体に対する仕様セットの範囲内であった。
【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和単量体の重合体を製造する方法であって、該単量体が生体触媒反応または発酵工程から得られ、かつ該単量体が細胞性材料および/または発酵ブロスの成分を含み、該エチレン性不飽和単量体または該エチレン性不飽和単量体を含有する単量体混合物を重合させることによって該重合体を形成させ、ここで該細胞性材料および/または該発酵ブロスの成分を該エチレン性不飽和単量体から実質的に除去しない方法。
【請求項2】
エチレン性不飽和単量体に転換することができる基質を供給すること、該基質を生体触媒(この生体触媒は微生物または細胞性材料を含む)に接触させ、それによって該基質を、細胞性材料および場合により発酵の成分を含有するエチレン性不飽和単量体に転換することによって、エチレン性不飽和単量体を製造し、そしてこの工程を細胞の内部または外部で実施し、それを細胞の内部で実施する場合は、場合によりそれが微生物の代謝経路の一部を形成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
生体触媒が微生物を含み、工程が細胞内部で実施されかつ微生物の代謝過程の一部を形成する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
細胞性材料が細胞全体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
細胞性材料が、破砕された細胞性材料を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
破砕された細胞性材料が、細胞壁材料、細胞膜材料、細胞核材料、細胞質およびタンパク質からなる群から選ばれる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
発酵ブロスの成分が、糖類、多糖類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、窒素源、無機塩類(金属塩を包含する)、ビタミン、成長調節物質、酵素誘導物質、ならびに複合発酵培地成分、例えば、トウモロコシ浸出液および酵母エキスからなる群から選ばれる、請求項1〜6記載の方法。
【請求項8】
エチレン性不飽和単量体が(メタ)アクリルアミドの単量体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
基質が(メタ)アクリロニトリルである、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
生体触媒がニトリルヒドラターゼ酵素を含む、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
重合体が(メタ)アクリルアミドの単独重合体または共重合体である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
エチレン性不飽和単量体が、イタコン酸(またはその塩)、マレイン酸(またはその塩)および(メタ)アクリル酸(またはその塩もしくは誘導体)からなる群から選ばれる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
基質が、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸およびグリセリンからなる群から選ばれる、請求項2〜7または12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
基質を、容器に導入して生体触媒に接触させ、かつ該基質をエチレン性不飽和単量体へと転換して、場合によりその他の単量体を該容器に導入して、単量体混合物を形成させ、該エチレン性不飽和単量体または単量体混合物を、場合により開始剤を該容器に導入することによって、重合条件に付し、それによって該容器内に重合体を形成させる、請求項2〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
生体触媒を容器内で生成させる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
生体触媒が、ロドコッカス属の微生物、好ましくはロドコッカス・ロドクラウス種を含む、請求項2〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
微生物がロドコッカス・ロドクラウスNCIMB41164である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
エチレン性不飽和単量体の重合体を含み、更に細胞性材料および/または発酵ブロスの成分を含む組成物であって、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法によって得られる組成物。

【公開番号】特開2012−50445(P2012−50445A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−212434(P2011−212434)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【分割の表示】特願2006−541836(P2006−541836)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(592006855)チバ スペシャルティ ケミカルズ ウォーター トリートメント リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Water Treatments Limited
【Fターム(参考)】