説明

重合体化合物

【課題】色素や染料の劣化および退色防止剤として有用な新規な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物を提供する。
【解決手段】ベンゼン環にスルホン結合を介して2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体を持つスチレン系モノマー単位、及び更にイミダゾール、ピラゾール又はピリジン環に2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体を有するモノマー単位を含有する重合体化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物に関し、更に詳細には色素固定要素やハロゲン化銀写真感光材料の抗酸化剤として有用な、新規な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中の酸素が関与する酸化反応によって、染料、色素または高分子物質(例えばゴム、プラスチック等)が劣化することは良く知られており、種々の劣化防止剤が開発されてきた。これらの抗酸化剤としては、フェノール類、ヒドロキノン類等、種々の化合物が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの従来の劣化防止剤は、色素、染料、合成高分子等の劣化防止剤として性能の満足しうるものではなく、新たな抗酸化剤の開発が望まれていた。一方、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体構造を含有するポリマー化合物としては、例えば特公昭58−45696に記載の化合物があげられる。しかし、この特許に開示されている化合物は、その安定性、劣化防止効果等に懸念が持たれ、改良が望まれていた。本発明の目的は、新規な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物を提供することにある。本発明の他の目的は、劣化防止剤として有用な新規な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物を提供することにある。本発明の他の目的は、色素や染料の劣化および退色防止剤として新規な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、種々検討した結果、下記一般式(B)で表される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位、または更に一般式(A)で表される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体結合モノマー単位を含有する重合体化合物を見出し、それが優れた劣化防止作用を示すことを見出した。
【0005】
【化1】

【0006】
式中、R11及びR21は水素原子、オキシラジカル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、またはアシル基、R12及びR22は水素原子、またはアルキル基を表す。Y1及びY2は←CONR4−、←COO−または←CH(OH)CH2O−を表し、X- は塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン及び水酸イオンを表し、Zは窒素原子と共にイミダゾール、ピラゾール、またはピリジンを形成するに必要な原子団を表す。R13及びR23は水素原子、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を表す。R4は水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。ここで←はポリマー主鎖側の結合手を表す。
【発明の効果】
【0007】
新規な抗酸化剤として有用な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体含有重合体化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一般式(B)及び(A)についてさらに詳細に説明する。
式中、R11及びR21について説明する。アルキル基としては、好ましくは炭素数1から7の直鎖、分岐鎖または環状であってもよく、さらにこれらは無置換であっても置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、ベンジル基、メトキシエトキシ基を表す。アルケニル基として、好ましくは炭素数1から7の直鎖、分岐鎖または環状であってもよく、さらにこれらは無置換であっても置換基を有していてもよく、例えばビニル基、アリル基を表す。アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1から8の直鎖、分岐鎖または環状であってもよく、さらにこれらは無置換であっても置換基を有していてもよく、例えばメトキシ基、ベンジルオキシ基、セカンダリーオクチルオキシ基を表す。アシル基としては、好ましくはアルキルカルボニル基(アルキル部位炭素数1から7)であっても、アルケニルカルボニル基(アルケニル部位炭素数2から7)であっても、アリールカルボ
ニル基(アリール部位炭素数6から8)であってもよく、さらに好ましくはアルキル部位が炭素数1から7の直鎖、分岐鎖または環状であってもよいアルキルカルボニル基であって、さらにこれらは無置換であっても置換基を有していてもよく、例えばアセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基を表す。R11とR21は本発明の効果の点で、水素原子、アルキル基、オキシラジカル基である場合が好ましく、水素原子、オキシラジカル基である場合が更に好ましく、オキシラジカル基である場合が最も好ましい。
12及びR22について説明する。アルキル基については、好ましくは炭素数1から7の直鎖、分岐鎖または環状であってもよく、さらにこれらは無置換であっても置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、メトキシエトキシ基を表す。R12及びR22は本発明の効果の点で、水素原子である場合が好ましい。Y1、Y2及びR4について説明する。R4のアルキル基は直鎖または分岐鎖であってもよく、さらにこれらは無置換であっても置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基を表す。R4は本発明の効果の点で、水素原子である場合が好ましい。Yは本発明の効果の点で←CONR4−及び←CH(OH)CH2O−である場合が好ましく、←CONH−である場合が更に好ましい。X- は本発明の効果の点で塩素イオン、臭素イオン及び水酸イオンである場合が好ましく、塩素イオンである場合が更に好ましい。
Zについて説明する。Zは窒素原子と共にイミダゾール、ピラゾール、またはピリジンを形成するに必要な原子団を表す。Zによって形成されるヘテロ環としては本発明の効果の点で芳香環である場合が好ましく、更に好ましくは環中に窒素原子を2個含む芳香環が好ましく、その場合ポリマー主鎖にはN+ ではないもう一方の窒素原子で結合している場合が好ましく、さらにイミダゾール環である場合が最も好ましい。
【0009】
13及びR23は本発明の効果の点で水素原子、メチル基、エチル基である場合が好ましく、水素原子、メチル基である場合が更に好ましく、水素原子である場合が最も好ましい。本明細書中における基が脂肪族部位を含む場合には、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖または環状で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルを表し、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。また、アリール部位を含む場合には、そのアリール部位は、単環であっても縮合環であっても良く、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、複素環部位を含む場合には、その複素環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。本発明の効果の点でR11が水素原子、オキシラジカル基、アルキル基であって、R12が水素原子であって、R13が水素原子であって、Y1が←CONH−及び←CH(OH)CH2O−であって、Zがイミダゾール環を形成する原子群であって、X-が塩素イオンである場合、R21が水素原子、オキシラジカル基、またはアルキル基であって、R22が水素原子であって、R23が水素原子であって、Y2が←CONH−である場合が好ましく、R11がオキシラジカル基であって、R12が水素原子であって、R13が水素原子であって、Y1が←CONH−及び←CH(OH)CH2O−であって、Zがイミダゾール環を形成する原子群であって、X- が塩素イオンである場合、およびR21がオキシラジカル基であって、R22が水素原子であって、R23が水素原子であって、Y2が←CONH−及び←CH(OH)CH2O−である場合がもっとも好ましい。
【0010】
本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、複素環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、複素環スルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、複素環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等をあげることができる。
【0011】
本発明の重合体化合物は、一般式(B)の単独重合体のみならず、一般式(A)及び一般式(B)のモノマー単位が共重合したものでもよく、更に以下に列挙するような他のモノマー単位が共重合した構造の重合体化合物でもよい。一般式(A)および/または一般式(B)のモノマー単位モル%は1〜50%が好ましく、1〜30%がより好ましい。その他のモノマー単位を0〜99モル%の割合で共重合させることができる。共重合されるモノマーとしては、具体的には以下のものが挙げられる。アクリル酸エステル類としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec −ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、ドコシルアクリレート、テトラコシルアクリレート、ヘキサコシルアクリレート、オクタコシルアクリレート、トリアコンチルアクリレート、ドトリア
【0012】
コンチルアクリレート、テトラトリアコンチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−iso −プロポキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(付加モル数n=9)、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0013】
メタクリル酸エステル類としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec −ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ドコシルメタクリレート、テトラコシルメタクリレート、ヘキサコシルメタクリレート、オクタコシルメタクリレート、トリアコンチルメタクリレート、ドトリアコンチルメタクリレート、テトラトリアコンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノ
【0014】
エチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジ
メチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−iso −プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(付加モル数n=6)、アリルメタクリレート、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、などが挙げられる。
【0015】
ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルなどが挙げられる。オレフィン類としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等を挙げられる。スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
【0016】
クロトン酸エステル類としては、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどが挙げられる。イタコン酸ジエステル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステル類としては、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0017】
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
【0018】
不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、CH2=CHCONHCH2CH2COOH、CH2=CHCOOCH2CH2COOH 、CH2=CHC6H4COOH(p) 、CH2=CCH3CONHCH2CH2CH2COOH 、CH2=CCH3COO-C6H4COOH(p)、CH2=CCH3CONHCH2CH2OCOC6H4COOH(p)、CH2=CHCOOCH2CH2OCOC6H4COOH(o) 、CH2=CCH3COOCH2CH2OCOC6H4COOH(o) 、CH2=CHCONHC6H4COOH(o) 、CH2=CHCOOCH2CH2OCOCH2CH2-COOH、CH2=CCH3CONHC6H4COOH(p) 、CH2=CCH3COOCH2CH2OCOCH2CH2COOH、α−クロルアク
リル酸が挙げられる。
【0019】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリルなどが挙げられる。ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。ビニルケトン類としては、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。ビニル異節環化合物としては、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0020】
グリシジルエステル類としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。多官能性モノマー類、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
【0021】
本発明の重合体化合物は、前記モノマー単位1種と共重合した構造のものでもよく、2種以上のモノマー単位と共重合した構造のものでもよい。共重合構造として好ましいものとしては、ビニル異節環化合物、ビニルエーテル類、スチレンスルホン酸、スチレンスルフィン酸、アクリルアミド類、メタクリルアミド類が挙げられ、更に好ましくは、ビニル異節環化合物、スチレンスルホン酸、スチレンスルフィン酸が挙げられ、ビニル異節環化合物、スチレンスルフィン酸である場合は最も好ましい。ビニル異節環化合物としては、Nービニルイミダゾール、Nービニルピロリドンである場合が好ましい。
本発明の効果の点で、本発明の重合体化合物は、一般式(B)または、及び一般式(A)で表されるモノマー単位だけではなく、他に1種以上のモノマー単位を含むものが好ましく、2種以上のモノマー単位を含む場合は、更に好ましい。最も好ましくは、モノマー単位として、Nービニルイミダゾール及び、またはNービニルピロリドン及び、またはスチレンスルフィン酸及び、またはスチレンスルホン酸と共重合した構造のものである。
【0022】
本発明の一般式(B)または、及び一般式(A)で表されるモノマー単位を含有する重合体化合物の分子量は、一般に1000から100万であり、好ましくは2000から75万、更に好ましくは3000から50万である。しかし、これらの値は、本発明の効果を得るための臨界的な値ではない。次に、本発明の具体的化合物を以下に示すが、これによって本発明の化合物が限定されるものではない。モノマー単位の割合はモル%を表す。
【0023】
【化2】

【0024】
【化3】

【0025】
【化4】

【0026】
本発明の一般式(B)または、及び一般式(A)を含有する重合体化合物は、この一般式(B)及び一般式(A)に相当するビニル化合物を合成、準備し、それ単独あるいは共重合される他のモノマー単位と共重合させて合成してもよいが、Zと窒素原子を含有し、
4級塩化が可能な相当するビニル異節環化合物を合成、準備し、あるいはスチレンスルフィン酸を準備し、それ単独あるいは共重合される他のモノマー単位と共重合させて重合体化合物を合成し、その重合体化合物にテトラメチルピペリジン誘導体を結合したアルキルハライドまたはエポキシ化合物を反応させることにより、容易に合成することができる。重合反応としては、溶液重合、分散重合、懸濁重合、乳化重合などの通常の重合法が使用される。テトラメチルピペリジン骨格の原料としては、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が市販されており容易に入手することができる。2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを含有する4級塩化剤は、これらの原料を用いアミド化反応、エステル化反応、酸化反応、アルキル化反応等を用いて合成することができる。
【0027】
本発明の重合体化合物は適当な希釈剤、溶剤、担体などと用いてもよいし、これらを単独で使用しても2種以上併用しても良い。また、公知の劣化防止剤、退色防止剤を併用することもでき、その場合、劣化防止効果が飛躍的に上がることがある。併用することもできる公知の劣化防止剤、退色防止剤としては、ハイドロキノン類、クロマン類、アルキルフェノール類、アルコキシフェノール類、アルコキシベンゼン類、アニリン類、インダン類等をあげることができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を持って本発明を詳細に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
合成例1
例示化合物(10)の合成
例示化合物(10)は以下のルートにより合成した。
【0029】
【化5】

【0030】
(c)41.3gに水80mlを加え溶解し、窒素気流下70℃で撹袢下に、重合開始剤1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)3gを水70mlに溶解し水溶液を60分間で滴下した。70℃で、さらに、4時間撹袢した後、水120mlを添加し、(10')の水溶液を得た。この水溶液を70℃に保ち、(d)12.4g(市販品)を添加し、70℃で3時間攪拌を行い、その後25℃まで冷却し、(10)の水溶液を得た。得られた水溶液を東洋紡エンジニアリング製透析膜スペクトロボア1分画分子量(6〜8KD)、流水により2昼夜透析を行い、その後約200gまで濃縮を行った。アセトン1000mlに注ぎ、析出した固体を濾過をし、アセトンでかけ洗いをし、(10)の薄橙色の粉末を48gを得た。収率89.4% 含水率8.6% 得られた化合物のIRスペクトルを図1に示す。
【0031】
実施例
まず、色素固定要素の作り方について述べる。蛍光増白剤とステイン防止剤の分散物の調整方法について述べる。蛍光増白剤(1)25g、ステイン防止剤(1)32g、アニオン界面活性剤(2)10gを、高沸点有機溶媒(1)690gおよび酢酸エチル250mlに溶解し、25%ゼラチン水溶液1200mlに加え、ホモジナイザーにて20分間、1250rpmにて分散した。これにさらに水300mlを加え攪拌し均一な分散物を得た。次にラテックス分散物の調整方法について述べる。ゼラチン20gおよび水溶性ポリマー(3)30gを水200mlに50℃にて溶解した後、40℃に降温し、ラテックス分散物(1)117gを添加攪拌した。溶解状態にて30μmフィルターにて濾過し、均一な分散物を得た。表1に示す構成の色素固定要素R101を作成した。
【0032】
水溶性ポリマー(1) スミカゲルL5−H(住友化学(株)製)
水溶性ポリマー(2) カッパーカラギナン(タイトー(株)製)
水溶性ポリマー(3) デキストラン(分子量7万)
ラッテクス分散物(1) NipolLX814(日本ゼオン(株)製)
マット剤(1) SYLOID79(富士デビィソン化学(株)製)
【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
また、第2層の媒染剤を表Aに示した媒染剤に変更した以外R101と同様にしてR106を作製した。媒染剤の添加量はR101に同じである。R107はR101の第2層に表Aの化合物を230mg/m2追加添加した試料である。上記色素固定要素を富士写真フィルム(株)よりPICTROSTAT200 PS DONOR PS−DSの名称で発売されている感光要素と組み合わせ、同じくPICTRO STAT200の名称で発売されているカラーコピーマシンを用いてテスト画像を得た。すなわち、フルカラーの原画をスリットを通して走査露光し、露光済みの感光要素を40℃に保温した水に2.5秒間浸した後、ローラーで絞り直ちに色素固定要素と膜面が接するように重ねあわせた。ついで吸水した膜面の温度が80℃となるように温度調節したヒートドラムを用い、17秒間加熱し、色素固定要素から感光要素を引き剥がすと、色素固定要素上に原画に対応した鮮明なカラー画像が得られた。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
このようにして色素像を形成した試料R101、R106、R107の各試料において、400nm以下の光をカットする富士写真フィルム株式会社製紫外線吸収フィルターをつけて、キセノンテスター(照度20万ルックス)で8日間曝射した。評価は、各試料のグレー中のシアン初濃度2.0における色素濃度残存率で行った。測定は、富士自記濃度計で行った。得られた結果を表Aに示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表Aからわかるように本発明の化合物は極めて優れた抗酸化性(退色防止効果)を有していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の化合物のIRスペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(B)で表されるモノマー単位を少なくとも含有する重合体化合物。
【化1】

式中、R21は水素原子、オキシラジカル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、またはアシル基、R22は水素原子、またはアルキル基を表す。
2は←CONR4−、←COO−または←CH(OH)CH2O−を表す。R4は水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。
23は水素原子、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を表す。
ここで←はポリマー主鎖側の結合手を表す。
【請求項2】
更に、下記一般式(A)で表されるモノマー単位を含有する請求項1に記載の重合体化合物。
【化2】

式中、R11は水素原子、オキシラジカル基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、またはアシル基、R12は水素原子、またはアルキル基を表す。
1は←CONR4−、←COO−または←CH(OH)CH2O−を表し、X- は塩素イ
オン、臭素イオン、沃素イオン及び水酸イオンを表し、Zは窒素原子と共にイミダゾール、ピラゾール、またはピリジンを形成するに必要な原子団を表す。
4は水素原子、または炭素数1から4のアルキル基を表す。
13は水素原子、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を表す。
ここで←はポリマー主鎖側の結合手を表す。

【図1】
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【公開番号】特開2008−24948(P2008−24948A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240904(P2007−240904)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【分割の表示】特願平11−66922の分割
【原出願日】平成11年3月12日(1999.3.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】