説明

重合体組成物及びそれを用いて得られる成形体

【課題】高耐熱性、低吸水性、低比重であり、且つ、耐衝撃性にも優れた成形体が得られる重合体組成物、及びそれを用いてなる成形体を提供すること。
【解決手段】a)比重が0.85以上1.0未満であり且つガラス転移温度が80℃以上であるβ−ピネン重合体と、b)芳香族ビニル重合体ブロックの10〜35質量%及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの65〜90質量%からなり、重量平均分子量が100000〜250000である芳香族ビニル系ブロック共重合体とを、該a)成分が60〜95質量部及び該b)成分が5〜40質量部の割合において、且つそれらa)成分とb)成分の合計量が100質量部となるように配合して、重合体組成物を調製した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体組成物及びそれを用いて得られる成形体に係り、特に、優れた透明性が要求される光学用フィルム、レンズシート、光学用基板材料、灯具用透明材料、拡散板、導光板等の光学用成形体や、建材用透明材料、更には、通信用、電気・電子機器用の絶縁成形体、医薬関連器材等を作製する際に有利に用いられ得る重合体組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分子内に脂環式骨格を有する炭化水素系重合体(脂環式炭化水素系重合体)は、比誘電率、透明性、耐熱寸法安定性、耐溶剤性、平坦性等に優れていることから、様々な工業部品材料として用いられている。そのような脂環式炭化水素系重合体は、従来より、石油由来の単量体を重合又は共重合せしめることにより、あるいは、それによって得られた重合体に対して水素を添加することにより、製造されている。例えば、特許文献1においては、環状オレフィンを開環メタセシス重合して、次いで水素添加を行うことによる、環状オレフィンの開環重合体水素化物の製造方法が提案されている。また、特許文献2及び特許文献3には、所定の触媒の存在下において、環状オレフィンと鎖状オレフィンとを共重合することによって得られる、脂環式炭化水素系重合体たるシクロオレフィンコポリマーが明らかにされている。
【0003】
また、脂環式炭化水素系重合体は、非晶性であり、透明性が高いことから、特にレンズ、フィルム状又はシート状の各種光学材料として、従来より広く用いられている。具体的には、特許文献4において、脂環式構造含有重合体にて構成された光学用フィルムが明示されている。
【0004】
一方、近年、循環型社会の形成や地球温暖化の防止等を目的として、カーボンニュートラルの観点から、植物由来のバイオマスの有効利用が注目されている。例えば、自然界に豊富に存在する天然バイオマスの一つとして、松脂や柑橘類の皮等に多く含まれているテルペン類があり、かかるテルペン類は、医薬品や香料の原料等として、広く用いられている。
【0005】
ここで、テルペン類の中には、脂環式ビニルモノマー構造を有するものがあり、古くから重合性があることが知られているところ、非特許文献1には、そのようなテルペン類の一種であるβ−ピネンのカチオン重合について記載されている。しかしながら、非特許文献1に記載の手法に従って得られるβ−ピネン重合体は、分子量が小さく、耐熱性や強度が十分なものではなかったため、かかるβ−ピネン重合体を用いても、安定な成形品等を得ることは困難であった。このように、非特許文献1に示されたβ−ピネン重合体は、成形品材料として用いることが困難なものであったため、工業的には樹脂添加剤や粘着付与樹脂等として用いられるに過ぎないものであった。
【0006】
また、非特許文献2には、β−ピネンをカチオン重合せしめる際に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジンを加えることにより、比較的大きな分子量を有するβ−ピネン重合体が得られたとの記載がなされているが、そこにおいて得られたβ−ピネン重合体のガラス転移温度は65℃であり、実用的に十分なものではなかった。
【0007】
そのような状況の下、本発明者等の一部は、先に、植物由来の脂環式テルペン類たるβ−ピネンを、2官能性ビニル化合物の存在下、ルイス酸触媒を用いてカチオン重合もしくはカチオン共重合することにより、従来は得ることが出来なかった大きな分子量を有する脂環式炭化水素系重合体(β−ピネン重合体)を製造し得ることを見出した(特許文献5、非特許文献3)。しかしながら、そこにおいて開示したβ−ピネン重合体にあっては、耐熱性、低吸水性、低比重等の優れた特性を有するものではあるものの、例えば、通信機器用、電気・電子機器用の成形体として用いる場合には、耐衝撃性が十分とは言い難いものであった。このため、透明性を始めとするβ−ピネン重合体が本来的に有する優れた特性を保持しつつ、耐衝撃性にも優れた成形体が得られる、β−ピネン重合体を含有する重合体組成物の開発が望まれているのである。
【0008】
【特許文献1】国際公開第00/73366号パンフレット
【特許文献2】特表2001−506293号公報
【特許文献3】特表2001−506689号公報
【特許文献4】国際公開第03/81299号パンフレット
【特許文献5】国際公開第08/44640号パンフレット
【非特許文献1】William J. Roberts and Allan R. Day、「A Study of the Polymerization of α- and β-Pinene with Friedel-Crafts Type Catalysts」、Journal of the American Chemical Society、1950年、第72巻、1226〜1230頁
【非特許文献2】B. Keszler, J. P. Kennedy、「Synthesis of High Moleculer Weight Poly(β-Pinene)」、Advances in Polymer Science、1992年、第100巻、1〜9頁
【非特許文献3】K. Satoh, H. Sugiyama and M. Kamigaito、「Biomass-derived heat-resistant alicyclic hydrocarbon polymers:poly(terpenes) and their hydrogenated derivatives」、Green Chemistry、2006年、第8巻、878〜882頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、高耐熱性、低吸水性、低比重であり、且つ、耐衝撃性にも優れた成形体が得られる重合体組成物を提供することにあり、また、そのような重合体組成物を用いてなる成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねたところ、所定のβ−ピネン重合体と所定の芳香族ビニル系ブロック共重合体とを含有する重合体組成物を用いてなる成形体にあっては、耐衝撃性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明は、a)比重が0.85以上1.0未満であり且つガラス転移温度が80℃以上であるβ−ピネン重合体と、b)芳香族ビニル重合体ブロックの10〜35質量%及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの65〜90質量%からなり、重量平均分子量が100000〜250000である芳香族ビニル系ブロック共重合体とを、該a)成分が60〜95質量部及び該b)成分が5〜40質量部の割合において、且つそれらa)成分とb)成分の合計量が100質量部となるように配合してなることを特徴とする重合体組成物を、その要旨とするものである。
【0012】
なお、そのような本発明に従う重合体組成物の好ましい態様の一つによれば、前記β−ピネン重合体が、水素添加せしめられたものであって、([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が95%以上である。
【0013】
また、本発明の重合体組成物における他の好ましい態様の一つにおいては、前記芳香族ビニル系ブロック重合体が、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜25質量%、及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの75〜90質量%からなるものである。
【0014】
さらに、本発明に係る重合体組成物は、望ましくは全光線透過率が80%以上のものである。
【0015】
一方、本発明は、上述せる如き重合体組成物を用いて得られる成形体をも、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明に従う重合体組成物にあっては、比重が0.85以上1.0未満であり且つガラス転移温度が80℃以上であるβ−ピネン重合体と、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜35質量%、及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの65〜90質量%からなり、重量平均分子量が100000〜250000である芳香族ビニル系ブロック共重合体とを、所定の割合において配合してなるものであるところから、本発明の重合体組成物を用いてなる成形体は、耐衝撃性が高く、例えば精密機器を衝撃から保護するハウジング等を製造する際に有利に用いられ得る。
【0017】
また、β−ピネン重合体として、水素添加せしめられたβ−ピネン重合体であって、([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が95%以上であるものを用いた本発明の重合体組成物においては、それを用いて形成された成形体が、耐衝撃性のみならず、耐光性や耐熱性の点においてもより優れたものとなる。
【0018】
さらに、芳香族ビニル系ブロック共重合体として、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜25質量%、及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの75〜90質量%からなるものを用いた本発明の重合体組成物においては、それを用いて形成された成形体が、より優れた透明性を発揮し得る。
【0019】
加えて、本発明の重合体組成物は、所定のβ−ピネン重合体を主たる成分とするものであることから、かかるβ−ピネン重合体の有する優れた特性により、以下の如き効果を享受することが出来る。
【0020】
(1)本発明の重合体組成物は、比重が小さいものとなり、それを用いて作製される成形体も軽量となる。
(2)本発明の重合体組成物は、機械的強度を得るのに十分な大きな分子量を有する重合体(β−ピネン重合体)を含有しつつ、その溶融粘度が十分に低いものであるため、従来より公知の成形法に従って容易に成形することが可能である。
(3)本発明の重合体組成物は、その60質量%以上が、天然物由来の原料から得ることが出来るβ−ピネン重合体であるため、カーボンニュートラルな材料であり、環境に優しい特徴を有している。
(4)そのような優れた特徴を有する重合体組成物を用いて得られる成形体は、耐熱性が高く、また吸水率も小さいので、熱による変形や水の吸脱着による変形を防ぐことが可能である。
(5)また、かかる成形体は、廃棄された後、焼却しても、有害なガスを発生しない。
(6)さらに、成形体は、耐光性も優れており、長時間の使用による性能の低下が少ないという特徴を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ところで、かかる本発明に従う重合体組成物において用いられるβ−ピネン重合体は、比重が0.85以上1.0未満であり且つガラス転移温度が80℃以上であるβ−ピネン重合体である。ここで、本明細書及び特許請求の範囲におけるβ−ピネン重合体とは、重合体(ポリマー)中の全モノマー単位あたりのβ−ピネンの含有量が50モル%以上のものをいう。
【0022】
そのようなβ−ピネン重合体を製造する際の原料となるβ−ピネンとしては、従来より公知のものが何れも使用可能である。例えば、松や柑橘類等の植物から採取されたものを、精製した後、直接、用い得ることは勿論のこと、植物から採取されたα−ピネン等のテルペン類や石油由来の化合物を用いて、従来より公知の手法(例えば、米国特許第3278623号明細書に開示の手法)に従って製造されたβ−ピネン等も、用いることが可能である。そのような植物由来のβ−ピネンを用いて得られたβ−ピネン重合体は、カーボンニュートラルな材料であり、この点において、本発明に係る重合体組成物は、循環型社会の形成や地球温暖化防止に貢献できる材料となっているのである。
【0023】
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、上記したβ−ピネンの単独重合体であっても、また、β−ピネンと共重合可能な他の単量体の少なくとも1種以上との共重合体であっても、何等差し支えない。β−ピネンと共重合可能な他の単量体としては、カチオン重合性単量体、ラジカル重合性単量体、配位重合性単量体及び植物由来のテルペン類等を挙げることが出来る。
【0024】
なお、本発明において、β−ピネン重合体を製造する際に用いられる、カチオン重合性単量体、ラジカル重合性単量体及び配位重合性単量体としては、従来より一般的に用いられているものを使用することが可能である。また、植物由来のテルペン類も、カチオン重合法、ラジカル重合法又は配位重合法の何れかの重合法において、重合性単量体として用いることが可能である。具体的には、カチオン重合性単量体としては、イソブチレン、イソプレン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、インデン、アルキルビニルエーテル、ノルボルネン等を例示することが出来る。また、ラジカル重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フマル酸エステル、マレイミド等を挙げることが出来る。更に、配位重合性単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン、シクロペンテン、ノルボルネン等を例示することが出来、更にまた、植物由来のテルペン類としては、ミルセン、アロオシメン、オメシン、α−ピネン、ジペンテン、リモネン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、2−カレン、3−カレン等を、例示することが出来る。これらの中から、β−ピネンの使用量等に応じて、一種又は二種以上のものが適宜に選択されて用いられることとなる。β−ピネン重合体はカチオン重合法によって有利に得られることから、上述の如き重合性単量体の中でも、特にカチオン重合性単量体が有利に用いられる。
【0025】
また、上記共重合可能な単量体をβ−ピネンと共重合する場合において、その共重合量は、ポリマー中の全モノマー単位あたり0.001〜50モル%が好ましく、中でも0.01〜20モル%がより好ましく、0.05〜10モル%が最も好ましい。なお、その共重合量が多過ぎると、吸水率が増加したり、耐熱性が低下してしまう等の問題を生じるため、好ましくない。
【0026】
一方、前記した共重合性単量体と共に、或いは前記共重合性単量体に代えて、少量の2官能以上の架橋性の単量体(以下、架橋性単量体という)を共重合することが出来る。かかる架橋性単量体は、重合体を製造する際に、分岐剤若しくは架橋剤として一般的に用いられているが、その使用量を少量とすることにより、所謂、長鎖分岐構造を有し、有機溶媒への不溶部が生じない程度の分子量を有するβ−ピネン重合体が、有利に得られる。本発明において用いられ得る架橋性単量体としては、具体的に、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等の2官能性ビニル化合物を挙げることが出来、それらの中でも、経済性や反応性の観点から、m−ジイソプロペニルベンゼンが、好ましく用いられる。
【0027】
そのような架橋性単量体をβ−ピネン(及びβ−ピネンと共重合可能な他の単量体)と共重合する場合に、その共重合量は、ポリマー中の全モノマー単位あたり0.001〜7モル%が好ましく、中でも0.01〜5モル%がより好ましく、0.05〜4モル%が最も好ましい。その共重合量が多過ぎると、得られるβ−ピネン重合体がゲル状となり、熱可塑性を失ってしまい、好ましくない。
【0028】
ところで、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の重合方法は、特に限定されるものではなく、公知の重合手法の中から適宜に選択することが出来る。例えば、アニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法及び配位重合法のうちの何れかを、選択して用いることが出来るが、一般にカチオン重合法が採用される。
【0029】
なお、カチオン重合法に従って、本発明で使用されるβ−ピネン重合体を得る場合において、その重合触媒としては、公知のカチオン重合触媒が用いられることとなる。具体的には、BF3 、BF3OEt2、BBr3 、BBr3OEt2、AlCl3 、AlBr3 、AlI3 、TiCl4 、TiBr4 、TiI4 、FeCl3 、FeCl2 、SnCl2 、SnCl4 、WCl6 、MoCl5 、SbCl5 、TeCl2 等の、周期律表3族〜16族までの金属ハロゲン化合物;HF、HCl、HBr等の水素酸;H2SO4、H3BO3、HClO4 、CH3COOH 、CH2ClCOOH 、CHCl2COOH、CCl3COOH、CF3COOH 、パラトルエンスルホン酸、CF3SO3H、H3PO4、P25等のオキソ酸、及びこれらの基を有するイオン交換樹脂等の高分子化合物;燐モリブデン酸、燐タングステン酸等のヘテロポリ酸;SiO2 、Al23、SiO2−Al23 、MgO−SiO2 、B23−Al23、WO3−Al23 、Zr23−SiO2 、硫酸化ジルコニア、タングステン酸ジルコニア、H+ 又は希土類元素と交換したゼオライト、活性白土、酸性白土、γ−Al23、P25をケイソウ土と担持させた固体燐酸等の固体酸等を、挙げることが出来る。
【0030】
これらのカチオン重合触媒は、組み合わせて用いても良く、また他の化合物等を重合系に添加しても良い。かかる他の化合物等は、例えばそれを添加することにより触媒の活性を向上させることができる化合物等である。そして、金属ハロゲン化合物の酸性化合物としての活性を向上させる化合物の例としては、MeLi、EtLi、BuLi、Et2 Mg、EtMgBr、Et3Al 、Et2AlCl 、EtAlCl2 、Et3Al2Cl3 、(i−Bu)3Al 、Et2Al(OEt) 、Me4Sn 、Et4Sn 、Bu4Sn 、Bu3SnCl 等の金属アルキル化合物;2−メトキシ−2−フェニルプロパン、t−ブタノール、1,4−ビス(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、2−フェニル−2−プロパノール等の、リビングカチオン重合における重合開始剤として用いられる化合物等が、例示される。
【0031】
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の重合方法として、溶媒を用いた溶液重合法を用いてもよい。使用可能な溶媒としては、採用される重合法により異なるため、一義的に規定することは困難であるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;エステル、エーテル等の含酸素系溶媒等を挙げることが出来る。なお、反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等の使用が、好ましい。これらの溶媒は、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0032】
かくの如き溶媒の使用量は特に限定されないが、β−ピネン等の単量体:100質量部に対して、通常100〜10000質量部程度、好ましくは150〜5000質量部、より好ましくは200〜3000質量部である。この溶媒量が少ないと、重合触媒の均一な混合が困難になるため、反応が不均一となり、均一な樹脂が得られなかったり、反応の制御が困難になる。一方、溶媒量が多いと、生産性が低下してしまう問題がある。
【0033】
そして、重合反応を行なう場合、反応温度は通常、−80℃〜100℃が好ましく、中でも−40℃〜80℃がより好ましく、−20℃〜80℃が最も好ましい。この反応温度が低過ぎると、反応の進行が遅く、高過ぎると、反応の制御が困難であり、再現性が得られ難い。
【0034】
また、重合反応を行なうための反応圧力は、特に限定されるものではないが、0.5〜50気圧が好ましく、0.7〜10気圧がより好ましい。通常、1気圧前後で重合反応が行なわれることとなる。
【0035】
なお、重合反応によって生成したβ−ピネン重合体は、例えば、再沈殿、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチーム・ストリッピング)等の、重合体を溶液から単離する際の通常の操作によって、反応混合物から分離、取得することが出来る。
【0036】
本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、耐光性、耐衝撃性、耐熱性の観点から、そのオレフィン性二重結合が水素添加されていることが好ましい。そして、その水素添加率としては、一般に90%以上水素添加されていることが好ましく、中でも95%以上水素添加されていることがより好ましく、99%以上水素添加されていることが、最も好ましい。特に、本発明にあっては、前記β−ピネン重合体は、水素添加されたものであって、その水素添加率を示す([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が95%以上であることが、望ましいのである。なお、水素添加されたβ−ピネン重合体における不飽和二重結合(炭素−炭素二重結合)の水素添加率は、ヨウ素価滴定法、赤外分光スペクトル測定、核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMRスペクトル)測定等の分析手段を用いて、算出することが可能である。
【0037】
ここにおいて、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の水素添加の方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム等の均一系触媒、ケイソウ土、マグネシア、アルミナ、シリカ、アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、シリカ−アルミナ、合成ゼオライト等の担持体に、ニッケル、パラジウム、白金等の触媒金属を担持させた不均一系触媒等による公知の方法を用いることが出来る。
【0038】
また、かかる水素添加する場合に用いることが出来る溶媒としては、重合体が溶解され、且つ水素添加触媒に不活性な有機溶媒であれば、使用することが可能である。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;エステル、エーテル等の含酸素系溶媒等を用いることが出来る。なお、反応性を考慮すると、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒等が好ましい。これらの溶媒は、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用しても、何等差し支えない。
【0039】
さらに、水素添加反応の反応温度は、使用する水素添加触媒や水素圧力に依存するが、一般に20℃〜250℃程度が好ましく、中でも25℃〜150℃がより好ましく、更には40℃〜100℃が最も好ましい。反応温度が低くなり過ぎると、反応が円滑に進行し難く、また反応温度が高過ぎると、副反応や分子量低下が起こり易い。なお、水素圧力としては、好ましくは常圧〜200kgf/cm2 程度、より好ましくは5〜100kgf/cm2 を用いることが出来る。この水素圧力が低過ぎると、反応が円滑に進行し難く、また水素圧力が高過ぎると、装置上の制約がかかってしまう。
【0040】
なお、そのような水素添加反応系中におけるβ−ピネン重合体の濃度は、通常2質量%〜40質量%程度であり、好ましくは3質量%〜30質量%、より好ましくは5質量%〜20質量%である。β−ピネン重合体の濃度が低いと、生産性の低下が起こり易く、好ましくない。また、β−ピネン重合体の濃度が高過ぎると、水素化重合体が析出したり、反応混合物の粘度が高くなり、攪拌が円滑に行なえなくなる場合が生じ、好ましくない。
【0041】
また、水素添加反応の反応時間は、使用する水素添加触媒や水素圧力、反応温度に依存するが、通常、0.1時間〜50時間程度、好ましくは0.2時間〜20時間、より好ましくは0.5時間〜10時間が採用されることとなる。
【0042】
さらに、水素添加反応後のβ−ピネン重合体は、例えば、再沈殿、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチーム・ストリッピング)等の、重合体を溶媒から単離する際の通常の操作によって、反応混合物から分離、取得されることとなる。
【0043】
ところで、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の分子量は、重合溶液の粘度や溶融粘度、成形性、耐熱性の観点から、重量平均分子量で3万〜100万程度であることが好ましく、4万〜50万がより好ましく、特に6万〜25万が好ましく、中でも9万〜20万が最も好ましい。なお、重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で求めるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)や、静的光散乱測定(SLS)等の公知の分析手法を用いて、算出することが出来る。
【0044】
また、本発明で使用されるβ−ピネン重合体のガラス転移温度(Tg)は、本発明に係る重合体組成物を用いてなる成形体の使用環境を考慮すると高い方が好ましいことから、80℃以上である必要があり、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上である。このガラス転移温度の上限は特に定めないが、200℃程度であることが望ましい。ガラス転移温度が高過ぎると、高分子の絡み合いが少なくなり、成形品が脆くなる場合があるからである。
【0045】
さらに、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の全光線透過率は、高い方が好ましく、一般に80%以上が好ましく、中でも85%以上がより好ましく、そして90%以上が最も好ましい。なお、全光線透過率は、JIS−K−7361−1に準拠して、測定されたものである。
【0046】
更にまた、本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、寸法安定性の観点から、吸水率が低い方が好ましい。かかるβ−ピネン重合体の吸水率は、60℃、90%RH雰囲気下に置いたときの飽和吸水率として0.2%以下が好ましく、中でも0.1%以下がより好ましく、0.05%以下が最も好ましい。このような吸水率を与えるβ−ピネン重合体が、有利に選択されることとなる。
【0047】
このような本発明で使用されるβ−ピネン重合体は、比重が小さいことが特徴である。比重が小さいことで、より軽い成形体を得ることが出来るのである。従って、本発明で使用されるβ−ピネン重合体の比重は0.85以上1.0未満である必要があり、特に、0.85〜0.98がより好ましい。0.85よりも小さな比重のβ−ピネン重合体を得ることは困難であり、また比重が1.0よりも大きくなると、得られる成形体の軽量化という目的を充分に達成し得なくなるからである。
【0048】
一方、本発明に従う重合体組成物においては、上述したβ−ピネン重合体と共に、芳香族ビニル系ブロック共重合体が必須成分として配合される。
【0049】
本明細書及び特許請求の範囲における芳香族ビニル系ブロック共重合体とは、i)芳香族ビニル化合物に由来する単位を主要な構成単位とする芳香族ビニル重合体ブロックの一種又は二種以上と、ii)共役ジエン化合物に由来する単位を主要な構成単位とする共役ジエン重合体ブロックの水素添加物である水素添加共役ジエン重合体ブロックの一種又は二種以上、とが結合した構造を呈するブロック共重合体を意味する。本発明においては、そのような芳香族ビニル系ブロック共重合体の一種又は二種以上が、β−ピネン重合体に対して配合される。
【0050】
具体的に、芳香族ビニル重合体ブロックとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、ビニルナフタレン、インデン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル化合物の一種又は二種以上からなる重合体ブロック等を、例示することが出来る。本発明においては、特に、スチレンからなる重合体ブロックが好ましい。
【0051】
また、水素添加共役ジエン重合体ブロックとしては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の共役ジエン化合物等からなる共役ジエン重合体ブロックの水素添加物が挙げられる。これらの中でも、特に、ブタジエン又はイソプレンからなる共役ジエン重合体ブロックの水素添加物が好ましい。なお、本発明における水素添加共役ジエン重合体ブロックは、オレフィン性二重結合が残存しているものでも良く、具体的には、〔(水素添加後の共役ジエン重合体ブロック中に残存するオレフィン性二重結合の数)/(水素添加前の共役ジエン重合体ブロック中のオレフィン性二重結合の数)〕×100(%)の値が10%程度のものであっても良い。
【0052】
本発明に係る重合体組成物において使用可能な芳香族ビニル系ブロック共重合体としては、例えば、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体等を、挙げることが出来る。これらの中でも、作製した成形体に効果的に耐衝撃性を付与せしめる観点から、好ましくは、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体が使用され、より好ましくは、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体が用いられる。なお、芳香族ビニル系ブロック共重合体は、通常、30℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するが、複数のガラス転移温度を有する共重合体や、ガラス転移温度と融点(Tm)を有する共重合体であっても、最も低いガラス転移温度が30℃以下のものであれば、本発明における芳香族ビニル系ブロック共重合体として使用可能である。
【0053】
このような芳香族ビニル系ブロック共重合体(以下、本段落においては単に共重合体という)のうち、本発明に係る重合体組成物においては、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜35質量%と水素添加共役ジエン重合体ブロックの65〜90質量%とからなる共重合体が、より好ましくは、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜30質量%と水素添加共役ジエン重合体ブロックの70〜90質量%とからなる共重合体が、更に好ましくは、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜25質量%と水素添加共役ジエン重合体ブロックの75〜90質量%とからなる共重合体が、最も好ましくは、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜20質量%と水素添加共役ジエン重合体ブロックの80〜90質量%とからなる共重合体が、用いられる。共重合体における芳香族ビニル重合体ブロックの占める割合が10質量%未満であると、共重合体の形状保持が困難であり、好ましくない。また、芳香族ビニル重合体ブロックの占める割合が35質量%を超える共重合体を用いると、かかる共重合体を含む重合体組成物を用いて得られる成形体において、耐衝撃性が不十分となる恐れがあり、好ましくない。
【0054】
なお、本発明においては、上述したように、二種以上の芳香族ビニル系ブロック共重合体を用いることが可能であることから、芳香族ビニル重合体ブロックの割合が10質量%未満、或いは35質量%を超える芳香族ビニル系ブロック共重合体であっても、他の芳香族ビニル系ブロック共重合体と併用することによって、芳香族ビニル系ブロック共重合体の総量に対する芳香族ビニル重合体ブロックの割合が上記した範囲内となる限りにおいて、使用することが可能である。
【0055】
本発明の重合体組成物にて使用される芳香族ビニル系ブロック共重合体は、その重量平均分子量が100000〜250000、好ましくは100000〜200000、更に好ましくは100000〜150000のものである。重量平均分子量が100000未満の芳香族ビニル系ブロック共重合体を用いた重合体組成物にあっては、かかる重合体組成物にて形成される成形体の耐衝撃性が不十分であり、好ましくない。一方、重量平均分子量が250000を超える芳香族ビニル系ブロック共重合体を用いると、芳香族ビニル系ブロック共重合体の粘度が高く、重合体組成物中においてβ−ピネン共重合体との混練が困難になり、好ましくない。なお、本発明において、二種以上の芳香族ビニル系ブロック共重合体を併用する際には、上記範囲内の重量平均分子量を有する二種以上の芳香族ビニル系ブロック共重合体が、適宜に選択される。また、芳香族ビニル系ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求められたものである。
【0056】
なお、最終目的物たる成形体の透明性をより優れたものとするためには、重合体組成物に配合される芳香族ビニル系ブロック共重合体の屈折率を考慮する必要がある。具体的には、共に配合されるβーピネン重合体との屈折率の差が小さい芳香族ビニル系ブロック共重合体を適宜、選択することにより、最終目的物たる成形体の透明性がより優れたものとなる。ここで、芳香族ビニル系ブロック共重合体の屈折率は、共重合体中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に依存しており、かかる割合を調整することで、屈折率を調節することができる。例えば、β―ピネン単独重合体と屈折率の差が小さい芳香族ビニル系ブロック共重合体としては、芳香族ビニル重合体ブロックを、好ましくは20〜30質量%、さらに好ましくは25〜30質量%、最も好ましくは26〜28質量%の割合にて、含有するものである。
【0057】
ここで、β−ピネン重合体及び芳香族ビニル系ブロック共重合体の屈折率は、JIS−K−7142に準拠して、25℃にて測定することが可能である。二種以上の芳香族ビニル系ブロック共重合体を併用する場合であって、屈折率の測定が困難又は不可能な場合には、それぞれの芳香族ビニル系ブロック共重合体についての屈折率(上記JISに従って測定されたもの)及びそれらの配合量等より、理論上、屈折率を算出することが出来る。
【0058】
本発明に係る重合体組成物においては、上述してきた芳香族ビニル系ブロック共重合体の一種又は二種以上が、β−ピネン重合体に配合される。本発明における芳香族ビニル系ブロック共重合体の配合量(二種以上の芳香族ビニル系ブロック共重合体を用いる場合は、それら共重合体の総量)は、β−ピネン重合体及び芳香族ビニル系ブロック共重合体の合計量:100重量部に対して、β−ピネン重合体が60〜95質量部、芳香族ビニル系ブロック共重合体が5〜40質量部の割合において、好ましくは、β−ピネン重合体が70〜90質量部、芳香族ビニル系ブロック共重合体が10〜30質量部の割合において、配合される。芳香族ビニル系ブロック共重合体の配合割合が5質量部より少ない重合体組成物は、それより得られる成形体が十分な耐衝撃性を発揮し得ず、また、配合割合が40質量部より多い重合体組成物は、弾性率が小さ過ぎて実用的でないからである。
【0059】
なお、本発明に従う重合体組成物には、必要に応じて、各種配合剤を、単独で或いは二種以上を混合して用いることが出来る。
【0060】
そのような各種配合剤の具体例としては、樹脂工業で通常用いられているものであれば、格別な制限はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、可塑剤(柔軟化剤)、帯電防止剤、蛍光増白剤、充填剤等の配合剤を挙げることが出来る。
【0061】
その中で、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0062】
用いられるフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、従来から公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されている如きアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[即ちペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
【0063】
また、リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用されるものであれば、格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
【0064】
更にまた、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等を挙げることが出来る。
【0065】
そして、これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは二種以上を組み合わせて、用いることが出来る。このような酸化防止剤の配合量は、本発明の目的が損なわれない範囲で適宜に決定されることとなるが、β−ピネン重合体及び芳香族ビニル系ブロック共重合体の総量:100質量部に対して、通常0.001〜5質量部程度、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
【0066】
また、紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;4−t−ブチルフェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾエート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸3水和物、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤;[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル等の金属錯体系紫外線吸収剤等を用いることが出来る。
【0067】
さらに、光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることが出来る。
【0068】
加えて、近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系近赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系近赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤;ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤等が挙げられる。また、市販品の近赤外線吸収剤として、SIR−103、SIR−114、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−152、SIR−159、SIR−162(以上、三井東圧染料株式会社製)、Kayasorb IR−750、Kayasorb IRG−002、Kayasorb IRG−003、Kayasorb IR−820B、Kayasorb IRG−022、Kayasorb IRG−023、Kayasorb CY−2、Kayasorb CY−4、Kayasorb CY−9(以上、日本化薬株式会社製)等を挙げること出来る。
【0069】
また、染料としては、重合体組成物に均一に分散・溶解するものであれば、特に限定されるものではないが、本発明に係る重合体組成物との相溶性が優るところから、油溶性染料(各種C.I.ソルベント染料)が広く用いられる。この油溶性染料の具体例としては、The Society of Dyers and Colourists社刊のColor Index vol.3に記載されている各種のC.I.ソルベント染料が、挙げられる。
【0070】
さらに、有機系顔料としては、例えば、ピグメントレッド38等のジアリリド系顔料;ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド53、ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ系顔料;ピグメントレッド144、ピグメントレッド166、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド248等の縮合アゾ系顔料;ピグメントレッド171、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208等のベンズイミダゾロン系顔料;ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料;ピグメントレッド149、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179等のペリレン系顔料;ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料が挙げられる。また、無機系顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、べんがら、クロムレッド、モリブデンレッド、リサージ、酸化鉄等が挙げられる。
【0071】
ところで、本発明の重合体組成物を用いて成形体を作製するにあたり、かかる成形体に着色が必要とされるときは、染料と顔料の何れでも、本発明の目的の範囲で使用することが出来る。また、紫外線吸収剤が目視では黄色〜赤色の色を示すこともあり、近赤外線吸収剤が目視では黒色の色を示すこともあるため、これらと染料を厳密に区別して使用する必要はなく、また、組み合わせて使用しても何等差し支えない。
【0072】
また、滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステル或いは部分エステル等の有機化合物や無機微粒子等を用いることが出来る。有機化合物としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等が挙げられる。
【0073】
さらに、他の滑剤としては、一般に無機微粒子を用いることが出来る。ここで、無機微粒子としては、周期律表の1族、2族、4族、6〜14族元素の酸化物、硫化物、水酸化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩及びそれらの含水化物、それらを中心とする複合化合物、天然化合物などの微粒子が挙げられる。
【0074】
また、可塑剤としては、例えば、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリエチルフェニルフォスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、モノフェニルジクレジルフォスフェート、ジフェニルモノキシレニルフォスフェート、モノフェニルジキシレニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート等の燐酸トリエステル系可塑剤;フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル系可塑剤;オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤;二価アルコールエステル系可塑剤;オキシ酸エステル系可塑剤等が使用出来るが、これらの中でも、燐酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェートが特に好ましい。
【0075】
さらに、可塑剤の具体例としては、スクアラン(C3062、Mw=422.8)、流動パラフィン(ホワイトオイル、JIS−K−2231に規定されるISO VG10、ISO VG15、ISO VG32、ISO VG68、ISO VG100、ISO VG8及びISO VG21等)、ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等が挙げられる。これらの中でも、スクアラン、流動パラフィン及びポリイソブテンが、好ましく用いられる。
【0076】
更にまた、帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖アルキルアルコール、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート等の多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられるが、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好ましい。
【0077】
これらの配合剤は、単独で、又は二種以上を混合して用いることが出来、その割合は、本発明の目的が損なわれない範囲で適宜選択される。その配合量は、β−ピネン重合体及び芳香族ビニル系ブロック共重合体の総量:100質量部に対して、通常0.001〜5質量部程度、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
【0078】
本発明に従う重合体組成物は、上述してきたβ−ピネン重合体、芳香族ビニル系ブロック共重合体、及び必要に応じて各種配合剤を、各々、所定割合にて配合し、混合することにより調製されることとなるが、その際には、重合体組成物の全光線透過率(JIS−K−7361−1に準拠して、厚さ:0.5mmの試験片について測定されるもの)が70%以上となるように、より好ましくは80%以上となるように、調製される。また、同時に、重合体組成物についてのJIS−K−7110に準拠して測定されるアイゾッド衝撃強度が、好ましくは4.0kJ/m2 以上となるように、より好ましくは5.0kJ/m2 以上、更に好ましくは10.0kJ/m2 以上となるように、重合体組成物の調製が行なわれる。なお、β−ピネン重合体等の混合方法は、特に限定されるものではなく、二軸混練機、ニーダー等を用いて溶融混合する方法や、適当な溶媒(例えば、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)に溶解又は分散させて混合する方法を、用いることが出来る。
【0079】
そのようにして得られた重合体組成物を用いて成形体を作製するにあたり、その成形方法としては、従来より公知の成形方法に従えば良く、射出成形、押出成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形等が挙げられるが、特に、射出成形及び押出成形が好ましい。
【0080】
以上のようにして得られた成形体にあっては、優れた耐熱性を有し、低吸水性、軽量であり、また耐衝撃性及び透明性にも優れているところから、光学用フィルム、レンズシート、光学用基板材料、灯具用基板材料、拡散板、導光板等の光学用成形体や、建材用透明材料、更には、通信用、電気・電子機器用の絶縁成形体、医薬関連器材等に好適に用いられ得るのである。
【実施例】
【0081】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0082】
先ず、β−ピネン重合体水素添加物(H1)と、7種類の芳香族ビニル系ブロック共重合体(S1〜S7)を、以下の手順に従って、それぞれ合成した。なお、得られたβ−ピネン重合体水素添加物及び7種類の芳香族ビニル系ブロック共重合体の各物性は、以下の手法に従って測定した。
【0083】
−分子量−
数平均分子量及び重量平均分子量は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた。GPC装置として、東ソー株式会社製のHLC−8020(品番)を用い、カラムとして、東ソー株式会社製のTSKgel・GMH−Mの2本とG2000Hの1本とを直列に繋いだものを用いた。
【0084】
−水素添加率−
1H−NMRスペクトルから、原料樹脂のオレフィン性二重結合プロトン(4〜6ppm)の減少率(%)により、水素添加率{([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100(%)}を求めた。
【0085】
−ガラス転移温度(Tg)−
充分に乾燥して、溶媒を除去したサンプルを用いて、示差走査熱量測定法(DSC)により、測定した。先ず、サンプルを、窒素100mL/分の気流下、25℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで加熱して、DSCカーブを得る。次に、この得られたDSCカーブを用い、図1に示される如く、その中央接線Bと転移前のベースラインCの交点を通り温度軸に対して平行な平行線Eと、中央接線Bと転移後のベースラインDの交点を通り温度軸に対して平行な平行線Fを引く。本明細書では、この2本の平行線E、Fを2等分する平行線GとDSCカーブの交点における温度Aを、ガラス転移温度(Tg)とした。また、ここでは、測定装置としては、メトラー・トレド株式会社製のDSC30(品番)を用いた。
【0086】
−屈折率−
株式会社アタゴ製のCR−M2(品番)を用いて、JIS−K−7142に準拠して、25℃の条件にて測定した。
【0087】
−比重−
JIS−K−7112:1999のA法に準じて、測定した。
【0088】
〈β−ピネン重合体水素添加物(H1)の合成〉
十分に乾燥させたガラス製コック付フラスコについて、その内部を充分に窒素置換した後、これに、脱水したN−ヘキサン:184質量部と、脱水した塩化メチレン:210質量部と、脱水したジエチルエーテル:0.5質量部とを加え、−78℃に冷却した。それらの混合物を−78℃にて撹拌しながら、二塩化エチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度:1.0mol/L):7.2質量部を更に加えた。次いで、フラスコ内を−78℃に保持した状態にて、p−ジクミルクロライドのヘキサン溶液(濃度:0.1mol/L):3.0質量部を添加したところ、赤燈色に変化した。その後、直ちに蒸留精製したβ−ピネン:60質量部を、1時間かけてフラスコ内に添加したところ、次第に濃燈色になり、溶液の粘度が上昇した。β−ピネンの添加終了後、メタノール:30質量部を添加して、反応を終了させた。フラスコ内に、蒸留水:100質量部にクエン酸:5質量部を添加してなる水溶液を添加し、5分撹拌した後、水層を抜き取り、蒸留水を加えて水層が中性になるまで洗浄し、アルミ化合物を除去した。得られた有機層をメタノール/アセトン(50/50vol%)の混合溶媒:5000質量部に再沈せしめた後、十分に乾燥して、β−ピネン重合体(A1):60質量部を得た。得られたβ−ピネン重合体(A1)の重量平均分子量は116000、数平均分子量は51000、ガラス転移温度は95℃であった。
【0089】
窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器に、シクロヘキサン:70質量部と、上述の如くして得られたβ−ピネン重合体(A1):30質量部とを加え、撹拌することにより、シクロヘキサン中にβ−ピネン重合体(A1)を完全に溶解させた。次いで、このシクロヘキサン溶液中に、水素添加触媒としての5%パラジウム担持アルミナ(N.E.ChemCat製):30質量部を加え、撹拌して十分に分散させた後、耐圧容器内を十分に水素で置換した。その後、容器内を1000rpmで撹拌しながら、100℃、水素圧:40kgf/cm2 で、6時間反応させた後、常圧に戻した。反応後の溶液に、シクロヘキサン:200質量部を更に加えて希釈した後、0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターによりろ過して、触媒を分離除去した。得られたろ液を、メタノール/アセトン(50/50vol%)の混合溶媒:5000質量部に再沈せしめた後、十分に乾燥して、β−ピネン重合体水素添加物(H1):29質量部を得た。なお、得られたβ−ピネン重合体水素添加物(H1)の水素添加率を 1H−NMRから求めたところ、99.9%であり、重量平均分子量は112000、数平均分子量は50800、ガラス転移温度は130℃、屈折率は1.501、比重は0.930であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:180℃)を用いて、β−ピネン重合体水素添加物(H1)のペレットを製造した。
【0090】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S1)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:1000g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で60分間、重合を行なった。次いで、イソプレンとブタジエンの混合物〔イソプレン:ブタジエン=50:50(重量比)〕:8000gを加えて60分間、更にスチレン:1000gを加えて60分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型のブロック共重合体(B1)を合成した。このブロック共重合体(B1)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体、S1)を得た。得られたブロック共重合体(S1)の重量平均分子量は110000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S1)のスチレン含有量(S1中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、20質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S1)のペレットを製造した。
【0091】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S2)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:1600g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で60分間、重合を行なった。次いで、イソプレンとブタジエンの混合物〔イソプレン:ブタジエン=50:50(重量比)〕:6800gを加えて60分間、更にスチレン:1600gを加えて60分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型のブロック共重合体(B2)を合成した。このブロック共重合体(B2)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体、S2)を得た。得られたブロック共重合体(S2)の重量平均分子量は170000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S2)のスチレン含有量(S2中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、32質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S2)のペレットを製造した。
【0092】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S3)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:650g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で60分間、重合を行なった。次いで、イソプレン:8700gを加えて60分間、更にスチレン:650gを加えて60分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン−スチレン型のブロック共重合体(B3)を合成した。このブロック共重合体(B3)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、S3)を得た。得られたブロック共重合体(S3)の重量平均分子量は90000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S3)のスチレン含有量(S3中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、13質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S3)のペレットを製造した。
【0093】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S4)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:1400g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で40分間、重合を行なった。次いで、イソプレンとブタジエンの混合物〔イソプレン:ブタジエン=50:50(重量比)〕:7200gを加えて40分間、更にスチレン:1400gを加えて40分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型のブロック共重合体(B4)を合成した。このブロック共重合体(B4)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体、S4)を得た。得られたブロック共重合体(S4)の重量平均分子量は60000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S4)のスチレン含有量(S4中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、28質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S1)のペレットを製造した。
【0094】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S5)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:1500g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で60分間、重合を行なった。次いで、イソプレン:7000gを加えて60分間、更にスチレン:1500gを加えて60分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン−スチレン型のブロック共重合体(B5)を合成した。このブロック共重合体(B5)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、S5)を得た。得られたブロック共重合体(S5)の重量平均分子量は90000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S5)のスチレン含有量(S5中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、30質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S1)のペレットを製造した。
【0095】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S6)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:2000g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で60分間、重合を行なった。次いで、イソプレンとブタジエンの混合物〔イソプレン:ブタジエン=50:50(重量比)〕:6000gを加えて60分間、更にスチレン:2000gを加えて60分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型のブロック共重合体(B6)を合成した。このブロック共重合体(B6)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体、S6)を得た。得られたブロック共重合体(S6)の重量平均分子量は90000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S6)のスチレン含有量(S6中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、40質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S6)のペレットを製造した。
【0096】
〈芳香族ビニル系ブロック共重合体(S7)の合成〉
攪拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン:50kg、充分に脱水したスチレン:1500g、及びsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度:10質量%):210gを加え、60℃で120分間、重合を行なった。次いで、イソプレンとブタジエンの混合物〔イソプレン:ブタジエン=50:50(重量比)〕:6000gを加えて120分間、更にスチレン:2000gを加えて120分間、重合を行ない、最後にメタノールを加えて重合を停止させて、スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型のブロック共重合体(B7)を合成した。このブロック共重合体(B7)に対して、5%パラジウム担持カーボンを用いて、水素雰囲気下で水素を添加せしめることにより、芳香族ビニル系ブロック共重合体(水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体、S7)を得た。得られたブロック共重合体(S7)の重量平均分子量は280000であり、水素添加率は97.5%であった。また、ブロック共重合体(S7のスチレン含有量(S7中における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)は、30質量%であった。そして、二軸押出機(シリンダー温度:200℃)及びアンダーウォーターカッターを用いて、芳香族ビニル系ブロック共重合体(S7)のペレットを製造した。
【0097】
以上のようにして得られたβ−ピネン重合体水素添加物(H1)及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(S1〜S7)を用いて、以下の実験を行なった。なお、以下の実施例及び比較例で得られた各成形体の物性は、比重については上記したものと同様の手法に従って測定し、比重以外の物性については、以下の手法に従って測定し、評価した。
【0098】
−アイゾッド衝撃強度−
JIS−K−7110に準拠して、厚さ:3mmの成形品(タイプAノッチ付)を試験片として用いて、25℃、湿度:40%の条件にて測定した。ここでは、測定装置として、株式会社東洋精機製、デジタル衝撃試験機DG−UB(品番)を用いた。
【0099】
−曲げ弾性率−
JIS−K−7171に準拠して、厚さ:3mmの成形品を試験片として用いて、25℃、湿度:40%の条件にて測定した。ここでは測定装置として、株式会社島津製作所製、オートグラフAG−5000(品番)を用いた。
【0100】
−荷重たわみ温度−
JIS−K−7191−1,2に準拠して、1.8MPaの条件で、HOT.VSPT.TESTER S−3M(品番;株式会社東洋精機製作所製)を用いて、測定した。
【0101】
−全光線透過率−
株式会社村上色彩研究所製のHR−100(品番)を用いて、JIS−K−7361−1に準拠して、厚さ:0.5mmの成形品についての全光線透過率を測定した。
【0102】
−吸水率−
プレス成形により得た、長さ:140mm×幅:60mm×厚さ:0.8mmの板状成形体を、60℃、90%RH雰囲気下に10日間、載置し、初期質量(載置前の質量)に対する増加した質量の割合を吸水率(%)とした。
吸水率(%)=(質量増加分/初期質量)×100
【0103】
〈実施例1〉
β−ピネン重合体水素添加物(H1、屈折率:1.501)の85質量部と、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1、スチレン含有量:20質量%、重量平均分子量110000)の15質量部とを、溶融混練機(株式会社東洋精機製作所製、製品名:ラボプラストミル)を用いて、100rpm、230℃の条件にて5分間、混合し、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0104】
〈実施例2〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)に代えて、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S2、スチレン含有量:32質量%、重量平均分子量170000)を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0105】
〈比較例1〉
β−ピネン重合体水素添加物(H1)のみを所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0106】
〈比較例2〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)に代えて、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(S3、スチレン含有量:13質量%、重量平均分子量90000)を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0107】
〈比較例3〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)に代えて、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S4、スチレン含有量:28質量%、重量平均分子量60000)を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0108】
〈比較例4〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)に代えて、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(S5、スチレン含有量:30質量%、重量平均分子量90000)を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0109】
〈比較例5〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)の15質量部に代えて、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(S5、スチレン含有量:30質量%、重量平均分子量90000)の45質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0110】
〈比較例6〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)に代えて、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S6、スチレン含有量:40質量%、重量平均分子量100000)を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を得た。かかる重合体組成物を所定の形状にプレス成形し、得られた成形体について各物性を測定した。その測定結果を、下記表1に示す。
【0111】
〈比較例7〉
水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S1)に代えて、水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S7、スチレン含有量:30質量%、重量平均分子量280000)を用いた以外は実施例1と同様にして、重合体組成物を調製しようとしたところ、均一に混合することが困難であったため、実験を中断した。
【0112】
【表1】

【0113】
かかる表1より明らかなように、本発明の如く、β―ピネン重合体水素添加物に所定の芳香族ビニル系ブロック共重合体を配合してなる重合体組成物(実施例1〜2)にあっては、その成形体が、アイゾッド衝撃強度が5kJ/m2 以上と優れた耐衝撃性を発揮することが認められた。中でも、芳香族ビニル系ブロック共重合体が、スチレン含有量(ブロック共重合体における芳香族ビニル重合体ブロックの割合に相当)が10〜25質量%のものである重合体組成物(実施例1)は、それを用いて得られた成形体が優れた透明性をも発揮することから、耐衝撃性を必要とする光学部材として有利に用いられ得ることが認められたのである。また、芳香族ビニル系ブロック共重合体の配合量を45質量%とした比較例5の場合、耐衝撃性は実施例2に近い値を示すものの、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度において不十分なものとなっていることから、本発明の重合体組成物にあっては、それを用いてなる成形体が、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度が大きく低下することなく、優れた耐衝撃性を発揮することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】実施例におけるガラス転移温度を、DSCカーブから求める方法を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)比重が0.85以上1.0未満であり且つガラス転移温度が80℃以上であるβ−ピネン重合体と、b)芳香族ビニル重合体ブロックの10〜35質量%及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの65〜90質量%からなり、重量平均分子量が100000〜250000である芳香族ビニル系ブロック共重合体とを、該a)成分が60〜95質量部及び該b)成分が5〜40質量部の割合において、且つそれらa)成分とb)成分の合計量が100質量部となるように配合してなることを特徴とする重合体組成物。
【請求項2】
前記β−ピネン重合体が、水素添加せしめられたものであって、([水素添加されたオレフィン性二重結合の数]/[水素添加前の重合体中のオレフィン性二重結合の数])×100の値が95%以上である請求項1に記載の重合体組成物。
【請求項3】
前記芳香族ビニル系ブロック共重合体が、芳香族ビニル重合体ブロックの10〜25質量%、及び水素添加共役ジエン重合体ブロックの75〜90質量%からなるものである請求項1又は請求項2に記載の重合体組成物。
【請求項4】
全光線透過率が80%以上である請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の重合体組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の重合体組成物を用いて得られる成形体。


【図1】
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【公開番号】特開2010−31156(P2010−31156A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195401(P2008−195401)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人科学技術振興機構、産学共同シーズイノベーション化事業 育成ステージにおける研究課題「テルペン由来の機能性高分子材料の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(000117319)ヤスハラケミカル株式会社 (85)
【Fターム(参考)】