説明

重合性液晶化合物

【課題】液晶相転移温度が高く、複屈折が大きく、機械強度が高く、他の液晶化合物と優れた溶解性を有する重合性液晶化合物を提供する。
【解決手段】例えば下式で例示される重合性液晶化合物を提供する。


重合性液晶化合物は、液晶相転移温度が高く、複屈折が大きく、支持基材との密着性が高く、硬度が高く、他の液晶化合物との優れた溶解性を有することから液晶組成物の構成部材として有用である。また、重合性液晶化合物を構成部材とする重合性液晶組成物は、液晶相転移温度が高く、複屈折が大きく、支持基材との密着性が高く、硬度が高く、優れた光学特性を有する光学異方体を作製することが可能であり、偏向板、位相差板等の用途に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性液晶化合物、当該化合物を含有する重合性組成物及び当該重合性組成物を用いた光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い液晶ディスプレイに必須な偏向板、位相差板などに用いられる光学補償フイルムの重要性は益々高まっている。また、耐久性が高く、高機能化が求められる光学補償フイルムには重合性の液晶組成物を重合させる例が報告されている。光学補償フイルム等に用いる光学異方体は目的により異なるので目的にあった特性を有する化合物が必要である。また光学特性だけでなく化合物の重合速度、溶解性、融点、ガラス転移点、重合物の透明性、複屈折、更にそれを用いた光学異方体の支持基材との密着性及び硬度なども重要な因子となる。
【0003】
重合性液晶組成物を構成する化合物として従来は、1,4-フェニレン基をエステル結合によって連結した構造を有する化合物(特許文献1参照)や、フルオレン基を有する化合物(特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、当該引用文献記載の重合性液晶化合物は溶解性が低い等の問題があった。一方、溶解性を向上させるために構造を非対称とした重合性液晶化合物(特許文献3参照)が報告されているが、従来の重合性液晶化合物と比較して溶解性の点で改善がなされているものの液晶相転移温度低く、複屈折が小さくまた当該化合物を用いた光学異方体は支持基材との密着性及び硬度が低い等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】特表平10−513457号公報
【特許文献2】特開2005−60373号公報
【特許文献3】特開2001−527570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、液晶相転移温度が高く、複屈折が大きく、他の液晶化合物と優れた溶解性を有する重合性液晶化合物を提供することであり、その重合性液晶化合物を用いた重合性液晶組成物を塗布した際にハジキ等が見られず、それを用いた光学異方体に支持基材との良好な密着性及び高い硬度を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは重合性化合物における種々の構造について検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物が前述の課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0007】
本願発明は、一般式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、R1およびR2はお互い独立して下記の構造式群で表される重合性基
【0010】
【化2】

【0011】
から選ばれる置換基を表し、S1およびS2はお互い独立してアルキレン基、置換アルキレン基または単結合を表すが、そのアルキレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子に置き換えられても良く、L1、L2、L3、L4およびL5はお互い独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-CONR3-、-NR3CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-、-CH2CH2COO-、-COOCH2-、-CH2OCO-、-OCOCH2-、-CH2COO-、-OCOOCH2CH2-、-CH2CH2OCOO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-CH2OCOCH2-、-CH2COOCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CFまたは-C≡C-を表すが(式中、R3は炭素原子1〜4のアルキル基または水素原子を表す。)、L2、L3およびL4のうち少なくとも1つ以上は-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-または-CH2CH2COO-を表し、M1およびM2はお互い独立して1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基または1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、基中の炭素原子はお互いに独立して無置換であるかまたはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基またはニトロ基に置換されていても良く、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9およびX10は、お互いに独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基またはニトロ基を表す。)で表される重合性液晶化合物および当該化合物を用いた重合性液晶組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の重合性液晶化合物は、他の液晶化合物との優れた溶解性を有することから液晶組成物の構成部材として有用である。よって、本願発明の重合性液晶化合物、及び当該化合物を構成部材とする重合性液晶組成物の光学異方体は、偏向板、位相差板等の用途に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
一般式(I)において、R1およびR2は重合性基でありラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、またはアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R-1)、式(R-2)、式(R-4)、式(R-5)、式(R-7)、式(R-11)、式(R-13)または式(R-15)が好ましく、式(R-1)、式(R-2)、式(R-7)、式(R-11)または式(R-13)がより好ましく、式(R-1)または式(R-2)が特に好ましい。
【0014】
S1およびS2はお互い独立してアルキレン基、置換アルキレン基または単結合を表すが、基中の酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子に置き換えられても良い炭素数2~18のアルキレン基が好ましく、液晶性および他の液晶化合物との相溶性の観点から炭素数2〜8のアルキレン基がより好ましい。
【0015】
L1、L2、L3、L4およびL5はお互い独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-CONR3-、-NR3CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-、-CH2CH2COO-、-COOCH2-、-CH2OCO-、-OCOCH2-、-CH2COO-、-OCOOCH2CH2-、-CH2CH2OCOO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-CH2OCOCH2-、-CH2COOCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CFまたは-C≡C-を表すが(式中、R3は炭素原子1〜4のアルキル基または水素原子を表す。)、L2、L3およびL4のうち少なくとも1つ以上は-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-または-CH2CH2COO-を表すが、溶解性の点ではL3が-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-または-CH2CH2COO-が好ましく、L1、L2、L4およびL5はお互い独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CHCOO-または-OCOCH=CH-を表すことが好ましい。
【0016】
M1およびM2はお互い独立して1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。
【0017】
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9およびX10は、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基またはニトロ基を表すが、水素原子であることが好ましく、あるいはX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9およびX10のうちいずれか1つがメトキシ基またはフッ素原子であることも好ましい。
【0018】
一般式(I)で表される化合物は、具体的には下記の一般式(I-1)〜一般式(I-22)で表される化合物が特に好ましい。
【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
式中、nは2から18の整数を表すが、2から8の整数が好ましい。
【0023】
本発明において、一般式(I)で表される化合物について、製造例を以下に挙げる。勿論本発明の主旨、および適用範囲は、これら製造例により制限されるものではない。
【0024】
本発明の(I)の化合物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0025】
一般式(II)
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、R1、S1、L1、L2、M1、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるナフトエ酸誘導体を、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒あるいはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などのカルボジイミド誘導体またはアゾジカルボン酸エチル(DEAD)、アゾジカルボン酸イソプロピル(DIAD)などのアゾジカルボン酸エステルなどの脱水縮合剤存在下、一般式(III)
【0028】
【化7】

【0029】
(式中、R2、S2、L4、L5、M2、X7、X8、X9およびX10は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるフェネチルアルコール誘導体と作用させることにより、一般式(I-a)
【0030】
【化8】

【0031】
(式中、R1、R2、S1、S2、L1、L2、L4、L5、M1、M2、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9およびX10は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される重合性液晶化合物を得ることができる。
【0032】
あるいは、一般式(IV)
【0033】
【化9】

【0034】
(式中、R1、S1、L1、L2、M1、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるナフトール誘導体を、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒あるいはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などのカルボジイミド誘導体またはアゾジカルボン酸エチル(DEAD)、アゾジカルボン酸イソプロピル(DIAD)などのアゾジカルボン酸エステルなどの脱水縮合剤存在下、一般式(V)
【0035】
【化10】

【0036】
(式中、R2、S2、L4、L5、M2、X7、X8、X9およびX10は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるフェニルプロピオン酸誘導体と作用させることにより、一般式(I-b)
【0037】
【化11】

【0038】
(式中、R1、R2、S1、S2、L1、L2、L4、L5、M1、M2、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9およびX10は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される重合性液晶化合物を得ることができる。
【0039】
あるいは、一般式(VI)
【0040】
【化12】

【0041】
(式中、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸を、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒存在下、一般式(VII)
【0042】
【化13】

【0043】
(式中、X5、X6、X7およびX8は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される4-ヒドロキシフェネチルアルコールを、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒存在下、脱水縮合することにより、一般式(VIII)
【0044】
【化14】

【0045】
(式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される誘導体を得る。これに、一般式(IX)
【0046】
【化15】

【0047】
(式中、R1、S1、L1、およびM1は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるカルボン酸誘導体を、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒あるいはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などのカルボジイミド誘導体またはアゾジカルボン酸エチル(DEAD)、アゾジカルボン酸イソプロピル(DIAD)などのアゾジカルボン酸エステルなどの脱水縮合剤存在下、作用させることにより、一般式(I-c)
【0048】
【化16】

【0049】
(式中、R1、S1、S2、L1、M1、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される重合性液晶化合物を得ることもできる。
【0050】
あるいは、一般式(X)
【0051】
【化17】

【0052】
(式中、Z1はベンジル基などの保護基を表し、X1、X2、X3およびX4は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるナフトエ酸誘導体を、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒存在下、一般式(XI)
【0053】
【化18】

【0054】
(式中、Z2はベンジル基などの保護基を表し、X5、X6、X7およびX8は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるフェネチルアルコール誘導体と、p-トルエンスルホン酸などの酸触媒存在下、脱水縮合することにより、一般式(XII)
【0055】
【化19】

【0056】
(式中、Z1は一般式(X)におけると同じ意味を表し、Z2は一般式(XI)におけると同じ意味を表し、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表される誘導体を得る。これを脱保護することにより、一般式(VIII)で表される化合物を得ることもできる。
【0057】
あるいは、一般式(XIII)
【0058】
【化20】

【0059】
(式中、Z3はアルキル基などの保護基を表し、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるナフトエ酸誘導体を、ジアルキルスズオキシドなどのエステル交換触媒存在下、4-ヒドロキシフェネチルアルコール(VII)と、エステル交換することにより、一般式(VIII)で表される化合物を得ることもできる。
【0060】
次に本発明の重合性液晶組成物について説明する。本発明の重合性液晶組成物は、室温でスメクチックA相またはネマチック相を呈するように調製するのが好ましい。具体的には35℃以下、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下でもスメクチックA相またはネマチック相が保たれるようにするのが好ましい。本発明の重合性液晶組成物中に含まれる重合性液晶化合物としては、重合性官能基としてアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。重合性液晶化合物としては、重合性官能基を分子内に2つ以上持つものが好ましい。このような2官能以上の化合物としては、一般式(A)
【0061】
【化21】

【0062】
(式中、W1およびW2はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-または-OCO-を表し、Y3およびY4はそれぞれ独立的に-COO-または-OCO-を表し、rおよびsはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表し、式中に存在する3種の1,4-フェニレン基の水素原子はそれぞれ独立的に、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基またはハロゲン原子で1個または2個以上置換されていても良い。)で表される化合物が好ましい。一般式(A)で表される化合物の中でも、一般式(A-1)〜一般式(A-8)で表される化合物が特に好ましい。
【0063】
【化22】

【0064】
(式中、rおよびsは一般式(A)におけると同じ意味を表す。)
rおよびsはそれぞれ独立的に3〜6の整数が特に好ましい。
【0065】
また、一般式(B)
【0066】
【化23】

【0067】
(式中、W3およびW4はそれぞれ独立的に単結合、-O-、-COO-または-OCO-を表し、Y5は-COO-または-OCO-を表し、pおよびqはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表し、式中に存在する3種の1,4-フェニレン基の水素原子はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基またはハロゲン原子で1個または2個以上置換されていても良い。)で表される化合物も好ましい。一般式(B)で表される化合物の中でも、一般式(B-1)〜一般式(B-8)で表される化合物が特に好ましい。
【0068】
【化24】

【0069】
(式中、pおよびqは一般式(B)におけると同じ意味を表す。)
このような化合物の中でも耐熱性や耐久性の点から、一般式(B-2)、一般式(B-5)、一般式(B-6)、一般式(B-9)または一般式(B-10)の化合物が好ましく、一般式(B-2)の化合物が特に好ましい。
【0070】
この他にも重合性官能基を分子内に2つ以上持つ重合性液晶化合物としては、一般式(C-1)〜一般式(C-10)のような化合物を含有させることができる。
【0071】
【化25】

【0072】
(式中、uおよびvは独立して2〜18の整数を表す。)
これらの中でも、一般式(C-2)および一般式(C-3)の化合物が好ましい。uおよびvは3〜18の整数が好ましく、3〜8の整数がさらに好ましく、3〜6が特に好ましい。
【0073】
さらに、液晶温度範囲や複屈折率の調節、粘度低減を目的として一般式(D)
【0074】
【化26】

【0075】
(式中、eは0〜18の整数を表するが、eが0または1のときfは0を表し、あるいはeが2〜18の整数を表すときfは0または1を表し、iは0〜2の整数を表し、環C、D、Eはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基、フルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるかまたは置換基として1個または2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、Y6およびY7はそれぞれ独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-CH=N-、-N=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2OCO-または-COOCH2CH2-を表し、Y8は単結合、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-CH2COO-または-CH2OCO-を表し、Zは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CNまたはNCSを表し、該アルキル基またはアルケニル基は非置換であるかまたは置換基として1個または2個以上のF、Cl、CN、CH3またはCF3を有することができ、該アルキル基またはアルケニル基中に存在する1個または2個以上のCH2基はO原子が相互に直接結合しないものとして、O、COまたはCOOで置換されていても良い。)で表される単官能の重合性液晶化合物を添加することもできる。その添加量は50%以下が好ましく、30%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましい。一般式(D)で表される化合物の中でも、一般式(D-1)〜一般式(D-11)で表される化合物が特に好ましい。
【0076】
【化27】

【0077】
(式中、eおよびfは一般式(D)におけると同じ意味を表し、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基または炭素原子数2〜12のアルケニル基を表す。)
さらに本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、その添加量は組成物として液晶性を呈するように調整する必要がある。
【0078】
また、本発明の重合性液晶組成物中における光重合開始剤の濃度は、0.1〜10%が好ましく、0.2〜5%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0079】
また、本発明の重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1%の範囲が好ましく、0.02〜0.5%がさらに好ましい。
【0080】
また、本発明の重合性液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0081】
次に本発明の光学異方体について説明する。本発明の重合性液晶組成物を重合させることによって製造される光学異方体は種々の用途に利用できる。例えば、本発明の重合性液晶組成物を、配向させない状態で重合させた場合、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、本発明の重合性液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造された光学異方体は、物理的性質に光学異方性を有しており、有用である。このような光学異方体は、例えば、本発明の重合性液晶組成物表面を、布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させることによって製造することができる。
【0082】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、セロソルブ類を挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加するのも有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けるのは、重合性液晶材料を重合させて得られる光学異方体と基板の密着性が良くない場合に、密着性を向上させる手段としても有効である。
【0083】
ラビング処理、あるいはSiO2の斜方蒸着以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0084】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜またはポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0085】
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1~2.0mW/cm2が好ましい。強度が0.1mW/cm2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2.0W/cm2以上の場合、重合性液晶化合物または重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0086】
重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
【0087】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0088】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0089】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡および示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外共鳴スペクトル(IR)、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)等により確認した。
(実施例1)6-[4-[2-(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾイルオキシ]-2-ナフトエ酸2-[4-[4-[2-(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾイルオキシ]フェニル]エチル(I-A)の製造
【0090】
【化28】

【0091】
(1−1)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸メチルの製造
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(50.0 g、0.270 mol)、エタノール(300 ml)、濃硫酸(20 ml)の混合液を7時間加熱還流した。室温まで放冷し、水に空けて反応を停止させた後、5℃で一晩静置した。析出した固体を濾取した後、水洗して黄色の固体(56.3 g)を得た。得られた固体を再結晶(ジクロロメタン+ヘキサン)により精製し、淡黄色の固体(51.5 g)を得た。(収率 90%)
(1−2)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルの製造
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸エチル(30.0 g、0.093 mol)、2-(4-ヒドロキシフェニル)エタノール(14.1 g、0.100 mol)、酸化ジn-ブチルスズ(0.7 g、0.003 mol)のキシレン(200 ml)混合液を留去する水を除去しながら21時間加熱還流した後、5℃で一晩静置した。析出した固体を濾取した後、得られた固体を冷メタノールで洗滌し、微黄色の結晶(21.2 g)を得た。(収率 74%)
(1−3)6-[4-[2-(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾイルオキシ]-2-ナフトエ酸2-[4-[4-[2-(アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾイルオキシ]フェニル]エチル(I-A)の製造
4-[2-(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸(17.0 g、0.072 mol)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸2-(4-ヒドロキシフェニル)エチル(10.0 g、0.032 mol)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC、16.5 g、0.130 mol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.0 g、0.008 mol)のジクロロメタン(150 ml)懸濁液を室温で4時間激しく攪拌した。反応液を濾過した後、3 M塩酸、水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗條した。溶媒を留去し、得られた固体をカラム(シリカゲル+アルミナ/ジクロロメタン)を用いて精製し、さらに再結晶(ジクロロメタン+アセトン)により精製することにより、無色の結晶(17.0 g)を得た。(収率 70.0%)
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ(ppm) 3.16 (t, 2H, ArCH2), 4.29-4.34 (m, 4H, OCH2), 4.54-4.63 (m, 6H, OCH2), 5.88 (ddd, 2H, J1=10.5Hz, J2=3.9Hz, J3=1.5Hz, acryl), 6.18 (ddd, 2H, J1=17.3Hz, J2=10.5Hz, J3=3.7Hz, acryl), 6.47 (ddd, 2H, J1=17.3Hz, J2=3.9Hz, J3=1.5Hz, acryl), 6.98-7.05 (m, 4H, ArH), 7.16-7.20 (m, 2H, ArH), 7.36-7.74 (m, 3H, ArH), 7.73 (d, 1H, J=2.2Hz, ArH), 7.86 (d, 1H, J=8.5Hz, ArH), 8.00-8.08 (m, 2H, ArH), 8.14-8.22 (m, 4H, ArH), 8.61 (s, 1H, ArH)、相転移温度(℃) Cr 142 N 204 Iso
(実施例2)
低粘性で温度範囲の広いネマチック相を示す重合性液晶組成物(M-1)
【0092】
【化29】

【0093】
を調製したところ、ネマチック相上限温度(Tni)は73.0℃であった。
【0094】
次に、この重合性液晶組成物(M-1)90%に実施例1で得られた化合物(I-A)
【0095】
【化30】

【0096】
の化合物を10%添加して、重合性液晶組成物(M-2)を調製したところ、室温でネマチック相を示し、Tniは90.0℃であった。この組成物(M-2)を室温で1晩放置したところ、析出は見られず他の化合物との溶解性が高いことが確認できた。またそのTniを測定したが、M-1のTniから低下は見られず高い値を示した。
(比較例1)
実施例4で得られた重合性液晶組成物(M-1)90%に化合物(I-A)類似の化合物(J-A)
【0097】
【化31】

【0098】
の化合物を10%添加して、重合性液晶組成物(M-3)を調製したところ、室温でネマチック相を示し、Tniは85.5℃であり、組成物(M-2)より4.5℃も低かった。
【0099】
以上のように一般式(I)で表される化合物は、重合性液晶組成物に対する溶解性が良く、室温で安定であり、Tniの高い液晶組成物の調製するうえにおいて非常に有用であることがわかる。
(実施例3)
実施例1で得られた化合物(I-A)を用いて、低粘性で温度範囲の広いネマチック相を示す重合性液晶組成物(M-4)
【0100】
【化32】

【0101】
を調製した。Tniは135.3℃であった。この組成物(M-4)を室温で1晩放置したところ、析出は見られず、そのTniを測定したが、ほとんど変化しなかった。また複屈折(Δn)は0.191であった。
(比較例2)
実施例1で得られた化合物(I-A)類似の化合物(J-A)を用いて、低粘性で温度範囲の広いネマチック相を示す重合性液晶組成物(M-5)
【0102】
【化33】

【0103】
を調製した。Tniは125.9℃であり、液晶組成物(M-4)より9.4℃も低かった。この組成物(M-5)を室温で1晩放置したところ、析出は見られず、そのTniを測定したが、ほとんど変化しなかった。またΔnは0.183であり、(M-4)より0.008も小さかった。
【0104】
以上のように一般式(I)で表される化合物は、重合性液晶組成物に対する溶解性が良く、室温で安定であり、Tniが高く、Δnが大きい液晶組成物の調製するうえにおいて非常に有用であることがわかる。
(実施例4)
実施例3で得られた重合性液晶組成物(M-4)に、光重合開始剤Irgacure-907(チバスペシャリティケミカルズ製)5.0%を添加し、重合性液晶組成物(M-6)を調製した。次にこの重合性液晶組成物(M-6)を20%含有する酢酸2-(1-メトキシ)プロピル溶液(PGMEA溶液)を調製し、このPGMEA溶液をポリイミド配向膜付きガラス基板にスピンコート(1,300回転/分、15秒)した。この際ハジキは観察されなかった。スピンコートした基板を窒素雰囲気中、紫外線(30mW/cm2、60秒)を照射して、重合性液晶組成物(M-6)を硬化させた。このようにして得られた固形物を偏光顕微鏡下で観察したところ、配向欠陥のない光学異方体が得られた。得られた光学異方体の加熱前の位相差を100%としたとき、240℃、2時間加熱後の位相差は86%であり、位相差減少率は14%だった。また、得られた固形物の鉛筆硬度(JIS-K-5400 8.4 鉛筆引掻試験による)は3H、セロハンテープ剥離試験(JIS-5400 8.5 付着性(8.5.2 碁盤目テープ法)による)は100/100であった。
(比較例3)
比較例2で得られた重合性液晶組成物(M-5)を調製後直ちに、光重合開始剤Irgacure-907を5.0%添加し、重合性液晶組成物(M-7)を調製した。次にこの重合性液晶組成物(M-7)を20%含有するPGMEA溶液を調製し、このPGMEA溶液をポリイミド配向膜付きガラス基板にスピンコート(1,300回転/分、15秒)した。スピンコートした基板を窒素雰囲気中、紫外線(30mW/cm2、60秒)を照射して、重合性液晶組成物(M-7)を硬化させた。この際ハジキは観察されなかった。このようにして得られた固形物を偏光顕微鏡下で観察したところ、配向欠陥のない光学異方体が得られた。得られた光学異方体の加熱前の位相差を100%としたとき、240℃、2時間加熱後の位相差は89%であり、位相差減少率は11%であった。また、得られた固形物の鉛筆硬度は2H、セロハンテープ剥離試験は100/100であった。実施例4で得られた固形物の位相差減少率より3%小さかったものの、鉛筆硬度は1H小さかった。
【0105】
以上のように一般式(I)で表される化合物を含有する固形物は、熱的に安定であり、支持基材との密着性が高く、硬度が高いことから、一般式(I)で表される化合物を含有する固形物は、熱的に安定であり、支持基材との密着性が高く、硬度が高い光学異方体を調製するうえにおいて非常に有用であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、R1およびR2はお互い独立して下記の構造式群で表される重合性基
【化2】

から選ばれる置換基を表し、S1およびS2はお互い独立してアルキレン基、置換アルキレン基または単結合を表すが、そのアルキレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子に置き換えられても良く、L1、L2、L3、L4およびL5はお互い独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-CONR3-、-NR3CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-、-CH2CH2COO-、-COOCH2-、-CH2OCO-、-OCOCH2-、-CH2COO-、-OCOOCH2CH2-、-CH2CH2OCOO-、-OCOOCH2-、-CH2OCOO-、-CH2OCOCH2-、-CH2COOCH2-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CFまたは-C≡C-を表すが(式中、R3は炭素原子1〜4のアルキル基または水素原子を表す。)、L2、L3およびL4のうち少なくとも1つ以上は-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-または-CH2CH2COO-を表し、M1およびM2はお互い独立して1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基または1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表すが、基中の水素原子はお互いに独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基またはニトロ基に置換されていても良く、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9およびX10は、お互いに独立して水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基またはニトロ基を表す。)で表される重合性液晶化合物。
【請求項2】
S1およびS2がお互い独立して、基中の酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子に置き換えられても良い炭素数2~10のアルキレン基を表す請求項1記載の重合性液晶化合物。
【請求項3】
M1およびM2がお互い独立して1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表す請求項1記載の重合性液晶化合物。
【請求項4】
L3が-COOCH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-OCOCH2CH2-または-CH2CH2COO-を表す請求項1記載の重合性液晶化合物。
【請求項5】
L1、L2、L4およびL5がお互い独立して-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CHCOO-または-OCOCH=CH-を表す請求項1記載の重合性液晶化合物。
【請求項6】
請求項1から5記載の重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物。
【請求項7】
請求項6記載の重合性液晶組成物を重合させることにより得られる重合体。
【請求項8】
請求項7記載の重合体を用いた光学異方体。

【公開番号】特開2010−83781(P2010−83781A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253242(P2008−253242)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】