重心位置測定装置
【課題】簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することのできる重心位置測定装置を提供する。
【解決手段】車両3の左右全ての車輪が載ることのできる計量載台13と、計量載台13を支持する複数のロードセル21〜24と、計量載台13に対する車両3の幅方向の相対位置を検出するとともに、車両3の車輪が所定位置を通過したことを検知するトレッドセンサ11,12と、複数のロードセル21〜24からの荷重信号とトレッドセンサ11,12からの検出信号とに基づいて車両3の幅方向の重心位置を演算する車両幅方向重心位置演算部50と、複数のロードセル21〜24からの荷重信号とトレッドセンサ11,12からの検知信号とに基づいて車両3の全長方向の重心位置を演算する車両全長方向重心位置演算部51とを備えるものとする。
【解決手段】車両3の左右全ての車輪が載ることのできる計量載台13と、計量載台13を支持する複数のロードセル21〜24と、計量載台13に対する車両3の幅方向の相対位置を検出するとともに、車両3の車輪が所定位置を通過したことを検知するトレッドセンサ11,12と、複数のロードセル21〜24からの荷重信号とトレッドセンサ11,12からの検出信号とに基づいて車両3の幅方向の重心位置を演算する車両幅方向重心位置演算部50と、複数のロードセル21〜24からの荷重信号とトレッドセンサ11,12からの検知信号とに基づいて車両3の全長方向の重心位置を演算する車両全長方向重心位置演算部51とを備えるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平面へ射影した車両重心位置を測定する重心位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックやトレーラなどの車両は積荷荷重が大きいだけでなく、積荷を含む車両の重心位置が積荷によって前後・左右へ片寄り、また上方へ移動して車両の走行安定性に影響を及ぼすことが経験上よく知られている。また、車両の旋回中あるいは旋回開始時における横転が、上記の3次元重心位置が大きな要因となって生じることも力学的に明らかにされている。したがって、3次元重心位置の測定は重要である。3次元重心位置のうちの高さの測定装置に関しては、本出願人によって既に特許出願がなされている(特願2009−183443号)。本明細書では、水平面へ射影した重心位置(水平面的重心位置)の測定装置の発明について述べる。
【0003】
従来、トラックやトレーラ等の車両の重量を測定するものとして、トラックスケールが広く用いられている。トラックスケールは、車両が載ることができる載台と、この載台を支持する複数のロードセルと、これらロードセルからの荷重信号に基づいて重量測定に関する所定の演算を実行する演算装置とを備えて構成されている。
【0004】
上記のような構成のトラックスケールにおいて、車両が載台に乗る位置を規定したり、車両の寸法諸元を演算装置に入力したりして、個々のロードセルの荷重信号を解析することにより、車両の水平面的重心位置を測定(算定)することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、上記のトラックスケールを用いた車両の水平面的重心位置の測定方法では、以下のような問題点がある。
(1)車両を規定位置に停止させるには手間と注意が必要である。
(2)車両諸元を調査し、その内容を演算装置に手入力するのは面倒である上に、入力ミスが起きる可能性が高い。
【0006】
一方、走行時の車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器からの検知信号に基づく演算ユニットの所定の演算により、車両の3次元空間上の重心位置を求めるようにした重心検知装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
しかし、上記の重心検知装置では、以下のような問題点がある。
(1)この装置でも車両の寸法諸元を演算ユニットに入力する必要があり、車両諸元を調査し、その内容を演算ユニットに手入力するのは面倒である上に、入力ミスが起きる可能性が高い。
(2)揺動検知器や演算ユニットを各車両に搭載する必要があり、全車に普及させるためには莫大な費用と時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−105845号公報
【特許文献2】国際公開第2008/062867号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することのできる重心位置測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による重心位置測定装置は、
車両の水平面的重心位置を測定する重心位置測定装置であって、
(a)車両の左右全ての車輪が載ることのできる計量載台と、
(b)車両の幅方向および全長方向に所定の間隔を存して配され、前記計量載台を支持する複数のロードセルと、
(c)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその計量載台に対する車両の幅方向の相対位置を検出する車両幅方向相対位置検出手段と、
(d)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその車両の車輪が所定位置を通過したことを検知する車輪所定位置通過検知手段と、
(e)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車両幅方向相対位置検出手段からの検出信号とに基づいて、車両の幅方向の重心位置を演算する車両幅方向重心位置演算手段と、
(f)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車輪所定位置通過検知手段からの検知信号とに基づいて、車両の全長方向の重心位置を演算する車両全長方向重心位置演算手段と
を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
【0011】
本発明において、前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に配置される棒状部材と、この棒状部材の両端部に貼り付けられるひずみゲージとを備えて構成されるのが好ましい(第2発明)。
【0012】
本発明において、前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に延設される導電性ゴムと、この導電性ゴムが車両の各車輪に踏まれた際の変形部分と接触可能に配置される電気抵抗線とを備えて構成されるのが好ましい(第3発明)。
【0013】
本発明において、前記車両幅方向相対位置検出手段が前記計量載台に組み付けられるのが好ましい(第4発明)。
【0014】
本発明において、前記計量載台は、車両の進行方向に沿って配置される複数の分割計量載台が組み合わされて構成されるのが好ましい(第5発明)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の重心位置測定装置においては、計量載台を支持する複数のロードセルからの荷重信号と、計量載台に対する車両の幅方向の相対位置を検出する車両幅方向相対位置検出手段からの検出信号とに基づいて、車両の幅方向の重心位置が車両幅方向重心位置演算手段によって演算される。これにより、車両の幅方向の重心位置を測定することができる。
また、計量載台を支持する複数のロードセルからの荷重信号と、車両の車輪が所定位置を通過したことを検知する車輪所定位置通過検知手段からの検知信号とに基づいて、車両の全長方向の重心位置が車両全長方向重心位置演算手段によって演算される。これにより、車両の全長方向の重心位置を測定することができる。
本発明の重心位置測定装置によれば、従来技術では必要とされる、車両の寸法諸元等の入力などの煩雑な作業や、別途に車両に搭載される揺動検知器や演算ユニットなどが不要であり、簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のA−A線断面図(b)、(b)のB−B線断面図(c)
【図2】図1(c)のC部拡大図(a)および(a)のD−D(D´−D´)線断面図(b)
【図3】第1の実施形態の重心測定装置の制御系の概略システム構成図
【図4】マイクロプロセッサの機能ブロック図
【図5】車両と重心位置測定装置の水平面的重心位置に関する座標系の定義説明図
【図6】車両が計量載台に載る様子を表わす図
【図7】車両が計量載台に載る際の荷重変化の様子を表わす図
【図8】第1の実施形態の重心位置測定装置の計測動作を説明するフローチャート
【図9】第2の実施形態に係る重心位置測定装置に装備される感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの構造説明図で、車両進行方向手前側から見た図(a)、(a)のE−E線断面図で自由状態図(b)および(a)のE−E線断面図で導電性ゴム圧縮通電状態図(c)
【図10】感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの原理を説明する模式図で、自由状態図(a)、動作状態図(b)、(a)の等価回路図(c)および(b)の等価回路図(d)
【図11】本発明の第3の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のF−F線断面図(b)、(b)のG−G線断面図(c)
【図12】本発明の第4の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のH−H線断面図(b)、(b)のJ部拡大図(c)、力のつりあいを説明するための(b)の簡略図(d)および(d)の力学的等価図(e)
【図13】分割計量載台が組み合わされてなる計量載台に車両が載る様子を表わす図
【図14】分割計量載台が組み合わされてなる計量載台に車両が載る際の荷重変化の様子を表わす図
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明による重心位置測定装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のA−A線断面図(b)、(b)のB−B線断面図(c)がそれぞれ示されている。また、図2には、図1(c)のC部拡大図(a)および(a)のD−D(D´−D´)線断面図(b)がそれぞれ示されている。
【0019】
<第1の実施形態に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図1に示される重心位置測定装置1は、第1トレッドセンサ11と、第2トレッドセンサ12と、計量載台13とを備えている。
第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12は、設置ベース2上において、トラックやトレーラ等の車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置されている。
計量載台13は、設置ベース2上において、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12に対し、車両3の前進走行経路の下流側に配置されている。
なお、本実施形態において、車両3は、左右それぞれに車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが装着される車軸7,8,9を、運転席の下方に1本、荷台の下方に2本、合計3本有する3軸車両である(図5参照)。
また、以下の説明において、前後左右方向は車両3の前進方向を基準として定めるものとする。
【0020】
<第1トレッドセンサおよび第2トレッドセンサの説明>
第1トレッドセンサ11と第2トレッドセンサ12とは、基本的に同じ構造のものである。代表として、第1トレッドセンサ11の構造について説明することとし、この第1トレッドセンサ11の構造説明をもって、第2トレッドセンサ12の構造説明を行ったものとする。
図2(a)に示されるように、第1トレッドセンサ11は、車両3の左側の車輪4a,5a,6aが踏んで通過することができるように車両3の幅方向に水平に配置される棒状部材31を備えている。この棒状部材31は、車両3の進行経路上における計量載台13の手前側の路面GLに埋め込まれている。この棒状部材31は、断面長方形状の金属棒で構成され、その両端部が支持部材32によって支持されている。
図2(b)に示されるように、この棒状部材31の両端部には、それぞれ両側から丸穴状にくり抜かれたような窪み部33a,33a;34a,34aが形成されている。また、これら両側の窪み部33a,33a;34a,34aを仕切るように仕切り板部35;35が形成され、この仕切り板部35;35には、せん断ひずみを検出するひずみゲージ36,37が接着されている。
要するに、第1トレッドセンサ11は、金属製の棒状部材31の両端部にひずみゲージ36,37が接着されてなる一種のロードセルである。
この第1トレッドセンサ11においては、棒状部材31が車輪4a,5a,6aに踏まれると、各ひずみゲージ36,37の信号によって車輪4a,5a,6aが当該トレッドセンサ11(棒状部材31)を踏んだことを検知するとともに、2つのひずみゲージ36,37が検出する荷重差に基づいて車輪4a,5a,6aが踏んだ位置を2つのひずみゲージ36,37に対する相対位置として求めることができるようになっている。
【0021】
<計量載台の説明>
計量載台13は、車両3の左右全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0022】
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
設置ベース2と計量載台13との間には、第1ロードセル21、第2ロードセル22、第3ロードセル23および第4ロードセル24がそれぞれ介設されている。
第1ロードセル21は、計量載台13における車両進行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第2ロードセル22は、計量載台13における車両進行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第3ロードセル23は、計量載台13における車両進行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
第4ロードセル24は、計量載台13における車両進行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0023】
<各ロードセルの機能説明>
各ロードセル21〜24は、ひずみゲージ式のロードセルで、作用した荷重をその大きさに応じて電気的な荷重信号に変換して出力する機能を有するものである。
【0024】
<重心位置測定装置の制御系のシステム構成の説明>
図3に示されるように、重心測定装置1は、制御装置40と、操作装置41と、表示装置42とを備えている。
【0025】
<制御装置の概略説明>
制御装置40は、主として、増幅器43と、ローパスフィルタ44と、マルチプレクサ45と、A/D変換器46と、I/O回路47と、メモリ48と、マイクロプロセッサ(MPU)49とにより構成されている。
増幅器43は、送り込まれる信号をA/D変換可能な大きさに増幅して送り出す機能を有している。
ローパスフィルタ44は、低域周波数のみを信号として通過させる機能を有している。
マルチプレクサ45は、送り込まれる複数の信号を選択制御信号の指令に基づいて選択的に送り出す機能を有している。
A/D変換器46は、マルチプレクサ45からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有している。
I/O回路47は、A/D変換器46と、操作装置41と、表示装置42と、メモリ48と、MPU49との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を有している。
メモリ48は、PROMやRAMなどで構成され、所定プログラムや基本データなどを長期的に記憶したり、種々のデータや演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を有している。
MPU49は、メモリ48に格納されている所定プログラムの指示に従って、必要な信号をI/O回路47を介して受け取り、また必要なデータをメモリ48から受け取り、受け取った信号やデータに基づいて演算を実行する機能を有している。
【0026】
<操作装置の概略説明>
操作装置41は、操作スイッチや数値キーなどを備えてなり、測定開始・終了の指令や零点調整、使用モードの切り換え、数値設定などの種々の動作の際に用いられる。
【0027】
<表示装置の概略説明>
表示装置42は、例えば液晶ディスプレイからなり、測定結果や各種データの入出力画面などが表示される。
【0028】
<重心位置測定装置の制御系システムの処理動作の概略説明>
重心測定装置1の制御系システムにおいては、各ロードセル21〜24および各トレッドセンサ11,12の信号が、増幅器43、ローパスフィルタ44、マルチプレクサ45、A/D変換器46およびI/O回路47を経由してMPU49に送られる。MPU49は、メモリ48に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路47からの信号を取り込み、またメモリ48に記憶されている種々のデータを読み込み、これらの信号やデータに基づいて車両3の水平面的重心位置の演算を実行する。そして、その演算結果は表示装置42に表示される。
【0029】
<制御装置の機能説明>
MPU49においては、所定プログラムが実行されることにより、図4に示される、車両幅方向重心位置演算部50、車両全長方向重心位置演算部51および出力信号生成部52のそれぞれの機能が実現される。
【0030】
<車両の重心Gの座標(XG,YG)の求め方の理論説明>
次に、主として、図5〜図7を用いて、車両3の重心Gの座標(XG,YG)の求め方について説明する。
車両3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿ってX軸を定め、第1車軸7に沿ってY軸を定め、X軸とY軸の交点を原点とした直交座標系O−XYを定める。
計量載台13の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる幅方向中心線に沿ってx軸を定め、計量載台13の全長方向の中心位置を通り幅方向に延びる全長方向中心線に沿ってy軸を定め、両軸の交点すなわち計量載台13の中央に原点をとって、直交座標系o−xyを定める。
ロードセル21〜24のそれぞれの出力は無負荷時において零に調整されているものとする。
【0031】
<記号の定義(車両関連)の説明>
図中および理論式で用いる記号の意味を下記のとおり定義する。
G:車両3の重心
i(=1,2,・・・,k):車軸番号
k:車軸数(k≧2)
XG:座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置
YG:座標系O−XYにおける車両3の幅方向の重心位置
xG:座標系o−xyにおける車両3の全長方向の重心位置
yG:座標系o−xyにおける車両3の幅方向の重心位置
B,Bi:有効トレッド間隔
ここで、トレッド間隔とは、車両3の左右の車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bの中心間距離、つまり輪距のことである。
lj:車軸間距離
j(=1,2,・・・,k−1):車軸間番号(k≧2)
e:車両重心位置のX軸からの距離(=YG)
【0032】
<記号の定義(ロードセル関連)の説明>
LC1:第1ロードセル21
LC2:第2ロードセル22
LC3:第3ロードセル23
LC4:第4ロードセル24
a:第1ロードセル21(第3ロードセル23)と第2ロードセル22(第4ロードセル24)との中心間距離
b:第1ロードセル21(第2ロードセル22)と第3ロードセル23(第4ロードセル24)との中心間距離
なお、上記記号のうち、a,bは既知の値であり、これらの値は予めメモリ48に記憶される。
【0033】
<記号の定義(車両と載台との相対位置関連)の説明>
f:X軸とx軸との距離
【0034】
<記号の定義(力学関連)の説明>
WLi:輪重(左側)
WRi:輪重(右側)
Wi:第i軸の軸重
W:総重量
Pi:第iロードセルに作用する力(=そのロードセルから載台に作用する力)
Pj:第jロードセルに作用する力(=そのロードセルから載台に作用する力)
Pij:Pi+Pj
P=P1+P2+P3+P4
t:第1車軸7が第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12の車両進行方向の中央にあるときの時刻を原点にとった時間
ti:第i車軸が第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12の車両進行方向の中央にあるときの時刻
τi:第i車軸の軸重Wiが計量載台13に負荷された時刻
【0035】
<記号の定義(トレッドセンサ関連)の説明>
c:第1トレッドセンサ11と第1ロードセル21との距離(第2トレッドセンサ12と第3ロードセル23との距離)
S0:中央線38からひずみゲージ36までの距離
S1:ひずみゲージ36と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離
S2:ひずみゲージ37と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離
S3:ひずみゲージ36とひずみゲージ37との距離
S:中央線38から左右側の車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bのトレッド幅中心までの距離
SL:第1トレッドセンサ11によるS
SR:第2トレッドセンサ12によるS
なお、上記記号のうち、c,S0,S3は既知の値であり、これらの値は予めメモリ48に記憶される。
【0036】
<XG,ljの測定の説明:図6,7参照>
図6(a)〜(d)には、車両3が計量載台13に載る様子を段階的に表わす図が示され、図7には、各段階の荷重変化の様子を表わす図が示されている。
XGの測定には、ljの測定が不可欠である。また、ljは、第1ロードセル21〜第4ロードセル24の出力P1(t)〜P4(t)に基づいて求めることができる。
【0037】
<l1,l2の求め方の説明>
(1)車軸間距離の計算式
車軸間距離l1,l2は、第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12が第i軸車輪に踏まれて検知した時刻、t=tiの各時刻におけるロードセル22,24の荷重の測定値P24(t)およびWiを用いて算出する。
【0038】
l1の算出式:
t=t2(図6(c)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(1)で表わされる。
aP24(t)−x1W1=0 ・・・(1)
x1=l1−cであるから、l1は次式(2)より求められる。
l1=aP24(t)/W1+c ・・・(2)
【0039】
l2の算出式:
t=t3(図6(d)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(3)で表わされる。
aP24(t)−x1W1−x2W2=0 ・・・(3)
x1=l1+x2であり、
x2=l2−cであるから、l2は次式(4)より求められる。
l2=(aP24(t)−l1W1)/(W1+W2)+c ・・・(4)
【0040】
(2)軸重の測定
前記式(2)で表わされるl1の計算式や、前記式(4)で表わされるl2の計算式のうち、P24(t)は各車輪がトレッドセンサ11,12を踏んだ時点のロードセル22,24の荷重P24により求められる。また、各軸重Wiは、図7に示されるような全体荷重変化に基づいて、次式(5)により求められる。
【数1】
ここで、P(t)は、次式(6)で表わされる。
P(t)=P13(t)+P24(t) ・・・(6)
また、W0=0、τi<t<τi+1、i=1,2およびt>τi,i=3である。
【0041】
<XGの求め方の説明>
車両3の第1車輪7を原点Oとすると、この原点O回りのモーメントのつりあいの一般式は次式(7)で表わされる。ここで、XGは負である。
XGW+W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)=0
・・・(7)
前記式(7)からXGは次式(8)によって求められる。
XG=−{W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)}/W
・・・(8)
ここで、
W=W1+W2+・・・+Wn
Wi=軸重(i=1,2,・・・,n)
n:車軸数
li:軸間距離
である。
そして、前記式(8)において、n=3とおいて、図5に示される3軸の車両3のX方向重心位置XGが求められる。
【0042】
<YGの求め方の説明>
図5において、計量載台13に載荷物(車両3)がない状態で各ロードセル21〜24の出力を零に調整し、各ロードセル21〜24の出力感度が等しいものとすると、車両3の座標系o−xyにおける重心位置yGは、ロードセル21〜24の出力P1,P2,P3,P4を用いて次式(9)で求めることができる。
yG=(P1+P2)b/W−b/2 ・・・(9)
ただし、W=P1+P2+P3+P4である。
Wは全車軸7,8,9が計量載台13に載りきってから計測すればよい。また、各計測値を用いて行う演算はリアルタイムにする必要はなく、メモリ48に記憶させておいて必要なタイミングで波形処理を施したうえで演算すればよい。
【0043】
<計量載台に対する車両の幅方向の相対位置の測定の説明>
図1(c)および図2(a)に示されるように、第1トレッドセンサ11と第2トレッドセンサ12とは計量載台13の中央線38を挟んで対称形に設置されている。前述したように、第1トレッドセンサ11と第2トレッドセンサ12とは同じ構造のものであり、図2(a)において第1トレッドセンサ11のみ図示することとし、第2トレッドセンサ12は図示省略する。
【0044】
今、例えば左側の車輪4a,5a,6aが第1トレッドセンサ11の棒状部材31を踏むと、ひずみゲージ36,37部分に左側の車輪4a,5a,6aの荷重(輪重)WLがかかり、次式(10)(11)で示される比率で分配される。
ひずみゲージ36が検出する力F36=WL1S2/S3 ・・・(10)
ひずみゲージ37が検出する力F37=WL1S1/S3 ・・・(11)
これら式(10)(11)から、F36/F37=S2/S1となり、F36,F37を計測すると、ひずみゲージ間距離S3に対する左側の車輪4a,5a,6aの接地点の距離S1,S2を計算することができる。
ここで、ひずみゲージ間距離S3は、ひずみゲージ36とひずみゲージ37との距離であり、距離S1は、ひずみゲージ36と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離であり、距離S2は、ひずみゲージ37と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離である。
また、2個のトレッドセンサ11,12の中央線(=計量載台13の中央線)38からひずみゲージ36までの距離S0は設計上定まっているので、計算により、中央線38から左側の車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心までの距離Sが求められる。以上は車両進行方向に向かって左側の第1トレッドセンサ11について述べたが、車両進行方向に向かって右側の第2トレッドセンサ12についても同じことが言える。
【0045】
第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12のそれぞれのS(=S1+S0)を合計すればトレッド間隔Bを求めることができる。そして、S−B/2を計算すると、車両3のY方向位置偏差fが求められる。
ところで、トレッド間隔Bjは各車軸7,8,9ごとに求められるが、fの計算に用いられるのはBjの決定法に基づいて決定される1つの値(=B)である。なお、Bjの決定法については後述する。
第1トレッドセンサ11によるSをSL、第2トレッドセンサ12によるSをSRとして区別して書くと、次式(12)(13)(14)(15)が成立する。
SL=SL1+S0 ・・・(12)
SR=SR1+S0 ・・・(13)
B=SL+SR ・・・(14)
f=SL−B/2 ・・・(15)
そして、車両3のY方向の重心位置YGは次式(16)で求めることができる。
YG=yG−f ・・・(16)
【0046】
この構造のトレッドセンサ11,12の車両進行方向の幅寸法は小さく、車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bの踏面はトレッドセンサ11,12の車両進行方向において前後が路面GLに跨り、車輪荷重全体がトレッドセンサ11,12にかかるわけではない。しかしながら、「荷重の比率=長さの比率」およびそれにより車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bの踏面の位置とトレッド間隔Bを求める上で荷重の絶対値は不要であり、その意味で輪重の計測精度を必要としないので、この構造で実用に供することができる。
図2およびその説明では金属製の棒状部材31の両端部にひずみゲージ36,37を貼り付けて一種のロードセルとして一体型に製作する方式のものを示したが、この構造にこだわる必要はなく、単純な棒状部材の両端部を通常のロードセルで受ける構造のものを採用してもよい。
また、このトレッドセンサ11,12または上記で述べたロードセルで受ける構造のものにおけるロードセルの取付部にばね等を介設し、一定以上の荷重がかかるとそのばね等が撓んでセンサに限界以上の荷重が確実にかからな構造のものとしても前述の機能および精度にほとんど変わりはない。こうすることによってトレッドセンサ11,12自体を軽量化して安価なものとすることができる。
【0047】
<重心位置測定装置の計測動作の説明>
次に、重心位置測定装置1の計測動作について、主に、図4の機能ブロック図および図8のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図8において記号「S」および「T」はそれぞれステップを表わす。
【0048】
<ステップS1の処理内容の説明>
車両幅方向重心位置演算部50は、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12のトレッド検出信号を読み込み、読み込んだ検出信号と、前記式(14)とに基づいて、有効トレッド幅Bを演算するとともに、求められた有効トレッド幅Bの値と、前記式(15)とに基づいて、車両3のY方向偏差fを演算する。
また、一方でロードセル21〜24からの荷重信号に基づいて計量載台13と計量載台13上の車両3を合わせた全体のy方向重心位置yGを演算する。
さらに、前記式(16)を用いてyGと車両3のY方向偏差fとから車両重心位置YGを確定する。
【0049】
<ステップS2〜ステップS3の処理内容の説明>
そして、出力信号生成部53は、車両幅方向重心位置演算部50による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(S2)。これにより、表示装置42には、車両3の幅方向の重心位置の値が表示される(S3)。同時に信号として車両幅方向の重心位置YGとトレッド幅Bが出力される。
【0050】
<ステップT1〜ステップT3の処理内容の説明>
車両全長方向重心位置演算部51は、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12のそれぞれの検出信号を読み込むとともに、ロードセル21〜24の荷重信号を読み込み、読み込んだ信号と、前記式(2)(4)とに基づいて、車軸間距離l1,l2を演算するとともに、算出された車軸間距離l1,l2の値と、前記式(8)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置XGを演算する(T1)。
そして、出力信号生成部53は、車両全長方向重心位置演算部51による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(T2)。これにより、表示装置42には、車両3の全長方向の重心位置の値が表示される(T3)。また、かかる演算結果の信号を出力する。
【0051】
<第1の実施形態の重心位置測定装置の作用効果の説明>
第1の実施形態の重心位置測定装置1によれば、簡易かつ安価な構成で車両3の水平面的重心位置G(XG,YG)を測定することができ、車両3の横転防止に資する有効なデータを運転者等に提供することができる。
【0052】
〔第2の実施形態〕
図9には、第2の実施形態に係る重心位置測定装置に装備される感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの構造説明図で、車両進行方向手前側から見た図(a)、(a)のE−E線断面図で自由状態図(b)および(a)のE−E線断面図で導電性ゴム圧縮通電状態図(c)がそれぞれ示されている。
また、図10には、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの原理を説明する模式図で、自由状態図(a)、動作状態図(b)、(a)の等価回路図(c)および(b)の等価回路図(d)がそれぞれ示されている。
この第2の実施形態の重心位置測定装置1Aは、第1の実施形態の重心位置測定装置1に装備されているひずみゲージ式のトレッドセンサ11,12に代えて、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサ11A,12Aを採用した点が異なるのみで、その他の構成については第1の実施形態の重心位置測定装置1と基本的に同じである。
したがって、第2の実施形態の重心位置測定装置1Aにおいて、第1の実施形態の重心位置測定装置1と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては第1の実施形態の重心位置測定装置1と異なる点を中心に説明することとする。
【0053】
<第2の実施形態に係るトレッドセンサの検出原理の説明>
感圧ゴムと電気抵抗線を組み合わせて車両3のトレッド間隔Bを検出する方法について述べる。
これに類似した従来の方法は、特開昭53−19860〜19863号公報に記載されている。
しかし、これらの従来の方法は回路中にスイッチ、またはダイオード、または交流電源などを組み込む必要があり、または電気抵抗式検出器を複数列用意する必要があった。そのうえ、従来の方法はトレッド幅とトレッド間隔とを測定するのが目的であって、本実施形態に係るトレッドセンサ11A,12Aのように2個のセンサの接合部(計量載台中心)から左右別々にトレッド(踏面)の位置を知ることができるものではない。また、トレッド間隔Bを検出するためには導線中央に抵抗やスイッチ、ダイオードなどを挿入する必要が述べられている。本実施形態の重心位置測定装置1Aに装備されるトレッドセンサ11A,12Aはこれらの欠点を排除し簡単な回路で、しかもスイッチング動作なしに中央点から左右の車輪踏面中心までの距離、およびトレッド間隔Bを求めるものである。
【0054】
図9(a)(b)に示される、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサ11A,12Aにおいては、路面GLの溝60に埋め込まれたカバーゴム61の中にリボン状の導電線62と感圧導電性ゴム63と電気抵抗線64がサンドイッチ状態で設置されている。
この上面をトラックなどの車両3が通過するとき、カバーゴム61が例えば第1車軸7の左側の車輪4aに踏まれると、図9(c)に示されるように、車輪4aの踏面の部分のみ感圧導電性ゴム63が圧縮され、上部の導電線62と下部の電気抵抗線64が短絡されて感圧導電性ゴム63が通電状態となる。
図10(a)は車輪に踏まれる前の状態図で、同図(c)はそのときの等価回路図であり、同図(b)は車輪に踏まれた状態図で、同図(d)はそのときの等価回路図である。
以後、各電圧計により電圧を計測し、AD変換してデジタル値として各種演算を行うものとして説明する。
【0055】
図10(c)に示される等価回路の状態のとき、抵抗Rdには電圧Ed0と抵抗R0、Rdに関連して電流I0が流れている。これは電圧計Vdにより電圧E0を計測することで求められる。
I0=Ed/Rd
また、
I0=E0/(R0+Rd)
これから抵抗R0が導き出される。
R0=E0/I0−Rd
ここで、R0は中央線38から外へ半分の距離に相当する抵抗値である。
【0056】
次に、図10(d)に示される等価回路図の状態のときのようにRtの部分が短絡されて導通状態となり抵抗R1+R2+Rdに電流I1が流れる。これは電圧計Vdにより電圧Ed1を計測することで求められる。
I1=Ed1/Rd
また、
I1=E0/(R1+R2+R3)
これから抵抗(R1+R2)が導きだされる。
(R1+R2)=E0/I1−Rd
(R1+R2)は計量載台13の幅寸法の半分(L0,R0)からトレッド幅(Lt,Rt)を差し引いた距離に相当する抵抗値である。
【0057】
次に、図10(d)に示される等価回路図の状態のときの電圧を測定し抵抗値を導き出す。
電圧V1により計測された電圧E1より、
R1=E1/I2
電圧計V2により計測された電圧E2より
R2=E2/I2
これらを距離に換算すると、
L1=L0R1/(R1+R2)
L2=L0R2/(R1+R2)
Lt=L0−L1−L2
=R0−R1−R2
となる。
【0058】
計量載台13の中心からトレッド中心までの距離SはS=Lt+Lt/2で求めることができ、車両3のトレッド間隔Bは反対側トレッドセンサのS(=Lt+Lt/2)を足し算することで求められる。
車両3の中心すなわちトレッド間隔Bの中心と計量載台13の中心との偏心量fはf=S−B/2として求める。
【0059】
なお、車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bに踏まれる前の定常状態のときに抵抗と距離の関係を補正して合せておくと、抵抗値が温度で変化しても距離との関係は正しいものとすることができる。
上記説明では、原理を明らかにするために抵抗値を求めてから抵抗値を距離に換算したが、抵抗値R1、R2は電圧値E1、E2と比例するので実際の装置では電圧値のままで演算してもよい。
厳密には電圧計V1,V2,V3および分流抵抗Rdは誤差要因となるが電圧部は内部抵抗が抵抗線R0に比べて十分に抵抗値の大きいものを、また、分流抵抗Rdは抵抗線R0に比べて十分小さい抵抗値のもの(例えば、Rd/R0=1/1000)を用いることで実用上の誤差は無視できるものとなる。また演算の過程でこれらを数値的に補正してもよい。
感圧導電性ゴム63自体に適当な抵抗を持たせて製作すると、下部の電気抵抗線64を省略することができる。また、電気抵抗線64を連続した抵抗線としたが、抵抗部品を連ねて接合部のみを感圧導電性ゴム63に接するようにしても抵抗が段階的に変化して精度が若干落ちることが許容されるならば採用可能である。
【0060】
〔第3の実施形態〕
図11には、本発明の第3の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のF−F線断面図(b)、(b)のG−G線断面図(c)がそれぞれ示されている。
【0061】
<第3の実施形態に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図11に示される重心位置測定装置1Bは、図1に示される第1の実施形態の重心位置測定装置1と同様に第1トレッドセンサ11と、第2トレッドセンサ12と、計量載台13とを備えているが、その設置場所が車両進行方向において異なる。
すなわち、第1の実施形態の重心位置測定装置1では、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12がそれぞれ路面GLに埋め込まれる態様例で、車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置されている。これに対して、第3の実施形態の重心位置測定装置1Bでは、図11に示されるように、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12が、計量載台13上であって車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に組み付けられている。なお、これらトレッドセンサ11,12を計量載台13における車両3の前進走行経路の上流側端面に配置してもよい。また、第1ロードセル21と第3ロードセル23の中心線を結ぶ線上に配置してもよい。これらの場合、トレッドセンサ11,12の検知信号とロードセル21〜24のタイミングt1を変更することで対応可能である。
上記以外の構成は第1の実施形態の重心位置測定装置1と同様であり、基本的に第1の実施形態の重心位置測定装置1と同様にXG,YGを求めることができ、同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第3の実施形態の重心位置測定装置によれば、トレッドセンサ11,12の設置に際して、第1の実施形態の重心位置測定装置1では必要とされる路面GLに対する基礎コンクリート工事を必要としないので、簡便である上に既設のトラックスケール等の計量装置への後付けも可能であるという利点がある。
【0062】
〔第4の実施形態〕
図12には、本発明の第4の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のH−H線断面図(b)、(b)のJ部拡大図(c)、力のつりあいを説明するための(b)の簡略図(d)および(d)の力学的等価図(e)がそれぞれ示されている。
第1の実施形態の重心位置測定装置1は4点ロードセル支持の計量載台13を備えたものである。全長の短い車両等を計量する場合の計量装置としては第1の実施形態の重心位置測定装置1で十分であるが、例えばトレーラ連結車両のように全長が長いものを計量する場合、4点ロードセル支持では強度上計量載台の部材を大きくしなければならず不経済である。
かかる不具合を解消するために、第4の実施形態の重心位置測定装置1Cにおいては、図12(a)〜(c)に示されるように、計量載台13Cの中間点に更にロードセル22,25を設けて支持荷重を分担し、計量載台13Cの部材を軽量化して経済的な設計を採用するようにされている。この場合、計量載台13Cが1本ものでは全ロードセル21〜26に荷重を分担させるための高さレベルを調整するのが難しい。その解決策として計量載台13Cを車両進行方向の中間位置で分割計量載台13C1と分割計量載台13C2とに分割して、載台梁の撓みの影響なしにロードセル21〜26に分担荷重がかかるようにしている。第4の実施形態の重心位置測定装置1Cは、このような構成の計量載台13Cにおいても水平面的重心位置を求めることができるようにしたものである。
【0063】
図12(c)に示されるように、分割計量載台13C1の車両進行方向下流側端部が分割計量載台13C2の車両進行方向上流側端部の上に載せられており、これら端部の重ね合わされた部分がまとめて第2ロードセル22および第5ロードセル25によって支えられている。これら端部の重合部分は力学上明解になるようにピンポイントで接触されている態様例を示しているが、実際にはピンポイントに接触させる必要はなく、また重合部分がロードセル22,25の直上でなくでも以下に示す力学的性質は成立する。
【0064】
次に、第4の実施形態の重心位置測定装置1Cにおける力学的性質について、主に図12(d)(e)を用いて以下に説明する。
【0065】
いま、軸重を集中荷重と仮定し、x1>x2>x3>x4,d≦x3,x4<a+d,a+d≦x1,x2<2a+dとする。また、以下において、P1,P2,P3を次のように再定義して用いる。
P1:第1ロードセル21と第4ロードセル24の出力の和
P2:第2ロードセル22と第5ロードセル25の出力の和
P3:第3ロードセル23と第6ロードセル26の出力の和
【0066】
点O2に作用する力
P2=P21+P22
P21:分割計量載台13C1上の荷重がP2に寄与している分
P22:分割計量載台13C2上の荷重がP2に寄与している分
P21=W3x3/a+W4x4/a
P22=W1(2a−x1)/a+W2(2a−x2)/a
点O3に作用する力
P3=W1(x1−a)/a+W2(x2−a)/a
aP2+2aP3={(2a−x1)+2(x1−a)}W1+{(2a−x2)+2(x2−a)}W2+x3W3+x4W4=x1W1+x2W2+x3W3+x4W4
これは図12(d)が力学的に図12(e)と等価であることを意味する。
【0067】
上記の力学的性質は、集中荷重が計量載台13C1にm個、載台13C2に(n−m)個ある場合(m,n:自然数、m≦n)で成り立つことを示すことができる。以下はその証明である。
【数2】
ここで、iは1〜nの自然数である
【0068】
<l1,l2,l3の求め方の説明:図13参照>
(1)車軸間距離の計算式
車軸間距離l1,l2は、第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12が第i軸車輪に踏まれて検知した時刻、t=tiの各時刻におけるロードセル荷重の測定値P2(t),P3(t)およびWiを用いて算出する。
【0069】
l1の算出式:
t=t2(図13(b)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(21)で表わされる。
aP2(t)+2aP3(t)−x1W1=0 ・・・(21)
x1=l1−cであるから、l1は次式(22)より求められる。
l1=(aP2(t)+2aP3(t))/W1+c ・・・(22)
【0070】
l2の算出式:
t=t3(図13(c)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(23)で表わされる。
aP2(t)+2aP3(t)−x1W1−x2W2=0 ・・・(23)
x1=l1+l2−cであり、
x2=x1−l1=l2−cであるから、l2は次式(24)より求められる。
l2=(aP2(t)+2aP3(t)−l1W1)/(W1+W2)+c
・・・(24)
【0071】
l3の算出式:
t=t4(図13(d)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(25)で表わされる。
aP2(t)+2aP3(t)−x1W1−x2W2−x3W3=0
・・・(25)
x1=l1+l2+l3−cであり、
x2=x1−l1=l2+l3−cであり、
x3=x2−l2=l3−cであるから、l3は次式(26)より求められる。
【数3】
【0072】
(2)軸重の測定
軸重は、第1の実施形態のときと同様に図14に示されるように、P(t)=P1(t)+P2(t)+P3(t)の時間経過に伴うステップ状変化から次式(27)によって求められる。
【数4】
ここで、W0=0、τi<t<τi+1、i=1,2,3およびt>τi,i=4である。
【0073】
<XGの求め方の説明>
第1の実施形態のときに述べた計算方法がここでも適用することができる。
4軸の車両3Cの第1車輪7を原点Oとすると、この原点O回りのモーメントのつりあいの一般式は次式(28)で表わされる。ここで、XGは負である。
XGW+W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)=0
・・・(28)
前記式(28)からXGは次式(29)によって求められる。
XG=−{W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)}/W
・・・(29)
ここで、
W=W1+W2+・・・+Wn
Wi=軸重(i=1,2,・・・,n)
n:車軸数
lj:軸間距離
である。
そして、前記式(29)において、n=4とおいて、図12〜13に示される4軸の車両3CのX方向重心位置XGが求められる。
【0074】
<YGの求め方の説明>
前述の4点ロードセル支持の場合と同様に求めることができる。
図12において、計量載台13Cに載荷物(車両3C)がない状態で各ロードセル21〜26の出力を零に調整し、各ロードセル21〜26の出力感度が等しいものとすると、車両3Cの座標系o−xyにおける重心位置yGは、ロードセル21〜26の出力P1,P2,・・・,P6を用いて次式(30)で求めることができる。
yG=(P1+P2+P3)b/W−b/2 ・・・(30)
ただし、W=P1+P2+P3+P4+P5+P6である。
Wは全車軸が計量載台13Cに載りきってから計測すればよい。また、各計測値を用いて行う演算はリアルタイムにする必要はなく、メモリ48に記憶させておいて必要なタイミングで波形処理を施したうえで演算すればよい。
そして、前記式(29)から求められるyGと前記式(15)から求められるfとから前記式(16)を用いて車両3CのY方向の重心位置YGを求めることできる。
【0075】
前記各実施形態において、車両3,3Cの中心X軸と計量載台13,13Cの中心x軸のずれfは各車軸ごとに計算することができるが、これらの計算結果のうちの代表的なものを採用してもよいし、平均値をとって採用してもよい。
【0076】
<本発明との用語の対応関係の説明>
第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12を含む構成が、本発明の「車両幅方向相対位置検出手段」、「車輪所定位置通過検知手段」に対応する。
車両幅方向重心位置演算部50が本発明の「車両幅方向重心位置演算手段」に対応する。
車両全長方向重心位置演算部50が本発明の「車両全長方向重心位置演算部」に対応する。
【0077】
以上、本発明の重心位置測定装置について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の重心位置測定装置は、簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することができるという特性を有していることから、車両の横転防止に資する有効なデータの提供の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 重心位置測定装置
11 第1トレッドセンサ
12 第2トレッドセンサ
13 計量載台
21 第1ロードセル
22 第2ロードセル
23 第3ロードセル
24 第4ロードセル
50 車両幅方向重心位置演算部
51 車両全長方向重心位置演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平面へ射影した車両重心位置を測定する重心位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックやトレーラなどの車両は積荷荷重が大きいだけでなく、積荷を含む車両の重心位置が積荷によって前後・左右へ片寄り、また上方へ移動して車両の走行安定性に影響を及ぼすことが経験上よく知られている。また、車両の旋回中あるいは旋回開始時における横転が、上記の3次元重心位置が大きな要因となって生じることも力学的に明らかにされている。したがって、3次元重心位置の測定は重要である。3次元重心位置のうちの高さの測定装置に関しては、本出願人によって既に特許出願がなされている(特願2009−183443号)。本明細書では、水平面へ射影した重心位置(水平面的重心位置)の測定装置の発明について述べる。
【0003】
従来、トラックやトレーラ等の車両の重量を測定するものとして、トラックスケールが広く用いられている。トラックスケールは、車両が載ることができる載台と、この載台を支持する複数のロードセルと、これらロードセルからの荷重信号に基づいて重量測定に関する所定の演算を実行する演算装置とを備えて構成されている。
【0004】
上記のような構成のトラックスケールにおいて、車両が載台に乗る位置を規定したり、車両の寸法諸元を演算装置に入力したりして、個々のロードセルの荷重信号を解析することにより、車両の水平面的重心位置を測定(算定)することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、上記のトラックスケールを用いた車両の水平面的重心位置の測定方法では、以下のような問題点がある。
(1)車両を規定位置に停止させるには手間と注意が必要である。
(2)車両諸元を調査し、その内容を演算装置に手入力するのは面倒である上に、入力ミスが起きる可能性が高い。
【0006】
一方、走行時の車両の自重方向および幅方向の揺れを検知する揺動検知器からの検知信号に基づく演算ユニットの所定の演算により、車両の3次元空間上の重心位置を求めるようにした重心検知装置がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
しかし、上記の重心検知装置では、以下のような問題点がある。
(1)この装置でも車両の寸法諸元を演算ユニットに入力する必要があり、車両諸元を調査し、その内容を演算ユニットに手入力するのは面倒である上に、入力ミスが起きる可能性が高い。
(2)揺動検知器や演算ユニットを各車両に搭載する必要があり、全車に普及させるためには莫大な費用と時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−105845号公報
【特許文献2】国際公開第2008/062867号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することのできる重心位置測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による重心位置測定装置は、
車両の水平面的重心位置を測定する重心位置測定装置であって、
(a)車両の左右全ての車輪が載ることのできる計量載台と、
(b)車両の幅方向および全長方向に所定の間隔を存して配され、前記計量載台を支持する複数のロードセルと、
(c)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその計量載台に対する車両の幅方向の相対位置を検出する車両幅方向相対位置検出手段と、
(d)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその車両の車輪が所定位置を通過したことを検知する車輪所定位置通過検知手段と、
(e)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車両幅方向相対位置検出手段からの検出信号とに基づいて、車両の幅方向の重心位置を演算する車両幅方向重心位置演算手段と、
(f)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車輪所定位置通過検知手段からの検知信号とに基づいて、車両の全長方向の重心位置を演算する車両全長方向重心位置演算手段と
を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
【0011】
本発明において、前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に配置される棒状部材と、この棒状部材の両端部に貼り付けられるひずみゲージとを備えて構成されるのが好ましい(第2発明)。
【0012】
本発明において、前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に延設される導電性ゴムと、この導電性ゴムが車両の各車輪に踏まれた際の変形部分と接触可能に配置される電気抵抗線とを備えて構成されるのが好ましい(第3発明)。
【0013】
本発明において、前記車両幅方向相対位置検出手段が前記計量載台に組み付けられるのが好ましい(第4発明)。
【0014】
本発明において、前記計量載台は、車両の進行方向に沿って配置される複数の分割計量載台が組み合わされて構成されるのが好ましい(第5発明)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の重心位置測定装置においては、計量載台を支持する複数のロードセルからの荷重信号と、計量載台に対する車両の幅方向の相対位置を検出する車両幅方向相対位置検出手段からの検出信号とに基づいて、車両の幅方向の重心位置が車両幅方向重心位置演算手段によって演算される。これにより、車両の幅方向の重心位置を測定することができる。
また、計量載台を支持する複数のロードセルからの荷重信号と、車両の車輪が所定位置を通過したことを検知する車輪所定位置通過検知手段からの検知信号とに基づいて、車両の全長方向の重心位置が車両全長方向重心位置演算手段によって演算される。これにより、車両の全長方向の重心位置を測定することができる。
本発明の重心位置測定装置によれば、従来技術では必要とされる、車両の寸法諸元等の入力などの煩雑な作業や、別途に車両に搭載される揺動検知器や演算ユニットなどが不要であり、簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のA−A線断面図(b)、(b)のB−B線断面図(c)
【図2】図1(c)のC部拡大図(a)および(a)のD−D(D´−D´)線断面図(b)
【図3】第1の実施形態の重心測定装置の制御系の概略システム構成図
【図4】マイクロプロセッサの機能ブロック図
【図5】車両と重心位置測定装置の水平面的重心位置に関する座標系の定義説明図
【図6】車両が計量載台に載る様子を表わす図
【図7】車両が計量載台に載る際の荷重変化の様子を表わす図
【図8】第1の実施形態の重心位置測定装置の計測動作を説明するフローチャート
【図9】第2の実施形態に係る重心位置測定装置に装備される感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの構造説明図で、車両進行方向手前側から見た図(a)、(a)のE−E線断面図で自由状態図(b)および(a)のE−E線断面図で導電性ゴム圧縮通電状態図(c)
【図10】感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの原理を説明する模式図で、自由状態図(a)、動作状態図(b)、(a)の等価回路図(c)および(b)の等価回路図(d)
【図11】本発明の第3の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のF−F線断面図(b)、(b)のG−G線断面図(c)
【図12】本発明の第4の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のH−H線断面図(b)、(b)のJ部拡大図(c)、力のつりあいを説明するための(b)の簡略図(d)および(d)の力学的等価図(e)
【図13】分割計量載台が組み合わされてなる計量載台に車両が載る様子を表わす図
【図14】分割計量載台が組み合わされてなる計量載台に車両が載る際の荷重変化の様子を表わす図
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明による重心位置測定装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のA−A線断面図(b)、(b)のB−B線断面図(c)がそれぞれ示されている。また、図2には、図1(c)のC部拡大図(a)および(a)のD−D(D´−D´)線断面図(b)がそれぞれ示されている。
【0019】
<第1の実施形態に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図1に示される重心位置測定装置1は、第1トレッドセンサ11と、第2トレッドセンサ12と、計量載台13とを備えている。
第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12は、設置ベース2上において、トラックやトレーラ等の車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置されている。
計量載台13は、設置ベース2上において、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12に対し、車両3の前進走行経路の下流側に配置されている。
なお、本実施形態において、車両3は、左右それぞれに車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが装着される車軸7,8,9を、運転席の下方に1本、荷台の下方に2本、合計3本有する3軸車両である(図5参照)。
また、以下の説明において、前後左右方向は車両3の前進方向を基準として定めるものとする。
【0020】
<第1トレッドセンサおよび第2トレッドセンサの説明>
第1トレッドセンサ11と第2トレッドセンサ12とは、基本的に同じ構造のものである。代表として、第1トレッドセンサ11の構造について説明することとし、この第1トレッドセンサ11の構造説明をもって、第2トレッドセンサ12の構造説明を行ったものとする。
図2(a)に示されるように、第1トレッドセンサ11は、車両3の左側の車輪4a,5a,6aが踏んで通過することができるように車両3の幅方向に水平に配置される棒状部材31を備えている。この棒状部材31は、車両3の進行経路上における計量載台13の手前側の路面GLに埋め込まれている。この棒状部材31は、断面長方形状の金属棒で構成され、その両端部が支持部材32によって支持されている。
図2(b)に示されるように、この棒状部材31の両端部には、それぞれ両側から丸穴状にくり抜かれたような窪み部33a,33a;34a,34aが形成されている。また、これら両側の窪み部33a,33a;34a,34aを仕切るように仕切り板部35;35が形成され、この仕切り板部35;35には、せん断ひずみを検出するひずみゲージ36,37が接着されている。
要するに、第1トレッドセンサ11は、金属製の棒状部材31の両端部にひずみゲージ36,37が接着されてなる一種のロードセルである。
この第1トレッドセンサ11においては、棒状部材31が車輪4a,5a,6aに踏まれると、各ひずみゲージ36,37の信号によって車輪4a,5a,6aが当該トレッドセンサ11(棒状部材31)を踏んだことを検知するとともに、2つのひずみゲージ36,37が検出する荷重差に基づいて車輪4a,5a,6aが踏んだ位置を2つのひずみゲージ36,37に対する相対位置として求めることができるようになっている。
【0021】
<計量載台の説明>
計量載台13は、車両3の左右全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0022】
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
設置ベース2と計量載台13との間には、第1ロードセル21、第2ロードセル22、第3ロードセル23および第4ロードセル24がそれぞれ介設されている。
第1ロードセル21は、計量載台13における車両進行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第2ロードセル22は、計量載台13における車両進行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第3ロードセル23は、計量載台13における車両進行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
第4ロードセル24は、計量載台13における車両進行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0023】
<各ロードセルの機能説明>
各ロードセル21〜24は、ひずみゲージ式のロードセルで、作用した荷重をその大きさに応じて電気的な荷重信号に変換して出力する機能を有するものである。
【0024】
<重心位置測定装置の制御系のシステム構成の説明>
図3に示されるように、重心測定装置1は、制御装置40と、操作装置41と、表示装置42とを備えている。
【0025】
<制御装置の概略説明>
制御装置40は、主として、増幅器43と、ローパスフィルタ44と、マルチプレクサ45と、A/D変換器46と、I/O回路47と、メモリ48と、マイクロプロセッサ(MPU)49とにより構成されている。
増幅器43は、送り込まれる信号をA/D変換可能な大きさに増幅して送り出す機能を有している。
ローパスフィルタ44は、低域周波数のみを信号として通過させる機能を有している。
マルチプレクサ45は、送り込まれる複数の信号を選択制御信号の指令に基づいて選択的に送り出す機能を有している。
A/D変換器46は、マルチプレクサ45からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有している。
I/O回路47は、A/D変換器46と、操作装置41と、表示装置42と、メモリ48と、MPU49との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を有している。
メモリ48は、PROMやRAMなどで構成され、所定プログラムや基本データなどを長期的に記憶したり、種々のデータや演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を有している。
MPU49は、メモリ48に格納されている所定プログラムの指示に従って、必要な信号をI/O回路47を介して受け取り、また必要なデータをメモリ48から受け取り、受け取った信号やデータに基づいて演算を実行する機能を有している。
【0026】
<操作装置の概略説明>
操作装置41は、操作スイッチや数値キーなどを備えてなり、測定開始・終了の指令や零点調整、使用モードの切り換え、数値設定などの種々の動作の際に用いられる。
【0027】
<表示装置の概略説明>
表示装置42は、例えば液晶ディスプレイからなり、測定結果や各種データの入出力画面などが表示される。
【0028】
<重心位置測定装置の制御系システムの処理動作の概略説明>
重心測定装置1の制御系システムにおいては、各ロードセル21〜24および各トレッドセンサ11,12の信号が、増幅器43、ローパスフィルタ44、マルチプレクサ45、A/D変換器46およびI/O回路47を経由してMPU49に送られる。MPU49は、メモリ48に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路47からの信号を取り込み、またメモリ48に記憶されている種々のデータを読み込み、これらの信号やデータに基づいて車両3の水平面的重心位置の演算を実行する。そして、その演算結果は表示装置42に表示される。
【0029】
<制御装置の機能説明>
MPU49においては、所定プログラムが実行されることにより、図4に示される、車両幅方向重心位置演算部50、車両全長方向重心位置演算部51および出力信号生成部52のそれぞれの機能が実現される。
【0030】
<車両の重心Gの座標(XG,YG)の求め方の理論説明>
次に、主として、図5〜図7を用いて、車両3の重心Gの座標(XG,YG)の求め方について説明する。
車両3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿ってX軸を定め、第1車軸7に沿ってY軸を定め、X軸とY軸の交点を原点とした直交座標系O−XYを定める。
計量載台13の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる幅方向中心線に沿ってx軸を定め、計量載台13の全長方向の中心位置を通り幅方向に延びる全長方向中心線に沿ってy軸を定め、両軸の交点すなわち計量載台13の中央に原点をとって、直交座標系o−xyを定める。
ロードセル21〜24のそれぞれの出力は無負荷時において零に調整されているものとする。
【0031】
<記号の定義(車両関連)の説明>
図中および理論式で用いる記号の意味を下記のとおり定義する。
G:車両3の重心
i(=1,2,・・・,k):車軸番号
k:車軸数(k≧2)
XG:座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置
YG:座標系O−XYにおける車両3の幅方向の重心位置
xG:座標系o−xyにおける車両3の全長方向の重心位置
yG:座標系o−xyにおける車両3の幅方向の重心位置
B,Bi:有効トレッド間隔
ここで、トレッド間隔とは、車両3の左右の車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bの中心間距離、つまり輪距のことである。
lj:車軸間距離
j(=1,2,・・・,k−1):車軸間番号(k≧2)
e:車両重心位置のX軸からの距離(=YG)
【0032】
<記号の定義(ロードセル関連)の説明>
LC1:第1ロードセル21
LC2:第2ロードセル22
LC3:第3ロードセル23
LC4:第4ロードセル24
a:第1ロードセル21(第3ロードセル23)と第2ロードセル22(第4ロードセル24)との中心間距離
b:第1ロードセル21(第2ロードセル22)と第3ロードセル23(第4ロードセル24)との中心間距離
なお、上記記号のうち、a,bは既知の値であり、これらの値は予めメモリ48に記憶される。
【0033】
<記号の定義(車両と載台との相対位置関連)の説明>
f:X軸とx軸との距離
【0034】
<記号の定義(力学関連)の説明>
WLi:輪重(左側)
WRi:輪重(右側)
Wi:第i軸の軸重
W:総重量
Pi:第iロードセルに作用する力(=そのロードセルから載台に作用する力)
Pj:第jロードセルに作用する力(=そのロードセルから載台に作用する力)
Pij:Pi+Pj
P=P1+P2+P3+P4
t:第1車軸7が第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12の車両進行方向の中央にあるときの時刻を原点にとった時間
ti:第i車軸が第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12の車両進行方向の中央にあるときの時刻
τi:第i車軸の軸重Wiが計量載台13に負荷された時刻
【0035】
<記号の定義(トレッドセンサ関連)の説明>
c:第1トレッドセンサ11と第1ロードセル21との距離(第2トレッドセンサ12と第3ロードセル23との距離)
S0:中央線38からひずみゲージ36までの距離
S1:ひずみゲージ36と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離
S2:ひずみゲージ37と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離
S3:ひずみゲージ36とひずみゲージ37との距離
S:中央線38から左右側の車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bのトレッド幅中心までの距離
SL:第1トレッドセンサ11によるS
SR:第2トレッドセンサ12によるS
なお、上記記号のうち、c,S0,S3は既知の値であり、これらの値は予めメモリ48に記憶される。
【0036】
<XG,ljの測定の説明:図6,7参照>
図6(a)〜(d)には、車両3が計量載台13に載る様子を段階的に表わす図が示され、図7には、各段階の荷重変化の様子を表わす図が示されている。
XGの測定には、ljの測定が不可欠である。また、ljは、第1ロードセル21〜第4ロードセル24の出力P1(t)〜P4(t)に基づいて求めることができる。
【0037】
<l1,l2の求め方の説明>
(1)車軸間距離の計算式
車軸間距離l1,l2は、第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12が第i軸車輪に踏まれて検知した時刻、t=tiの各時刻におけるロードセル22,24の荷重の測定値P24(t)およびWiを用いて算出する。
【0038】
l1の算出式:
t=t2(図6(c)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(1)で表わされる。
aP24(t)−x1W1=0 ・・・(1)
x1=l1−cであるから、l1は次式(2)より求められる。
l1=aP24(t)/W1+c ・・・(2)
【0039】
l2の算出式:
t=t3(図6(d)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(3)で表わされる。
aP24(t)−x1W1−x2W2=0 ・・・(3)
x1=l1+x2であり、
x2=l2−cであるから、l2は次式(4)より求められる。
l2=(aP24(t)−l1W1)/(W1+W2)+c ・・・(4)
【0040】
(2)軸重の測定
前記式(2)で表わされるl1の計算式や、前記式(4)で表わされるl2の計算式のうち、P24(t)は各車輪がトレッドセンサ11,12を踏んだ時点のロードセル22,24の荷重P24により求められる。また、各軸重Wiは、図7に示されるような全体荷重変化に基づいて、次式(5)により求められる。
【数1】
ここで、P(t)は、次式(6)で表わされる。
P(t)=P13(t)+P24(t) ・・・(6)
また、W0=0、τi<t<τi+1、i=1,2およびt>τi,i=3である。
【0041】
<XGの求め方の説明>
車両3の第1車輪7を原点Oとすると、この原点O回りのモーメントのつりあいの一般式は次式(7)で表わされる。ここで、XGは負である。
XGW+W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)=0
・・・(7)
前記式(7)からXGは次式(8)によって求められる。
XG=−{W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)}/W
・・・(8)
ここで、
W=W1+W2+・・・+Wn
Wi=軸重(i=1,2,・・・,n)
n:車軸数
li:軸間距離
である。
そして、前記式(8)において、n=3とおいて、図5に示される3軸の車両3のX方向重心位置XGが求められる。
【0042】
<YGの求め方の説明>
図5において、計量載台13に載荷物(車両3)がない状態で各ロードセル21〜24の出力を零に調整し、各ロードセル21〜24の出力感度が等しいものとすると、車両3の座標系o−xyにおける重心位置yGは、ロードセル21〜24の出力P1,P2,P3,P4を用いて次式(9)で求めることができる。
yG=(P1+P2)b/W−b/2 ・・・(9)
ただし、W=P1+P2+P3+P4である。
Wは全車軸7,8,9が計量載台13に載りきってから計測すればよい。また、各計測値を用いて行う演算はリアルタイムにする必要はなく、メモリ48に記憶させておいて必要なタイミングで波形処理を施したうえで演算すればよい。
【0043】
<計量載台に対する車両の幅方向の相対位置の測定の説明>
図1(c)および図2(a)に示されるように、第1トレッドセンサ11と第2トレッドセンサ12とは計量載台13の中央線38を挟んで対称形に設置されている。前述したように、第1トレッドセンサ11と第2トレッドセンサ12とは同じ構造のものであり、図2(a)において第1トレッドセンサ11のみ図示することとし、第2トレッドセンサ12は図示省略する。
【0044】
今、例えば左側の車輪4a,5a,6aが第1トレッドセンサ11の棒状部材31を踏むと、ひずみゲージ36,37部分に左側の車輪4a,5a,6aの荷重(輪重)WLがかかり、次式(10)(11)で示される比率で分配される。
ひずみゲージ36が検出する力F36=WL1S2/S3 ・・・(10)
ひずみゲージ37が検出する力F37=WL1S1/S3 ・・・(11)
これら式(10)(11)から、F36/F37=S2/S1となり、F36,F37を計測すると、ひずみゲージ間距離S3に対する左側の車輪4a,5a,6aの接地点の距離S1,S2を計算することができる。
ここで、ひずみゲージ間距離S3は、ひずみゲージ36とひずみゲージ37との距離であり、距離S1は、ひずみゲージ36と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離であり、距離S2は、ひずみゲージ37と左側車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心との距離である。
また、2個のトレッドセンサ11,12の中央線(=計量載台13の中央線)38からひずみゲージ36までの距離S0は設計上定まっているので、計算により、中央線38から左側の車輪4a,5a,6aのトレッド幅中心までの距離Sが求められる。以上は車両進行方向に向かって左側の第1トレッドセンサ11について述べたが、車両進行方向に向かって右側の第2トレッドセンサ12についても同じことが言える。
【0045】
第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12のそれぞれのS(=S1+S0)を合計すればトレッド間隔Bを求めることができる。そして、S−B/2を計算すると、車両3のY方向位置偏差fが求められる。
ところで、トレッド間隔Bjは各車軸7,8,9ごとに求められるが、fの計算に用いられるのはBjの決定法に基づいて決定される1つの値(=B)である。なお、Bjの決定法については後述する。
第1トレッドセンサ11によるSをSL、第2トレッドセンサ12によるSをSRとして区別して書くと、次式(12)(13)(14)(15)が成立する。
SL=SL1+S0 ・・・(12)
SR=SR1+S0 ・・・(13)
B=SL+SR ・・・(14)
f=SL−B/2 ・・・(15)
そして、車両3のY方向の重心位置YGは次式(16)で求めることができる。
YG=yG−f ・・・(16)
【0046】
この構造のトレッドセンサ11,12の車両進行方向の幅寸法は小さく、車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bの踏面はトレッドセンサ11,12の車両進行方向において前後が路面GLに跨り、車輪荷重全体がトレッドセンサ11,12にかかるわけではない。しかしながら、「荷重の比率=長さの比率」およびそれにより車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bの踏面の位置とトレッド間隔Bを求める上で荷重の絶対値は不要であり、その意味で輪重の計測精度を必要としないので、この構造で実用に供することができる。
図2およびその説明では金属製の棒状部材31の両端部にひずみゲージ36,37を貼り付けて一種のロードセルとして一体型に製作する方式のものを示したが、この構造にこだわる必要はなく、単純な棒状部材の両端部を通常のロードセルで受ける構造のものを採用してもよい。
また、このトレッドセンサ11,12または上記で述べたロードセルで受ける構造のものにおけるロードセルの取付部にばね等を介設し、一定以上の荷重がかかるとそのばね等が撓んでセンサに限界以上の荷重が確実にかからな構造のものとしても前述の機能および精度にほとんど変わりはない。こうすることによってトレッドセンサ11,12自体を軽量化して安価なものとすることができる。
【0047】
<重心位置測定装置の計測動作の説明>
次に、重心位置測定装置1の計測動作について、主に、図4の機能ブロック図および図8のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図8において記号「S」および「T」はそれぞれステップを表わす。
【0048】
<ステップS1の処理内容の説明>
車両幅方向重心位置演算部50は、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12のトレッド検出信号を読み込み、読み込んだ検出信号と、前記式(14)とに基づいて、有効トレッド幅Bを演算するとともに、求められた有効トレッド幅Bの値と、前記式(15)とに基づいて、車両3のY方向偏差fを演算する。
また、一方でロードセル21〜24からの荷重信号に基づいて計量載台13と計量載台13上の車両3を合わせた全体のy方向重心位置yGを演算する。
さらに、前記式(16)を用いてyGと車両3のY方向偏差fとから車両重心位置YGを確定する。
【0049】
<ステップS2〜ステップS3の処理内容の説明>
そして、出力信号生成部53は、車両幅方向重心位置演算部50による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(S2)。これにより、表示装置42には、車両3の幅方向の重心位置の値が表示される(S3)。同時に信号として車両幅方向の重心位置YGとトレッド幅Bが出力される。
【0050】
<ステップT1〜ステップT3の処理内容の説明>
車両全長方向重心位置演算部51は、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12のそれぞれの検出信号を読み込むとともに、ロードセル21〜24の荷重信号を読み込み、読み込んだ信号と、前記式(2)(4)とに基づいて、車軸間距離l1,l2を演算するとともに、算出された車軸間距離l1,l2の値と、前記式(8)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置XGを演算する(T1)。
そして、出力信号生成部53は、車両全長方向重心位置演算部51による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(T2)。これにより、表示装置42には、車両3の全長方向の重心位置の値が表示される(T3)。また、かかる演算結果の信号を出力する。
【0051】
<第1の実施形態の重心位置測定装置の作用効果の説明>
第1の実施形態の重心位置測定装置1によれば、簡易かつ安価な構成で車両3の水平面的重心位置G(XG,YG)を測定することができ、車両3の横転防止に資する有効なデータを運転者等に提供することができる。
【0052】
〔第2の実施形態〕
図9には、第2の実施形態に係る重心位置測定装置に装備される感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの構造説明図で、車両進行方向手前側から見た図(a)、(a)のE−E線断面図で自由状態図(b)および(a)のE−E線断面図で導電性ゴム圧縮通電状態図(c)がそれぞれ示されている。
また、図10には、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサの原理を説明する模式図で、自由状態図(a)、動作状態図(b)、(a)の等価回路図(c)および(b)の等価回路図(d)がそれぞれ示されている。
この第2の実施形態の重心位置測定装置1Aは、第1の実施形態の重心位置測定装置1に装備されているひずみゲージ式のトレッドセンサ11,12に代えて、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサ11A,12Aを採用した点が異なるのみで、その他の構成については第1の実施形態の重心位置測定装置1と基本的に同じである。
したがって、第2の実施形態の重心位置測定装置1Aにおいて、第1の実施形態の重心位置測定装置1と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては第1の実施形態の重心位置測定装置1と異なる点を中心に説明することとする。
【0053】
<第2の実施形態に係るトレッドセンサの検出原理の説明>
感圧ゴムと電気抵抗線を組み合わせて車両3のトレッド間隔Bを検出する方法について述べる。
これに類似した従来の方法は、特開昭53−19860〜19863号公報に記載されている。
しかし、これらの従来の方法は回路中にスイッチ、またはダイオード、または交流電源などを組み込む必要があり、または電気抵抗式検出器を複数列用意する必要があった。そのうえ、従来の方法はトレッド幅とトレッド間隔とを測定するのが目的であって、本実施形態に係るトレッドセンサ11A,12Aのように2個のセンサの接合部(計量載台中心)から左右別々にトレッド(踏面)の位置を知ることができるものではない。また、トレッド間隔Bを検出するためには導線中央に抵抗やスイッチ、ダイオードなどを挿入する必要が述べられている。本実施形態の重心位置測定装置1Aに装備されるトレッドセンサ11A,12Aはこれらの欠点を排除し簡単な回路で、しかもスイッチング動作なしに中央点から左右の車輪踏面中心までの距離、およびトレッド間隔Bを求めるものである。
【0054】
図9(a)(b)に示される、感圧ゴム・電気抵抗線式のトレッドセンサ11A,12Aにおいては、路面GLの溝60に埋め込まれたカバーゴム61の中にリボン状の導電線62と感圧導電性ゴム63と電気抵抗線64がサンドイッチ状態で設置されている。
この上面をトラックなどの車両3が通過するとき、カバーゴム61が例えば第1車軸7の左側の車輪4aに踏まれると、図9(c)に示されるように、車輪4aの踏面の部分のみ感圧導電性ゴム63が圧縮され、上部の導電線62と下部の電気抵抗線64が短絡されて感圧導電性ゴム63が通電状態となる。
図10(a)は車輪に踏まれる前の状態図で、同図(c)はそのときの等価回路図であり、同図(b)は車輪に踏まれた状態図で、同図(d)はそのときの等価回路図である。
以後、各電圧計により電圧を計測し、AD変換してデジタル値として各種演算を行うものとして説明する。
【0055】
図10(c)に示される等価回路の状態のとき、抵抗Rdには電圧Ed0と抵抗R0、Rdに関連して電流I0が流れている。これは電圧計Vdにより電圧E0を計測することで求められる。
I0=Ed/Rd
また、
I0=E0/(R0+Rd)
これから抵抗R0が導き出される。
R0=E0/I0−Rd
ここで、R0は中央線38から外へ半分の距離に相当する抵抗値である。
【0056】
次に、図10(d)に示される等価回路図の状態のときのようにRtの部分が短絡されて導通状態となり抵抗R1+R2+Rdに電流I1が流れる。これは電圧計Vdにより電圧Ed1を計測することで求められる。
I1=Ed1/Rd
また、
I1=E0/(R1+R2+R3)
これから抵抗(R1+R2)が導きだされる。
(R1+R2)=E0/I1−Rd
(R1+R2)は計量載台13の幅寸法の半分(L0,R0)からトレッド幅(Lt,Rt)を差し引いた距離に相当する抵抗値である。
【0057】
次に、図10(d)に示される等価回路図の状態のときの電圧を測定し抵抗値を導き出す。
電圧V1により計測された電圧E1より、
R1=E1/I2
電圧計V2により計測された電圧E2より
R2=E2/I2
これらを距離に換算すると、
L1=L0R1/(R1+R2)
L2=L0R2/(R1+R2)
Lt=L0−L1−L2
=R0−R1−R2
となる。
【0058】
計量載台13の中心からトレッド中心までの距離SはS=Lt+Lt/2で求めることができ、車両3のトレッド間隔Bは反対側トレッドセンサのS(=Lt+Lt/2)を足し算することで求められる。
車両3の中心すなわちトレッド間隔Bの中心と計量載台13の中心との偏心量fはf=S−B/2として求める。
【0059】
なお、車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bに踏まれる前の定常状態のときに抵抗と距離の関係を補正して合せておくと、抵抗値が温度で変化しても距離との関係は正しいものとすることができる。
上記説明では、原理を明らかにするために抵抗値を求めてから抵抗値を距離に換算したが、抵抗値R1、R2は電圧値E1、E2と比例するので実際の装置では電圧値のままで演算してもよい。
厳密には電圧計V1,V2,V3および分流抵抗Rdは誤差要因となるが電圧部は内部抵抗が抵抗線R0に比べて十分に抵抗値の大きいものを、また、分流抵抗Rdは抵抗線R0に比べて十分小さい抵抗値のもの(例えば、Rd/R0=1/1000)を用いることで実用上の誤差は無視できるものとなる。また演算の過程でこれらを数値的に補正してもよい。
感圧導電性ゴム63自体に適当な抵抗を持たせて製作すると、下部の電気抵抗線64を省略することができる。また、電気抵抗線64を連続した抵抗線としたが、抵抗部品を連ねて接合部のみを感圧導電性ゴム63に接するようにしても抵抗が段階的に変化して精度が若干落ちることが許容されるならば採用可能である。
【0060】
〔第3の実施形態〕
図11には、本発明の第3の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のF−F線断面図(b)、(b)のG−G線断面図(c)がそれぞれ示されている。
【0061】
<第3の実施形態に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図11に示される重心位置測定装置1Bは、図1に示される第1の実施形態の重心位置測定装置1と同様に第1トレッドセンサ11と、第2トレッドセンサ12と、計量載台13とを備えているが、その設置場所が車両進行方向において異なる。
すなわち、第1の実施形態の重心位置測定装置1では、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12がそれぞれ路面GLに埋め込まれる態様例で、車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置されている。これに対して、第3の実施形態の重心位置測定装置1Bでは、図11に示されるように、第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12が、計量載台13上であって車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に組み付けられている。なお、これらトレッドセンサ11,12を計量載台13における車両3の前進走行経路の上流側端面に配置してもよい。また、第1ロードセル21と第3ロードセル23の中心線を結ぶ線上に配置してもよい。これらの場合、トレッドセンサ11,12の検知信号とロードセル21〜24のタイミングt1を変更することで対応可能である。
上記以外の構成は第1の実施形態の重心位置測定装置1と同様であり、基本的に第1の実施形態の重心位置測定装置1と同様にXG,YGを求めることができ、同様の作用効果を得ることができる。
さらに、第3の実施形態の重心位置測定装置によれば、トレッドセンサ11,12の設置に際して、第1の実施形態の重心位置測定装置1では必要とされる路面GLに対する基礎コンクリート工事を必要としないので、簡便である上に既設のトラックスケール等の計量装置への後付けも可能であるという利点がある。
【0062】
〔第4の実施形態〕
図12には、本発明の第4の実施形態に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のH−H線断面図(b)、(b)のJ部拡大図(c)、力のつりあいを説明するための(b)の簡略図(d)および(d)の力学的等価図(e)がそれぞれ示されている。
第1の実施形態の重心位置測定装置1は4点ロードセル支持の計量載台13を備えたものである。全長の短い車両等を計量する場合の計量装置としては第1の実施形態の重心位置測定装置1で十分であるが、例えばトレーラ連結車両のように全長が長いものを計量する場合、4点ロードセル支持では強度上計量載台の部材を大きくしなければならず不経済である。
かかる不具合を解消するために、第4の実施形態の重心位置測定装置1Cにおいては、図12(a)〜(c)に示されるように、計量載台13Cの中間点に更にロードセル22,25を設けて支持荷重を分担し、計量載台13Cの部材を軽量化して経済的な設計を採用するようにされている。この場合、計量載台13Cが1本ものでは全ロードセル21〜26に荷重を分担させるための高さレベルを調整するのが難しい。その解決策として計量載台13Cを車両進行方向の中間位置で分割計量載台13C1と分割計量載台13C2とに分割して、載台梁の撓みの影響なしにロードセル21〜26に分担荷重がかかるようにしている。第4の実施形態の重心位置測定装置1Cは、このような構成の計量載台13Cにおいても水平面的重心位置を求めることができるようにしたものである。
【0063】
図12(c)に示されるように、分割計量載台13C1の車両進行方向下流側端部が分割計量載台13C2の車両進行方向上流側端部の上に載せられており、これら端部の重ね合わされた部分がまとめて第2ロードセル22および第5ロードセル25によって支えられている。これら端部の重合部分は力学上明解になるようにピンポイントで接触されている態様例を示しているが、実際にはピンポイントに接触させる必要はなく、また重合部分がロードセル22,25の直上でなくでも以下に示す力学的性質は成立する。
【0064】
次に、第4の実施形態の重心位置測定装置1Cにおける力学的性質について、主に図12(d)(e)を用いて以下に説明する。
【0065】
いま、軸重を集中荷重と仮定し、x1>x2>x3>x4,d≦x3,x4<a+d,a+d≦x1,x2<2a+dとする。また、以下において、P1,P2,P3を次のように再定義して用いる。
P1:第1ロードセル21と第4ロードセル24の出力の和
P2:第2ロードセル22と第5ロードセル25の出力の和
P3:第3ロードセル23と第6ロードセル26の出力の和
【0066】
点O2に作用する力
P2=P21+P22
P21:分割計量載台13C1上の荷重がP2に寄与している分
P22:分割計量載台13C2上の荷重がP2に寄与している分
P21=W3x3/a+W4x4/a
P22=W1(2a−x1)/a+W2(2a−x2)/a
点O3に作用する力
P3=W1(x1−a)/a+W2(x2−a)/a
aP2+2aP3={(2a−x1)+2(x1−a)}W1+{(2a−x2)+2(x2−a)}W2+x3W3+x4W4=x1W1+x2W2+x3W3+x4W4
これは図12(d)が力学的に図12(e)と等価であることを意味する。
【0067】
上記の力学的性質は、集中荷重が計量載台13C1にm個、載台13C2に(n−m)個ある場合(m,n:自然数、m≦n)で成り立つことを示すことができる。以下はその証明である。
【数2】
ここで、iは1〜nの自然数である
【0068】
<l1,l2,l3の求め方の説明:図13参照>
(1)車軸間距離の計算式
車軸間距離l1,l2は、第1トレッドセンサ11または第2トレッドセンサ12が第i軸車輪に踏まれて検知した時刻、t=tiの各時刻におけるロードセル荷重の測定値P2(t),P3(t)およびWiを用いて算出する。
【0069】
l1の算出式:
t=t2(図13(b)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(21)で表わされる。
aP2(t)+2aP3(t)−x1W1=0 ・・・(21)
x1=l1−cであるから、l1は次式(22)より求められる。
l1=(aP2(t)+2aP3(t))/W1+c ・・・(22)
【0070】
l2の算出式:
t=t3(図13(c)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(23)で表わされる。
aP2(t)+2aP3(t)−x1W1−x2W2=0 ・・・(23)
x1=l1+l2−cであり、
x2=x1−l1=l2−cであるから、l2は次式(24)より求められる。
l2=(aP2(t)+2aP3(t)−l1W1)/(W1+W2)+c
・・・(24)
【0071】
l3の算出式:
t=t4(図13(d)参照)においてロードセル21,23を支点とするモーメントのつりあい式は次式(25)で表わされる。
aP2(t)+2aP3(t)−x1W1−x2W2−x3W3=0
・・・(25)
x1=l1+l2+l3−cであり、
x2=x1−l1=l2+l3−cであり、
x3=x2−l2=l3−cであるから、l3は次式(26)より求められる。
【数3】
【0072】
(2)軸重の測定
軸重は、第1の実施形態のときと同様に図14に示されるように、P(t)=P1(t)+P2(t)+P3(t)の時間経過に伴うステップ状変化から次式(27)によって求められる。
【数4】
ここで、W0=0、τi<t<τi+1、i=1,2,3およびt>τi,i=4である。
【0073】
<XGの求め方の説明>
第1の実施形態のときに述べた計算方法がここでも適用することができる。
4軸の車両3Cの第1車輪7を原点Oとすると、この原点O回りのモーメントのつりあいの一般式は次式(28)で表わされる。ここで、XGは負である。
XGW+W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)=0
・・・(28)
前記式(28)からXGは次式(29)によって求められる。
XG=−{W2l1+W3(l1+l2)+・・・+Wn(l1+l2+・・・+ln−1)}/W
・・・(29)
ここで、
W=W1+W2+・・・+Wn
Wi=軸重(i=1,2,・・・,n)
n:車軸数
lj:軸間距離
である。
そして、前記式(29)において、n=4とおいて、図12〜13に示される4軸の車両3CのX方向重心位置XGが求められる。
【0074】
<YGの求め方の説明>
前述の4点ロードセル支持の場合と同様に求めることができる。
図12において、計量載台13Cに載荷物(車両3C)がない状態で各ロードセル21〜26の出力を零に調整し、各ロードセル21〜26の出力感度が等しいものとすると、車両3Cの座標系o−xyにおける重心位置yGは、ロードセル21〜26の出力P1,P2,・・・,P6を用いて次式(30)で求めることができる。
yG=(P1+P2+P3)b/W−b/2 ・・・(30)
ただし、W=P1+P2+P3+P4+P5+P6である。
Wは全車軸が計量載台13Cに載りきってから計測すればよい。また、各計測値を用いて行う演算はリアルタイムにする必要はなく、メモリ48に記憶させておいて必要なタイミングで波形処理を施したうえで演算すればよい。
そして、前記式(29)から求められるyGと前記式(15)から求められるfとから前記式(16)を用いて車両3CのY方向の重心位置YGを求めることできる。
【0075】
前記各実施形態において、車両3,3Cの中心X軸と計量載台13,13Cの中心x軸のずれfは各車軸ごとに計算することができるが、これらの計算結果のうちの代表的なものを採用してもよいし、平均値をとって採用してもよい。
【0076】
<本発明との用語の対応関係の説明>
第1トレッドセンサ11および第2トレッドセンサ12を含む構成が、本発明の「車両幅方向相対位置検出手段」、「車輪所定位置通過検知手段」に対応する。
車両幅方向重心位置演算部50が本発明の「車両幅方向重心位置演算手段」に対応する。
車両全長方向重心位置演算部50が本発明の「車両全長方向重心位置演算部」に対応する。
【0077】
以上、本発明の重心位置測定装置について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の重心位置測定装置は、簡易かつ安価な構成で車両の水平面的重心位置を測定することができるという特性を有していることから、車両の横転防止に資する有効なデータの提供の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
1 重心位置測定装置
11 第1トレッドセンサ
12 第2トレッドセンサ
13 計量載台
21 第1ロードセル
22 第2ロードセル
23 第3ロードセル
24 第4ロードセル
50 車両幅方向重心位置演算部
51 車両全長方向重心位置演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の水平面的重心位置を測定する重心位置測定装置であって、
(a)車両の左右全ての車輪が載ることのできる計量載台と、
(b)車両の幅方向および全長方向に所定の間隔を存して配され、前記計量載台を支持する複数のロードセルと、
(c)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその計量載台に対する車両の幅方向の相対位置を検出する車両幅方向相対位置検出手段と、
(d)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその車両の車輪が所定位置を通過したことを検知する車輪所定位置通過検知手段と、
(e)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車両幅方向相対位置検出手段からの検出信号とに基づいて、車両の幅方向の重心位置を演算する車両幅方向重心位置演算手段と、
(f)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車輪所定位置通過検知手段からの検知信号とに基づいて、車両の全長方向の重心位置を演算する車両全長方向重心位置演算手段と
を備えることを特徴とする重心位置測定装置。
【請求項2】
前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に配置される棒状部材と、この棒状部材の両端部に貼り付けられるひずみゲージとを備えて構成されるものである請求項1に記載の重心位置測定装置。
【請求項3】
前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に延設される導電性ゴムと、この導電性ゴムが車両の各車輪に踏まれた際の変形部分と接触可能に配置される電気抵抗線とを備えて構成されるものである請求項1に記載の重心位置測定装置。
【請求項4】
前記車両幅方向相対位置検出手段が前記計量載台に組み付けられる請求項1〜3のいずれかに記載の重心位置測定装置。
【請求項5】
前記計量載台は、車両の進行方向に沿って配置される複数の分割計量載台が組み合わされて構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の重心位置測定装置。
【請求項1】
車両の水平面的重心位置を測定する重心位置測定装置であって、
(a)車両の左右全ての車輪が載ることのできる計量載台と、
(b)車両の幅方向および全長方向に所定の間隔を存して配され、前記計量載台を支持する複数のロードセルと、
(c)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその計量載台に対する車両の幅方向の相対位置を検出する車両幅方向相対位置検出手段と、
(d)車両が前記計量載台に載り込む際におけるその車両の車輪が所定位置を通過したことを検知する車輪所定位置通過検知手段と、
(e)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車両幅方向相対位置検出手段からの検出信号とに基づいて、車両の幅方向の重心位置を演算する車両幅方向重心位置演算手段と、
(f)前記複数のロードセルからの荷重信号と、前記車輪所定位置通過検知手段からの検知信号とに基づいて、車両の全長方向の重心位置を演算する車両全長方向重心位置演算手段と
を備えることを特徴とする重心位置測定装置。
【請求項2】
前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に配置される棒状部材と、この棒状部材の両端部に貼り付けられるひずみゲージとを備えて構成されるものである請求項1に記載の重心位置測定装置。
【請求項3】
前記車両幅方向相対位置検出手段は、車両の各車輪が踏んで通過することができるように車両の幅方向に水平に延設される導電性ゴムと、この導電性ゴムが車両の各車輪に踏まれた際の変形部分と接触可能に配置される電気抵抗線とを備えて構成されるものである請求項1に記載の重心位置測定装置。
【請求項4】
前記車両幅方向相対位置検出手段が前記計量載台に組み付けられる請求項1〜3のいずれかに記載の重心位置測定装置。
【請求項5】
前記計量載台は、車両の進行方向に沿って配置される複数の分割計量載台が組み合わされて構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の重心位置測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−52942(P2012−52942A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196412(P2010−196412)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】
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