説明

重曹収納容器

【課題】重曹の持つ多面的用途特性を充分に活用しえる重曹収納容器を提供すること。
【解決手段】容器本体1は、その内面に多孔性シートを有し、多孔性シートの存在する側壁の一部に、多孔性シートから分離して切り取られる第1領域11を有するとともに、多孔性シートの存在しない状態で、容器本体1の内部に直接開口される第2領域12を有している。重曹2は、粉末状であって、多孔性シートの最大孔径よりも大きい粒径を有し、容器本体1の内部に収納されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重曹の持つ多面的用途特性を充分に利用しえる重曹収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
重曹が、脱臭、消毒、洗浄、又は研磨など、多面的用途において有効であることは、例えば、特許文献1に開示されている。また、日常生活でも既に実用に供されている。
【0003】
しかし、従来は、脱臭、消毒、洗浄などの用途毎に、その用途に対応した形態で商品化されており、ユーザは、その商品の形態に応じて、脱臭専用、消毒専用又は洗浄専用として使用せざるを得なかった。例えば、脱臭用として提供されたものは、その商品形態として、消毒や洗浄に適した商品形態にはなっておらず、ユーザは、脱臭用として専用する他はなかった。このため、従来は、多面的用途を持つ重曹の特性を、充分に活かすことができなかった。
【特許文献1】特表2000−515204
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、重曹の持つ多面的用途特性を充分に活用しえる重曹収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明に係る重曹収納容器は、容器本体と、重曹とを含む。容器本体は、その内面に多孔性シートを有し、多孔性シートの存在する側壁の一部に、前記多孔性シートから分離して開口される第1領域を有するとともに、多孔性シートの存在しない状態で容器本体1の内部に開口される第2領域を有している。重曹は、粉末状であって、多孔性シートの最大孔径よりも大きい粒径を有し、容器本体の内部に収納されている。
【0006】
上述したように、本発明に係る重曹収納容器において、容器本体は、その内面に多孔性シートを有し、側壁の一部に、前記多孔性シートから分離して開口可能な第1領域を有しており、重曹は容器本体の内部に収納されているから、使用に当たり、第1領域を開口させて第1開口部を生じさせることにより、重曹の蒸発成分を、第1開口部から外部に放散し、周囲の臭いを消臭する脱臭作用に供することができる。重曹は粉末状であるから、限られた容器本体の内部容積において、重曹の表面積を増大させ、高い消臭作用が得られる。
【0007】
しかも、重曹は、多孔性シートの最大孔径よりも大きい粒径を有しているから、第1領域に生じた第1開口部から、粉末状の重曹が外部に漏出することがない。従って、消臭用途において、周囲が重曹粉末によって汚れることもない。
【0008】
更に、容器本体は、多孔性シートの存在しない状態で、容器本体の内部に開口可能な第2領域を有しているから、例えば3ヶ月の長期の脱臭用途に供した後、第2領域に第2開口部を生じさせ、容器本体の内部に収納されている重曹を、第2開口部をとおして外部に取り出し、洗浄、消毒又は研磨などの用途に供することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本発明によれば、重曹の持つ多面的用途特性を充分に活用しえる重曹収納容器を提供することができる。
【0010】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明に係る重曹収納容器の外観斜視図、図2は図1の2−2線断面図である。図示された重曹収納容器は、容器本体1と、重曹2とを含む。
【0012】
容器本体1は、例えば、牛乳パックなどに見られるような厚手の紙製品で構成され、好ましくは、その内面に、この種の紙製品で周知のコーティングがほどこされている。容器本体1は、その内面に多孔性シート3を有する。
【0013】
多孔性シート3は、容器本体1の底面及び上面を除く側面のほぼ全面に、例えば接着などの手段によって付着させることが好ましい。多孔性シート3は、一枚の不織不などによって構成することもできるが、この実施の形態では、比較的粗い目を持つ第1シート31の外面に、細かい孔を持つ第2シート32を張り合わせた構造を持っている。第2シート32は、第1シート31の内面又は外面及び内面の両面に設けてもよい。多孔性シート3の具体例としては、出光ユニテック株式会社製のMEM1060を用いることができる。この製品は、複合不織布であって、PET(ポリエステル樹脂)繊維とLーLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂)繊維との積層タイプのシートである。
【0014】
容器本体1は、多孔性シート3の存在する側壁の一部に、切り取り可能な第1領域11を有する。第1領域11は、容器本体1の全体厚みを貫通しないような深さで形成されたミシン目111によって画定されている。従って、第1領域11は、ミシン目111に沿って切り取ることができる。図示実施例では、第1領域11は、相対する両側壁に設けられているが、上面或いは他の側壁面に設けてもよい。
【0015】
更に、容器本体1は、多孔性シート3の存在しない状態で容器本体1の内部に開口するように切り取られ得る第2領域12を有している。第2領域12は、容器本体1の全体の厚みを貫通しないような深さで形成されたミシン目121によって画定されている。従って、第2領域12は、ミシン目121に沿って切り離すことができる。この実施の形態では、上面と側壁面との稜線には、ミシン目は入っていない。また、第2領域12に相当する位置には、多孔性シート3は存在していない。もっとも、第2領域12の内面に、一体的に、他の部分から分離された多孔性シートが存在していてもよい。
【0016】
重曹2は、粉末状であって、多孔性シート3の最大孔径よりも大きい粒径を有し、容器本体1の内部に収納されている。重曹2の粒径が細かいほど、表面積が大きくなり、脱臭作用が高くなることが期待できる。実施例では、80メッシュの篩を用いて選択した粒径80メッシュ以下の粉末状重曹を用いた。このような細かい粒子を持つ粉末状重曹は、例えば、モンゴル産重曹を原料として用いることにより、得ることができる。
【0017】
図3は、図1及び図2に示した重曹収納容器を、脱臭用として使用する場合の状態を示し、図4は図3の4−4線断面図である。本発明に係る重曹収納容器において、容器本体1は、その内面に多孔性シート3を有し、側壁の一部に、切り取り可能な第1領域11を有しており、重曹2は容器本体1の内部に収納されているから、使用に当たり、第1領域11を切り取ることにより、第1開口部110を生じさせ、重曹2の蒸発成分を、矢印F1で示すように、第1開口部110から外部に放散し、周囲の臭いを消臭する脱臭作用に供することができる。また、重曹2は、最大でも例えば80メッシュ程度の微粒子粉末であるから、限られた容器本体1の内部容積において、重曹2の表面積を増大させ、高い消臭作用を得ることができる。
【0018】
しかも、重曹2は、多孔性シート3の最大孔径よりも大きい粒径を有しを有するから、第1領域11に生じた第1開口部110から、粉末状の重曹2が外部に漏出することがない。従って、消臭用途において、周囲が重曹粉末によって汚れることもない。
【0019】
図5及び図6は、図3及び図4に示した脱臭用途に供された後、洗浄又は消毒などの用途に供する場合の状態を示している。容器本体1は、多孔性シート3の存在しない状態で、容器本体1の内部に直接に開口するように切り取られる第2領域12を有しているから、例えば3ヶ月の長期の脱臭用途に供した後、図5に示したように、第2領域12を切り取って第2開口部120を生じさせ、容器本体1の内部に収納されている重曹2を、第2開口部120をとおして、図6の矢印R1で示すようにして、外部に取り出し、洗浄、消毒又は研磨などの用途に供することができる。研磨の領域に入る具体的用途としては、クレンザー、歯磨き、肌の角質除去など、様々な用途が考えられる。
【0020】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る重曹収納容器の外観斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1及び図2に示した重曹収納容器を、脱臭用として使用する場合の状態を示す図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図3及び図4に示した脱臭用途に供された後、洗浄又は消毒などの用途に供する場合の状態を示す図である。
【図6】図5に示した状態の後、洗浄又は消毒などの用途に供する場合の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 容器本体
11 第1領域
12 第2領域
2 重曹
3 多孔性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、重曹とを含む重曹収納容器であって、
前記容器本体は、その内面に多孔性シートを有し、前記多孔性シートの存在する側壁の一部に、前記多孔性シートから分離して開口可能な第1領域を有するとともに、前記多孔性シートの存在しない状態で前記容器本体の内部に開口可能な第2領域を有しており、
前記重曹は、粉末状であって、前記多孔性シートの最大孔径よりも大きい粒径を有し、前記容器本体の内部に収納されている、
重曹収納容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−202896(P2009−202896A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45866(P2008−45866)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(508061147)株式会社 丹羽久 (1)
【Fターム(参考)】