説明

重送の検出および制御システム

【課題】重送を検出し、全てのシートを分離する装置を提供する。
【解決手段】重送を検出し、全てのシートを分離しながら、単一のシートが機械へと進むことができる、印刷装置用の用紙送りシステムが、シートを送るための駆動ローラを備えたニップを含む。駆動ローラの下流の反転可能圧力ローラは、モータに接続されているが、通常の動作における用紙送りの方向に空回りしている。重送が検出されると、モータはONになり、反転可能圧力ローラは制御装置によって作動する。反転可能圧力ローラがシートと接触する際のシートとの摩擦は、シートとシートとの摩擦よりも大きい。このローラは、シートと接触して、シートを後方に動かせる。このシートを、ゲート機構を用いて個々の用紙搬送路に方向転換するができ、必要であれば給紙経路に戻すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、画像形成装置、詳細には、個々の単一のシートを送り続けながら、重送されたシートを検出および分離できるシステムを含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重送は、依然として、シート搬送業界において、大量のシートからシートを分離して送る際の問題となっている。重送が生じるのは、2つ以上のシートが同時に送られ、問題をいくつか発生させてしまうときである。通常、重送は、シートが「一体となって」動かないために、あるいは、シートがちょうど互いの上に位置しておらず、送られるシートの長さが機械の要求よりも長いように見えるというタイミングの問題のため、機械のどこかが詰まった状態になることである。シートが機械全体においてそうなる場合、ユーザは、多数の印刷物の実行中に、または、両面印刷の白紙面については、白紙のシートを発見する可能性がある。重送のあらゆる表現がユーザにとって厄介なものである。ジョブをやり直す必要があるために、紙が無駄になり、トナーの費用がかかり、ジョブをやり直すのに電力がさらに消費され、故障を解消し、あるいは、ジョブをやり直すためにユーザは時間コストを費やす。被ってきた多数の重送を低減することにより、全ユーザの経験は改善される。重送されたシートを検出および分離するための複数の解決策が、発展してきた。解決策の多くは、送られる2つのシートを処理できるのみである。
【0003】
例えば、米国特許番号2,892,629では、シートが通過する2つのローラのうちの1つは順方向に動くが、他のローラは遅延ローラであり、順方向には動かないという構成が示されている。後者のローラは、軸上を自由に回転でき、順方向に動くローラの方向とは逆の方向に付勢されたばねである。2つのローラ間を単一のシートが通過するとき、摩擦によって、例えば、遅延ローラは、シートの動きの方向に、および、ばねバイアスに対して向きを変える。しかし、2つのローラ間に2つのシートが配置されるとき、順方向に動くローラに対する第1シートの相対的位置は前進し、第2シートは、シートの移動とは反対方向に今や回転しているばねバイアスがかけられた遅延ローラの影響を受けて後方に移動する。米国特許番号3,895,790もまた、重送が生じるときに遅延ローラが反転するという、遅延ローラ構成を用いている。従来技術の装置は、スリップクラッチシステムを用いて、重送が存在しないときに前方へ移動する。これらの解決策が有益であるにもかかわらず、シートを一度に確実に送りながら2枚よりも多いシートを容易に検出および分離できる重送システムがなおも必要である。
【発明の概要】
【0004】
従って、重送を検出し、全てのシートを分離して、単一のシートを機械へと進ませることができるシステムを開示する。このシステムは、シートを送るための標準的な駆動ローラを備えたニップを含む。駆動ローラの下流の反転可能圧力ローラは、通常の動作における用紙送りの方向に空回りする。重送が検出されると、圧力ローラが適切なタイミングでONになる。このローラに関して、ローラがシートと接触する際のシートとの摩擦は、シートとシートとの摩擦よりも大きい。このことによって、接触しているシートを後方に動かす。このシートを、ゲート機構を用いて個々の用紙搬送路に方向転換することができ、必要に応じて、シートの流れまたは給紙経路に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本開示の重送の検出および制御システムの概略正面図である。
【図2】システムオペレーションを示す流れ図である。
【図3】重送の検出および分離に関する他の構成である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照すると、従来の静電写真式機械または印刷装置をブロック8に示す。ここには、画像形成可能面を有し、充電装置によって均一に帯電するあらかじめ定められた方向に回転でき、露光装置によって画像が露光されて面に静電潜像を形成する電荷受容体または光受容体が含まれる。その後、この潜像を、例えば帯電したトナー粒子を潜像に供給するための現像剤ロールを含む、現像装置によって現像する。帯電したトナー粒子は、潜像の適切に帯電した領域に接着する。次に、光受容体の表面は転写域に移動する。同時に、所望の画像が印刷される印刷シートを、シート送りシステムのシート供給スタックから引き出し、シート経路に沿って転写域に搬送する。
【0007】
転写域では、印刷シートを、光受容体の表面と接触させる。この時に、表面にトナー粒子が運ばれている。転写域におけるコロトロンによって、光受容体上のトナー画像を印刷シートに静電転写する。次に、印刷シートを、技術的によく知られているように、複写シートに続いて排出トレイに画像を定着させる定着場所を含む次の場所に送る。複製機8は、制御装置または電子制御サブシステム(ESS)を含み、好ましくは、プログラマブルミニコンピュータ、自己内蔵型ミニコンピュータ、中央演算処理装置を備えた専用ミニコンピュータである。このように、この複製機が、機械8に送る用紙を含む部品および他のサブシステムの主制御システムである。
【0008】
図1をさらに参照すると、本開示の重送の検出および制御システム100が詳しく示され、重送を検出して全てのシートを分離するように構成されており、単一のシートが機械8へと進むことが可能になる。図示されるように、重送の検出および制御システム100は、全てのタイプのシートを含む媒体が、搬送されてその上に画像を受け取るための用紙搬送路Cを含む。紙またはシート検出センサS2が、駆動ロール101とアイドラーロール102とによって形成された第1駆動ロールニップ103、駆動ロール110とモータM2によって電力が供給される反転可能ロール111とによって形成された第2駆動ロールニップ112、および、駆動ロール120とアイドラーロール121とによって形成された第3駆動ロールニップ122、に入る紙の入口地点Aに位置付けられている。駆動ロール101は、それに駆動接続された、用紙送り方向にロール110、120を駆動するモータM1を備えている。駆動ニップ112の下流および駆動ニップ122の上流に位置付けられた重送検出センサS1を示す。重送センサS1は、好ましくは光学センサであるが、必要に応じて、任意の従来のセンサが用いられてもよい。
【0009】
用紙搬送路Cには、重力ゲート130が位置付けられているため、紙が用紙送り方向にゲートの下を通過でき、重送が検出されると、出口地点Bの方向にゲートの上を通過できる。通常、駆動ローラ110はONであり、用紙送り方向に回転しており、他方、モータM2に付属の反転可能ローラ111は、駆動ローラに対して空回りしている。S1によって重送が検出されると、付属のローラ111が用紙送り方向とは反対方向に回転するモータM2はONになる。ローラ111では、ローラと紙との摩擦の方が紙シート間の摩擦よりも大きく、従って、複式紙送りが生じると、モータM2に付属のローラ111の摩擦は、上側のシートを重力ゲート130へと後方に動かしながら下側のシートを順方向に移動し続けるには十分に大きくなる。重送の後端部は、モータM2がONになる前に、重力ゲート130を下げることが可能になるために通過する必要がある。従って、重送されたシートが後方に送られると、シートは地点Bにおいてシステムから出る。残りの「単一の」シートが間違った方向に送られないようにするために、ローラ111の摩擦計数は、正しい方向に紙を送る駆動ローラ110の摩擦係数よりも低くなければならない。この構成の利点は、実験を通して、用紙送り方向とは反対方向に回転するローラ111が、単一のシートが残っていて正しい方向に続くうちは、単一のシートを一度に送るということが分かることである。従って、2つよりも多いシートが送られると、用紙送り方向とは反対方向に回転するローラ111は、単一のシートが残っていてシート送り方向に続くうちは、出口地点Bに一度に単一のシートを送る。地点Bに存在しているシートを、排出トレイに搬送できるか、あるいは、シートに画像を受け取るために入口地点Aを通過して用紙搬送路Cに再び送ることができる。
【0010】
図2に流れ図200を示す。ここでは、システムオペレーションについて説明している。すなわち、システムオペレーションの初期状態では、ブロック202、205のセンサS1、S2はそれぞれ低であり、ブロック207、209のモータM1、M2はOFFである。しかし、開始ボタン201を押すとすぐに、シートが紙供給部(図示せず)から送られ、ブロック210のモータM1がONになる。ブロック212では紙が送られ、ブロック214のセンサS2は高で、ブロック216のセンサS1は高で、ブロック218においてセンサS2は低になる。なぜなら、(A4の長辺シートを送る)試験済みの環境において、センサS1とセンサS2は約200mm離れており、従って、シートの後端部は、システムが決定する前にセンサS2を通過する。決定ブロック220では、重送が検出されない場合、センサS1は低で、ブロック224においてモータM1はOFFに変わる。ブロック240において、ジョブは終了する。しかし、決定ブロック220において重送が検出されると、ブロック226において遅延T1がもたらされ、続いて、シートの後端部が重力ゲート130を通過できるように、センサS2が低くなる。その後、ブロック228に示したように、重送されたシートを後方に送って出口地点Bから出すために、あらかじめ定められた時間T2の間、モータM2がONになる。続いて、ブロック232において、モータM2はOFFに変わり、ブロック234において、今やセンサS1は低になっており、ブロック224においてモータM1がOFFのまま、重送における最も下のシートは送られ続け、ブロック240においてジョブが終了する。必要に応じて、センサS1を省略してもよく、代わりに、重送センサを、入口地点Aよりも前のどこに配置してもよい。
【0011】
図3に本開示の他の実施形態300を示す。ここでは、重力ゲートを必要としないが、なおも図1と同じ原理に基づいて動作している。この構成は、駆動ロール305と反転可能ロール307との上流に位置付けられた3つのローラ301、302、303を含む。この3つのローラは、互いに摩擦接触または連動接触しており、間隔を空けた2つのニップを備えている。1つのニップは、下流の画像処理装置に続くニップの用紙搬送路としてローラ(302、303)によって形成された入力ニップであり、もう1つのニップは、用紙搬送路から一番上のシート以外の重送された各シートを引き出すためのローラ(301、302)によって形成された出力ニップである。モータM8は、駆動ロール302と駆動ロール305とに、駆動するように付属している。モータM9は、反転可能ローラ307に付属している。システムへの入口地点はEであり、シートは、画像転写場所(図示せず)への搬送のための用紙搬送路Fに向けられる。センサS1によって重送を感知すると、後端部が下がり、上側のシートの下のシートのあらかじめ定められた中断が消去された後で上側のシートがシステム(用紙搬送路F)を介して進んだ後、反転可能モータM9が作動し、下側のシートは、地点Gの方向に後方に送られる。
【0012】
要約すると、用紙搬送路に搬送された重送されたシートを分離し、分離されたシートを用紙搬送路に再び送るか、あるいは、シートを消去トレイへと動かせるように構成された構造および方法を含む重送の検出および制御システムを開示した。システムは、単一のシートを搬送するとき、用紙送り方向にドライバロール上で空回りするが、重送が検出されると、反転可能ロールは逆回転で作動し、全てのシートを最も下の単一のシート上に逆方向および出口方向に動かしつつ、最も下のシートはあらかじめ定められた時間の間遅延され、次に、用紙送り方向に送られる反転可能ロールを含む。システムは、垂直の、水平の、または、あらかじめ定められた角度に傾斜した、用紙搬送路と互換性があり、システムは、同様に媒体を送る任意の装置に用いられ、例えば現金自動支払機における媒体のマーキングに必ずしも必要ではないということを理解する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重送検出分離システムを含む複写シートに画像を印刷するように構成されたゼログラフィック装置であって、
前記複写シートに前記画像を処理および記録するための画像処理装置と、
前記画像を現像するための画像現像装置と、
前記複写シートに前記画像を転写するための転写装置と、
前記複写シートに前記画像を定着させるための定着器と、
重送検出および分離システムを含むシート送り装置であって、前記重送検出および分離システムは、シートの存在を検出するための紙検出センサ、シートをシート送り方向に動かすための少なくとも3つの駆動ニップ、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの下流に位置付けられたゲート、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第2駆動ニップの下流に位置付けられた重送センサ、および、前記シート送り方向とは反対方向に重送の一番上のシートを動かすように構成された反転可能圧力ロールを含む前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの前記第2駆動ニップを含む、前記シート送り装置と、を含む、前記ゼログラフィック装置。
【請求項2】
前記重送センサは光学センサである、請求項1に記載のゼログラフィック装置。
【請求項3】
前記紙検出センサは、前記少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップの上流に位置付けられている、請求項2に記載のゼログラフィック装置。
【請求項4】
前記反転可能駆動ロールによって動く前記一番上のシートが、下方位置に位置する前記ゲート上で動く、請求項3に記載のゼログラフィック装置。
【請求項5】
前記ゲートは重力ゲートである、請求項4に記載のゼログラフィック装置。
【請求項6】
前記重力ゲートによって、シートは、前記シート送り方向に、および、前記ゲートを覆って前記反対方向において、前記ゲートの下を通過できるようになる、請求項5に記載のゼログラフィック装置。
【請求項7】
前記重送の最も下のシート送りは、単一のシートが残り、その後前記最も下のシート送りが続くうちは、遅延される、請求項6に記載のゼログラフィック装置。
【請求項8】
シートの存在を検出するためのシート検出センサと、
2つのニップのうちの第1ニップによってシート送り方向に、および、前記2つのニップの第2ニップによって前記シート送り方向から離れるように、シートを動かすように構成された前記2つのニップと3つのロールとを有する装置と、
前記2つのニップと3つのロールとを有する装置の下流に位置付けられた駆動ニップであって、前記駆動ニップは、駆動ロールと、前記駆動ロールと対をなす反転可能圧力ロールとを含み、前記反転可能圧力ロールは、前記シート送り方向とは反対の方向に前記重送における全てのシート、しかし、前記一番上のシートを動かすために、単一のシートが前記駆動ニップ内にあるときには前記駆動ロール上で前記シート送り方向に、2つ以上のシートが前記駆動ニップ内にあるときには逆回転方向に、空回りするように構成されている、前記駆動ニップと、
前記駆動ニップの上流に位置付けられ、2つ以上のシートが前記駆動ニップに入るときに送信するように構成された、重送センサと、を含む、重送検出および分離システム。
【請求項9】
検出された重送のうちの前記最も下のシートは、前記後端部が前記3つのロールを有する前記装置の前記2つのニップのうちの前記第1ニップから前記シート送り方向に下がった後、後方に送られる、請求項8に記載の重送検出および分離システム。
【請求項10】
シートの存在を検出するための紙検出センサを供給するステップと、
前記紙検出センサのすぐ下流に位置付けられた少なくとも3つの駆動ニップのうちの第1駆動ニップによってシートをシート送り方向に動かすための、前記少なくとも3つの駆動ニップを供給するステップと、
前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第1駆動ニップの下流、および、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップの上流、に位置付けられたゲートを供給するステップと、
前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップの下流、および、前記少なくとも3つの駆動ニップの第3駆動ニップの上流、に位置付けられた重送センサを供給するステップであって、前記少なくとも3つの駆動ニップの前記第2駆動ニップは、前記シート送り方向とは反対方向に重送の一番上のシートを動かすように構成された反転可能圧力ロールを含む、前記重送センサを供給するステップとを含む、印刷機器における重送を検出および分離するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−158471(P2012−158471A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7544(P2012−7544)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】