説明

重連画像形成システム、画像形成装置および画像形成装置の制御プログラム

【課題】搬送速度の異なる画像形成装置を組み合わせて構築された重連画像形成システムにおいて、全体的な作業処理速度を高める。
【解決手段】高速機である第1画像形成装置12と低速機である第2画像形成装置14の間にバッファ装置42を配置する。二つの画像形成装置12,14で画像形成を行う場合には、これらの装置の搬送速度の差により生じる余剰の連帳紙をバッファ装置42に蓄える。第1画像形成装置12のみで画像形成を行う場合に、第2画像形成装置14は、第1画像形成装置12の搬送速度より速い速度で搬送を行い、バッファ装置42に蓄えられている連帳紙を減少させる。第2画像形成装置の搬送速度の平均値が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重連画像形成システム、画像形成装置および画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一つの連帳紙を複数台の画像形成装置を続けて通して、連帳紙上に画像形成を行う重連画像形成システムが知られている(下記特許文献1参照)。2台の画像形成装置を重連したシステムにおいては、1台の画像形成装置で連帳紙の表に、他の1台で裏に画像形成を行って連帳紙の両面に画像形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−55186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連帳紙は、その名の通り長い帯状の繋がった用紙であるので、重連画像形成システムを構成する個々の画像形成装置の搬送速度が等しくないと、途中で切れたり、たるんだりすることが起こる。したがって、システムを構成する画像形成装置の連帳紙搬送速度が揃っていない場合、各装置の搬送速度を、最も遅い装置の搬送速度に合わせる必要がある。しかし、システムを構成する全ての画像形成装置が常に使用されるわけではなく、一部の装置が使用されない作業もある。例えば、1台が連帳紙の表に、他の1台が裏に画像形成可能なシステムにおいて、表のみ画像形成を行う作業においては、他の1台は使用されない。この場合、表の画像形成を行う装置がより速く搬送を行えたとしても、他の1台が遅いために、システム全体の搬送速度を上げられない。
【0005】
本発明は、重連画像形成システムにおいて、システムの搬送速度を律している画像形成装置を使わない作業において、搬送速度をより高速とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る重連画像形成システムは、
第1搬送機構により第1搬送速度で連帳紙を送り、前記連帳紙に対して電子写真方式により画像を形成する第1画像形成装置と、
第2搬送機構により第1搬送速度未満の第2搬送速度で第1画像形成装置と共通の連帳紙を送り、前記連帳紙に対して電子写真方式により画像を形成する第2画像形成装置であって、さらに、連帳紙の搬送経路と連帳紙に転写される前の画像を保持する像保持体とを離す離し機構を有する第2画像形成装置と、
を有し、
第2画像形成装置において画像形成を行わないとき、離し機構は、搬送経路と像保持体を離した状態とし、かつ第2搬送機構は、第1搬送速度以上の第3搬送速度で連帳紙を搬送する、
重連画像形成システムである。
【0007】
(2)上記(1)に記載の上記重連画像形成システムは、
第1画像形成装置が連帳紙の搬送方向に関して上流に、第2画像形成装置を下流に配置するようにでき、
第1画像形成装置と第2画像形成装置の間に配置され、第1搬送速度と第2搬送速度の差により生じる連帳紙の余剰分を一時的に蓄えるバッファ装置、
を有するものとできる。
【0008】
(3)上記(2)に記載の重連画像形成システムは、
第1画像形成装置と第2画像形成装置の双方が画像形成を行う作業において、バッファ装置は連帳紙の余剰分を蓄え、
第1画像形成装置のみで画像形成を行う作業において、離し機構は搬送経路と像保持体を離した状態とし、第2搬送機構は第1搬送速度を超える第3搬送速度で連帳紙を搬送し、バッファ装置に蓄えられた連帳紙を送り出すようにできる。
【0009】
(4)上記(2)に記載の重連画像形成システムは、
第1画像形成装置により連帳紙の第1面に画像形成がなされ、第2画像形成装置により第2面に画像形成がなされるようにでき、
両面画像形成作業において、バッファ装置は連帳紙の余剰分を蓄えるようにでき、
片面画像形成作業において、離し機構は搬送経路と像保持体を離した状態とすることができ、第2搬送機構は第1搬送速度を超える第3搬送速度で連帳紙を搬送し、バッファ装置に蓄えられた連帳紙を送り出すようにできる。
【0010】
(5)上記(3)または(4)に記載の重連画像形成システムは、
バッファ装置に蓄えられた連帳紙の量がバッファ容量の上限に達すると、第1搬送装置は、第2搬送速度と等しい速度で連帳紙を搬送するようにできる。
【0011】
(6)また、本発明の他の態様である画像形成装置は、
連帳紙の搬送経路と連帳紙に転写される前の画像を保持する像保持体とを離す離し機構と、
搬送経路と像保持体を離した状態で、画像形成時の搬送速度より速い速度で連帳紙を搬送する搬送機構と、
を有する。
【0012】
(7)また、本発明の更に他の態様である制御プログラムは、
画像形成装置の下流に位置し、当該画像形成装置から送り出された連帳紙を一時的に蓄えることが可能なバッファ装置から、蓄えられた連帳紙の量に関するデータを受信する工程と、
蓄えられた連帳紙の量に関するデータに基づき、バッファ装置に蓄えられた連帳紙の量がバッファ容量の上限に達したことを判定する工程と、
連帳紙の量が上限に達したとき、連帳紙を搬送する搬送機構の速度を、バッファ装置の更に下流に配置される他の画像形成装置の連帳紙の搬送速度と等しい速度とする工程と、
を当該画像形成装置に実行させるための、画像形成装置の制御部が読み取り可能な制御プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、重連画像形成システム中の、搬送速度の遅い画像形成装置を使用しないとき、搬送速度を高くすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、バッファ装置に上流側、下流側に隣接する2台の画像形成装置の搬送速度を変えることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、システム全体の画像形成作業の作業時間を短縮することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、画像形成を行わないときには、画像形成を行うときに比べ、搬送速度を速くすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、画像形成装置の下流にあるバッファ装置に蓄えられる連帳紙の量が上限に達したとき、当該画像形成装置の搬送速度が遅くなるよう制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の重連画像形成システムの概略図である。
【図2】搬送経路と像保持体とを離す離し機構の作用の説明図である。
【図3】他の実施形態の重連画像形成システムの概略図である。
【図4】バッファ装置の概略構成を示す図である。
【図5】搬送速度の制御に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の重連画像形成システム10の概略構成を示す図である。重連画像形成システム10は、連帳紙の搬送方向において上流側に位置する第1画像形成装置12と、下流側に位置する第2画像形成装置14を含む。連帳紙供給装置16にセットされた連帳紙ロール18から連帳紙20が繰り出され、これが第1画像形成装置12に送られる。連帳紙20に対し第1画像形成装置12により画像が形成され、連帳紙20は更に第2画像形成装置14に送られる。さらに、第2画像形成装置14により画像が形成され、二つの画像形成装置12,14により画像が形成された連帳紙20は、連帳紙回収装置22により回収される。連帳紙回収装置22は、連帳紙20を再びロール状に巻き取る。巻き取られた連帳紙のロール24が図示されている。また、連帳紙回収装置は、送られてくる連帳紙20を順次裁断して、カット紙として回収する装置であってもよい。また、重連画像形成システム10は、二つの画像形成装置12,14、連続紙供給装置16および連続紙回収装置22に動作の制御および二つの画像形成装置12,14で形成される画像の情報を、これらの装置に送る上位装置26を有する。
【0020】
重連画像形成システム10において、第1画像形成装置12は連帳紙の第1面に画像形成を行い、第2画像形成装置14は第1面の反対側の面である第2面に画像形成を行うようにしてよい。この場合、第1および第2画像形成装置12,14の両者ともに、搬送されてくる連帳紙の下側または上側に向く面に画像形成を行う装置である場合、二つの画像形成装置12,14の間には、連帳紙を反転させる装置が配置される。
【0021】
この重連画像形成ステム10では、第1画像形成装置12における画像形成処理時の最速の連帳紙搬送速度(以下、第1搬送速度V1と記す。)は、第2画像形成装置14における画像形成処理時の最速の搬送速度より(以下、第2搬送速度V2と記す。)速い(V1>V2)。このような組み合わせは、二つの画像形成装置が新旧モデルであり、新モデルの搬送速度が向上している場合や、画像形成の色数に違いがある場合などである。一般的に、色数が少ない方が、画像形成処理の高速化、すなわち連帳紙の搬送速度の高速化が図れる。この実施形態のシステムにおいては、例として第1画像形成装置12が単色、第2画像形成装置14が4色に対応している。
【0022】
連帳紙の搬送速度が異なる画像形成装置を組み合わせる場合、一般的には、高速の搬送が可能な装置の搬送速度を、低速側に合わせることが行われる。しかし、二つの画像形成装置の双方が画像形成を行う作業ばかりでなく、一方の画像形成装置のみで画像形成を行う作業もあり得る。例えば、一方の画像形成装置が第1面、他方が第1面の裏側となる第2面の画像形成を行うシステムにおいて、片面のみ画像形成をする作業もあり得る。高速の画像形成装置のみを用いる作業の場合、低速側の搬送速度での作業は、その装置の能力を十分活用しているとは言えない。
【0023】
そこで、重連画像形成システム10においては、当該システムにおける低速側の画像形成装置である第2画像形成装置14が画像形成を行わないときの当該装置14の搬送速度(以下、第3搬送速度V3と記す。)を、第1画像形成装置12の最速の搬送速度である第1搬送速度V1に合わせている。これを実現させるために、第2画像形成装置14は、連帳紙20が送られる搬送経路と連帳紙に転写される前の画像が保持される画像保持体とが離れるようにする離し機構28(図2参照)を有する。
【0024】
図2は、第2画像形成装置14の離し機構28の作用を説明するための図である。第2画像形成装置14は、トナーにより形成されるトナー画像を保持する像保持体として感光体ドラム30を有する。感光体ドラム30は色ごとに独立している。像保持体としては、感光体ドラムでなく感光体ベルトでもよく、また、像保持体上に多色の画像が合成されて形成され、これが連帳紙に転写される形式のものであってよい。画像形成過程においては、感光体ドラム30上の画像が連帳紙20に転写される位置、すなわち感光体ドラム30と連帳紙20が対向する位置において、これらの速度は、同速度である。第2画像形成装置14で画像形成を行わない場合、連帳紙搬送機構の速度(例えば搬送ローラの回転速度)だけを速くしても、感光体ドラム30がブレーキとなって連帳紙の搬送速度を思うように高められない。また、感光体ドラム30と連帳紙20に相対速度が生じるため、これらが損傷や損耗する場合がありえる。そこで、第2画像形成装置14は、連帳紙の搬送経路32と感光体ドラム30を離す離し機構28を有する。離し機構28は、搬送経路32に対して感光体ドラム30を退避させることにより、これらを離して、これらが接触しないようにする。離し機構28は、電気モータとリンク機構の組み合わせ、回転駆動されるねじ棒とねじ棒上を移動するスライダの組み合わせなどの周知の機構により実現しえる。また、離し機構28は、搬送経路32を移動させることにより、搬送経路と感光体ドラムを離すものとしてもよい。
【0025】
上位装置26は、画像形成作業の指示に基づき、二つの画像形成装置12,14の選択および制御を行う。指示が単色片面の画像形成作業を示していれば、第1画像形成装置12に形成対象となる画像の情報をこれに送る。一方、第2画像形成装置14に対しては、離し機構28により、搬送経路32と感光体ドラム30を離す指示を行う。また、第2画像形成装置14の搬送機構に対しては、第1画像形成装置12の第1搬送速度V1に等しい搬送速度で連帳紙を搬送するよう制御を行う。これにより、高速側である第1画像形成装置12の処理速度で画像形成が行われる。
【0026】
重連画像形成システム10は、高速で画像形成処理可能な第1画像形成装置12を上流側に配置しているが、逆の配置を採用することもできる。
【0027】
図3は、別の実施形態の重連画像形成システム40の概略構成を示す図である。システムを構成する個々の装置において、前述の重連画像形成システム10と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。重連画像形成システム40は、第1画像形成装置12と第2画像形成装置14の間に配置されるバッファ装置42を有する。前述のように、これら二つの画像形成装置12,14は、画像形成の際の連帳紙搬送速度が異なる。この速度差を吸収すべく、バッファ装置42が配置されている。上位装置44は、二つの画像形成装置12,14、連帳紙供給装置16および連帳紙回収装置22に加え、バッファ装置42の動作も制御する。特に、二つの画像形成装置の搬送速度とバッファ装置42に蓄える連帳紙の量には関連があるので、上位装置44は、これらを監視し、必要な制御を行う。
【0028】
図4は、バッファ装置42の概略構成を示す図である。バッファ装置42は、移動するローラをいくつか組み合わせ、これらのローラの位置を変更することにより、装置内の連続紙の搬送経路の長さを変更する。連帳紙20を受け入れる入口近傍には第1固定ローラ46が固定的に配置され、連帳紙20が送り出される出口近傍には、第2固定ローラ48が固定的に配置される。二つの固定ローラの間には、3個の移動ローラが配置される。以降、これらの移動ローラを、連帳紙の搬送方向に沿って上流側から第1移動ローラ50、第2移動ローラ52、第3移動ローラ54と記す。3個の移動ローラ50,52,54は、連帳紙の概観的な搬送方向、すなわち二つの固定ローラ46,48を結ぶ線(以下、ローラ配置中心線56と記す。)の延びる方向に対し、交差する方向に移動可能に配置される。図示する例では、直交する方向に移動可能とされている。第1,第3移動ローラ50,54は、ローラ配置中心線56に近い、または中心線上の近位置と、この中心線から下方に離れた遠位置の間で移動する。また、第2移動ローラ52は、ローラ配置中心線56に近い、または中心線上の近位置と、この中心線から上方に離れた遠位置の間で移動する。移動ローラは、電気モータ等の駆動装置により上述のローラ配置中心線56に交差する方向に移動する。
【0029】
3個の移動ローラ50,52,54が近位置にあるときバッファ装置42内に蓄えられている連帳紙の長さは最短になる。この状態の連帳紙20aが、図4中実線で示されている。また、3個の移動ローラ50,52,54が遠位置にあるときの状態が、図4中破線で示される連帳紙20bであり、バッファ装置42内に蓄えられている連帳紙の長さが最長となる。この長さの調整によって、二つの画像形成装置12,14の搬送速度の差を吸収する。
【0030】
連帳紙の両面に画像形成する両面作業においては、上流側の第1画像形成装置12の搬送速度が速いので、下流側の第2画像形成装置14が処理できない分をバッファ装置42に蓄える。バッファ装置42は二つの画像形成装置12,14の用紙搬送速度V1,V2の速度差に基づく速度で、移動ローラ50,52,54を近位置から遠位置へと移動させ、連帳紙にたるみが生じないようにする。高速機である第1画像形成装置12のみでの作業においては、第2画像形成装置14の非画像形成時の搬送速度を、第1搬送速度V1より速い第3搬送速度V3とする(V3>V1)。バッファ装置42は、第1搬送速度V1と第3搬送速度V3の速度差に基づく速度で、移動ローラ50,52,54を近位置へと戻し、連帳紙に過大な張力がかからないようにする。移動ローラ50,52,54が近位置となり蓄えられた連帳紙がなくなったら、第2画像形成装置の搬送速度を第1搬送速度V1とする。
【0031】
低速機である第2画像形成装置14のみでの作業においては、バッファ装置42に蓄えられた連帳紙がなければ、画像形成を行わないときの第1画像形成装置12の搬送速度を第2搬送速度V2に合わせる。一方、バッファ装置42に連帳紙が蓄えられている場合、第1画像形成装置12の搬送速度を、第2搬送速度V2未満の第4搬送速度V4とする(V4<V2)。これにより、バッファ装置42に蓄えられた連帳紙は少なくなっていき、バッファの空き容量が増加する。V4をV2未満としても、このときの作業の速度は変わらないが、バッファの空き容量を確保しておく方が全体としての作業速度が向上する。
【0032】
図5は、重連画像形成システム40の搬送速度制御の概念図である。横軸は時間を表し、縦軸は第1画像形成装置12と第2画像形成装置14が搬送した連帳紙の量(搬送量)を示す。実線P1が第1画像形成装置12の搬送量を示し、実線P2が第2画像形成装置14の搬送量を示す。第1および第2画像形成装置12,14の搬送量を、以下第1装置搬送量S1、第2装置搬送量S2と記す。第2画像形成装置14の作業は、連帳紙が、第1画像形成装置から第2画像形成装置に至る経路を通過する時間だけ遅れて開始される。この経路の長さは、バッファ装置42内の経路長に応じて変化する。したがって、ある時刻の第2搬送量P2は、第1搬送量P1より少ない、ある範囲に存在する。遅れが最小の場合の第2搬送量が符号S1で示す一点鎖線で示され、最大の場合が符号S2で示す一点鎖線で示されている。以降、一点鎖線S1を最小遅れ線S1、一点鎖線S2を最大遅れ線S2と記す。また、最小遅れ線S1は、バッファ装置42に蓄えられた連帳紙が最小の場合の搬送量の遅れを示しており、最大遅れ線S2は蓄えられた連帳紙が最大の場合の搬送量の遅れを示している。図5において、第2搬送量P2は、最小遅れ線S1と最大遅れ線S2の間に存在する。
【0033】
図5は、作業A,B,C,Dを順に処理する例を示している。作業Aおよび作業Cは、連帳紙20の両面に画像形成する作業であり、この場合は第1および第2画像形成装置12,14の両方が画像形成を行う。作業Bおよび作業Dは、単色で片面に画像形成する作業であり、第1画像形成装置12のみで画像形成を行う。
【0034】
画像形成が開始されると(時刻t0)、第1画像形成装置12は、第1搬送速度V1で連帳紙20を搬送しつつ、画像形成を行う。第2画像形成装置14は、連帳紙が第1画像形成装置から第2画像形成装置まで送られる時間だけ遅れて画像形成を開始する(時刻t1)。第2画像形成装置14は、画像形成時の搬送速度、つまり第2搬送速度V2で連帳紙を送る。一方、第1画像形成装置12は、時刻t2にて作業Aを終了し、作業Bに移行する。第2搬送速度V2は、第1搬送速度V1より遅く、二つの画像形成装置12,14の搬送量の差は開いていく。この差は、バッファ装置42が蓄えられる連帳紙の量の最大値まで、すなわち最大遅れ線S2まで開くことが許容される。
【0035】
第2画像形成装置14が作業Aを終了すると(時刻t3)、作業Bでは第2画像形成装置14は画像形成を行わないので、第3搬送速度V3で連帳紙の搬送を行う。第3搬送速度V3は、第1搬送速度V1より速く、第1、第2画像形成装置の搬送量P1,P2の差は縮まっていく。第2搬送量P2が最小遅れ線S1に達すると(時刻t4)、搬送量P1,P2の差はこれ以上縮まらないので搬送速度を、第1搬送速度V1とする。
【0036】
第2画像形成装置14は、作業Bが終了すると作業Cを開始する(時刻t5)。作業Cは、第2画像形成装置14においても画像形成を行うものであるので、搬送速度は第2搬送速度V2とされる。これにより、搬送量P1,P2の差は再び拡がり出し、差分の連帳紙はバッファ装置42に蓄えられる。この連帳紙の量は徐々に増加し、蓄積量が上限に達すると(時刻t6)、これ以上の遅れは許容されないので、第1画像形成装置12の搬送速度を、第2画像形成装置14の搬送速度に合わせ第2搬送速度V2とする。
【0037】
第2画像形成装置14は、作業Cが終了すると作業Dを開始する(時刻t7)。作業Dにおいて第2画像形成装置14は画像形成を行わないので、搬送速度を第3搬送速度V3として、バッファ装置42に蓄えられた連帳紙を減らすようにする。また、第1画像形成装置12は、第2画像形成装置14の搬送速度に拘束されなくなるので、再び高速な搬送速度である第1搬送速度V1で連帳紙を搬送する。第1画像形成装置12における画像形成が終了した時点(時刻t8) で、重連画像形成システム40の運転を終了する。
【0038】
以上のように、第1画像形成装置12の搬送装置は、当該装置12で画像形成を行うとき、バッファ装置42の容量に余裕がある場合には、当該装置12の能力の最大値(第1搬送速度V1)で連帳紙20の搬送を行う。バッファ装置42が一杯になったときには、第2画像形成装置14の搬送速度に合わせるように、搬送速度を低下させる(第2搬送速度V2)。第1画像形成装置12において画像形成を行わない場合、バッファ装置42に蓄えられた連帳紙20を減じるように搬送速度を低下させ(第4搬送速度V4)、または搬送を停止する(第4搬送速度V4)。
【0039】
第2画像形成装置14の搬送装置は、当該装置14にて画像形成を行うときには、当該装置14の能力の最大値(第2搬送速度V2、V2<V1)で連帳紙の搬送を行う。第2画像形成装置14にて画像形成を行わないとき、バッファ装置42に連帳紙20が蓄えられている場合には、第1搬送速度V1より速い第3搬送速度V3により搬送し、蓄えられている連帳紙20を少なくする。また、バッファ装置42に連帳紙20が蓄えられていない場合には、第1画像形成装置12の搬送速度である第1搬送速度V1で搬送を行う。
【0040】
新たに重連画像形成システムを構築する場合、独立して使用されていた二つの画像形成装置を組み合わせたり、既存の画像形成装置に新規の画像形成装置を組み合わせたりすることがある。このような場合、画像形成時の搬送速度が速い方(高速機)を上流側に配置した方が総合的な処理速度が速くなるので、画像形成装置の表示部または上位装置の表示部において、高速機を上流側に配置するよう促す表示を行ってもよい。また、上述した搬送速度の制御が取り入れられていない既存の画像形成装置または上位装置に対し、システム構築の際に新たに制御プログラムを導入するようにしてよい。例えば、離し機構を有する第2画像形成装置14を新たに導入し、既存の装置を第1画像形成装置12として、上述の重連画像形成システム40を構築する際、上位装置44に、以下の制御を行うための制御プログラムを導入する。
【0041】
この制御プログラムは、画像形成装置の下流に位置し、当該画像形成装置から送り出された連帳紙を一時的に蓄えることが可能なバッファ装置から、蓄えられた連帳紙の量に関するデータを受信する工程と、蓄えられた連帳紙の量に関するデータに基づき、バッファ装置に蓄えられた連帳紙の量がバッファ容量の上限に達したことを判定する工程と、連帳紙の量が上限に達したとき、連帳紙を搬送する搬送機構の速度を、バッファ装置の更に下流に配置される他の画像形成装置の連帳紙の搬送速度と等しい速度とする工程と、を当該画像形成装置に実行させるための制御プログラムである。
【符号の説明】
【0042】
10,40 重連画像形成システム、12 第1画像形成装置、14 第2画像形成装置、20 連帳紙、26,44 上位装置、28 離し機構、30 感光体ドラム、32 搬送経路、42 バッファ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送機構により第1搬送速度で連帳紙を送り、前記連帳紙に対して電子写真方式により画像を形成する第1画像形成装置と、
第2搬送機構により第1搬送速度未満の第2搬送速度で第1画像形成装置と共通の連帳紙を送り、前記連帳紙に対して電子写真方式により画像を形成する第2画像形成装置であって、さらに、連帳紙の搬送経路と連帳紙に転写される前の画像を保持する像保持体とを離す離し機構を有する第2画像形成装置と、
を有し、
第2画像形成装置において画像形成を行わないとき、離し機構は、搬送経路と像保持体を離した状態とし、かつ第2搬送機構は、第1搬送速度以上の第3搬送速度で連帳紙を搬送する、
重連画像形成システム。
【請求項2】
第1画像形成装置が連帳紙の搬送方向に関して上流に、第2画像形成装置を下流に配置され、
第1画像形成装置と第2画像形成装置の間に配置され、第1搬送速度と第2搬送速度の差により生じる連帳紙の余剰分を一時的に蓄えるバッファ装置、
を有する、請求項1に記載の重連画像形成システム。
【請求項3】
第1画像形成装置と第2画像形成装置の双方が画像形成を行う作業において、バッファ装置は連帳紙の余剰分を蓄え、
第1画像形成装置のみで画像形成を行う作業において、離し機構は像保持体と搬送経路を離した状態とし、第2搬送機構は第1搬送速度を超える第3搬送速度で連帳紙を搬送し、バッファ装置に蓄えられた連帳紙を送り出す、
請求項2に記載の重連画像形成システム。
【請求項4】
第1画像形成装置により連帳紙の第1面に画像形成がなされ、第2画像形成装置により第2面に画像形成がなされ、
両面画像形成作業において、バッファ装置は連帳紙の余剰分を蓄え、
片面画像形成作業において、離し機構は像保持体と搬送経路を離した状態とし、第2搬送機構は第1搬送速度を超える第3搬送速度で連帳紙を搬送し、バッファ装置に蓄えられた連帳紙を送り出す、
請求項2に記載の重連画像形成システム。
【請求項5】
バッファ装置に蓄えられた連帳紙の量がバッファ容量の上限に達すると、第1搬送装置は、第2搬送速度と等しい速度で連帳紙を搬送する、請求項3または4に記載の重連画像形成システム。
【請求項6】
連帳紙の搬送経路と連帳紙に転写される前の画像を保持する像保持体とを離す離し機構と、
搬送経路と像保持体を離した状態で、画像形成時の搬送速度より速い速度で連帳紙を搬送する搬送機構と、
を有する、画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置の下流に位置し、当該画像形成装置から送り出された連帳紙を一時的に蓄えることが可能なバッファ装置から、蓄えられた連帳紙の量に関するデータを受信する工程と、
蓄えられた連帳紙の量に関するデータに基づき、バッファ装置に蓄えられた連帳紙の量がバッファ容量の上限に達したことを判定する工程と、
連帳紙の量が上限に達したとき、連帳紙を搬送する搬送機構の速度を、バッファ装置の更に下流に配置される他の画像形成装置の連帳紙の搬送速度と等しい速度とする工程と、
を当該画像形成装置に実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59476(P2011−59476A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210292(P2009−210292)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】