説明

重量部品内蔵の電子ユニット

【課題】 振動が多い自動車等に装着されても接続不良が起こらず、かつ熱による機能低下が起こらない重量部品内蔵の電子ユニット。
【解決手段】 本発明の重量部品内蔵の電子ユニット21は、ハウジング25内で最終的にプリント配線板2上に電子素子9と共に設置される重量部品3の取り付け構造であり、重量部品3がカバー24に一体でインサートモールドされる際、重量部品3を囲んで熱隔壁13が設けられると共に、カバー24の外面に達する放熱フィン23が設けられ、重量部品3の端子がプリント配線板2裏面で半田盛り部10により電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に搭載されるワイヤーハーネスの接続に用いられる電気接続箱内に組付けられる重量部品内蔵の電子ユニットに関し、特に電子回路を組み込んだプリント配線板に重量部品が装着される重量部品内蔵の電子ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来からリレー等の重量部品を内蔵した電子ユニットに関しては、特開昭62−181610号公報に開示されたようなものが知られている。図5および図6において、重量部品内蔵の電子ユニット51のハウジング52はカバーとしてのメインカバー53とアンダーカバー54とから成り、その間にプリント配線板55が挟持されている。プリント配線板55には、負荷駆動用のリレー、電源用のトランス、ブザー等の重量部品56の他に比較的軽量の電子素子57、CPU58等がそれぞれの端子の半田盛り部60による接続によって取り付けられている。また、アンダーカバー54には複数層のバスバー59とこれらのバスバー59間の短絡を防止するための絶縁板61が積層されている。
【0003】次に、ワイヤーハーネスとプリント配線板55との接続は、このプリント配線板55に半田盛り部60により立設された接続タブ63がメインカバー53内に外部に向かって開口されて設けられたカプラ64内に挿通されることによって接続される。さらに、ワイヤーハーネスとバスバー59との接続は、このバスバー59に折り曲げられて立設された接続タブ65がメインカバー53と一体で外部に向かって開口されて設けられたカプラ66内に挿通されることによって接続される。
【0004】上記構成の重量部品内蔵の電子ユニット51においては、先ず、アンダーカバー54内にバスバー59と絶縁板61が積み重ねられる。プリント配線板55には重量部品56、電子素子57、CPU58等が載せられ、アンダーカバー54上に載せられる。そして、メインカバー53が被せられるとアンダーカバー54との間でプリント配線板55が挟持される。最後に、カプラ64、66にワイヤーハーネスが接続されれば重量部品内蔵の電子ユニット51は作動可能となる。
【0005】上述の重量部品内蔵の電子ユニット51は、プリント配線板55に重量部品56、電子素子57、CPU58等が載せられ、それぞれの端子を裏面から半田盛り部60によって固定されているから接触による抵抗部がなく電気的には確実に接続されている。また、半田盛り部60自体はコンパクトである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の重量部品内蔵の電子ユニット51においては、負荷駆動リレー等の重量部品56は半田盛り部60によってプリント配線板55に固定されているので、振動によるストレスは重量部品56の端子の半田盛り部60に集中する。すると、半田盛り部60に疲労によるクラックが発生して接続不良になるという問題があった。また、重量部品56は熱の発生源でもあるので、内部に熱がこもって半田盛り部60や電子素子57、CPU58等が温度上昇して機能低下を招くという問題があった。
【0007】本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、振動が多い自動車等に装着されても接続不良が起こらず、かつ熱による機能低下が起こらない重量部品内蔵の電子ユニットを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる上記課題は、請求項1記載の重量部品内蔵電子ユニットであって、ハウジング内で最終的にプリント配線板上に電子素子と共に設置される重量部品を有する重量部品内蔵の電子ユニットにおいて、前記重量部品が前記ハウジングのカバーに一体的にインサートモールドされるとともに、前記重量部品の接続端子部が前記プリント配線板に電気的に接続されていることを特徴とする重量部品内蔵の電子ユニットによって解決することができる。
【0009】前記構成の重量部品内蔵の電子ユニットによると、振動する環境下に置かれても重量部品はカバーにインサートモールドされているので、重量はカバーに支えられている。従って、プリント配線板との接続メンバーである半田盛り部には大きな負荷はかからない。よって、半田盛り部の疲労によるクラックの発生からくる接続不良が起こることはなく、電子ユニットの信頼性を向上することができる。
【0010】また、上記課題は、請求項2記載の重量部品内蔵の電子ユニットであって、前記重量部品がインサートモールドされた前記カバー上に放熱フィンが設けられていることによって解決することができる。前記構成の重量部品内蔵の電子ユニットによると、重量部品がインサートモールドされているカバーに放熱フィンが設けられているので、重量部品の温度上昇を少なく抑えることができる。従って、プリント配線板との接続メンバーである半田盛り部が融けて接続不良になったり、重量部品の寿命を縮めるような不都合が防止される。また、プリント配線板上に在る近傍の電子素子等への熱的な影響も軽減される。よって、電子ユニットの信頼性を一層向上することができる。
【0011】さらに、上記課題は、請求項3項の重量部品内蔵の電子ユニットであって、前記重量部品がインサートモールドされた前記カバー内に前記重量部品を囲む熱隔壁が設けられていることによって解決することができる。前記構成の重量部品内蔵の電子ユニットによると、重量部品がインサートモールドされているカバーに熱隔壁が設けられているので、カバー内のプリント配線板上に重量部品近傍に設けられた他の電子素子やCPU等の温度上昇を抑えることができる。よって、電子ユニットの信頼性を一層向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の重量部品内蔵の電子ユニットの実施の形態例を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の重量部品内蔵の電子ユニットの第1実施の形態例を示す分解斜視図、図2は図1におけるAーA断面図、図3は本発明の重量部品内蔵の電子ユニットの第2実施の形態例を示す分解斜視図、図4は図3におけるBーB断面図である。図1および図2に示すように重量部品内蔵の電子ユニット1は、ハウジング5内で最終的にプリント配線板2上にセットされる負荷駆動リレー、電源用トランス、ブザー等の重量部品3の取り付け構造において、重量部品3がハウジング5のカバーとしてのメインカバー4に一体でインサートモールドされている。
【0013】さらに詳しくは、重量部品内蔵の電子ユニット1のハウジング5は、メインカバー4とアンダーカバー6とから成り、その間にプリント配線板2がそれぞれのカバーに設けられた支持片7、8に挟持されている。このプリント配線板2には、負荷駆動用のリレー、電源用のトランス、ブザー等の重量部品3の他に比較的軽量の電子素子9、CPU11等がそれぞれの端子のプリント配線板2裏面から突出した接続リードに半田盛り部10を形成することによって取り付けられている。その他、プリント配線板2上にはワイヤーハーネス用の接続コネクタ12が設けられていて、外部からワイヤーハーネスが接続されるようになっている。
【0014】なお、重量部品3がインサートモールドされたメインカバー4の内側には重量部品3を囲って熱隔壁13が設けられている。さらに、図1におけるプリント配線板2には重量部品3底面から突出された端子が半田盛り部10によって電気的に接続されるための接続穴14が設けられている。
【0015】上述した構成の重量部品内蔵の電子ユニット1においては、先ずプリント配線板2上に電子素子9、CPU11等の軽量部品が載せられ、裏面からそれぞれの端子を介して半田盛り部10によって接続される。そして、裏返しにされたメインカバー4の上にプリント配線板2を裏返しにして載せると、重量部品3の端子が接続穴14から突出するので半田盛り部10によってプリント配線板2に接続される。その上にアンダーカバー6を裏返しに載せてメインカバー4にロックさせるとプリント配線板2は支持片7、8によって挟持される。
【0016】従って、本実施の形態の電子ユニットが振動する環境下に置かれても重量部品3は、メインカバー4にインサートモールドされているので、重量部品3の重量はカバーに支えられているからプリント配線板2との接続メンバーである半田盛り部10には大きな負荷はかからない。よって、半田盛り部の疲労によるクラックの発生からくる接続不良等を確実に防止することができ、電子ユニットの信頼性を向上することができる。
【0017】また、重量部品3がインサートモールドされているメインカバー4に熱隔壁13が設けられているので、メインカバー4内のプリント配線板2上に重量部品3近傍に設けられた他の電子素子9やCPU11等の温度上昇を抑えることができ、電子ユニットの信頼性を一層向上することができる。
【0018】次に、本発明の重量部品内蔵の電子ユニットの第2実施の形態例を図3および図4に基づいて詳細に説明する。本実施の形態例における重量部品内蔵の電子ユニット21が、上記第1実施の形態例における重量部品内蔵の電子ユニット1と異なる点は、重量部品3をハウジング25内のメインカバー24にインサートモールドするときに、ハウジング25外面に達する放熱フィン23が設けられている点である。従って、同一構成の同一部品には図1および図2と同一符号を付することにより説明を省略する。
【0019】本実施の形態例の重量部品内蔵の電子ユニット21によると、上述した上記実施の形態例の電子ユニットの作用効果に加えて、重量部品3がインサートモールドされているメインカバー24に放熱フィン23が設けられているので、重量部品3の温度上昇を少なく抑えることができる。従って、プリント配線板2との接続メンバーである半田盛り部10が融けて接続不良になったり、重量部品3の寿命を縮めるような不都合を確実に防止することができる。また、プリント配線板2上に在る近傍の電子素子9等への熱的な影響も軽減され、電子ユニットの信頼性を一層向上することができる。
【0020】なお、本発明は上述した実施の形態例に限定されるものでなく、適宜な変更を行うことにより他の態様でも実施することができる。例えば、上記実施の形態例ではプリント配線板2は、メインカバー4、24の支持片7とアンダーカバー6の支持片8に挟持されて保持されていたが、メインカバー4、24の裏面にネジ等の締結用部材で止められていても差し支えない。また、第2実施の形態例においては放熱フィン23は、メインカバー24と同材質、例えば、硬質合成樹脂等を想定していたが、底面が重量部品3に接触するようにU字断面の金属製のチャンネルを挟んで鋳込めば放熱性はさらに改善される。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明の重量部品内蔵の電子ユニットによれば、重量部品がハウジングのカバーに一体的にインサートモールドされるとともに、重量部品の接続端子部がプリント配線板に電気的に接続されている。従って、電子ユニットが振動する環境下に置かれても重量部品はカバーにインサートモールドされているので、重量部品の重量はカバーに支えられているからプリント配線板との接続メンバーである半田盛り部には大きな負荷はかからない。よって、半田盛り部の疲労によるクラックの発生からくる接続不良等を確実に防止することができ、電子ユニットの信頼性を向上させることができる。
【0022】また、重量部品がインサートモールドされたカバー上に放熱フィンが設けられていると、重量部品の温度上昇を少なく抑えることができる。従って、プリント配線板との接続メンバーである半田盛り部が融けて接続不良になったり、重量部品の寿命を縮めるような不都合が防止される。また、プリント配線板上に在る近傍の電子素子等への熱的な影響も軽減され、電子ユニットの信頼性を一層向上することができる。
【0023】さらに、重量部品がインサートモールドされたカバー内に重量部品を囲む熱隔壁が設けられていると、カバー内のプリント配線板上に重量部品近傍に設けられた他の電子素子やCPU等の温度上昇を抑えることができ、電子ユニットの信頼性を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重量部品内蔵の電子ユニットの第1実施の形態例を示す分解斜視図である。
【図2】図1におけるAーA断面図である。
【図3】本発明の重量部品内蔵の電子ユニットの第2実施の形態例を示す分解斜視図である。
【図4】図3におけるBーB断面図である。
【図5】従来の重量部品内蔵の電子ユニットの一例を示す斜視図である。
【図6】図5における断面図である。
【符号の説明】
1、21 重量部品内蔵の電子ユニット
2 プリント配線板
3 重量部品
4、24 メインカバー(カバー)
5、25 ハウジング
6 アンダーカバー
9 電子素子
10 半田盛り部
13 熱隔壁
23 放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジング内で最終的にプリント配線板上に電子素子と共に設置される重量部品を有する重量部品内蔵の電子ユニットにおいて、前記重量部品が前記ハウジングのカバーに一体的にインサートモールドされるとともに、前記重量部品の接続端子部が前記プリント配線板に電気的に接続されていることを特徴とする重量部品内蔵の電子ユニット。
【請求項2】 前記重量部品がインサートモールドされた前記カバー上に放熱フィンが設けられていることを特徴とする請求項1記載の重量部品内蔵の電子ユニット。
【請求項3】 前記重量部品がインサートモールドされた前記カバー内に前記重量部品を囲む熱隔壁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の重量部品内蔵の電子ユニット。

【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図1】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate