金型の解体装置、及び金型の解体方法。
【課題】上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入された金型の解体及び組立、Vベルトの取り出しを自動で行うことができる金型の解体装置及び解体方法を提供する。
【解決手段】金型2を水平方向に移動させる金型搬送装置3と、ボルト11を取り付け又は取り外す開閉手段5と、金型2の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を保持又は押さえ付け可能な複数対のフック4と、金型2からラップドVベルト1を分離するベルト分離手段6と、ラップドVベルト1を引っ掛ける分離爪71を備え、リングモールド21から分離されたラップドVベルト1を保持する伸縮及び鉛直方向に移動可能なキャッチャー72と、キャッチャー72が取り付けられる軸体73を有して構成されるベルト搬送装置7を備える金型の解体装置100。
【解決手段】金型2を水平方向に移動させる金型搬送装置3と、ボルト11を取り付け又は取り外す開閉手段5と、金型2の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を保持又は押さえ付け可能な複数対のフック4と、金型2からラップドVベルト1を分離するベルト分離手段6と、ラップドVベルト1を引っ掛ける分離爪71を備え、リングモールド21から分離されたラップドVベルト1を保持する伸縮及び鉛直方向に移動可能なキャッチャー72と、キャッチャー72が取り付けられる軸体73を有して構成されるベルト搬送装置7を備える金型の解体装置100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Vベルトが嵌入された金型の解体装置、及び金型の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現行のVベルトを製造する工程では、加硫工程において、Vベルトを加硫するために金型装置が用いられている。当該金型装置としては、特許文献1に記載された金型装置が知られている。この金型装置は、隣接するリングモールドの外周部に形成されたV状溝に未加硫のVベルトを収容し、これを繰り返して順次積み重ねたものであり、順次積み重ねたリングモールドの両端面に上蓋と下蓋を配置し、この上下蓋を締付けボルトで機械的に固定したものである。ここで、加硫後は、作業者により金型を固定しているボルトを抜いた後、上蓋をホイストにより外している。そして、作業者が手作業によりバールでリングモールドを解体し、さらに、ヘラをVベルトとリングモールドの間に挿入して手作業によりVベルトを取り出している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−36242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、金型装置を解体及び組立てることにより、加硫されたVベルトを金型装置から分離する工程は、作業者に依存しており、重量物である金型を数十枚連続して分解作業するため、作業者にとって重作業であった。また、単位時間当たりの生産性が一日の間で大きく変動する要因になるなどの問題があった。そのため、これらの工程を合理化することが強く望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、金型の解体及び組立て、加硫されたVベルトを金型装置から分離する工程を自動化し合理化を図る金型の解体装置とその解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る金型の解体装置は、金型を解体しながら加硫されたVベルトを金型装置から分離することができる金型の解体装置に関する。そして、本発明に係る金型の解体装置は、上記目的を達成するために以下のような特徴を有している。
【0007】
前記課題を解決するための本発明に係る金型の解体装置の特徴は、上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体装置であって、前記金型を水平方向に移動させる金型搬送装置と、前記機械的手段を取り付け又は取り外す開閉手段と、前記金型の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、前記上下蓋及び前記リングモールドの内周部に備えられた突起部を保持又は押さえ付け可能な複数対のフックと、前記金型から前記Vベルトを分離するベルト分離手段と、前記Vベルトを引っ掛ける分離爪を備え、前記リングモールドから分離された前記Vベルトを保持する伸縮及び鉛直方向に移動可能な保持部と、前記保持部が取り付けられる軸体とを有して構成されるベルト搬送装置と、を備えることである。
【0008】
この構成によると、開閉手段により金型から自動的に機械的手段が取り外される。また、フックを下降させることで、フックの真下に配置された金型の内側にフックを挿入する。そして、上下蓋及びリングモールドの内周部に備えられた突起部を、昇降可能な一対のフックで保持又は押さえ付けることで、金型の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離手段とベルト搬送装置により、Vベルトを金型から自動的に分離することができる。その結果、Vベルトの製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールド内側から金型に挿入したフックが水平方向に移動することができるので、様々な内径の金型に対応可能である。
【0009】
また、本発明に係る金型の解体方法は、金型を解体しながら加硫されたVベルトを金型装置から分離することができる金型の解体方法に関する。そして、本発明に係る金型の解体方法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の金型の解体方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0010】
また、本発明に係る金型の解体方法の第1の特徴は、上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体方法であって、上下逆にした前記金型を金型搬送装置により搬入する金型搬入工程と、搬入された前記金型の前記上下蓋を固定している前記機械的手段を開閉手段により開放する上下蓋開放工程と、前記機械的手段が開放された前記金型にフックを挿入し、前記フックの先端に折り曲げた状態で設けた係止部を最下位の前記リングモールドの突起部の下側に配置することで前記金型を保持し、且つ上蓋を前記係止部で押え付けながら前記金型を上昇させることで前記金型から前記上蓋を分離し、前記上蓋を前記金型搬送装置上に載置する上蓋分離工程と、ベルト分離手段により前記上蓋が分離された前記金型から前記Vベルトの一端を分離し、分離した前記Vベルトの一端を分離爪で引っ掛け、保持部を縮小させることで前記金型から前記Vベルトを引き剥がし、引き剥がした前記Vベルトを搬出するベルト分離工程と、前記係止部を前記上蓋が分離された前記金型に挿入し、前記係止部を前記金型から分離させる前記リングモールドの前記突起部の上側と、前記金型から分離させる前記リングモールドの上部に隣接する前記リングモールドの前記突起部の下側とに配置し、前記突起部の上側に配置した前記係止部により前記金型から分離させる前記リングモールドを押え付けるとともに、前記突起部の下側に配置した前記係止部により前記金型を保持しながら前記金型を上昇させることで、前記金型から分離させる前記リングモールドを前記金型から分離するリング分離工程と、前記リング分離工程により前記上下蓋の間に隣接して積層した前記リングモールド同士の分離が完了した後に、前記係止部を前記リングモールドの前記突起部の上側に配置することで前記下蓋を保持し、且つ前記リングモールドを押え付けながら前記下蓋を上昇させることにより前記下蓋を分離する下蓋分離工程と、を備え、前記ベルト分離工程と前記リング分離工程を繰り返すことで、前記金型を解体しながら前記Vベルトを前記金型から分離することである。
【0011】
この構成によると、上下蓋開放工程において、金型から自動的に機械的手段が取り外される。また、上蓋分離工程とリング分離工程と下蓋分離工程において、上下蓋及びリングモールドの内周部に備えられた突起部を、昇降可能なフックで保持及び押さえ付けることで、金型の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離工程において、Vベルトを金型から自動的に分離することができる。その結果、Vベルトの製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールドが複数段積層されている金型の場合において、リング分離工程とベルト分離工程を繰り返すことで、一連の工程を自動的に連続して行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る金型の解体方法の第2の特徴は、前記リング分離工程で分離した前記Vベルトが嵌入されていない前記リングモールドを、前記上蓋分離工程で分離した前記上蓋の上に順次積層し、前記下蓋分離工程で分離した前記下蓋を積層した前記リングモールドの上に載置する金型組立工程と、前記金型組立工程で組み立てた前記金型の前記上下蓋を前記機械的手段で固定する上下蓋固定工程と、前記機械的手段で上下蓋を固定された前記金型を前記金型搬送装置により搬出する金型搬出工程と、を備えることである。
【0013】
この構成によると、上蓋分離工程で分離した上蓋の上に、リング分離工程で分離したVベルトが嵌入されていないリングモールドを順次積層する。そして、下蓋分離工程で分離した下蓋を積層した当該リングモールドの上に載置し、機械的手段で上下蓋を固定する。これにより、金型の解体を行いながら金型の組立を同時進行で行うことができ、Vベルトの製造工程の合理化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態では、図16に示すように、圧縮部13と中立部14と引っ張り部15からなるVベルトの全外周面を帆布16で覆ったベルトであるラップドVベルト1が嵌入された金型2の解体装置及び解体方法について説明する。また、本実施形態では、上下蓋22、23の間にリングモールド21を7段積層した金型2に、ラップドVベルト1が8本嵌入させた金型2の解体装置及び解体方法について説明するが、これに限定されることはない。
【0015】
図1から図14は本実施形態に係る金型2の解体方法の流れを示した図である。図1は、金型2を搬入する金型搬入工程を示す。図2は、上下蓋22、23を固定しているボルト11(機械的手段)を取り外す上下蓋開放工程を示す。図3、図4は、上蓋分離工程を示す。図5、図6、図9、図10は、金型2からラップドVベルト1(Vベルト)を分離するベルト分離工程を示す。図7、図8は、最下位のリングモールド21を金型2から分離するリング分離工程を示す。図11、図12は、下蓋分離工程を示す。図13は、上下蓋22、23をボルト11により固定する上下蓋固定工程を示す。図14は、金型2を搬出する金型搬出工程を示す。図15は、フック4の配置を上面から見た図であり、図15(b)は図3に示すA−A断面である。図16は、ラップドVベルト1の斜視図である。
【0016】
(金型の解体装置)
図1に示すように、本実施形態に係る金型2の解体装置100は、金型2を水平方向に移動させる金型搬送装置3と、ボルト11を取り付け又は取り外す開閉手段5と、先端をほぼ直角に屈曲した係止部43を有するフック4と、金型2からラップドVベルト1(Vベルト)を分離するベルト分離手段6と、金型2から分離されたラップドVベルト1を搬送するベルト搬送装置7と、を有して構成されている。尚、金型2は、隣接するリングモールド21の外周部に形成されたV状溝に未加硫のVベルトを収容し、これを繰り返して順次積み重ねたものであり、順次積み重ねたリングモールド21の両端面には上蓋22と下蓋23を配置し、この上下蓋22、23をボルト11で固定しているものである。尚、図15に示すように、リングモールドの内周部には、周方向に4等分に配置された突起部が設けられている。
【0017】
金型搬送装置3は、例えば、コンベア31で構成されており、コンベア31下部に設けられた支柱12により支持されている。そして、当該コンベア31は、本体に複数のローラ32が回転自在に取り付けられている。そして、図1に示すように、コンベア31上に置かれたパレット8に載置された金型2を水平方向に移動させることで、金型2を解体装置100に搬入したり搬出したりする。尚、金型搬送装置3により、金型2はフック4の真下まで搬入され位置決めされる。
【0018】
フック4は、上部部材9の下面に金型2の円周方向に沿って均等に分散して設けられている。本実施形態では、図15に示すように、フック4が円周方向に4等分に設けられているがこれに限定されることはない。そして、各フック4に対向したフック4同士が一対のフック41、42を形成する。そして、例えば、モータ(図示せず)等により、一対のフック41、42が連動して鉛直方向に昇降したり、金型2の拡径方向及び縮径方向に移動したりすることができるものである。各フック4の先端は外周方向へ折れ曲がった略L字形状の係止部43を有している。そして、当該係止部43がリングモールド21に設けられた突起部24の上側に配置されることで、リングモールド21を押さえ付けることが可能である。また、当該係止部43を突起部24の下側に配置することでリングモールド21を保持しながら、金型2を上昇させることができる。
【0019】
開閉手段5は、上下蓋22、23を固定するボルト11(機械的手段)を取り付けたり、取り外したりするものである。そして、当該開閉手段5は、ボルト11の頭部を把持する把持部51と、当該把持部51を昇降させるシリンダ52を有している。そして、当該把持部51を回転させることでボルト11を取り外す。そして、把持部を下降させることでボルト11の取り出しを行う。尚、開閉手段5は、下部部材10の上面に設けられ、ボルト11を下側から取り付け又は取り外す構成となっているので、金型2を解体装置100内に搬入する際に、金型2を上下逆、つまり上蓋22が下側になるようにパレット8上に載置する。
【0020】
ベルト分離手段6は、リングモールド21とラップドVベルト1を分離するくさび61部と、上部部材9に取り付けられたエアシリンダ62とを有している。そして、エアシリンダ62の先端にくさび61部が装着されている。くさび61部は、先端部に向かって薄くなるようにしたV字形であり、くさび61部をリングモールド21の一方のV状壁面とラップドVベルト1間に打ち込むものである。そして、図5に示すように、くさび効果によりラップドVベルト1の一端がリングモールド21から分離させる。尚、金型2は上蓋22が下側になるようにパレット8上に載置されるため、ラップドVベルト1の自重を利用してリングモールド21からラップドVベルト1を分離することができる。
【0021】
ベルト搬送装置7は、ラップドVベルト1を引き剥がす分離爪71と、落下したラップドVベルト1を保持し、且つ水平方向に伸縮するように連結された板状のキャッチャー72(保持部)と、キャッチャー72が取り付けられる軸体73を有して構成されている。当該軸体73には、例えばボールネジ及びモータ等からなる鉛直移動機構(図示せず)が設けられている。当該鉛直移動機構により、キャッチャー72は軸体73に沿って鉛直方向に移動し、キャッチャー72の高さ調整を行うことができる。尚、軸体73は回転することができるものであってもよい。
【0022】
次に本実施形態に係る金型の解体方法の各工程について説明する。
【0023】
(金型搬入工程)
図1に示すように、金型搬入工程では、加硫されたラップドVベルト1が嵌入された金型2を上下逆にしてパレット8の上に載置する。そして、金型搬送装置3によって図1に示す矢印B1方向に金型2を移動させる。そして、上部部材9に備えられたフック4の真下まで金型2を搬入する。
【0024】
(上下蓋開放工程)
図2に示すように、上下蓋開放工程では、まず、開閉手段5の把持部51を上昇させてボルト11の頭部を固定する。その後、把持部51を回転させてボルト11を取り外し、把持部51を下降させてボルト11を取り出す。
【0025】
(上蓋分離工程)
上記上下蓋開放工程の後に、上蓋分離工程が行われる。図3に示すように、上蓋分離工程では、フック4を下降させることで金型2の内側にフック4を挿入し、フック4を径方向に拡径させることでフック4の係止部43を上蓋22と最下位のリングモールド21の突起部24の下側の間に配置させる。そして、図4に示すように、一対のフック42の係止部43を上蓋22に当接させ、上蓋22を押さえ付ける。さらに、一対のフック41の係止部43により最下位のリングモールド21を保持し、一対のフック41を上昇させることで下蓋23及びリングモールド21を上昇させる。これにより、上蓋22が金型2から分離されることになる。尚、上蓋22はパレット8上面に載置された状態となる。
【0026】
ここで、図3に示すフック4の配置を図15を参照しながら説明する。一対のフック41、42がリングモールド21内側に挿入された時のフックの配置を図15(a)に示す。その後、図15(b)に示すように、一対のフック41、42が径方向に拡径し、リングモールド21の突起部24の下側に配置される。
【0027】
(ベルト分離工程)
上記上蓋分離工程の後に、上蓋22を押さえ付けていた一対のフック42の係止部43を最下位のリングモールド21の上部に積層しているリングモールド21の突起部24の下側に配置する。そして、最下位のリングモールド21の上部に積層しているリングモールド21を保持する。その後、ベルト分離工程が行われる。
【0028】
図5に示すように、ベルト分離工程では、鉛直移動機構により下部部材10上に立設されたベルト搬送装置7に備えられたキャッチャー72(保持部)が、金型2と上蓋22との間に伸縮可能な高さまで調整される。その後、キャッチャー72を図5中に示す矢印C1の方向に伸長させることで、上記上蓋分離工程において上昇させた下蓋23及びリングモールド21の下部に配置する。その後、エアシリンダ62の先端に装着しているくさび61部を昇降させることで、くさび61部の位置決めを行う。そして、くさび61が最下位のリングモールド21の一方のV状壁面とラップドVベルト1の間に打ち込まれる。これにより、くさび61が打ち込まれたラップドVベルト1の一端がリングモールド21から分離する。そして、その分離したラップドVベルト1の一端をキャッチャー72の先端に設けられた分離爪71で引っ掛け、キャッチャー72を図6中に示す矢印C2の方向に縮小させることでラップドVベルト1が金型2から引き剥がされる。そして、ラップドVベルト1がキャッチャー72上部に保持される。さらに、キャッチャー72を縮小させることでラップドVベルト1が軸体73に接触し、図6に示すように、ラップドVベルト1が垂直に吊り下げられた状態となる。その後、ラップドVベルト1が作業者の待機した場所に搬送され、作業者によりラップドVベルト1が取り出される。
【0029】
(リング分離工程)
上記ベルト分離工程の後、図7に示すように、フック4を下降させ上蓋22の上部に金型2を載置する。その後、リング分離工程が行われる。
【0030】
図7に示すように、リング分離工程では、最下位のリングモールド21の突起部24の上側に一対のフック41の係止部43を配置する。また、一対のフック42の係止部43は最下位のリングモールド21の上部に隣接するリングモールド21の突起部24の下側に配置されている。そして、一対のフック42を上昇させることで下蓋23及び最下位のリングモールド21上部に積層されたリングモールド21を上昇させる。ここで、最下位のリングモールド21は一対のフック41により押さえ付けられる。また、最下位のリングモールド21の上部に隣接するリングモールド21は一対のフック42により保持される。これにより、図8に示すように、一対のフック42を上昇させることで最下位のリングモールド21が分離する。その後、図9に示すように、一対のフック41を上昇させてリングモールド21の突起部の下側に一対のフック41の係止部43を配置する。尚、分離された最下位のリングモールド21は、上蓋22の上に載置された状態となる。
【0031】
リング分離工程の後に、図9及び図10に示すように、上述したベルト分離工程が行われる。これにより、リングモールド21からラップドVベルト1が分離される。その後、図10に示すように、ラップドVベルト1が作業者の待機した場所に搬送され、作業者によりラップドVベルト1が取り出される。そして、フック4を下降させ、上蓋22の上部に載置された最下位のリングモールド21の上部に金型2を載置する。その後、リング分離工程が行われる。つまり、ベルト分離工程とリング分離工程を繰り返すことにより、金型2を解体しながらラップドVベルト1を金型2から取り出すことができる。尚、分離されたリングモールド21は、パレット8上に載置された上蓋22の上部に順次積層される。
【0032】
(下蓋分離工程)
上記ベルト分離工程とリング分離工程を繰り返すことで、ラップドVベルト1がリングモールド21から分離するとともに、ラップドVベルト1が嵌入していないリングモールド21を上蓋22の上に順次積層する。そして、図11に示すように、フック4を下降し、パレット8上部に積層したリングモールド21の上に金型2を載置する。その後、下蓋分離工程を行う。
【0033】
図11に示すように、下蓋分離工程では、リングモールド21の突起部24の上側に一対のフック41の係止部43を配置する。また、一対のフック42の係止部43は下蓋23の下部に配置される。そして、一対のフック42を上昇させることで下蓋23を上昇させる。ここで、最下位のリングモールド21は一対のフック41により押さえ付けられる。また、下蓋23は一対のフックにより保持される。これにより、図12に示すように、下蓋23と最下位のリングモールド21が分離する。尚、分離されたリングモールド21は、積層されたリングモールド21上に載置される。
【0034】
下蓋分離工程の後、上述したベルト分離工程を行い、下蓋23からラップドVベルト1を分離する。そして、図13に示すように、一対のフック42を下降させることにより、下蓋23を下降させパレット8上に積層されたリングモールド21上に載置する。
【0035】
(金型組立工程)
金型組立工程は、上述した上蓋分離工程及びリング分離工程及び下蓋分離工程に連動して行われる。まず、上下蓋分離工程で分離した上蓋22は、金型搬送装置3上のパレット8上面に載置した状態となる。次に、リング分離工程により分離したラップドVベルト1が嵌入されていないリングモールド21を、当該上蓋22の上に順次積層する。最後に、下蓋分離工程により分離された下蓋を積層された当該リングモールド21の上に載置する。これにより、上記一連の工程に連動してラップドVベルト1が嵌入されてない金型2を組み立てることができる。
【0036】
(上下蓋固定工程)
上記金型組立工程の後に、上下蓋固定工程が行われる。図13に示すように、上下蓋固定工程では、開閉手段5の把持部51で固定したボルト11を上昇させてパレット8上に組立てた金型2にボルト11を挿入する。その後、把持部51を回転させてボルト11を取り付け、上下蓋22、23を固定する。
【0037】
(金型搬出工程)
上記上下蓋固定工程の後に、金型搬出工程が行われる。図14に示すように、金型搬出工程では、金型搬送装置3により金型2が図14中に示す矢印B2の方向に移動し、解体装置100から搬出される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る金型2の解体装置100は、加硫済みのラップドVベルト1が嵌入された金型2を解体装置100内のフック4の真下に搬入する金型搬送装置3を備える。また、金型2を固定しているボルト11を取り付け又は取り外す開閉手段5を備える。また、金型2の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、当該ボルト11が取り外された金型2の内側に挿入された後、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を保持又は押さえ付け可能な複数対のフック4を備える。また、金型2からラップドVベルト1を分離するベルト分離手段6を備える。また、ラップドVベルト1を引き剥がす分離爪71を備え、前記リングモールド21から分離された前記ラップドVベルト1を保持する保持部と、当該保持部が取り付けられる軸体73とを有して構成されるベルト搬送装置7とを備える。
【0039】
この構成によると、開閉手段5により金型2から自動的にボルト11が取り外される。また、フック4を下降させることで、フック4の真下に配置された金型2の内側にフック4を挿入する。そして、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を、昇降可能な一対のフック41,42で保持又は押さえ付けることで、金型2の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離手段6とベルト搬送装置7により、ラップドVベルト1を金型2から自動的に分離することができる。その結果、ラップドVベルト1の製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールド21内側から金型2に挿入したフック4が水平方向に移動することができるので、様々な内径の金型2に対応可能である。また、現行のラインで稼働しているリングモールド21を転用可能な設計になっているので、リングモールド21の再設計が不要であり、ライン敷設時のコストを安く抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る金型の解体方法は、金型搬送装置3により金型2を搬入する金型搬入工程と、開閉手段5により上下蓋22、23を開放する上下蓋開放工程と、フック4の先端に折り曲げた状態で設けた係止部43を最下位のリングモールド21の突起部24の下側に配置することで金型2を保持し、且つ上蓋22を係止部43で押え付けながら金型2を上昇させることで金型2から前記上蓋22を分離し、上蓋22を金型搬送装置3上に載置する上蓋分離工程と、ベルト分離手段6により金型2からラップドVベルト1を分離し、分離したラップドVベルト1を分離爪71によりリングモールド21から引き剥がし、ベルト搬送装置7により搬送するベルト分離工程と、係止部43を金型から分離させるリングモールド21の突起部24の上側と、金型から分離させるリングモールド21の上部に隣接するリングモールド21の突起部24の下側とに配置し、突起部24の上側に配置した係止部43により金型から分離させるリングモールド21を押え付けるとともに、突起部24の下側に配置した係止部43により金型2を保持しながら金型2を上昇させることで、金型から分離させるリングモールド21を金型2から分離するリング分離工程と、係止部43をリングモールド21の突起部24の上側に配置することで下蓋23を保持し、且つリングモールド21を押え付けながら下蓋23を上昇させることにより下蓋23を分離する下蓋分離工程と、を備える。
【0041】
この構成によると、上下蓋開放工程において、金型2から自動的にボルト11が取り外される。また、上蓋分離工程及びリング分離工程及び下蓋分離工程において、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を、昇降可能な一対のフック41、42で保持及び押さえ付けることで、金型2の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離工程において、ラップドVベルト1を金型2から自動的に分離することができる。その結果、ラップドVベルト1の製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールド21が複数段積層されている金型2の場合において、リング分離工程とベルト分離工程を繰り返すことで、一連の工程を自動的に連続して行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る金型の解体方法は、リング分離工程で分離したラップドVベルト1が嵌入されていないリングモールド21を、上蓋分離工程で分離した上蓋22の上に順次積層し、下蓋分離工程で分離した下蓋23を当該積層した前記リングモールド21の上に載置する金型組立工程と、ボルト11で前記上下蓋22、23を固定する上下蓋固定工程と、金型を搬出する金型搬出工程と、を備える。
【0043】
この構成によると、金型組立工程により、上蓋分離工程で分離した上蓋22の上に、リング分離工程で分離したラップドVベルト1が嵌入されていないリングモールド21を順次積層する。そして、下蓋分離工程で分離した下蓋23を積層した当該リングモールド21の上に載置する。その後、上下蓋固定工程により、ボルト11で上下蓋22、23が固定される。これにより、金型2の解体を行いながら金型2の組立を同時進行で行うことができ、ラップドVベルト1の製造工程の合理化を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る金型2の解体方法において、ラップドVベルト1を加硫後、金型2及びラップドVベルト1を冷却する冷却工程と、ラップドVベルト1と金型2の型離れを向上させる離型剤を塗布する工程と、塗布した離型剤を乾燥させる乾燥工程とを設けることで、ラップドVベルト1の製造ラインを小さくすることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る金型搬入工程を示した図である。
【図2】本実施形態に係る上下蓋開放工程を示した図である。
【図3】本実施形態に係る上蓋分離工程を示した図である。
【図4】本実施形態に係る上蓋分離工程を示した図である。
【図5】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図6】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図7】本実施形態に係るリング分離工程を示した図である。
【図8】本実施形態に係るリング分離工程を示した図である。
【図9】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図10】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図11】本実施形態に係る下蓋分離工程を示した図である。
【図12】本実施形態に係る下蓋分離工程を示した図である。
【図13】本実施形態に係る上下蓋固定工程を示した図である。
【図14】本実施形態に係る金型搬出工程を示した図である。
【図15】フックの配置を上面から見た図である。
【図16】ラップドVベルトの斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ラップドVベルト
2 金型
3 金型搬送装置
4、41、42 フック
5 開閉手段
6 ベルト分離手段
7 ベルト搬送装置
21 リングモールド
22 上蓋
23 下蓋
24 突起部
43 係止部
51 把持部
61 くさび
71 分離爪
72 キャッチャー(保持部)
100 解体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、Vベルトが嵌入された金型の解体装置、及び金型の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現行のVベルトを製造する工程では、加硫工程において、Vベルトを加硫するために金型装置が用いられている。当該金型装置としては、特許文献1に記載された金型装置が知られている。この金型装置は、隣接するリングモールドの外周部に形成されたV状溝に未加硫のVベルトを収容し、これを繰り返して順次積み重ねたものであり、順次積み重ねたリングモールドの両端面に上蓋と下蓋を配置し、この上下蓋を締付けボルトで機械的に固定したものである。ここで、加硫後は、作業者により金型を固定しているボルトを抜いた後、上蓋をホイストにより外している。そして、作業者が手作業によりバールでリングモールドを解体し、さらに、ヘラをVベルトとリングモールドの間に挿入して手作業によりVベルトを取り出している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−36242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、金型装置を解体及び組立てることにより、加硫されたVベルトを金型装置から分離する工程は、作業者に依存しており、重量物である金型を数十枚連続して分解作業するため、作業者にとって重作業であった。また、単位時間当たりの生産性が一日の間で大きく変動する要因になるなどの問題があった。そのため、これらの工程を合理化することが強く望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、金型の解体及び組立て、加硫されたVベルトを金型装置から分離する工程を自動化し合理化を図る金型の解体装置とその解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る金型の解体装置は、金型を解体しながら加硫されたVベルトを金型装置から分離することができる金型の解体装置に関する。そして、本発明に係る金型の解体装置は、上記目的を達成するために以下のような特徴を有している。
【0007】
前記課題を解決するための本発明に係る金型の解体装置の特徴は、上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体装置であって、前記金型を水平方向に移動させる金型搬送装置と、前記機械的手段を取り付け又は取り外す開閉手段と、前記金型の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、前記上下蓋及び前記リングモールドの内周部に備えられた突起部を保持又は押さえ付け可能な複数対のフックと、前記金型から前記Vベルトを分離するベルト分離手段と、前記Vベルトを引っ掛ける分離爪を備え、前記リングモールドから分離された前記Vベルトを保持する伸縮及び鉛直方向に移動可能な保持部と、前記保持部が取り付けられる軸体とを有して構成されるベルト搬送装置と、を備えることである。
【0008】
この構成によると、開閉手段により金型から自動的に機械的手段が取り外される。また、フックを下降させることで、フックの真下に配置された金型の内側にフックを挿入する。そして、上下蓋及びリングモールドの内周部に備えられた突起部を、昇降可能な一対のフックで保持又は押さえ付けることで、金型の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離手段とベルト搬送装置により、Vベルトを金型から自動的に分離することができる。その結果、Vベルトの製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールド内側から金型に挿入したフックが水平方向に移動することができるので、様々な内径の金型に対応可能である。
【0009】
また、本発明に係る金型の解体方法は、金型を解体しながら加硫されたVベルトを金型装置から分離することができる金型の解体方法に関する。そして、本発明に係る金型の解体方法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の金型の解体方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0010】
また、本発明に係る金型の解体方法の第1の特徴は、上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体方法であって、上下逆にした前記金型を金型搬送装置により搬入する金型搬入工程と、搬入された前記金型の前記上下蓋を固定している前記機械的手段を開閉手段により開放する上下蓋開放工程と、前記機械的手段が開放された前記金型にフックを挿入し、前記フックの先端に折り曲げた状態で設けた係止部を最下位の前記リングモールドの突起部の下側に配置することで前記金型を保持し、且つ上蓋を前記係止部で押え付けながら前記金型を上昇させることで前記金型から前記上蓋を分離し、前記上蓋を前記金型搬送装置上に載置する上蓋分離工程と、ベルト分離手段により前記上蓋が分離された前記金型から前記Vベルトの一端を分離し、分離した前記Vベルトの一端を分離爪で引っ掛け、保持部を縮小させることで前記金型から前記Vベルトを引き剥がし、引き剥がした前記Vベルトを搬出するベルト分離工程と、前記係止部を前記上蓋が分離された前記金型に挿入し、前記係止部を前記金型から分離させる前記リングモールドの前記突起部の上側と、前記金型から分離させる前記リングモールドの上部に隣接する前記リングモールドの前記突起部の下側とに配置し、前記突起部の上側に配置した前記係止部により前記金型から分離させる前記リングモールドを押え付けるとともに、前記突起部の下側に配置した前記係止部により前記金型を保持しながら前記金型を上昇させることで、前記金型から分離させる前記リングモールドを前記金型から分離するリング分離工程と、前記リング分離工程により前記上下蓋の間に隣接して積層した前記リングモールド同士の分離が完了した後に、前記係止部を前記リングモールドの前記突起部の上側に配置することで前記下蓋を保持し、且つ前記リングモールドを押え付けながら前記下蓋を上昇させることにより前記下蓋を分離する下蓋分離工程と、を備え、前記ベルト分離工程と前記リング分離工程を繰り返すことで、前記金型を解体しながら前記Vベルトを前記金型から分離することである。
【0011】
この構成によると、上下蓋開放工程において、金型から自動的に機械的手段が取り外される。また、上蓋分離工程とリング分離工程と下蓋分離工程において、上下蓋及びリングモールドの内周部に備えられた突起部を、昇降可能なフックで保持及び押さえ付けることで、金型の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離工程において、Vベルトを金型から自動的に分離することができる。その結果、Vベルトの製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールドが複数段積層されている金型の場合において、リング分離工程とベルト分離工程を繰り返すことで、一連の工程を自動的に連続して行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る金型の解体方法の第2の特徴は、前記リング分離工程で分離した前記Vベルトが嵌入されていない前記リングモールドを、前記上蓋分離工程で分離した前記上蓋の上に順次積層し、前記下蓋分離工程で分離した前記下蓋を積層した前記リングモールドの上に載置する金型組立工程と、前記金型組立工程で組み立てた前記金型の前記上下蓋を前記機械的手段で固定する上下蓋固定工程と、前記機械的手段で上下蓋を固定された前記金型を前記金型搬送装置により搬出する金型搬出工程と、を備えることである。
【0013】
この構成によると、上蓋分離工程で分離した上蓋の上に、リング分離工程で分離したVベルトが嵌入されていないリングモールドを順次積層する。そして、下蓋分離工程で分離した下蓋を積層した当該リングモールドの上に載置し、機械的手段で上下蓋を固定する。これにより、金型の解体を行いながら金型の組立を同時進行で行うことができ、Vベルトの製造工程の合理化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態では、図16に示すように、圧縮部13と中立部14と引っ張り部15からなるVベルトの全外周面を帆布16で覆ったベルトであるラップドVベルト1が嵌入された金型2の解体装置及び解体方法について説明する。また、本実施形態では、上下蓋22、23の間にリングモールド21を7段積層した金型2に、ラップドVベルト1が8本嵌入させた金型2の解体装置及び解体方法について説明するが、これに限定されることはない。
【0015】
図1から図14は本実施形態に係る金型2の解体方法の流れを示した図である。図1は、金型2を搬入する金型搬入工程を示す。図2は、上下蓋22、23を固定しているボルト11(機械的手段)を取り外す上下蓋開放工程を示す。図3、図4は、上蓋分離工程を示す。図5、図6、図9、図10は、金型2からラップドVベルト1(Vベルト)を分離するベルト分離工程を示す。図7、図8は、最下位のリングモールド21を金型2から分離するリング分離工程を示す。図11、図12は、下蓋分離工程を示す。図13は、上下蓋22、23をボルト11により固定する上下蓋固定工程を示す。図14は、金型2を搬出する金型搬出工程を示す。図15は、フック4の配置を上面から見た図であり、図15(b)は図3に示すA−A断面である。図16は、ラップドVベルト1の斜視図である。
【0016】
(金型の解体装置)
図1に示すように、本実施形態に係る金型2の解体装置100は、金型2を水平方向に移動させる金型搬送装置3と、ボルト11を取り付け又は取り外す開閉手段5と、先端をほぼ直角に屈曲した係止部43を有するフック4と、金型2からラップドVベルト1(Vベルト)を分離するベルト分離手段6と、金型2から分離されたラップドVベルト1を搬送するベルト搬送装置7と、を有して構成されている。尚、金型2は、隣接するリングモールド21の外周部に形成されたV状溝に未加硫のVベルトを収容し、これを繰り返して順次積み重ねたものであり、順次積み重ねたリングモールド21の両端面には上蓋22と下蓋23を配置し、この上下蓋22、23をボルト11で固定しているものである。尚、図15に示すように、リングモールドの内周部には、周方向に4等分に配置された突起部が設けられている。
【0017】
金型搬送装置3は、例えば、コンベア31で構成されており、コンベア31下部に設けられた支柱12により支持されている。そして、当該コンベア31は、本体に複数のローラ32が回転自在に取り付けられている。そして、図1に示すように、コンベア31上に置かれたパレット8に載置された金型2を水平方向に移動させることで、金型2を解体装置100に搬入したり搬出したりする。尚、金型搬送装置3により、金型2はフック4の真下まで搬入され位置決めされる。
【0018】
フック4は、上部部材9の下面に金型2の円周方向に沿って均等に分散して設けられている。本実施形態では、図15に示すように、フック4が円周方向に4等分に設けられているがこれに限定されることはない。そして、各フック4に対向したフック4同士が一対のフック41、42を形成する。そして、例えば、モータ(図示せず)等により、一対のフック41、42が連動して鉛直方向に昇降したり、金型2の拡径方向及び縮径方向に移動したりすることができるものである。各フック4の先端は外周方向へ折れ曲がった略L字形状の係止部43を有している。そして、当該係止部43がリングモールド21に設けられた突起部24の上側に配置されることで、リングモールド21を押さえ付けることが可能である。また、当該係止部43を突起部24の下側に配置することでリングモールド21を保持しながら、金型2を上昇させることができる。
【0019】
開閉手段5は、上下蓋22、23を固定するボルト11(機械的手段)を取り付けたり、取り外したりするものである。そして、当該開閉手段5は、ボルト11の頭部を把持する把持部51と、当該把持部51を昇降させるシリンダ52を有している。そして、当該把持部51を回転させることでボルト11を取り外す。そして、把持部を下降させることでボルト11の取り出しを行う。尚、開閉手段5は、下部部材10の上面に設けられ、ボルト11を下側から取り付け又は取り外す構成となっているので、金型2を解体装置100内に搬入する際に、金型2を上下逆、つまり上蓋22が下側になるようにパレット8上に載置する。
【0020】
ベルト分離手段6は、リングモールド21とラップドVベルト1を分離するくさび61部と、上部部材9に取り付けられたエアシリンダ62とを有している。そして、エアシリンダ62の先端にくさび61部が装着されている。くさび61部は、先端部に向かって薄くなるようにしたV字形であり、くさび61部をリングモールド21の一方のV状壁面とラップドVベルト1間に打ち込むものである。そして、図5に示すように、くさび効果によりラップドVベルト1の一端がリングモールド21から分離させる。尚、金型2は上蓋22が下側になるようにパレット8上に載置されるため、ラップドVベルト1の自重を利用してリングモールド21からラップドVベルト1を分離することができる。
【0021】
ベルト搬送装置7は、ラップドVベルト1を引き剥がす分離爪71と、落下したラップドVベルト1を保持し、且つ水平方向に伸縮するように連結された板状のキャッチャー72(保持部)と、キャッチャー72が取り付けられる軸体73を有して構成されている。当該軸体73には、例えばボールネジ及びモータ等からなる鉛直移動機構(図示せず)が設けられている。当該鉛直移動機構により、キャッチャー72は軸体73に沿って鉛直方向に移動し、キャッチャー72の高さ調整を行うことができる。尚、軸体73は回転することができるものであってもよい。
【0022】
次に本実施形態に係る金型の解体方法の各工程について説明する。
【0023】
(金型搬入工程)
図1に示すように、金型搬入工程では、加硫されたラップドVベルト1が嵌入された金型2を上下逆にしてパレット8の上に載置する。そして、金型搬送装置3によって図1に示す矢印B1方向に金型2を移動させる。そして、上部部材9に備えられたフック4の真下まで金型2を搬入する。
【0024】
(上下蓋開放工程)
図2に示すように、上下蓋開放工程では、まず、開閉手段5の把持部51を上昇させてボルト11の頭部を固定する。その後、把持部51を回転させてボルト11を取り外し、把持部51を下降させてボルト11を取り出す。
【0025】
(上蓋分離工程)
上記上下蓋開放工程の後に、上蓋分離工程が行われる。図3に示すように、上蓋分離工程では、フック4を下降させることで金型2の内側にフック4を挿入し、フック4を径方向に拡径させることでフック4の係止部43を上蓋22と最下位のリングモールド21の突起部24の下側の間に配置させる。そして、図4に示すように、一対のフック42の係止部43を上蓋22に当接させ、上蓋22を押さえ付ける。さらに、一対のフック41の係止部43により最下位のリングモールド21を保持し、一対のフック41を上昇させることで下蓋23及びリングモールド21を上昇させる。これにより、上蓋22が金型2から分離されることになる。尚、上蓋22はパレット8上面に載置された状態となる。
【0026】
ここで、図3に示すフック4の配置を図15を参照しながら説明する。一対のフック41、42がリングモールド21内側に挿入された時のフックの配置を図15(a)に示す。その後、図15(b)に示すように、一対のフック41、42が径方向に拡径し、リングモールド21の突起部24の下側に配置される。
【0027】
(ベルト分離工程)
上記上蓋分離工程の後に、上蓋22を押さえ付けていた一対のフック42の係止部43を最下位のリングモールド21の上部に積層しているリングモールド21の突起部24の下側に配置する。そして、最下位のリングモールド21の上部に積層しているリングモールド21を保持する。その後、ベルト分離工程が行われる。
【0028】
図5に示すように、ベルト分離工程では、鉛直移動機構により下部部材10上に立設されたベルト搬送装置7に備えられたキャッチャー72(保持部)が、金型2と上蓋22との間に伸縮可能な高さまで調整される。その後、キャッチャー72を図5中に示す矢印C1の方向に伸長させることで、上記上蓋分離工程において上昇させた下蓋23及びリングモールド21の下部に配置する。その後、エアシリンダ62の先端に装着しているくさび61部を昇降させることで、くさび61部の位置決めを行う。そして、くさび61が最下位のリングモールド21の一方のV状壁面とラップドVベルト1の間に打ち込まれる。これにより、くさび61が打ち込まれたラップドVベルト1の一端がリングモールド21から分離する。そして、その分離したラップドVベルト1の一端をキャッチャー72の先端に設けられた分離爪71で引っ掛け、キャッチャー72を図6中に示す矢印C2の方向に縮小させることでラップドVベルト1が金型2から引き剥がされる。そして、ラップドVベルト1がキャッチャー72上部に保持される。さらに、キャッチャー72を縮小させることでラップドVベルト1が軸体73に接触し、図6に示すように、ラップドVベルト1が垂直に吊り下げられた状態となる。その後、ラップドVベルト1が作業者の待機した場所に搬送され、作業者によりラップドVベルト1が取り出される。
【0029】
(リング分離工程)
上記ベルト分離工程の後、図7に示すように、フック4を下降させ上蓋22の上部に金型2を載置する。その後、リング分離工程が行われる。
【0030】
図7に示すように、リング分離工程では、最下位のリングモールド21の突起部24の上側に一対のフック41の係止部43を配置する。また、一対のフック42の係止部43は最下位のリングモールド21の上部に隣接するリングモールド21の突起部24の下側に配置されている。そして、一対のフック42を上昇させることで下蓋23及び最下位のリングモールド21上部に積層されたリングモールド21を上昇させる。ここで、最下位のリングモールド21は一対のフック41により押さえ付けられる。また、最下位のリングモールド21の上部に隣接するリングモールド21は一対のフック42により保持される。これにより、図8に示すように、一対のフック42を上昇させることで最下位のリングモールド21が分離する。その後、図9に示すように、一対のフック41を上昇させてリングモールド21の突起部の下側に一対のフック41の係止部43を配置する。尚、分離された最下位のリングモールド21は、上蓋22の上に載置された状態となる。
【0031】
リング分離工程の後に、図9及び図10に示すように、上述したベルト分離工程が行われる。これにより、リングモールド21からラップドVベルト1が分離される。その後、図10に示すように、ラップドVベルト1が作業者の待機した場所に搬送され、作業者によりラップドVベルト1が取り出される。そして、フック4を下降させ、上蓋22の上部に載置された最下位のリングモールド21の上部に金型2を載置する。その後、リング分離工程が行われる。つまり、ベルト分離工程とリング分離工程を繰り返すことにより、金型2を解体しながらラップドVベルト1を金型2から取り出すことができる。尚、分離されたリングモールド21は、パレット8上に載置された上蓋22の上部に順次積層される。
【0032】
(下蓋分離工程)
上記ベルト分離工程とリング分離工程を繰り返すことで、ラップドVベルト1がリングモールド21から分離するとともに、ラップドVベルト1が嵌入していないリングモールド21を上蓋22の上に順次積層する。そして、図11に示すように、フック4を下降し、パレット8上部に積層したリングモールド21の上に金型2を載置する。その後、下蓋分離工程を行う。
【0033】
図11に示すように、下蓋分離工程では、リングモールド21の突起部24の上側に一対のフック41の係止部43を配置する。また、一対のフック42の係止部43は下蓋23の下部に配置される。そして、一対のフック42を上昇させることで下蓋23を上昇させる。ここで、最下位のリングモールド21は一対のフック41により押さえ付けられる。また、下蓋23は一対のフックにより保持される。これにより、図12に示すように、下蓋23と最下位のリングモールド21が分離する。尚、分離されたリングモールド21は、積層されたリングモールド21上に載置される。
【0034】
下蓋分離工程の後、上述したベルト分離工程を行い、下蓋23からラップドVベルト1を分離する。そして、図13に示すように、一対のフック42を下降させることにより、下蓋23を下降させパレット8上に積層されたリングモールド21上に載置する。
【0035】
(金型組立工程)
金型組立工程は、上述した上蓋分離工程及びリング分離工程及び下蓋分離工程に連動して行われる。まず、上下蓋分離工程で分離した上蓋22は、金型搬送装置3上のパレット8上面に載置した状態となる。次に、リング分離工程により分離したラップドVベルト1が嵌入されていないリングモールド21を、当該上蓋22の上に順次積層する。最後に、下蓋分離工程により分離された下蓋を積層された当該リングモールド21の上に載置する。これにより、上記一連の工程に連動してラップドVベルト1が嵌入されてない金型2を組み立てることができる。
【0036】
(上下蓋固定工程)
上記金型組立工程の後に、上下蓋固定工程が行われる。図13に示すように、上下蓋固定工程では、開閉手段5の把持部51で固定したボルト11を上昇させてパレット8上に組立てた金型2にボルト11を挿入する。その後、把持部51を回転させてボルト11を取り付け、上下蓋22、23を固定する。
【0037】
(金型搬出工程)
上記上下蓋固定工程の後に、金型搬出工程が行われる。図14に示すように、金型搬出工程では、金型搬送装置3により金型2が図14中に示す矢印B2の方向に移動し、解体装置100から搬出される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る金型2の解体装置100は、加硫済みのラップドVベルト1が嵌入された金型2を解体装置100内のフック4の真下に搬入する金型搬送装置3を備える。また、金型2を固定しているボルト11を取り付け又は取り外す開閉手段5を備える。また、金型2の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、当該ボルト11が取り外された金型2の内側に挿入された後、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を保持又は押さえ付け可能な複数対のフック4を備える。また、金型2からラップドVベルト1を分離するベルト分離手段6を備える。また、ラップドVベルト1を引き剥がす分離爪71を備え、前記リングモールド21から分離された前記ラップドVベルト1を保持する保持部と、当該保持部が取り付けられる軸体73とを有して構成されるベルト搬送装置7とを備える。
【0039】
この構成によると、開閉手段5により金型2から自動的にボルト11が取り外される。また、フック4を下降させることで、フック4の真下に配置された金型2の内側にフック4を挿入する。そして、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を、昇降可能な一対のフック41,42で保持又は押さえ付けることで、金型2の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離手段6とベルト搬送装置7により、ラップドVベルト1を金型2から自動的に分離することができる。その結果、ラップドVベルト1の製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールド21内側から金型2に挿入したフック4が水平方向に移動することができるので、様々な内径の金型2に対応可能である。また、現行のラインで稼働しているリングモールド21を転用可能な設計になっているので、リングモールド21の再設計が不要であり、ライン敷設時のコストを安く抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る金型の解体方法は、金型搬送装置3により金型2を搬入する金型搬入工程と、開閉手段5により上下蓋22、23を開放する上下蓋開放工程と、フック4の先端に折り曲げた状態で設けた係止部43を最下位のリングモールド21の突起部24の下側に配置することで金型2を保持し、且つ上蓋22を係止部43で押え付けながら金型2を上昇させることで金型2から前記上蓋22を分離し、上蓋22を金型搬送装置3上に載置する上蓋分離工程と、ベルト分離手段6により金型2からラップドVベルト1を分離し、分離したラップドVベルト1を分離爪71によりリングモールド21から引き剥がし、ベルト搬送装置7により搬送するベルト分離工程と、係止部43を金型から分離させるリングモールド21の突起部24の上側と、金型から分離させるリングモールド21の上部に隣接するリングモールド21の突起部24の下側とに配置し、突起部24の上側に配置した係止部43により金型から分離させるリングモールド21を押え付けるとともに、突起部24の下側に配置した係止部43により金型2を保持しながら金型2を上昇させることで、金型から分離させるリングモールド21を金型2から分離するリング分離工程と、係止部43をリングモールド21の突起部24の上側に配置することで下蓋23を保持し、且つリングモールド21を押え付けながら下蓋23を上昇させることにより下蓋23を分離する下蓋分離工程と、を備える。
【0041】
この構成によると、上下蓋開放工程において、金型2から自動的にボルト11が取り外される。また、上蓋分離工程及びリング分離工程及び下蓋分離工程において、上下蓋22、23及びリングモールド21の内周部に備えられた突起部24を、昇降可能な一対のフック41、42で保持及び押さえ付けることで、金型2の解体及び組立を自動で行うことができる。また、ベルト分離工程において、ラップドVベルト1を金型2から自動的に分離することができる。その結果、ラップドVベルト1の製造工程の合理化を図ることができる。また、リングモールド21が複数段積層されている金型2の場合において、リング分離工程とベルト分離工程を繰り返すことで、一連の工程を自動的に連続して行うことができる。
【0042】
また、本実施形態に係る金型の解体方法は、リング分離工程で分離したラップドVベルト1が嵌入されていないリングモールド21を、上蓋分離工程で分離した上蓋22の上に順次積層し、下蓋分離工程で分離した下蓋23を当該積層した前記リングモールド21の上に載置する金型組立工程と、ボルト11で前記上下蓋22、23を固定する上下蓋固定工程と、金型を搬出する金型搬出工程と、を備える。
【0043】
この構成によると、金型組立工程により、上蓋分離工程で分離した上蓋22の上に、リング分離工程で分離したラップドVベルト1が嵌入されていないリングモールド21を順次積層する。そして、下蓋分離工程で分離した下蓋23を積層した当該リングモールド21の上に載置する。その後、上下蓋固定工程により、ボルト11で上下蓋22、23が固定される。これにより、金型2の解体を行いながら金型2の組立を同時進行で行うことができ、ラップドVベルト1の製造工程の合理化を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る金型2の解体方法において、ラップドVベルト1を加硫後、金型2及びラップドVベルト1を冷却する冷却工程と、ラップドVベルト1と金型2の型離れを向上させる離型剤を塗布する工程と、塗布した離型剤を乾燥させる乾燥工程とを設けることで、ラップドVベルト1の製造ラインを小さくすることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る金型搬入工程を示した図である。
【図2】本実施形態に係る上下蓋開放工程を示した図である。
【図3】本実施形態に係る上蓋分離工程を示した図である。
【図4】本実施形態に係る上蓋分離工程を示した図である。
【図5】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図6】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図7】本実施形態に係るリング分離工程を示した図である。
【図8】本実施形態に係るリング分離工程を示した図である。
【図9】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図10】本実施形態に係るベルト分離工程を示した図である。
【図11】本実施形態に係る下蓋分離工程を示した図である。
【図12】本実施形態に係る下蓋分離工程を示した図である。
【図13】本実施形態に係る上下蓋固定工程を示した図である。
【図14】本実施形態に係る金型搬出工程を示した図である。
【図15】フックの配置を上面から見た図である。
【図16】ラップドVベルトの斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ラップドVベルト
2 金型
3 金型搬送装置
4、41、42 フック
5 開閉手段
6 ベルト分離手段
7 ベルト搬送装置
21 リングモールド
22 上蓋
23 下蓋
24 突起部
43 係止部
51 把持部
61 くさび
71 分離爪
72 キャッチャー(保持部)
100 解体装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体装置であって、
前記金型を水平方向に移動させる金型搬送装置と、
前記機械的手段を取り付け又は取り外す開閉手段と、
前記金型の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、前記上下蓋及び前記リングモールドの内周部に備えられた突起部を保持又は押さえ付け可能な複数対のフックと、
前記金型から前記Vベルトを分離するベルト分離手段と、
前記Vベルトを引っ掛ける分離爪を備え、前記リングモールドから分離された前記Vベルトを保持する伸縮及び鉛直方向に移動可能な保持部と、前記保持部が取り付けられる軸体とを有して構成されるベルト搬送装置と、
を備える金型の解体装置。
【請求項2】
上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体方法であって、
上下逆にした前記金型を金型搬送装置により搬入する金型搬入工程と、
搬入された前記金型の前記上下蓋を固定している前記機械的手段を開閉手段により開放する上下蓋開放工程と、
前記機械的手段が開放された前記金型にフックを挿入し、前記フックの先端に折り曲げた状態で設けた係止部を最下位の前記リングモールドの突起部の下側に配置することで前記金型を保持し、且つ上蓋を前記係止部で押え付けながら前記金型を上昇させることで前記金型から前記上蓋を分離し、前記上蓋を前記金型搬送装置上に載置する上蓋分離工程と、
ベルト分離手段により前記上蓋が分離された前記金型から前記Vベルトの一端を分離し、分離した前記Vベルトの一端を分離爪で引っ掛け、保持部を縮小させることで前記金型から前記Vベルトを引き剥がし、引き剥がした前記Vベルトを搬出するベルト分離工程と、
前記係止部を前記上蓋が分離された前記金型に挿入し、前記係止部を前記金型から分離させる前記リングモールドの前記突起部の上側と、前記金型から分離させる前記リングモールドの上部に隣接する前記リングモールドの前記突起部の下側とに配置し、前記突起部の上側に配置した前記係止部により前記金型から分離させる前記リングモールドを押え付けるとともに、前記突起部の下側に配置した前記係止部により前記金型を保持しながら前記金型を上昇させることで、前記金型から分離させる前記リングモールドを前記金型から分離するリング分離工程と、
前記リング分離工程により前記上下蓋の間に隣接して積層した前記リングモールド同士の分離が完了した後に、前記係止部を前記リングモールドの前記突起部の上側に配置することで前記下蓋を保持し、且つ前記リングモールドを押え付けながら前記下蓋を上昇させることにより前記下蓋を分離する下蓋分離工程と、を備え、
前記ベルト分離工程と前記リング分離工程を繰り返すことで、前記金型を解体しながら前記Vベルトを前記金型から分離することを特徴とする金型の解体方法。
【請求項3】
前記リング分離工程で分離した前記Vベルトが嵌入されていない前記リングモールドを、前記上蓋分離工程で分離した前記上蓋の上に順次積層し、前記下蓋分離工程で分離した前記下蓋を積層した前記リングモールドの上に載置する金型組立工程と、
前記金型組立工程で組み立てた前記金型の前記上下蓋を前記機械的手段で固定する上下蓋固定工程と、
前記機械的手段で上下蓋を固定された前記金型を前記金型搬送装置により搬出する金型搬出工程と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の金型の解体方法。
【請求項1】
上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体装置であって、
前記金型を水平方向に移動させる金型搬送装置と、
前記機械的手段を取り付け又は取り外す開閉手段と、
前記金型の円周方向に沿って均等に分散配置され、鉛直方向及び水平方向に移動し、前記上下蓋及び前記リングモールドの内周部に備えられた突起部を保持又は押さえ付け可能な複数対のフックと、
前記金型から前記Vベルトを分離するベルト分離手段と、
前記Vベルトを引っ掛ける分離爪を備え、前記リングモールドから分離された前記Vベルトを保持する伸縮及び鉛直方向に移動可能な保持部と、前記保持部が取り付けられる軸体とを有して構成されるベルト搬送装置と、
を備える金型の解体装置。
【請求項2】
上下蓋の間に複数段に積層されたリングモールドに加硫済みVベルトが嵌入され、前記上下蓋が機械的手段で固定された金型の解体方法であって、
上下逆にした前記金型を金型搬送装置により搬入する金型搬入工程と、
搬入された前記金型の前記上下蓋を固定している前記機械的手段を開閉手段により開放する上下蓋開放工程と、
前記機械的手段が開放された前記金型にフックを挿入し、前記フックの先端に折り曲げた状態で設けた係止部を最下位の前記リングモールドの突起部の下側に配置することで前記金型を保持し、且つ上蓋を前記係止部で押え付けながら前記金型を上昇させることで前記金型から前記上蓋を分離し、前記上蓋を前記金型搬送装置上に載置する上蓋分離工程と、
ベルト分離手段により前記上蓋が分離された前記金型から前記Vベルトの一端を分離し、分離した前記Vベルトの一端を分離爪で引っ掛け、保持部を縮小させることで前記金型から前記Vベルトを引き剥がし、引き剥がした前記Vベルトを搬出するベルト分離工程と、
前記係止部を前記上蓋が分離された前記金型に挿入し、前記係止部を前記金型から分離させる前記リングモールドの前記突起部の上側と、前記金型から分離させる前記リングモールドの上部に隣接する前記リングモールドの前記突起部の下側とに配置し、前記突起部の上側に配置した前記係止部により前記金型から分離させる前記リングモールドを押え付けるとともに、前記突起部の下側に配置した前記係止部により前記金型を保持しながら前記金型を上昇させることで、前記金型から分離させる前記リングモールドを前記金型から分離するリング分離工程と、
前記リング分離工程により前記上下蓋の間に隣接して積層した前記リングモールド同士の分離が完了した後に、前記係止部を前記リングモールドの前記突起部の上側に配置することで前記下蓋を保持し、且つ前記リングモールドを押え付けながら前記下蓋を上昇させることにより前記下蓋を分離する下蓋分離工程と、を備え、
前記ベルト分離工程と前記リング分離工程を繰り返すことで、前記金型を解体しながら前記Vベルトを前記金型から分離することを特徴とする金型の解体方法。
【請求項3】
前記リング分離工程で分離した前記Vベルトが嵌入されていない前記リングモールドを、前記上蓋分離工程で分離した前記上蓋の上に順次積層し、前記下蓋分離工程で分離した前記下蓋を積層した前記リングモールドの上に載置する金型組立工程と、
前記金型組立工程で組み立てた前記金型の前記上下蓋を前記機械的手段で固定する上下蓋固定工程と、
前記機械的手段で上下蓋を固定された前記金型を前記金型搬送装置により搬出する金型搬出工程と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の金型の解体方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−99956(P2010−99956A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274134(P2008−274134)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】
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