説明

金属シリコンからトリクロロシランを製造するための「閉ループ」法

本発明は、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素を金属シリコンから製造するための多段階の方法に関し、その際、第一の段階において、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素を金属シリコンから製造し、かつ、第二の段階において、四塩化ケイ素を最終生成物のトリクロロシランへとさらに処理する。そのうえまた、本発明は、係る方法が組み込まれて実施されることができる装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素を金属シリコンから製造するための方法に関する。それは多段階の方法であり、その際、第一の段階において、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素が金属シリコンから製造され、かつ、第二の段階において、四塩化ケイ素が最終生成物のトリクロロシランへとさらに処理される。本発明は、そのうえまた、係る方法が組み込まれて実施されることができる装置に関する。
【0002】
トリクロロシランは、例えば、高純度シリコンを製造するために使用されることができる。その際、トリクロロシランは、熱により高純度シリコンに分解される。トリクロロシランはまた、金属シリコンから多段処理において製造されることができる。この種のプロセスは、例えばDE2919086から公知である。
【0003】
しかしながら、トリクロロシランを製造するための公知の方法は、一般に、金属シリコンからトリクロロシランへの転化の処理全体におけるエネルギー消費量が非常に高いという欠点を有する。それに加えて、公知の方法の多くは、それらが副生成物の発生及び再利用若しくは再使用に関して最適化されていないという欠点を有する。経済的な観点のみならず、生態学的な観点から、殊に、公知の方法は、この点でも改善の余地が大いにある。
【0004】
したがって、本発明が基礎とする課題は、上述の問題に関して極めて高い要求を満たす、トリクロロシランを金属シリコンから製造するための最適化された技術的な解決手段を提供することであった。それに従って、課題は、多段装置の内部で、生成物流及び熱流を、そこで用いられる出発材料及びエネルギー量が可能な限り効果的に最終生成物のトリクロロシランの製造に利用されるように組み合わせることである。
【0005】
この課題は、以下に記載した部分方法及び方法全体若しくは部分装置及び装置全体によって解決される。
【0006】
本発明の対象は、特に、水素を用いた水素化脱塩素によって四塩化ケイ素からトリクロロシランを製造するための方法であって、その際、少なくとも1つの四塩化ケイ素含有出発材料流と少なくとも1つの水素含有出発材料流を水素化脱塩素反応器に送り、かつ、その際、水素化脱塩素反応器中で、出発材料と生成物との間の熱力学的平衡状態が、熱の供給によって生成物の方向に移動させられ、かつ、その際、四塩化ケイ素、トリクロロシラン及び水素及びHClを含有する生成物流が、水素化脱塩素反応器から導き出される方法において、熱交換器によって生成物流が冷却され、かつ、同じ熱交換器に導かれた四塩化ケイ素含有出発材料流及び/又は水素含有出発材料流が予熱されることを特徴とする方法である。生成物流中には、場合により、ジクロロシラン、モノクロロシラン及び/又はシランといった副生成物が含まれていてよい。
【0007】
水素化脱塩素反応器中の平衡反応は、典型的には、700〜1,000℃、有利には850℃〜950℃で、かつ、1〜10barの範囲の圧力、有利には3〜8barの範囲の圧力、特に有利には4〜6barの範囲の圧力で実施される。
【0008】
本発明による方法に従って、四塩化ケイ素含有出発材料流及び/又は水素含有出発材料流が、反応器から出てくる生成物流によって、150〜900℃の温度水準に、有利には300〜800℃の温度水準に、特に有利には500〜700℃の温度水準に予熱されることが有利である。
【0009】
本発明による方法に従って、冷却された生成物流が熱交換器を抜け出し、かつ、少なくとも1つの後接続された部分装置に導かれうることが定められており、その際、部分装置中で、生成物流から四塩化ケイ素及び/又はトリクロロシラン及び/又は水素及び/又はHClが分離されることができる。
【0010】
ちょうど今記載した少なくとも1つの部分装置は、複数の部分装置を配置したものであってもよく、その際、上述の生成物の四塩化ケイ素、トリクロロシラン、水素及び/又はHClの1つ以上がそれぞれ分離され、かつ、流としてさらに導かれることができる。ただし、"生成物"の四塩化ケイ素及び水素は、その際、反応しなかった出発材料であってもよい。
【0011】
場合により、ここでも、生成物流中に含まれる他の副生成物、例えばジクロロシラン、モノクロロシラン及び/又はシランも分離されることができる。
【0012】
本発明による方法に従って、分離された四塩化ケイ素が流として四塩化ケイ素含有出発材料流に導かれることができ、及び/又は分離された水素が流として水素含有出発材料流に導かれることができ、その際、これは、それぞれ互いに無関係に、好ましくは熱交換器から上流で行われることができることが定められている。分離されたトリクロロシランが最終生成物流として取り出されることができ、及び/又は分離されたHClが流としてシリコンの塩化水素化に供給されることができることも定められている。特に有利なのは、前述の分離された4つの流の全てが相応して誘導され、ひいては利用される点である。
【0013】
本発明に従って定められているのは、該方法が、有利には、トリクロロシランを金属シリコンから製造するための方法であって、少なくとも1つの四塩化ケイ素含有出発材料流と少なくとも1つの水素含有出発材料流が、前接続された塩化水素化法に基づくものであり、その際、塩化水素化法が、金属シリコンとHClとの反応を包含することを特徴とする方法であることである。
【0014】
既に前で述べたように、その際、前接続された塩化水素化法において用いられるHClの少なくとも一部は、熱交換器に後接続された部分装置中で分離されたHCl流に基づくものであってよい。
【0015】
本発明に従って定められているのは、塩化水素化後に副産物の少なくとも一部が凝縮器中で分離されることができ、かつ、残りの生成物混合物から少なくとも四塩化ケイ素とトリクロロシランが蒸留装置中で分離されることができることである。
【0016】
本発明による方法において有利な点は、凝縮器中で分離された水素及び/又は蒸留装置中で分離された四塩化ケイ素が水素化脱塩素反応器に導かれることであり、その際、さらに有利には、分離された水素は、少なくとも1つの水素含有出発材料流を介して及び/又は分離された四塩化ケイ素は、少なくとも1つの四塩化ケイ素含有出発材料流を介して水素化脱塩素反応器に導かれる。
【0017】
水素化脱塩素処反応器中での水素化脱塩素反応のための熱供給は、典型的には、水素化脱塩素反応器が配置されている加熱スペースを介して行われる。加熱スペースと水素化脱塩素反応器より成る配置は、1つ以上の反応器管が加熱スペース内に配置されているような形をとっていてよく、その際、加熱スペースは、好ましくは電気抵抗加熱によって加熱されるか、又は、その際、加熱スペースは、燃焼ガス及び燃焼空気により運転される燃焼室である。
【0018】
本発明による方法は、有利には、燃焼室から流出する煙道ガスが、後接続された復熱装置中で燃焼空気の予熱のために使用されるように拡張されることができる。任意に、追加的に、復熱装置から流出する煙道ガスは蒸気発生のために使用されることができる。
【0019】
前述の可能性として考えられる全ての又は任意の変形態様を含める本発明による方法の有利な変形例において、生成物流及び四塩化ケイ素含有出発材料流及び/又は水素含有出発材料流は、それぞれ加圧下にあって熱交換器に導かれることができ、その際、熱交換器は、セラミック材料より成る熱交換器エレメントを包含する。
【0020】
熱交換器エレメントのセラミック材料は、好ましくは、Al23、AlN、Si34、SiCN又はSiCから選択され、特に有利にはSi含浸SiC、等方プレスしたSiC、熱間等方プレスしたSiC又は無圧焼結したSiC(SSiC)から選択される。
【0021】
本発明による方法の記載した全ての変形例において、四塩化ケイ素含有出発材料流と水素含有出発材料流は、一緒になった流としても熱交換器に導かれることができる。
【0022】
熱交換器中の互いに異なる流の差圧は、生成物ガス流及び出発材料ガス流の入口及び出口で測定して、10barを上回るべきではなく、有利には5barを上回るべきではなく、さらに有利には1barを上回るべきではなく、特に有利には0.2barを上回るべきではない。
【0023】
さらに、熱交換器の入口における生成物流の圧力は、水素化脱塩素反応器の出口における生成物流の圧力より2barを超えて下回るべきではなく、その際、有利には、熱交換器の入口における及び水素化脱塩素反応器の出口における生成物流の圧力は同じであるべきである。水素化脱塩素反応器の出口における圧力は、典型的には、1〜10barの範囲に、有利には4bar〜6barの範囲にある。
【0024】
本発明による方法の全ての変形例において、熱交換器は、有利には多管式熱交換器である。
【0025】
本発明の対象また、以下:
− 加熱スペース又は燃焼室内に配置された水素化脱塩素反応器、その際、配置は、有利には燃焼室内で1つ以上の反応器管を包含してよい、
− 水素化脱塩素反応器若しくは1つ以上の反応器管の配置に通じている四塩化ケイ素含有ガス用の少なくとも1つの管路及び水素含有ガス用の少なくとも1つの管路、その際、任意に、別個の管路の代わりに、四塩化ケイ素含有ガス及び水素含有ガス用の共通の管路が準備されていてよい;
− 水素化脱塩素反応器から外に通じた、トリクロロシラン含有の及びHCl含有の生成物ガス用の管路;
− 有利には多管式熱交換器である、生成物ガス管路から少なくとも1つの四塩化ケイ素管路及び/又は少なくとも1つの水素管路への熱伝達が可能となるように、生成物ガス管路並びに少なくとも1つの四塩化ケイ素管路及び/又は少なくとも1つの水素管路が導かれている熱交換器、その際、任意に、熱交換器は、セラミック材料より成る熱交換器エレメントを包含してよい;
− 任意に、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、水素及びHClを包含する1つ以上の生成物をそれぞれ分離するための部分装置又は複数の部分装置を包含する配置;
− 任意に、分離された四塩化ケイ素を四塩化ケイ素管路に、好ましくは熱交換器から上流で導くことができる管路;
− 任意に、分離されたトリクロロシランを最終生成物取り出し口に供給することができる管路;
− 任意に、分離された水素を水素管路に、好ましくは熱交換器から上流で導くことができる管路;及び
− 任意に、分離されたHClをシリコンの塩化水素化のための装置に供給することができる管路
を包含する、四塩化ケイ素を水素と反応させてトリクロロシランを形成する装置である。
【0026】
前述の本発明による装置は、該装置が金属シリコンからトリクロロシランを製造するための装置の形で拡張されることができ、該装置は、追加的に:
− 前接続された塩化水素化装置、その際、任意に、使用されたHClの少なくとも一部が、HCl流によって塩化水素化装置に導かれることができる、
− 塩化水素化装置中での反応に基づくものである副産物の水素の少なくとも一部を分離するための凝縮器、その際、この水素は、水素管路により水素化脱塩素反応器若しくは1つ以上の反応器管の配置に導かれる;
− 塩化水素化装置中での反応に基づくものである残りの生成物混合物から少なくとも四塩化ケイ素とトリクロロシランを分離するための蒸留装置、その際、四塩化ケイ素は、四塩化ケイ素管路により水素化脱塩素反応器若しくは1つ以上の反応器管の配置に導かれることができる;及び
− 任意に、燃焼室用に準備された燃焼空気を、燃焼室から流出する煙道ガスを用いて予熱するための復熱装置;及び
− 任意に、復熱装置から流出する煙道ガスから蒸気を発生させるための装置
を包含することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】例示的及び概略的に、重要な物質流を含む金属シリコンの塩化水素化のための部分装置を含む金属シリコンからトリクロロシランを製造するための本発明による装置を示す図
【図2】概略的に、流動層反応器中でのシリコンの塩化水素化の場合に一般に特に適している、重要な物質流を含む2つの蒸留経路を包含する本発明による装置変形例を示す図
【図3】概略的に、固定層反応器中でのシリコンの塩化水素化の場合に一般に特に適している、重要な物質流を含む2つの蒸留経路を包含する本発明による装置変形例を示す図
【図4】概略的に、流動層反応器中でのシリコンの塩化水素化の場合に一般に特に適している、重要な物質流を含む2つの蒸留経路を包含する本発明による装置変形例を示す図
【図5】概略的に、固定層反応器中でのシリコンの塩化水素化の場合に一般に特に適している、重要な物質流を含む2つの蒸留経路を包含する本発明による装置変形例を示す図
【0028】
図1に示した本発明による装置は、燃焼室15内に配置された水素化脱塩素反応器3、四塩化ケイ素を含有するガス用の管路1及び水素を含有するガス用の管路2(双方とも、水素化脱塩素反応器3に通じる)、水素化脱塩素反応器3から外に通じた、トリクロロシランを含有する及びHClを含有する生成物ガス用の管路4、生成物ガス管路4並びに四塩化ケイ素管路1及び水素管路2が導かれており、その結果、生成物ガス管路4から四塩化ケイ素管路1及び水素管路2への熱伝達を可能にする熱交換器5を包含する。該装置は、そのうえまた、四塩化ケイ素8、トリクロロシラン9、水素10及びHCl11を分離するための部分装置7を包含する。その際、分離された四塩化ケイ素は、管路8によって四塩化ケイ素管路1に導かれ、分離されたトリクロロシランは、管路9によって最終生成物取り出し口に供給され、分離された水素は、管路10によって水素管路2に導かれ、かつ、分離されたHClは、管路11によってケイ素を塩化水素化するための装置12に供給される。該装置は、そのうえまた、塩化水素化装置12中での反応に基づくものである副産物の水素を分離するための凝縮器13を包含し、その際、この水素は、水素管路2により熱交換器5を経由して塩化水素化反応器3に導かれる。四塩化ケイ素1及びトリクロロシラン(TCS)並びに低沸点物(LS)及び高沸点物(HS)を、凝縮器13を経由して塩化水素装置12から生ずる生成物混合物から分離するための蒸留装置14も示している。最後に、該装置はなお、燃焼室15用に準備された燃焼空気19を、燃焼室15から流出する煙道ガス20を予熱する復熱装置16、並びに復熱装置16から流出する煙道ガス20を用いて蒸気を発生させるための装置17を包含する。
【符号の説明】
【0029】
(1)四塩化ケイ素を含有する出発材料流、
(2)水素を含有する出発材料流
(1,2)一緒になった出発材料流
(3)水素化脱塩素反応器
(3a、3b、3c)反応器管
(4)生成物流
(5)熱交換器
(4)冷却された生成物流
(7)後接続された部分装置
(7a、7b、7c)複数の部分装置の配置
(8)(7)又は(7a、7b、7c)において分離された四塩化ケイ素流
(9)(7)又は(7a、7b、7c)において分離された最終生成物流
(10)(7)又は(7a、7b、7c)において分離された水素流
(11)(7)又は(7a、7b、7c)において分離されたHCl流
(12)前接続された塩化水素化法若しくは塩化水素化装置
(13)凝縮器
(14)蒸留装置
(15)加熱スペース又は燃焼室
(16)復熱装置
(17)蒸気発生装置
(18)燃焼ガス
(19)燃焼空気
(20)煙道ガス
(21)四塩化ケイ素管路
(21)トリクロロシラン/四塩化ケイ素管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を用いた水素化脱塩素によって四塩化ケイ素からトリクロロシランを製造するための方法であって、その際、少なくとも1つの四塩化ケイ素含有出発材料流(1)と少なくとも1つの水素含有出発材料流(2)を水素化脱塩素反応器(3)に送り、かつ、その際、該水素化脱塩素反応器(3)中で、出発材料と生成物との間の熱力学的平衡状態を、熱の供給によって生成物の方向に移動させ、かつ、その際、四塩化ケイ素、トリクロロシラン及び水素及びHClを含有する生成物流(4)を、該水素化脱塩素反応器(3)から導き出す方法において、熱交換器(5)によって該生成物流(4)を冷却し、かつ、同じ熱交換器(5)に導かれた該四塩化ケイ素含有出発材料流(1)及び/又は該水素含有出発材料流(2)を予熱することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記四塩化ケイ素含有出発材料流(1)及び/又は前記水素含有出発材料流(2)を、前記生成物流(4)によって、150〜900℃の温度水準に、有利には300〜800℃の温度水準に、特に有利には500〜700℃の温度水準に予熱することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記冷却された生成物流(6)が前記熱交換器(5)を抜け出し、かつ、少なくとも1つの後接続された部分装置(7)に導き、該部分装置中で、前記生成物流(6)から四塩化ケイ素及び/又はトリクロロシラン及び/又は水素及び/又はHClを分離することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの部分装置(7)が、複数の部分装置(7a、7b、7c)を配置したものであり、その際、前記生成物の四塩化ケイ素、トリクロロシラン、水素及び/又はHClの1つ以上をそれぞれ分離し、かつ、流としてさらに導くことを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
− 四塩化ケイ素を分離し、かつ、流(8)として前記四塩化ケイ素含有出発材料流(1)に、好ましくは熱交換器(5)から上流で導き;及び/又は
− トリクロロシランを分離し、かつ、最終生成物流(9)として取り出し;及び/又は
− 水素を分離し、かつ、流(10)として水素含有出発材料流(2)に、好ましくは熱交換器(5)から上流で導き;及び/又は
− HClを分離し、かつ、流(11)としてシリコンの塩化水素化に供給することを特徴とする、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、トリクロロシランを金属シリコンから製造するための方法であって、前記少なくとも1つの四塩化ケイ素含有出発材料流(1)と前記少なくとも1つの水素含有出発材料流(2)が、金属シリコンとHClとの反応を包含する前接続された塩化水素化法に基づくものであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記前接続された塩化水素化法(12)において、使用されたHClの少なくとも一部がHCl流(11)に基づくものであることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記塩化水素化(12)後に、副産物の水素の少なくとも一部を凝縮器(13)中で分離し、かつ、残りの生成物混合物から蒸留装置(14)中で少なくとも四塩化ケイ素とトリクロロシランを分離することを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
前記凝縮器(13)中で分離された水素及び/又は前記蒸留装置(14)中で分離れた四塩化ケイ素を前記水素化脱塩素反応器(3)に導き、その際、好ましくは、前記分離された水素を、少なくとも1つの水素含有出発材料流(2)によって及び/又は前記分離された四塩化ケイ素を、少なくとも1つの四塩化ケイ素含有出発材料流(1)によって前記水素化脱塩素反応器(3)に導くことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記水素化脱塩素反応器(3)中での前記水素化脱塩素反応のための熱供給を、前記水素化脱塩素反応器(3)が配置されている加熱スペース(15)を介して行うことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記加熱スペース(15)中に配置された前記水素化脱塩素反応器(3)が、前記加熱スペース(15)内で1つ以上の反応器管(3a、3b、3c)の配置を包含し、その際、好ましくは、前記加熱スペース(15)は、電気抵抗加熱によって加熱するか、又は燃焼ガス(18)及び燃焼空気(19)により運転される燃焼室(15)であることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記燃焼室(15)から流出する前記煙道ガス(20)を、後接続された復熱装置(16)中で前記燃焼空気(19)を予熱するために使用し、かつ、任意に、該復熱装置(16)から流出する前記煙道ガス(20)を蒸気発生のために使用することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記生成物流(4)及び前記四塩化ケイ素含有出発材料流(1)及び/又は前記水素含有出発材料流(2)を、それぞれ加圧下にある状態で、前記熱交換器(5)に導き、かつ、前記熱交換器(5)が、セラミック材料より成る熱交換器エレメントを包含することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記セラミック材料を、Al23、AlN、Si34、SiCN又はSiCから選択しており、好ましくはSi含浸SiC、Si含浸SiC、等方プレスしたSiC、熱間等方プレスしたSiC又は無圧焼結したSiC(SSiC)から選択していることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記四塩化ケイ素含有出発材料流(1)と前記水素含有出発材料流(2)を、一緒になった流(1、2)として前記熱交換器(5)に導くことを特徴とする、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
前記熱交換器(5)中での互いに異なる流の差圧が、前記生成物ガス流(4、6)及び前記出発材料ガス流(1、2)の入口及び出口で測定して、10barを上回らず、有利には5barを上回らず、さらに有利には1barを上回らず、特に有利には0.2barを上回らないことを特徴とする、請求項13から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記熱交換器(5)の入口における前記生成物流(4)の圧力が、前記水素化脱塩素反応器(3)の出口における前記生成物流(4)の圧力より2barを超えて下回らず、その際、有利には、前記熱交換器(5)の入口における前記生成物流(4)の圧力及び前記水素化脱塩素反応器(3)の出口における前記生成物流(4)の圧力が同じであることを特徴とする、請求項13から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記熱交換器(5)が、多管式熱交換器であることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
四塩化ケイ素を水素と反応させてトリクロロシランを形成する装置であって:
− 加熱スペース(15)又は燃焼室(15)内に配置された水素化脱塩素反応器(3)、その際、該配置は、有利には燃焼室(15)内で1つ以上の反応器管(3a、3b、3c)を包含する;
− 水素化脱塩素反応器(3)若しくは1つ以上の反応器管(3a、3b、3c)の配置に通じている四塩化ケイ素含有ガス用の少なくとも1つの管路(1)及び水素含有ガス用の少なくとも1つの管路(2)、その際、任意に、別個の管路(1)及び(2)の代わりに、四塩化ケイ素含有ガス及び水素含有ガス用の共通の管路(1、2)が準備されている;
− 水素化脱塩素反応器(3)から外に通じた、トリクロロシラン含有の及びHCl含有の生成物ガス用の管路(4);
− 有利には多管式熱交換器である、生成物ガス管路(4)から少なくとも1つの四塩化ケイ素管路(1)及び/又は少なくとも1つの水素管路(2)への熱伝達が可能となるように、生成物ガス管路(4)並びに少なくとも1つの四塩化ケイ素管路(1)及び/又は少なくとも1つの水素管路(2)が導かれている熱交換器、その際、任意に、熱交換器(5)は、セラミック材料より成る熱交換器エレメントを包含する;
− 任意に、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、水素及びHClを包含する1つ以上の生成物をそれぞれ分離するための部分装置(7)又は複数の部分装置(7a、7b、7c)を包含する配置;
− 任意に、分離された四塩化ケイ素を四塩化ケイ素管路(1)に、好ましくは熱交換器(5)から上流で導く管路(8);
− 任意に、分離されたトリクロロシランを最終生成物取り出し口に供給する管路(9);
− 任意に、分離された水素を水素管路(2)に、好ましくは熱交換器(5)から上流で導く管路(10);及び
− 任意に、分離されたHClをシリコンの塩化水素化のための装置に供給する管路(11);
を包含する装置。
【請求項20】
前記装置が金属シリコンからトリクロロシランを製造するための装置の形で拡張されており、前記装置が、追加的に:
− 前接続された塩化水素化装置(12)、その際、任意に、使用されたHClの少なくとも一部を、HCl流(11)によって前記塩化水素化装置(12)に導く;
− 前記塩化水素化反応器(12)中での反応に基づくものである副産物の水素の少なくとも一部を分離するための凝縮器(13)、その際、この水素を、前記水素管路(2)により前記水素化脱塩素反応器(3)若しくは1つ以上の反応器管(3a、3b、3c)の前記配置に導く;
− 前記塩化水素化装置(12)中での反応に基づくものである残りの生成物混合物から少なくとも四塩化ケイ素とトリクロロシランを分離するための蒸留装置(14)、その際、前記四塩化ケイ素を、前記四塩化ケイ素管路(1)により前記水素化脱塩素反応器(3)若しくは1つ以上の反応器管(3a、3b、3c)の前記配置に導く;及び
− 任意に、前記燃焼室(15)用に準備された燃焼空気(19)を、前記燃焼室(15)から流出する煙道ガス(20)を用いて予熱するための復熱装置(16);及び
− 任意に、前記復熱装置(16)から流出する該煙道ガス(20)から蒸気を発生させるための装置(17)
を包含することを特徴とする、請求項19記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517210(P2013−517210A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549273(P2012−549273)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069944
【国際公開番号】WO2011/085902
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】