説明

金属ワイヤを供給する装置を備えた変形プレス機

【課題】変形プレス機用の簡単な構成のワイヤ供給装置を提供する。
【解決手段】外周溝がそれぞれ設けられた下側ガイドディスク3、4及び上側ガイドディスク7、8で構成され、金属ワイヤ供給装置には、ワイヤ供給筒型ガイド2が設けられ、前記上側ディスク7、8及び下側ディスク3、4が、ギアを駆動し該ギアに支持される上側シャフト及び下側シャフトで支持され、前記下側シャフトが駆動制御モータ15、16に動作可能に連結され、前記上側ディスク7、8がそれぞれ前記金属ワイヤ供給装置本体に対してスライド可能なスライド11、12で支持され、かつ、前記スライドが駆動シリンダピストンユニット13、14によって上方及び下方に駆動される、金属ワイヤを保持して供給する金属ワイヤ供給装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ワイヤを保持して供給する装置を備えた変形プレス機に関する。
【背景技術】
【0002】
切断された被加工物を金属ワイヤコイルから供給する変形プレス機は、すでに知られている。
【0003】
このような変形プレス機においては、巻きワイヤコイルから切断された金属ワイヤ部材が様々に変形処理されて最終形状製品とされている。
【0004】
従来の変形プレス機は、所望の長さの金属ワイヤに対応させた変形プレス機を提供するために、切断されたワイヤ部材をプレス機に正確に送り出すための、レバーと、連結ロッドと、差し込み口と、ブレーキ機構と、で構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のプレス機においては、その主駆動シャフトによって動作可能に駆動される多くの機構要素が必要とされるので、駆動装置重量が増加すると共に、プレス金属ワイヤ供給機構の操作ストロークをマイクロメートル単位で調節するという困難が生じる。
【0006】
また、連結ロッド、レバー、差し込み口、及びブレーキ要素が、装置全体の重量を増加させることとなっている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、前記の連結ロッドと、レバーと、差し込み口と、ブレーキ要素とを有する非常に複雑な機構を無くして前記従来技術の欠点を克服することにより、変形プレス機に供給されるワイヤをマイクロメートル単位で容易に調節することに適した、新規な構成でかつ構成の非常に容易な金属ワイヤ供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的は、金属ワイヤを保持して供給する金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機によって達成される。本発明の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機には、ワイヤ供給筒型ガイドが設けられ、前記上側ディスク及び下側ディスクには、供給される金属ワイヤのための外周溝がそれぞれ設けられ、前記上側ディスク及び下側ディスクが、ギアを駆動し該ギアに支持される前記上側シャフト及び下側シャフトによってそれぞれ支持されていて、前記下側シャフトが駆動制御モータに動作可能に連結されると共に、前記上側ディスクが前記金属ワイヤ供給装置本体に対してスライド可能なスライドで支持されていて、かつ、前記スライドが駆動シリンダピストンユニットによって上方及び下方に駆動される。
【0009】
さらに、本発明の優れている点は、下記の内容、従属の請求項及び添付図面から、さらに明らかになろう。
【0010】
本発明による発明の要旨が、添付の概略図面を参照して、次に、さらに詳細に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】金属ワイヤを変形プレス機に送り込む金属ワイヤ供給装置の正面図である。
【図2】図1の金属ワイヤ供給装置で示される矢印II―IIに沿って見た断面図である。
【図3】本金属ワイヤ供給装置の背面を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、参照番号1で示されるワイヤ送り出し装置または供給装置は、隣接して配列されたそれぞれのディスク3、4、7、8と、複数の交換可能な筒型ガイド2とで構成される。
【0013】
矢印fの方向に筒型ガイド2を介して駆動されるワイヤが、筒型ガイド2を出て、矢印gに示すように変形プレス機(図示せず)に搬送される。
【0014】
装置1の下側部分には、ガイドディスク3及び4が提供される。
【0015】
ディスク3、4が、それぞれ交換可能でかつ外周溝5、6を備え、その半径は搬送されるかまたは供給される金属ワイヤ(図示せず)の直径によって決まる。
【0016】
前記ガイドディスク3及び4の上に、交換可能な駆動ディスク7及び9が配置される。
【0017】
また、ディスク7及び8には、溝9及び10が設けられ、該溝の寸法は筒型ガイド2を介して供給されるワイヤの直径に適合される。
【0018】
有利なことに、上側ディスク7及び8が、ガイドすなわちスライドディスク11及び12で支持され、2つの矢印mで概略示されるように、駆動シリンダピストンユニット13及び14によって制御可能に駆動されてもよい。
【0019】
有利なことに、駆動シリンダピストンユニット13及び14が、水圧式圧縮空気制御式に設計される。
【0020】
このように、ディスク7及び8によって加えられる供給ワイヤFへの圧力が制御されることも可能である。
【0021】
ディスク7及び8が、駆動制御モータ15及び16によってそれぞれ回転駆動される。
【0022】
図2は図1の矢印II―IIに沿って見た側面図であり、上側ディスク8及びワイヤFを示しており、上側ディスク8は矢印mの方向に制御可能に駆動されてもよいし、またワイヤFは上側ディスク8の溝10及び下側ディスク4の溝6に係合されている。
【0023】
図2はさらに、トランスミッション17を介してドライブシャフト18を駆動する駆動モータ16を示していて、次ぎにドライブシャフト18はディスク4を駆動すると共にギア19を介してシャフト20を駆動し、シャフト20が上側ディスク8を回転駆動する。
【0024】
トランスミッション17には、有利なことに、トランスミッション17をシャフト18に対応して固定するキージョイント21が設けられる。
【0025】
このように、図2のシリンダピストンユニット14によって、ディスク8が上方または下方に移動されてもよく、同様にシリンダピストンユニット13を使ってディスク7を移動操作することもできる。
【0026】
図3はトランスミッション17及び22を備えた装置1を示し、トランスミッションがディスクを回転操作するように設計されており、それが参照番号3及び4で概略に示される。
【0027】
支持ブラケット23及び24がトランスミッション17及び22に配置され、次に例えばエンコーダ手段などの信号検出出力手段を支持する。該信号検出出力手段は、ディスク3及び4の回転数、及びそれによる金属ワイヤFのプレス機(図示せず)へ送り出される長さを機械数値制御システムを介して算出するためである。
【0028】
これに関して、エンコーダ25及び26がやはり省略できることが指摘されるべきである。その一方で、モータ15及び16を介して下側ディスク3、4の動作が正確に制御され、有利なことに、該モータが従来の制御及び駆動手段を有する制御モータで構成されると共に、図2の28に概略が示されるようにプレス機の数値制御システムに連結される。
【0029】
このように、上記に示した手段によって、ワイヤコイルから供給されたワイヤを変形プレス機に供給することができ、また、ワイヤFの送り出し時間と経路、及び変形プレス機に搬送される切断ワイヤの長さが高精度に規定される。
【0030】
さらに、前記電気モータは回転方向が反転できるように設計されることを指摘できる。これにより、ディスクの動作を反転させて、ワイヤを変形プレス機に保持して送り出したり、そこから引き出すこともできる。
【0031】
従来の変形プレス機では、これとは反対に、ワイヤの往復にはワイヤF駆動装置1の上流に別の装置を配置させる必要があった。
【0032】
このように、本発明により、連結ロッドと、レバーと、差し込み口と、ブレーキ要素とを含めた上述のワイヤ送り出し装置を全て無くして、金属ワイヤを変形プレス機に供給できる。装置は、少しのメンテナンスだけが必要であり、また、シリンダピストンユニット13、14及び制御モータ15、16を有することで、容易に制御可能であり、かつ、故障時に素早く容易に交換できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ワイヤを保持して供給するために、上側ディスク及び下側ディスクで構成された金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機において、
前記金属ワイヤ供給装置には、ワイヤ供給筒型ガイドが設けられ、
前記上側ディスク及び下側ディスクには、供給される金属ワイヤのための外周溝がそれぞれ設けられ、
前記上側ディスク及び下側ディスクが、ギアを駆動する前記上側支持シャフト及び下側支持シャフトによってそれぞれ支持されていて、前記下側シャフトが駆動制御モータに動作可能に連結されていると共に、前記上側ディスクが前記金属ワイヤ供給装置本体に対してスライド可能なスライドで支持されていて、かつ、
前記スライドが駆動シリンダピストンユニットによって上方及び下方に駆動される
ことを特徴とする金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項2】
前記プレス機には、交換可能な複数のワイヤガイドが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項3】
前記ディスクがそれぞれ交換可能なディスクとされていると共に、前記供給される金属ワイヤの直径に応じた半径の外周溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項4】
前記上側ディスクが、前記スライドによって支持されると共に、水圧式圧縮空気装置式の前記駆動シリンダピストンユニットによって制御可能に移動自在に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項5】
前記下側ディスクが、駆動制御モータによって回転駆動されることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項6】
前記駆動モータがそれぞれトランスミッションに動作可能に連結されると共に、前記下側ディスクを駆動する前記下側シャフトに、前記トランスミッションがそれぞれ対応して連結され、かつ、前記上側ディスクに支持される前記上側支持シャフトを駆動するために、前記ギアが前記下側シャフトによって支持されていることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項7】
前記上側ディスクを上方または下方に駆動するために、前記シリンダピストンユニットが前記金属ワイヤ供給装置の制御システムに動作可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項8】
前記ディスクを回転駆動させるトランスミッションに、エンコーダ手段などの信号検出出力手段を支持する支持ブラケットが、配置されていることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項9】
前記下側ディスクが前記駆動制御モータによって直接に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。
【請求項10】
前記ワイヤ供給ディスク駆動モータが正逆回転可能な電気モータで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属ワイヤ供給装置を備えた変形プレス機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−230191(P2011−230191A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97999(P2011−97999)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(509174668)サクマ リンビアーテ ソシエタ ペル アチオニ (2)
【Fターム(参考)】