説明

金属切削屑の圧縮装置

【課題】小型かつ低コストで金属切削屑を圧縮して回収することができ、しかも、金属切削屑に付着した油分を効率よく回収することができるようにする。
【解決手段】金属切削屑71を収納する圧縮室51と、圧縮室51から金属切削塊72を排出するシャッター55と、シャッター55が閉じられた状態で圧縮室51に収集された金属切削屑71を圧縮する圧縮ピストン53とを備えてなり、その圧縮ピストン53による圧縮の後に、圧縮された金属切削塊72をこの圧縮ピストン53の押圧動作によって排出するようにする。このとき、圧縮室51の底面部を排出方向に向かって下方へ傾斜させるとともに、排出された金属切削塊72を斜め上方へ排出する傾斜搬送路64を設ける。そして、傾斜搬送路64とシャッター55前方の載置台63との角度を急激にすることによって傾斜搬送路64からの金属切削塊72の逆流を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工によって生じた金属切削屑を圧縮するための圧縮装置に関するものであり、より詳しくは、低コストで金属切削屑を効率的に圧縮して回収することのできる圧縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属を切削加工する場合、その切削加工に伴って多くの金属切削屑が発生する。特に、航空機の部品などのような複雑な部品をフライス加工する場合、原材料に対して重量比で5%しか製品として残らない場合があり、残りの95%(重量比)が金属切削屑として処分される。このとき、切削によって生じた金属切削屑は、非常に嵩張るため、一定の大きさに圧縮して廃棄されるか、あるいは、圧縮して別の製品にリサイクルされる(特許文献1〜特許文献4)。
【0003】
このような金属切削屑の圧縮に関しては、例えば、下記の特許文献1に開示されるような圧縮装置が提案されている。この圧縮装置の概要を図8に示すと、この圧縮装置は、シュート内に排出された金属切削屑をスクリューフィーダ81によって圧縮室82へ運び込む移送機構83と、この圧縮室へ集められた金属切削屑を圧縮させる圧縮機構84と、この圧縮機構84による圧縮動作が終わった後に回収ピストンを前進させて金属切削塊を回収する回収機構85とを備えたものである。
【0004】
そして、この圧縮装置で圧縮動作を行う場合は、まず、切削装置から排出された金属切削屑をシュートから落下させ、スクリューフィーダ81内に落とし込む。このスクリューフィーダ81まで落とし込まれた金属切削屑は、スクリューフィーダ81の回転によって一方向に運び込まれ、その進行方向の前方に設けられた圧縮室82に押し込まれる。このとき、圧縮室82下方の開口部分は回収ピストン85aによって閉じられており、所定のタイミングで圧縮ピストン84aを押し下げて金属切削屑を圧縮する。その際、金属切削屑に含まれていた切削油分も絞り出して切削油回収ボックス86に回収する。次に、このように圧縮動作が終わった後、下方の回収ピストン85aを後方に待避させて開口部分を開放し、圧縮された金属切削塊を落とし込むとともに、再び回収ピストン85aを前進させて金属切削塊を回収していく。
【0005】
このような装置によれば、嵩張る金属切削屑を圧縮した状態で回収することができるため、回収ボックスがすぐにいっぱいになることがなく、何度も回収ボックスを新たな回収ボックスに交換しなければならないといった煩わしい手間を省くことができる。また、このような圧縮装置では、絞り出された切削油をリサイクルすることができるため、切削オイルの無駄をなくすことができるばかりでなく、金属切削屑を別に設けられた回収保管庫に移す際に、切削オイルが回収ボックスから漏れて工場の床面を汚してしまうようなこともなくなる。
【特許文献1】特開2001−321988号公報
【特許文献2】特公昭64−8055号公報
【特許文献3】特開平08−232001号公報
【特許文献4】特開2005−31463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように金属切削屑を圧縮するような装置では、次のような問題を有する。
【0007】
すなわち、このような圧縮装置では、金属切削屑を圧縮する圧縮機構と、その圧縮された金属切削塊を排出する排出機構とを別々に設けているため、部品点数が多くなって装置が大型化してしまい、コスト高なものとなってしまう。このため、切削加工などを請け負う比較的小規模な企業では、このような高いコストかつ大きな装置を設置することが困難となる。また、図8に示すような装置では、上下方向に圧縮した後、下方の回収ピストンを待避させて金属切削塊を排出室まで落とし込むようにしているため、金属切削塊を排出室への落下させる際に、衝撃によって金属切削塊がくずれてしまい、排出ピストンの動作時に引っ掛かりを生じたり、あるいは、せっかく絞り出した油分をばらばらになった金属切削屑の表面へ付着させてしまうといった問題を有する。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、小型かつ低コストで金属切削屑を圧縮して回収することができ、しかも、金属切削屑に付着した油分を効率よく回収することができる金属切削屑の圧縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、金属切削屑を圧縮する金属切削屑の圧縮装置において、金属切削屑を収納する圧縮室と、圧縮室に設けられたシャッターと、当該シャッターが閉じられた状態で圧縮室に収集された金属切削屑を圧縮する圧縮ピストンとを備えてなり、当該圧縮ピストンによって圧縮された後に、当該圧縮された金属切削屑の塊を圧縮ピストンの押圧動作によって排出するようにしたものである。
【0010】
このように構成すれば、圧縮動作と排出動作を一つの圧縮ピストンと圧縮機構を用いて行うことができるため、部品点数を少なくして小型化かつ低コストに圧縮装置を構成することができるようになる。
【0011】
また、このような発明において、圧縮室の底面部を排出方向に向かって下方へ傾斜させるようにする。
【0012】
このようにすれば、ほぼ水平な傾斜面に沿って金属切削屑を圧縮させ、そのまま傾斜面に沿って排出させることができるため、従来のように排出前に金属切削屑の塊を落下させて排出するということがなくなり、金属切削屑の塊が壊れるようなこともなくなる。しかも、圧縮室の底面を傾斜させているため、絞り出された油分を傾斜面に沿って回収することができ、従来のように水平に圧縮された金属切削塊の油分が表面張力で再び金属切削屑に吸い上げられてしまうといったことがなくなる。
【0013】
さらには、シャッターの前方に、金属切削屑の塊を斜め上方に排出する傾斜搬送路を設けるようにする。
【0014】
このようにすれば、大きなドラム缶などに上から金属切削塊を入れて回収することができるとともに、その傾斜する傾斜搬送路によって切削油を回収することができ、より効率的に切削油を回収することができるようになる。
【0015】
加えて、傾斜搬送路上に並べられた金属切削屑の塊を、順次、圧縮ピストンによる排出動作によって前方へ移動させるようにする。
【0016】
このようにすれば、金属切削屑の塊を傾斜搬送路に沿って運搬するための特別の機構も不要となり、低コストに装置を仕上げることができるようになる。
【0017】
また、このような傾斜搬送路を設ける場合、排出方向とは逆方向への移動を規制する逆流規制部を設けるようにする。
【0018】
このようにすれば、圧縮ピストンによる排出時に傾斜搬送路上の金属切削屑の塊が逆流してくることがなくなり、確実にシャッターを閉じて次の金属切削屑を圧縮することができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本発明によれば、金属切削屑を圧縮する金属切削屑の圧縮装置において、金属切削屑を収納する圧縮室と、圧縮室に設けられたシャッターと、当該シャッターが閉じられた状態で圧縮室に収集された金属切削屑を圧縮する圧縮ピストンとを備えてなり、当該圧縮ピストンによって圧縮された後に、当該圧縮された金属切削屑の塊を圧縮ピストンの押圧動作によって排出するようにしたので圧縮動作と排出動作を一つの圧縮ピストンと圧縮機構を用いて行うことができ、部品点数を少なくして小型化かつ低コストに圧縮装置を構成することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態における金属切削屑71の圧縮装置1について図面を参照して説明する。図1は、圧縮装置1の断面概略図を示したものであり、図2は、圧縮装置1における計量部4の平面概略図を示したものである。また、図3は、金属切削屑71を圧縮する圧縮ピストン53の構成を示す図である。
【0021】
本実施の形態の圧縮装置1は、金属切削屑71を投入するバケット2と、このバケット2の下方に集められた金属切削屑71を一方向に送出する第一送出機構3と、この第一送出機構3の前方側で一定量の金属切削屑71を計量する計量部4と、この計量部4で一定量に小分けされた金属切削屑71を圧縮する圧縮部5などを備えて構成されるもので、フライス加工によって生じた数ミリから数十ミリの金属切削屑71を小さなパワーで圧縮できるようにするとともに、その金属切削屑71に含まれている切削油73を搾り取ってリサイクルできるようにしている。以下、本実施の形態における圧縮装置1について詳細に説明する。
【0022】
この圧縮装置1のバケット2は、切削加工機本体から排出された金属切削屑71を投入できるようにしたもので、漸次下方に向かって内側の対向する幅を縮小させたシュータ21を備えて構成される。このバケット2に金属切削屑71を排出する際には、切削加工機本体からコンベアなどを介して自動的にバケット2内に金属切削屑71を排出するようにしてもよく、あるいは、手動によってバケット2内に金属切削屑71を投入できるようにしてもよい。なお、このバケット2によって金属切削屑71を投入する場合、金属切削屑71に付着した切削油73の粘性によってシュータ21に付着してしまう可能性があるため、傾斜面については、切削油73の粘性によっても自重で落下できるような傾斜角度に設定される。
【0023】
一方、このバケット2の最下部には、金属切削屑71を一方向に送り込むための第一送出機構3が設けられる。この第一送出機構3は、バケット2に投入された金属切削屑71を計量部4に送り込むためのスクリューフィーダ31と、このスクリューフィーダ31を回転させる回転機構32などを備える。そして、スクリューフィーダ31を一方向に回転させることによって、スクリューフィーダ31に落とし込まれた金属切削屑71を計量室41側へと送り込んでいく。なお、このスクリューフィーダ31は、継続的に回転するようにしてもよく、あるいは、バケット2内やスクリューフィーダ31内の金属切削屑71の存在を検知するセンサを設け、このセンサがONの状態になった場合にのみスクリューフィーダ31を回転させるようにしてもよい。もしくは、このスクリューフィーダ31の排出方向前方(金属切削屑71が送り込まれる方向を排出方向とする)の計量室41に一定量以上の金属切削屑71が送り込まれたことを検知するセンサを設け、このセンサがONの状態になった場合にのみスクリューフィーダ31を停止させるようにしてもよい。
【0024】
第一送出機構3の前方に設けられる計量部4は、第一送出機構3によって送り込まれた金属切削屑71を収納して一定量毎に順次下方に設けられた圧縮室51に送り込むようにしたもので、スクリューフィーダ31から排出された金属切削屑71を収納する計量室41と、この計量室41内に送り込まれた金属切削屑71の量を検知する計量センサ44と、この計量センサ44によって一定量の金属切削屑71が検知された場合、計量室41内の金属切削屑71を圧縮室51内に送り込む第二送出機構45とを備える。この計量室41には、スクリューフィーダ31から金属切削屑71が排出される入口側開口部42を設け、また、下方側には圧縮室51へと通じる出口側開口部43を設けるようにしている。そして、その計量室41内で第二送出機構45を構成する押込ピストン46が下降することにより計量室41内の金属切削屑71を強制的に圧縮室51へと押し込む。この第二送出機構45を構成する押込ピストン46は、計量室41の水平方向の断面積よりも小さな面積を有するもので、その押込ピストン46の横方向の隙間に金属切削屑71の侵入を検知する計量センサ44を設けている。この計量センサ44には、入口開口部よりも少し前方に、例えば、コイル状のバネ部を基端部に有する線状弾性体44aを垂下させて設けており、この線状弾性体44aが金属切削屑71の送り込みによって接触して撓んだ際に、一定量の金属切削屑71が送り込まれたことを検知する。具体的には、スクリューフィーダ31によって金属切削屑71が計量室41に送り込まれると、まず、その金属切削屑71は入口側開口部42から投入され、下方の出口側開口部43へと落とし込まれる。このとき、下方側の出口側開口部43は圧縮ピストン53によって閉止された状態となっており、金属切削屑71は下から堆積していく。そして、順次金属切削屑71が堆積していくと、スクリューフィーダ31から送り込まれた金属切削屑71が線状弾性体44aを押圧し、計量センサ44がONの状態となる。そして、計量センサ44がONの状態になった後、出口側開口部43における圧縮ピストン53を後方へ移動させて出口側開口部43を開放し、計量された一定量の金属切削屑71を圧縮室51へ押込ピストン46を介して押し込んでいく。なお、ここで一定量の金属切削屑71を計量する場合、圧縮室51における一回の圧縮動作で圧縮できる量よりも少ない量に設定されるが、この圧縮可能な量については、投入される金属切削屑71の性質(大きさや形状、硬度など)によって大きく影響される。そこで、投入される金属切削屑71の性質に対応できるように、計測量を変更できるようにしておく。この計測量を変更できるようにする場合、ここでは、例えば、装置本体に設けられた長孔に計量センサ44をネジ止めして線状弾性部材の高さ位置を調整できるようにする方法や、あるいは、線状弾性部材を別の大きさのものに付け替えて計測量を調整できるようにする。
【0025】
圧縮部5は、この計量部4によって計量された金属切削屑71を複数回にわたって圧縮するもので、計量室41から排出された金属切削屑71を収納する圧縮室51と、この圧縮室51に排出された金属切削屑71を圧縮する圧縮機構52とを備えて構成される。この圧縮室51は、可能な限り底面部分における水平面積を小さくして絞り出された切削油73を回収できるように、円筒状に構成され、かつ、圧縮される方向が若干下方へ向くように設定させている。すなわち、圧縮室51の底面部分の水平面積が広いと、切削油73が水平部分に広がってしまい、絞り出された切削油73が表面張力によって再び金属切削屑71によって吸い上げられてしまう。また、底面部分が水平面と平行な状態であると、切削油73が底面部分から流れていかず、金属切削屑71に吸い上げられて切削油73の回収効率が悪くなってしまう。そこで、この実施の形態では、切削油73の回収効率をよくするために、円筒状にして底面部分を線状にするとともに、その底面部分を傾斜させるようにしている。
【0026】
一方、この圧縮装置1を構成する圧縮ピストン53は、圧縮室51に内接するように円柱状に構成したもので、比較的低パワーの圧縮モータなどによって往復動作される。そして、圧縮室51の前方に設けられたシャッター55を閉じた状態で金属切削屑71を複数回にわたって圧縮し、一つの金属切削塊72を形成する。この圧縮ピストン53には、図3に示すように、計量室41との境界部分である出口側開口部43に挟まり込んだ金属切削屑71を切断するための尖状の刃部54を設けており、圧縮時に出口側開口部43と圧縮室51との間に挟まり込んだ金属切削屑71を切除できるようにしている。これにより、金属切削屑71が挟まり込んだ場合であっても、圧縮時における圧縮ピストン53の詰まりなどを防止できるようにしている。また、圧縮部5には、圧縮ピストン53の位置を検出するための位置検出センサ56を設けており、圧縮ピストン53の最前方での停止位置を検出して、それ以上の圧縮動作を行わないようにしている。具体的には、複数回の押圧によって所定長を超える金属切削塊72が形成された場合、圧縮ピストン53は後方側で停止することになり、位置検出センサ56がONの状態になった場合に、繰り返しの圧縮作業を停止する。逆に、最前方での停止位置が位置検出センサ56の前方である場合は、続けて金属切削屑71の排出を受け入れて圧縮していく。
【0027】
そして、このように複数回にわたる金属切削屑71の圧縮が完了すると、今度は、シャッター55を開放して圧縮された金属切削塊72を排出する。この金属切削屑71を排出する場合、シャッター55を開放した状態で圧縮ピストン53を前方に押し出し、圧縮ピストン53の押圧方向と平行に設けられた椀状の載置台63上に排出していく。この載置台63の前方には、ドラム缶62の上方へと金属切削塊72を運搬するための椀状の傾斜搬送路64が設けられており、この傾斜搬送路64に沿って金属切削塊72を順次ドラム缶62の上方へと運搬していく。この傾斜搬送路64と載置台63との接続部65については、急激な角度をなすように設定されており、この接続角度や段差などによって傾斜搬送路64上に並べられた金属切削塊72が自重によっても圧縮室51側へと逆流しないようにする。
【0028】
次に、このように構成された圧縮装置1における圧縮動作の流れについて図4から図7を用いて説明する。
【0029】
まず、バケット2内に金属切削屑71が投入されると、その金属切削屑71をシュータ21に沿って自重によって落下させ、下方側に設けられたスクリューフィーダ31内に落とし込んでいく。このとき、一般的には、金属切削屑71の表面に付着した切削油73によって一定の塊となってスクリューフィーダ31に落とし込まれる。そして、このようにスクリューフィーダ31に金属切削屑71が落とし込まれると、その金属切削屑71は、スクリューフィーダ31の回転によって一方向へ運び込まれ、計量室41の入口側開口部42から計量室41へと運び込まれる(図4(a))。このとき、計量室41下方の出口側開口部43は圧縮ピストン53によって閉止された状態となっており、金属切削屑71は計量室41内で下方から堆積していく。以下、順次スクリューフィーダ31によって金属切削屑71を投入していくと、計量室41内の金属切削屑71がほぼ満杯の状態となり、投入されてきた金属切削屑71によって計量センサ44の線状弾性体44aが変位してONの状態となる(図4(b))。
【0030】
次に、このように計量センサ44がONの状態になると、下方に設けられた圧縮ピストン53を待避させて出口側開口部43を開放し、計量室41内の押込ピストン46を押し下げて計量室41内の金属切削屑71を圧縮室51へと押し込んでいく(図4(c))。そして、このように金属切削屑71を圧縮室51へ押し込んだ後、今度は、圧縮ピストン53を前方へ移動させ、前方の閉じたシャッター55によって金属切削屑71を圧縮して小さな金属切削塊72を形成する(図5(d))。また、このとき、圧縮によって絞り出された切削油73を傾斜した円筒状の底面部分を介してシャッター55側へと排出していき、シャッター55との僅かな隙間を介して、下方の切削油回収箱61へと落とし込んでいく。
【0031】
一方、この圧縮動作の際、上方側の計量室41では、再び押込ピストン46を上方の位置へ戻して入口側開口部42を開放し、スクリューフィーダ31からの金属切削屑71を受け入れていく(図5(d))。そして、計量センサ44がONになった状態で(図5(e))、圧縮ピストン53を待避させて出口側開口部43を開放し、押込ピストン46によって金属切削屑71を圧縮室51に押し込んでいく(図5(f))。そして、再び、圧縮ピストン53を前方へ移動させて前方の金属切削塊72に押し当てるように金属切削屑71を圧縮していき、一つの金属切削塊72を形成するとともに、切削油73を搾り出していく(図6(g))。
【0032】
以下、同様に金属切削屑71を圧縮していくと、圧縮ピストン53の圧縮時における最前方の位置が位置検出センサ56によって検知され(図6(h))、この位置検出センサ56がONの状態になると、シャッター55を開放して圧縮ピストン53を押し出すことにより金属切削塊72を排出する(図6(i))。
【0033】
次に、圧縮ピストン53によって金属切削塊72が排出されると、図7に示すように、その金属切削塊72を載置台63上に排出し、また、前方に金属切削塊72が存在する場合は、その金属切削塊72を順次押し出すことによって傾斜搬送路64上に移し換えていく。このとき、圧縮ピストン53の強い押圧力によって金属切削塊72を接続部65で方向転換して傾斜搬送路64上に移し換えるとともに、傾斜搬送路64上に並べられた金属切削塊72の自重によっては載置台63側へと方向転換できないようにする。そして、順次、圧縮ピストン53の押圧によって金属切削塊72を排出していき、傾斜搬送路64の先端部分からドラム缶62内へと金属切削塊72を落とし込んでいく。また、このとき、金属切削塊72から滴り落ちた切削油73を傾斜搬送路64を介して下方へ流し込み、切削油回収箱61へと回収していく。
【0034】
このように上記実施の形態では、金属切削屑71を収納する圧縮室51と、圧縮室51から金属切削塊72を排出するシャッター55と、シャッター55が閉じられた状態で圧縮室51に収集された金属切削屑71を圧縮する圧縮ピストン53とを備えてなり、その圧縮ピストン53による圧縮の後に、圧縮された金属切削塊72をこの圧縮ピストン53の押圧動作によって排出するようにしたので、縮動作と排出動作を一つの圧縮ピストンと圧縮機構を用いて行うことができ、部品点数を少なくして小型化かつ低コスト化を図ることができる。
【0035】
また、圧縮室51の底面部を排出方向に向かって下方へ傾斜させるようにしたので、圧縮と排出を同一方向にすることができ、従来にように排出前に金属切削塊が壊れるようなことがなくなる。しかも、圧縮室51の底面を傾斜させているため、絞り出された油分を傾斜面に沿って回収することができ、従来のように水平に圧縮された金属切削塊の油分が表面張力で再び吸い上げられてしまうといったことがなくなる。
【0036】
さらには、シャッター55の前方に、金属切削塊72を斜め上方に排出する傾斜搬送路64を設けるようにしたので、大きなドラム缶62などに上から金属切削塊72を入れて回収することができるとともに、その傾斜する傾斜搬送路64によって切削油を回収することができ、より効率的に切削油を回収することができるようになる
【0037】
加えて、傾斜搬送路64上に並べられた金属切削塊72を、順次、圧縮ピストン53による排出動作によって前方へ移動させるようにしたので、金属切削塊72を傾斜搬送路64に沿って運搬するための特別の機構も不要となり、低コストに装置を仕上げることができるようになる。
【0038】
また、このような傾斜搬送路64を設ける場合、載置台63との間で急激な直線的な角度をなすような接続部65を設けるようにしたので、圧縮ピストン53による排出時に傾斜搬送路64上の金属切削屑71の塊が逆流することがなくなり、確実にシャッター55を閉じて次の金属切削屑71を圧縮することができるようになる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0040】
例えば、上記実施の形態では、フライス加工によって生じた金属切削屑71を圧縮するようにしたが、これに限らず、他の金属切削加工によって生じた金属切削屑の圧縮についても適用することができる。
【0041】
また、上記実施の形態では、逆流規制部として載置台63と傾斜搬送路64との間の接続部65を用いるようにしたが、このような構成に限らず、載置台63や傾斜搬送路64上に逆流を防止するための楔上の突起を設けるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、傾斜搬送路64上で金属切削塊72を搬送する場合に、圧縮ピストン53の押圧力を用いて搬送させるようにしたが、独自の搬送機構を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態を示す圧縮装置全体の断面概略図
【図2】同形態の計量部の平面概略図
【図3】同形態の圧縮ピストンの構成図
【図4】同形態の計量室への投入状態を示す図
【図5】同形態の繰り返し圧縮の状態を示す図
【図6】同形態の繰り返し圧縮の状態を示す図
【図7】同形態における排出動作を示す図
【図8】従来例における金属切削屑の圧縮装置の概略図
【符号の説明】
【0044】
1・・・圧縮装置
2・・・・バケット
21・・・シュータ
3・・・第一送出機構
31・・・スクリューフィーダ
32・・・回転機構
4・・・計量部
41・・・計量室
42・・・入口側開口部
43・・・出口側開口部
44・・・計量センサ
45・・・第二送出機構
46・・・押込ピストン
5・・・圧縮部
51・・・圧縮室
52・・・圧縮機構
53・・・圧縮ピストン
54・・・刃部
55・・・シャッター
56・・・位置検出センサ
61・・・回収箱
62・・・切削油回収箱
71・・・金属切削屑
72・・・金属切削塊
73・・・切削油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属切削屑を圧縮する金属切削屑の圧縮装置において、
金属切削屑を収納する圧縮室と、圧縮室に設けられたシャッターと、当該シャッターが閉じられた状態で圧縮室に収集された金属切削屑を圧縮する圧縮ピストンとを備えてなり、当該圧縮ピストンによって圧縮された後に、当該圧縮された金属切削屑の塊を圧縮ピストンの押圧動作によって排出するようにしたことを特徴とする金属切削屑の圧縮装置。
【請求項2】
前記圧縮室の底面部を排出方向に向かって下方へ傾斜させた請求項1に記載の金属切削屑の圧縮装置。
【請求項3】
請求項1に記載の金属切削屑の圧縮装置において、さらに、
シャッターの前方に、金属切削屑の塊を斜め上方に排出する傾斜搬送路を設けた請求項1に記載の金属切削屑の圧縮装置。
【請求項4】
前記傾斜搬送路上に並べられた金属切削屑の塊を、順次、圧縮ピストンによる排出動作によって前方へ移動させるようにした請求項3に記載の金属切削屑の圧縮装置。
【請求項5】
前記排出方向とは逆方向への移動を規制する逆流規制部を設けた請求項3に記載の金属切削屑の圧縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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