説明

金属微粒子の製造方法

【課題】粒子径分布の狭い金属ナノ粒子を、短時間で、高い収率で、かつ高エネルギー効率で、連続的に合成することを可能とする金属ナノ粒子材料の製造方法を提供する。
【解決手段】金属前駆物質を含有する反応液を流通管内に流通させるとともに、その流通管の長さ方向にわたって、均一かつ集中的に電磁波を流通管内に向けて照射し、流通管内の電磁波照射空間を流通方向にわたって均一に加熱し、金属微粒子を生成させる金属ナノ粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微粒子の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、反応液に電磁波を均一に照射して加熱することにより、金属ナノ粒子を短時間で、連続的に製造することを可能にする金属微粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子(金属のナノメーターオーダーの粒子)は、触媒、電極材、抗菌剤などの種々の用途に用いられている。またとりわけ最近はイムノクロマト用標識材料など食品アレルギー検査キット、免疫診断キットなどの分野において高性能、高精度を実現するため要求されている。
そのような材料としては、Ag,Au,Ir,Pt,Pd,Rh,Re,Ru,Cu,Ni、及びOsなどの遷移金属や、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tmなどの希土類元素が挙げられる。
これらの金属ナノ粒子の製造方法としては、粉砕など原料金属を物理的に微細化するトップダウン法と、金属前駆物質から化学反応により微粒子の成長を行う、ボトムアップ法がある。特に100nm以下で粒径分布が揃った微粒子を製造するにはボトムアップ法が広く利用されている。特にボトムアップ法の一つである湿式還元法は、様々な種類の金属ナノ粒子を分散性よく製造できることから、研究例が多い。湿式還元法は溶液中の化学反応のため、粒子径の揃ったナノ粒子を製造するには精密な反応温度制御や反応時間の制御が重要となる。このため、均一な温度場、反応場を維持するために、バッチ型の反応器が多く利用されている。しかしバッチ法では、溶液の交換や洗浄など手間が掛かるため工業的な大量生産には向いていないという問題点があった。またマイクロリアクターを用いた連続合成も行われている。しかしマイクロリアクターを利用する方法は、初期コストと運転コスト、反応管の閉塞の問題など解決すべき点がある。
【0003】
また金属前駆物質とアルコール溶媒を含有する反応混合物を局在化したマイクロ波またはミリメートル波エネルギーで加熱し、金属粒子を製造する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。しかし、この方法では連続操作ができず、工業的な製造への適用には課題があった。
【0004】
しかも、マイクロ波利用の化学反応においては、従来の電磁波照射では、反応管内への電磁波の照射強度にムラが生じるため、再現性に課題があり、また、反応液を攪拌させる必要があり、その多くは、バッチ型反応によって実施されるものであった。一方近年、工業的に金属微粒子、とりわけ高品質な金属ナノ粒子を、効率よく連続生産しうる方法の開発が要望されている。
ナノ粒子をマイクロ波照射によって連続合成を行う試みとしては、非特許文献1がある。これら調理用電子レンジ内に反応管を配置するものであり、反応管への電磁波照射には、空間的な電磁波強度のムラや、時間的な変動を生じることにより均質な温度場の維持が困難で、粒子径分布や粒子性状が不均質となる可能性がある。また特許文献3によるナノ粒子連続合成の試みもある。これは、導波管内に反応管を配置するものであるが、この場合導波管入口部のマイクロ波強度が導波管出口部のマイクロ波強度より高くなることや、反応物にマイクロ波が完全に吸収されないためエネルギー効率が悪いという課題があった。また、特許文献3には、定在波(空胴共振器)によるマイクロ波照射方法も提案されているが、空胴共振器内のマイクロ波分布に依存したマイクロ波照射ムラが発生するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3005683号公報
【特許文献2】特許第3612546号公報
【特許文献3】特表2006−517260号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Y. Groisman and A. Gedanken, J. Phys. Chem. C, 112, 8802−8808 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、粒子径分布の狭い金属ナノ粒子を、短時間で、高い収率で、かつ高エネルギー効率で、連続的に合成することを可能とする金属ナノ粒子材料の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)金属前駆物質を含有する反応液を流通管内に流通させるとともに、その流通管の長さ方向にわたって、均一かつ集中的に電磁波を流通管内に向けて照射し、流通管内の電磁波照射空間を流通方向にわたって均一に加熱し、金属微粒子を生成させる金属微粒子の製造方法。
(2)流通管の、照射空間内に定在波を形成する共振空胴を有することにより、連続的に金属微粒子を生成させる(1)記載の金属微粒子の製造方法。
(3)共振空胴としての円筒型の共振空胴を有し、その内部にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波を形成させ、円筒内の軸方向に沿って均一な電磁界強度分布を形成する(1)又は(2)記載の金属微粒子の製造方法。
(4)金属前駆物質が、金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、酸化物、炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩、金属錯体、およびその混合物からなる群から選ばれる(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
(5)金属微粒子の、平均粒子径が約100nm以下の粒子径を有する(1)〜(4)のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
(6)反応液に用いる液媒体が、原料の金属化合物を還元する作用を有する化合物を含有する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
(7)液媒体がアルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコール)、水、及び糖類から選ばれる少なくとも1種である(6)記載の金属微粒子の製造方法。
(8)反応液もしくは反応生成液の温度を制御し電磁波照射による、生成金属微粒子の粒子径を均一に制御する(1)〜(7)のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
(9)円筒型の共振空胴内にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波を安定して形成させるために、円筒型共空胴の内径を変化させる(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
(10)円筒型の共振空胴内にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波を安定して形成させるために、照射する電磁波の周波数を調整する機構もしくは、それと同等の効果を及ぼす機構を有している(1)〜(3)のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粒子径分布の狭い金属ナノ粒子を、短時間で、高い収率で、かつ高エネルギー効率で、連続的に合成することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で用いたマイクロ波利用化学反応装置の好ましい形態を一部断面図で示す説明図である。
【図2】円筒型の空胴共振器内の電界強度分布を示す説明図である。
【図3】実施例1〜3で合成された銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図4】実施例4〜8で合成された銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図5】実施例9〜14で合成された銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図6】実施例14の条件で合成された銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例15における長時間の連続合成をおこなった際の溶液温度の時間変化を示す。
【図8】実施例15におけるマイクロ波照射パワー(TM010キャビティーへの入射波−反射波)を示す。
【図9】実施例15における銀ナノ粒子の粒子径分布と反応時間との関係を示す。
【図10】実施例15における銀ナノ粒子連続合成時の各時間における生成物の吸収スペクトルの推移を示す。
【図11】実施例7における反応液の送液速度と銀ナノ粒子の粒子径分布の関係を示す。
【図12】液溶媒としてグリセリンを用いて合成した銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図13】液溶媒としてベンジルアルコールを用いて合成した銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図14】実施例17の条件で合成した金ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図15】実施例18、19の条件で合成した白金ナノ粒子およびパラジウムナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図16】実施例20、21の条件で合成した銀ナノ粒子および白金ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図17】実施例22の条件で合成した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。
【図18】実施例23の条件で合成した白金ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。
【図19】実施例24の条件で合成した白金ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。
【図20】実施例25の条件で合成した銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図21】実施例26において、図1で示される構成例と図23で示される構成例で、合成した銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。
【図22】実施例27において、図24で示される構成例で合成した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。
【図23】複数の原料溶液を個別供給するマイクロ波化学反応装置の変更態様の説明図である。
【図24】マイクロ波化学反応装置の変更態様の説明図である。
【図25】マイクロ波化学反応装置の別の変更態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明方法で製造しうる金属微粒子としては、遷移金属及び典型金属の錯体にあっては、Ag,Au,Ir,Pt,Pd,Rh,Re,Ru,及びOsなどの遷移金属が最も望ましいが、Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Wなどの遷移元素、Al,In,Ga,Zn,Cd,Sb,Sn,Ge,Be,Mgなどの典型元素であっても差し支えない。
【0012】
本発明の上記金属微粒子の製造は金属前駆体物質を含有する反応液を流通管内に流通させ、一方、その流通管の長さ方向にわたって、均一かつ集中的に電磁波を流通管内に向けて照射し、流通管内の電磁波照射空間を流通方向にわたって加熱し、金属微粒子を生成させる金属ナノ粒子の連続的製造方法により実施できる。
本発明の製造方法により、好ましくは、平均粒子径が約100nm以下の粒子径を有する金属微粒子を製造することができる。本明細書において、金属微粒子の粒子径の平均粒子径は、後述の実施例に示すように、ナノ粒子懸濁液の動的光散乱により測定された値をいう。
本発明に用いられる流通管は、マイクロ波を透過しやすいものが望ましく、該容器の材質としては、例えば、ガラス、石英、アルミナ、フッ素樹脂テフロン(登録商標)、プラスチック、ポリエチル・エーテル・ケトン樹脂などがあげられる。しかし、本発明は、これらに限定されるものではなく、これらと同等の材質のものであれば、同様に使用することができる。
流通管の管壁の厚さは、好ましくは0.05〜10mm、より好ましくは0.1〜2mmである。管壁の厚さを上記範囲にすることにより安定した金属ナノ粒子の連続合成が可能であり、管壁の厚さが薄すぎては反応管としての流通管の形状を維持することが困難であり、また反応管内の圧力変動による破損の可能性があり、厚すぎてはマイクロ波の伝達ロスによる加熱効率の低下という問題を生ずる。
流通管中の金属前駆物質含有液に対する電磁波(マイクロ波)の照射強度は好ましくは0.1mW〜20kW、より好ましくは1mW〜100Wである。電磁波の照射強度がこの範囲内で、金属前駆体の還元が起こり、金属微粒子が生成する。電磁波強度が低すぎると、金属微粒子が生成せず、高すぎると、流通溶液が沸騰する。また流通管中の金属前駆物質含有液の送液速度は、好ましくは0.1ml/h〜5l/h、より好ましくは5〜200ml/hである。送液速度を上記の範囲に調節することにより、目的のサイズの金属微粒子が生成する。送液速度が大きすぎると、液は沸騰しないが粒子径のnmオーダーの金属微粒子が得られにくく、小さすぎると液が沸騰し、目的の粒径の金属微粒子が得られにくくなる。
【0013】
本発明において金属前駆体を、金属に対する還元作用を有する溶媒に分散もしくは溶解させて電磁波を照射する。このような溶媒としてはアルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロール、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコール等)、無機酸(水酸化ホウ素塩、ジメチルアミノボラン、亜リン酸、次亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸ナトリウム、Feイオン錯体、ヒドラジン等)、有機酸類(クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、ギ酸等)、糖類などが挙げられる。また、本発明において金属前駆物質の含有液に、分散剤を加え、生成する金属微粒子の凝集を防止し、分散安定性を高めるのが好ましい。このような分散剤としてはポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、高分子分散剤などが挙げられる。高分子分散剤とは、顔料表面に対する親和性の高い官能基が導入された高分子量の重合体であって、溶媒和部分を含む構造を有する両親媒性のものである。高分子分散剤としては、マイクロ波を吸収する溶媒に可溶であり、極めて速い還元反応によって瞬時に生成される微粒子を凝集させることなく捕捉し溶媒に分散させることができ、さらに生成されたコロイドの長期安定性に有効である共重合体であることが好ましく、高分子分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。高分子分散剤としては、例えば、特開平11−80647号公報に例示したものを挙げることができ、好ましい高分子分散剤(市販品)としては、ビックケミー社製のDISPERBYK102,108,116,145,180,2096,2155,BYK9076,9077、共栄社化学社製フローレンG700,G900などを挙げることができる。数平均分子量は10,000〜50,000のものが特に好ましい。
溶媒としては、沸点の高い溶媒が好適に使用され、これら溶媒を混合して用いることも差し支えない。
【0014】
本発明において、反応液中の金属前駆体物質の濃度は、好ましくは0.01mM〜10M、より好ましくは0.1mM〜3Mである。
上記において、送液により流通する金属前駆体物質を含む反応液を上記によって適正にすることにより、ナノメーターサイズの金属微粒子を製造することができる。
本発明は、連続的に供給される前述の反応液に対し、電磁波を照射することで、短時間で、高い収率で、かつ高エネルギー効率で、連続的に、前述の金属微粒子を合成できる方法を提供するものである。以下に、本発明に望ましい電磁波照射方法を説明する。
【0015】
一般に、物質がマイクロ波によって加熱されるときの発熱は、次式で表される。
【0016】
【数1】

【0017】
この中で、|E|[V/m],|H|[A/m]は、それぞれマイクロ波の電界強度、磁界強度であり、σ[S/m]は電気伝導度、f[1/sec]はマイクロ波の周波数、ε[F/m]は真空中の誘電率、ε’’は誘電損率、μ[H/m]は真空の透磁率、μ’’は磁気損率である。
【0018】
このうち、上記式1の右辺の第2項で表される電界による発熱及び第3項で表される磁界による発熱が、マイクロ波加熱に大きな影響を与えることが多い。ここでは、第2項の電界による発熱を例にとり、説明するが、上記式1の第1項や第3項についても、同様に当てはまるものである。
【0019】
マイクロ波加熱による発熱量を大きくするには、誘電損率ε’’が大きい物質を選ぶか、電界強度を大きくすることが有効であることが、上記式1から分かる。このため、誘電損率の小さい物質(非極性物質)のマイクロ波加熱は難しい。このような物質を加熱するには、電界強度Eを大きくするか、物質の誘電損率を見かけ上大きくすることが有効であることが分かる。
【0020】
電界強度Eを大きくするためには、マイクロ波を特定の部位に集中させるように照射すること、見かけ上の誘電損率を大きくするためには、被加熱対象物質と流通管壁(すなわち、反応管壁)との間の相互作用を有効に用いること、を実現することが必要とされる。
【0021】
一般に、電界強度を高めるためには、大型のマイクロ波発生器を利用する必要があるが、そのために、装置の大型化や価格が上がるなど課題があり、また、マイクロ波の漏えいや部分的な異常加熱が起こるなど、装置設計も困難になってしまうなどの課題がある。マイクロ波を集中させ、特定の部位に電界強度が極大になるマイクロ波照射方法を構築することで、上記問題を解決しつつ、電界強度を大きくすることが可能となる。
【0022】
本発明では、マイクロ波を特定の部位に集中して照射できる機構として、定在波を形成するシングルモードキャビティを用いる方法を使用する。シングルモードキャビティ中では、電磁界強度の強い場所と弱い場所の時間変化がないため、強い場所にマイクロ波の被加熱対象物質を配置することで、効果的なマイクロ波加熱が可能になる。
ここでシングルモードキャビティとは、特定の定在波を安定に形成することができるマイクロ波照射空間内のことをいう。定在波とは、波形が進行せずに止まって振動しているように見える波動のことで、電界強度が0の場所と、電界強度の強い場所の位置が変化しない状態が作られる。特に円筒型の共振空胴(キャビティ)により、TMnm0モード(nは0以上、mは1以上の整数)の定在波を形成した場合、円筒中心軸に配置した反応管流路部分に、マイクロ波を集中して照射することができるうえ、中心軸の軸方向には電界強度の分布が一様になり、反応液は常に制御された電界強度のマイクロ波を照射させることができる。このとき、反応管流路をマイクロ波を透過しやすい材料で構成することで、マイクロ波は内部の溶液に直接到達し、反応液を直接誘電加熱することができる。誘電加熱は、従来の伝熱による加熱よりきわめて短時間に発熱させることができるため、所定の反応温度になるよう溶液を迅速に加熱できる。また、反応液中の金属前駆体物質の化学反応が、マイクロ波照射により促進される場合もある。この場合は、加熱に必要な時間だけでなく、反応時間の短縮も期待できる。
本発明に用いられる電磁波照射手段は、電磁波を反応液に集中して照射できるものが好ましい。
例えば、電界を集中できる構造の電磁波照射空間の一つとして、空胴共振器とよばれる空間を利用した、特定の定在波を安定に形成できる容器を用いる方法がある。図2は円筒型の空胴共振器内に形成されたTM010とよばれる定在波の電界強度分布を示したものである。図中(A)は空胴共振器11の全体図、(B)は上記(A)に対応する、空胴共振器の円筒内径方向と電界強度との関係を示すグラフ、(C)は上記(A)に対応する空胴共振器の円筒の軸方向と電界強度との関係を示すグラフである。図2(A)において、11は空胴共振器、12はマイクロ波照射口であり、図2(B)のグラフは空胴共振器11の半径方向に対する電界強度を示す(横軸が空胴共振器11の半径と対応している)。TM010の定在波を用いれば、円筒の中心部に電界を集中できることがわかる。図2(C)のグラフは空胴共振器11の中心軸上の軸方向に対する電界強度を示す(縦軸が円筒空胴の中心軸上の位置に対応している)。TM010の定在波を用いれば、円筒中心軸上の電界強度は、位置によらず均一であることがわかる。つまり、円筒内に形成したTM010の定在波を有する空胴共振器を用い、その円筒の中心軸に沿って配置したチューブ状の反応器は、つねに強力でかつ均一な電界をもつマイクロ波を照射することが可能となる。図2では、TM010について説明したが、TMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波も、円筒の半径方向に電界の集中する場所があり、中心軸に平行な部位では均一な電界強度を有するため、同様に利用することができる。また、図2では電界で説明したが、電磁波は磁界による加熱作用もあるため、磁界が強くなる部分を利用しても同様な効果を得ることができる。
【0023】
もうひとつの電界集中方法として、電磁波を反射させるミラーを用いる方法もある。特開2006−173069号及び同2006−286588号の各公報に記載されているような、楕円型の電磁波反射空間を用いた方法を用いることができる。楕円の一つの焦点から電磁波を供給させれば、もうひとつの焦点に電磁波を集中させることができる。この焦点の部分に反応液が通過するように反応管を配置することで同様の効果を得ることができる。
【0024】
本発明では、シングルモードキャビティの空胴共振器として、例えば、TM010シングルモードキャビティの他に、TM110モードキャビティ、TM210モードキャビティ、TM020モードキャビティ、TE01モードキャビティなどが用いられる。また、流通管としては、照射するマイクロ波周波数が2.4〜2.5GHzでは内径2.9mm以下のミリメートルサイズの流通管、例えば、1.5mm以上2mm以下、1mm以上1.5mm以下、0.5mm以上1mm以下の流通管が用いられる。照射するマイクロ波周波数が2.4GHより小さい場合は、流通管の太さはより太くても良いが、マイクロ波周波数が2.5GHzより大きな場合は、より細い流通管が望ましい。
【0025】
本発明では、上述のような、照射するマイクロ波周波数が2.4〜2.5GHzでは内径が2.9ミリメートルサイズの流通管を用いることが重要である。流通管の外径及び長さについては、特に制限されるものではなく、また、キャビティ内に配置される流通管の形状及び構造についても、適宜設計することができる。
【0026】
本発明では、キャビティ内に配置する流通管の本数は、単数に限らず、複数配置することも適宜可能であり、また、複数の流通管を適宜の接続方法で接続して配置することで、流通する溶液に対するマイクロ波加熱効率を向上させることが可能である。単数の流通管を配置する方式に限らず、例えば2〜8本の流通管を配置する方式や、単数であっても、螺旋型の流通管を配置する方式など、適宜の方式を採用することができる。
【0027】
本発明では、流通管の内径を2.9mm以下のミリメートルサイズに細くすることにより、所期の効果が得られるが、流通管の内側に対して、上述のような、流通管の内側と流通する溶液との接触面積を拡大できる適宜の加工を施すことで、更にその効果を向上させることができる。
【0028】
本発明では、見かけの誘電損率を大きくする方法として、被加熱対象物質とそれを保持する容器(流通管)壁面とに生じる相互作用を用いることを一つの特徴としている。例えば、帯電した壁面近傍の被加熱対象物質の分子は、壁面の電荷により、誘電分極が生じる。誘電分極は、電荷の偏りが生じる現象であり、この電荷の偏りにより、マイクロ波の吸収が高くなる。
【0029】
本発明では、流通管表面による誘電分極を高めるために、流通管の接触面積を広くする手段が採用される。例えば、容器を小さくすることにより、反応液の体積当たりの表面積を高める方法、また、流通管を、図に示すように、細長くする方法、扁平にする方法、などが採用される。
【0030】
本発明では、前述のように、電界を集中させた部位に、流通管に保持した反応液を配置することで、非極性溶媒をもマイクロ波加熱することが可能である。本発明では、反応液の流体を流通させる流通管が用いられる。
【0031】
前記の流通管の長さ方向に均一かつ集中的に電磁波を照射する(マイクロ波加熱する)。これにより流通管内の電磁波照射空間の反応液を流通方向にわたって均一に集中的に加熱できる。本明細書において、電磁波を均一に照射するとは、マイクロ波照射空間のうち、反応管部分に高いエネルギー密度の空間を形成させることをいい、均一に照射するとはこの反応管部分のどの位置でも、一様なエネルギー密度を有することをいう。この手段として、前記のように、例えば、流通管の照射空間内に定在波を形成する共振空胴を設けることが好ましい。このために用いる金属微粒子合成装置を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、マイクロ波利用化学反応装置の構成例を示す。図1の装置は、マイクロ波発振器・制御器6、TM010キャビティ2、送液ポンプ3、からなる。キャビティは、内部に円筒型の空間を有する金属製の空胴共振器として構成したものである。この空間は、TM010と呼ばれる定在波が形成できるように、その内寸を適宜設定することができる。
【0033】
TM010の定在波は図2中の下のグラフに示すよう中心部に電界が集中しており、軸に沿っては均一な電界強度分布を有している。この中心軸に沿って、貫通するように、石英ガラス管等から構成される反応管7を設置する。反応液8が、この石英ガラス管を流通できるように、片側に、送液ポンプ3を取り付けた。石英ガラス管の反対側には、流体の温度を計測できるように、温度計5として熱電対を取り付けた。また、内部の電界強度を計測するために、電界モニター4を取り付けた。
【0034】
マイクロ波発振器・制御器6から発生したマイクロ波は、マイクロ波照射口1を介して円筒型のTM010キャビティ2に照射される。このときのマイクロ波の発振周波数もしくは円筒型キャビティ2の内径を、キャビティ2内部にTM010の定在波が形成できるよう調整することができる。このとき、電界モニター4からの信号をもとに、TM010の定在波が形成されているか知ることができる。もし、定在波が形成されていない場合は、マイクロ波発振器・制御器6から発振されるマイクロ波発振周波数を変化させるか、キャビティ内径を調整するなどにより、定在波が形成されるよう、フィードバック制御を行ってもよい。
マイクロ波発振器・制御器6には、キャビティからの反射波を低減させるため、整合器を組み込んでも良い。また、反射波により、マイクロ波発振器や制御器の破損を防ぐために、反射波を吸収するアイソレータを組み込んでも良い。
【0035】
反応管としては、内径1mm、外径3mm、長さ200mmのテフロン管を用いた。このうち、長さ方向の100mmの部分をキャビティ内に入れ、この部分にマイクロ波が照射されるようにした。ただし、反応管の長さやマイクロ波照射部の長さは、これ以上でも以下でもよい。マイクロ波出力は、反応管出口に設置した温度計5の値を一定に保てるよう、マイクロ波発振器・制御器6を介して自動調製してもよい。反応管温度を測る方法としては、放射温度計により反応管外壁の温度を非接触で測る方法もある。
【0036】
本発明を実現するための、第2の構成例を図23に示す。これは反応液の供給方法としては、別々の調製した2種類以上の原料溶液を個別のポンプを用いて供給し、マイクロ波キャビティ2に流入する直前により、混合器13により混合し、反応液とするものである。たとえば、金属前駆物質と添加物の反応性が高い場合などは、マイクロ波照射前に目的外の反応の進行が進み、目的外の粒子径分布を持つ金属ナノ粒子が合成される可能性があるが、本構成ではそのような場合でも、粒子径の揃った金属ナノ粒子の製造が可能である。
【0037】
本発明を実現するための、第3の構成例を図24に示す。これは、マイクロ波照射後の反応液を別の温度調節器14に導入するものである。反応時間が遅い場合は温度調節器で適切な温度に加温することで、金属ナノ粒子の成長を促進させることができる。また、反応時間が早い反応液の場合は、冷却することで、金属ナノ粒子の成長を停止させ、均一な粒径をもつ金属ナノ粒子の製造を行うことが可能である。
【0038】
本発明を実現するための、第4の構成例を図25に示す。これは、マイクロ波照射後の反応液を再循環させ、再びマイクロ波を照射するものである。長時間マイクロ波を照射する必要がある場合に適した構成である。
【実施例】
【0039】
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示すマイクロ波利用化学反応装置を用い、TM010キャビティ中心軸に沿って反応管として内径1mm、外径3mm長さ200mmのテフロン反応管を取り付けた。テフロン反応管の片側からエチレングリコールに溶解させた反応原料をシリンジポンプにより供給した。反応原料には、100mmの区間で均一なエネルギー分布をもつマイクロ波が照射される。これにより溶液温度が上昇する。溶液の温度は、TM010キャビティのマイクロ波照射空間の出口から10mm離れた部分に挿入された熱電対により温度の計測を行い、この部分の温度が一定になるようマイクロ波電力の調整をフィードバック制御により行っている。
マイクロ波の周波数としては、後述の実施例25では、2.45GHzと5.8GHzのものを用い、それ以外では、2.45GHzのものを用いた。
【0040】
反応原料を含んだ溶液はマイクロ波照射により粒子形成が促進され、反応管出口では、ナノ粒子懸濁液として回収される。ナノ粒子懸濁液は、紫外可視吸収スペクトルメータ(日立U−3310)により吸収スペクトルを測定した。また動的光散乱(MALVERN INSTRUMENTS製Zetasizer Nano−S)により粒子径の測定を行った。回収されたナノ粒子を乾燥したものをTEM(FEI製TECNAI G)により観測した。反応後の溶液は孔径0.02μmのフィルターにより濾過し、合成した金属粒子と未反応液を分離した。このうち未反応液中に含まれる原料物質の濃度を誘導結合型原子吸光装置(セイコーインスツルメンツ製、SPS1500)により分析し、以下の式より反応率を求めた。
反応率=(1−未反応液に含まれる原料物質の濃度)÷(反応前溶液に含まれる原料物質の濃度)×100%
【0041】
表1、2に実施例として用いた反応原料の組成を示す。マイクロ波の周波数としては、後述の実施例25では、2.45GHzと5.8GHzのものを用い、それ以外では、2.45GHzのものを用いた。
実施例1〜16については、金属前駆物質として硝酸銀を用い、液媒体としてエチレングリコールを用いて、銀ナノ粒子の合成を行ったものである。添加剤としてポリビニルピロリドンを加えることで、粒子サイズの調整や合成した銀ナノ粒子の安定化を行っている。反応原料は特に記述がない限り、送液速度10ml/hで行った。照射マイクロ波パワーは15Wであり、そのときの溶液温度は160℃であった。
【0042】
実施例1〜3には、添加剤のポリビニルピロリドンの数平均分子量を変えた場合、合成された銀ナノ粒子に及ぼす影響を調べたものである。このときの反応原料の供給速度は10ml/hであり、15Wのマイクロ波を連続的に照射している。反応液の温度は、160℃であった。図3に、合成された銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。添加剤の組成を変えることで、目的とする銀ナノ粒子の粒子サイズを調整可能なことがわかる。
【0043】
実施例4〜8には、添加剤のポリビニルピロリドンの添加量を変えた場合、合成された銀ナノ粒子に及ぼす影響を調べたものである。このときの反応原料の供給速度は10ml/hであり、15Wのマイクロ波を連続的に照射している。反応液の温度は、160℃であった。図4に、合成された銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。添加剤の添加量を変えることで、目的とする銀ナノ粒子の粒子サイズを調整可能なことがわかる。
【0044】
実施例9〜14には、金属前駆物質である硝酸銀の濃度を変えた場合、合成された銀ナノ粒子に及ぼす影響を調べたものである。このときの反応原料の供給速度は10ml/hであり、15Wのマイクロ波を連続的に照射している。反応液の温度は、160℃であった。図5に、合成された銀ナノ粒子の粒子径分布を示す。硝酸銀の添加量を変えることで、目的とする銀ナノ粒子の粒子サイズを調整可能なことがわかる。図6は、実施例14において溶液の供給速度100ml/h、反応温度160℃の条件で合成した銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。平均粒子径9.8nmで、標準偏差が0.9とCV値が9.2%(50個分析の結果))の分布をもつ粒子径の均一な銀ナノ粒子が合成されている。
【0045】
実施例15は、長時間の連続合成をおこなったものである。その際の溶液温度の時間変化を図7に、マイクロ波照射パワー(TM010キャビティーへの入射波―反射波)を図8に示す。このときの反応原料の供給速度は10ml/hであり、5時間以上にわたって連続的に銀ナノ粒子の合成を行っている。図9には、1時間後ごとにサンプリングした反応後溶液の粒子分布を示す。15nm程度の非常に小さく、揃った粒子が合成されていることがわかる。また、図10には吸収スペクトルを示す。吸収スペクトルでは395nmの銀ナノ粒子特有の吸収スペクトルが確認されている。図7、図8、図9、図10からあきらかなように、長時間にわたって安定した銀ナノ粒子が連続的に合成できていることがわかる。このときの、金属前駆物質が金属ナノ粒子に変換された、反応添加率を分析したところ、いずれの時間帯においても95%以上であり、高効率に金属ナノ粒子が製造できている。
【0046】
実施例7の条件において、反応液の送液速度を変えた結果を図11に示す。送液速度10ml/hから200ml/hで実施した。10ml/hから100ml/hでは、合成される銀ナノ粒子の粒子径分布に大きな違いはないが、200ml/hでは粒子の均一性が著しく損なわれていることがわかる。粒子が均一性であるとは粒子サイズ分布が所定値を中心に狭い分布範囲にあることを言う。これは、マイクロ波照射空間が100mmであり、送液速度が速い場合、銀ナノ粒子合成に必要なマイクロ波が十分照射されていないためと考えられる。このような場合、マイクロ波照射空間であるTM010キャビティを長いものに交換すればよいと考えられる。TM010キャビティの特徴として、円筒長を長くしても、均一なマイクロ波照射空間を作り出すことができる。
【0047】
実施例15および実施例16は、溶媒を変化させて合成される銀ナノ粒子の粒子径分布の違いを調べたものである。図12にグリセロール溶媒(反応温度 200℃)、図13にベンジルアルコール溶媒(反応温度180度)で行ったときの合成された銀ナノ粒子の粒径分布を示す。エチレングリコール以外の液溶媒においても、金属ナノ粒子の合成が可能であることがわかる。
【0048】
実施例17として金ナノ粒子の合成を行った。金属前駆物質として塩化金酸を、液溶媒として水を用い、還元剤としてクエン酸を反応液に加えた。反応温度90℃送液速度5ml/hで金ナノ粒子の合成をおこなったときの、反応後溶液の粒径分布を図14に示す。銀ナノ粒子同様、粒子径分布のそろった金ナノ粒子の連続合成が可能であることがわかる。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例18および実施例19は白金ナノ粒子およびパラジウムナノ粒子の合成例である。図15は反応温度160℃ 送液速度10ml/hで合成した場合の白金粒子およびパラジウム粒子の粒子径分布を示す。銀ナノ粒子同様に、粒子径の揃った粒子の合成が可能であることがわかる。
実施例20および実施例21は、生産性を考慮し、金属前駆物質を高濃度とした場合の、合成された粒子に及ぼす影響を調べたものである。図16は、反応温度160℃、送液速度10ml/hで合成した場合の銀ナノ粒子および白金ナノ粒子の粒径分布を示している。金属前駆物質を高濃度として合成した場合においても、粒子径分布の揃った粒子が合成されることがわかる。
実施例22〜24は、添加剤として高分子分散剤を用いた場合の、合成された粒子に及ぼす影響を調べたものである。実施例22〜24で使用した高分子分散剤は数平均分子量が10,000〜50,000の分散剤である。図17は実施例22の条件で合成した銀ナノ粒子、図18は実施例23の条件で合成した白金ナノ粒子、図19は実施例24の条件で合成した白金ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。粒子径の揃った球形のナノ粒子が合成されていることがわかる。
実施例25は、照射したマイクロ波の周波数を変えた場合の、合成された粒子に及ぼす影響を調べたものである。図20は、マイクロ波周波数が2.45GHzおよび5.8GHzで合成した銀ナノ粒子の粒子径分布を示している。マイクロ波周波数が5.8GHzにおいても、粒子径分布の揃った銀ナノ粒子が合成されていることがわかる。
実施例26は、図1で示される構成例と図23で示される第2の構成例にて、銀ナノ粒子を合成した場合の、合成された粒子に及ぼす影響を比較したものである。図21は反応温度160℃ 総送液速度10ml/hで合成した場合の銀ナノ粒子の粒子径分布を示している。硝酸銀を含むエチレングリコール溶液と、添加剤を含むエチレングリコール溶液を個別に供給した場合においても、粒子径分布の揃った銀ナノ粒子が合成されることがわかる。
実施例27は、図24で示される第3の構成例にて銀ナノ粒子を合成した場合の、合成された粒子に及ぼす影響を調べたものである。図22は、温度調節器を用いて冷却した場合における銀ナノ粒子の透過電子顕微鏡画像である。粒子径の揃った球形の銀ナノ粒子が合成されていることがわかる。
【0051】
【表2】

【符号の説明】
【0052】
1 マイクロ波照射口
2 TM010キャビティ
3 送液ポンプ
4 電界モニター
5 温度計
6 マイクロ波発振器・制御器
7 反応管
8 反応液
11 空胴共振器
12 マイクロ波照射口
13 混合器
14 温度調節器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属前駆物質を含有する反応液を流通管内に流通させるとともに、その流通管の長さ方向にわたって、均一かつ集中的に電磁波を流通管内に向けて照射し、流通管内の電磁波照射空間を流通方向にわたって均一に加熱し、金属微粒子を生成させる金属微粒子の製造方法。
【請求項2】
流通管の、照射空間内に定在波を形成する共振空胴を有することにより、連続的に金属微粒子を生成させる請求項1記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項3】
共振空胴としての円筒型の共振空胴を有し、その内部にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波を形成させ、円筒内の軸方向に沿って均一な電磁界強度分布を形成する請求項1又は2記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項4】
金属前駆物質が、金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、酸化物、炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩、金属錯体、およびその混合物からなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項5】
金属微粒子の、平均粒子径が約100nm以下の粒子径を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項6】
反応液に用いる液媒体が、原料の金属化合物を還元する作用を有する化合物を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項7】
液媒体がアルコール類(メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロール、ベンジンアルコール、ジプロピレングリコール)、水、及び糖類から選ばれる少なくとも1種である請求項6記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項8】
反応液もしくは反応生成液の温度を制御し電磁波照射による、生成金属微粒子の粒径を均一に制御する請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項9】
円筒型の共振空胴内にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波を安定して形成させるために、円筒型共空胴の内径を変化させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。
【請求項10】
円筒型の共振空胴内にTMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波を安定して形成させるために、照射する電磁波の周波数を調整する機構もしくは、それと同等の効果を及ぼす機構を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属微粒子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図6】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−137226(P2011−137226A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271979(P2010−271979)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度 経済産業省「中小・ベンチャー企業の検査・計測機器等の調達に向けた実証研究事業」(「産業技術研究開発事業(中小企業支援型)」)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(591020423)株式会社新光化学工業所 (10)
【Fターム(参考)】