説明

金属微粒子生成装置及びそれを備えた髪ケア装置

【課題】電極に電圧を印加することにより発生するイオンを適切に制御することができる金属微粒子生成装置を提供する。
【解決手段】電圧が印加される第一の電極部1と、グラウンドに接続され第一の電極部1と対をなす第二の電極部2とを有し、第一の電極部1と第二の電極部2との間において放電させることにより第一の電極部1から微粒子化された金属を放出する金属微粒子生成装置Kにおいて、第一の電極部1に電圧が印加されることによって第一の電極部1付近において発生したイオンの一部を捕捉するイオン吸着部3を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、毛髪に金属微粒子を付着させる金属微粒子生成装置及びそれを備えた髪ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2008−23063号公報(特許文献1)に示されるように、遷移金属の微粒子を放出するヘアードライヤーは知られている。このヘアードライヤーには、遷移金属を含んだ一対の電極に電圧を印加することによって電極間に放電を形成して遷移金属を微粒子化する放電部と、放電部を内蔵するとともに放電部において生成された遷移金属の微粒子が流れる微粒子流路と、微粒子を放出する微粒子放出口が設けられている。
【0003】
したがって、このヘアードライヤーでは放電部において生成された遷移金属の微粒子を、微粒子放出口から放出して毛髪に供給することで、活性酸素によるダメージから毛髪を保護することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−23063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例であるヘアードライヤーにあっては、電極に電圧を印加することによって遷移金属の微粒子とともにイオンが発生し、イオンの発生量は電極に印加する電圧に大きく依存する。イオンの内マイナスイオンは適正量であれば毛髪の水分量を高い状態に維持することができるので、毛髪をしっとりサラサラにすることでき、髪質の改善を図れるが、マイナスイオンの量が多いと毛髪の帯電量が多くなり、毛髪同士が反発して広がってしまうといった問題がある。また、プラスイオンの場合も同様に、毛髪が帯電し髪が広がってしまうといった問題がある。毛髪に適正な量の遷移金属微粒子を発生させる電圧印加条件がイオンを適正量発生させる条件と一致するとは限らないため、上記従来例のヘアードライヤーでは毛髪が広がってしまい毛髪の状態が悪くなるといった問題点を有していた。
【0006】
本願発明は、上記従来例に鑑みて発明されたものであり、その課題は、電極に電圧を印加することにより発生するイオンを適切に制御することができる金属微粒子生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、電圧が印加される第一の電極部と、グラウンドに接続され第一の電極部と対をなす第二の電極部とを有し、第一の電極部と第二の電極部との間において放電させることにより第一の電極部から微粒子化された金属を放出する金属微粒子生成装置において、第一の電極部に電圧が印加されることによって第一の電極部付近において発生したイオンの一部を捕捉するイオン吸着部を設けたことを特徴としている。
【0008】
又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の金属微粒子生成装置において、第一の電極部から微粒子化された金属が放出される前方側に、イオン吸着部を配置したことを特徴としている。
【0009】
又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の金属微粒子生成装置において、イオン吸着部を、第一の電極部の前方を囲むように配置したことを特徴としている。
【0010】
又、本願請求項4記載の発明では、上記請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置において、イオン吸着部はグラウンドに接続されていることを特徴としている。
【0011】
又、本願請求項5記載の発明では、上記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置において、イオン吸着部は対の第三の電極部により構成され、一方の第三の電極部はグラウンドに接続され、他方の第三の電極部は電圧を印加する電圧印加手段に接続され、前記電圧印加手段により電圧を印加することにより、対の第三の電極部間に電位差を生じさせたことを特徴としている。
【0012】
又、本願請求項6記載の発明では、上記請求項5記載の金属微粒子生成装置において、第三の電極部に電圧を印加することにより生じる電流を検知する電流検知手段と、電流検知手段によって検知した電流に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
又、本願請求項7記載の発明では、上記請求項5記載の金属微粒子生成装置において、第三の電極部近傍のイオンの量を検知するイオン検知手段と、イオン検知手段によって検知したイオンの量に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
又、本願請求項8記載の発明では、上記請求項5記載の金属微粒子生成装置において、第三の電極部近傍の微粒子化された金属の量を検知する金属微粒子検知手段と、金属微粒子検知手段によって検知した微粒子化された金属の量に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0015】
又、本願請求項9記載の発明の髪ケア装置においては、上記請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1記載の発明の金属微粒子生成装置においては、第一の電極部に電圧が印加されることによって第一の電極部付近において発生したイオンの一部を捕捉するイオン吸着部を設けたので、発生したイオンの一部をイオン吸着部によって捕捉しイオンの量を制御することができる。
【0017】
又、本願請求項2記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、第一の電極部から微粒子化された金属が放出される前方側に、イオン吸着部を配置したので、微粒子化された金属が放出される前方側の適切な位置で、イオンをイオン吸着部により捕捉することができる。
【0018】
又、本願請求項3記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、イオン吸着部を、第一の電極部の前方を囲むように配置したので、発生したイオンを効率的にイオン吸着部により捕捉することができる。
【0019】
又、本願請求項4記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、イオン吸着部はグラウンドに接続されているので、イオン吸着部により捕捉されたイオンによる電荷がグラウンドへ逃がされるので、イオン吸着部が帯電しイオン吸着部によるイオンの捕捉効率が下がることを防ぐことが出来る。
【0020】
又、本願請求項5記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、イオン吸着部は対の第三の電極部により構成され、一方の第三の電極部はグラウンドに接続され、他方の第三の電極部は電圧を印加する電圧印加手段に接続され、前記電圧印加手段により電圧を印加することにより、対の第三の電極部間に電位差を生じさせたので、第三の電極部間に電界が生じ、発生したイオンを引き寄せて第三の電極部によって捕捉することができる。
【0021】
又、本願請求項6記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、第三の電極部に電圧を印加することにより生じる電流を検知する電流検知手段と、電流検知手段によって検知した電流に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたので、電流検知手段によって検知した電流に応じて電圧印加手段によって対の第三の電極部間の電位差を制御し、発生したイオンを第三の電極部によって捕捉することができる。
【0022】
又、本願請求項7記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、第三の電極部近傍のイオンの量を検知するイオン検知手段と、イオン検知手段によって検知したイオンの量に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたので、イオン検知手段によって検知したイオンの量に応じて電圧印加手段によって対の第三の電極部間の電位差を制御し、発生したイオンを第三の電極部によって捕捉することができる。
【0023】
又、本願請求項8記載の発明の金属微粒子生成装置においては、特に、第三の電極部近傍の微粒子化された金属の量を検知する金属微粒子検知手段と、金属微粒子検知手段によって検知した微粒子化された金属の量に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたので、金属微粒子検知手段によって検知した微粒子化された金属の量に応じて電圧印加手段によって対の第三の電極部間の電位差を制御し、発生したイオンを第三の電極部によって捕捉することができる。
【0024】
又、本願請求項9記載の発明の髪ケア装置においては、特に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置を備えたので、毛髪へのイオンの付着量を適切に保ち毛髪を帯電させることなくまとまった状態に保つことができる髪ケア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の第一の実施形態における金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図2】本願発明の第一の実施形態における金属微粒子生成装置を示す前面図。
【図3】本願発明の第一の実施形態における別の形態の金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図4】本願発明の第一の実施形態における別の形態の金属微粒子生成装置を示す前面図。
【図5】本願発明の第二の実施形態における金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図6】本願発明の第三の実施形態における金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図7】本願発明の第四の実施形態における金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図8】本願発明の第四の実施形態における制御部の内部構成図。
【図9】本願発明の第五の実施形態における金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図10】本願発明の第五の実施形態における制御部の内部構成図。
【図11】本願発明の第六の実施形態における金属微粒子生成装置を示す側面図。
【図12】本願発明の第六の実施形態における制御部の内部構成図。
【図13】本願発明の第七の実施形態におけるヘアードライヤーの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1、2は、本願発明における第一の実施形態である金属微粒子生成装置Kを示している。この金属微粒子生成装置Kは、電圧が印加される第一の電極部1と、グラウンドに接続され第一の電極部1と対をなす第二の電極部2とを有し、第一の電極部1と第二の電極部2との間において放電させることにより第一の電極部1から微粒子化された金属を放出する金属微粒子生成装置Kであって、第一の電極部1に電圧が印加されることによって第一の電極部1付近において発生したイオンの一部を捕捉するイオン吸着部3を備えている。
【0027】
第一の電極部1は、長尺の略円柱状の形状を有し、その一端が電極ホルダ4に固定されるとともに、リード線5を介して電圧印加手段6に接続されている。ここで、第一の電極部1は金属からなり、この金属として、金、ニッケル、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅等の遷移金属や亜鉛が用いられる。金または白金は抗酸化作用を有するので、第一の電極部1として金または白金を用いれば第一の電極部1から微粒子化された金または白金が放出され、この微粒子による抗酸化作用が期待することができる。同様に第一の電極部1として銀または銅を用いれば抗菌効果を期待することができる。また、亜鉛は生体の必須元素であるので、第一の電極部1として亜鉛を用い微粒子された亜鉛を毛髪に作用させると毛髪のキューティクルに作用し枝毛防止効果が得られ、頭皮に作用させると育毛効果が得られる。また、第一の電極部1を単一金属で構成せず、めっきや合金等により二種類以上の金属から構成し、上述した各金属それぞれの効果を同時に奏し得るようにしてもよい。
【0028】
第二の電極部2は導体で構成されており、リード線5を介してグラウンドに接続されている。ここで導体とは、例えば金属や導電性樹脂のなかでも比較的表面固有抵抗が低いものである。第二の電極部2は平板状の形状を有し、平板の略中央部に略円状の開口が形成されている。開口の径は円柱状の第一の電極部1において、その長尺の両端の二面において現れる円の径より大きくなるように形成されている。第二の電極部2は、平板状の平板面が第一の電極部1の長手方向と直行し、さらに平板面が第一の電極部1の電極ホルダ4側と反対側の先端と一定距離はなれて対向するように配置され、電極ホルダ4によって固定されている。このとき、第一の電極部1の長手方向の前方において第2の電極部2の開口が位置しており、第一の電極部1から放出された微粒子化された金属が第二の電極部2に形成された開口を通過する構成となっている。
【0029】
イオン吸着部3は一対の平板状の導体で構成されている。ここで導体とは、例えば金属や導電性樹脂のなかでも比較的表面固有抵抗が低いものである。対のイオン吸着部3は平板状の導体の平板面の方向と第一の電極部1の長手方向とが略一致して、第一の電極部1から微粒子化された金属が放出される前方側(第二の電極部2において第一の電極部1と反対側)に第一の電極部1の外側に位置するように配置され、電極ホルダ4により固定されている。すなわち、対のイオン吸着部3がそれぞれ対向して、第二の電極部2に形成された開口を挟むように、第二の電極部2の付近に配置されている。
【0030】
次に、第一の電極部1に電圧印加手段6により高電圧が印加された場合の動作について説明する。第一の電極部1に高電圧が印加されると、第一の電極部1と第二の電極部2との間に置いて放電が形成され第一の電極部1から微粒子化された金属が放出される、このとき放出された微粒子化された金属は第二の電極部2に形成された開口を通ってイオン吸着部3の方向に移動する。また、第一の電極部1に高電圧が印加されると第一の電極部1付近にイオンが発生する。このときイオンは微粒子化された金属と同様に第二の電極部2に形成された開口を通過してイオン吸着部3の方向へ移動する。この開口を通過したイオンは導体からなるイオン吸着部3により捕捉される。したがって、本実施形態の金属微粒子生成装置Kによれば、イオン吸着部3を設けたので発生したイオンの一部を捕捉してイオンの量を制御することができる。また、イオン吸着部3は第一の電極部1から微粒子化された金属が放出される前方側、すなわち第二の電極部2における第一の電極部1の反対側に配置されているので、微粒子化された金属が放出される前方側においてイオンをイオン吸着部3によって捕捉することができる。
【0031】
また、上述の実施形態ではイオン吸着部3として一対の平板状の導体を配置したが、イオン吸着部3を、第一の電極部1から微粒子化された金属が放出される前方を囲むように配置しても良い。すなわち複数の平板状の導体を配置させていることにより第一の電極部1の前方を囲むようになしてもよいし、また、図3、4に示されるようにイオン吸着部3を筒状に形成して第一の電極部1の前方を囲むようになしてもよい。このように、イオン吸着部3を第一の電極部1の前方を囲むように配置することで、第一の電極部1から前方に向かって放射状に発生するイオンを、イオン吸着部3の面積を大きくすることでより効率的に捕捉することができる。
【0032】
次に、図5に基づいて、第二の実施形態について説明する。なお、第一の実施形態の金属微粒子生成装置Kと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施形態の金属微粒子生成装置Kは、イオン吸着部3がリード線5を介してグラウンドに接続されている。
【0033】
したがって、イオン吸着部3により捕捉されたイオンによる電荷はグラウンドに逃がされるので、捕捉したイオンにより、イオン吸着部3が帯電し、イオン吸着部3によるイオンの捕捉効率が下がることを防ぐことが出来る。
【0034】
次に図6に基づいて、第三の実施形態について説明する。なお、第一の実施形態の金属微粒子生成装置Kと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施形態のイオン吸着部3は対の第三の電極部3a、3bにより構成され、一方の第三の電極部3aはリード線5を介してグラウンドに接続され、他方の第三の電極部3bはリード線5を介して電圧を印加する電圧印加手段7に接続されている。この場合、電圧印加手段7により第三の電極部3bに電圧が印加され、対の第三の電極部3a、3b間に電位差が生じると第三の電極部3a、3b間に電界が生じ発生したイオンを引き寄せてイオン吸着部3である第三の電極部3a、3bによってイオンをより効率的に捕捉することできる。
【0035】
次に図7、8に基づいて、第四の実施形態について説明する。なお、本実施形態は上記第三の実施形態の金属微粒子生成装置Kに基づいて説明を行い、第三の実施形態の金属微粒子生成装置Kと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
本実施形態の金属微粒子生成装置Kは、第三の電極部3a、3bに電圧を印加することにより生じる電流を検知する電流検知手段20と、電流検知手段20によって検知した電流に応じて電圧印加手段7により第三の電極部3a、3bに印加する電圧を制御する制御部21と、を備えている。第三の電極部3a、3bは対の電極部からなり、一方の第三の電極部3bがリード線5を介して電流検知手段20および電圧印加手段7に接続され、他方の第三の電極部3aがリード線5を介してグラウンドに接続されている。
【0037】
電流検知手段20は、既存の電流計により構成され、第三の電極部3bと電圧印加手段7の間に挿入され、それぞれとリード線5を介して接続されている。さらに、電流検知手段20は制御部21ともリード線5を介して接続されている。電圧印加手段7は電流検知手段20とリード線5を介して接続されると共に、制御部21ともリード線5を介して接続されている。制御部21は、電流検知手段20と電圧印加手段6とにリード線5を介して接続され、電流検知手段20により測定される電流の測定値を自動的に取得し、取得した測定電流値を出力する電流値読取部22と、電流値読取部22から出力された測定電流値を取得し、内部に予め設定記憶された設定電流値と測定電流値を比較して測定電流値が設定電流値となるように電圧印加手段7の電圧を可変する電圧制御部23とを備えている。
【0038】
本実施形態において、第一の電極部1付近において発生したイオンが第三の電極部3a、3bにより捕捉されると、第三の電極部3a、3bが捕捉したイオンにより帯電し、この帯電により第三の電極部3a、3bに接続されたリード線5に電流が流れ、この電流が測定電流値として電流検知手段20により検知される。このとき、第三の電極部3a、3bによって捕捉されたイオンの量が少ないと電流検知手段20により測定される測定電流値が減少し、制御部21は減少した測定電流値が設定電流値となるように電圧印加手段7に印加する電圧を上げて、より多くのイオンを捕捉して測定電流値を設定電流値と一致させる。反対に、第三の電極部3a、3bによって捕捉されたイオンの量が多いと電流検知手段20により測定される測定電流値が増加し、制御部21は増加した測定電流値が設定電流値となるように電圧印加手段7に印加する電圧を下げて、測定電流値と設定電流値とを一致させる。したがって、制御部21は、この測定電流値が予め設定された設定電流値となるように電圧印加手段7を制御することにより、発生したイオンの量に応じて第三の電極部3a、3bによりイオンを捕捉することができる。
【0039】
次に図9、10に基づいて、第五の実施形態について説明する。なお、本実施形態は上記第三の実施形態の金属微粒子生成装置Kに基づいて説明を行い、第三の実施形態の金属微粒子生成装置Kと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
本実施形態の金属微粒子生成装置Kは、第三の電極部3a、3b近傍のイオンの量を検知するイオン検知手段30と、イオン検知手段30によって検知したイオンの量に応じて電圧印加手段7により第三の電極部3bに印加する電圧を制御する制御部31と、を備えている。第三の電極部3a、3bは対の電極部からなり、一方の第三の電極部3bがリード線5を介して電圧印加手段7に接続され、他方の第三の電極部3aがリード線5を介してグラウンドに接続されている。イオン検知手段30は静電誘導と同じ原理により静電圧を誘起して出力し、非接触でイオンの量を測定することができるものであり、第一の電極部1の前方であり、第三の電極部3a、3bの近傍に配置されている。
【0041】
制御部31は、イオン検知手段30および電圧印加手段7にリード線5を介して接続されており、イオン検知手段30により測定される測定イオン量を自動的に取得し、取得した測定イオン量を出力するイオン量読取部32と、イオン量読取部32から出力された測定イオン量を取得し、内部に予め設定記憶された設定イオン量と測定イオン量とを比較して測定イオン量が設定イオン量となるように電圧印加手段7を可変する電圧制御部33とを備えている。
【0042】
本実施形態の金属微粒子生成装置Kにおいて、イオン検知手段30によって測定した測定イオン量が設定イオン量より多い場合は、制御部31は電圧印加手段7に印加する電圧を高くして、より多くのイオンを捕捉して測定イオン量と設定イオン量を一致させる。反対に、イオン検知手段30によって測定した測定イオン量が設定イオン量より少ない場合は、制御部31は電圧印加手段7に印加する電圧を低くし、イオンの捕捉量を減少させて測定イオン量と設定イオン量を一致させる。したがって、イオンの量に応じて電圧印加手段7によって対の第三の電極部3a、3b間の電位差を制御し、発生したイオンを第三の電極部3a、3bによって捕捉することができる。
【0043】
次に図11、12に基づいて、第六の実施形態について説明する。なお、本実施形態は上記第三の実施形態の金属微粒子生成装置Kに基づいて説明を行い、第三の実施形態の金属微粒子生成装置Kと同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態の金属微粒子生成装置Kは、第三の電極部3a、3b近傍の微粒子化された金属の量を検知する金属微粒子検知手段40と、金属微粒子検知手段40によって検知した微粒子化された金属の量に応じて電圧印加手段7により第三の電極部3bに印加する電圧を制御する制御部41と、を備えている。第三の電極部3a、3bは対の電極部からなり、一方の第三の電極部3bがリード線5を介して電圧印加手段7に接続され、他方の第三の電極部3aがリード線5を介してグラウンドに接続されている。金属微粒子検知手段40は微粒子化した金属を静電的に水晶振動子に捕集し、水晶振動子の変化から微粒子化された金属の量を検知するものであり、第一の電極部1の前方であり、第三の電極部3a、3bの近傍に配置されている。また、上記金属微粒子検知手段40は、金属を定量する方法として、上述のもののほか、例えば、微粒子化された金属に特定波長の光やレーザや放射線をあてて発光する蛍光や散乱強度を定量することによって定量する方法や、特定の溶媒に微粒子化された金属を導入し、光をあててその吸光度を測定する方法であってもよい。
【0045】
制御部41は、金属微粒子検知手段40および電圧印加手段7にリード線5を介して接続されており、金属微粒子検知手段40により測定される微粒子化された金属の量を自動的に取得し、取得した測定金属微粒子量を出力する金属微粒子量読取部42と、金属微粒子量読取部42から出力された測定金属微粒子量を取得し内部に予め設定記憶された基準金属微粒子量と測定金属微粒子量とを比較して測定金属微粒子量が基準金属微粒子量より多い場合には電圧印加手段7によって印加する電圧を大きくし、測定金属微粒子量が基準金属微粒子量より少ない場合には電圧印加手段7によって印加する電圧を小さくするように電圧印加手段7を可変する電圧制御部43と、を備えている。
【0046】
ここにおいて、第一の電極部1に印加される電圧を高くすると、第一の電極部1から放出される微粒子化された金属の量が多くなるとともに、第一の電極部1付近において発生するイオンの量も多くなる。
【0047】
したがって、本実施形態の金属微粒子生成装置Kにおいて、金属微粒子検知手段40によって測定した測定金属微粒子量が基準金属微粒子量より多い場合は、多くのイオンが発生していると考えられ、制御部31は電圧印加手段7に印加する電圧を高くして、より多くのイオンを捕捉する。反対に、金属微粒子検知手段40によって測定した測定金属微粒子量が基準金属微粒子量より少ない場合は、制御部31は電圧印加手段7に印加する電圧を低くし、イオンの捕捉量を減少させる。
【0048】
したがって、本実施形態において、金属微粒子検知手段40によって検知した微粒子化された金属の量に応じて電圧印加手段7によって対の第三の電極部3a、3b間の電位差を制御し、発生したイオンを第三の電極部によって捕捉することができる。
【0049】
次に、図13に基づいて、第七の実施形態の髪ケア装置付いて説明する。本実施形態の髪ケア装置は、上述の第一乃至第六の実施形態において説明した金属微粒子生成装置Kを搭載したヘアードライヤーである。ただし、金属微粒子生成装置Kの使用用途としてはヘアードライヤーに限定されるものではなく、例えば、ヘアーアイロンやブラシのような髪ケア装置であってもよい。
【0050】
本実施形態のヘアードライヤーは、図13に示すように、空気の吸入口51および吐出口52が配置される本体ケース53を有し、本体ケース内53に吸入口51から吸入された空気を吐出口52から吐出させる送風部54と送風部54の下流側に空気を過熱する過熱部55とを備え、本体ケース53の所定の場所に金属微粒子生成装置Kと金属微粒子生成装置Kにおいて生成された微粒子化された金属が流れる微粒子流路57と微粒子化された金属を放出する微粒子放出口58とを設けている。また、送風部54から微粒子流路57に空気を導入する導入路59を備え、導入された空気により微粒子化された金属を微粒子放出口58から放出している。
【0051】
また、送風部54はモータ60とモータ60に接続されたファン61とを内蔵している。加熱部55の下流側であって本体ケース53の上側にはカバー67が設けられており、このカバー67内には金属微粒子生成装置Kが収納されており、金属微粒子生成装置Kの下流側には、金属微粒子生成装置Kによって生成された微粒子化された金属が流れる微粒子流路57が形成され、微粒子流路57の先端には微粒化された金属が放出される微粒子放出口58が設けられている。金属微粒子生成装置Kは第一の電極部1が導入路59側に位置し、第二の電極部2が微粒子放出口58側に位置するように配置されている。
【0052】
本体ケース53の下側には、使用者が把持するハンドル部63が設けられており、このハンドル部63内には制御手段64が配置されている。この制御手段64には金属微粒子生成装置Kに高電圧を印加させるための電源を供給する電源コード65が接続されている。制御部64の側部には、使用者がヘアードライヤーの駆動または停止を操作するスイッチ66が設けられている。
【0053】
次に、この実施形態においけるヘアードライヤーの動作について説明する。使用者が本体ケース53の下側に設けられたハンドル部63を把持してスイッチ66を入れると、送風部54においてモータ60が駆動され、モータ60に接続されたファン61が回転する。ファン61が回転すると吸入口51より空気が吸入され、吸入された空気は送風部54の下流側に設けられた過熱部55を通過するが、スイッチ66が入れられると、過熱部55内のヒータ62が駆動されるため、過熱部55を通過する空気は過熱された後、空気流路68を流れて吐出口52より外部に吐出される。
【0054】
空気流路68を流れる空気の一部は、本体ケース53の上部に設けられた導入路59より、カバー67内に配置された金属微粒子生成装置Kを通過する。ここで、スイッチ66が入れられると、金属微粒子生成装置Kに配置された第一の電極部1に電圧印加手段により高電圧が印加され、第一の電極部1と第二の電極部2との間に放電が形成される。放電が形成されると放電のエネルギーにより金属からなる第一の電極部1の一部が微粒子化されて第一の電極部1から微粒子化された金属が放出されるとともに、第一の電極部1近傍においてイオンが発生する。微粒子化された金属およびイオンは、導入路59から導入された空気とともに微粒子流路57を通過した後、微粒子放出口58より放出されて毛髪に供給される。ただし、発生したイオンの一部は金属微粒子生成装置Kのイオン吸着部3において捕捉され余分なイオンが除去された後、毛髪に供給される。したがって、本実施形態のヘアードライヤーによれば、毛髪に微粒子化された金属を作用させることができると共に、余分なイオンを除去し適切な量のイオンを毛髪に供給させて、イオンによる毛髪の広がりを抑え、しっとりとしてまとまりのある毛髪状態を得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 第一の電極部
2 第二の電極部
3 イオン吸着部
3a 第三の電極部
3b 第三の電極部
7 電圧印加手段
20 電流検知手段
21 制御部
30 イオン検知手段
31 制御部
40 金属微粒子検知手段
41 制御部
K 金属微粒子生成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加される第一の電極部と、グラウンドに接続され第一の電極部と対をなす第二の電極部とを有し、第一の電極部と第二の電極部との間において放電させることにより第一の電極部から微粒子化された金属を放出する金属微粒子生成装置において、
第一の電極部に電圧が印加されることによって第一の電極部付近において発生したイオンの一部を捕捉するイオン吸着部を設けたことを特徴とする金属微粒子生成装置。
【請求項2】
第一の電極部から微粒子化された金属が放出される前方側に、イオン吸着部を配置したことを特徴とする請求項1に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項3】
イオン吸着部を、第一の電極部の前方を囲むように配置したことを特徴とする請求項2に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項4】
イオン吸着部はグラウンドに接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項5】
イオン吸着部は対の第三の電極部により構成され、一方の第三の電極部はグラウンドに接続され、他方の第三の電極部は電圧を印加する電圧印加手段に接続され、前記電圧印加手段により電圧を印加することにより、対の第三の電極部間に電位差を生じさせたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項6】
第三の電極部に電圧を印加することにより生じる電流を検知する電流検知手段と、電流検知手段によって検知した電流に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項7】
第三の電極部近傍のイオンの量を検知するイオン検知手段と、イオン検知手段によって検知したイオンの量に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項8】
第三の電極部近傍の微粒子化された金属の量を検知する金属微粒子検知手段と、金属微粒子検知手段によって検知した微粒子化された金属の量に応じて電圧印加手段により第三の電極部に印加する電圧を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属微粒子生成装置を備えたことを特徴とする髪ケア装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−275566(P2010−275566A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125991(P2009−125991)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】