説明

金属性構造及び光電装置

【課題】金属性構造及び光電装置を提供する。
【解決手段】この金属性構造は、電磁波に対してフィルタリング又は偏光化を行うための金属性構造であって、可透光性媒体と、第1金属性ブロックと、第2金属性ブロックと、を備える。第1金属性ブロックと第2金属性ブロックとは、実質的に平行に、かつ所定の距離(d)をあけるように、可透光性媒体の中又は上に設けられる。電磁波は、この金属性構造を通してから波長に対する透過率の分布曲線を有する。この波長に対する透過率の分布曲線は、一対一でそれぞれ少なくとも1つの波長に対応する少なくとも1つの透過率ピーク値(Peak)を有し、前記所定の距離(d)と第1金属性ブロックの平均幅(w)とは、d<λ、0.01λ<w<d(ただし、λは、前記少なくとも1つの波長の一つを表す)の関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属性構造及び光電装置に関し、特に、電磁波に対してフィルタリング及び/又は偏光化を行うための金属性構造及び光電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の周波数スペクトルの電磁波に対してフィルタリング又は偏光化を行うことは、電磁波の基本操作である。カラー濾光又は偏光化を行うことができる材料及び装置は、光電システムにおける重要な機能を提供し、常に光電システムのキーユニットとして、科学、工学、工業上、消費者、国防及び多くの他の適用に用いられる。これらの適用に対して、ピーク値透過率及び透過スペクトルの効果的な縮小は、相当重要な要因である。
【0003】
従来の技術が用いる材料は、例えば、染料、有機材料、プラスチック材料等の電磁波と交互作用を生じることができる誘電材料である場合が多く、通常フィルムの形で現れる。数十年前に、異なる多層の金属線網の組み合わせは、マイクロ波周波数範囲における電磁波への濾過機能を有することがすでに見出され、最近、赤外線周波数範囲における電磁波への濾過が可能となるように進歩してきた。
【0004】
近来、科学者により、金属ダイヤフラムにおけるサブ波長(Subwavelength)穴によって、電磁波の透過率を強化することができることが見出された。穴を通す電磁波の強度は、穴領域に入射する電磁波の強度を超えるが、電磁波の透過強度の総和は、入射電磁波のほんの一部(例えば、10%未満の透過率)に過ぎない。この現象を引き起こす一部の原因は、穴の総面積が入射電磁波の照射する総面積よりはるかに小さいことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の一態様は、所定の電磁波の透過率を向上させ、又は電磁波を効果的に偏光化する金属性構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的によると、電磁波に対してフィルタリング(又は分波)又は偏光化を行うための金属性構造を提供する。この金属性構造は、可透光性媒体と、第1金属性ブロックと、第2金属性ブロックと、を備える。第1金属性ブロックは、可透光性媒体の中又は上に設けられる。第2金属性ブロックは、第1金属性ブロックに実質的に平行に、かつ所定の距離をあけるように、可透光性媒体の中又は上に設けられる。その内、電磁波は、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックの上、及びそれらの間に入射し、前記金属性構造を通してから波長に対する透過率の分布曲線を有し、前記波長に対する透過率の分布曲線は、一対一でそれぞれ少なくとも1つの波長に対応する少なくとも1つの透過率ピーク値(Peak)を有し、前記所定の距離と第1金属性ブロックの平均幅とは、d<λ、0.01λ<w<d(ただし、dは、前記所定の距離を表し、λは、前記少なくとも1つの波長の一つを表し、wは、第1金属性ブロックの平均幅を表す)の関係を満たす。
【0007】
さらに他の実施例において、前記所定の距離と第1金属性ブロックの平均幅とは、d+w<λの関係を満たす。
【0008】
さらに他の実施例において、前記第1金属性ブロックの平均長さは、
l<2λの関係を満たす。
【0009】
さらに他の実施例において、λは、前記少なくとも1つの透過率ピーク値の一つ(以下、第1透過率ピーク値という)に対応し、第1透過率ピーク値は、10%を超え、第1透過率ピーク値と70%第1透過率ピーク値との間で対応するスペクトル半値幅は、2λ/3未満である。
【0010】
さらに他の実施例において、前記電磁波は、0.1ミクロン〜12ミクロンの間に実質的に介在する範囲波長を含む。
【0011】
さらに他の実施例において、前記金属性構造は、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックの片側に隣接するように、可透光性媒体の中又は上に設けられる第3金属性ブロックを更に備える。
【0012】
さらに他の実施例において、前記第3金属性ブロックは、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックに同時に接触しない。
【0013】
さらに他の実施例において、前記第3金属性ブロックの延伸は、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックの延伸に実質的に垂直である。
【0014】
さらに他の実施例において、前記金属性構造は、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックの他側に隣接するように、可透光性媒体の中又は上に設けられる第4金属性ブロックを更に備える。
【0015】
さらに他の実施例において、前記第4金属性ブロックは、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックに同時に接触しない。
【0016】
さらに他の実施例において、前記第4金属性ブロックの延伸は、第1金属性ブロック及び第2金属性ブロックの延伸に実質的に垂直である。
【0017】
さらに他の実施例において、前記第4金属性ブロックと第3金属性ブロックとの間の距離は、2λ未満である。
【0018】
さらに他の実施例において、前記金属性構造は、可透光性媒体の中又は上に設けられる金属枠を更に備え、第1金属性ブロック、第2金属性ブロック、第3金属性ブロック及び/又は第4金属性ブロックは、金属枠の中に位置し、又は金属枠の一部と重なる。
【0019】
本発明の前記目的によると、電磁波に対してフィルタリング又は偏光化を行うための金属性構造を更に提供する。この金属性構造は、可透光性媒体と、金属性アレイと、を備える。金属性アレイは、前記第1金属性ブロックと、前記第2金属性ブロックと、を有する複数のアレイセルを含み、可透光性媒体の中又は上に設けられる。
【0020】
さらに他の実施例において、前記少なくとも1つのアレイセルは、前記第3金属性ブロックを更に有する。
【0021】
さらに他の実施例において、前記少なくとも1つのアレイセルは、前記第4金属性ブロックを更に有する。
【0022】
さらに他の実施例において、前記少なくとも1つのアレイセルは、前記金属枠を更に有する。
【0023】
また、本発明の別の態様は、前記金属性構造を具備する光電装置(例えば、表示装置)を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の前記実施例を適用することで、電磁波の透過率を向上させ、又は電磁波を効果的に偏光化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の観点を好適に把握することができるために、対応する図面に合わせて、下記詳しい説明を参照する。強調すべきなのは、工業の基準規則によると、添付図面における各種の特徴が比例によって示されていない。事実上、前記実施例を明確に説明するために、各種の特徴の寸法を自由に拡大又は縮小することができる。関連図面の内容を以下の通り説明する。
【0026】
【図1A】本発明の第1実施例による金属性構造を示す斜視模式図である。
【図1B】本発明の第1実施例の第1適用例及び第2適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図1C】本発明の第1実施例の第3適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図1D】本発明の第1実施例の第4適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図1E】本発明の第1実施例の第5適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図2A】第1実施例の第1〜5適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図2B】第1実施例の第1〜5適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図3A】本発明の第2実施例の第1適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図3B】第2実施例の第2適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図3C】本発明の第2実施例の第3適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図3D】本発明の第2実施例の第4適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図4A】第2実施例の第1〜4適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図4B】第2実施例の第1〜4適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図5A】本発明の第3実施例の第1適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図5B】本発明の第3実施例の第2適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図5C】本発明の第3実施例の第3適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図5D】本発明の第3実施例の第4適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図5E】本発明の第3実施例の第5適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図5F】本発明の第3実施例の第6適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図5G】本発明の第3実施例の第7適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図6A】第3実施例の第1〜7適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図6B】第3実施例の第1〜7適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図7A】本発明の第4実施例の適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図7B】第4実施例の適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図7C】第4実施例の適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図8A】本発明の第5実施例の一適用例による金属性構造を示す平面模式図である。
【図8B】第5実施例の適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【図8C】第5実施例の適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
金属材料の表面の電子は、電場と強い交互作用を生じることができ、この交互作用は、偏光化の方向に応じて決定される。事実上、この全体の電子運動は、プラズモンの固有モード(Plasmonic Eigenmodes)を有し、その周波数は、電子密度の平方根に正比例する。一般的な金属が生じる電子密度は高いが、ドープされた半導体による電子密度は低い。典型的なプラズモン周波数は、紫外線と赤外線との間に介在する。
【0028】
本発明は、前記交互作用によって、優れた電磁波フィルタリング及び偏光化効果を達成し、高透過率を有するようになる。電磁力が遠隔力であるため、前記交互作用には、実際的に接触する必要がない。可透光性媒体の中又は上に設けられる複数の金属性ブロック又はフィルムは、接触又は未接触の可能性があるが、1つの金属性ブロックにおける電子は、複数の電磁波場と交互作用を生じることができ、そしてこれらの電磁波場は、同時に近接する別の金属性ブロックにおける電子とも交互作用を生じる。2つの金属性ブロック/金属性フィルムの間で実際的に接触しない場合でも、これらの結合の交互作用が発生することもでき、表面のプラズモン(又は、電子及び電子振動)を、1つの金属性ブロック/金属性フィルムから1つの金属性ブロック/金属性フィルムに伝達させる。電磁波の電場は、金属性ブロック/金属性フィルムの境界に垂直な成分(垂直偏光波)、及び金属性ブロック/金属性フィルムの境界に平行な成分(平行偏光波)を有し、これらの電場を通す結合交互作用は、金属性ブロック/金属性フィルムの境界表面で誘発される偏光化効果によって、更に強化されることができる。本発明に記載の金属性ブロックとは、金属材料より作成された正方形ブロック、矩形ブロック又はその他の形状の素子を指し、金属材料とは、例えば、銅、アルミニウム、合金等の金属材料、または、例えば、半導体、又はその混合物の材料等の金属性質を部分的に有する材料を指す。本発明に記載の可透光性媒体は、例えば、空気、ガラス、誘電材料等の如何なる透光性材料であってよい。
【0029】
媒体(例えば、金属性ブロックの境界又は幅)が変化すると、電子の振動は、反射され又は部分的に反射される。これらの電子振動又は反射された電子振動は、平行偏光波/垂直偏光波と激しく交互作用して、それぞれ平行偏光波及び垂直偏光波の透過及び反射に影響を及ぼす。金属性ブロックの幾何形状(例えば、その長さ、幅及び厚さの変動)の両方のいずれも、電子振動、及び光の平行偏光波及び垂直偏光波との交互作用に影響を及ぼすため、光の透過、フィルタリング及び偏光化に影響を与ることになる。この交互作用については、有限差分時間領域(Finite Difference Time Domain)シミュレーションによって把握することができる。
【0030】
一方、本発明の金属性構造は、例えば、フィルタリング素子、偏光化素子、分波素子、画像処理素子、センサ素子、表示装置等の光電装置に適用されることができる。本発明の金属性構造は、電磁波に対してフィルタリング(又は分波)又は偏光化を行うことに用いられる。電磁波の好適な範囲波長は、0.1ミクロン〜12ミクロンの間に実質的に介在してよく、より好ましくは、0.1ミクロン〜2ミクロンの間に実質的に介在する(例えば、下記各シミュレーションの結果に示されるとおり)。しかしながら、本発明の金属性構造の処理可能な電磁波の範囲波長は、これに限定されなく、如何なる範囲波長であってもよい。
【0031】
以下、複数の実施例を用いて、本発明の金属性構造を説明する。各実施例に対応する適用例で用いる金属性ブロックは、アルミニウム銅合金より作成され、可透光性媒体は、空気であり、その金属性ブロックは、異なる必要に応じて、適宜な機構によって光電装置に固定されることができる。下記実施例において、図中同じ素子符号は、同一又は類似した素子を表している。
【0032】
第1実施例
図1Aと図1Bを参照する。図1Aは、本発明の第1実施例による金属性構造を示す斜視模式図である。図1Bは、本発明の第1実施例の第1適用例及び第2適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第1実施例は、本発明の基本的な金属性構造であった。便宜上、図1Aにおいて、可透光性媒体100を省略した。図1Aに示すように、本発明の基本的な金属性構造は、実質的に平行な両者である第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120であり、電磁波に対してフィルタリング又は偏光化を行うことに用いられた。図1Bに示すように、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120は、可透光性媒体100の中又は表面に設けられることができる。その内、可透光性媒体100の大きさとしては、例示して説明するためのものであり、本発明の実施例を限定しようとするものではない。事実上、可透光性媒体100の大きさは、実際の要求によって、調整されることができる。また、可透光性媒体100が金属性ブロックへの支持を提供できない場合、適当な支持機構を別に設計する必要がある。支持機構の設計については、当業者に熟知されるため、ここで繰り返して説明しない。
【0033】
第2金属性ブロック120と第1金属性ブロック110との間に、所定の距離dをあけておいた。その内、電磁波は、第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120の表面、及び第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間に入射した。
【0034】
図2A及び図2Bに示すように、電磁波は、金属性構造を通してから波長に対する透過率の分布曲線を有し、この波長に対する透過率の分布曲線は、一対一でそれぞれ少なくとも1つの波長に対応する少なくとも1つの透過率ピーク値を有する。所定の距離dと第1金属性ブロック110の平均幅w1とは、
d<λ (1)
0.01λ<w1<d (2)
(ただし、λは、少なくとも1つの波長の一つを表す。)
の関係を満たす。
【0035】
所定の距離dと第1金属性ブロック110の平均幅w1とは、
d+w1<λ (3)
の関係も満たす。
【0036】
第1金属性ブロック110の平均長さl1は、
l1<2λ (4)
の関係を満たす。
【0037】
また、λは、前記少なくとも1つの透過率ピーク値の一つ(第1透過率ピーク値)に対応し、第1透過率ピーク値は、10%を超え、第1透過率ピーク値と70%第1透過率ピーク値との間で対応するスペクトル半値幅は、2λ/3未満であった。注意すべきなのは、λは、本発明の金属性構造を用いてフィルタリング操作を行って取得しようとする、例えば、赤光波長、緑光波長又は青光波長等の電磁波の波長であった。
【0038】
図1Bに示すように、透過率とは、第2金属性ブロック120と第1金属性ブロック110との間の面積Ac、及び第1金属性ブロック110の面積Abを通し又は入射する前後の電磁波の強度比を指す。所定の距離dがλより小さいため、第2金属性ブロック120及び第1金属性ブロック110における電子又はプラズモンは、電磁波の電場と結合作用を生じて、優れたフィルタリング及び偏光化効果を有するようになる。透過率は、x軸(第2金属性ブロック120及び第1金属性ブロック110の長さ方向に実質的に垂直)に沿っている電場を透過した成分(図2Aに示すように)、及びz軸(第2金属性ブロック120及び第1金属性ブロック110の長さ方向に実質的に平行)に沿っている電場を透過した成分(図2Bに示すように)に分けられることができる。x軸及びz軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線から、本実施例の金属性構造のフィルタリング及び偏光化效果が判明できる。x軸及びz軸に沿っている電場の成分は、金属性構造の偏光化效果を表すことができ、透過率がピーク値、バレー値又はゼロとなるのは、金属性構造のフィルタリング效果を表すことができる。透過率がピーク値である場合、対応する波長を有する電磁波が金属性構造を通過できることを表し、透過率がバレー値又はゼロである場合、対応する波長を有する電磁波が金属性構造に濾過されたことを表す。以下、第1実施例を適用した例示によって説明する。図2Aと図2Bを参照する。図2Aは、第1実施例の第1〜5適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。図2Bは、第1実施例の第1〜5適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【0039】
第1適用例
本適用例において、第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.32μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0040】
図2Aに示すように、第1適用例に対応する曲線は、複数の透過率ピーク値を有する。透過率ピーク値が140%であった場合、対応する波長λが1.4μmであったため、第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たす。また、透過率ピーク値(140%)と70%透過率ピーク値(140×0.7=98%)との間で対応するスペクトル半値幅(1.4μm−1.1μm=0.3μm)も、2λ/3(0.93μm)未満であった。
【0041】
図2Bに示すように、第1適用例に対応する曲線は、複数の透過率ピーク値を有する。透過率ピーク値が46%であった場合、対応する波長λが1.45μmであったため、第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たす。また、70%透過率ピーク値(46%)である第1透過率ピーク値(46×0.7=32.2%)の間で対応するスペクトル半値幅(1.45μm−1.25μm=0.2μm)も、2λ/3(0.96μm)未満であった。透過率ピーク値が0%であった場合、対応する波長λは、約0.8μmであり、約長さl1(0.32μm)の2倍に等しい。この現象は、上記で検討された表面のプラズモンに関わっている。
【0042】
図2A及び図2Bから、本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0043】
第2適用例
本適用例は、第1金属性ブロック110の厚さt1及び第2金属性ブロック120の厚さt2のいずれも0.16μmであったことで、第1適用例と異なっている。
【0044】
図2A及び図2Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0045】
第1実施例の第1適用例及び第2適用例から、異なる金属性ブロックの厚さがフィルタリング及び偏光化效果への影響は大きくないことが判明した。金属性ブロックの厚さは、一般的に、取得しようとする波長λより小さいが、本発明はこれに限定されない。
【0046】
第3適用例
図1Cを参照する。図1Cは、本発明の第1実施例の第3適用例による金属性構造を示す平面模式図である。本適用例において、第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が4.0μmであり、幅w2が1.84μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0047】
図2A及び図2Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0048】
第4適用例
図1Dを参照する。図1Dは、本発明の第1実施例の第4適用例による金属性構造を示す平面模式図である。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.32μmであり、幅w2が1.84μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0049】
図2A及び図2Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0050】
第5適用例
図1Eを参照する。図1Eは、本発明の第1実施例の第5適用例による金属性構造を示す平面模式図である。第1金属性ブロック110は、第2金属性ブロック120と第3金属性ブロック130との間に位置した。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.32μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.32μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0051】
図2A及び図2Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、本適用例の第3金属性ブロック130の長さl3、幅w3及び所定の距離dも、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0052】
図2Bから、第1実施例の各適用例は、電磁波に対して優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0053】
第2実施例
図3Aを参照する。図3Aは、本発明の第2実施例の第1適用例による金属性構造を示す平面模式図である。本実施例の金属性構造は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120の片側に隣接するように、可透光性媒体100の中又は上に設けられる第3金属性ブロック130を更に備えることで、第1実施例と異なっている。第3金属性ブロック130の延伸は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120の延伸に実質的に垂直であり、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に同時に接触して、又は同時に接触しなくてよい。
【0054】
以下、第2実施例を適用した例示によって説明する。図4Aと図4Bを参照する。図4Aは、第2実施例の第1〜4適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。図4Bは、第2実施例の第1〜4適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【0055】
第1適用例
図3Aに示すように、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に接触しなかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.3μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.3μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.3μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0056】
図4A及び図4Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0057】
第2適用例
図3Bを参照する。図3Bは、本発明の第2実施例の第2適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110に接触したが、第2金属性ブロック120に接触しなかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.31μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.3μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.47μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0058】
図4A及び図4Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0059】
第3適用例
図3Cを参照する。図3Cは、本発明の第2実施例の第適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に同時に接触した。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.31μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.31μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.64μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0060】
図4A及び図4Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0061】
第4適用例
図3Dを参照する。図3Dは、本発明の第2実施例の第4適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110に接触しなかったが、第2金属性ブロック120に接触した。第2金属性ブロック120及び第3金属性ブロック130の寸法は、第1金属性ブロック110のよりはるかに大きかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.3μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が2.16μmであり、幅w2が1.84μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が4.00μmであり、幅w3が1.84μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0062】
図4A及び図4Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0063】
図4Bから、第2実施例の各適用例は、電磁波に対して優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0064】
第3実施例
図5Aを参照する。図5Aは、本発明の第3実施例の第1適用例による金属性構造を示す平面模式図である。本実施例の金属性構造は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120の他側に隣接するように、可透光性媒体100の中又は上に設けられる第4金属性ブロック140を更に備えることで、第2実施例と異なっている。第4金属性ブロック140の延伸は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120の延伸に実質的に垂直であり、第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に同時に接触して、又は同時に接触しなくてよい。
【0065】
以下、第3実施例を適用した例示によって説明する。図6Aと図6Bを参照する。図6Aは、第3実施例の第1〜7適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。図6Bは、第3実施例の第1〜7適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【0066】
第1適用例
図5Aに示すように、第3金属性ブロック130及び第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に接触しなかった。その内、第1金属性ブロック110は、長さl1が0.3μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.3μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.3μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック140は、長さl4が0.3μmであり、幅w4が0.16μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング效果を有することが判明した。注意すべきなのは、本実施例の金属性構造がそれぞれx軸及びz軸に対して対称するため、x軸及びz軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線は、全く同じであった。
【0067】
第2適用例
図5Bを参照する。図5Bは、本発明の第3実施例の第2適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110に接触したが、第2金属性ブロック120に接触しなかった。第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に接触しなかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.31μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.3μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.47μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック140は、長さl4が0.3μmであり、幅w4が0.16μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0068】
図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング又は偏光化效果を有することが判明した。
【0069】
第3適用例
図5Cを参照する。図5Cは、本発明の第3実施例の第3適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130及び第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110に接触したが、第2金属性ブロック120に接触しなかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.3μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.47μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック130は、長さl4が0.47μmであり、幅w4が0.16μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0070】
図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0071】
第4適用例
図5Dを参照する。図5Dは、本発明の第3実施例の第4適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110に接触したが、第2金属性ブロック120に接触しなかった。第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110に接触しなかったが、第2金属性ブロック120に接触した。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.31μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.31μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.47μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック140は、長さl4が0.47μmであり、幅w4が0.16μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0072】
図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング效果を有することが判明した。注意すべきなのは、本実施例の金属性構造が中心点に対して対称するため、x軸及びz軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線は全く同じであった。
【0073】
第5適用例
図5Eを参照する。図5Eは、本発明の第3実施例の第5適用例による金属性構造を示す平面模式図である。第3金属性ブロック130は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に接触した。第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110に接触したが、第2金属性ブロック120に接触しなかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.31μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.64μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック140は、長さl4が0.47μmであり、幅w4が0.16μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0074】
図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング效果を有することが判明した。注意すべきなのは、本実施例の金属性構造が中心点に対して対称するため、x軸及びz軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線は全く同じであった。
【0075】
第6適用例
図5Fを参照する。図5Fは、本発明の第3実施例の第6適用例による金属性構造を示す平面模式図である。第3金属性ブロック130及び第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に同時に接触した。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.32μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が0.32μmであり、幅w2が0.16μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が0.64μmであり、幅w3が0.16μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック140は、長さl4が0.64μmであり、幅w4が0.16μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0076】
図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング效果を有することが判明した。注意すべきなのは、本実施例の金属性構造が中心点に対して対称するため、x軸及びz軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線は全く同じであった。
【0077】
第7適用例
図5Gを参照する。図5Gは、本発明の第3実施例の第7適用例による金属性構造を示す平面模式図である。その内、第3金属性ブロック130及び第4金属性ブロック140は、第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120に接触した。第2金属性ブロック120、第3金属性ブロック130及び第4金属性ブロック140の寸法は、第1金属性ブロック110のよりはるかに大きかった。第1金属性ブロック110は、長さl1が0.6μmであり、幅w1が0.16μmであり、厚さt1が0.08μmであった。第2金属性ブロック120は、長さl2が1.84μmであり、幅w2が0.6μmであり、厚さt2が0.08μmであった。第3金属性ブロック130は、長さl3が4.00μmであり、幅w3が1.68μmであり、厚さt3が0.08μmであった。第4金属性ブロック140は、長さl4が4.00μmであり、幅w4が1.68μmであり、厚さt4が0.08μmであった。第1金属性ブロック110と第2金属性ブロック120との間の所定の距離dは、0.32μmであった。
【0078】
図6A及び図6Bから、本適用例の第1金属性ブロック110の長さl1、幅w1及び所定の距離dは、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0079】
第4実施例
上記各実施例(適用例)の金属性構造は、複数のアレイセルを含む金属性アレイを繰り返して形成することができる。各アレイセルは、前記第1金属性ブロック、前記第2金属性ブロック、及び/又は前記第3金属性ブロック、及び/又は前記第4金属性ブロック、を有し、これらの金属性ブロックの配列方式は、上記した各実施例(適用例)のようなものであってもよい。以下、本発明の第3実施例の第1適用例の金属性構造を繰り返して説明する。
【0080】
図7Aを参照する。図7Aは、本発明の第4実施例の一適用例による金属性構造を示す平面模式図である。この金属性アレイは、第3実施例の第1適用例の第1金属性ブロックと、第2金属性ブロックと、第3金属性ブロックと、第4金属性ブロックと、を有する複数のアレイセル200を含む。
【0081】
図7Bと図7Cを参照する。図7Bは、第4実施例の適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。図7Cは、第4実施例の適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【0082】
図7B及び図7Cから、本適用例の第1金属性ブロックの長さ、幅及び所定の距離は、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0083】
第5実施例
上記各実施例(適用例)の金属性構造は、金属材料より作成された金属枠の内に入れられることができる。本実施例の金属性構造は、前記第1金属性ブロック、前記第2金属性ブロック、及び/又は前記第3金属性ブロック、及び/又は前記第4金属性ブロック、を備えてよく、これらの金属性ブロックの配列方式は、上記した各実施例(適用例)のようなものであってもよい。以下、本発明の第1実施例の第1適用例を金属枠の内に入れて説明する。
【0084】
図8Aを参照する。図8Aは、本発明の第5実施例の一適用例による金属性構造を示す平面模式図である。第1実施例の第1適用例の第1金属性ブロック110及び第2金属性ブロック120は、金属枠210の内に入れられた。
【0085】
図8Bと図8Cを参照する。図8Bは、第5実施例の適用例をシミュレーションして得られた、x軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。図8Cは、第5実施例の適用例をシミュレーションして得られた、z軸に沿っている電場の波長に対する透過率の分布曲線を示す。
【0086】
図8B及び図8Cから、本適用例の第1金属性ブロックの長さ、幅及び所定の距離は、前記方程式(1)〜(4)を満たし、且つ本適用例の金属性構造は、優れたフィルタリング及び偏光化效果を有することが判明した。
【0087】
特に説明すべきなのは、各実施例の適用例の構造は、例示して説明するためのものであり、本発明の金属性構造を限定しようとするものではない。従って、本発明の金属性構造の適用は、前記実施例及び適用例に限られない。
【0088】
本発明では実施形態を前記の通り開示したが、これは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と領域から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0089】
100 可透光性媒体
110 第1金属性ブロック
120 第2金属性ブロック
130 第3金属性ブロック
140 第4金属性ブロック
200 アレイセル
210 金属枠
d 所定の距離
l1、l2、l3、l4 長さ
t1、t2、t3、t4 厚さ
w1、w2、w3、w4 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波に対してフィルタリング又は偏光化を行うための金属性構造であって、
可透光性媒体と、
前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第1金属性ブロックと、
前記第1金属性ブロックに実質的に平行に、かつ所定の距離をあけるように、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第2金属性ブロックと、
を備え、
前記電磁波は、前記第1金属性ブロックと前記第2金属性ブロックの上、及び前記第1金属性ブロックと前記第2金属性ブロックの間に入射し、前記金属性構造を通してから波長に対する透過率の分布曲線を有し、前記波長に対する透過率の分布曲線は、一対一でそれぞれ少なくとも1つの波長に対応する少なくとも1つの透過率ピーク値(Peak)を有し、前記所定の距離と前記第1金属性ブロックの平均幅とは、
d<λ、
0.01λ<w<d
(ただし、dは、前記所定の距離を表し、λは、前記少なくとも1つの波長の一つを表し、wは、前記第1金属性ブロックの前記平均幅を表す)の関係を満たす金属性構造。
【請求項2】
前記所定の距離と前記第1金属性ブロックの前記平均幅とは、
d+w<λの関係を満たす請求項1に記載の金属性構造。
【請求項3】
前記第1金属性ブロックの平均長さは、
l<2λ(ただし、lは、前記第1金属性ブロックの前記平均長さを表す)の関係を満たす請求項1に記載の金属性構造。
【請求項4】
λは、第1透過率ピーク値としての前記少なくとも1つの透過率ピーク値の一つに対応し、前記第1透過率ピーク値は、10%を超え、前記第1透過率ピーク値と前記70%第1透過率ピーク値との間で対応するスペクトル半値幅は、2λ/3未満である請求項1に記載の金属性構造。
【請求項5】
前記電磁波は、0.1ミクロン〜12ミクロンの間に実質的に介在する範囲波長を含む請求項1に記載の金属性構造。
【請求項6】
前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの片側に隣接するように、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第3金属性ブロック
を更に備える請求項1に記載の金属性構造。
【請求項7】
前記第3金属性ブロックは、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックに同時に接触しない請求項6に記載の金属性構造。
【請求項8】
前記第3金属性ブロックの延伸は、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの延伸に実質的に垂直である請求項6に記載の金属性構造。
【請求項9】
前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの他側に隣接するように、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第4金属性ブロック
を更に備える請求項6に記載の金属性構造。
【請求項10】
前記第4金属性ブロックは、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックに同時に接触しない請求項9に記載の金属性構造。
【請求項11】
前記第4金属性ブロックの延伸は、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの延伸に実質的に垂直である請求項9に記載の金属性構造。
【請求項12】
前記第4金属性ブロックと前記第3金属性ブロックとの間の距離は、2λ未満である請求項9に記載の金属性構造。
【請求項13】
前記可透光性媒体の中又は上に設けられる金属枠を更に備え、
前記第1金属性ブロック、前記第2金属性ブロック、前記第3金属性ブロック及び/又は前記第4金属性ブロックは、前記金属枠の中に位置し、又は前記金属枠の一部と重なる請求項1、6、9のいずれか1項に記載の金属性構造。
【請求項14】
電磁波に対してフィルタリング又は偏光化を行うための金属性構造であって、
可透光性媒体と、
前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第1金属性ブロックと、前記第1金属性ブロックに実質的に平行に、かつ所定の距離をあけるように、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第2金属性ブロックと、を有する複数のアレイセルを含み、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる金属性アレイと、
を備え、
前記電磁波は、前記第1金属性ブロックと前記第2金属性ブロックとの間に入射し、前記金属性構造を通してからそれぞれ少なくとも1つの波長に対応する少なくとも1つの透過率ピーク値(Peak)を有する波長に対する透過率の分布曲線を有し、前記所定の距離と前記第1金属性ブロックの平均幅とは、
d<λ、
0.01λ<w<d
(ただし、dは、前記所定の距離を表し、λは、前記少なくとも1つの波長の一つを表し、wは、前記第1金属性ブロックの前記平均幅を表す)の関係を満たす金属性構造。
【請求項15】
前記所定の距離と前記第1金属性ブロックの平均幅とは、
d+w<λの関係を満たす請求項14に記載の金属性構造。
【請求項16】
前記第1金属性ブロックの平均長さは、
l<2λ(ただし、lは、前記第1金属性ブロックの前記平均長さを表す)の関係を満たす請求項14に記載の金属性構造。
【請求項17】
λは、第1透過率ピーク値としての前記少なくとも1つの透過率ピーク値の一つに対応し、前記第1透過率ピーク値は、10%を超え、前記第1透過率ピーク値と前記70%第1透過率ピーク値との間で対応するスペクトル半値幅は、2λ/3未満である請求項14に記載の金属性構造。
【請求項18】
前記電磁波は、0.1ミクロン〜12ミクロンの間に実質的に介在する範囲波長を含む請求項14に記載の金属性構造。
【請求項19】
少なくとも1つの前記アレイセルは、
前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの片側に隣接するように、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第3金属性ブロック
を更に有する請求項14に記載の金属性構造。
【請求項20】
前記第3金属性ブロックは、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックに同時に接触しない請求項19に記載の金属性構造。
【請求項21】
少なくとも1つの前記アレイセルは、
前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの他側に隣接するように、前記可透光性媒体の中又は上に設けられる第4金属性ブロック
を更に有する請求項19に記載の金属性構造。
【請求項22】
前記第4金属性ブロックは、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックに同時に接触しない請求項21に記載の金属性構造。
【請求項23】
前記第4金属性ブロック又は前記第3金属性ブロックの延伸は、前記第1金属性ブロック及び前記第2金属性ブロックの延伸に実質的に垂直である請求項21に記載の金属性構造。
【請求項24】
少なくとも1つの前記アレイセルは、
前記可透光性媒体の中又は上に設けられる金属枠を更に有し、前記第1金属性ブロック、前記第2金属性ブロック、前記第3金属性ブロック及び/又は前記第4金属性ブロックは、前記金属枠の中に位置し、又は前記金属枠の一部と重なる請求項14、19、21のいずれか1項に記載の金属性構造。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1項に記載の金属性構造
を具備する光電装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2013−109349(P2013−109349A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253346(P2012−253346)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】