説明

金属材の押さえ治具、及びこれを用いた金属材の溶接方法

【課題】金属材に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる金属材の押さえ治具、及びこれを用いた金属材の溶接方法を提供する。
【解決手段】押さえ治具21では、押圧ローラ13が当たる分割部材23が他の分割部材23に対して押し下げられ、この押し下げられた分割部材23のみで外板1及び骨部材2を押さえることができる。ここで、分割部材23の端部と中間部との間の剛性の差異は小さくて済むので、押圧ローラ13が分割部材23に当たる位置にかかわらず、分割部材23から外板1及び骨部材2に加わる押圧力は均等化される。したがって、押圧力を一定に維持しながら押圧ローラ13を長手方向に移動させた場合であっても、押圧ローラ13が当たる分割部材23が順次押し下げられることによって、外板1及び骨部材2に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材の押さえ治具、及び金属材の溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の金属材の重ね合わせ溶接を行う場合に、溶接箇所の近傍を押圧ローラによって押さえることにより、金属材の重ね合わせ部分を密着させる方法が用いられている。例えば特許文献1では、鉄道車両構体に用いる外板に断面ハット状の外板補強部材を重ね合わせると共に、長尺の押さえ治具で外板補強部材を覆っている。
【0003】
そして、この押さえ治具の上に押圧ローラを配置し、押圧部材ごと外板と外板補強部材とを押圧しながら溶接を行っている(引用文献1の図14(b)参照)。押さえ治具を用いずに押圧ローラで溶接箇所の近傍を直接押さえる方法も考えられるが、押圧ローラと金属材とが点接触となること及び溶接時の熱影響により、金属材が変形するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−27366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、押さえ治具を用いた場合であっても、上述した従来の方法では以下の問題が生じる。すなわち、長尺の押さえ治具の中間部は、端部に比べて剛性が小さくなるので、押圧力を一定に維持しながら押圧ローラを長手方向に移動させた場合、金属材の端部を押圧する際の押圧力と金属材の中間部を押圧する際の押圧力との間に差異が生じてしまうこととなる。
【0006】
一方、金属材に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持するために、押圧ローラが押さえ治具の端部に位置する場合と押さえ治具の中間部に位置する場合とで、押圧ローラによる押圧力を変化させることも考えられる。しかしながら、この場合には押圧ローラ側の機構に押圧力を変化させるための制御手段が必要となり、装置構成が複雑化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、金属材に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる金属材の押さえ治具、及びこれを用いた金属材の溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決のため、本発明に係る金属材の押さえ治具は、重ね合わされた金属材の一方と押圧ローラとの間に配置され、押圧ローラからの押圧力によって金属材を押さえる金属材の押さえ治具であって、金属材の長手方向に沿って延在する板状の本体部分を備え、本体部分は、長手方向に並ぶ複数の分割部材からなり、複数の分割部材同士は、押圧ローラが当たる分割部材が他の分割部材に対して押し下げ可能となるように互いに揺動可能に連結されていることを特徴としている。
【0009】
この金属材の押さえ治具では、押圧ローラで押さえ治具を押さえる際、押圧ローラが当たる分割部材が他の分割部材に対して押し下げられ、この押し下げられた分割部材のみで金属材を押さえることができる。ここで、分割部材は、金属材の長手方向に並ぶように分割されている。このため、従来のように本体部分が一体の長尺の押さえ治具に比べると、分割部材の端部と中間部との間の剛性の差異は小さくて済むので、押圧ローラが分割部材に当たる位置にかかわらず、分割部材から金属材に加わる押圧力は均等化される。したがって、押圧力を一定に維持しながら押圧ローラを長手方向に移動させた場合であっても、押圧ローラが当たる分割部材が順次押し下げられることによって、金属材に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる。
【0010】
また、金属材の一方は、金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、分割部材のそれぞれは、頂部に当接する当接部分を有し、当該当接部分同士がヒンジによって互いに連結されていることが好ましい。この場合、押圧ローラからの押圧力が隣接する分割部材に伝わることを抑制できるので、押圧ローラが当たる分割部材によってより均等な押圧力で金属材を押さえることができる。
【0011】
この場合、分割部材のそれぞれは、ウェブ部の少なくとも一方に当接する当接部分を更に有していることが好ましい。こうすると、ウェブ部に当接する当接部分により、金属材をより確実に押さえることが可能となる。
【0012】
また、金属材の一方は、金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、分割部材のそれぞれは、フランジ部にそれぞれ当接する当接部分と、当接部分同士を連結する連結部分とを有し、当該連結部分同士がヒンジによって互いに連結されていることが好ましい。この構成によれば、フランジ部に当接する当接部分によって金属材を溶接箇所の近傍で押さえることができる。
【0013】
また、金属材の一方は、金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、本体部分は、ウェブ部のいずれか一方に沿って長手方向に延在する板状部分を有し、分割部材のそれぞれは、頂部に当接する当接部分を有し、当該当接部分がヒンジによって板状部分に連結されていることが好ましい。この場合、押圧ローラからの押圧力が隣接する分割部材に伝わることを抑制できるので、押圧ローラが当たる分割部材によってより均等な押圧力で金属材を押さえることができる。
【0014】
この場合、分割部材のそれぞれは、ウェブ部の他方に当接する当接部分を更に有していることが好ましい。こうすると、ウェブ部に当接する当接部分により、金属材をより確実に押さえることが可能となる。
【0015】
また、金属材の一方は、金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、本体部分は、ウェブ部の一方に沿って前記長手方向に延在すると共に、フランジ部の一方に当接する板状部分を有し、分割部材のそれぞれは、フランジ部の他方に当接する当接部分と、頂部に対応して当接部分から板状部分に延びる連結部分とを有し、当該連結部分がヒンジによって板状部分に連結されていることが好ましい。この構成によれば、フランジ部に当接する当接部分によって金属材を溶接箇所の近傍で押さえることができる。
【0016】
また、本発明に係る金属材の溶接方法は、重ね合わされた金属材の一方と押圧ローラとの間に上述した金属材の押さえ治具を配置し、押圧ローラが当たって押し下げられた分割部材に対応する位置で金属材の重ね合わせ部分を溶接することを特徴としている。
【0017】
この金属材の溶接方法では、上述した押さえ治具を用いることにより、押圧力を一定に維持しながら押圧ローラを長手方向に移動させた場合であっても、押圧ローラが当たる分割部材が順次押し下げられることによって、金属材に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる。この結果、金属材同士の重ね合わせ部分を均等に密着させることができるので、健全な溶接部を形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る金属材の押さえ治具によれば、金属材に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる。また、本発明に係る金属材の溶接方法によれば、金属材の重ね合わせ部分に健全な溶接部を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る金属材の溶接方法の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した金属材の溶接方法に用いる押さえ治具を示す斜視図である。
【図3】図2に示した押さえ治具の展開図である。
【図4】図2及び図3に示した押さえ治具の作用効果を示す図である。
【図5】本発明に係る押さえ治具の変形例を示す斜視図である。
【図6】図5に示した押さえ治具の展開図である。
【図7】図5及び図6に示した押さえ治具の作用効果を示す図である。
【図8】本発明に係る押さえ治具の別の変形例を示す図である。
【図9】本発明に係る押さえ治具の更に別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る金属材の押さえ治具、及びこれを用いた金属材の溶接方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る金属材の溶接方法の一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、この金属材の溶接方法は、例えば金属材の重ね合わせ溶接に適用される。図1では、溶接対象となる金属材として鉄道車両車両構体用の外板1と、外板1を補強するための骨部材2とを例示している。
【0022】
外板1は、例えばステンレス鋼によって形成され、厚さ1mm程度の平板状をなしている。また、骨部材2は、例えば外板1と同様のステンレス鋼によって厚さ1mm程度に形成され、外板1に当接する一対のフランジ部3,3と、フランジ部3,3から立ち上がる一対のウェブ部4,4と、ウェブ部4,4間を連結する頂部5とによって断面ハット形状をなしている。
【0023】
外板1と骨部材2との溶接には、溶接トーチ12及び押圧ローラ13が一体的に取付けられた溶接ヘッド11と、溶接ヘッド11と骨部材2との間に配置される押さえ治具21とが用いられる。溶接ヘッド11は、外板1及び骨部材2の上方に配置され、図示しない制御部からの制御信号に基づいて、骨部材2の長手方向に走査可能となっている。
【0024】
次に、押さえ治具21について詳細に説明する。図2は、押さえ治具を示す斜視図であり、図3は、その展開図である。
【0025】
図2及び図3に示すように、押さえ治具21は、例えば厚さ3.2mm〜4.5mm程度の一般鋼によって形成され、例えば骨部材2の長さと略同等の長尺の本体部分22を有している。この押さえ治具21の本体部分22は、長手方向に並ぶ複数の断面コの字状の分割部材23によって構成されている。なお、押さえ治具21の厚さは、押さえる金属材の厚さ以上であることが好ましい。
【0026】
分割部材23のそれぞれは、骨部材2の頂部5に当接する当接部分24と、骨部材2のウェブ部4,4に当接する当接部分25,25とを有している。当接部分24における分割部材23の配列方向の端部と、隣接する分割部材の当接部分24における分割部材23の配列方向の端部とは、ヒンジ26によって互いに連結されている。これにより、分割部材23のそれぞれは、隣接する分割部材23に対し、ヒンジ26の軸を中心として揺動自在となっている。
【0027】
外板1と骨部材2との溶接を行う場合、まず、各分割部材23の当接部分24が骨部材2の頂部5に当接し、当接部分25,25が骨部材2のウェブ部4,4にそれぞれ当接するように、押さえ治具21を骨部材2に対して設置する。次に、押さえ治具21の一方の端部に溶接ヘッド11をセットする。
【0028】
これにより、押圧ローラ13による押圧力が押さえ治具21に加わり、外板1と骨部材2のフランジ部3との重ね合わせ部分が密着する。また、溶接トーチ12は、押圧ローラ13の押圧箇所に対応する位置で一方のフランジ部3の真上に配置される。この状態で溶接トーチ12が作動すると、外板1と骨部材2のフランジ部3との重ね合わせ部分の溶接が開始される。
【0029】
次に、溶接ヘッド11を押さえ治具21の一方の端部から他方の端部に向けて走査すると、外板1と骨部材2のフランジ部3との重ね合わせ部分に連続的な溶接部が形成される。同様の方法で、外板1と骨部材2の反対側のフランジ部3との重ね合わせ部分にも連続的な溶接部を形成すると、外板1と骨部材2との溶接が終了する。
【0030】
図4は、押さえ治具21の作用効果を示す図である。押さえ治具21では、上述したように、本体部分22が長手方向に並ぶ複数の分割部材23からなり、分割部材23の当接部分24と、隣接する分割部材23の当接部分24とがヒンジ26によって揺動可能に連結されている。このような構成を有する押さえ治具21では、押圧ローラ13で押さえ治具21を押さえる際、押圧ローラ13が当たる分割部材23が他の分割部材23に対して押し下げられ、この押し下げられた分割部材23のみで外板1及び骨部材2を押さえることができる。
【0031】
ここで、分割部材23は、骨部材2の長手方向に並ぶように分割されている。このため、従来のように本体部分が一体の長尺の押さえ治具に比べると、分割部材23の端部と中間部との間の剛性の差異は小さいので、押圧ローラ13が分割部材23に当たる位置にかかわらず、分割部材23から外板1及び骨部材2に加わる押圧力は均等化される。したがって、押圧力を一定に維持しながら押圧ローラ13を長手方向に移動させた場合であっても、押圧ローラ13が当たる分割部材23が順次押し下げられることによって、外板1及び骨部材2に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる。
【0032】
また、押さえ治具21では、分割部材23の当接部分25,25が、骨部材2のウェブ部4,4に当接している。この当接部分25,25により、フランジ部3,3を除いた部分で骨部材2をより確実に押さえることが可能となる。さらに、押さえ治具21では、分割部材23の端部と中間部との間の剛性の差異が小さいことから、各分割部材23に要求される剛性が小さくて済み、従来のように本体部分が一体の長尺の押さえ治具と比べて、全体の剛性も小さくできる。したがって、押さえ治具21の軽量化も図られる。
【0033】
以上のような押さえ治具21を用いることにより、この金属材の溶接方法では、外板1と骨部材2のフランジ部3との重ね合わせ部分を均等に密着させることができるので、健全な溶接部を形成できる。また、押圧ローラ13側の機構に押圧力を徐々に変化させるための制御手段を設ける必要がないので、装置構成の複雑化も回避される。
【0034】
さらに、押圧ローラ13が分割部材23に当たる位置にかかわらず、分割部材23から外板1及び骨部材2に加わる押圧力が均等化されることから、押さえ治具21の端部を押さえる際、押圧ローラ13を骨部材2の端部からはみ出さないように配置することが可能となる。このことは、溶接の自由度の向上に寄与する。
【0035】
続いて、本発明に係る金属材の押さえ治具の変形例について説明する。図5は、本発明に係る金属材の押さえ治具の変形例を示す斜視図である。また、図6は、その展開図である。図5及び図6に示すように、変形例に係る押さえ治具31は、例えば厚さ3.2mm〜4.5mm程度の一般鋼によって形成され、例えば骨部材2の長さと略同等の長尺の本体部分32を有している。
【0036】
本体部分32は、骨部材2の一方のウェブ部4に沿って長手方向に延在する板状部分33と、長手方向に並ぶ複数の分割部材34とによって断面コの字状に構成されている。分割部材34のそれぞれは、骨部材2の頂部5に当接する当接部分35と、骨部材2の他方のウェブ部4に当接する当接部分36とを有している。
【0037】
当接部分35における分割部材23の配列方向に直交する方向の端部は、ウェブ部4及び頂部5によって画成される骨部材2の角部に対応する位置で、ヒンジ37によって板状部分33の端部に連結されている。これにより、分割部材34のそれぞれは、板状部分33に対し、ヒンジ37の軸を中心として揺動自在となっている。
【0038】
このような押さえ治具31においても、図7に示すように、押圧ローラ13で押さえ治具31を押さえる際、押圧ローラ13が当たる分割部材34が他の分割部材34に対して鍵盤の如く押し下げられ、この押し下げられた分割部材34のみで外板1及び骨部材2を押さえることができる。したがって、押圧力を一定に維持しながら押圧ローラ13を長手方向に移動させた場合であっても、押圧ローラ13が当たる分割部材34が順次押し下げられることによって、外板1及び骨部材2に加わる押圧力を長手方向に対して一定に維持することができる。
【0039】
また、押さえ治具31では、板状部分33が骨部材2の一方のウェブ部4に当接し、分割部材34の当接部分36が骨部材の他方のウェブ部4に当接している。これにより、フランジ部3,3を除いた部分で骨部材2をより確実に押さえることが可能となる。さらに、押さえ治具31では、分割部材34の端部と中間部との間の剛性の差異が小さいことから、各分割部材34に要求される剛性が小さくて済み、従来のように本体部分が一体の長尺の押さえ治具と比べて、全体の剛性も小さくできる。したがって、押さえ治具31の軽量化も図られる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、骨部材2のような直線状の長尺部材の溶接を例示したが、本発明に係る押さえ治具は、曲線状の長尺部材にも適用が可能である。この場合、例えば当接部分24や板状部分33を骨部材の形状に合わせてR形状とし、当接部分24に対する当接部分25の角度を適宜変更すればよい。また、押さえ治具21,31の軽量化の観点から、当接部分25及び当接部分36は、必ずしも設けなくてもよい。
【0041】
さらに、上述した押さえ治具21,31では、当接部分24,35が骨部材2の頂部5に当接するようになっているが、例えば図8(a)に示すように、押さえ治具21において当接部分24の幅と当接部分25,25の高さとをそれぞれ拡張し、当接部分25,25の先端のみをフランジ部3,3に当接させるようにしてもよい。また、例えば図8(b)に示すように、押さえ治具21において当接部分25,25の高さのみを拡張し、当接部分25,25をウェブ部4,4に当接させつつ、当接部分25,25の先端をフランジ部3,3に当接させるようにしてもよい。この構成によれば、当接部分25,25によって骨部材2を溶接箇所の近傍で押さえることができる。
【0042】
同様に、例えば図9(a)に示すように、押さえ治具31において当接部分35の幅と、板状部分33及び当接部分36の高さとをそれぞれ拡張し、板状部分33の先端と当接部分36の先端のみをフランジ部3,3に当接させるようにしてもよい。また、例えば図9(b)に示すように、押さえ治具31において板状部分33及び当接部分36の高さのみを拡張し、板状部分33及び当接部分36をウェブ部4,4に当接させつつ、その先端をフランジ部3,3に当接させるようにしてもよい。この構成によれば、板状部分33及び当接部分36によって骨部材2を溶接箇所の近傍で押さえることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…外板(金属材)、2…骨部材(金属材)、3…フランジ部、4…ウェブ部、5…頂部、13…押圧ローラ、21,31…押さえ治具、22,32…本体部分、23,34…分割部材、24…当接部分、25…当接部分、26,37…ヒンジ、33…板状部分、35…当接部分、36…当接部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされた金属材の一方と押圧ローラとの間に配置され、前記押圧ローラからの押圧力によって前記金属材を押さえる金属材の押さえ治具であって、
前記金属材の長手方向に沿って延在する板状の本体部分を備え、
前記本体部分は、前記長手方向に並ぶ複数の分割部材からなり、
前記複数の分割部材同士は、前記押圧ローラが当たる分割部材が他の分割部材に対して押し下げ可能となるように互いに揺動可能に連結されていることを特徴とする金属材の押さえ治具。
【請求項2】
前記金属材の一方は、前記金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、前記フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、前記ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、
前記分割部材のそれぞれは、前記頂部に当接する当接部分を有し、当該当接部分同士がヒンジによって互いに連結されていることを特徴とする請求項1記載の金属材の押さえ治具。
【請求項3】
前記分割部材のそれぞれは、前記ウェブ部の少なくとも一方に当接する当接部分を更に有していることを特徴とする請求項2記載の金属材の押さえ治具。
【請求項4】
前記金属材の一方は、前記金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、前記フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、前記ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、
前記分割部材のそれぞれは、前記フランジ部にそれぞれ当接する当接部分と、前記当接部分同士を連結する連結部分とを有し、当該連結部分同士がヒンジによって互いに連結されていることを特徴とする請求項1記載の金属材の押さえ治具。
【請求項5】
前記金属材の一方は、前記金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、前記フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、前記ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、
前記本体部分は、前記ウェブ部のいずれか一方に沿って前記長手方向に延在する板状部分を有し、
前記分割部材のそれぞれは、前記頂部に当接する当接部分を有し、当該当接部分がヒンジによって前記板状部分に連結されていることを特徴とする請求項1記載の金属材の押さえ治具。
【請求項6】
前記分割部材のそれぞれは、前記ウェブ部の他方に当接する当接部分を更に有していることを特徴とする請求項5記載の金属材の押さえ治具。
【請求項7】
前記金属材の一方は、前記金属材の他方に当接する一対のフランジ部と、前記フランジ部から立ち上がる一対のウェブ部と、前記ウェブ部間を連結する頂部とによって断面ハット形状をなしており、
前記本体部分は、前記ウェブ部の一方に沿って前記長手方向に延在すると共に、前記フランジ部の一方に当接する板状部分を有し、
前記分割部材のそれぞれは、前記フランジ部の他方に当接する当接部分と、前記頂部に対応して前記当接部分から前記板状部分に延びる連結部分とを有し、当該連結部分がヒンジによって前記板状部分に連結されていることを特徴とする請求項1記載の金属材の押さえ治具。
【請求項8】
重ね合わされた金属材の一方と押圧ローラとの間に請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属材の押さえ治具を配置し、前記押圧ローラが当たって押し下げられた前記分割部材に対応する位置で前記金属材の重ね合わせ部分を溶接することを特徴とする金属材の溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−221267(P2010−221267A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72115(P2009−72115)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)