説明

金属発泡体インサートを有する回転式噴霧器

【課題】回転子(8)の周囲に沿って複数のインサートホルダ(20)を有する回転子(8)と、インサートホルダ(20)間に配置され、回転式噴霧器のノズルとして機能する複数の金属発泡体インサート(12)とを具備する回転式噴霧器を提供する。回転子(8)は、インサートホルダ(20)が金属発泡体インサート(12)の位置を固定している組立て部品であるということを特徴とする。回転子(8)はディスク形状とすることができる。噴霧器の噴出を妨害することなく、回転子(8)との物理的な接触を防止するために、保護プレート(10)が噴霧器の固定シャフト(1)に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴霧するための装置に関し、さらに詳細には、ノズルインサートを有する回転式噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
回転式噴霧器は、たとえば水、殺虫剤、肥料、塗料のような液体を霧化するための装置である。典型的な噴霧器は、通常、噴霧器の回転子の軸付近に、供給されて霧化される液体を有する。回転子は、ノズルとして機能する複数の穴を有する。遠心力により、液体が回転子中のノズルに押し出されるので、その後、液体は放射方向に散布される。噴霧器の回転子は、プロペラ、タービン、ベルト、あるいは電気モータによって駆動することができる。
【0003】
特許文献1は、液体を散布するための回転式噴霧器を開示する。これは、噴霧ノズルとして網状の金属発泡体の直径が6〜8インチのディスクを使用し、金属発泡体ディスクが回転子の周囲に沿って取り付けられることによって、液体を散布するものである。金属発泡体は、硬く、そして非常に多孔性であるので、適切なノズルを形成する。
【0004】
特許文献2は、塗料を霧化するために、固定シャフトを使用し、それを通過した塗料が回転ベルやカップ中に散布される手持ち式の塗料噴霧器を開示する。
【0005】
現行の様式(design)においては、回転子を物理的な接触から遮断することは困難である。噴霧器の噴出を妨害する、どのような保護手段や保護固定手段も、水滴を集めてしまうので、それは妨害物上でゲ都合された液体膜になり、そして最終的に液だれをもたらす。液だれは、いくつかの出願では欠点とみなされている。
【0006】
回転式噴霧器は、一般的に、気化を容易にするために水を小さな水滴に霧化することによって、気化冷却目的のために用いられている。いくつかは、上述した金属発泡体ディスク様式に基づいており、そしてそれらは、水を20〜100ミクロンの小さな水滴に霧化し、そして空気の流れを引き起こすファンで水滴を散布する。水滴が気流中で気化するにしたがって、気流の温度は下がり、それに伴い湿度は増加する。気化冷却のために回転式噴霧器を使用することには、現行の様式によっては満たされていない、いくつかの特定の要件がある。
【0007】
例えば家畜場や養鶏場、産業用施設、スタジアム、駅、庭園、テラスのような、広いスペースの気化冷却は、長時間(暖かい季節には1日8〜16時間)の使用を必要とする。金属発泡体ディスクノズル様式は、大きな遠心力及び液体圧にさらされることにより、しばらくするとディスクが破裂及び破損する傾向にあるので、この集中的な使用に適さない。
【0008】
さらに、これまでの様式では、金属発泡体ディスクは、金属発泡体のシートから切り取られる。金属発泡体の比較的高いコストを考えると、金属発泡体シートからディスクを切り取ることはかなりの無駄をもたらすため、これらのディスクの生産はそれほど費用対効果がよくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4019684号公報
【特許文献2】米国特許第4927081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
安価で、強くて安全な金属発泡体ノズル様式の回転式噴霧器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液滴粒度分布及び流動率(flow rate)の観点から効果的で、そして1日8〜16時間を超える長時間の使用に耐えるほど強い回転式噴霧器を提供する必要性によって考え出された。本発明は、あらかじめ形成された金属発泡体インサートが噴霧器の回転子の周囲に沿って配置され、ノズルとして機能する噴霧器である。金属発泡体インサートは、回転子上のインサートホルダによって適切な位置にしっかりと保持されている。
【0012】
本発明の他の目的は、噴霧器用に効果的なノズルを提供するために必要な金属発泡体の量を最小限にすることである。金属発泡体のブロックは、あらかじめ形成され、そして回転式噴霧器の製造に必要な金属発泡体の量を減らすように上手に配列される。
【0013】
本発明のさらなる目的は、保護プレートを含み、それにより噴霧器の噴出を妨害することなく、回転子との物理的な接触を防止する噴霧装置を提供することである。回転子よりも大きな面積を有する固定保護表層は、この目的を達成するために用いられる。保護表層は、回転式噴霧器のハウジングに連結されている固定シャフトに連結されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る回転式噴霧器の直径方向の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る回転式噴霧器の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る回転式噴霧器の分解図を示す。
【図4】図4は、本発明に係る金属発泡体インサートを有する回転子の斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明に係る金属発泡体インサートの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について、本発明の一例である図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る回転式噴霧器の長手方向の断面図を示す。回転式噴霧器は、ハウジングカバー(11)を有する固定ハウジング(2)と、ナット(17)でハウジング(2)に固定された固定シャフト(1)とを含む。回転子(8)は、金属発泡体インサート(12)及び回転子の後部プレート(9)と共に、固定シャフト(1)の周りを回転自在に、ベアリング(4)で固定シャフト(1)に取り付けられている。保護プレート(10)は、ねじ(19)で固定シャフト(1)に固定されている。液体供給口(15)がハウジング(2)上に固定されている。
【0017】
回転子(8)が固定シャフト(1)の周りを回転する速度は、噴霧される液体、噴出の必要量、及びその液滴特性による。20,000rpm以下の速度は普通である。一度回転子(8)が必要な速度で回転すれば、噴霧されるために液体が供給口(15)を介して回転子(8)に供給される。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に係る回転式噴霧器の斜視図を示す。図2は、保護プレート(10)が固定シャフト(1)に直接取り付けられ、固定されているので、保護プレート(10)が回転子(8)と直接接触することを防止する一方で、回転子(8)の周囲と保護プレート(10)あるいは保護プレート(10)の固定手段との間に、放射線上に妨害がないことを示している。噴霧器の噴出と接触するいかなる妨害物も、液滴を集めてしまうため、妨害物上で結合され、液体膜になり、そして最終的に液だれをもたらすだろう。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態に係る回転式噴霧器の分解図を示す。図3は、液体供給口(15)及び固定シャフト(1)を有する固定ハウジング(2)と、金属発泡体インサート(12)及び回転子の後部プレート(9)を有する回転子(8)と、保護プレート(10)と、固定ねじ(19)とを示す。
【0020】
図4は、ノズルとして機能する金属発泡体インサート(12)を有する回転子(8)の一実施形態を示す。回転子(8)は、回転子(8)の周囲に沿って複数のインサートホルダ(20)を有するディスク状に形成されている。隣接するインサートホルダ(20)の間の凹部(cavities)(21)は、金属発泡体インサート(12)と適合するように、あらかじめ形成されている。インサートホルダ(20)は、凹部(21)で金属発泡体インサート(12)の位置を固定するように、あらかじめ形成されている。図中では、インサートホルダ(20)、凹部(21)、及び金属発泡体インサート(12)は台形状である。他の形状及びそれに対応する嵌合部でも可能である。インサートホルダ(20)の形状は、回転子(8)が高回転率で回転しているときに、金属発泡体インサート(12)の位置がしっかりと固定されるように最も効率的なものにされる。インサートホルダ(20)及び凹部(21)は均一な大きさを有し、そして一定間隔をもって配置されている。インサートホルダ(20)の均一な位置及び大きさは、噴霧器が等しい流動率及び速度で放射方向に液体を霧化することを可能にしている。
【0021】
図5は、本発明に係る金属発泡体インサート(12)の一実施形態を示す。金属発泡体インサート(12)は、好ましくは均一な大きさで、そして回転子(8)の周囲の周りに均一に間隔をあけて配置されている。金属発泡体インサート(12)は、台形の形状、2つの平行な辺を有する形状、あるいは他の変わった形状であっても良い。台形は最小限の無駄で金属発泡体シートから切り取ることができるので、軸方向に開口部を備えたディスクが発泡体のシートから切り取られる場合よりも、インサートに必要な金属発泡体の量が大幅に抑えられる。金属発泡体インサート(12)はニッケル合金で作られていると好ましい。
【0022】
本発明は、例えば液体肥料、殺虫剤、芳香剤、消毒剤、水、塗料、油などの一般的な液体の散布のような種々の使用に適している。本発明の出願の重要な分野は、屋内及び屋外の両方での気化冷却である。
【0023】
本発明は、回転式噴霧器の他のタイプよりも優れる特有な利点を示す。
【0024】
本発明の1つの利点は、シンプルで、頑丈で、費用対効果創出を提供するということである。回転子(8)は、エンジニアリングプラスチックを充填したガラスを射出成形することによって極めて精密に大量生産することができる。
【0025】
台形状の金属発泡体インサート(12)を用いることによって、最小限の無駄で金属発泡体のシートから金属発泡体インサート(12)を切り取ることが可能となる。その結果、噴霧器の製造コストを大幅に削減することができる。
【0026】
さらに、台形状の金属発泡体インサート(12)を用いることは、噴霧器の寿命を大幅に増加させる。遠心力によって、インサートホルダ(20)の間に金属発泡体インサート(12)が押し込まれるので、金属発泡体インサート(12)は実際的に押し付けられ、より強くなる。その結果、金属発泡体インサート(12)が破裂したり、抜け出たりすることが防止される。
【0027】
本発明のさらなる利点は、回転子(8)の周囲に沿って霧化された噴出を妨げることなく、保護プレート(10)が回転子(8)との物理的な接触を防止することを可能にするということである。その結果、液体蓄積及び液だれが防止される。
【0028】
本発明の実施形態を図示して説明したが、これらの実施形態が、本発明の全ての可能な形態を図示して説明することを意味するものではない。それどころか、明細書中で用いられる文言は、限定というよりはむしろ説明の文言であり、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 固定シャフト
2 ハウジング
8 回転子
9 回転子の後部プレート
10 保護プレート
12 金属発泡体インサート
20 インサートホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインサートホルダ(20)を有する回転子(8)と、
前記インサートホルダ(20)間に配置される複数の金属発泡体インサート(12)とを具備し、
前記金属発泡体インサート(12)が回転式噴霧器のノズルとして機能し、
前記インサートホルダ(20)が前記金属発泡体インサート(12)の位置を固定することを特徴とする回転式噴霧器。
【請求項2】
前記金属発泡体インサート(12)がニッケル合金で作られていることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項3】
前記インサートホルダ(20)が前記回転子(8)の周囲に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項4】
前記回転子(8)がディスク形状であることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項5】
前記インサートホルダ(20)は2つの辺を有し、該2つの辺が想像線と結び付けられているとした場合、前記線が、前記インサートホルダ(20)と前記回転子(8)の中心との間で交わることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項6】
前記インサートホルダ(20)は2つの辺を有し、該2つの辺が想像線と結び付けられているとした場合、前記線が、前記インサートホルダ(20)と前記回転子(8)の中心との間、好ましくは前記インサートホルダ(20)により近い所で交わることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項7】
前記インサートホルダ(20)は均一の大きさであり、一定間隔をもって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項8】
前記金属発泡体インサート(12)は均一の大きさであり、一定間隔をもって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項9】
前記金属発泡体インサート(12)は、好ましくは2つの平行な辺を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項10】
前記金属発泡体インサート(12)は、好ましくは台形状であることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項11】
前記金属発泡体インサート(12)は、好ましくは隣接する前記インサートホルダ(20)間に適合する形状であることを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項12】
加えて、前記金属発泡体インサート(12)をさらにしっかりと固定するために回転子(8)上に取り付けられた回転子の後部プレート(9)を具備することを特徴とする請求項1に記載の回転式噴霧器。
【請求項13】
ハウジング(2)と、
固定シャフト(1)と、
保護プレート(10)と、
回転子(8)とを具備し、
前記ハウジング(2)は固定されて、軸位置で前記固定シャフト(1)に連結され、
前記保護プレート(10)は固定されて、軸位置で前記固定シャフト(1)に連結され、
前記固定シャフト(1)上の前記回転子(8)の軸位置は、前記固定シャフト(1)上の前記噴霧器ハウジング(2)の軸位置と前記固定シャフト(1)上の前記保護プレート(10)の軸位置との間であり、
前記回転子(8)は前記固定シャフト(1)の周りを回転することを特徴とする回転式噴霧器。
【請求項14】
前記保護プレート(10)は、前記回転子(8)よりも広い面積を有することを特徴とする請求項13に記載の回転式噴霧器。
【請求項15】
前記保護プレート(10)は、前記回転子(8)の直径よりも大きな直径を有する円形プレートであることを特徴とする請求項13に記載の回転式噴霧器。
【請求項16】
前記回転式噴霧器は、気化冷却の目的で使用されることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の回転式噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−501847(P2012−501847A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526821(P2011−526821)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【国際出願番号】PCT/MY2008/000096
【国際公開番号】WO2010/030156
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511063402)ネブラ グループ (ブリティッシュ ヴァージン アイランズ) リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NEBULA GROUP (BVI) LIMITED
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 957, Offshore Incorporation Centre, Road Town, Tortola(VG).
【Fターム(参考)】