説明

金属粉末を含有するポリウレタン発泡体

【課題】金属粉末を含み、高い導電性および比重を有するとともに、優れた柔軟性および弾力性を有するポリウレタン発泡体を提供すること。
【解決手段】本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体は、末端がイソシアネート基で終端化されているプレポリマー2と、水系分散液に金属粉末を懸濁してなるスラリー3とを用意する原料準備工程[A]と、プレポリマー2とスラリー3とを混合することにより、発泡・架橋させ、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得る発泡工程[B]とを有する製造方法を経て得られたものである。このような金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、金属粉末と樹脂材料との混合物で構成された三次元の網目構造を骨格とし、導電性および弾力性を有するものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粉末を含有するポリウレタン発泡体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆる「発泡金属」、「ポーラス金属」等と呼ばれる多孔質の金属材料が注目されている。このような発泡金属は、例えば、ウレタンフォーム等の多孔質構造を有する基材に、金属粉末を含むスラリーを含浸させ、これを脱脂・焼成することにより作製することができる。このようにして得られた発泡金属は、金属粉末の粒子同士が焼結して、多数の空隙部を内包した網目構造を構築してなる。かかる構造的特徴から、発泡金属は、軽量であり、かつ多孔質で表面積が非常に大きい金属材料であるという利点を活かして、各分野に応用されることが期待されている。
【0003】
ところが、このような発泡金属は、多孔質であることが利点である反面、バルク状の金属に比べて、脆いという欠点を併せ持つ。このため、発泡金属では、わずかな衝撃を受けて損傷が生じたり、耐熱衝撃性が低いという問題を有している。
このような発泡金属を代替可能な材料として、導電性を有するとともに、柔軟性を有する多孔質の樹脂材料、いわゆる「導電性フォーム」の開発が行われている。
【0004】
このような導電性フォームは、例えば特許文献1に示すように、ピロールを含むエマルジョンに、多孔質フォームを浸漬し、脱水後、この多孔質フォームを、酸化剤水溶液に浸漬し、脱水・乾燥することにより作製される。このようにして得られた導電性フォームでは、多孔質フォームの気泡壁の表面に導電性高分子(ポリピロール)が付着することにより導電性が生じる。
【0005】
しかしながら、このような方法で作製された導電性フォームでは、多孔質フォームの気泡壁の表面に形成された薄く抵抗率の高い膜を電流が流れることになり、十分な導電性が得られない。
また、導電性フォームに繰り返し外力を加えると、気泡壁の表面からポリピロールの膜が剥離する。これにより、導電性フォームの導電性が経時的にさらに低下することとなる。
【0006】
一方、前述したように、ウレタンフォーム等の基材に、金属粉末を含むスラリーを含浸させた後、スラリー中の液相成分を乾燥・除去して、基材に金属粉末が付着してなる金属粉末含有フォームを得る方法が知られている。
しかしながら、このような方法で作製された金属粉末含有フォームは、基材から金属粉末が脱落するおそれがあるため、耐久性・信頼性が低い。
このような背景に鑑み、多孔質で導電性が十分に高く、かつ、欠けや割れの発生を確実に防止し得る信頼性の高い材料が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−25357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、金属粉末を含み、高い導電性および比重を有するとともに、優れた柔軟性および弾力性を有するポリウレタン発泡体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体は、ポリオール、ポリイソシアネート、水および金属粉末を用いて製造された金属粉末を含有するポリウレタン発泡体であって、
前記水を分散媒とし、該分散媒に、平均粒径0.5〜30μmの前記金属粉末を懸濁してなるスラリーと、
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させてなり、末端をイソシアネート基で終端化されているプレポリマーとを用意し、
前記スラリーと前記プレポリマーとを反応させて得られたものであることを特徴とする。
これにより、金属粉末を含み、高い導電性を有するとともに、優れた柔軟性および弾力性を有するポリウレタン発泡体が得られる。
【0010】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記金属粉末は、イオン化傾向が亜鉛より小さい金属材料で構成されていることが好ましい。
これにより、この金属粉末が水と接触したとしても、金属粉末がイオン化し難く、その結果、水による金属粉末の酸化を抑制することができる。その結果、金属粉末が酸化に伴って発熱するのを抑制することができ、プレポリマーとスラリーとの反応が不安定になるのを抑制することができる。また、酸化に伴って金属粉末の特性(化学的特性、機械的特性および電気的特性)が劣化するのを抑制することができ、目的とする特性を有する金属粉末を含有するポリウレタン発泡体を得ることができる。
【0011】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記プレポリマー中の前記イソシアネート基の含有率は、3〜26質量%であることが好ましい。
これにより、プレポリマーは、スラリーと接触した際に、スラリーに対する十分な反応性を有するものとなる。また、このプレポリマーとスラリーとが反応してなる金属粉末を含むポリウレタン発泡体は、適度な機械的強度と柔軟性とを併せ持つものとなる。
【0012】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記ポリイソシアネートは、芳香族系ポリイソシアネートであることが好ましい。
芳香族系ポリイソシアネートは、反応性が特に高く、ポリオールと反応することによって機械的強度に優れた化合物が得られる。このため、ポリイソシアネートとして芳香族系ポリイソシアネートを用いることにより、金属粉末を含むポリウレタン発泡体の機械的特性および保形性を高めることができる。また、芳香族系ポリイソシアネートは、安価で入手が容易であるという利点も有する。
【0013】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記ポリオールは、酸化エチレンユニットを少なくとも60モル%含むポリエーテル系ポリオールであることが好ましい。
酸化エチレンユニットを少なくとも60モル%含むポリエーテル系ポリオールは、エーテル鎖を含んでいるため屈曲性に富み、低温特性に優れている。このため、ポリオールとして上述したようなポリエーテル系ポリオールを用いることにより、低温下であっても保形性に優れた金属粉末を含むポリウレタン発泡体を得ることができる。また、親水性の酸化エチレンユニットを含むため、得られるプレポリマーは親水性を示し、多量の水分を含むスラリーとの混合が容易となり、また発泡安定性に優れる。
【0014】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記プレポリマーにおいて、前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数は、前記ポリオール中の活性水素基のモル数に対して、1.1〜10倍であることが好ましい。
これにより、プレポリマー中において、ポリオール中の活性水素基よりイソシアネート基が確実に過剰な状態となる。その結果、プレポリマーは、発泡工程において、スラリー中の水に対して確実に反応することができる。
【0015】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記金属粉末を構成する金属材料は、その比重が10以下のものであることが好ましい。
これにより、金属粉末は、スラリー中において水系分散媒に容易に懸濁することができる。これにより、金属粉末の分離・沈降が生じ難いスラリーを得ることができる。その結果、発泡工程において、プレポリマーとスラリーとを混合した際に、プレポリマーとスラリーとをムラなく混合することができ、全体が均質な金属粉末を含むポリウレタン発泡体を得ることができる。
【0016】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記金属粉末は、アトマイズ法により製造されたものであることが好ましい。
これにより、微細で粒度分布の狭い(粒径の揃った)金属粉末が効率よく得られる。したがって、スラリーがアトマイズ法で製造された金属粉末を含んでいることにより、金属粉末が均一に懸濁したスラリーが得られる。また、アトマイズ法によれば、より球形に近い形状の金属粉末を得ることができる。これにより、スラリーは流動性の高いものとなる。その結果、プレポリマーとスラリーとを混合する際の作業性の向上を図ることができ、全体がより均質な金属粉末を含むポリウレタン発泡体を得ることができる。
【0017】
本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体では、前記プレポリマーと前記スラリーとの混合比は、前記プレポリマー中のイソシアネート基のモル数をnとし、前記スラリー中の水のモル数をnとしたとき、n/nが6.5〜390を満足する比率であることが好ましい。
これにより、イソシアネート基と水とが必要かつ十分に反応し、最終的に、柔軟性および弾力性に優れた金属粉末を含むポリウレタン発泡体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の金属粉末を含むポリウレタン発泡体について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、金属粉末と樹脂材料との混合物で構成された多孔質のポリウレタン発泡体について説明する。なお、以下では、この多孔質の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体を、「金属粉末含有ポリウレタン発泡体」と言う。
【0019】
図1は、本発明の金属粉末を含むポリウレタン発泡体を製造する方法の実施形態を示す工程図、図2は、本発明の金属粉末を含むポリウレタン発泡体の縦断面図を模式的に示す図である。
図1に示す金属粉末含有ポリウレタン発泡体の製造方法は、末端がイソシアネート基で終端化されているプレポリマー2と、水系分散媒に金属粉末を懸濁してなるスラリー3とを用意する原料準備工程[A]と、プレポリマー2とスラリー3とを混合して反応させることにより、プレポリマー2を架橋させるとともに発泡させる発泡工程[B]とを有する。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。以下、各工程について順次説明する。
【0020】
[A]原料準備工程
まず、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の原料として、プレポリマー2とスラリー3とを用意する。
このうち、プレポリマー2は、前述したように、末端がイソシアネート基で終端化されたものである。
【0021】
このようなプレポリマー2は、末端がイソシアネート基で終端化されたプレポリマーであれば、いかなるものでもよいが、例えば、ポリイソシアネート(多官能イソシアネート)とポリオールとの混合物で構成される。すなわち、このプレポリマー2は、ポリイソシアネートとポリオールとを混合することにより作製することができる。このようなプレポリマーは、優れた反応性と、優れた機械的特性(柔軟性および弾力性)とを併せ持つものとなる。したがって、後述する発泡工程において、プレポリマー2とスラリー3との反応性を高めることができ、機械的特性に優れた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
【0022】
ポリイソシアネートは、1分子中にイソシアネート基(−NCO)を2個以上有する化合物である。一方、ポリオールは、1分子中に活性水素基(水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基等)を2個以上有する化合物である。これらポリイソシアネートとポリオールとを混合すると、ポリイソシアネート中のイソシアネート基とポリオール中の活性水素基とが反応して、プレポリマー2が形成される。
【0023】
ここで、本発明で用いられるポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリフェニル−メタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、キシレン−α,α’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−スルホニルビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンジ−オルソ−トリイソシアネート、エチレンジイソシアネート、エチレンジイソチオシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、これらのポリイソシアネートは、芳香族系ポリイソシアネートと脂肪族系ポリイソシアネートとに分けられる。
【0024】
また、これらの中でも、ポリイソシアネートは、芳香族系ポリイソシアネートであるのが好ましい。芳香族系ポリイソシアネートは、反応性が特に高く、ポリオールと反応することによって機械的特性に優れた化合物が得られる。このため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の機械的特性および保形性を高めることができる。また、芳香族系ポリイソシアネートは、安価で入手が容易であるという利点も有する。
【0025】
また、本発明で用いられるポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシエチレンテトロール、ポリオキシエチレンヘキソール、ポリオキシエチレンオクトールのようなポリエーテル系ポリオール、ポリ(ブチレンアジペート)ジオールのようなアジペート系ポリオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオールのようなカプロラクトン系ポリオール等のポリエステル系ポリオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオールのようなポリカーボネート系ポリオール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、これらの中でも、ポリオールは、酸化エチレンユニットを少なくとも60モル%含むポリエーテル系ポリオールであるのが好ましい。ポリエーテル系ポリオールは、エーテル鎖を含んでいるため屈曲性に富み、低温特性に優れている。このため、ポリオールとして上述したようなポリエーテル系ポリオールを用いることにより、低温下であっても保形性に優れた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。また、酸化エチレンユニットを少なくとも60モル%含むポリエーテル系ポリオールは、親水性の酸化エチレンユニットを含むため、得られるプレポリマーは親水性を示し、多量の水分を含むスラリーとの混合が容易となり、また発泡安定性に優れる。
また、このようなポリオールの重量平均分子量は、特に限定されないが、200〜20000程度であるのが好ましく、600〜6000程度であるのがより好ましい。
【0027】
さらに、後述するように、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が三次元網目構造の発泡体を構成できるようにするため、前記イソシアネート基末端プレポリマーの製造には、架橋剤として、多官能性であってかつイソシアネート基と反応性を有するものを使用してもよい。そのような架橋剤として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリレン−2,4,6−トリアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ヒドラジントリエタノールアミン、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ニトリロトリ酢酸、クエン酸、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)等が挙げられる。それらの中でも、グリセリン、トリメチロールプロパンが広く使用されており好ましいものである。
【0028】
また、プレポリマー2において、ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数は、ポリオール中の活性水素基のモル数に対して、1.1〜10倍程度であるのが好ましく、1.5〜5倍程度であるのがより好ましい。これにより、プレポリマー2中において活性水素基よりイソシアネート基が確実に過剰な状態となる。その結果、プレポリマー2は、後述する発泡工程において、スラリー3中の水に対して確実に反応することができる。なお、ポリオール中の活性水素基としては、前述したように、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基等が挙げられる。
このようなポリイソシアネートとポリオールとを混合することによりプレポリマー2が作製されるが、この混合は、イソシアネート基が水分と不活性になる雰囲気下で行うのが好ましく、具体的には、イソシアネート基が不活性になる窒素雰囲気下で行うのが好ましい。
【0029】
また、ポリイソシアネートとポリオールとの混合は、ポリイソシアネートとポリオールとを各種混合機、各種攪拌機等に投入し、混合・攪拌することによって行われる。
なお、ポリイソシアネートとポリオールとを混合する際の温度は、特に限定されないものの、好ましくは40〜140℃程度、より好ましくは50〜120℃程度とされる。また、混合時間は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10時間程度、より好ましくは1〜5時間程度とされる。
以上のようにしてプレポリマー2が得られる。
【0030】
なお、本発明で用いられるプレポリマー2は、前述したように、末端がイソシアネート基で終端化されていればよいが、このイソシアネート基の割合(NCO%)は、3〜26質量%程度であるのが好ましく、5〜15質量%程度であるのがより好ましい。これにより、プレポリマー2は、後述する発泡工程においてスラリー3と接触した際に、スラリー3に対する十分な反応性を有するものとなる。また、このプレポリマー2とスラリー3とが反応してなる金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、適度な機械的強度と柔軟性とを併せ持つものとなる。
【0031】
一方、スラリー3は、金属粉末と水とを含む液体、換言すれば、水系分散媒に金属粉末を懸濁(分散)してなる分散液である。
このうち、金属粉末を構成する材料としては、例えば、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、Ta、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属が挙げられる。
【0032】
ここで、本発明では、金属粉末を分散する分散媒として水を使用することから、用いる金属粉末として、水によるイオン化または酸化による変質が起こり難い金属粉末を用いるのが好ましい。
具体的には、例えばK、Ca、Na等イオン化傾向が比較的大きい金属より、イオン化傾向が小さい金属材料で構成された金属粉末を用いるのが好ましく、Znよりイオン化傾向が小さい金属材料で構成された金属粉末を用いるのがより好ましい。このようなイオン化傾向の比較的小さい金属材料で構成された金属粉末を用いることにより、この金属粉末が水と接触したとしても、金属粉末がイオン化し難く、その結果、前述したような水による金属粉末の酸化を抑制することができる。これにより、金属粉末が酸化に伴って発熱するのを抑制し、その結果、プレポリマー2とスラリー3との反応が不安定になるのを抑制することができる。また、酸化に伴って金属粉末の特性(化学的特性、機械的特性および電気的特性)が劣化するのを抑制することができ、目的とする特性を有する金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。
【0033】
なお、一般的な金属元素のイオン化傾向は、大きい順から以下の通りである。
Li(リチウム)>Rb(ルビジウム)>K(カリウム)>Ba(バリウム)>Sr(ストロンチウム)>Ca(カルシウム)>Na(ナトリウム)>Mg(マグネシウム)>Al(アルミニウム)>Mn(マンガン)>Zn(亜鉛)>Cr(クロム)>Fe(鉄)>Cd(カドミウム)>Co(コバルト)>Ni(ニッケル)>Sn(スズ)>Pb(鉛)>(H(水素))>Sb(アンチモン)>Bi(ビスマス)>Cu(銅)>Hg(水銀)>Ag(銀)>Pd(パラジウム)>Pt(白金)>Au(金)
【0034】
また、金属粉末を構成する材料としては、例えば、前述したような金属のうち、1種または2種以上の金属を含む合金(例えば、ステンレス鋼、Fe−Ni合金)や金属間化合物等が挙げられる。このような合金は、イオン化傾向の異なる金属から構成されることで、原料調製時、反応時の劣化も有効に抑えることを可能にする。中でも、Fe、Ni、Cr、Mo等を含むステンレス鋼は、Crが表面に不働態被膜を形成するため、金属の劣化やその促進を有効に防ぐことができる。したがって、合金で構成された金属粉末を用いることにより、耐候性(化学的安定性)に優れた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
また、金属粉末を構成する材料として、上記のような金属を用いることにより、優れた導電性を有する金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
【0035】
なお、金属粉末を構成する金属材料には、特に、その比重が10以下であるものが好ましく、8以下であるものがより好ましい。このような比較的比重の軽い金属材料で構成された粉末であれば、スラリー3中において水系分散媒に容易に懸濁することができる。これにより、金属粉末の分離・沈降が生じ難いスラリー3を得ることができる。その結果、後述する発泡工程において、プレポリマー2とスラリー3とを混合した際に、プレポリマー2とスラリー3とをムラなく混合することができ、全体が均質な金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。また、全体が均質であることにより、金属粉末の粒子同士の接触機会が十分に多くなり、電流の流れる経路が確実に確保されるため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の導電性のさらなる向上を図ることができる。
【0036】
また、本発明に用いる金属粉末の平均粒径は、0.5〜30μmとされる。平均粒径を前記範囲に設定された金属粉末であれば、スラリー3中において水系分散媒に容易に懸濁することができる。これにより、金属粉末の分離・沈降が特に生じ難いスラリー3が得られる。その結果、後述する発泡工程において、プレポリマー2とスラリー3とを混合した際に、プレポリマー2とスラリー3とをムラなく混合することができ、全体が均質な金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。
【0037】
なお、金属粉末の平均粒径が前記下限値未満である場合、金属粉末の取り扱いが極めて困難となるばかりか、粒子同士の凝集が顕在化し、均一なスラリー3を得ることができなくなる。一方、金属粉末の平均粒径が前記上限値を上回る場合、スラリー3中において、金属粉末の著しい沈降が認められる。このため、やはり、均一なスラリー3を得ることができなくなる。
【0038】
また、平均粒径を前記範囲に設定された金属粉末であれば、より微細な三次元網目構造を形成することができるので、表面積が特に大きく、かつ柔軟性および弾力性に特に優れた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。さらに、前記粉末の平均粒径を前記範囲に設定することにより、金属粉末の粒子同士の接触機会がより多くなるので、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の導電性のさらなる向上を図ることができる。
なお、金属粉末の平均粒径は、好ましくは1〜20μm程度とされる。
【0039】
このような金属粉末には、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法のようなアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法等、いかなる方法で製造されたものでも用いることができるが、特にアトマイズ法により製造されたものが好ましく用いられる。アトマイズ法によれば、微細で粒度分布の狭い(粒径の揃った)金属粉末が効率よく得られる。したがって、スラリー3がアトマイズ法で製造された金属粉末を含んでいることにより、金属粉末が均一に懸濁したスラリー3が得られる。
また、アトマイズ法によれば、より球形に近い形状の金属粉末を得ることができる。これにより、金属粉末の流動性が向上し、スラリー3は流動性の高いものとなる。その結果、プレポリマー2とスラリー3とを混合する際の作業性の向上を図ることができ、全体が均質な金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。
【0040】
具体的には、金属粉末の各粒子のアスペクト比の平均値は、0.5〜1であるのが好ましく、0.7〜1であるのがより好ましい。これにより、金属粉末の流動性が特に向上するとともに、各粒子間の充填性も特に高くなる。その結果、最終的に、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の機械的特性を特に高めることができる。なお、各粒子のアスペクト比とは、各粒子の短径を長径で除した値である。
【0041】
一方、水は、プレポリマー2中のイソシアネート基と接触すると反応して、二酸化炭素等のガスを発生させる。このガスにより、プレポリマー2とスラリー3との混合物が発泡し、外部空間と連通する空孔が混合物中に生成される。また、プレポリマー2とスラリー3との反応によって生じる反応生成物の作用により、混合物が架橋する。
本発明に用いられる水としては、特に限定されず、純水、イオン交換水、水道水、RO水が挙げられる。
また、スラリー3中には、金属粉末と水以外に、その他の成分を含んでいてもよい。
【0042】
[B]発泡工程
次に、プレポリマー2とスラリー3とを混合する。これにより、前述したように、プレポリマー2中のイソシアネート基とスラリー3中の水とが反応して、二酸化炭素等のガスが発生する。このガスがプレポリマー2とスラリー3との混合物から外部空間に抜け出ることにより、混合物中に気泡が生成される。これにより、この混合物が発泡する。また、プレポリマー2とスラリー3との反応によって生じる反応生成物(例えば、一級アミン等)の作用により、プレポリマー2とスラリー3との混合物中に、ウレタン結合、ウレア(尿素)結合、ビュレット結合、アロファネート結合、イソシアヌレート結合等が生成されるとともに、これらの結合が三次元的に架橋する。これにより、プレポリマー2とスラリー3との混合物が架橋して三次元の網目構造を形成し、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が製造される。
【0043】
かかる金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、図2に示すように、金属粉末を含む樹脂材料が三次元の網目構造13を構築し、いわゆるスポンジ状の形態をなすものとなる。このように金属粉末の粒子11同士が、前述のウレタン結合、ウレア結合、ビュレット結合、アロファネート結合、イソシアヌレート結合等の各結合を含む樹脂材料12を介して連結してなる三次元の網目構造13を有することから、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、等方性の優れた柔軟性を有するものとなる。そして、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、優れた弾力性(復元性)を有するものとなる。
【0044】
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1では、図2に示すように、網目構造13の中に、金属粉末の粒子11が取り込まれている。このため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1に外力を繰り返し加えたとしても、網目構造13から金属粉末の粒子11が脱落することが確実に防止される。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、経時的に導電性が低下するようなことがなく、安定して高い導電性を維持することができる。
【0045】
ここで、プレポリマー2とスラリー3との混合は、プレポリマー2とスラリー3とを、各種混合機、各種攪拌機、各種押出機等に投入して行うことができる。
プレポリマー2とスラリー3とを混合する際、プレポリマー2とスラリー3との混合比は、プレポリマー中のイソシアネート基のモル数をnとし、スラリー3中の水のモル数をnとしたとき、n/nが6.5〜390を満足する比率であるのが好ましく、20〜200を満足する比率であるのがより好ましい。プレポリマー2とスラリー3との混合比を前記範囲内に設定することにより、イソシアネート基と水とが必要かつ十分に反応し、最終的に、柔軟性および弾力性に優れた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
【0046】
また、イソシアネート基は、特に金属材料に対して高い反応性を示す。これは、セラミックス材料やガラス材料等に比べて、金属材料の表面には、より高密度で水酸基(OH基)が露出していることに起因するものであると考えられる。すなわち、金属粉末の表面に水酸基が高密度に存在していると、プレポリマー2とスラリー3とを混合したときに、プレポリマー2と金属粉末との親和性が高くなる。このため、プレポリマー2とスラリー3との混合によって生成される樹脂成分と、金属粉末の粒子とが、強固に結び付き、これらの接着強度が特に高くなる。その結果、樹脂成分と金属粉末との接着界面が剥離し難くなり、柔軟性および弾力性に優れた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
【0047】
また、プレポリマー2と金属粉末とを均一かつ十分に混合することができ、気泡がほぼ均一に分布してなる金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。そして、このように気泡がほぼ均一に分布してなる金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、優れた弾力性を示すものとなる。
また、プレポリマー2とスラリー3とを混合した混合物を作製する際、混合物の水を除く質量に対する金属粉末の質量の割合は、50〜90質量%程度であるのが好ましく、70〜85質量%程度であるのがより好ましい。金属粉末の割合が前記範囲内になるように、スラリー3中の金属粉末の割合を調整したり、プレポリマー2とスラリー3との混合比を調整することにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1中において、金属粉末の含有率が最適化される。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、優れた柔軟性および弾力性を維持しつつ、導電性に優れたものとなる。
なお、プレポリマー2とスラリー3とを混合する際の温度は、特に限定されないものの、好ましくは40〜140℃程度、より好ましくは50〜120℃程度とされる。
【0048】
また、前述した原料準備工程において用意するプレポリマー2では、ポリイソシアネートの一部とポリオールの一部とを反応させておき、本発泡工程において、残りのポリイソシアネートとポリオールとを反応させるようにしてもよい。
また、この発泡工程では、プレポリマー2とスラリー3とを混合する際に、さらに界面活性剤を混合するのが好ましい。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1中に生成される空孔がより微細で均一なものとなる。すなわち、界面活性剤が整泡剤として機能する。
【0049】
このような界面活性剤としては、いかなる界面活性剤をも用いることができるが、例えば、各種陰イオン(アニオン)性界面活性剤、各種陽イオン(カチオン)性界面活性剤、各種両性界面活性剤、各種非イオン(ノニオン)性界面活性剤等を用いることができる。
このうち、特に非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのようなエステル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのようなエーテル型の他、これらを組み合わせたエステル・エーテル型の各種非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
さらに、界面活性剤は、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物系界面活性剤であるのが好ましい。これにより、界面活性剤の混合の有無や混合量を調整することによって、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1中に生成される空孔がさらに微細で均一なものとなる。
このようなポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物系界面活性剤としては、例えば、プルロニックL−62(BASF社製)等が挙げられる。
【0051】
また、この発泡工程では、プレポリマー2とスラリー3とを混合する際に、さらにプレポリマー2とスラリー3との反応を促進する触媒を混合するのが好ましい。これにより、プレポリマー2とスラリー3との反応がより速やかに進むこととなり、反応に要する時間を短縮することができる。また、低温下であっても、プレポリマー2とスラリー3とを確実に反応させることができる。
【0052】
このような触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、スタナス−2−エチルヘキソエート、鉄−アセチルアセトネートのような有機金属系触媒、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)、モノメチルエタノールアミン(MMEA)、ジグリコールアミン(DGA)、2−(2−アミノエトキシ)エタノールのようなアミン系触媒、各種アミン塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
このうち、特に三級アミン触媒が好ましい。三級アミン触媒は、特に微細で均一な発泡を確実に促進させることから、触媒として効果的に用いられる。
なお、触媒の混合量は、プレポリマー2の質量に対して、好ましくは0.005〜0.2質量%程度とされる。
さらに、発泡工程では、これらの界面活性剤や触媒の他に、鎖延長剤、架橋剤、可塑剤、離型剤等の添加剤を混合してもよい。
【0054】
なお、上記の界面活性剤、触媒、各種添加剤は、本発泡工程で混合してもよいが、あらかじめ、プレポリマー2およびスラリー3のいずれか一方または双方に添加しておいてもよい。
また、本発泡工程により得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を所望の形状に成形する場合には、成形型内において、プレポリマー2とスラリー3とを混合する。次いで、成形された金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を成形型から脱型する(離型する)。これにより、所望の大きさおよび形状に成形された金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。
【0055】
なお、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の成形に用いる成形型は、キャビティの一部が開放されたものでもよいが、キャビティが閉空間になった成形型であれば、形成すべき形状の金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を確実に得ることができる。また、プレポリマー2の発泡に伴って、プレポリマー2とスラリー3との混合物の体積が増大する。しかしながら、キャビティが閉空間になっているため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、周囲から圧縮されるような圧力が付与された状態で架橋する。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の密度がやや増大する。したがって、キャビティの容積を適宜設定することにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の密度および空孔率を調整することができる。
【0056】
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の成形に用いる成形型は、プレポリマー2とスラリー3との混合物を充填した後、プレポリマー2とスラリー3との反応に伴って、キャビティの容積が徐々に増大するような「キャビティ容積可変機構」を有するものでもよい。このような機構を用いることにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の密度を所望の密度に制御することができる。
【0057】
また、必要に応じて、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を乾燥させる。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1中に残存した水分を除去する。
この乾燥は、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1に対して、加熱する方法、ガスを噴射する方法、赤外線を照射する方法等により行うことができる。
このうち、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を加熱する場合、その加熱条件は、温度30〜100℃×0.1〜10時間程度であるのが好ましく、温度50〜80℃×1〜5時間程度であるのがより好ましい。また、加熱雰囲気は、特に限定されないが、不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気であるのが好ましい。
【0058】
また、ガスを噴射する場合、用いるガスは、不活性ガスまたは還元性ガスであるのが好ましい。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1中の金属粉末の酸化を防止し、金属粉末の変質・劣化を防止することができる。
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を乾燥させる前または乾燥させた後に、必要に応じて、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1に切削、切断、切り出し、研削、研磨等の後加工を施してもよい。
【0059】
例えば、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の成形に用いる成形型が、キャビティの一部が開放されたものである場合、プレポリマー2が発泡した際に、この開放された部分からプレポリマー2とスラリー3との混合物があふれ出るおそれがある。そこで、このあふれ出た部分を後加工によって除去することにより、形成すべき形状の金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を容易に得ることができる。
【0060】
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の見かけ密度は、金属粉末の構成材料や、プレポリマーとスラリーとの混合比によって若干異なるが、JIS K 6400に規定の方法で測定したとき、300〜800kg/m程度であるのが好ましく、500〜700kg/m程度であるのがより好ましい。なお、本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体によれば、このような見かけ密度の小さい金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の空孔率は、70〜99.5%程度であるのが好ましく、80〜99%程度であるのがより好ましい。これにより、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1における表面積の増大と柔軟性および弾力性の向上との両立を図ることができる。
【0061】
このようにして作製された金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、前述したように、三次元的に広がる網目構造13を有しており、その間には、空隙部14が形成されている(図2参照)。そして、複数の空隙部14は、互いに連結されており、いわゆる「連続気泡」となっている。このため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、表面積が極めて大きく、かつ、通気性および通液性に優れたものとなる。なお、上記の「連続気泡」を含む金属粉末含有ポリウレタン発泡体とは、JIS K 6400−3において定義されているように、独立気泡の占める体積の割合が25%未満の軟質発泡材料のことを言う。
【0062】
また、空隙部14の形状は、球形状または球形状に類似した形状をなしている。このため、網目構造13は、必然的に等方性の高い構造、換言すれば、異方性の低い構造となる。その結果、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が示す柔軟性および弾力性は、異方性の低いものとなる。
また、空隙部14の平均径は、特に限定されないが、0.01〜3mm程度であるのが好ましく、0.05〜1mm程度であるのがより好ましい。金属粉末含有ポリウレタン発泡体1中の空隙部14の平均径が前記範囲内であれば、圧縮荷重によって網目構造13が挫屈したり、弾力性が著しく低下するのを防止することができる。すなわち、十分な弾力性と、必要な機械的特性とを併せ持つ、優れた特性の金属粉末含有ポリウレタン発泡体1が得られる。
なお、空隙部14の径は、金属粉末の粒子11の粒径や、前述した添加剤の添加量等の条件に加え、プレポリマー2とスラリー3との混合方法、成形方法等における各条件を適宜設定することによって調整することができる。
【0063】
また、本発明の金属粉末含有ポリウレタン発泡体によれば、図2に示すように、網目構造13において、金属粉末の粒子11が樹脂材料12に包含され易い。換言すれば、金属粉末の粒子11が樹脂材料12によって覆われることとなり、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の外表面や空隙部14の内壁面に、金属粉末の粒子11が露出することが防止される。このため、金属粉末の粒子11が外気に曝され難くなり、金属粉末の粒子11の酸化・吸湿等に伴う変質・劣化を防止することができる。
【0064】
さらに、従来、ウレタンフォームのような発泡材料の基材に、金属粉末を含むスラリーを含浸させた後、乾燥させることによって金属粉末含有ポリウレタン発泡体を製造する方法も行われていた。しかしながら、かかる方法で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体では、基材の外表面および空隙部(気泡)の内壁面に金属粉末が付着したものであるため、外部から荷重が加わると、基材から金属粉末が脱落するおそれがあった。これに対し、本発明の金属粉末含有ポリウレタン発泡体では、前述したように、金属粉末の粒子11が樹脂材料12に包含されているので、金属粉末の粒子11の脱落が確実に防止される。このため、長期にわたって、導電性および熱伝導性に優れるという性質を維持することができる。
【0065】
また、柔軟性および弾力性を有する金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、いわゆるウレタンフォームのように、例えば圧縮荷重をかけると容易に圧縮され、圧縮荷重を取り除くと速やかに元の形状に戻ることができる。このため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1に大きな外力を付与したとしても、変形して外力を吸収することができるので、従来の発泡金属のように欠けや割れ等が生じるのを確実に防止することができる。
【0066】
ここで、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の弾力性は、ウレタンフォームのような軟質発泡材料と同様、JIS K 6400−4に規定の「圧縮残留ひずみ試験」の方法に基づいて定量化することができる。なお、圧縮残留ひずみとは、試験片を一定の温度下で、一定の時間圧縮し、一定の時間開放した後に生じる厚さの低下であって、その値は、試験片の元の厚さに対する低下率で定義される。
具体的に、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の圧縮残留ひずみは、30%以下であるのが好ましく、15%以下であるのがより好ましい。このような金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、長期にわたって必要かつ十分な弾力性(反発性)を示すものとなるため、例えば、ウレタンフォームのような軟質発泡材料を代替し得るものとなる。
【0067】
以上のようなことから、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、例えばウレタンフォームのような発泡材料が用いられる種々の用途に応用することができる。
このような応用例としては、例えば、吸音材、制振材、フィルター、担体、衝撃吸収材、断熱材、梱包材、吸水材等が挙げられる。
このうち、制振材は、発泡材料の重量(密度)が大きいほど、制振作用が高くなることが知られている。金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、密度の高い金属粉末を高い割合で含んでいることから、従来のウレタンフォームに比べて密度が高くなり、より高い制振作用を発揮することができる。かかる観点から、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、音の吸収性に優れた吸音材、振動および衝撃の吸収性に優れた制振材および衝撃吸収材等として、特に好適に適用される。
【0068】
また、触媒の機能を有する金属粉末を用いて金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を作製することにより、触媒作用を有するフィルターや担体を容易に作製することができる。特に、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、連続気泡を多く含み、表面積が大きいため、高性能なフィルターまたは担体に応用可能である。
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、金属粉末を高い割合で含んでいるため、金属材料特有の電気的および化学的性質を示すものとなる。具体的には、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、導電性および熱伝導性に優れたものとなる。さらに、本発明によれば、従来の製造方法に比べ、網目構造13中において金属粉末の粒子同士が接触し易くなる。このため、金属粒子間の導電性が確実に確保され、導電性および熱伝導性をより高めることができる。
なお、本発明によれば、金属粉末の組成によって若干異なるが、好ましくは体積抵抗率が1×10Ω・cm以下、より好ましくは体積抵抗率が1×10Ω・cm以下の金属粉末含有ポリウレタン発泡体1を得ることができる。このような体積抵抗率の金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、十分な導電性を有するものとなる。
【0069】
このような優れた導電性を有する金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、例えば従来の発泡金属が用いられる種々の用途に応用することができる。
具体的な応用例としては、例えば、電波吸収体、静電気防止材、電子部品梱包材、磁気シールド、靴用インソール(金属粉末として、例えば導電性および抗菌性に優れたAg粉末を使用)等が挙げられる。
【0070】
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、比表面積が非常に大きいため、放熱体(ヒートシンク)として好適に用いられる。すなわち、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、金属粉末が有する優れた熱伝導性の作用により、全体としての熱伝導性が高い。このため、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1の熱伝導性および比表面積が大きいことによって、発熱体が持つ熱を効率よく放熱することができる。
以上のことから、金属粉末含有ポリウレタン発泡体1は、弾力性と導電性とを併せ持つことから、上記のように極めて広範囲の用途に適用可能なものである。
【0071】
以上、本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体を製造する方法では、必要に応じて、任意の工程を追加することもできる。
【実施例】
【0072】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.金属粉末含有スラリーの製造
(サンプルNo.1(実施例相当))
まず、水アトマイズ法により製造されたステンレス鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製、PF−20F)を用意した。なお、このステンレス鋼粉末の構成材料はSUS316L、平均粒径は10μm、比重は7.9であった。
次に、純水100重量部中に、ステンレス鋼粉末600重量部を懸濁させ、金属粉末含有スラリーを得た。
【0073】
(サンプルNo.2(実施例相当))
金属粉末を、平均粒径4.0μmのSUS316Lステンレス鋼(エプソンアトミックス(株)製、PF−5F)に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
(サンプルNo.3(実施例相当))
金属粉末を、平均粒径6.1μm、比重7.9のHK−30(SCH21)ステンレス鋼(エプソンアトミックス(株)製、PF−10F)に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
【0074】
(サンプルNo.4(実施例相当))
金属粉末を、平均粒径5.0μm、比重4.5のチタン粉末に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
(サンプルNo.5(実施例相当))
金属粉末を、平均粒径30μm、比重7.8の鉄粉末に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
【0075】
(サンプルNo.6(実施例相当))
金属粉末を、平均粒径20μm、比重7.1の亜鉛粉末に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
(サンプルNo.7(実施例相当))
金属粉末を、平均粒径20μm、比重2.7のアルミニウム粉末に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
(サンプルNo.8(比較例相当))
金属粉末を、平均粒径50μm、比重7.8の鉄粉末に変更した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして金属粉末含有スラリーを得た。
【0076】
2.金属粉末含有スラリーの評価
サンプルNo.1〜8の金属粉末含有スラリーの水中での安定性および沈降性を、以下の評価基準にしたがって評価した。
<水中での安定性(目視による観察)>
○:金属粉末の表面変色、発熱が認められない
△:金属粉末の表面変色、発熱が一部に認められる
×:金属粉末の表面変色、発熱が全体に認められる
【0077】
<沈降性>
○:金属粉末の沈降が認められない
×:金属粉末の沈降が認められる
また、サンプルNo.1〜8の金属粉末含有スラリーを、本発明に係る発泡工程に準じる方法で発泡させ、金属粉末を含有するポリウレタン発泡体を得た。そして、この際のスラリーの発泡安定性について、以下の評価基準にしたがって評価した。
【0078】
<発泡安定性>
○:安定して発泡できた
△:一部に発泡が良好でない部分があった
×:全体において発泡が良好でなかった(不均一であった)
以上の評価結果を、表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
表1からも明らかなように、実施例に用いるスラリーに相当するサンプルNo.1〜7は、一部に不良が認められるものの、水中での安定性、沈降性および発泡性のいずれも比較的良好であった。
一方、比較例に用いるスラリーに相当するサンプルNo.8は、沈降が認められ、また、全体において発泡が不均一であった。
【0081】
3.金属粉末含有ポリウレタン発泡体の製造
(実施例1)
[1]まず、ポリエーテルポリオール(三洋化成工業製、OHV35)と、トルエンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、T−80)と、触媒としてオクチル酸第1スズ(城北化学製、MRH110)とを混合した後、混合物を2時間攪拌し、プレポリマーを得た。なお、ポリエーテルポリオール、トルエンジイソシアネートおよびオクチル酸第1スズの混合比は、重量比で100:30:0.1とした。
なお、プレポリマー中のイソシアネート基(−NCO)の含有率(NCO%)を測定したところ、9.1質量%であった。
【0082】
[2]次に、高さ200mm×縦200mm×横200mmのキャビティを有する成形型内に、プレポリマーと、サンプルNo.1のスラリーと、触媒としてジメチルエタノールアミン(DMEA)と、界面活性剤としてSF2961(非イオン性界面活性剤)とを混合し、攪拌した。これにより、混合物が発泡するとともに架橋した。なお、混合物の重量は3600gであった。その後、架橋物を成形型内から取り出し、立方体形状の金属粉末含有ポリウレタン発泡体を得た。なお、プレポリマー、ステンレス鋼粉末(金属粉末)、純水、ジメチルエタノールアミンおよびSF2961の混合比は、重量比で98.6:400:100:0.4:1とした。
【0083】
[3]次いで、得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体を乾燥炉に入れ、温度70℃で2時間乾燥させた。
なお、乾燥後の金属粉末含有ポリウレタン発泡体の密度を、JIS K 6400に規定の方法にしたがって測定したところ、密度は600kg/mであった。
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体中の金属粉末の含有率は、85質量%であった。
【0084】
(実施例2)
サンプルNo.1のスラリー中の金属粉末の比率を変更し、純水100重量部中に金属粉末200重量部を懸濁させてなる金属粉末含有スラリーを用いるようにした以外は、前記実施例1と同様にして金属粉末含有ポリウレタン発泡体を得た。
なお、乾燥後の金属粉末含有ポリウレタン発泡体の密度を、JIS K 6400に規定の方法にしたがって測定したところ、密度は280kg/mであった。
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体中の金属粉末の含有率は、66質量%であった。
【0085】
(比較例1)
金属粉末を含有しないスラリーを用いるようにした以外は、前記実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた発泡体は、金属粉末を含まないポリウレタン発泡体であった。
なお、乾燥後のポリウレタン発泡体の密度を、JIS K 6400に規定の方法にしたがって測定したところ、密度は70kg/mであった。
【0086】
(比較例2)
あらかじめプレポリマーを作製することなく、ポリオール、ポリイソシアネートおよび金属粉末含有スラリーを、同時に混合・攪拌した(ワンショット法により作製した)こと以外は、前記実施例1と同様にして金属粉末含有ポリウレタン発泡体を得た。
なお、各原材料の調製量は、ポリオール100質量部に対して、金属粉末200質量部とした。
また、金属粉末含有ポリウレタン発泡体中の金属粉末の含有率は、57質量%(理論値)であった。
(比較例3)
各原材料の調製量を、ポリオール100質量部に対して、金属粉末20質量部とした以外は、前記比較例2と同様にして金属粉末含有ポリウレタン発泡体を得た。
【0087】
4.金属粉末含有ポリウレタン発泡体の評価
4.1 発泡性の評価
各実施例および各比較例で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体の発泡性について、以下の評価基準にしたがって評価した。
<発泡性>
○:安定して発泡できた
△:一部に発泡が良好でない部分があった
×:全体において発泡が良好でなかった(不均一であった)
以上の評価結果を、表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
表2からも明らかなように、各実施例で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体は、いずれも、発泡性が良好であり、かつ比較的高密度であった。
これに対し、各比較例で得られた発泡体は、発泡性が不均一なものや、比重が著しく低いものがあり、各種用途の観点から特性が不適当であった。
【0090】
4.2 外観の評価
ここで、実施例1で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体の走査型電子顕微鏡による観察像を図3に示す。
図3に示す観察像から明らかなように、実施例1で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体では、多数の空隙部(気泡)が隣接しており、その間には、立体的(三次元)にネットワークのように広がる網目構造が観察された。また、隣接する空隙部が連結されていることが認められた。さらに、各空隙部の形状は、それぞれ球形状またはそれに類似した形状をなしていた。
また、図3から明らかなように、空隙部(気泡)の内壁面において、金属粉末の多くが、樹脂材料で包含されている様子が認められた。
【0091】
4.3 導電性の評価
各実施例および各比較例で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体(導電性フォーム)の体積抵抗率をJIS K 6911に規定の方法にしたがって測定した。測定結果を表2に示す。
表2からも明らかなように、各実施例で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体は、いずれも、帯電防止作用を発揮するのに十分低い体積抵抗率を示した。
【0092】
4.4 弾力性の評価
各実施例および各比較例で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体(導電性フォーム)に対し、圧縮永久歪を測定した。
その結果、各実施例で得られた金属粉末含有ポリウレタン発泡体の圧縮永久歪は、比較的小さく、十分な弾力性を有していることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体を製造する方法の実施形態を示す工程図である。
【図2】本発明の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体の縦断面図を模式的に示す図である。
【図3】実施例1で得られた金属粉末を含有するポリウレタン発泡体の走査型電子顕微鏡による観察像である。
【符号の説明】
【0094】
1……金属粉末を含有するポリウレタン発泡体 11……金属粉末の粒子 12……樹脂材料 13……網目構造 14……空隙部 2……プレポリマー 3……スラリー A……原料準備工程 B……発泡工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、ポリイソシアネート、水および金属粉末を用いて製造された金属粉末を含有するポリウレタン発泡体であって、
前記水を分散媒とし、該分散媒に、平均粒径0.5〜30μmの前記金属粉末を懸濁してなるスラリーと、
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応させてなり、末端をイソシアネート基で終端化されているプレポリマーとを用意し、
前記スラリーと前記プレポリマーとを反応させて得られたものであることを特徴とする金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項2】
前記金属粉末は、イオン化傾向が亜鉛より小さい金属材料で構成されている請求項1に記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項3】
前記プレポリマー中の前記イソシアネート基の含有率は、3〜26質量%である請求項1または2に記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートは、芳香族系ポリイソシアネートである請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項5】
前記ポリオールは、酸化エチレンユニットを少なくとも60モル%含むポリエーテル系ポリオールである請求項1ないし4のいずれかに記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項6】
前記プレポリマーにおいて、前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数は、前記ポリオール中の活性水素基のモル数に対して、1.1〜10倍である請求項1ないし5のいずれかに記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項7】
前記金属粉末を構成する金属材料は、その比重が10以下のものである請求項1ないし6のいずれかに記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項8】
前記金属粉末は、アトマイズ法により製造されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。
【請求項9】
前記プレポリマーと前記スラリーとの混合比は、前記プレポリマー中のイソシアネート基のモル数をnとし、前記スラリー中の水のモル数をnとしたとき、n/nが6.5〜390を満足する比率である請求項1ないし8のいずれかに記載の金属粉末を含有するポリウレタン発泡体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−249513(P2009−249513A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99738(P2008−99738)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】