説明

金属腐食を低減させながら基板を電気化学的に処理する装置および方法

基板(201)を電気化学的に処理するためのプロセスツール(200)が、銅の腐食が低減するように基板の近傍での酸素濃度および/または二酸化硫黄濃度を低下させるように構成される。1つの実施形態において、連続的な不活性ガスの流れを供給することによって、および/または、周囲雰囲気とのガス交換を低減させるカバー(201)を設けることによって、めっきリアクタを含むプロセスツール(200)内に実質的に不活性な雰囲気が確立される。また、実質的に不活性なガス雰囲気は、個々のプロセスステップ間の要求された輸送ステップを含む基板の電気化学的処理に伴うさらなるプロセスステップ中に維持されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の作製の分野に関し、さらに詳細には、基板上に金属を堆積し、および/または基板から金属を除去するために、さまざまな製造ステップ中に基板を電気化学的に処理することに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の多層配線技術において使用される材料は、薄膜の伝導体および薄膜の絶縁体である。伝導性の薄膜を製造するために、絶縁体として二酸化珪素(SiO)と組み合わせて、アルミニウムおよびアルミニウム合金が広く使用されてきた。デバイス性能をさらに高めるために、信号の伝播遅延とICの電力消費量を考慮して、アルミニウムおよび二酸化珪素に代えて、銅を、場合によってはlow−k誘電体材料と組み合わせて、用いることが増えてきている。さらに、銅技術を使用することで、必要な金属化レベル数が減少する。多層配線システムを製造するさい、電気めっきおよび無電解めっきの形態のめっきと、電解研磨とも呼ばれる逆プロセスは、広く使用されている金属堆積/除去技術である。
【0003】
要求された品質の金属層を獲得するために、典型的に、電気化学的金属めっきプロセスにおいて種々の化学物質が使用される。基板上に金属をめっきするために使用される多数の電解液において、めっき溶液の主成分として無機酸が使用される。硫黄酸またはリン酸が、種々の濃度で広く使用されている。硫黄酸およびリン酸は、硫黄酸およびリン酸の供給濃度に関係なく、銅をエッチングすることが知られている。周囲空気に含まれた酸素による従来のめっきプロセスの場合のように、半導体基板に形成された金属エリアで酸素を容易に利用可能である場合、エッチング速度がさらに高まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸素、二酸化硫黄(周囲に微量含まれる場合がある)、および水(水で希釈した酸に含まれる)が存在することで、半導体基板上に形成された金属が著しく酸化および変色してしまうことがある。この状況は、その後の輸送、格納、すすぎ、および洗浄動作中にさらに悪化し、これらすべての動作は、ウェット状況、すなわち、銅の酸化および変色を促進させる状況で実行される。イオンの流れは逆であるが、電気めっきに非常に類似した電解研磨プロセスが施される銅含有基板にも同じことが当てはまる。
【0005】
半導体製造において銅がますます使用され、上記に説明したように、露出された銅表面が酸素と容易に反応して、腐食および変色を形成してしまう傾向があるため、このような腐食および変色は、結果的に得られる表面の品質を損なう傾向があり、その後のプロセスステップに悪影響を及ぼしてしまう。以上のことを考慮すると、半導体基板上での銅のめっきおよび電解研磨は、完成した集積回路の信頼性にとって極めて重要であることは明らかである。
【0006】
したがって、表面の品質を過度に悪化させることなく、金属層、特に、銅層を形成および処理するための装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属含有基板のめっきおよび/または電解研磨の前、その最中、およびその後に、露出された金属表面と接触する酸素および二酸化硫黄の量を減少させるための方法および装置に関する。処理される基板または取り扱われる基板上に広がる酸素および/または二酸化硫黄の部分圧力を著しく低下させることによって、露出された金属表面およびこれらの反応性周囲成分との化学反応する確率を下げてよい。
【0008】
本発明の1つの態様によれば、基板を電気化学的に処理するためのプロセスツールが、めっきリアクタと、めっきリアクタを囲み、内部ガス雰囲気を含む内部ボリュームを画定するためのカバーとを含む。カバーは、周囲雰囲気とのガス交換を実質的に回避するように構成される。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、基板を電気化学的に処理するためのプロセスツールが、めっきリアクタと、めっきリアクタ中の酸素濃度および二酸化硫黄濃度の少なくとも1つを低下させるために、めっきリアクタに不活性ガスの流れを供給するように構成されたガス供給システムとを含む。
【0010】
本発明のさらなる別の実施形態によれば、基板を電気化学的に処理する方法が、基板を電気化学的に処理するように構成されたプロセスツールを提供することを含む。次に、基板を取り囲むガス雰囲気が確立され、ガス雰囲気の酸素濃度は、プロセスツールを取り囲む周囲雰囲気より低い。
【0011】
本発明は、添付の図面と組み合わせて以下の記載を参照することによって理解されてよく、同図において、同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0012】
本発明には、さまざまな修正および別の形態の余地があるが、本発明の特定の実施形態が、図面に例示的に示され、本願明細書に詳細に記載される。しかしながら、本願明細書における特定の実施形態の記載が、本発明を開示される特定の形態に限定することを意図したものではなく、それとは逆に、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲内にあるすべての修正、等価物、および代替物に及ぶものであることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について記載する。明確にするために、本願明細書において、実際の実施例のすべての特徴が記載されているわけではない。言うまでもなく、このような実際の実施形態を開発するにあたって、システム関連の制約やビジネス関連の制約を踏まえるなど、実施例ごとにさまざまな判断を下して開発者らの意図する目的を達成していく必要があり、これは実施例によって異なることは認識されよう。さらに、このような開発作業は、複雑であり時間を要することもあるが、本願の開示内容を利用できる当業者らにとっては日常業務の一環であることも認識されよう。
【0014】
以下、図1を参照しながら、銅めっきおよび電解研磨に伴う化学物質についてより詳細に記載する。しかしながら、本発明は、銅を伴う使用に関する制限が特許請求の範囲に特記されていなければ、銅を伴う使用に限定されるものとして見なされるべきではない。
【0015】
空気中で銅が酸化すると、銅酸化物を形成することはよく知られている。二酸化炭素(CO)の存在下で、銅は、いわゆる、緑色の炭酸銅を形成することがある。空気中に存在する場合がある二酸化硫黄(SO)の存在下で、銅は、硫酸塩を形成することがある。したがって、基板上の銅層は、式に与えられている関係に従った化合物の一部として、銅イオン(CuまたはCu++)を発生するさまざまな酸化プロセスに最もさらされやすい。これらの反応は、好ましくは、酸素および水の存在下で起こり、酸素および水も周囲空気中に存在する。
式1 O+2HO+4e→4OH
式1a 2Cu→2Cu2++4e
式2 2H+2e→H
【0016】
式1は、いわゆる、酸素腐食を生じさせる化学反応を示す。式は、空気中に存在する酸素または水に溶解している酸素が酸化プロセスをもたらすことを示す。式1で必要な電子は、例えば、式1aのプロセスによって使われ、銅は、Cu2+に変化する。
【0017】
図1は、この状況をより明確に示し、同図には、いわゆる、銅のプールベ(Pourbaix)図が描かれている。プールベ図は、銅、その酸化物であるCuOおよびCuO、および銅イオン(Cu++)の電気化学的な電位とpH値との関係を示す。同図は、Cu、CuO、CuO、およびCu2+として示す4つの別々なエリアを示す。これらのエリアは、隣接するエリアの化合物の平衡状態の状況を表す線によって分けられている。平衡状態は、図の線に沿った2つの化合物の間、または、化合物の異なる対を分ける線の交点の周りにある3つの化合物間に存在し得る。また、図1のプールベ図には、式1による酸素還元の酸化還元電位が示されている。pHエリア全体にわたって、酸素還元の酸化還元電位は、保護層としてCuOおよびCuOが形成される銅の平衡状態より上にある。その結果、酸素の存在下で、式1によれば、銅が酸化されて、pH値に応じて、銅酸化物(CuO)または銅イオン(Cu++)を形成する。
【0018】
別の可能性のある状況が式2によって示されており、図1のプールベ図に、この式の対応する電気化学的な電位が与えられている。式2によるプロセスは、一般的に、2HをHに還元することで起こる水素腐食として扱われる。電気化学的な電位から分かるように、銅は水素より不活性である。このことは、図1のプールベ図にある酸化還元の関係によって表される。pHエリア全体に沿って、式2による酸化還元電位曲線は、銅元素のエリア内にある。
【0019】
好ましくは、酸素および水の存在下において、銅の酸化プロセスが起こることが示されている。
式3 4CuO+SO+3HO+0.5O→CuSO・3Cu(OH)
【0020】
式3は、二酸化硫黄(SO)、水、および酸素の存在下における腐食性の銅の形成を示す。腐食性の銅の水溶性は高い。したがって、式3による反応は、銅酸化物(CuO)の保護層を除去し、銅層のさらなる腐食を引き起こすことがある。同様に、湿気、酸素、および二酸化炭素(CO)の存在下では、銅の炭酸塩が生じてしまうことがある。
【0021】
したがって、露出された銅エリアを有する基板の取扱いを含むプロセスステージ中、二酸化硫黄の量および/または酸素の量および/または二酸化炭素の量および湿気の量を最小限に抑えることが、本発明において重要であると考慮される。特に、基板の電気めっき/電解研磨に伴うプロセスは、銅表面の酸化を促進させる環境条件を継続的に生み出す。
【0022】
したがって、本発明は、基板が電気化学的な処理を要するプロセスシーケンスにさらされる局所的な周囲を作り出す概念に基づくものであり、二酸化硫黄および/または酸素および/または二酸化炭素の量を著しく減少させることによって、式3の平衡状態を銅酸化物(左側)に移行させ、式1、式1a、式2による銅の酸化を低減させる。これは、窒素、アルゴンなどの実質的に不活性なガスを、考慮中のプロセスツール、または少なくともプロセスツールの関連する部分に供給することによって、実質的に不活性な雰囲気を処理される基板の周囲に供給することによって達成されてよい。実質的に不活性な雰囲気を確立することによって、二酸化硫黄および/または酸素および/または二酸化炭素の基板にわたった部分圧力が、周囲雰囲気と比較して著しく低下され、露出された金属表面とこれらの反応性成分との化学反応の確率を下げる。また、部分圧力を低下させると、電解液、水、例えば、超高純度の水などのプロセス液体からこれらの周囲ガスをある程度除去可能なことがあり、その場合、これらの周囲ガスは、プロセス液体の格納および取扱い中に溶解してしまう。
【0023】
以下、図2aおよび図2bを参照しながら、本発明の例示的な実施形態について記載する。図2aにおいて、基板を電気化学的に処理するためのプロセスツール200の一部分が、本発明の例において電気めっきリアクタであってよいめっきリアクタ210を含み、このリアクタは、基板212を受け取り保持するように適応された回転可能な基板ホルダ211と、基板212の処理中に電解液を導入するための入口214が形成されたアノード213とを含む。さらに、拡散要素215が、アノード213と基板ホルダ212との間に配設されてよい。本発明の実施形態において、電気めっきリアクタ210は、いわゆる、噴流タイプの電気めっきリアクタである。しかしながら、使用される特定のタイプのめっきリアクタは、本発明に必須なものではなく、したがって、電解研磨を実行するように構成された配置、すなわち、逆の電気めっきプロセスを含む任意のタイプのめっきリアクタが、本発明に従って用いられてよい。めっきリアクタ210は、電気めっきリアクタ210の動作中、従来の装置において、周囲雰囲気に実質的に対応するガス混合物を含む内部ガス雰囲気を含む内部ボリューム216を画定するように構成されてよい。1つの実施形態において、従来の装置とは対照的に、電気めっきリアクタ210は、窒素、アルゴン、または希ガスなどの不活性ガスを内部ボリューム216に供給するように構成されたガス供給システム217を含む。ガス供給システム217は、その一端で不活性ガスソース220に結合され、他端で内部ボリューム216に結合された第1の供給ライン218を含む。さらに、第2の供給ライン219が設けられてよく、その一端は、内部ボリューム216に結合され、その他端は、排出ソース(図示せず)に結合される。第1および第2の供給ライン218、219は、電気めっきリアクタ210の上側部分および下側部分に接続されるように示されているが、不活性ガスを内部ボリューム216に供給するためにプロセスツール200において使用される電気めっきリアクタ210のタイプに応じて、任意の適切な方法で配設されてよい。
【0024】
動作中、例えば、窒素などの不活性ガスが、不活性ガスソース220から第1の供給ライン218を経由して内部ボリューム216へ供給されて、電気めっきリアクタ210内に実質的に不活性な雰囲気を確立することによって、二酸化硫黄および酸素の量を著しく減少させる。本願明細書において使用する場合、「実質的に不活性なガス雰囲気」という用語は、ガス雰囲気を記述するためのものであり、その酸素濃度は、最大酸素濃度が約16%になるように、少なくとも20%、好ましくは、5%未満、より好ましくは、1%未満だけ、周囲雰囲気、一般に、クリーンルームの雰囲気のものから外れることに留意されたい。その後、基板212は、電気めっきリアクタ210に装填されてよく、基板ホルダ211によって受け取られてよい。プロセスツール200のタイプに応じて、内部ボリューム216の内部の実質的に不活性な雰囲気は、ある一定量のガス交換が起こる可能性のある周囲雰囲気と接触することがある。
【0025】
したがって、1つの実施形態において、ガス供給システム217によって、ある一定量の超過圧力が作り出されることで、内部ボリューム216から、基板ホルダ211に基板212を装填する開口(図示せず)へのガス流を確立する。このようにして、周囲雰囲気から内部ボリューム216内への酸素および二酸化硫黄の導入が最小限に抑えられる。電気めっきリアクタ210は周囲雰囲気から内部ボリューム216を十分に密閉するようには構成されていないが、連続的な流体の流れを確立することによって、動作中にある一定量の超過圧力が維持されるという利点が得られる。基板212を基板ホルダ211上に配置した後、および、場合によっては、基板ホルダ211への基板移送用の開口を閉じた後、ガスシステム218は、基板212を電気めっきリアクタ210内に装填する間に導入され得る酸素および二酸化硫黄の量をさらに減少させるために、例えば、第2の供給ライン219によって、内部ボリューム216をパージするように動作されてよい。その後、電気めっきリアクタ210の動作が開始され、この動作では、従来の装置とは対照的に、実質的に不活性な内部ガス雰囲気において電気めっきプロセスが行われることによって、基板212上にめっきされている銅表面での腐食プロセスを著しく低減する。
【0026】
図2bは、電気めっきリアクタ210に結合された追加のプロセスモジュールを備えたプロセスツール200を略図的に示す。図2bにおいて、プロセスツール200は、電気めっきリアクタ210の下流にあるすすぎステーション230と、すすぎステーション230の下流にある乾燥ステーション250とをさらに含む。電気めっきリアクタ210、すすぎステーション230、および乾燥ステーション250は、矢印261で示すように、基板を輸送できるように構成された複数の基板輸送モジュール260によって接続される。プロセスツール200は、内部ボリューム202を画定するカバー201をさらに含む。1つの実施形態において、カバー201は、周囲雰囲気とのガス交換を実質的に防止するように構成されるのに対して、他の実施形態において、カバー201は、周囲雰囲気内の内部ボリューム202のガス交換を少なくとも著しく低減するように意図される。カバー201は、個々のプロセスモジュールとステーションとの間をある程度分離することができる複数のバッフル203を含むものであってよい。
【0027】
1つの実施形態において、図2bに示すように、ガス供給システム217は、プロセスステーション210、230、250および輸送モジュール260の少なくともいくつかの不活性ガスを供給するように配設された複数の供給ライン204をさらに含む。他の実施形態において、特に、カバー201が、周囲雰囲気から内部ボリューム202を実質的に完全に密閉するとき、連続的なガス流を確立するために、1つ以上の排出ライン(図示せず)が設けられてよい。図2bに示す実施形態は、例示的なものにすぎず、多数の変形例および修正例が本発明の範囲から逸脱することなく実行されてよいことに留意されたい。例えば、バッフル203の供給、デザイン、および配置は、プロセスステーション210、230、250および輸送モジュール260の構成に応じて、多数の方法で変更されてよい。特に、すすぎステーション230および乾燥ステーション250は、「オープン」システムとして示されているのに対して、他の実施形態において、これらのステーションは、供給ライン218、219などの追加の供給ラインの供給を要する別々の囲いを有してよいプロセスチャンバを含んでよい。さらに、輸送モジュール260は、任意のタイプのウェハ取扱い装置を含んでよく、したがって、バッフル203は、隣接するステーションとモジュールとの間のガス交換を低減しながら、隣接するプロセスステーションに対して装填および取外し作業ができるようにデザインされてよい。他の実施形態において、バッフル203は、特に、すすぎステーション230および乾燥ステーション250が、囲いを有するプロセスチャンバを個々に含む場合、省略されてもよい。
【0028】
動作中、図2aを参照しながら記載したような条件下で電気めっきされた銅表面を有する基板212は、電気めっきリアクタ210の下流にあるプロセスモジュール260に移送される。供給ライン204によって内部ボリューム202に実質的に不活性なガス雰囲気が確立されるため、すでにめっきされた銅のウェットで影響を受けやすい表面と酸素および/または二酸化硫黄との接触が実質的に防止される。特に、基板212は、典型的に、めっきプロセスが完了すると、電解液の薄膜を含み、内部ボリューム202の実質的に不活性なガス雰囲気で、すすぎステーション230への輸送中に新しくめっきされた銅表面が腐食する確率が低下することがある。実質的に不活性なガス雰囲気において、これらのプロセスステーション間での輸送を含むすすぎステーション230および乾燥ステーション250で基板212が処理されるため、めっき後プロセス中も銅の腐食が最小限に抑えられる。
【0029】
プロセスツール200が、図2bに示すように、プロセス要求に応じて、より多くの数のプロセスモジュールを含んでよいことに留意されたい。例えば、すすぎステーション230は、緻密な金属化層を含む基板の処理に要求される任意の洗浄ステーションであってよい。さらに、他の実施形態、特に、基板202の「ウェット」処理を伴うプロセスステーションが、対応する局所的な雰囲気の湿気を継続的に低減させるために、電気めっきリアクタ210の第2の供給ライン219などの排出ラインを含んでもよい。
【0030】
図2bに示すように、モジュラ構造により、隣接するプロセスステーションおよびモジュールのガス雰囲気に過度に影響を与えることなく、プロセスステーションおよび/または輸送モジュールに個々にアクセスできるようになる。例えば、プロセスツール200のモジュラ構成により、残りの内部ボリューム202の不活性ガス雰囲気に過度に影響を与えることなく、例えば、最初と最後の輸送モジュール260によって、プロセスツール200へ基板を装填し、そこから基板を取り外すことができるようになる。
【0031】
図2cは、プロセスツール200のガス供給システム217が、酸素および/または二酸化硫黄を不活性ガスから除去するように構成されたリアクタ221を含む本発明のさらなる例示的な実施形態を略図的に示す。リアクタ221は、例えば、当業者によく知られているように酸素および/または二酸化硫黄の除去が可能な触媒を含む、任意のタイプの化学および/または物理リアクタであってよい。この実施形態は、プロセスツール200が、多量の不活性ガスの供給や、アルゴンや他の希ガスなどの比較的高価な不活性ガスの供給を必要とする場合、不活性ガスの大部分が再加工および再利用されてよいため、特に有益である。図2cに示すように、ガス供給システム217を使用する場合、カバー201は、周囲雰囲気への不活性ガスの漏れを最小限に抑えるように構成されることが好ましい。
【0032】
図2dは、プロセスツール200のさらなる変形例を略図的に示す。図2dにおいて、プロセスツール200は、制御ユニット270に接続された複数のセンサ要素271を含み、制御ユニット270は、不活性ガスソース220を含むガス供給システム217に作動的に結合される。センサ要素271は、圧力センサ、酸素濃度センサ、二酸化硫黄濃度センサなどを含んでよい。センサ要素271は、プロセスステーション210、230、250および輸送モジュール260の1つ以上に設けられてよい。制御ユニット270は、センサ要素271によって出力された信号を受信し、受信したセンサ信号に応じて、プロセス制御を実行するように構成されてよい。例えば、ガス供給システム217は、供給ライン204または供給ライン218および219を通る流体の流れを調節するための適切な手段を含んでよい。対応する手段は、当業者に公知のものであり、弁要素、ポンプ、ファンなどを含んでよい。
【0033】
次いで、制御ユニット270は、供給ライン204、218、219での流体の流れを制御するために、これらの流れ調節手段の1つ以上を対応させて調節することによって、内部ボリューム202内の雰囲気も制御してよい。例えば、それぞれのプロセスステーションに基板を装填したり、プロセスツール200内、例えば、第1の輸送モジュール260に外部から供給された基板を装填したりすることによって、電気めっきリアクタ210への流体の流れを一時的に増量させることで、電気めっきリアクタ210内への酸素および/または二酸化硫黄の拡散を効率的に低減させることが有益な場合もある。同様に、他のプロセスステーション230、250および輸送モジュール260での実質的に不活性なガス雰囲気が制御されてよい。さらに、センサ要素271によって与えられる測定結果に応じて、実質的に不活性なガス雰囲気を制御することによって、プロセスツール200へ供給された不活性ガスの量は、実際に要求されている量まで減らすことで、省資源を図ってもよい。
【0034】
その結果、本発明により、電気めっき、電解研磨など、基板を電気化学的に処理するさいに伴うプロセスで銅腐食を形成する確率を効率的に低下させることができるようになり、連続的なガスの流れによって、および/または、プロセスツール内または少なくともプロセスツールの一部分内の実質的に不活性なガス雰囲気を有する内部ボリュームを画定するカバーを設けることによって、実質的に不活性なガス雰囲気が基板の周りに確立される。また、基板の装填、輸送、洗浄、乾燥、および一時的格納など、基板の電気化学的処理に関連する他のプロセスも、実質的に不活性な雰囲気内で実行されることが好ましい。これらのプロセスが、別々のプロセスツールにおいて、または2つ以上のプロセスを実行したり、さらには、全プロセスシーケンスを実行したりするように構成されたプロセスツールにおいて実行されてよく、本発明は、このような任意のタイプのプロセスツールを範囲に含むものであることに留意されたい。
【0035】
銅めっきを参照しながら本発明について記載してきたが、本発明の原理は、銅以外の金属を含む基板の電気化学的な処理にも容易に適用されてよく、その処理では、プロセス品質を高めるために、実質的に不活性な雰囲気が有益であることに留意されたい。
【0036】
上記に開示された特定の実施形態は、例示的なものにすぎず、本発明は、異なるように修正および実施されてよいが、同等の方法は、本願明細書の開示内容を利用できる当業者らに明らかである。さらに、特許請求の範囲に記載するもの以外、本願明細書に示された構成またはデザインの詳細には何ら制限が意図されていない。したがって、上記に開示された特定の実施形態は、変更または修正されてよく、すべてのこのような変形例は、本発明の範囲および趣旨内であると見なされることは明らかである。したがって、本願明細書において求められる保護は、特許請求の範囲において示される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】銅のプールベ図。
【図2a】本発明の1つの例示的な実施形態による、基板を電気化学的に処理するためのプロセスツールの略図の単純化した部分の説明図。
【図2b】基板を電気化学的に処理するさいに伴うさらなるプロセスステーションを含む、図2aのプロセスツールの概略説明図。
【図2c】本発明による、再循環される不活性ガスを有するプロセスツールの概略説明図。
【図2d】本発明の別の例示的な実施形態による、プロセス制御の改良が可能な図2aのプロセスツールを含むシステムの概略説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板212を電気化学的に処理するためのプロセスツールであって、
めっきリアクタ210と、
内部ガス雰囲気を含む内部ボリューム202を画定するように前記めっきリアクタ210を取り囲むカバー201とを含み、前記カバー201は、周囲雰囲気とのガス交換を実質的に回避するように構成された、プロセスツール。
【請求項2】
実質的に不活性なガス雰囲気を確立するように不活性ガスを前記内部ボリュームに導入するように構成されたガス供給システム217をさらに含む、請求項1記載のプロセスツール。
【請求項3】
輸送モジュール260、基板洗浄ステーション230、基板乾燥ステーション250、および化学物質格納タンクの少なくとも1つをさらに含み、前記カバー201が、少なくとも1つの前記輸送モジュール、基板洗浄ステーション、基板乾燥ステーション、および化学物質格納タンクを少なくとも部分的に取り囲むように構成される、請求項1記載のプロセスツール。
【請求項4】
前記内部ガス雰囲気が、窒素ガスおよび希ガスの少なくとも一方を含む、請求項1記載のプロセスツール。
【請求項5】
前記ガス供給システム217が、供給されたガスから酸素および二酸化硫黄の少なくとも1つを除去するように構成されるリアクタをさらに含む、請求項2記載のプロセスツール。
【請求項6】
前記ガス供給システム217が、内部ボリューム内の1つ以上の特定の場所に不活性ガスを供給するための複数の入口ライン204を含む、請求項2記載のプロセスツール。
【請求項7】
前記カバー201が、前記内部ボリュームを複数のセグメントに分割するように構成され、隣接するボリュームセグメント間のガス交換が低減される、請求項1記載のプロセスツール。
【請求項8】
前記ガス供給システム217が、前記めっきリアクタに連続的な不活性ガスの流れを確立するように構成される、請求項2記載のプロセスツール。
【請求項9】
前記プロセスツールが、ガス供給システム217と、酸素濃度、内部ボリュームの圧力、および前記ガス供給システム217を通るガスの流量の少なくとも1つを調節するために、前記ガス供給システム217の動作を制御するように前記ガス供給システム217に作動的に結合された制御ユニット270とをさらに含む、請求項1記載のプロセスツール。
【請求項10】
基板212を電気化学的に処理する方法であって、
前記基板212を電気化学的に処理するように構成されたプロセスツール200を提供し、
前記基板212を取り囲むガス雰囲気を確立するとともに、前記ガス雰囲気の酸素濃度が、前記プロセスツール200を取り囲む周囲雰囲気より低くされる、方法。
【請求項11】
前記ガス雰囲気の確立では、不活性ガスが前記基板に供給される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記不活性ガスが、窒素および希ガスの少なくとも一方を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ガス雰囲気の確立では、前記ガス雰囲気と前記周囲雰囲気とのガス交換を低減するカバー201を設けることによって、内部ボリュームが画定される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記ガス雰囲気の圧力、酸素濃度、および二酸化硫黄濃度の少なくとも1つを検出する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記ガス雰囲気の圧力、酸素濃度、および二酸化硫黄濃度のうち少なくとも1つの検出に応じて、前記ガス雰囲気の確立を制御する、請求項14記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−507405(P2006−507405A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−518227(P2004−518227)
【出願日】平成15年6月24日(2003.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/020949
【国際公開番号】WO2004/003663
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED