説明

金属膜パターン形成体の製造方法

【課題】本発明は、金属膜の形成方法に関する。
【解決手段】本発明は、スタンプの一面にプラスチック表面を活性化するための触媒体を用いて所望の金属膜パターンを形成する段階と、上記スタンプの一面に形成された触媒体をプラスチックベースの表面に転写させ上記プラスチックベースの表面を活性化させる段階と、上記活性化されたプラスチックベースの表面にメッキする段階とを含む金属膜パターン形成体の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属膜の形成方法に関するものであって、より詳しくは、プラスチックベース上にメッキして金属膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、移動通信端末機は徐々に小型化されつつある。これによって端末機に使用されるアンテナは、従来の外付け型形態から内蔵型形態を採択する傾向にあり、また、端末機内に様々な機能が追加され新しい周波数帯域に対応する内蔵型アンテナ開発が必須として求められている。
【0003】
従来の内蔵型アンテナは、プラスチックベース上に金属板(metal plate)を結合した形態になっており、実際アンテナの放射を担当する部分は、このような金属板のパターン形状を調節することにより具現されている。このような従来の方法では金属板をプレス金型を通して製作するためコストが高く、組立時に自動化できないという短所を有している。
【0004】
また、最近は金属板を使用せずプラスチックベース上に直接メッキするMID(Molded Interconnected Device)方式を用いているが、このような方法も二重射出のために、二重の金型が要されコストの上昇及び開発が困難という問題がある。
【0005】
図1は、従来の二重射出方式を用いたアンテナの製造工程を示した断面図である。
【0006】
図1の(a)から(c)までを参照すると、先ずメッキ可能な樹脂11で所望のアンテナパターンの形態を陽刻にして射出する。次に、上記メッキ可能な樹脂11の陽刻された部分が露出されるようメッキされない樹脂12で射出する。上記露出されたメッキ可能な樹脂11の部分にメッキ層13を形成してアンテナパターンが製造される。
【0007】
このように種類の異なる異種の樹脂を2回にわたって射出する方法は、一つの樹脂はプラスチック自体にメッキ可能な樹脂を用い、もう一つはプラスチックメッキが不可能な樹脂を用いる。
【0008】
ここで、メッキ可能な樹脂11の露出された部分はメッキが可能なため、二重射出された射出物をメッキするとメッキ可能な樹脂11の露出された部分のみ選択的にメッキ層13が形成される。上記工程のうち最も重要な部分は図1の(b)の工程である。即ち、所望の部分のみメッキするためには、正確な位置にメッキする部分のみを露出すべきで、このためにはメッキされない部分に対してもう1回射出しなければならない。このような射出のために、もう一つの金型が必ず必要となる。このような二重射出によって2回目の射出樹脂が所望としない所に一部流れ込んで射出されると、最終的に所望の部分にメッキされず、メッキによるアンテナパターンの形状が変わるという問題が生じる。
【0009】
従って、このような二重射出方式を利用する場合には、非常に精密な陽刻/陰刻形態の金型が必要となりコスト上昇の問題が生じ、不良の発生時に金型を全面的に修正すべき問題が発生する。また、開発段階ではアンテナの特性をチューニングすることが必須として要されるが、このようなアンテナチューニングのためアンテナの形態を変更しようとする場合、射出金型自体を変更しなければならない問題点が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の問題点を解決すべく、本発明は、二重射出する工程なしで一度の射出でプラスチックベースを形成し、上記形成されたプラスチックベース上に直接所望の形態の金属膜がメッキできる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、スタンプの一面にプラスチック表面を活性化するための触媒体を用いて所望の金属膜パターンを形成する段階と、上記スタンプの一面に形成された触媒体をプラスチックベースの表面に転写させ上記プラスチックベースの表面を活性化させる段階と、上記活性化されたプラスチックベースの表面にメッキする段階とを含む金属膜パターン形成体の製造方法を提供する。
【0012】
上記スタンプの一面に触媒体を形成する段階は、液状の触媒体で所望の金属膜パターンを印刷する段階と、上記印刷された触媒体が一定の粘度を有するよう乾燥させる段階と、上記乾燥した触媒体パターンをスタンプに転写させる段階とを含むことが出来る。
【0013】
上記触媒体は、転写過程において所望のパターンの形態を維持することが出来るよう一定の粘度を有することが出来る。
【0014】
上記触媒体は、上記触媒体が転写されるプラスチックベースの表面と接着することができ、メッキ層を形成することが可能な物質である。好ましくは、上記触媒体は、ABS系列の樹脂であることが出来る。
【0015】
上記スタンプは、3次元表面に対してスタンピングが出来るよう一定の硬度を有することが出来る。好ましくは、上記スタンプは、シリコンラバーであることが出来る。
【0016】
上記プラスチックベースは、ポリカーボネート成分からなる内蔵型アンテナのベース、キャリアフィルム、または移動通信端末機のケースのうち一つであることが出来る。
【0017】
上記メッキする段階は、銅イオンを利用する無電解メッキ段階であることが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、移動通信端末機の内蔵型アンテナまたは電磁波遮蔽層などを形成するにおいて、プラスチックベース上に直接メッキ層を形成することができ、また、上記メッキ層の形態を変更することが容易な金属膜パターン形成体の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照に本発明を詳しく説明する。
【0020】
図2は、本発明の好ましい実施形態によるプラスチックベース上にメッキ導体膜が形成された金属膜パターン形成体の製造方法の工程の流れ図である。
【0021】
図2の(a)は、触媒体で所望のアンテナパターンを形成する段階である。
【0022】
上記触媒体24は、プラスチックベースの表面で上記プラスチックベースと化学的に反応して上記プラスチックベースの表面を活性化させることにより、上記プラスチックベース表面に直接金属メッキが出来るようにする役割をする。従って、本実施例における触媒体24は、プラスチックベースを化学的に変性させる成分とメッキ液を吸着することが出来る成分が同時に含有されることが出来る。
【0023】
プラスチックベースを変性させる成分には、変性の種類によって様々な種類を使用することが出来る。具体的に、化学変性が加水分解変性の場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ性物質などが使用されることが出来る。また、化学的変性が加水分解変性及び酸化変性の場合には、塩酸、硫酸、クロム混酸、硝酸などの有機酸類などの酸性物質などが使用されることが出来る。
【0024】
無電解メッキ反応に対して触媒として作用する金属には、無電解メッキ液として亜リン酸系還元剤を利用した場合には、パラジウム、銀、銅、白金、鉄、ニッケルなどを利用することが出来る。従って、上記金属成分と化学成分を含む触媒体を使用することが好ましい。
【0025】
上記触媒体24は熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に蒸着されやすく、かつメッキが蒸着されやすい塗料を使用することが出来る。好ましくは、ABS樹脂系列のペイント塗料を使用することが出来る。上記ABS樹脂系列のペイント塗料の性質を利用すると、上記プラスチックベース表面が活性化されつつ、メッキ液が吸着できる触媒層を形成することが出来る。
【0026】
本実施例では、上記触媒体24はABS樹脂に対する溶剤として、メチルエチルケトン、エチルソルボアセテート、ココゾルなどを溶解して液状化させた塗料を希釈剤を用いて希釈した後、上記液状の触媒剤を別途の平板にプリントし乾燥して形成した。
【0027】
本実施例において触媒体24は一定の形態を有している。このような触媒体の形態はプラスチックベース上に形成される金属膜パターンと同一形態を有する。上記触媒体24の形態を所望の金属膜パターンに形成するため、本実施例では上記触媒体24が一定の粘度を有するよう製造される。このように粘度を有することにより、触媒体で金属膜パターンを形成する時に正確なパターンを具現することが容易になり、以後の転写過程で上記パターンの形態を維持して転写されることが出来る。
【0028】
上記粘性を有する触媒体を形成する方法としてプリントする方法が使用されることが出来る。上記触媒体を構成する物質を溶解させ別途の平板にプリントし、上記プリントされた触媒体が一定の粘度を有するまで乾燥して本実施例の工程を進行することが出来る。
【0029】
図2の(b)は、上記形成された触媒体をスタンプに転写させる段階である。
【0030】
このような工程はスタンプ25をスタンピングする工程により可能である。
【0031】
上記スタンピング工程によりパターンに形成された上記触媒体24が上記スタンプ25の一面に付着されるべく、上記スタンプ25は上記触媒体24と一定の接着力を有することが必要である。
【0032】
上記スタンプ25は、上記触媒体24を再度プラスチックベース21に伝達する役割をするため、上記スタンプ25と上記触媒体24との接着力は上記触媒体24と上記プラスチックベース21との接着力よりは小さいべきである。
【0033】
このようにスタンプ25、触媒体24、及びプラスチックベース21の間の接着力を制御するため、上記各々の物質の界面に接着性の異なる接着物質を使用することが出来る。
【0034】
上記スタンプ25は、上記触媒体24に対しては化学的反応を起こさず、3次元形状のプラスチックベース21にスタンピングが出来るよう一定の硬度を有する材質を使用することが出来る。
【0035】
上記スタンプ25としてはシリコンラバー(rubber)が使用されることが出来る。
【0036】
上記スタンプ25は2種類の材料を用いて製造されることが出来る。即ち、上記触媒体24が付着され上記プラスチックベース21と接する部分は、シリコンラバーのように上記プラスチックベース21表面の形態に沿って屈曲できる材料で構成され、上記スタンプ25の上部はスタンピング工程を容易にするため硬い金属物質で構成されることが出来る。
【0037】
図2の(c)は、上記スタンプに形成された触媒体をプラスチックベースに転写させる段階である。
【0038】
上記触媒体24が形成されたスタンプ25をプラスチックベース21にスタンプし上記スタンプ25を除去する。上記スタンプにより上記プラスチックベース21と上記触媒体24が接着することになる。
【0039】
上記転写された触媒体24により上記プラスチックベース21の表面が化学的変性を起こして金属メッキ層が上記プラスチックベース上に形成されることが可能となる。
【0040】
上記スタンプ25に形成された触媒体24が上記プラスチックベース21上に転写されることが可能になるためには、上記触媒体24と上記プラスチックベース21との接着力、及び上記触媒体24と上記スタンプ25との接着力に差があるべきである。このように相互の物質の間の界面接着力の差によりスタンピング工程を容易に行うことが出来る。
【0041】
上記触媒体24をスタンプ25に転写させ(図2の(b))、再度上記触媒体24をプラスチックベース21に転写させる(図2の(c))という2回のスタンピング工程を使用することにより、最初に形成された触媒体24の形態をそのままプラスチックベース21の上面に金属膜の形態で使用することが出来る。
【0042】
即ち、所望のアンテナ放射体の形態に触媒体をプリントし、上記プリントされた触媒体を乾燥して一定の粘度を有するようにした後、スタンピング工程を利用して上記触媒体をアンテナベースに転写させメッキすることにより所望のアンテナ放射体を得ることが出来る。
【0043】
アンテナの製造工程上、必ずチューニング過程を行うべきであるため、このようにアンテナ放射体の形態で触媒体を形成する工程は、アンテナパターンを調節するため上記触媒体の形状を調節すれば良いという利点がある。即ち、スタンピングするパターンのメタルマスク(metal mask)のみ修正すれば良いので、パターンの修正が非常に容易になり開発期間及び開発費用が画期的に低減されることが出来る。
【0044】
従来の技術である二重射出による場合、射出金型自体を変えなければならないため膨大な経費がかかるが、本実施例の場合、比較的に単純な工程によって同一効果を得ることが出来るという利点がある。
【0045】
上記プラスチックベース21は、その表面にメッキ層が形成され難く、その表面の材料が上記触媒体24により化学的に変性できるものであれば特に制限は無く、本実施形態によって得られる金属膜パターン形成体の用度によって様々な材料を使用することが出来る。
【0046】
上記プラスチックベース21は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネートのうち一つであることが出来る。
【0047】
上記プラスチックベース21の材質及び形態によって本発明の実施形態が変わることが出来る。
【0048】
上記プラスチックベース21が移動通信端末機用の内蔵型アンテナのアンテナベースである場合には、本実施例において上記プラスチックベース上に形成されたメッキ層は上記内蔵型アンテナの放射体であることが出来る。
【0049】
上記プラスチックベース21は、内蔵型アンテナに使用される薄いキャリアフィルムであることが出来る。上記キャリアフィルム上にメッキを通して所望のアンテナパターンを形成し、上記アンテナパターンが形成されたキャリアフィルムをインモルドラベリング(In Mold Labelling)工程で移動通信端末機のケースの一面に接着させ内蔵型アンテナを具現することが出来る。
【0050】
上記プラスチックベース21は、移動通信端末機のケースであることが出来る。この場合、移動通信端末機のケースの内部面に直接アンテナパターンを形成することが出来る。
【0051】
図2の(d)は、上記触媒体により活性化されたプラスチックベースの表面にメッキ層を形成する段階である。
【0052】
本実施例においてメッキ層23を形成する段階は、無電解メッキ工程を使用することが出来る。
【0053】
無電解メッキは、Ni、Cu、Au、Co、Pdなどの金属や各種の合金(例えば、Ni合金としてはNiP、NiSnP、NiWP、NiWBなど)を適切に選択して使用することが出来る。
【0054】
ポリカーボネート系列のプラスチックベースの表面には直接メッキすることは困難であるが、本実施例では、上記プラスチックベース21の表面に所望の形態を有する触媒体24を付着させ、上記触媒体24がプラスチック表面と反応して上記プラスチック表面をメッキ可能な性質に変化させる。
【0055】
本実施例で使用された無電解メッキ工程は、硫酸銅などを含む無電解メッキ液を組成し、上記メッキ液にプラスチックベースを侵食させメッキ膜を形成する。
【0056】
上記無電解メッキ法により微細なパターンを有する金属膜を簡単に形成することが出来る。
【0057】
また、上記無電解メッキ膜を導電膜とし、電気メッキ法により無電解メッキ膜と同種または異種の金属膜を上記導電膜上に形成することが出来る。
【0058】
上記プラスチックベース21上に形成されたメッキ層23は、その実施形態によって内蔵型アンテナの放射体、電磁波遮蔽膜などで使用されることが出来る。
【0059】
図3は、本発明の他の実施形態による金属膜パターン形成体の製造方法の工程流れ図である。
【0060】
図3の(a)から(d)までを参照すると、3次元形状を有するプラスチックベース31上に触媒体34を形成してメッキ膜33を形成する工程を示す。
【0061】
上記スタンプ35は、上記プラスチックベース31の形状に沿って形が変わる程度の硬度を有することが好ましい。
【0062】
本実施例では、上記スタンプ35は上記プラスチックベース31の形状に沿って変形可能なシリコンゴムなどを使用することが出来る。
【0063】
上記スタンプ35の下面に形成された触媒体34を上記プラスチックベース31の上面だけでなく側面にも形成するため、上記触媒体34は上記プラスチックベース31の上面の長さより長く形成されている。
【0064】
上記触媒体34が上記スタンプ35の下面に形成される段階は、上記スタンプ35に液状の触媒体を直接プリントして乾燥する方法で行われることが出来る。
【0065】
好ましくは、別途の平板に一定のパターンで上記触媒体を印刷した後、一定の粘度を有するよう乾燥させ、上記スタンプ35をスタンピングする工程によって行われることが出来る。このような工程による場合、上記触媒体の形状を所望の金属パターンの形状と同一に製造できるという利点がある。
【0066】
上記触媒体34が形成されたスタンプ35を上記プラスチックベース31上にスタンピングする工程において、上記スタンプ35は上記プラスチックベース31の上部の形態に沿ってその形態が変わることが出来る。
【0067】
上記スタンプ35は、上記のようにプラスチックベース31の形態に沿って形が変わるシリコンラバーを使用することが出来る。
【0068】
従って、上記プラスチックベース31の上面だけでなく、上記プラスチックベース31の側面及び傾斜面にも上記触媒体34が密着して接着されることが出来る。
【0069】
このように接着した触媒体34は、上記プラスチックベース31の一部領域を活性化させる。プラスチックベースの活性化された部分はメッキ可能な状態になる。
【0070】
触媒体により活性化された一部領域を有するプラスチックベース31をメッキ液に浸漬させ、上記活性化された部分に対してのみメッキを実施することが出来る。
【0071】
このような工程により3次元形状を有するプラスチックベースに金属膜を形成することが出来る。これは、内蔵型アンテナに使用される場合、上記プラスチックベースの上面にはアンテナの放射部が、上記プラスチックベースの側面には上記アンテナの給電部及び接地部が形成されることが出来る。
【0072】
図4は、本発明の一実施例による金属膜パターンが形成されたアンテナベースの斜視図である。
【0073】
図4を参照すると、3次元形状を有する内蔵型のアンテナベース41上に金属膜パターン43が形成されている。
【0074】
本実施例の場合、ポリカーボネート成分のアンテナベース41上にアンテナ放射体43が形成されている。
【0075】
上記アンテナベース41は屈曲部を有する3次元形状で、上記アンテナベースの上面にはアンテナの放射部43が形成され、上記アンテナベースの側面にはアンテナの給電端子43aが形成されている。
【0076】
上記内蔵型アンテナは、上記アンテナ放射体43及び給電端子43aを含む形態に触媒体を形成して、上記触媒体を上記アンテナベース41に転写させ上記触媒体形態にメッキする方式で製造されることが出来る。
【0077】
上記放射部43は様々な形態で具現されることができ、上記アンテナベース41の上面だけでなく他の側面まで延長されるよう製造されることも出来る。
【0078】
図5は、本発明の実施形態によるアンテナパターン及び電磁波遮蔽膜が移動通信端末機のケースの内部に形成されたことを表した斜視図である。
【0079】
本実施例の場合、移動通信端末機のケース51の内部面にアンテナパターン53aと電磁波遮蔽膜53bを同時に形成するようにした。
【0080】
移動通信端末機において、アンテナの実装空間を最小にすることが端末機の小型化において重要な課題であるため、上記アンテナパターン53aを移動通信端末機のケース51上に直接形成することにより端末機の小型化が可能である。
【0081】
また、移動通信端末機の内部の無線素子による電磁波を遮断するため別途の電磁波遮蔽膜を設置することが一般であるが、移動通信端末機のケースに上記のように電磁波遮蔽膜53bを形成して実装空間を減らし製造工程を単純化させることが出来る。上記電磁波遮蔽膜53bは、移動通信端末機の印刷回路基板上の接地部と連結されることが出来る。
【0082】
この場合、2つの形態のパターンを触媒体で形成し、上記各々の触媒体を別個あるいは一つのスタンプを用いて上記移動通信端末機のケースの内部に転写させ上記移動通信端末機の内部面を活性化させることが出来る。
【0083】
上記活性化された表面に対して無電解メッキを実施し、各々移動通信端末機のアンテナパターン53a及び電磁波遮蔽膜53bを形成することが出来る。上記アンテナパターン53a及び電磁波遮蔽膜53bのメッキ膜は各々異なるメッキ物質を使用して製造されることが出来る。
【0084】
上記の実施形態の記載から明らかなように、下記の製造方法が提供される。
【0085】
スタンプの一面にプラスチック表面を活性化するための触媒体を用いて所望の金属膜パターンを形成する段階と、スタンプの一面に形成された触媒体をプラスチックベースの表面に転写させプラスチックベースの表面を活性化させる段階と、活性化されたプラスチックベースの表面にメッキする段階とを含む金属膜パターン形成体の製造方法。
【0086】
また、上記製造方法は、下記の形態を採り得る。即ち、スタンプは弾性を有している。そのスタンプの、プラスチックベースに押し付けない状態では平坦な面に触媒体により所望の金属膜パターンを形成する。続いて、金属膜パターンを有するスタンプをプラスチックベースに押し付けて、三次元的な起伏を有するプラスチックベースの形状に合わせてスタンプを変形させる。スタンプは、プラスチックベースの起伏に応じて厚さが変化する他、スタンプ自体が屈曲する変形を生じる場合もある。これにより、起伏を有するプラスチックベースの表面にスタンプを密着させて、触媒体の金属膜パターンを転写することができる。
【0087】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面により限定されない。即ち、触媒体の材質、スタンプの形態などは様々に具現されることが出来る。
【0088】
添付の請求範囲により権利範囲を限定し、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能ということは当技術分野の通常の知識を有している者には自明である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】従来の二重射出方式による金属膜形成方法の流れの断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による金属膜パターン形成体の製造方法の流れ図である。
【図3】本発明の他の実施形態による屈曲を有する金属膜パターン形成体の製造方法の流れ図である。
【図4】本発明の一実施例による移動通信端末機用内蔵型アンテナの斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例による移動通信端末機ケースの内部にアンテナ及び電磁波遮蔽膜を形成した平面図である。
【符号の説明】
【0090】
21 プラスチックベース
23 メッキ層
24 触媒体
25 スタンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンプの一面にプラスチック表面を活性化するための触媒体を用いて所望の金属膜パターンを形成する段階と、
前記スタンプの一面に形成された触媒体をプラスチックベースの表面に転写させ前記プラスチックベースの表面を活性化させる段階と、
前記活性化されたプラスチックベースの表面にメッキする段階と
を含む金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項2】
前記スタンプの一面に触媒体を形成する段階は、
液状の触媒体で所望の金属膜パターンを印刷する段階と、
前記印刷された触媒体が一定の粘度を有するよう乾燥させる段階と、
前記乾燥した触媒体パターンをスタンプに転写させる段階と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項3】
前記触媒体は、
転写過程で所望のパターンの形態を維持することが出来るよう一定の粘度を有することを特徴とする請求項1に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項4】
前記触媒体は、
前記触媒体が転写されるプラスチックベースの表面と接着されることができ、メッキ層を形成することが可能な物質であることを特徴とする請求項1に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項5】
前記触媒体は、
ABS系列の樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項6】
前記スタンプは、
3次元表面に対してスタンピングが出来るよう一定の硬度を有することを特徴とする請求項1に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項7】
前記スタンプは、
シリコンラバーであることを特徴とする請求項6に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項8】
前記プラスチックベースは、
ポリカーボネート成分からなる内蔵型アンテナのベース、キャリアフィルム、または移動通信端末機のケースのうち一つであることを特徴とする請求項1に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。
【請求項9】
前記メッキする段階は、
銅イオンを利用する無電解メッキであることを特徴とする請求項1に記載の金属膜パターン形成体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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