説明

金属部材、位置検出装置、駆動装置、物体検出装置および金属部材の加工方法

【課題】光の反射を利用して位置が検出される金属部材を用いた位置制御機構を備えた物体検出装置において、傷の影響による位置検出精度の低下を小さくする。
【解決手段】板バネ202aおよび202bによって支持された可動部材205にレンズ部206が設けられ、電磁力を利用した駆動手段218によってレンズ部206が矢印AまたはBの方向へ動かされる。この構成において、板バネ202bの位置を検出するための検査光が照射される領域204を粗面化し、検査光を乱反射させる。こうすることで、板バネ202bの表面に傷が付いても、それが板バネ202bの位置検出精度に影響しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材の位置を光学的に計測する構成に利用可能な金属部材に係り、当該金属部材の位置を正確に検出するために必要な反射特性を粗面化処理によって得る技術に関する。またこの金属部材を利用した位置検出装置、さらにこの位置検出装置を利用した駆動装置、さらにこれらの装置を利用した物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載され、外部の物体の有無、さらにその物体までの距離を検出する物体検出装置が知られている。この物体検出装置は、例えばレーザ光を照射し、その反射光を検出することで、物体の検出やその物体までの距離の検出を行う。レーザ光以外には、ミリ波(波長がミリオーダーの電磁波)を利用した構成も知られている。
【0003】
車載型の物体検出装置は、車両の周囲を効果的に探査するために、レーザ光を利用した構成においてはレンズを、ミリ波を利用した構成においてはアンテナを動かす必要がある。この機構に関しては、例えば特許文献1に記載されている。またこの機構において、レンズやアンテナの動きを正確に検出するために、アクチュエータとして板バネを利用し、この板バネの変位を光学的に検出する構成が、例えば特許文献2に記載されている。この構成においては、板バネに検査光を照射し、その反射光を検出する構造の反射型センサによって板バネの変位を検出している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−123252号公報
【特許文献2】特開2004―264062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載されているような、反射型センサによって板バネの変位を検出する構成においては、検査光を反射する板バネ表面の反射状態が検出結果に大きな影響を与える。また、板バネをアクチュエータとして利用する構成においては、板バネの材質に、良好な電気伝導性、板バネとして利用可能な弾性、組み立て時に半田付けが可能であること、といった事項が要求される。これら要求を満足する板バネの材質として、燐青銅に錫メッキを行ったものが適している。
【0006】
しかしながら、錫メッキをした表面は傷つきやすく、メッキ工程後の成形工程や打ち抜き工程において傷が発生し易い。この傷の部分では、照射される検査光の反射状態が変化するので、その影響が反射型センサの出力に現れる。この影響は、板バネの変位を算出する際のノイズとなり、板バネの変位を正確に検出する際の障害となる。
【0007】
このような背景において、本発明は、光の反射を利用してその位置を検出する金属部材において、傷の影響による検出精度の低下を小さくすることができる技術を提供することを目的とする。また本発明は、位置の検出対象である金属部材に発生した傷の影響を受け難い位置検出装置を得ることを他の目的とする。また本発明は、この位置検出装置を利用した物体検出装置を得ることをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光が照射され、その反射光が検出されることで、位置の検出が行われる金属部材であって、前記光が照射される部分に粗面化処理が施されていることを特徴とする。本発明によれば、検査光(センシング光)が照射される部分が粗面化されているので、その部分において検査光が拡散されて反射する。このため、その部分に傷があっても傷部分からの反射光は、傷周囲からの散乱した反射光に紛れて目立たなくなる。これにより、センサの出力に現れる傷の影響を小さくすることができる。そして、金属部材として傷つきやすい材質を採用した場合であっても、位置の検出精度にバラツキのない製品を得ることができる。
【0009】
ところで、理想的な鏡面に検査光を照射し、その反射光を検出することで、この鏡面の位置を検出しようとする場合、反射光のビームが鋭く成り過ぎ、鏡面の僅かな歪みや振動の影響が反射光の検出出力に大きく影響する。このため、位置の正確な検出に支障が出る。このことは、温度変化および振動のある環境において位置検出装置を作動させる場合に不利となる。例えば、温度変化および振動のある環境での稼働が要求される車載用の物体検出装置には不利となる。本発明によれば、入射光が反射面において適度に散乱されて反射されるので、上述した温度変化や振動の影響が反射状態に及び難い。そのため、本発明の金属部材を利用することで、厳しい環境における利用に適した位置検出装置を得ることができる。
【0010】
本発明は、金属部材を板バネとして利用した場合に特に有効である。板バネの変形を光学的に検出する場合、板バネが撓るので、板バネの変形の状態によって、検査光の光軸と反射面に垂直な軸とのなす角度が変化する。このため、反射面が鏡面であると、反射光は傷の影響を非常にうけ易くなる。本発明によれば、検査光が反射面において拡散するので、板バネの撓りを光学的に検出する場合に、板バネの撓りの状態によって傷からの反射光の影響が大きく現れてしまう現象を抑えることができる。また、傷が無い場合であっても、反射光が適度に散乱されて反射されるので、反射面の湾曲による反射光の急激な変化がなく、そのため温度変化や振動の影響を受けにくい位置検出を行うことができる。
【0011】
上記金属部材として板バネを採用する態様において、金属部材は燐青銅に錫メッキが施されたものであることが望ましい。周知にように燐青銅は、バネ部材に好適であり、また電気伝導性も高いので、本発明をアクチュエータとして利用する場合に望ましい材質となる。また、錫メッキが施された構成とすることで、半田付けが容易となり、製品としてアセンブルし易い部材とすることができる。なお、板バネの材料として、燐青銅以外の金属を用いることも可能である。
【0012】
本発明において粗面化処理は、マトリクス状に形成されたスポットレーザ光の照射跡であることが望ましい。スポットレーザ光をマトリクス状に照射することで、略円形状に表面が瞬間的に溶融された照射痕を金属部材の表面に形成することができる。この照射痕は、金属部材の表面やそのメッキ面の表面が、レーザ光のエネルギーにより瞬間的に溶融固化することによって形成されるもので、クレータのような形状を有している。この照射痕をマトリクス状に走査して形成することで、入射光が効果的に乱反射される粗面化面を形成することができる。なお、照射痕を明確に残すような条件で多数の照射痕をマトリクス状に配列させると、粗面化構造としてシボ面が形成される。
【0013】
スポットレーザ光とは、一点一点にビームを個別に照射する形式のレーザ光のことをいう。スポットレーザ光の波長としては、0.8〜2μm程度の赤外領域の波長が適当である。スポットレーザ光の照射装置としては、金属に小さな印字を行う目的で市販されているレーザマーカ用の装置を利用することができる。マトリクス状とは、縦横に照射痕が並んだ状態をいう。照射痕の並び方は、縦横に正確に並んでいても良いし、1行毎または1列毎に千鳥状にずれていても良い。なお、レーザ光のビーム形状を選択することで、照射痕の形状は自由に選択することが可能である。また金属部材がメッキされている場合、照射痕において下地の金属部材表面が露出しないように条件を設定することが望ましい。
【0014】
スポットレーザ光の照射痕の平均径を、検出する金属部材の位置の検出精度より小さくすることが望ましい。スポットレーザ光の照射痕は、それが金属部材表面からの反射光を散乱させる為に形成されている。この散乱の程度はより細かい方が好ましいが、それには、照射痕の径を小さくする必要がある。照射痕の径が検出する金属部材の位置の検出精度程度となると、場所による散乱の程度の違いが反射光の検出結果に影響するようになり、反射光の検出による位置の検出精度に誤差が出るようになる。したがって、場所による反射光の散乱の程度が平均化され、場所による表面状態の違いが反射光の強弱に影響を与えないようにするためには、スポットレーザ光の照射痕の平均径を、検出する金属部材の位置の検出精度より小さくすることが望ましい。例えば、検出精度が100μmであれば、照射痕の平均系を100μmより小さくすることが望ましい。また乱反射の効果をより高く得るには、照射痕の平均径を、金属部材の検出位置精度の75%程度以下、さらには50%程度以下とすることが望ましい。なお、照射痕の径を小さくし過ぎると、粗面が細かくなり過ぎ、乱反射の作用が低下する。したがって、照射痕の径の下限値は、照射光の波長程度とすることが望ましい。
【0015】
粗面化を行うための手段としては、上述したスポットレーザ光を照射する方法以外に、サンドブラスト、ドライエッチング、あるいはウェットエッチングを利用することもできる。この中で、作業性や作業コストの点において、レーザ光を用いる方法が特に優れている。
【0016】
本発明の金属部材を利用することで、この金属部材の位置を検出する位置検出装置を得ることができる。すなわち、本発明の位置検出装置は、上述した何れかの構成を有する金属部材と、前記金属部材を動かす駆動手段と、前記金属部材に光を照射する光照射手段と、前記金属部材からの反射光を検出する光検出手段と、前記光検出手段の出力に基づいて前記金属部材の位置を算出する位置算出手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、光照射手段から金属部材に光が照射され、その反射光が光検出手段によって検出される。光照射手段と金属部材の非照射面との間の距離に応じて光の伝わる時間が決まるので、光検出手段の出力から光照射手段、光検出手段および金属部材の被照射面の位置関係を求めることができる。位置算出手段は、このための演算を行い金属部材の被照射面の位置を算出する。この構成によれば、金属部材の反射面に傷がついていても、そこが粗面化されているので、傷の影響が反射光に現れることが抑えられる。このため、傷の影響が位置の検出結果に悪影響を及ぼすことを抑えることができる。また、粗面化により反射光が適度に乱反射されるので、厳しい温度環境や振動する環境において、温度変化に起因する金属部材の僅かな変形、温度変化に起因する光照射手段および光検出手段のマウント状態の僅かな変位、振動による光軸のずれ、といった影響が検出結果に現れ難い。このため、本発明の位置検出手段は、温度や振動の点で厳しい環境に置かれる車載用の用途に適したものとなる。
【0018】
上述した位置検出装置を利用して、レンズ等の駆動装置を得ることができる。すなわち、本発明の駆動装置は、上述したいずれかの構成を有する金属部材と、前記金属部材を動かす駆動手段と、前記金属部材に光を照射する光照射手段と、前記金属部材からの反射光を検出する光検出手段と、前記光検出手段の出力に基づいて前記金属部材の位置を算出し、その算出結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、前記金属部材によって位置が制御される光学部品を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の駆動装置によれば、光検出手段の出力に基づいて、制御手段は、金属部材の位置を算出し、さらにその結果に基づいて金属部材を動かす駆動手段を制御する。これにより、金属部材が位置決めされつつ、その動きが制御される。こうして、金属部材の位置(あるいは変位)を検出してその動きを制御し、それによりレンズ等の光学部品の位置の制御が行われる。なお、光学部品としては、レンズやミラーを挙げることができる。
【0020】
上述した駆動装置は、物体の検出や物体までの距離を検出するレーダーとしての機能を有する物体検出装置に利用することができる。すなわち、本発明の物体検出装置は、前述したいずれかの構成を有する金属部材と、前記金属部材を動かす駆動手段と、前記金属部材に光を照射する光照射手段と、前記金属部材からの反射光を検出する光検出手段と、前記光検出手段の出力に基づいて前記金属部材の位置を算出し、その算出結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、前記金属部材によって位置が制御される光学部品と、前記光学部品から出力され、所定の物体で反射された反射波を検出する反射波検出手段と、前記反射波検出手段の出力に基づいて物体の有無、または前記物体までの距離を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の物体検出装置は、レンズ等の光部品の位置が、位置制御された金属部材によって制御される。光部品から出力(放射)された光の反射波は、反射波検出手段によって検出され、反射波検出手段の出力に基づいて物体の有無やそこまでの距離が算出手段において算出される。本発明の物体検出装置によれば、物体の検出やそこまでの距離の測定を行うための光の照射範囲や検出範囲を金属部材の動きによって制御することができる。このため、広範囲の探索に適した物体検出装置を得ることができる。
【0022】
本発明は、光が照射され、その反射光が検出されることで、位置の検出が行われる金属部材の加工方法であって、前記光が照射される面に粗面化処理を施すことを特徴とする。本発明によれば、反射光の検出により位置の検出を行う用途に適した金属部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光の反射を利用してその位置を検出する金属部材において、傷の影響による検出精度の低下を小さくすることができる。また本発明によれば、位置の検出対象である金属部材に発生した傷の影響を受け難い位置検出装置を得ることができる。また本発明によれば、探索手段の探索範囲の制御性に優れた物体検出装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
1.第1の実施形態
第1の実施形態においては、本発明を利用した金属部材の例を説明する。
(製造方法)
図1は、本発明の金属部材の一例である燐青銅板を得る工程を示す概念図である。まず、厚さ100μmの燐青銅板を用意する。ここでは、図1(A)に示すような適当な幅を有し、長尺状の厚さ100μmの燐青銅板101を用意する。図1(A)に示す燐青銅板101は、符号102に示すように巻かれた状態にあり、これを巻き戻しながら点線103の部分で切断し、適当な幅(例えば2cm程度)の帯状の燐青銅板104を得る。図1(B)には、帯状の燐青銅板104が巻かれ、一部引き出された状態が示されている。
【0025】
次に帯状の燐青銅板104が巻かれたものを図示しないメッキ装置にセットし、表裏に錫の被膜をメッキする。錫の被膜の厚さは、1μmとする。錫の被膜の厚さは任意であるが、薄すぎると後のレーザ光の照射による粗面化において、下地が露出し易くなり、厚すぎると材料の無駄が多くなるので、0.5〜5μm程度が適当である。次に錫がメッキされた帯状の燐青銅板104が巻かれたものを打ち抜き加工装置にセットし、図1(C)に示すように流れ作業により打ち抜き加工し、図1(D)に示す燐青銅板105の小片を得る。
【0026】
次に符号106の領域にレーザ光の照射による粗面化処理を施す。ここでは、レーザ光による刻印を行う用途で市販されているレーザマーカ用のYVOレーザ照射装置を利用する。このレーザ照射装置は、定格出力が6W(CW時の平均値)であり、波長が1.064μmのパルスレーザビームを最高200kHzの繰り返し周波数で90mm角の領域内に走査して照射することができる。
【0027】
図2は、本実施形態で利用したレーザ照射システム20の概要を示す概念図である。図2に示すシステムにおいては、半導体レーザ発振装置21から励起用のレーザ光が発振され、それが光ファイバケーブル23を介して、レーザ照射ユニット22に導かれる。励起レーザ光は、レーザ増幅ユニット24に導かれ、そこで波長1.064μmのスポットレーザ光がパルス状に発振される。レーザ増幅ユニット24は、YVO結晶とレーザ増幅に必要なミラー類およびビーム整形のための光学系を備えている。YVO結晶の末端に、励起レーザ光が照射されることで、エンドポンピング方式で波長1.064μmのレーザ光が作り出される。レーザ増幅ユニット24から出力されたレーザ光は、ミラー25で反射され、ミラーとレンズを組み合わせた出力光学系26から装置外に出力される。
【0028】
出力光学系26は、図示しない可動式のミラーを備え、その動きは、駆動装置28および29によって制御される。また、駆動装置28および29の動作は、制御装置27によって制御される。出力光学系26の可動式のミラーを、レーザ光の発振タイミングに合わせて動かすことで、出力されるパルスレーザ光30を走査させて被照射物に照射することができる。なお、走査の軌跡は、任意に設定することができる。この例においては、図1(E)に示す燐青銅板の小片105を適当なステージ31上にセットし、図1(E)に示す領域106にレーザ照射ユニット22からのパルスレーザ光30を走査させつつ照射し、粗面化処理を施した。この例においては、燐青銅板105の表面を覆った錫メッキ膜の表層がレーザ光によって瞬間的に溶融固化する条件に設定して粗面化処理を行った。
【0029】
(表面状態および光学特性)
図3および4は、パスルレーザ光の照射による粗面化処理が終了した状態における領域106の表面状態を撮影したSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)写真である。図3および4には、略円形状の照射痕が部分的に重なるように、また互い違いに位置がずれるように照射痕のマトリクスが形成されている状態が示されている。図3および4に示す粗面化は、パワーを定格出力の60%とし、30μm径のレーザパルスを、30kHの繰り返し周波数、2000mm/秒の走査速度で、1列ずつ走査しながら照射し、さらに列の間隔を40μとした場合の例である。この場合、走査される1列の線上において、隣接するスポットレーザ光の間隔は、(走査速度)/(繰り返し周波数)で求められるから、2×10/30×10=約67μmとなる。
【0030】
図3(A)には、意図的に傷を付けた面の半分(図の約右半分)にレーザ光の照射により粗面化処理が行われ、残りの半分(図の約左半分)にはレーザ光の照射を行わなかった部分が示されている。図3(A)から、傷が形成されていても、粗面化処理によりそれが目立たなくなることが分かる。これは、粗面化により反射光の乱反射状態が顕著になり、傷部分からの反射光が乱反射した反射光によってマスクされてしまうからである。
【0031】
図3(B)、図4(A)および(B)には、スポットレーザ光が照射された燐青銅板上の錫膜の表面が瞬間的に溶融し、同時に瞬間的に固化することで、略円形のクレータ状の照射痕が形成される現象が示されている。またこの条件によれば、図3および図4に示されるようにシボ面が形成されることが分かる。
【0032】
図5は、上述した条件による粗面化を施した前後における反射率の偏差を示すグラフである。このグラフは、錫メッキした燐青銅板の表面に試験光を照射し、その反射光を光検出センサで検出した際の光検出センサの出力に基づいている。縦軸の反射率の偏差は、反射光を検出した際における光検出センサの出力の平均値をP(平均)、個々の反射光を検出した際における光検出センサの出力をPとした場合に、下記「数1」によって算出される。
【0033】
【数1】

【0034】
図5の横軸は、直線上のある位置を基準として、そこからプラス方向における所定の位置までの距離、およびマイナス方向の所定の位置までの距離である。仮に、反射光の強度に位置によるバラツキがなければ、図5のプロット点は、横軸の値に関係なく、縦軸の0.0%の位置にプロットされる。つまり、縦軸の0.0%の点を通る水平な直線上にプロット点が乗る。
【0035】
ここでは、意図的に錫メッキ表面に傷を付けたサンプルを用意し、まず粗面化前のデータを採取した。このデータに基づいたプロット点が、◆印で示されているプロット点である。次に同じサンプルに対して、上述したレーザ光の照射による粗面化処理を施し、同じ場所に対して同様の計測を行ったデータに基づいたプロット点が、■印で示されているプロット点である。
【0036】
図5のプロット点◆から分かるように、粗面化処理を行わない場合、横軸の+0.15mm付近の反射率の偏差が大きく上昇し、また全体的に反射率が平気値から±に大きく振れている。この+0.15mm付近の反射率の偏差が大きく上昇している付近には、意図的に形成した傷が存在することが光学観察により確認されている。このことより、傷が存在することで、反射率が大きく影響を受けることが分かる。なお、錫メッキ膜上の傷は、爪で引っ掻く程度のことで簡単に形成することができる。
【0037】
図5のプロット点■からは、+0.15mm付近における傷の影響による反射率の大きな偏差をほぼ完全に消すことができることが分かる。これは、図3および4に示されるような規則正しく並んだレーザ光の照射痕により、入射光が適度に散乱され、そのために傷があってもそれが反射光の強度に与える影響が抑えられるからである。また粗面化処理を行うことで、偏差のバラツキを全体的に小さく抑えることができることが分かる。これは、図3および4に示されるようなレーザ光の照射痕により、入射光が適度に散乱され、そのために錫メッキ面の表面に存在する平面の不均一性(うねり)、材質の不均一性、汚れの状態、といった不安定要素の影響が、反射光の強度に現れ難くなったためである。
【0038】
2.第2の実施形態
(製造方法)
本実施形態は、第1の実施形態の粗面化におけるレーザ光の照射条件を変更した場合の例である。本実施形態においては、レーザ光の出力を定格(CW平均時で6W)とし、30μm径のレーザパルスを、150kHの繰り返し周波数、3000mm/秒の走査速度で、1列ずつ走査しながら照射し、さらに列の間隔を20μmとした場合の例である。この場合、走査される1列の線上において、隣接するスポットレーザ光の間隔は、3×10/150×10=20μmとなる。本実施形態においては、第1の実施形態の場合に比較してパワー密度が大きくなり、また隣接するスポットレーザ光間の間隔が狭く、かなり照射痕が重なった状態となる。
【0039】
(表面状態および光学特性)
図6および7は、粗面化処理が終了した状態における錫メッキした燐青銅板の表面状態を撮影したSEM写真である。図6(A)の下部分は、粗面化処理が施されなかった領域であり、上部分は、粗面化処理が行われた領域である。図6(A)の下部分には、粗面化処理を行う前に意図的に形成した傷の線が2本見えている。図6(A)の上部分から明らかなように、傷が粗面化処理により目立たなくなる。図6(A)の粗面化された領域の傷が形成されている領域を拡大したものが図6(B)である。図6(B)には、僅かに傷の跡が見えている。図7は、図6(B)の傷が形成されている領域をさらに拡大したものである。図7から、傷の痕跡が僅かに観察されるが、粗面化処理により表面全体に凹凸状態が形成され、傷の反射状態に及ぼす影響が大きく低減されていることが分かる。また、表面のメッキ面が瞬間的に溶融することで、傷となる鋭い溝構造がならされ、傷が目立たなくなっている様子が観察される。
【0040】
図6および7に示されるように、本実施形態の粗面化条件では、スポットレーザ光の照射痕が明確ではない。これは、本実施形態においては、第1の実施形態の場合に比較してパワー密度が大きくなり、また隣接するスポットレーザ光間の間隔も狭いために、照射痕の輪郭が消されているためであると考えられる。
【0041】
図8は、上述の粗面化処理の前後における反射率の偏差を示すグラフである。図8の横軸および縦軸の意味は、図5と同じである。図8において白抜きのプロット点□◇△が粗面化処理前の計測データに基づくプロット点であり、黒塗りのプロット点■◆▲が同じ検出位置における粗面化処理後の計測データに基づくプロット点である。ここで、□◇△の違い(■◆▲の違い)は、横軸のY方向に直交するX軸方向における測定位置の違い(この場合は、0.1mm毎の位置の違い)を意味している。
【0042】
図8から分かるように、粗面化処理を施すことで、プロット点□◇△によって示される偏差のバラツキが、プロット点■◆▲によって示されるように小さくなる。このことから、レーザ光の照射による粗面化処理を行うことで、反射状態の均一性を向上させることができることが分かる。
【0043】
3.第3の実施形態
(実施形態の構成)
第3の実施形態においては、本発明を利用した金属部材を利用した物体検出装置の例を説明する。図9は、発明を利用した物体検出装置の概要を示す斜視図(A)と上面図(B)である。図10は、発明を利用した物体検出装置の概要を示すブロック図である。
【0044】
(機械的な構成)
図9に示すように物体検出装置200は、装置全体を支える筐体である固定部材201に、図1に示す錫メッキされた燐青銅板105を利用した板バネ202aおよび202bが取り付けられている。固定部材201には支持柱201aが固定され、その先端の板バネ202bに面した位置に位置検出手段203が取り付けられている。位置検出手段203は、反射型の光センサを構成しており、図10に示すように発光素子203aおよび受光素子203bを備えている。図9に戻り、板バネ202bの位置検出手段203の対向する位置の表面には、第1の実施形態で説明した粗面化処理を施した粗面化領域204が形成されている。粗面化領域204は、図1(E)の符号106によって示される領域に相当する。
【0045】
この例においては、図3および4に示す粗面化状態が得られる条件により、粗面化領域204における粗面化を行う。図3および4から概算されるように、この粗面化条件におけるスポットレーザ光の照射痕の径は、40〜60μm程度となる。また、本実施形態における板バネ202bの位置検出精度は、100μmである。このように、粗面化に利用するスポットレーザ光の照射痕の径を検出対象物の位置検出精度の半分程度にすることで、適度な乱反射が行われる粗面化面を得ることができる。
【0046】
2枚の板バネ202aおよび202bの先端には、これら板バネによって支持される可動部材205が取り付けられている。可動部材205には、レンズ部206とコイル207が取り付けられている。レンズ部206は、投光用レンズ206aと受光用レンズ206bを備えている。コイル207は、板バネ202aおよび202bを介して、図10に示す駆動回路210に電気的に接続されている。
【0047】
固定部材201には、コイル207の前方を遮るように配置された磁石支持板201bが設けられている。磁石支持板201bのコイル207側には、磁性材料で構成された平たい直方体形状のヨーク209が配置され、ヨーク209には、ヨーク209より幅が狭い平たい直方体形状の磁石208aおよび208bが配置されている。磁石208aはコイル207に対向する面がS極であり、その反対面がN極に設定され、磁石208bは、反対にコイル207に対向する面がN極であり、その反対面がS極に設定されている。ヨーク209は、磁石208aおよび208bが作る磁束の密度を高めるために配置されている。コイル207、磁石208aおよび208bによって、可動部材205を固定部材201に対して動かすための駆動手段218が構成される。また、固定部材201には、物体検出手段211が配置されている。物体検出手段211は、図10に示すように探索用のレーザ光を発生する発光素子211aと、外部の物体から反射されたレーザ光の検出を行う受光素子211bを備えている。
【0048】
(電気的な構成)
次に図10を用いて物体検出装置200の電気的な構成について説明する。物体検出手段211を構成する発光素子211aは、制御部213に制御される発振回路212によって駆動され、探索光となるレーザ光を発光する。投光用レンズ206aは、この探索光となるレーザ光を外部に照射する。外部の物体で反射された探索光は、受光素子211bによって検出され、それが電気信号として検出回路219によって検出される。この検出結果は、制御部213に出力され、それに基づき制御部213は、物体検出および検出された物体までの距離を算出する演算を行う。
【0049】
コイル207には、制御部213内の駆動回路210からの駆動電流が流される。この駆動電流の向きおよび値が制御されることで、可動部材205に配置されたレンズ部206の動きが制御される。そしてレンズ部206を動かすことで、物体検出手段211の探索範囲を変えることができる。
【0050】
位置検出手段203は、発光素子203aから板バネ202bに検査光を照射し、その反射光を受光素子203bで受信する。受光素子203bの出力は、制御部213において解析され、板バネ202bと位置検出手段203との間隔が算出される。これにより、板バネ202bの変位の状態が制御部213において認識される。制御部213は、この板バネ202bの変位の状態に基づいて、レンズ部206を動かす制御を行う。これにより、物体検出手段211の探索範囲を可変する制御が行われる。
【0051】
制御部213は、駆動回路210、制御全体を統括するCPU214、比較判定器215、データベース216、A/D変換器217、およびアンプ220を備えている。CPU214には、比較判定器215から、板バネ202bの変位量に関するデータが入力される。比較判定器215には、アンプ220で増幅され、A/D変換器217でデジタル信号に変換された受光素子203bからの出力信号が入力される。データベース216には、予め実験的に求めておいた受光素子203bの出力値と、板バネ202bの基準位置からの変位量との関係を数値化したデータテーブルが基礎データとして記憶されている。比較判定器215は、受光素子203bの出力値とデータベース216に記憶されている基礎データとを比較し、板バネ202bの変位量を得る。CPU214は、この変位量のデータに基づいて、駆動回路210に駆動信号を出力し、それに基づき駆動回路210は、コイル207に流す駆動電流の出力タイミング、極性および電流値を調整する。
【0052】
またCPU214は、発振回路212に発振を行わせるタイミングを調整し、この発振タイミングと検出回路219の出力信号とを比較することで、発光素子211aから発せられた探索光が外部の物体で反射された場合にそれを検出し、またその場合に当該物体までの距離を算出する。なおこの結果は、物体検出装置200外に出力される。例えば、物体検出装置200が車載型である場合、上述した物体検出手段211からの検出結果に基づいた情報が、運転席において、音声情報や視覚情報として運転者に報知される。
【0053】
(実施形態の動作)
物体検出手段211は、制御部213に制御されてレンズ部206を介して探索光を外部に照射する。この際、コイル207に流される駆動電流によって、レンズ部206が図9(B)の矢印AまたはBの方向に動かされ、探索光の照射範囲が動かされる。すなわち、コイル207に駆動電流を流さない状態では、コイル207と磁石208aおよび208bとの間に電磁的な相互作用が働かないので、コイル207に電磁力は働かず、図9(B)の状態となる。そして、コイル207に所定の向きの駆動電流を流すと、磁石208aからの磁束とコイル207の対向する辺を流れる駆動電流との間にフレミングの左手の規則に従った電磁力が働く。この電磁力の向きは、図中の符号AまたはBの方向となる。この時、磁石208bからの磁束とコイル207の対向する辺を流れる駆動電流との間にもフレミングの左手の規則に従った電磁力が働く。一方において、磁石208bに着目した場合、磁束の向きと駆動電流の流れる向きが磁石208aに着目した場合と逆であるので、両者においてコイル207に作用する電磁力の向きは同じとなる。つまり、コイル207に電流を流すことで、コイル207に矢印AまたはBの方向への電磁力が作用する。この電磁力によって、板バネ202aおよび202bが撓み、可動部材205が矢印AまたはBの方向に移動する。
【0054】
図11は、板バネ202aおよび202bが撓み、可動部材205が動いた状態を示す概念図である。図11(A)には、コイル207に所定方向の第1の電流を流し、可動部材205が矢印Aの方向に移動した状態が示されている。図11(A)の状態において、コイル207に流す電流の向きを逆にすると、コイル207に作用する電磁力の向きが(A)の場合と逆になり、可動部材205は、(A)の場合の逆の図11(B)に示す矢印Bの方向に動く。つまり、コイル207に流す電流の向きを反転させることで、可動部材205の動く方向を選択することができる。
【0055】
撓んだ板バネ202aおよび202bは、電磁力と板バネの撓みの反発力とがバランスした位置で停止する。コイル207に働く電磁力は、コイル207に流れる電流値に比例するから、図10の駆動回路210から供給される駆動電流の値を制御することで、板バネ202aおよび202bの変位量を制御することができる。この変位量は、位置検出手段203によって検出され、制御部213において解析され、その解析結果は駆動回路210の制御にフィードバックされる。こうして、レンズ部206の位置が正確に制御され、物体検出手段の探索範囲を変える制御が正確に行われる。
【0056】
(実施形態の優位性)
図9の構成においては、板バネ202bの位置検出手段203からの検査光を反射する符号204の領域にレーザ光の照射による粗面化が施されているので、反射光が適度に乱反射する。このため、図5や図8のデータに示されるように、傷の影響が反射光に現れ難く、傷の影響が位置検出手段203の検出出力に及び難い。このため、レンズ部206の位置制御を正確に行うことができる。図1に示すような生産性に優れた方式を用いて板バネ202bを製造した場合、錫メッキ面に傷が付きやすい。従って、傷の影響が最終的な製品の特性に表れ難いことは、低コストと最終製品の性能を追究する上で大きなメリットとなる。
【0057】
また、図11から理解されるように、レンズ206を動かすと、板バネ202bが湾曲する。仮に位置検出手段203からの検査光の反射面が鏡面であると、反射光のビームが鋭くなり、上述した湾曲時に反射光の検出出力が急激に変化し易く、検出特性がクリティカルになる。この場合、振動や温度変化の影響を受けやすく、また検出データの誤差も生じやすい。しかしながら、反射面が適度に荒れており、反射光が適度に散乱されることで、反射面の湾曲の影響、振動の影響、あるいは温度変化の影響が反射光の強度に現れ難くなる。したがって、厳しい環境での使用に適したデバイスを得ることができる。
【0058】
4.他の実施形態
図9および図10に示す構成は、物体検出のための機構を除くと、レンズ部206の動きを駆動する駆動装置となる。この駆動装置は、撮像装置における撮像範囲の制御、光照射装置の光照射範囲の制御といった用途に利用することができる。
【0059】
また、図9および図10に示す基本構成を利用して、ミリ波に代表される電波を用いた物体検出装置を得ることもできる。この場合、板バネの湾曲によってアンテナの指向方向を制御する構成とすればよい。またこの場合、物体検出手段として、電波の送受信装置が配置されることになる。
【0060】
また図9に示す例は、固定部材201に対して可動部材205が1軸方向(水平方向)へ移動する例であるが、可動部材205をさらにこの移動方向(図11の矢印AまたはBの方向)に直交する方向(垂直方向)に移動させる構成とすることもできる。この場合、駆動手段218と基本的に同じ構造のものがもう一つ設けられ、対応する板バネがもう一組配置され、直交する2軸方向に可動部材205が駆動される。このような構成とした場合、図9(A)に示す構造において、板バネ202bが左右に湾曲するだけではなく上下方向にも移動する。仮に、この板バネ202bの上下方向の動きに起因して、位置検出手段203が検出する反射光に変化があると、位置検出手段203の出力からは、それが板バネ202bの水平方向の湾曲であるのか、それとももう一方の軸方向(上下方向)の動きに起因するものであるのか、が判別できなくなる。例えば、板バネ202b表面の傷の影響が、位置検出手段203が検出する反射光に大きな影響を与える場合、傷の位置によっては、上述した可動部材205の移動方向が判別できなくなる不都合が生じる。しかしながら、本発明の粗面化処理を反射面に施してある場合、反射波に現れる傷の影響が抑えられるので、垂直方向に可動部材205を移動させた際における傷に起因する位置検出手段203からのノイズの検出を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、位置検出装置、位置検出装置を利用した駆動装置、さらにこれら装置を利用した物体検出装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を利用した金属部材を製造する工程の一例を示す概念図である。
【図2】粗面化を行うレーザ光の照射システムの概要を示す概念図である。
【図3】レーザ光の照射による粗面化処理が施された燐青銅板の表面を示す写真である。
【図4】レーザ光の照射による粗面化処理が施された燐青銅板の表面を示す写真である。
【図5】粗面化処理が施された前後における燐青銅板表面の反射率の偏差を示すグラフである。
【図6】レーザ光の照射による粗面化処理が施された燐青銅板の表面を示す写真である。
【図7】レーザ光の照射による粗面化処理が施された燐青銅板の表面を示す写真である。
【図8】粗面化処理が施された前後における燐青銅板表面の反射率の偏差を示すグラフである。
【図9】発明を利用した物体検出装置の概要を示す斜視図(A)と上面図(B)である。
【図10】発明を利用した物体検出装置の概要を示すブロック図である。
【図11】発明を利用した物体検出装置における動作の状態を示す概念図である。
【符号の説明】
【0063】
105…燐青銅板の小片、106…レーザ光の照射により粗面化された領域、200…物体検出装置、201…固定部材、201a…支持柱、201b…磁石支持板、202a…板バネ、202b…板バネ、203…位置検出手段、203a…発光素子、203b…受光素子、204…粗面化領域、205…可動部材、206…レンズ部、206a…投光用レンズ、206b…受光用レンズ、207…コイル、208a…磁石、208b…磁石、209…ヨーク、210…駆動回路、211…物体検出手段、211a…発光素子、211b…受光素子、212…発振回路、213…制御部、214…CPU、215…比較判定器、216…データベース、217…A/D変換器、218…駆動手段、219…検出回路、220…アンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が照射され、その反射光が検出されることで、位置の検出が行われる金属部材であって、
前記光が照射される部分に粗面化処理が施されていることを特徴とする金属部材。
【請求項2】
前記金属部材が、板バネであることを特徴とする請求項1に記載の金属部材。
【請求項3】
前記金属部材は燐青銅に錫メッキが施されていることを特徴とする請求項2に記載の金属部材。
【請求項4】
前記粗面化処理が、マトリクス状に形成されたスポットレーザ光の照射跡であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属部材。
【請求項5】
前記照射跡の平均径が前記位置の検出精度より小さいことを特徴とする請求項4に記載の金属部材。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の金属部材と、
前記金属部材を動かす駆動手段と、
前記金属部材に光を照射する光照射手段と、
前記金属部材からの反射光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の出力に基づいて前記金属部材の位置を算出する位置算出手段と
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項7】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の金属部材と、
前記金属部材を動かす駆動手段と、
前記金属部材に光を照射する光照射手段と、
前記金属部材からの反射光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の出力に基づいて前記金属部材の位置を算出し、その算出結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記金属部材によって位置が制御される光学部品と
を備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
前記請求項1〜5のいずれかに記載の金属部材と、
前記金属部材を動かす駆動手段と、
前記金属部材に光を照射する光照射手段と、
前記金属部材からの反射光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の出力に基づいて前記金属部材の位置を算出し、その算出結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記金属部材によって位置が制御される光学部品と、
前記光学部品から出力され、所定の物体で反射された反射波を検出する反射波検出手段と、
前記反射波検出手段の出力に基づいて物体の有無、または前記物体までの距離を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項9】
光が照射され、その反射光が検出されることで、位置の検出が行われる金属部材の加工方法であって、
前記光が照射される面に粗面化処理を施すことを特徴とする金属部材の加工方法。
【請求項10】
前記金属部材が、板バネであることを特徴とする請求項9に記載の金属部材の加工方法。
【請求項11】
前記金属部材は燐青銅であり、粗面化処理の前に錫メッキを施す工程をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の金属部材の加工方法。
【請求項12】
前記粗面化処理が、スポットレーザ光の照射によりマトリクス状に照射跡を形成する工程であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の金属部材の加工方法。
【請求項13】
前記照射跡の平均径が前記位置の検出精度より小さいことを特徴とする請求項12に記載の金属部材の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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