説明

金属酸化物表面を備えた平坦化部材を有する、UVゲルインク平坦化および基材上に直接に噴射蒸着する方式のデジタル放射線硬化性ゲルインク印刷のための方法、装置、ならびにシステム

【課題】一貫性のないインク滴線幅および/または好ましくないパイル高さに起因する丸太を並べたように見える印刷アーチファクトを改善し、放射線硬化性ゲルインクによる画像品質を高める。
【解決手段】基材上に直接に噴射蒸着する方式のデジタル放射線硬化性ゲルインク印刷のための放射線硬化性ゲルインク平坦化方法が、基材112上に直接に放射線硬化性ゲルインクを蒸着することと、ゲルインクの粘度を増加させるためにゲルインクを照射することと、金属酸化物を含む親水性平坦化ロール表面に犠牲剥離流体を付加することと、平坦化ロールを用いてインクを平坦化することと、を含んでいる。UVゲルインク印刷システムおよび平坦化装置が、界面活性剤および/または高分子を含む水性剥離流体とともに使用するのに適した金属酸化物表面を有する平坦化ロールを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線硬化性ゲルインク平坦化のための方法、装置、およびシステムに関する。特に、開示は、平坦化ロールの金属酸化物被覆表面を用いてゲルインクを接触平坦化するための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線硬化性ゲルインク、例えば、UV硬化性ゲルインクなどは、被印刷物上に直接に噴射したとき、従来のインクにより形成される滴よりも低い流動性を有する滴を形成する傾向がある。画像を形成するために基材上に直接に蒸着する予定のUVゲルインクを印字ヘッドから噴射するとき、インク滴は液体である。滴が基材に接触すると、滴はゲル状態まで急冷され、その結果、滴は限られた流動性を有する。
【0003】
従来のインクは、基材と接触した途端に流動性の液滴を形成する傾向がある。印刷中に流動性液体インク滴同士が合体するのを防止するために、通常、基材を被覆したり、および/または処理したりする。また、例えば、付着特性を高めて表面エネルギーを増大させたり、または他の方法で紙基材とインクの間の化学的相互作用に影響を与えたりする材料を用いて、従来のインクとともに使用する紙基材を被覆してもよい。このような被覆または処理は媒体に適用する特別な工程を必要とし、印刷工程においてそれらの被覆または処理を使用するには追加費用をともなう。例えば、デジタルプレス機と従来のプレス機とを用いる印刷プロセスが、各プレス機に適した異なる媒体供給を必要とする可能性がある。
【0004】
放射線硬化性ゲルインクは、基材がどのように処理されているかにかかわらず、さまざまな基材タイプ上で優れた滴の位置決めを少なくとも示すため、印刷工程にとって有利である。例えば、複数の印刷装置にわたって同じ媒体または同じ基材タイプを印刷することと、例えば、特殊な被覆を施したストックなどを運ぶ必要がないこととが、コスト的に有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線硬化性ゲルインク画像は、一貫性のないインク滴線幅および/または好ましくないパイル高さに起因する凹凸により丸太を並べたように見える印刷アーチファクトに苦しむ可能性がある。噴射されたゲルインクラインの一様性を実現するために、および/またはさまざまな線幅に対処して好ましくない印刷アーチファクトを取り除くために、フラッドコートに依存することは費用がかかるとともに、いくつかの印刷ジョブにとって好ましくない可能性がある高い光沢度をもたらす可能性がある。他の方法で、例えば、接触部材上にゲルインクを裏移りさせることで、印刷した画像を悪化させることなしに、基材上にインクを直接に噴射した後にゲルインクを平坦化することにより、好ましくないパイル高さおよび/または一貫性のないインク線幅に対して、費用効率が高くかつ効果的な方法で対処する装置およびシステムからゲル・インク・プロセスが恩恵を受けてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によるシステムは、紫外線(「UV」)ゲルインクのような放射線硬化性ゲルインクを巻き取り紙のような基材上に直接に噴射するための印字ヘッドを有する放射線硬化性ゲルインク印刷システムを含んでいてもよい。他の実施形態では、他の任意の放射線硬化インク蒸着方法および/またはシステムのうちの1つ以上を用いて基材上にゲルインクを蒸着してもよい。
【0007】
実施形態のシステムは、接触部材へのインクの裏移りが最小の状態またはまったくない状態で、基材上に噴射されたUVゲルインクと接触するようになされた接触部材を有する、および/または基材上に噴射されたUVゲルインクに圧力をかける、UV硬化性インク平坦化装置を含んでいてもよい。接触部材は、基材上のインクと接触する流体層と接触する親水性の外部接触表面を含んでいる。接触部材は対向する部材と連動して、その中を通って基材がプロセス方向に移動してもよい平坦化ニップを形成してもよい。
【0008】
一実施形態による装置およびシステムは、UV硬化性ゲルインクにUV放射を作用させるための1つ以上のUV光源を含んでいてもよい。UV光源は、ゲルインクを所望程度まで硬化させたり、または所望量のゲルインクを重合させたりするようになされていてもよい。例えば、露光されたインクのうちの少ない割合を重合させるようにゲルインクを硬化させてもよい。あるいは、露光されたインクのうちのかなり大きな部分を重合させるようにゲルインクを硬化させてもよい。特に、基材上に位置付けられたゲルインクに放射を作用させるようにUV光源を構成して、ゲルインクが固まるように、したがって、接触部材へのインクの裏移りが最小の状態またはまったくない状態で、接触部材がインクと接触できるようにしてもよい。インクが接触部材により平坦化された後にインクを硬化するようにUV光源を構成してもよい。システムは、平坦化ニップにおいてゲルインクを平坦化する前にゲルインク画像を照射するための第1のUV光源と、ゲルインクを平坦化した後にゲルインクを照射して、ゲルインク画像を硬化するための第2のUV光源と、を含んでいてもよい。放射線硬化性インクを蒸着して、平坦化して、電子ビーム装置のようなUV以外の硬化装置を用いて硬化するようにシステムを構成してもよい。
【0009】
装置およびシステムは、親水性で、耐久性があり、比較的安価で入手しやすい接触表面を有する接触部材を含んでいてもよい。特に、装置およびシステムは金属酸化物を含む接触表面を含んでいる。接触部材の表面上に金属酸化物をプラズマ溶射してもよい。一実施形態では、接触表面は、きめ細かい多孔質母材を生成するために研摩され、つや出しされたプラズマ溶射した金属酸化物被覆を含んでいてもよい。接触部材の接触表面は、二酸化チタンまたはチタニアを含んでいてもよい。他の実施形態では、接触部材の接触表面は酸化クロムを含んでいてもよい。
【0010】
装置およびシステムは、犠牲剥離層流体を含むための、および/または接触部材の表面に犠牲剥離層流体を付加するための犠牲剥離層流体システムを含んでいてもよい。例えば、蒸着したUVゲルインク画像に接触部材が接触してゲルインク画像のインクを平坦化する前に、印刷プロセス内の接触部材の表面に剥離流体を付加してもよい。
【0011】
一実施形態の方法は、巻き取り紙などの基材上に直接に蒸着するUVゲルインクのような放射線硬化性ゲルインクを、金属酸化物表面を有する接触部材と接触させることを含んでいてもよい。接触部材は親水性セラミック表面を有する回転ロールであってもよく、接触部材は対向する部材と連動して、その中を通って基材をプロセス方向に移動させてもよい平坦化ニップを形成してもよい。一実施形態では、接触部材は二酸化チタンを含む接触表面を有していてもよい。他の実施形態では、接触表面は酸化クロムを含んでいてもよい。
【0012】
一実施形態による方法は、インクジェット印字ヘッドにより基材の表面上に直接に噴射されたUVゲルインクにUV放射を作用させることを含んでいてもよい。特に、UV光源は、それによりゲルインクを硬化させてインクの粘度を変えるようになされていてもよい。例えば、インク画像を部分的にのみ重合させてもよく、または最終的な硬化のためにインク画像のインクのうちのかなり大きな割合を重合させてもよい。平坦化するためにインクを接触部材と接触させる前に、インクを固めるために、噴射されたUVゲルインクにUV放射を作用させて、それにより、平坦化プロセス中にインクが接触部材に裏移りするのを最小限に抑えることが好ましい可能性がある。他の実施形態では、放射線硬化性ゲルインクを使用してもよく、所定量のインクを重合させるのに効果的な放射線を作用させるように構成された、例えば、電子ビーム装置などを含む任意のシステムを使用してもよい。
【0013】
他の実施形態では、方法は、基材上に直接に蒸着した放射線硬化性ゲルインク、例えば、UVゲルインクなどに、接触部材の金属酸化物表面を当てる前に、平坦化装置の接触部材の接触表面に水性の犠牲剥離流体を付加することを含んでいる。接触部材は、きめ細かい多孔質母材を形成する、プラズマ溶射した金属酸化物セラミック表面を含んでいてもよい。例えば、接触部材は約25ミクロンの厚さを有する金属酸化物セラミック表面を含んでいてもよい。プラズマ溶射した金属酸化物の粒径が、約5ミクロン以下であってもよい。犠牲剥離層は、水と、界面活性剤および/または好適な高分子化合物と、を含んでいてもよい。
【0014】
他の実施形態によるシステムは、水の保持と、剥離流体膜の形成と、水性の剥離流体の提供とを促進する金属酸化物を含む表面を含む接触部材を有する基材上に直接に噴射蒸着する方式のUVゲル・インク・デジタル印刷システム用のUVゲルインク平坦化装置を含んでいる。接触部材の表面上に金属酸化物をプラズマ溶射して、溶射した金属酸化物粒子を研摩して、接触表面上の金属酸化物をつや出しすることにより、接触部材の接触表面を形成して、きめ細かい多孔質金属酸化物母材を形成してもよい。接触部材の表面に水性の犠牲剥離流体を付加するように流体剥離システムを構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、例示的実施形態のUVゲルインク平坦化システムの図式的側面図を示している。
【図2】図2は、例示的実施形態のUVゲルインク平坦化および硬化プロセスを示す図である。
【図3】図3は、例示的実施形態のUVゲルインク平坦化および硬化プロセスを示す図である。
【図4】図4は、例示的実施形態のUVゲルインク平坦化および硬化プロセスを示す図である。
【図5】図5は、UVゲルインク平坦化装置と、UV硬化性ゲルの基材上に直接に噴射蒸着する方式のデジタル印刷システムと、の接触部材の接触表面を形成するためのプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、例示的実施形態の放射線硬化性ゲルインク印刷システムと、平坦化装置とを示している。詳細には、図1は、UVゲルインクを噴射するための印字ヘッド105を有するUVゲルインク印刷システムを示している。UVゲルインク印刷システムは、接触部材107を有する平坦化装置を含んでいてもよい。例えば、UVゲルインクを基材上に直接に噴射したり、または蒸着したりして、噴射したままの状態の画像110を形成するように印字ヘッド105を構成してもよい。例えば、印字ヘッド105はウェブ112のような基材上にインクを噴射してもよい。ウェブは、例えば、巻き取り紙であってもよい。他の実施形態では、基材はカットシートであってもよい。ブラック、クリア、マゼンタ、シアン、イエロー、または他の任意の所望のインク色であってもよい1つ以上のインクを含み、および/またはその1つ以上のインクを蒸着したり、または噴射したりするように印字ヘッド105を構成してもよい。
【0017】
ゲルインクは任意の放射線硬化性インクであってもよい。例えば、ゲルインクはUV放射硬化性であってもよい。さらに、インクジェット印字ヘッド以外の手段によりゲルインクを蒸着してもよい。任意の好適なインク蒸着手段により基材上に直接にインクを蒸着してもよい。例えば、図1に示すようにインクジェット印字ヘッド105によりインクを噴射してもよく、または液体状態まで加熱されたゲルインクを含み基材上にゲルインクを蒸着するように構成された微小電気機械システムのようなシステムによりインクを蒸着してもよい。
【0018】
ウェブ112上にUVゲルインクを噴射した後に、ウェブを平坦化装置の接触部材107までプロセス方向に移動させてもよい。図1に示すように、接触部材107は中心縦軸のまわりに回転可能なドラムまたはロールであってもよい。接触部材は、基材112のインク保持表面上の、例えば、噴射されたインク画像110などの噴射されたインクと接触するように構成してもよい接触表面を含んでいてもよい。
【0019】
一実施形態では、接触部材107は圧力ロールなどの対向する部材と連動してもよく、接触部材107はロール・オン・ロール平坦化のためにそれらの間に平坦化ニップを形成するように構成されてもよい。インク画像110のゲルインクを平坦化するために、ウェブ112は、ニップを通って噴射されたインク画像110を運ぶように構成されてもよい。接触部材107は、基材上のインクに圧力をかけて、平坦化されたインク画像120を生成することにより、噴射されたインク画像110のインクを平坦化する。
【0020】
一実施形態では、接触部材107はUV光源と連動してもよい。図1に示すように、UVゲルインク印刷システムは、UV光源145を含んでいてもよい。UV光源145は、接触部材107がインクを平坦化する前に、噴射されたインク画像110のインクにUV放射を作用させるようになされていてもよい。
【0021】
インクを硬化するようにUV光源145を構成して、所定量のインクを重合させるようになっていてもよい。例えば、インク画像110を含む少量のインクを重合させてもよい。あるいは、かなり多量のインクを重合させてもよい。例えば、UV光源は、ゲルインク画像のUV硬化性ゲルインクを照射して最終的な硬化を行うようになされていてもよい。
【0022】
インク画像110のゲルインクにUV放射を作用させるようにUV光源145を構成して、接触部材107がインクと接触する前に十分な量のゲルインクを重合させてインクの粘度を変えることが好ましい可能性がある。例えば、平坦化ニップにおける接触部材107によるインクの平坦化および/または接触時にUV硬化性ゲルインクが接触部材107に裏移りするのを最小限に抑えたり、またはなくしたりするためにインクの粘度を変えてもよい。裏移りを最小限に抑えたり、または防止したりするのに必要な硬化量は、例えば、ゲル量、モノマー組成、および存在する光開始剤量などを含むインク特性に依存してもよい。さらに、適用する硬化量は、放射波長、および光開始剤との相互作用と、波長、強度、および時間の組み合わせを含む露出量と、に依存してもよい。
【0023】
一実施形態では、UV光源145は第1のUV光源であってもよく、UV硬化性ゲル・インク・デジタル印刷システムは第2のUV光源150を含んでいてもよい。平坦化されたインク画像120を生成するために接触部材107が画像110のインクを平坦化した後に、噴射されたインク画像110のインクにUV放射を作用させるように第2のUV光源150を構成してもよい。図1に示すように、平坦化されたインク画像120を照射して最終的に硬化されたインク画像160を生成するためにUV光源150を使用してもよい。他の実施形態では、UV放射以外の手段により放射線硬化性インクを照射して硬化するように放射線源を構成してもよい。例えば、電子ビーム装置を使用してもよい。
【0024】
接触部材107は、噴射されたインク画像110のインクに圧力をかけて、平坦化されたインク画像120を生成するように構成された平坦化ロールであってもよい。例えば、接触部材107は中心縦軸のまわりに回転するように構成された平坦化ロールであってもよい。平坦化ロールは圧力ロールなどの圧力部材と連動して、ロール・オン・ロール平坦化のために平坦化ニップを形成してもよい。接触部材107は、噴射されたインク画像110のインクと接触する接触表面を含んでいてもよい。接触部材107がインクと接触する前に、UV光源145がインクの粘度を変えてもよい。例えば、平坦化時にインクが接触部材107に裏移りするのを最小限に抑えたり、または防止したりするために、例えば、インクを固めてもよい。裏移りを最小限に抑えたり、または防止したりするのに必要な硬化量を適用することにより要望通りにインクを固めてもよい。適用される硬化量は、例えば、ゲル量、モノマー組成、および存在する光開始剤量などを含むインク特性に依存してもよい。さらに、適用する硬化量は、放射波長、および光開始剤との相互作用と、波長、強度、および時間の組み合わせを含む露出量と、に依存してもよい。
【0025】
接触部材107の接触表面は、耐久性があり、比較的安価に製造できる親水性表面であってもよい。例えば、接触部材107の接触表面は、金属酸化物を含んでいてもよい。実施形態では、接触部材107は、二酸化チタンまたはチタニアを含んでいてもよい。他の実施形態では、接触部材107の接触表面は、酸化クロムを含んでいてもよい。酸化クロム、好ましくは二酸化チタンなどの金属酸化物を含む親水性接触表面が、基材112から接触部材107へのゲルインクの裏移りを最小限に抑えたり、または防止したりすることによりUVゲルインクの効果的な平坦化をさらに提供する水性剥離流体の吸収に対応してもよい。
【0026】
毛細管機能により水を保持する多孔質構造を形成するための接触部材107の表面内の/接触部材107の表面上の親水性金属酸化物粒子配置。例えば、二酸化チタンなどの親水性金属酸化物粒子をプラズマ溶射して、粒子を研摩して、つや出しすることにより、接触表面を形成して、水性ファウンテン溶液用の毛細管媒体として機能する細孔を有するきめ細かい母材を生成してもよい。個々の金属酸化物粒子の表面エネルギーがテフロン(登録商標)などの材料の表面エネルギーよりも高い可能性があるが、金属酸化物を含む接触表面は、ゲルインク平坦化のための水性剥離流体の保持および膜形成を助けることにより、改善された裏移りパフォーマンス、または特定のインク粘度での裏移りに対する耐性を提供する。
【0027】
平坦化するために接触表面が、噴射されたインク画像110と接触する前に、接触部材107の表面に剥離流体を付加してもよい。例えば、平坦化装置剥離流体システム(図示せず)が犠牲剥離層流体を含んでいてもよい。接触部材107の表面上に剥離流体を含み、および/または蒸着するように剥離流体システムを構成してもよい。例えば、二酸化チタンセラミック表面などと一緒に効果的に使用してもよい例示的剥離流体が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に基づいたファウンテン溶液と、好ましくはSILGAURDのような高分子に基づくファウンテン溶液と、を含んでいる。剥離流体は、水溶性短鎖シリコーン、界面活性剤を含む水、消泡剤、および犠牲剥離層を形成するのに適した他の流体を含んでいてもよい。
【0028】
図2は、基材上に直接に噴射蒸着する方式のデジタル印刷プロセスにおいてUV硬化性ゲルインクなどの放射線硬化性インクを平坦化するための方法の実施形態を示している。方法は、S201で、基材上に直接にUV硬化性ゲルインクを蒸着すること、例えば、噴射することを含んでいてもよい。インクジェット印字ヘッドによりUV硬化性ゲルインクを噴射してもよい。基材は巻き取り紙などの媒体ウェブであってもよい。あるいは、基材は紙のカットシートであってもよい。
【0029】
S201でインクを噴射した後に、方法は、UVゲル・インク平坦化装置の接触部材の親水性金属酸化物表面とゲルインクとを接触させて、ゲルインクを平坦化することを含んでいてもよい。接触部材は対向する部材と連動して、平坦化ニップを形成してもよい。印字ヘッドからプロセス方向の下流に平坦化ニップを配置してもよく、印字ヘッドにより噴射されたゲルインクを平坦化装置の平坦化ニップまで運ぶために基材を移動させてもよい。S205でインクを平坦化した後に、UV光源によるUV放射でインクを照射してもよい。インクに放射を作用させて、インクを重合させ、および/またはインク画像のインクを硬化させて、最終的に硬化された画像を生成するようにUV光源を構成してもよい。他の実施形態では、UV光源以外の放射線源で放射線硬化性ゲルインクを照射してもよく、電子ビーム装置などのシステムで放射線硬化性ゲルインクを照射してもよい。
【0030】
図3は、基材上に直接に噴射蒸着する方式のデジタル印刷プロセスにおいてUV硬化性ゲルインクを平坦化するための方法の他の実施形態を示している。図3に示すように、方法は、S301で、基材上に直接にUV硬化性ゲルインクを噴射することを含んでいてもよい。基材は巻き取り紙などの媒体ウェブであってもよい。あるいは、基材はカットシートであってもよい。S305で、UV光源は、基材上に噴射されたUV硬化性ゲルインクに放射を作用させてもよい。放射はインクの粘度を調節してもよい。詳細には、S305でインクを固めてもよい。平坦化部材または他の表面上にインクが裏移りするのを最小限に抑えたり、または防止したりするために、インクを固めてもよい。
【0031】
固められたインクと基材とを平坦化ニップまで前進させて、平坦化してもよい。平坦化ロールなどの接触部材と、例えば、ロールなどの対向する部材とが、ニップを形成してもよい。平坦化ロールは、S301で基材上に噴射され、S305で固められたUV硬化性ゲルインクと接触するための金属酸化物表面を含んでいる。金属酸化物の接触表面は酸化クロムを含んでいてもよい。接触表面は二酸化チタンを含むことが好ましい可能性がある。接触部材の表面上に金属酸化物をプラズマ溶射して、研摩して、つや出しすることにより、金属酸化物表面を形成して、多孔質のきめ細かい金属酸化物母材を生成してもよい。S310で、接触部材は、基材上に噴射されUV光源により固められたインクと接触して、インクを平坦化してもよい。平坦化されたインクをUV光源まで前進させて、ゲルインクを硬化してもよい。例えば、基材上の平坦化されたインク画像に放射を作用させて、最終的に硬化されたUV硬化性ゲルインク画像を生成してもよい。
【0032】
図4は、基材上に直接に噴射蒸着する方式のデジタル印刷プロセスにおいてUV硬化性ゲルインクを平坦化するための方法の他の実施形態を示している。図4に示すように、方法は、S401で、基材上に直接にUV硬化性ゲルインクを噴射することを含んでいてもよい。基材は巻き取り紙などの媒体ウェブであってもよい。あるいは、基材はカットシートであってもよい。S405で、UV光源は、基材上に噴射されたUV硬化性ゲルインクに放射を作用させてもよい。放射はインクの粘度を調節してもよい。詳細には、S405でインクの粘度を増加させてもよい。例えば、平坦化部材または他の表面上にインクが裏移りするのを最小限に抑えたり、または防止したりするために、インクを固めてもよい。
【0033】
固められたインクと基材とを平坦化ニップまで前進させて、平坦化してもよい。平坦化ロールなどの接触部材と、例えば、ロールなどの対向する部材とが、ニップを形成してもよい。平坦化ロールは、S401で基材上に噴射され、S405で固められたUV硬化性ゲルインクと接触するための金属酸化物表面を含んでいる。金属酸化物の接触表面は酸化クロムを含んでいてもよい。接触表面は二酸化チタンを含むことが好ましい可能性がある。接触部材の表面上に金属酸化物をプラズマ溶射して、研摩して、つや出しすることにより、金属酸化物表面を形成して、水を保持して、接触部材の表面上の水性剥離流体膜の形成を容易にする多孔質のきめ細かい金属酸化物母材を生成してもよい。
【0034】
S407で、接触部材の表面に剥離流体を付加してもよい。剥離流体は水性流体であってもよい。例示的剥離流体がSDSであってもよく、または例示的剥離流体は、SILGAURDのような、高分子を含む剥離流体であることが好ましい可能性がある。剥離流体は、水溶性短鎖シリコーン、界面活性剤を含む水、消泡剤、および犠牲剥離層を形成するのに適した他の流体を含んでいてもよい。
【0035】
剥離流体システムが、接触部材の接触表面上に犠牲剥離層を形成するための剥離流体を、接触表面上に含み、および/または接触表面上に蒸着してもよい。S410で、接触部材の表面上に付加された犠牲剥離流体を有する接触部材は、基材上に噴射されUV光源により固められたインクと接触して、インクを平坦化してもよい。S415で、平坦化されたインクを硬化させてもよい。
【0036】
S410で、接触部材は、基材上に噴射されUV光源により固められたインクと接触して、インクを平坦化してもよい。平坦化されたインクを他のUV光源まで前進させて、ゲルインクを硬化してもよい。例えば、基材上の平坦化されたインク画像に放射を作用させて、最終的に硬化されたUV硬化性ゲルインク画像を生成してもよい。
【0037】
図5は、平坦化装置と、UVゲルインクの基材上に直接に噴射蒸着する方式の・デジタル印刷システムと、の接触部材の接触表面を形成するためのプロセスを示している。詳細には、図5は、S501で、円筒形平坦化ロールなどの接触部材の表面を金属酸化物粒子でプラズマ溶射することを示している。例えば、平坦化ロールの表面上に酸化クロムを溶射してもよい。平坦化ロールの表面上に二酸化チタンをプラズマ溶射することが好ましい可能性がある。
【0038】
S501で、平坦化ロールなどの接触部材の表面上に金属酸化物をプラズマ溶射した後に、S510で、接触部材の表面上に蒸着した金属酸化物を研摩してもよい。その後、S515で、接触部材の表面上に蒸着した金属酸化物をつや出ししてもよく、これにより、金属酸化物はきめ細かい多孔質母材を形成する。毛細管現象により、保水性が高く、膜を形成する接触部材表面の形成に役立つように多孔質母材を形成してもよい。例えば、接触部材は約25ミクロンの厚さを有する金属酸化物セラミック表面を含んでいてもよい。プラズマ溶射した金属酸化物の粒径が、約5ミクロン以下であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の放射線硬化性ゲルインクを、金属酸化物を含む表面を有する接触部材と接触させることを含む、
放射線硬化性ゲルインク平坦化方法。
【請求項2】
放射線硬化性ゲルインク画像を形成するために印字ヘッドから直接に前記ゲルインクを前記基材上に噴射することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触部材の前記表面が二酸化チタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記硬化性インクの粘度を増加させるために前記ゲルインクにUV放射を作用させることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インクを前記接触部材と前記接触させることの前に、UV硬化性の前記ゲルインクにUV放射を作用させることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基材上のゲルインクと接触する接触表面を有する接触部材を含み、前記接触表面は金属酸化物を含む、
放射線硬化性ゲルインク平坦化装置。
【請求項7】
前記金属酸化物が二酸化チタンを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記金属酸化物が酸化クロムを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
放射線源をさらに含む、
請求項6に記載の装置。
【請求項10】
印刷プロセスにおいて前記接触部材が前記基材上の前記ゲルインクと接触する前に、噴射されたゲルインクの粘度を増加させるように構成された第1の放射線源と、
印刷プロセスにおいて前記接触部材が前記基材上の前記ゲルインクと接触した後に、前記ゲルインクを硬化させるように構成された第2の放射線源と、をさらに含む、
請求項6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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