説明

金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置

【課題】相を識別する色別ラベルと温度上昇値を測定する示温ラベルを貼り付けるスペースを確保し、作業工数の削減を図る。
【解決手段】箱体1内に設けられた主回路部材となる主回路導体2a、2b、2cと、主回路導体2a、2b、2cの表面に設けられた三相の相を識別する色別ラベル4a、4b、4cと、この色別ラベル4a、4b、4cに貼り付けられた所定温度で発光基材が変色し温度上昇値の測定ができる示温ラベル5a、5b、5cとを備えている。色別ラベル4a、4b、4cは、三相で形状が異なることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、収納機器や主回路導体に設けられた相や極性を識別する金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属閉鎖形スイッチギヤの主回路導体には、三相回路の相を識別するため、色別ラベルが貼り付けられている。例えば、第1相に赤色、第2相に白色、第3相に青色のラベルが貼られている。ラベルの形状は、第1相では円形状、第2相では三角形状、第3相では四角形状と各相で異なる場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、客先要求から、通電時の主回路導体の温度上昇を測定するため、所定温度によって変色する示温ラベルを貼り付けることがある。示温ラベルは、直接、導体表面に貼り付けられる。
【0004】
これらのことより、主回路導体には、色別ラベルと示温ラベルの両方が貼り付けられるので、主回路導体にそのスペースを確保しなければならなかった。小容量の主回路導体では、表面積が小さく、スペースの確保が困難となる場合があった。また、作業工数を増加させる要因になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2−60410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、主回路導体に貼り付ける相を識別する色別ラベルと温度上昇を測定する示温ラベルの両方を貼り付けるスペースの確保が容易となり、作業工数の削減が図れる金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、実施形態の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置は、箱体内に設けられた主回路部材と、前記主回路部材の表面に設けられた相を識別する色別ラベルと、前記色別ラベルに貼り付けられた温度上昇値を測定する示温ラベルとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を背面から見た図。
【図2】本発明の実施例2に係る金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置の構成を示す正面図。
【図3】本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤの主回路導体部分を示す側面図。
【図4】本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤの主回路導体部分を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
先ず、本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置を図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る金属閉鎖形スイッチギヤの構成を背面から見た図である。
【0011】
図1に示すように、箱体1の背面側には、図示しない遮断器などに接続される三相の主回路導体2a、2b、2cが設けられている。主回路導体2a、2b、2cには、それぞれ二点鎖線で示す電力ケーブル3a、3b、3cが接続される。
【0012】
第1相の主回路導体2aの表面には、赤色で円形状の第1の色別ラベル4aが設けられ、第1の色別ラベル4aの略中心部に所定温度で発光基材が変色する第1の示温ラベル5aが設けられている。第2相の主回路導体2bの表面にも、白色で三角形状の第2の色別ラベル4bが設けられ、第2の色別ラベル4bの略中心部に所定温度で変色する第2の示温ラベル5bが設けられている。第3相の主回路導体2cの表面にも、青色で四角形状の第3の色別ラベル4cが設けられ、第3の色別ラベル4cの略中心部に所定温度で変色する第3の示温ラベル5cが設けられている。
【0013】
色別ラベル4a、4b、4cの色は、電力会社の規定に準じるものとする。また、示温ラベル5a、5b、5cが変色を起こす温度は、三相で同様とする。なお、示温ラベル5a、5b、5cと同様に、色別ラベル4a、4b、4cも温度上昇を起こすので、色別ラベル4a、4b、4cは変色を起こさず、その接着剤は温度上昇に耐え得るものとする。なお、所定の色を有するテープを巻き付けてもよい。
【0014】
示温ラベル5a、5b、5cは、温度上昇が起こり、変色した後に元に戻らない不可逆タイプ、元に戻る可逆タイプがある。不可逆タイプでは、温度上昇の最大値を容易に測定することができる。
【0015】
直流回路では、極性別に所定色の色別ラベルを設け、色別ラベルに所定温度で変色する示温ラベルを貼り付けるものとする。
【0016】
上記実施例1の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置によれば、示温ラベル5a、5b、5cを色別ラベル4a、4b、4cに貼っておき、これを主回路導体2a、2b、2cに設けているので、箱体1内での作業工数が削減でき、主回路導体2a、2b、2c表面のスペースの確保が容易となる。
【0017】
上記実施例1では、示温ラベル5a、5b、5cを貼った色別ラベル4a、4b、4cを主回路導体2a、2b、2cに設けたが、遮断器のような収納機器の主回路に設けることができる。ここでは、これらをまとめて主回路部材と称する。
【実施例2】
【0018】
次に、本発明の実施例2に係る金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置を図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施例2に係る金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置の構成を示す正面図である。なお、この実施例2が実施例1と異なる点は、示温ラベルを複数としたことである。図2において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。色別ラベルは、円形状の第1相を用いて説明する。
【0019】
図2に示すように、色別ラベル4aには、それぞれ異なる所定温度で変色する複数の示温ラベル6a、6b、6cを貼り付けている。なお、示温ラベル6a(6b、6c)が変色する温度の最大値を金属閉鎖形スイッチギヤの許容温度、例えば錫めっき導体の接続部では105℃にすると、温度上昇を管理することができる。即ち、変色する温度を測定したい部位、例えば主回路部材の許容温度値に設定しておけば、この部材の温度管理を行うことができる。
【0020】
上記実施例2の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置によれば、実施例1による効果のほかに、温度上昇値を細かく測定することができる。
【実施例3】
【0021】
次に、本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置を図3、図4を参照して説明する。図3、図4は、本発明の実施例3に係る金属閉鎖形スイッチギヤの主回路導体部分を示す側面図である。なお、この実施例3が実施例1と異なる点は、色別ラベルを設ける位置である。図3、図4において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0022】
図3に示すように、主回路導体7a、7bをボルト8で接続した近傍、所謂、主回路導体7a、7bの接続部には、示温ラベル9を貼った色別ラベル10を設けている。接続部は、温度上昇を起こし易く、また、比較的に目視し難い部分に位置することが多いので、不可逆タイプの示温ラベル9を設けることにより、点検時などに温度上昇値を確認することができる。
【0023】
また、図4に示すように、例えば遮断器側の主回路導体11aと盤側の主回路導体11bが接触子12で接続される接続部には、示温ラベル9を貼った色別ラベル10を設けている。この接続部も温度上昇を起こし易い部分である。
【0024】
上記実施例3の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置によれば、実施例1による効果のほかに、温度上昇を起こし易い接続部の温度上昇値を測定することができる。
【0025】
以上述べたような実施形態によれば、色別ラベルと示温ラベルを貼り付けるスペースの確保ができ、作業工数を削減することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 箱体
2a、2b、2c、7a、7b、11a、11b 主回路導体
3a、3b、3c 電力ケーブル
4a、4b、4c、10 色別ラベル
5a、5b、5c、6a、6b、6c、9 示温ラベル
8 ボルト
12 接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体内に設けられた主回路部材と、
前記主回路部材の表面に設けられた相を識別する色別ラベルと、
前記色別ラベルに貼り付けられた温度上昇値を測定する示温ラベルと
を備えた金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置。
【請求項2】
前記示温ラベルを複数とし、それぞれ変色する温度が異なる請求項1に記載の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置。
【請求項3】
前記示温ラベルを不可逆タイプとした請求項1または請求項2に記載の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置。
【請求項4】
前記示温ラベルが変色する温度を前記主回路部材の許容温度値とした請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置。
【請求項5】
前記主回路部材の接続部に前記示温ラベル付きの前記色別ラベルを設けた請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属閉鎖形スイッチギヤの相識別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−231575(P2012−231575A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97465(P2011−97465)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】