説明

針一体型センサ

【課題】 ランセット針がセンサチップに固定されたランセット針一体型のセンサ体において、指先から出血させた血液をセンサチップの試料空間内に十分に導入させる。
【解決手段】 本発明の針一体型センサ100は、センサチップ200と、センサチップ200の片端部に固定されたランセット針300と、ランセット針300による穿刺箇所とセンサチップ200の試料導入口201との間に流路111を形成する流路方向に伸縮自在である蛇腹構造の流路形成体110を備える。また、針一体型センサ100は圧縮された流路形成体110を元の形状に復元する板バネなどからなる復元力発生部材130を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針一体型センサ、具体的にはバイオセンサチップとランセット針が一体になったランセット針一体型のセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
患者自身で血液採取用のランセット装置を用いて血液採取を行い、採取した血液中の血糖値等を測定することが行われている。ランセット装置は、一般には穿刺針などのランセット針とこれを駆動するためのランセット本体とからなり、ランセット本体から勢いよく飛び出させて指先等に衝突させ、指先等に傷を付けて出血させる装置である。
【0003】
従来、血糖値などの測定はこのようなランセット装置と、それと別体となった測定装置を用いて行われてきたが、近年、バイオセンサとランセット装置を組み合わせ、両者を一体にして血液採取から測定までを一度の操作で行えるようにしたランセット針一体型センサデバイスが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1に記載されたセンサデバイスは、内部空間を有するチップ本体とランセット針を備えたランセット体及びチップ本体を装着するデバイス本体とから構成されている。ランセット体はチップ本体の内部空間内を移動可能に作製されている。ランセット体はチップ本体内に収納された後、デバイス本体にセットされ、デバイス本体内の駆動装置によってランセット針の先端がチップ本体先端に開設された試料導入口から突出されるように構成されている。
【0005】
チップ本体は内部空間を構成するための凹所を備えた基板とバイオセンサが構成されたカバーとからなる。カバーの内面には、バイオセンサを構成する1対の電極と当該電極と配線で接続された端子部が設けられている。電極は試料導入口から内部空間に延びる溝状の試料空間に臨ませるように設けられており、当該電極と当該電極の表面に塗布された試薬層とによってバイオセンサが構成されている。
【0006】
ところが、このセンサデバイスは、基板とカバーの間の試料空間内において針を移動させ、チップ本体の先端にある試料導入口から血液を試料空間内に導入する構造であるために、チップ本体の厚みが大きくなる。また、試料導入口は比較的大きく、それに伴い多くの血液量を必要とするので、患者への痛みが相当大きなものとなっていた。
【0007】
その一方で、非常に小型でかつ簡単な方法で量産可能なセンサチップが開発されている。特許文献2に示すバイオセンサチップは、図3に示すバイオセンサチップとほぼ同様な構造をしており、絶縁性のある板部材を折り曲げることでカバーと基板を形成し、両者を接着剤層によって接着することによりチップの先端に試料導入口を形成すると共に、両者の間に血液を導入する試料空間を形成している。そして、基板にはスパッタリングなどの方法によって電極と当該電極と配線で結ばれた電極が形成されており、試料導入口近傍に設けられた電極と当該電極の表面及びその近傍に塗布された試薬層とによってバイオセンサが構成されている。このセンサチップは板部材が貼り合わせられた構造であるため、非常に薄くて小型に作製され、必要とされる血液量は少なくなり、患者への肉体的負担がかなり軽減されることが期待される。
【特許文献1】国際公開公報WO02/056769号
【特許文献2】国際公開公報WO05/010519号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで針などのランセット針とバイオセンサチップとを一体にする場合、血液がバイオセンサチップの試料導入口から試料空間に導入されるためには、試料導入口に血液が十分に行き渡る必要がある。ところが、特許文献2のような薄型のバイオセンサチップを用いて一体型にする場合、試料空間から試料導入口において、皮膚に穿刺可能な剛性を有する針(つまり、ある程度の太さが必要である)を挿通し、特許文献1記載のセンサチップのように試料導入口から針先を飛び出させ、その後再び試料空間内に納める構造とすることは実現性に乏しい。
【0009】
そこで、特許文献2に記載されたバイオセンサチップのカバー上面若しくは基板下面にランセット針を固定することが考えられる。しかしながら、このバイオセンサチップの試料導入口は非常に狭いので、針を伝わった血液が試料導入口に接触しただけでは、試料空間に血液が十分に入り込まないおそれがある。また、試料導入口は針先(針の軸)から離れた位置にあるために、出血した血液が針を伝わって試料導入口に行き渡らないというおそれもあった。
【0010】
その一方で、折り曲げられた板部材の間に針を挟み込むように固定することも考えられる。この場合、試料導入口から針が飛び出る構造となるため、バイオセンサチップの上面(若しくは下面)に固定する場合に比べて血液を誘導しやすいとも考えられる。しかしながら、針が指先から抜かれるとセンサチップもそれと共に指先から離れるので、やはり出血した血液が試料導入口に血液が十分に行き渡らないことになる。
【0011】
このような問題を解決すべく、本願発明者らは、センサチップの片端部に貫通穴を有する弾性体を配置した針一体型センサを考案し、特許出願している。この針一体型センサでは、センサが皮膚に勢いよく衝突した際に圧縮した弾性体の貫通穴からランセット針が突出する。その後、その復元力により弾性体が元の形状に復帰した際に血液が貫通穴に流れ込み、十分な量の血液が試料導入口に行き渡る。
【0012】
しかしながら、(1)前記弾性体はシリコーンやウレタンなどからなるゴムやスポンジ等の材質から選択されるが適切な復元力を備えた材質を選択することが必要となる。(2)弾性体の先端面が穿刺対象面に十分に接触した状態を保つことができなければ、元の形状に復帰した際にその先端面が穿刺対象面から離れ、センサチップに血液が十分に行き渡らないことが予想される。従って、弾性体の先端面が穿刺対象面に接触した状態が保たれることが望まれる。(3)採取された血液は弾性体と接触するので、弾性体からの溶出物が測定結果に悪影響を及ぼすことが考えられる。つまり、弾性体の材質には、(1)適切な復元力、(2)穿刺対象面への十分な接触性、(3)測定結果への悪影響がないこと、この3つの条件が要求される。ところが、このような3つの条件を満たす材質はほとんど見あたらない。これまでのところ、適切な復元力を有していても接触性が経時的に劣化して、接触性が十分に確保できなかったり、適切な復元力や接触性を有するが測定結果に悪影響を及ぼしたりしていた。
【0013】
また、弾性体自身による復元力を利用するので、皮膚への衝突時に大きな力が要される。このため、センサの発射装置が小型化できず、衝突時の痛みが大きくなるという問題もあった。
【0014】
そこで、本発明はこのような弾性体の代替となるような構造体を提供し、少量の血液でしかも測定誤差が少ない針一体型のバイオセンサを提供し、小型でかつ患者にやさしいセンサデバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は、センサチップと前記センサチップの片端部に固定されたランセット針とを有する針一体型センサにおいて、当該センサチップの片端部に流路方向に伸縮する蛇腹構造体からなる流路形成体を備えることにしている。そして、圧縮された流路形成体を元の形状に復元させる復元力発生部材を備えることにしている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、弾性体を用いることなく穿刺箇所とセンサチップとの間に流路を確保できる。このために、構造体の材質に選択の幅が広がり、特に測定結果に影響を及ぼさないような材質の選択が可能となる。この結果、少量の血液で測定誤差の少ない測定が行える。
【0017】
また、流路形成体は蛇腹構造体で構成されるので、例えば、フッ素樹脂からなる薄肉のチューブ体を用いることができる。このため、流路形成体に加えるべき圧縮力が小さくてよい。この結果、針一体型センサの駆動装置を小型化でき、皮膚への衝突時の痛みが軽減される。こうして所望する目的が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。図1は針一体型センサ100を備えたセンサ体10を一部破断した概略斜視図、図2は当該センサ体10の一部を拡大した概略説明図、図3は針一体型センサ100に用いられるセンサチップの概略斜視図、図4は別な実施形態であるセンサ体10の一部を拡大した概略説明図、図5は針一体型センサが装着されたセンサデバイスの外観図、図6は当該センサデバイスの概略内部構造図、図7は針一体型センサ100の動作説明図である。
【0019】
本発明の針一体型センサ100は、センサチップ200とランセット針300と当該バイオセンサチップ200の片端部に備えられた流路方向に伸縮自在である蛇腹構造体からなる流路形成体110を有する。
【0020】
センサチップ200は、図3に示すように、絶縁性を有する板部材であるカバー220と基板210の間で試料空間230を形成するようにカバー220と基板210とが接着剤層240で貼り合わせられた構造をしている。センサチップ200は、その先端に試料空間230に繋がる試料導入口201を有する。また、試料空間230の後端には、試料空間230とセンサチップ200の外部と繋がった通気孔241がその両側に延設されている。基板210には、試料空間230に臨ませて一対の電極211が形成されている。そして、試料導入口201と反対側の基板端部には、前記電極211と導体で電気的に接続された電圧取り出し用の端子212が形成されている。カバー220には、試料空間230に臨ませて試料(具体的には血液等の体液)と反応する試薬層221が設けられている。この一対の電極211と試薬層221によってバイオセンサが構成されている。このようなセンサチップ200としては、例えば前記特許文献2に記載されたような板部材が折り曲げられて基板とカバーとが作製されたチップが例示される。もっとも、本発明においては、特許文献2に示された構造のものでなくても差し支えなく、基板210とカバー220との間に試料導入口201が備えられ、その試料導入口201から試料を導入する構造のものであれば適用できる。
【0021】
ランセット針300はセンサチップ200のカバー220上に配置され、例えば固定部材150と支持部材160によって挟まれてセンサチップ200に固定される。ランセット針300は、皮膚(被検体)に傷を付けるべくセンサチップ200の先端からランセット針300の先端を突出させて固定される。また、皮膚から出た体液が速やかに試料導入口201に誘導されるべく、ランセット針300の軸がほぼ試料空間230の配設方向とほぼ平行になるように配置され、当該軸が試料導入口201に近接、好ましくは試料導入口201の真上に位置するように配置される。なお、本発明においては、後述するように流路形成体110が装着されるために、それによって形成された流路111(流路横断面)内に位置する限りにおいて、試料導入口201から多少離れた位置にあっても差し支えない。
【0022】
支持部材160はセンサチップ200の下面からセンサチップ200を保持する機能を有しており、例えばプラスチック材料などから作製される。また、デバイス本体2に着脱しやすいように、支持部材160は2本の指で挟持しやすい翼部161を備えている。固定部材150はセンサチップ200の上面からセンサチップ200を保護する機能を有しており、例えばプラスチック材料などから作製される。また、固定部材150はランセット針300を固定する機能も有しており、その下面にはランセット針300を固定するための切り欠き(図示せず)が形成されている。もちろん、固定部材150と支持部材160を一体成形することもできる。
【0023】
センサチップ200の前面には流路形成体110が備えられる。この流路形成体110は、後述するように穿刺部位から流れ出た体液(血液)を速やかに試料導入口201に導くものである。図示する流路形成体110はチューブ状であり、チューブ内部が血液の流れる流路111となっている。流路形成体110はいわゆる蛇腹状に形成され、流路方向に伸縮自在となっている。流路形成体110はその復元力によって元の形状に復帰する必要はなく、弾性を備えている必要はない。復元力発生部材130が圧縮した流路形成体110を復元するからである。もちろん、流路形成体110が復元力を有していても差し支えない。また、流路方向に伸縮する必要があることより、その厚み(肉厚)は薄いものが好ましい。肉厚が薄ければ圧縮や伸張に必要とする力が小さくなるので、針一体型センサ100(センサ体10)を衝突させる機構を小さくできる。また、衝突時の痛みが小さくなる。これらの機能を満足させるものであればその材質は特に制約されず、わずかの剛性を有するものでもよい。ただし、剛性の大きな材質では圧縮や伸張に必要とする力が大きくなり、余り好ましくない。さらに、流路形成体110にはその溶出成分などによって測定結果に悪影響を与えない材質が望ましい。このような材質として、例えば人工血管として利用されている高分子材料が好適に利用できる。このような高分子材料としては、延伸ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やダクロン(商品名)等のポリエステルが例示される。もちろん、測定結果に影響を与えない測定項目もあり、これらの項目を対象とする場合には、ポリエチレンやポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリマーを用いることもできる。
【0024】
流路形成体110は流路111から外部に体液が漏れないように備えられる。このためには、例えば、センサチップ200の前面に合成樹脂などから作製された基台140を設け、基台140に流路形成体110の端部を埋設する、センサチップ200を保持する支持部材160や固定部材150の前面に接着剤により直接固定する方法が挙げられる。このとき、図示するように、基台140に貫通孔141を設け、その内周面に流路形成体110の外周面を貼り合わせるようするのが好ましい。
【0025】
流路形成体110の先端部には、その先端開口が穿刺対象面すなわち皮膚面に安定に接触するための接触安定部材120が取り付けられる。接触安定部材120の材質は特に制約されるものではないが、皮膚に接触した際に安定かつソフトに接触する材質、例えばわずかに粘着性を有する樹脂材料、具体的には熱硬化性のシリコーンゴム、熱可塑性のスチレン系ゴム(例えば、セプトン(商品名))が好適である。
【0026】
図示するものでは、接触安定部材120に設けられた貫通孔121の内周面に、流路形成体110の外周面が貼り合わせられているが、その取付方法によっては血液が接触安定部材120と接触する可能性がある。また、接触安定部材120にはある程度の剛性が必要とされ、流路形成体110との接着性も必要となる。このようなことを考慮すると、上記の人工血管として利用されているフッ素樹脂材料が好ましい。ところが、フッ素樹脂を用いた接触安定部材120は皮膚との接触が不安定であり、衝突後に位置ずれを起こし流路111に血液を十分に行き渡らせることが困難になるおそれがある。この場合には、例えば、図4に示すごとく、表面に突設した滑止部材121を設けた接触安定部材120を用いる。また、表面に粘着剤を塗布し、接着性を向上した接触安定部材120を用いてもよい。
【0027】
ランセット針300は、力が加えられていない非圧縮時には針先が流路形成体110内に位置し、穿刺対象面すなわち皮膚に衝突した圧縮時には針先が流路111に繋がる接触安定部材120の前面からわずかに飛び出るように設けられる。
【0028】
基台140と接触安定部材120の間には、板バネからなる2つの復元力発生部材130が対向して設けられている。図示された復元力発生部材130は、2枚の板バネが基台140と接触安定部材120の間でその端部が接合して作製され、流路方向に復元力を発生する。復元力発生部材130は、接合されず自由端となった板バネ端部の少なくとも一方は接触安定部材120に埋設などにより固定され、接触安定部材120と一体化される。また、好ましくはその残る板バネ他端も基台140に固定される。接触安定部材120の少なくとも一端を固定することにより、圧縮した流路形成体110を元の形状に復元させるだけでなく、流路形成体110を流路方向に正しく圧縮させる機能を果たす。復元力発生部材130はこれらの機能を果たすものであればその構成は特に問わない。小型で軽量化の観点から板バネが好適であるが、弦巻バネを用いてもよい。
【0029】
針一体型センサ100は、例えば図1に示すような略筒状をしたセンサボディ20に装着されセンサ体10として提供される。センサボディ20は、デバイス本体2への装着用に用いられるものである。その内部には、センサチップ200の端子212とデバイス本体2の測定回路(図示せず)を電気的に接続するためのコネクタ21を備えている。また、センサボディ20の後端側は、ボディ先端側に比べて外径が小さくなった筒状の駆動バネ装着部22となっている。
【0030】
流路形成体110を有するセンサ10は、翼部161の基端近傍を、デバイス本体2の誘導スリット4に挿通させてデバイス本体2に装着される(図5参照)。デバイス本体2は、装着されたセンサ体10を皮膚に衝突させ穿刺するための穿刺機構と、センサチップ200で生じた起電圧から測定値に変換する変換回路や測定値を表示するための表示機構(図示せず)などを備えている。穿刺機構は、例えばバネ機構から構成される。バネ機構は、センサ体10の後部に備えられる駆動バネ31と、駆動バネ31を圧縮した状態で保持するとともに駆動ボタン3によって保持状態を解除する保持機構とから構成される。駆動バネ31は、先端側の一部に駆動バネ装着部22を挿入するようにセンサボディ20に取り付けられ、その他端をデバイス本体2の所定位置にある壁面22に押し付け可能にデバイス本体2内に収納される。また、図示する駆動バネ31はデバイス本体2に固定されているものではなく、収縮した駆動バネ31が自然長に復帰した際には、自然長のままで移動可能となっている。駆動バネ31はその片端がデバイス本体2(例えば壁面24)に固定されていてもよい。
【0031】
保持機構は、センサボディ20に形成されたフック固定用の凹所25と駆動ボタン3と連動するフック部材26及び保持バネ27とからなる。保持バネ27は駆動ボタン3を上方に付勢しており、フック部材26の先端に設けられたフック28を凹所25に係止する。センサ体10がデバイス本体2に挿入されるとフック部材26の先端にあるフック28が凹所25に係合し、駆動バネ31を圧縮した状態に保持する。次いで、駆動ボタン3が押されると、フック28が凹所25から外れ、駆動バネ31が解放される結果、その復元力によってセンサ体10が勢いよく前方に飛び出る。これにより皮膚に衝突した針一体型センサ100は、図7に示すように復元力発生部材130の復元力に打ち勝って、流路形成体110が圧縮し、ランセット針300の先端が皮膚に突き刺さる。その後、接触安定部材120は皮膚に接触した状態に保たれる一方、復元力発生部材130の復元力によってランセット針300が皮膚から外れ、皮膚から流れ出た血液は流路111を満たす。こうして、血液が十分に試料導入口201に行き渡る。
【0032】
このように、流路111を確保する流路形成体110は流路方向に伸縮する蛇腹構造体からなるので、フッ素樹脂のように剛性を有する材質を使用できる。このために、材質の選択の幅が広がり、測定結果に影響を与えない材質の選択ができる。
【0033】
また、復元力発生部材130により流路形成体110を復元させるので、流路形成体110自身には復元力が必要ではなく、流路形成体110を薄肉のチューブ状に構成できる。このために発生させる復元力を弱くできる。その結果、針一体型センサ100を衝突させるための穿刺機構の駆動力を小さくでき、センサデバイスの小型化に貢献する。また、衝突力が小さくなるので、衝突による痛みが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の針一体型センサを備えたセンサ体を一部破断した概略斜視図である。
【図2】センサ体の一部を拡大した概略説明図である。
【図3】針一体型センサに用いられるセンサチップの概略斜視図である。
【図4】別な実施形態である針一体型センサを備えたセンサ体の一部を拡大した概略説明図である。
【図5】針一体型センサが装着されたセンサデバイスの外観図である。
【図6】針一体型センサが装着されたセンサデバイスの概略内部構造図である。
【図7】針一体型センサの動作説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 センサデバイス
2 デバイス本体
3 駆動ボタン
4 誘導スリット
10 センサ体
20 センサボディ
21 コネクタ
22 駆動バネ装着部
25 凹所
26 フック部材
27 保持バネ
28 フック
31 駆動バネ
100 針一体型センサ
110 流路形成体
111 流路
120 接触安定部材
122 滑止部材
130 復元力発生部材
140 基台
150 固定部材
160 支持部材
161 翼部
200 センサチップ
201 試料導入口
210 基板
220 カバー
221 試薬層
230 試料空間
240 接着剤層
300 ランセット針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサチップと、前記センサチップの片端部に固定されたランセット針と、当該センサチップの片端部に備えられた流路方向に伸縮する蛇腹構造体からなる流路形成体とを有することを特徴とする針一体型センサ。
【請求項2】
前記流路形成体は穿刺対象面に対する接触安定部材を有することを特徴とする請求項1に記載の針一体型センサ。
【請求項3】
収縮した流路形成体を元の形状に復元させる復元力発生部材を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の針一体型センサ。
【請求項4】
前記流路形成体は収縮した流路形成体を元の形状に復元させる復元力発生部材と当該復元力発生部材と一体化された穿刺対象面に対する接触安定部材を有することを特徴とする請求項1に記載の針一体型センサ。
【請求項5】
前記接触安定部材の接触面は滑止防止手段を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の針一体型センサ。
【請求項6】
前記滑止防止手段は突起物であることを特徴とする請求項5に記載の針一体型センサ。
【請求項7】
前記滑止防止手段は滑止防止剤の塗布であることを特徴とする請求項5又は6のいずれか1項に記載の針一体型センサ。
【請求項8】
前記復元力発生部材が板バネであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の針一体型センサ。
【請求項9】
前記流路形成体がフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の針一体型センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−77871(P2009−77871A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248709(P2007−248709)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】