説明

釣り用リール部品

【課題】プッシュボタンの操作によりワンタッチで着脱可能な釣り用リール部品において、着脱構造の軸方向長さを短くする。
【解決手段】スプール本体5は、スプール軸2が貫通する貫通孔17dと、スプール軸2が貫通する端面に形成された装着空間17eとを有する。ばね部材30は、装着空間17eに装着された部材である。蓋部材31は、ばね部材30を抜け止めするために装着空間17eを覆うようにスプール本体5に固定された部材である。プッシュボタン32は、蓋部材31に軸方向移動自在に装着され、蓋部材31の中心から外方に露出する押圧操作部32aと、押圧操作部に軸方向に突出して設けられ軸方向の移動により1対の係止部30a、30bの間隔を拡げるように軸部材を挟んで配置される先細りの1対のテーパ部32bとを有し、押圧操作部の押圧操作により軸部材2の環状溝2bとばね部材との係合を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リール部品、特に、先端に形成された環状溝を有する釣り用リールの軸部材に対してワンタッチで着脱可能な釣り用リール部品に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばスピニングリールのスプール(釣り用リール部品の一例)には、スプール軸(軸部材の一例)に対して、プッシュボタンの押圧操作によりワンタッチで着脱可能なものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。従来のワンタッチ着脱可能なスプールは、先端に形成された先細りのテーパ面とテーパ面より奥側に形成された環状溝とを有するスプール軸に着脱可能に装着されている。
【0003】
一方、片軸受リールのスプール(釣り用リール部品の一例)には、スプール軸(軸部材の一例)に対して、レバーの揺動操作によりワンタッチで着脱可能なものが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
前者の従来技術では、スプールは、スプール軸が貫通する貫通部及びスプロケットー軸が貫通する端面に形成された装着空間を有するスプール本体と、装着空間に配置されスプール軸の環状溝に係合可能なばね部材と、ばね部材を抜け止めするためにスプール本体の前部に装着された蓋部材と、ばね部材を環状溝から離脱する離脱状態にするための押圧操作用のプッシュボタンとを備えている。
【0005】
装着空間は、貫通部と同芯に配置された円形の空間である。ばね部材は、弾性線材を折り曲げて形成されたものであり、環状溝に係止されるように対向して配置された1対の係止部と、両係止部の一端を係止部の他端を回り込んで連結するC字状の連結部とを有している。ばね部材は、環状溝に係止されるとともに、プッシュボタンを押圧方向と逆方向に付勢する。
【0006】
プッシュボタンは、スプール軸の外周側に装着され環状溝を通過可能に装着空間に前後移動自在に装着されている。プッシュボタンは、係止部の間に装着されかつ軸方向の移動により1対の係止部の間隔を拡げるように一端に形成された1対のテーパ部と、蓋部材の中心から外方に露出する押圧操作部とを有し、押圧操作部の押圧操作により軸部材の環状溝とばね部材との係合を解除するためのものである。押圧操作部は、有底筒状の部材であり、1対のテーパ部は、押圧操作部より小径でスプール軸より大径の内径を有し押圧操作部の底部から延びる筒状部の先端から末広がりに山形に斜めに切断したような形状である。1対のテーパ部は、装着時にはスプール軸を挟んで対向して配置される。テーパ部の先端は、ばね部材により付勢された状態で1対の係止部の間に挿入されている。蓋部材は、スプール本体に対してたとえばねじ込み固定されており、プッシュボタンも抜け止めしている。
【0007】
このプッシュボタンをスプール軸に向かって押圧することによりテーパ部によりばね部材の係止部の間隔を拡げてスプール軸との係合を解除し、スプールを着脱可能な状態にする。この状態でスプールをスプール軸から外すことができる。また、1対の係止部がテーパ部によって拡げられると、係止部は互いに近づく方向にテーパ部に力を作用させるので、押圧操作部は押圧方向と逆方向に付勢される。このため、押圧操作を止めると、プッシュボタンは逆方向に移動し、1対の係止部は係止可能状態に戻る。
【0008】
スプールをスプール軸に装着する際には、スプール軸のテーパ面によりばね部材の係止部が拡げられ、ばね部材が環状溝に位置すると係止部が環状溝内にはまり込んでスプールをスプール軸に対して抜け止めする。
【0009】
後者の従来の構造では、スプールの支持する軸受の先端側でスプール軸に環状溝が形成されている。そして係合溝に係合する係止位置と離反する離反位置とに揺動自在にレバー部材をスプール本体に設け、スプール外部に露出する把手部をレバー部材に設け、把手部を手で操作してレバー部材を離反位置に揺動させ、スプールをスプール軸から外している。レバー部材は、板ばねにより係止位置側に付勢されている。このような後者の構造は、レバー部材を揺動させてスプールを外す操作を行えるので、スプール軸方向の長さは比較的短くて済む。しかし、揺動操作が必要なため、プッシュボタンによる着脱操作に比べて着脱操作を行いにくい。
【特許文献1】実開平06−068447号公報
【特許文献2】特開2000−201600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前者の従来技術のような着脱操作が容易なプッシュボタンによりスプールをワンタッチで着脱自在な機構を、後者の片軸受リールのスプールの着脱構造に適用すると、スプールの軸方向長さが長くなる。すなわち、プッシュボタンを用いた着脱構造では、テーパ部を有し軸方向に長いプッシュボタンをさらに軸方向に移動させなければならないため、着脱構造の軸方向長さが長くなる。このような着脱機構を軸受の軸方向先端側に配置しなければならないため、プッシュボタンがスプールの端面から突出するおそれがある。
【0011】
本発明の課題は、プッシュボタンの操作によりワンタッチで着脱可能な釣り用リール部品において、着脱構造の軸方向長さを短くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明1に係る釣り用リール部品は、先端に形成された環状溝を有する釣り用リールの軸部材に対してワンタッチで着脱可能な部品であって、部品本体と、ばね部材と、蓋部材と、プッシュボタンと、ばね配置部材とを備えている。部品本体は、軸部材が貫通する貫通部と、軸部材が貫通する端面に形成された装着空間とを有するものである。ばね部材は、環状溝に係止されるように対向して配置された1対の係止部を有し、装着空間に装着された部材である。蓋部材は、ばね部材を抜け止めするために装着空間を覆うように部品本体に固定された部材である。プッシュボタンは、蓋部材に軸方向移動自在に装着され、蓋部材の中心から外方に露出する押圧操作部と、押圧操作部に軸方向に突出して設けられ係止部の間に先端が挿入されかつ軸方向の移動により1対の係止部の間隔を拡げるように軸部材を挟んで配置される先細りの1対のテーパ部とを有し、押圧操作部の押圧操作により軸部材の環状溝とばね部材との係合を解除するためのボタンである。ばね配置部材は、1対のテーパ部がそれぞれ通過可能な第1通過孔を有し、ばね部材を蓋部材との間に配置する部材である。
【0013】
この釣り用リール部品では、たとえば軸受として機能するばね配置部材が軸部材に設けられていても、プッシュボタンの1対のテーパ部がばね配置部材の第1通過孔を通過して配置されている。そして、このばね配置部材と蓋部材との間に配置されたばね部材の係止部がプッシュボタンの押圧操作によりテーパ部により開かれて環状溝から外れ、釣り用リール部品を軸部材から外すことができる。ここでは、1対のテーパ部がばね配置部材を貫通できるようにばね配置部材に第1貫通孔を形成したので、ばね配置部材の第1貫通孔を貫通してテーパ部を配置することにより、ばね配置部材とプッシュボタンとを軸方向に重ねて配置することができ、プッシュボタンによる着脱構造の軸方向長さを短くすることができる。
【0014】
発明2に係る釣り用リール部品は、発明1に記載のリール部品において、装着空間は、貫通部と同芯に円形に形成され、ばね部材は、弾性線材製であり、両係止部の一端を係止部の他端を回り込んで連結するC字状の連結部をさらに有する。この場合には、1対の係止部がC字状の連結部により連結されるのでばね部材が略円形になるとともに、装着空間が貫通部と同芯に形成された円形であるので、係止部が軸部材の環状溝に係止されるばね部材を装着空間に装着しやすくなる。
【0015】
発明3に係る釣り用リール部品は、発明1又は2に記載のリール部品において、ばね配置部材は、部品本体を軸部材に回転自在に支持するための軸受である。この場合には、軸受により部品本体を回転自在に支持しても、着脱構造の軸方向長さを短くすることができる。
【0016】
発明4に係る釣り用リール部品は、発明1から3のいずれかに記載の部品において、押圧操作部は、蓋部材に軸方向移動自在に装着され少なくとも一部が軸部材の外周側に配置される筒状部と、筒状部の一端に一体形成され蓋部材の中心から外部に露出する底部とを有し、1対のテーパ部は、筒状部の一部を切り欠いて形成されている。この場合には、テーパ部をプッシュボタンの筒状部に形成したので、筒状部と別にテーパ部を設ける構成に比べてプッシュボタンの軸方向長さが短くなり、プッシュボタンによる着脱構造の軸方向長さをさらに短くすることができる。
【0017】
発明5に係る釣り用リール部品は、発明1から4のいずれかに記載のリール部品において、プッシュボタンは、1対のテーパ部の間にテーパ部と周方向に間隔を隔てて配置された1対のガイド部をさらに有し、ばね配置部材は、1対のガイド部がそれぞれ通過可能な1対の第2通過孔をさらに有する。この場合には、プッシュボタンがガイド部でも蓋部材に支持されるのでプッシュボタンの軸方向の動きがよりスムーズになる。
【0018】
発明6に係る釣り用リール部品は、発明5に記載のリール部品において、ばね配置部材は、部品本体に回り止めされた状態で装着され、第2通過孔は、1対のテーパ部の先端がばね部材の係止部の間に配置されるようにガイド部の周方向位置を制限する。この場合には、ばね配置部材が部品本体に所定の周方向位置で装着され、さらにガイド部の周方向位置が第2貫通孔により制限されるので、ガイド部を第2連結孔に通すと、1対のテーパ部が一定の周方向位置に配置される。このため、組立時にばね部材の係止部の間にテーパ部を配置しやすくなる。
【0019】
発明7に係る釣り用リール部品は、発明1から6のいずれかに記載のリール部品において、ばね配置部材は、ばね部材の周方向位置を位置決めして前記装着空間に配置可能な複数の位置決め突起を有する。この場合には、ばね部材の周方向位置が所定の位相に定まるので、組立時にばね部材の係止部の間にテーパ部を配置しやすくなる。特に、テーパ部を一定の周方向位置に配置できるように規制すると、ばね部材を配置した後にプッシュボタンを配置するだけでテーパ部を係止部の間に配置することができ、さらに組立しやすくなる。
【0020】
発明8に係る釣り用リール部品は、発明1から7のいずれかに記載のリール部品において、プッシュボタンは、筒状部の他端に形成され、蓋部材から外方にプッシュボタンが抜けないようにするための抜け止め突起をさらに有する。この場合には、プッシュボタンがばね部材により抜ける方向に付勢されても、プッシュボタンが蓋部材から抜けなくなる。
【0021】
発明9に係る釣り用リール部品は、発明1から8のいずれかに記載のリール部品において、軸部材は、釣り用リールとしての片軸受リールのリール本体に固定に装着されたスプール軸であり、部品本体は、スプール軸に回転自在かつ着脱自在に装着され外周に釣り糸が巻き付けられる片軸受リールのスプール本体である。この場合には、片軸受リールにプッシュボタンによる着脱構造を採用しても、着脱構造の軸方向長さが短くなるので、プッシュボタンがスプールの端面から突出しなくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、1対のテーパ部がばね配置部材を貫通できるようにばね配置部材に第1貫通孔を形成したので、ばね配置部材の第1貫通孔を貫通してテーパ部を配置することにより、ばね配置部材とプッシュボタンとを軸方向に重ねて配置することができ、プッシュボタンによる着脱構造の軸方向長さを短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔全体の構成〕
図1から図3は、本発明の一実施形態による片軸受リールを示している。図1から図3において片軸受リールは、リール本体1と、リール本体1に片持ち支持されたスプール軸(軸部材の一例)2と、スプール軸2に対して相対回転自在に配置され外周に釣り糸が巻かれるスプール(釣り用リール部品の一例)3と、スプール3の一方向の回転を制動するドラグ機構4と、を備えている。
【0024】
〔リール本体の構成〕
リール本体1は、一方側(図2左側)に円盤状の側板10を有し、他方側は開放されている。側板10の外周には、軸方向に延びる上下1対の保護部11a,11bが円周方向に所定の間隔で形成されている。上側の保護部11aには、この片軸受リールを釣り竿に取り付けるための取付部12が設けられている。側板10の中心部には、図4に示すように、スプール軸2を固定するための雌ねじ孔10aが形成されている。また、雌ねじ孔10aの外周側の内側面には、雌ねじ孔10aと同芯に筒状のドラグ収納部10bが形成されている。ドラグ収納部10bには、直径上に1対のスリット10c,10cが形成されている。ドラグ収納部10bのスリット形成部分の内周面には、環状のドラグ係止溝10dが形成されている。
【0025】
〔スプール軸の構成〕
スプール軸2は、図4に示すように、その基端端がリール本体1の側板10の中心部に形成されて雌ねじ孔10aにねじ込み固定されている。スプール軸2の基端部には、側板10の雌ねじ孔10aに螺合する雄ねじ部2aが形成されている。この雄ねじ部2aは、リール本体1の側板10の中心部から外方に突出している。また、スプール軸2の先端には、第1環状溝2bと、第1環状溝2bより大径で先端が先細りの頭部2cとが形成されている。第1環状溝2bに隣接してスプール軸2の先端部を支持する滑り軸受21が装着される軸受支持部2dが形成されている。また、軸受支持部2dの基端側は、軸受支持部2dより大径に形成され、そこには、第2環状溝2eが形成されている。また、その基端側には雄ねじ部2aに隣接して互いに平行な面取り部2fが形成されている。この面取り部2fにスパナなどの工具を係止してスプール軸2を側板10にねじ込むことができる。
【0026】
〔スプールの構成〕
スプール3は、図1から図4に示すように、スプール本体(部品本体の一例)5と、スプール本体5をワンタッチでスプール軸2から取り外すためのワンタッチ着脱機構6とを有している。スプール本体5は、筒状の糸巻き胴部15と、糸巻き胴部15の一端部に糸巻き胴部15と一体で形成された円盤状の内フランジ16aと、糸巻き胴部15の他端部にリール本体1の開放部を覆うように一体で形成された外フランジ16bと、糸巻き胴部15の内周側に配置されるボス部17と、糸巻き胴部15とボス部17とを連結する円板状の連結部18とを有している。糸巻き胴部15、内フランジ16a、外フランジ16b及び連結部18には、軽量化を図るとともに意匠性を向上させるための複数の円形の抜き孔が形成されている。内フランジ16はリール本体1の側板10と対向するように形成されている。外フランジ16bは、内フランジ16aより大径に形成され、その外側面には、ハンドル16cと、ハンドル16cと中心対象に配置されたバランスウェイト16dとが装着されている。
【0027】
ボス部17は、スプール軸2が貫通可能な貫通孔17dを有する筒状の部材であり、先端側はワンタッチ着脱機構6を構成する蓋部材31で塞がれている。ボス部17は、スプール軸2が貫通する先端面に貫通孔17dと同芯に形成された円形の装着空間17eを有している。ボス部17の先端部外周面には、雌ねじ部17aが形成されている。ボス部17の貫通孔17dには、図5に示すように、直径上に配置され軸方向の全長にわたり形成された2つの第1係止溝17bと、ボス部17の基端部(図4左端)から軸方向の途中まで形成された4つの第2係止溝17cとが形成されている。この第1係止溝17b及び第2係止溝17cは、周方向の6等配された位置に形成されている。第1及び第2係止溝17b,17cは、後述するローラクラッチ23の外輪25を回り止めするとともに、第1係止溝17bは、後述する滑り軸受21を回り止めする。また、軸方向の途中まで形成された第2係止溝17cは、ローラクラッチ23の軸方向位置を位置決め可能である。スプール3は、ボス部17の基端部に装着された玉軸受22と、ボス部17の先端部に装着された滑り軸受21とによりスプール軸2に回転自在に装着されている。また、両軸受21,22の間には、ローラクラッチ23が装着されている。
【0028】
〔ローラクラッチの構成〕
ローラクラッチ23は、スプール3に着脱自在に装着され、ドラグ機構4が糸繰り出し方向でのみ作動するように設けられている。ローラクラッチ23は、図4に示すように、ボス部17の内周面に形成された第1及び第2係止溝17b,17cに回転不能に装着された外輪25と、スプール軸2に回転自在に装着された内輪26と、両輪25,26の間に両者に接触可能に配置された、たとえば6つのローラ27とを有する内輪遊転形のワンウェイクラッチである。ローラ27は、図示しない保持器により外輪25内に装着されている。
【0029】
外輪25は、両端が内方に湾曲した金属製の筒状部材であり、その内周面には、外方に凸に湾曲したカム面(図示せず)が形成されている。カム面は、一端側でローラ27が内輪26と外輪25との間に食い込み、他端側で両輪25,26から離れるように形成されている。外輪25の外周面には、カム面が形成された位置に係止突起25bが形成されている。係止突起25bは、ボス部17の内周面に形成された6つの係止溝17b,17cに回転不能に係止される突起である。この係止突起25bの形状は、ボス部17の係止溝17b,17cに回転不能に係止される構造であれば、ボス部17に面で接触しても点で接触してもよい。
【0030】
内輪26は、金属製の筒状部材であり、外輪25より長く側板10側に突出している。内輪26の突出端には、図3及び図4に示すように、軸方向に突出する1対の係止突起26aが形成されている。この係止突起26aは、ドラグ機構4を内輪26に回転不能に連結するために設けられている。内輪26は、スプール軸2にはめ込まれた止め輪24とリール本体1の側板10の壁面とにより軸方向の移動が規制されている。また、内輪26の先端部には、外輪25の軸方向の移動を規制する断面が矩形の弾性体製のOリング28が装着される環状凹部26bが形成されている。Oリング28の外径は、外輪25に当接可能な径である。環状凹部26bは、先端側(図4右側)の壁面がスプール軸2と直交する平面であり、基端側(図4左側)の壁面がなだらかなテーパ面となっている。
【0031】
ローラクラッチ23は、スプール3の取り外し時には、玉軸受22とともにスプール軸2に残っている。また、左巻きと右巻きとでローラクラッチ23の逆転禁止方向を変更する際には、Oリング28を環状凹部26bから取り外すことにより、内輪26から外輪25及びローラ27を一体でスプール軸2から取り外すことができる。この状態で図4の左右を反転して外輪25及びローラ27を内輪26に組み込み、Oリング28を環状凹部26bに再度装着することにより外輪25が抜け止めされ、反転前と逆方向の回転が禁止される。
【0032】
〔ワンタッチ着脱機構の構成〕
ワンタッチ着脱機構6は、図3,図4及び図6に示すように、スプール軸2の第1環状溝2bに係止される弾性線材製のばね部材30と、ばね部材30を抜け止めするために装着空間17eを覆うようにボス部17の先端にねじ込み固定された蓋部材31と、蓋部材31に軸方向移動自在に装着されたプッシュボタン32と、ばね部材30を蓋部材31との間に配置するためのばね配置部材として機能する前述した滑り軸受21とを有している。
【0033】
ばね部材30は、スプール3をスプール軸2に軸方向移動不能に装着するためのばねである。また、ばね部材30は、プッシュボタン32を前方(図4右方)へ付勢する機能も有している。ばね部材30は、弾性線材を折り曲げて形成されたものであり、変形したときに付勢力が生じるようになっている。ばね部材30は、図6に示すように、第1環状溝2bに係止されるように対向して配置された直線状の1対の係止部30a,30bと、両係止部30a,30bの一端から折れ曲がって両係止部30a,30bの他端を回り込んで連結するC字状の連結部30cとを有し、装着空間17eに装着されている。
【0034】
蓋部材31は、中心にプッシュボタン32を軸方向移動自在に支持する貫通孔31aが形成された有底筒状の部材である。蓋部材31の筒部31bの内周面には、ボス部17の雄ねじ部17aに螺合する雌ねじ部31cが形成されている。蓋部材31の底部31dの底面内側とボス部17の先端面から離反して配置され、両者の間には装着空間17eが形成されている。蓋部材31の底部31dの外側面は、球面状に湾曲している。
【0035】
プッシュボタン32は、スプール3をスプール軸2から取り外す際に使用されるボタンである。プッシュボタン32は、図4及び図6に示すように、蓋部材31の中心から外方に露出する押圧操作部32aと、押圧操作部32aに軸方向に突出して設けらればね部材30の1対の係止部30a,30bの間に先端が挿入されかつ軸方向の移動により1対の係止部30a,30bの間隔を拡げるようにスプール軸2を挟んで配置される先細りの1対のテーパ部32bとを有している。テーパ部32bは、周方向の両側に先細りのテーパ面32gが形成されている。また、プッシュボタン32は、1対のテーパ部32bの間にテーパ部32bと周方向に間隔を隔てて配置された1対のガイド部32cとを有している。プッシュボタン32は、押圧操作部32aの押圧操作によりスプール軸2の第1環状溝2bとばね部材30との係合を解除するためのものである。
【0036】
押圧操作部32aは、蓋部材31の貫通孔31aに軸方向移動自在に装着され少なくとも一部、具体的に先端部スプール軸2の先端部の外周側に配置される筒状部32eと、前記筒状部の一端に一体形成され蓋部材31の貫通孔31aから外部に露出する底部32fとを有している。この、筒状部32eの一部を切り欠いてテーパ部32b及びガイド部32cが形成されている。なお、テーパ部32bの長さは、筒状部32e(ガイド部32c)の長さより僅かに短い。したがって、テーパ部32b及びガイド部32cは、筒状部32eの機能、すなわち、蓋部材31に軸方向移動自在に支持される機能も有している。筒状部32eの先端部には、径方向外方に突出して蓋部材31から外方にプッシュボタン32が抜けないようにするための抜け止め突起を32dが形成されている。
【0037】
ばね配置部材としての滑り軸受21は、たとえば、ポリアセタール樹脂などの硬質で滑りがよい合成樹脂製のブッシュである。滑り軸受21は、図6に示すように、外周面にボス部17の先端面に接触する鍔部21aを有するとともに内周面にスプール軸2の軸支持部2dに接触する接触面21bを有している。鍔部21a背面側の直径上の2箇所には、ボス部17の第1係止溝17bに係合する回り止め突起21cが形成されている。この回り止め突起21cが第1係止溝17bに係合することにより、滑り軸受21がスプール3に回転不能に装着される。
【0038】
滑り軸受21には、プッシュボタン32を通過可能にするための1対の第1通過孔21d及び第2通過孔21eが軸方向に貫通して形成されている。それぞれの通過孔21d,21eは、直径上に配置されており、第1通過孔21dは、抜け止め突起32dを含む1対のテーパ部32bが通過可能な孔であり、第2通過孔21eは、抜け止め突起32dを含む1対のガイド部32cが通過可能な孔である。第1通過孔21dは、テーパ部32bが通過可能な円弧状の孔である。第2通過孔21eは、ガイド部32dの周方向の両側面に近接可能に形成された円弧状の孔であり、プッシュボタン32の周方向位置を規制して回り止めする機能を有している。第1通過孔21dの内周部側及び第2通過孔21eの周方向の両側には、プッシュボタン32に向けて軸方向に突出する第1及び第2位置決め突起21f,21gがそれぞれ形成されている。第1及び第2位置決め突起21f,21gは、ばね部材30の周方向位置を規制するためのものである。具体的には、第2通過孔21eにより回り止めされたプッシュボタン32のテーパ部32bが係止部30a,30bの間に配置されるように、第1及び第2位置決め突起21f,21gは、ばね部材30の周方向位置を規制する。
【0039】
このような、第1位置決め突起21fと、それと間隔を隔てて配置された第2位置決め突起21gとの間にばね部材30の1対の係止部30a,30bを配置することにより、プッシュボタン32のガイド部32cを第2通過孔21eに挿入するだけで、テーパ部32bが1対の係止部30a,30b間に配置されるようになる。このため、組立時に、ばね部材30とプッシュボタン32の周方向位置を考慮して組み込む必要がなくなり、ワンタッチ着脱機構6の組立作業が容易になる。
【0040】
また、このような構成のワンタッチ着脱機構6では、1対のテーパ部32bがばね配置部材である滑り軸受21を貫通できるように滑り軸受21に第1貫通孔21dを形成したので、第1貫通孔21dを貫通してテーパ部32bを配置することにより、滑り軸受21とプッシュボタン32とを軸方向に重ねて配置することができ、プッシュボタン32によるワンタッチ着脱機構6の軸方向長さを短くすることができる。
【0041】
さらに、テーパ部32bをプッシュボタン32の筒状部32eに形成したので、筒状部と別にテーパ部を設ける構成に比べてプッシュボタン32の軸方向長さが短くなり、プッシュボタン32によるワンタッチ着脱機構6の軸方向長さをさらに短くすることができる。
【0042】
〔ドラグ機構の構成〕
ドラグ機構4は、図3及び図4に示すように、内輪に回転不能に係止される回転円板40と、リール本体1にスプール軸2に沿う軸方向に移動自在かつ回転不能に装着され回転円板40に圧接可能な、たとえば2枚の制動円板41,42と、リール本体1に軸方向に移動可能に設けられ制動円板41,42を回転円板40側に圧接するための圧接機構43とを有している。また、ドラグ機構4は、制動円板41と逆側で回転円板40に圧接可能なドラグリング44と、ドラグリング44に圧接可能な耳付きリング45と、耳付きリング45を抜け止めする止め輪46とを有している。
【0043】
回転円板40と制動円板41との間には、両者の相対回転、つまりドラグ作動時に発音する第1発音機構47が設けられている。また、圧接機構43には、ドラグ力を調整する際に発音する第2発音機構48が設けられている。
【0044】
回転円板40は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、内周部に内輪26の係止突起26aに係止される1対の係止溝40aを有している。また、回転円板40の径方向の中間部には、リング状の凹部40bが形成されている。この凹部40bには、第1発音機構47を構成するリング状の第1発音部材60が回転不能に装着されている。
【0045】
制動円板41は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、径方向の中間部には、周方向に等間隔に配置されたたとえば3つの丸孔41aが形成されている。制動円板42は、たとえば炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化樹脂からなり、径方向の中間部には、周方向に等間隔に配置されたたとえば3つの丸孔42aが形成されている。両丸孔41a,42aは同じ位置に形成されている。
【0046】
ドラグリング44は、とえば炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化樹脂の部材である。耳付きリング45は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、ドラグ収納部10bに形成されたスリット10c,10cに係合する径方向に突出する耳部を外周部に有する耳付き座金である。止め輪46は、ドラグ係止溝10dに装着されるたとえばC形止め輪である。止め輪46は、耳付きリング45を抜け止めするとともに、圧接機構43により押圧された力を受けるために設けられている。
【0047】
このようなドラグリング44と、耳付きリング45とを回転円板40に対して追加することによりドラグ力を大きくすることができる。したがって、大きなドラグ力が必要な大型の片軸受リールには、ドラグリング44及び耳付きリング45をドラグ機構4に追加し、それより小さいドラグ力でよい中小型の片軸受リールでは、回転円板40と2枚の制動円板41,42とでドラグ機構を構成することにより、複数の形式の片軸受リールのドラグ機構の部品の共通化を図ることができる。
【0048】
圧接機構43は、操作つまみ51と、操作つまみ51により押圧される3枚の皿ばね52と、皿ばねにより押圧されるワッシャ53と、ワッシャ53により押圧される、たとえば3本の押圧ピン54(図4では1本のみ図示)とを有している。なお、図4では、スプール軸芯Xの上側にドラグ解放状態を、下側に最大ドラグ状態を示している。
【0049】
操作つまみ51は、縁付き皿状のつまみ部51aと、つまみ部51aの中心に一体形成されたボス部51bとを有している。つまみ部51aの径方向の中間部背面には、第2発音機構48の第2発音部材65がねじにより回転不能に固定されている。ボス部51bは、スプール軸2の先端に形成された雄ねじ部2aに螺合している。操作つまみ51は、スプール軸2の基端面に装着された抜け止めボルト55により抜け止めされている。
【0050】
3枚の皿ばね52は、ボス部51bの外周側に軸方向に並べて装着されており、操作つまみ51の回転により伸縮してドラグ力を細かく調整するために設けられている。ワッシャ53は、皿ばね52の付勢力を押圧ピン54に伝達するために設けられている。押圧ピン54は、先端側が小径の段付きピンであり、側板10に周方向に等間隔に3カ所に形成された貫通孔10fに大径部分が軸方向移動自在に装着されている。押圧ピン54の先端は、制動円板41,42に形成された丸孔41a,42aに挿通されており、両円板41,42をリール本体1に対して回転不能に係止している。押圧ピン54の段差部分は制動円板42に当接している。これにより制動円板42は押圧ピン54により押圧される。皿ばね52のバネ力を操作つまみ51の回動操作により調整することで、制動円板41,42と回転円板40とドラグリング44と耳付きリング45との摩擦力が変化しドラグ力を調整できる。
【0051】
第1発音機構47は、第1発音部材60と、第1発音部材60への衝突を繰り返す第1発音ピン61と、第1発音ピン61を第1発音部材60側に押圧する第1コイルバネ62とを有している。第1発音機構47は、制動円板41,42と回転円板40とが相対回転するドラグ作動時に発音する。第1発音部材60は、前述のように回転円板40に会見不能に装着されたリング状の部材であり、その第1発音ピン61側の側面には、周方向に間隔を隔てて多数の第1発音凹部60aが形成されている。第1発音ピン61は、側板10の内側面に形成された凹部10eに軸方向移動自在に装着されている。第1発音ピン61は頭部が球状で小径であり、ドラグ作動時に第1発音部材60の第1発音凹部60aで衝突を繰り返し、細かなクリック音を発する。
【0052】
第2発音機構48は、第1発音機構47と略同様な構成であり、第2発音部材65と、第2発音ピン66と、第2コイルバネ67とを有している。第2発音機構48は、操作つまみ51が回転すると発音する。第2発音部材65にも周方向に間隔を隔てて多数の第2発音凹部65aが形成されている。
【0053】
次に動作について説明する。
【0054】
図示していないが、スプール3の糸巻き胴部15の外周には釣り糸が巻かれる。釣り糸を巻き取る際には、ハンドル16cを操作してスプール3を回転させる。スプール3はスプール軸2に対して相対回転する。このとき、ローラクラッチ23は遮断されるので、外輪25は自由に回転してスプール3の巻取り方向の回転は許容される。このため、スプール3はスムーズに回転する。
【0055】
スプール3から釣り糸を繰り出す際には、スプール3は前記とは逆方向に回転する。このとき、ローラクラッチ23は、連結されるので、内輪26も外輪25とともに回転しようとする。しかし、内輪26は、回転円板40を介して制動円板41,42,耳付きリング45により制動されているので、回転力に対して皿ばね52により設定された抵抗力(ドラグ力)が作用している。このため、スプール3が必要以上に回転して釣り糸が過剰に引き出されるのを防止でき、糸からみを避けることができる。
【0056】
また、このような釣り糸の繰り出し時には、回転円板40はスプール3とともに回転し、制動円板41,42、耳付けリング45はその回転が禁止されているので、両円板40,41が相対回転し第1発音機構47が発音する。
【0057】
次に、スプール3をスプール軸2から取り外す際の動作について説明する。
【0058】
スプール3をスプール軸2から取り外すときには、プッシュボタン32の押圧操作部32aをスプール軸2に向かって押圧する。これにより、テーパ部32bがばね部材30の係止部30a,30bの間隔を拡げてスプール軸2の第1環状溝2bとの係合を解除し、スプール3を着脱可能な状態にする。プッシュボタン32を押圧した状態でスプール3を先端側(図2右側)に引っ張り出すと、スプール軸2からスプール3を取り外すことができる。また、1対の係止部30a,30bがテーパ部32bによって拡げられると、1対の係止部30a,30bは互いに近づく方向にテーパ部32bに力を作用させるので、押圧操作部32aは押圧方向と逆方向(図2右方)に付勢される。このため、押圧操作を止めると、プッシュボタン32は先端側に移動し、1対の係止部30a,30bは係止可能状態に戻る。このとき、ワンウェイクラッチ23及び玉軸受22は、スプール軸2上に残る。一方、滑り軸受21はスプール3とともにスプール軸2から取り外される。この状態を図7に示す。
【0059】
スプール3をスプール軸2に装着する際には、スプール軸2の先細りの頭部2cによりばね部材30の係止部30a,30bが拡げられ、ばね部材30が第1環状溝2bに位置すると、弾性により第1環状溝2b内に係止部30a,30bがはまり込んでスプール3がスプール軸2に対して抜け止めされる。
【0060】
スプール軸2からスプール3を取り外せば、ローラクラッチ23の装着方向を逆側に変更することで、糸巻方向を逆方向に変更できる。この場合、まず、Oリング28を内輪26の環状凹部26bから外す。これにより、外輪25及びローラ27が一体で内輪26から取り外し可能になる。この状態で外輪25及びローラ27を内輪26から外して逆転させ再度内輪26に装着する。そして、Oリング28を装着して外輪25を抜け止めするこれにより、簡単に糸巻方向を逆方向に変更できる。ここでは、ローラクラッチ23の外輪25の抜け止め用の部材として弾性体製のリング部材を用いたので、リング部材の着脱が容易である。このため、ローラクラッチ23の装着方向を簡単に変更できる。
【0061】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、釣り用リール部品として片軸受リールのスプールをレンジしたが、釣り用リール部品は、これに限定されず、軸部材に着脱自在に装着されるものではあればどのようなものでもよい。たとえば、スプール軸に着脱自在に装着されるスピニングリールのスプールやハンドル軸に着脱自在に装着される釣り用リールのハンドル把手であってもよい。
【0062】
図8に、スピニングリールのスプールに本発明を適用した場合の構成を示す。
【0063】
スプール104は、図8に示すように、ロータ(図示せず)の第1アーム部と第2アーム部との間に配置されており、スプール軸108の先端にワンタッチで着脱自在かつ回転不能に装着されている。スプール軸108は、先端に形成された先細りの頭部108aと、頭部108aより奥側(図8右側)に形成された環状溝108bとを有している。
【0064】
スプール104は、スプール本体107と、ワンタッチ着脱機構113とを有している。スプール本体107は、釣り糸が外周に巻き付けられる糸巻胴部104aと、糸巻胴部104aの後端部に一体成形された筒状のスカート部104bと、糸巻胴部104aの前部に糸巻胴部104aより大径に形成された前フランジ部104cとを有している。スプール本体107は、たとえばアルミニウム合金製、マグネシウム合金製、ステンレス合金製などの金属やポリアミド系合成樹脂などの合成樹脂製のものである。
【0065】
スプール本体107の中心には、スプール軸108が貫通する貫通孔107aが形成され、スプール軸108が貫通する前端面には、貫通孔107aと同芯に筒状の突出部107eが形成されており、その内部にワンタッチ着脱機構113を装着するための装着空間107bが形成されている。突出部107eの内周面には、後述する蓋部材131を装着するための雌ねじ部107fが形成されている。貫通孔107aの後端には、径方向に沿って回り止め溝107cが形成されている。回り止め溝107cには、スプール軸108に径方向に沿って形成されたピン孔108cに装着された回り止めピン114が係止されている。この回り止め溝107cと回り止めピン114との係合によりスプール104がスプール軸108に対して回転不能になっている。
【0066】
ワンタッチ着脱機構113は、スプール軸108の環状溝108bに係止される弾性線材製のばね部材130と、ばね部材30を抜け止めするために装着空間107bを覆うように突出部107eにねじ込み固定された蓋部材131と、蓋部材131に軸方向移動自在に装着されたプッシュボタン132と、ばね部材130を蓋部材131との間に配置するためのばね配置部材121とを有している。ばね配置部材121は、スプール本体107に回転不能に装着されている。
【0067】
ワンタッチ着脱機構113を構成するばね部材130及びプッシュボタン132は、前記実施形態と同様なため説明を省略する。蓋部材131は、中心にプッシュボタン132を軸方向移動自在に支持する貫通孔131aが形成された有底筒状の部材である。蓋部材131は、突出部107eの内周面に螺合する雄ねじ部131bを有する筒状部131cを有している。蓋部材131の外周部は、前フランジ部104cの前面を覆うように形成されている。
【0068】
ばね配置部材121は、ばね部材130を装着空間107bに配置するために設けられている。ばね配置部材121には、プッシュボタン132のテーパ部及びガイド部が通過可能な第1及び第2通過孔が前記実施形態と同様に形成されている。また、第1及び第2位置決め突起も前記実施形態と同様に形成されている。
【0069】
このような実施形態においても、前記実施形態と同様にワンタッチ着脱機構113の軸方向長さを短くすることができる。
【0070】
(b)前記実施形態では、筒状部にテーパ部を形成したが、筒状部と別にテーパ部を設けてもよい。たとえば、筒状部の内周側に別の筒状部分を設け、その筒状部分を切り欠いてテーパ部を形成してもよい。さらにその筒状部分にガイド部を形成してもよい。この場合にも、ばね配置部材に第1通過孔を設ける必要があるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態による片軸受リールの正面図。
【図2】その片軸受リールの側断面図。
【図3】片軸受リールの分解斜視図。
【図4】図2の要部の拡大断面図。
【図5】スプールの背面図。
【図6】ワンタッチ着脱機構の分解斜視図。
【図7】スプールを外した状態の図2に相当する図。
【図8】他の実施形態の図2に相当する図。
【符号の説明】
【0072】
1 リール本体
2 スプール軸(軸部材の一例)
2b 第1環状溝
3,104 スプール(釣り用リール部品の一例)
5,107 スプール本体(部品本体の一例)
6,113 ワンタッチ着脱機構
17d 貫通孔(貫通部の一例)
17e 装着空間
21 滑り軸受(ばね配置部材の一例)
21d 第1通過孔
21e 第2通過孔
21f,21g 第1及び第2位置決め突起
30,130 ばね部材
30a,30b 係止部
30c 連結部
31,131 蓋部材
32,132 プッシュボタン
32a 押圧操作部
32b テーパ部
32c ガイド部
32d 抜け止め突起
32e 筒状部
32f 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に形成された環状溝を有する釣り用リールの軸部材に対してワンタッチで着脱可能な釣り用リール部品であって、
前記軸部材が貫通する貫通部と、前記軸部材が貫通する端面に形成された装着空間とを有する部品本体と、
前記環状溝に係止されるように対向して配置された1対の係止部を有し、前記装着空間に装着されたばね部材と、
前記ばね部材を抜け止めするために前記装着空間を覆うように前記部品本体に固定された蓋部材と、
前記蓋部材に軸方向移動自在に装着され、前記蓋部材の中心から外方に露出する押圧操作部と、前記押圧操作部に軸方向に突出して設けられ前記係止部の間に先端が挿入されかつ軸方向の移動により前記1対の係止部の間隔を拡げるように前記軸部材を挟んで配置される先細りの1対のテーパ部とを有し、前記押圧操作部の押圧操作により前記軸部材の環状溝と前記ばね部材との係合を解除するためのプッシュボタンと、
前記1対のテーパ部がそれぞれ通過可能な1対の第1通過孔を有し、前記ばね部材を前記蓋部材との間に配置するばね配置部材と、
を備えた釣り用リール部品。
【請求項2】
前記装着空間は、前記貫通部と同芯に円形に形成され、
前記ばね部材は、弾性線材製であり、前記両係止部の一端を前記係止部の他端を回り込んで連結するC字状の連結部をさらに有する、請求項1に記載の釣り用リール部品。
【請求項3】
前記ばね配置部材は、前記部品本体を前記軸部材に回転自在に支持するための軸受である、請求項1又は2に記載の釣り用リール部品。
【請求項4】
前記押圧操作部は、前記蓋部材に軸方向移動自在に装着され少なくとも一部が前記軸部材の外周側に配置される筒状部と、前記筒状部の一端に一体形成され前記蓋部材の中心から外部に露出する底部とを有し、
前記1対のテーパ部は、前記筒状部の一部を切り欠いて形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リール部品。
【請求項5】
前記プッシュボタンは、前記1対のテーパ部の間に前記テーパ部と周方向に間隔を隔てて配置された1対のガイド部をさらに有し、
前記ばね配置部材は、前記1対のガイド部がそれぞれ通過可能な1対の第2通過孔をさらに有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の釣り用リール部品。
【請求項6】
前記ばね配置部材は、前記部品本体に回り止めされた状態で装着され、
前記第2通過孔は、前記1対のテーパ部の先端が前記ばね部材の係止部の間に配置されるように前記ガイド部の周方向位置を制限する、請求項5に記載の釣り用リール部品。
【請求項7】
前記ばね配置部材は、前記ばね部材の周方向位置を位置決めして前記装着空間に配置可能な複数の位置決め突起を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の釣り用リール部品。
【請求項8】
前記プッシュボタンは、前記筒状部の他端に形成され、前記蓋部材から外方に前記プッシュボタンが抜けないようにするための抜け止め突起をさらに有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の釣り用リール部品。
【請求項9】
前記軸部材は、前記釣り用リールとしての片軸受リールのリール本体に固定に装着されたスプール軸であり、
前記部品本体は、前記スプール軸に回転自在かつ着脱自在に装着され外周に釣り糸が巻き付けられる片軸受リールのスプール本体である、請求項1から8のいずれかに記載の釣り用リール部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−20522(P2007−20522A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210536(P2005−210536)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】