説明

釣り用履き物

【課題】脱ぎやすさが向上されうる釣り用履き物の提供。
【解決手段】履き物の内部と外部とを連通する通気穴22と、この通気穴22の開閉を可能とする閉塞部材24とを有する釣り用履き物2である。この閉塞部材24が外された状態で履き物を脱ぐことにより、外部の空気が通気穴22を通して内部に導入されうる。これにより、履き物内部における一時的な圧力低下が緩和される。この釣り用履き物は、足に装着された状態において、その通気穴22が人体の足首よりもつま先側に位置しているのが好ましい。この釣り用履き物は、足に装着された状態において、その通気穴22が、人体の足首よりも踵側に位置しているのが好ましい。履き物の使用時には、通気穴22は閉塞部材24により閉塞される。この閉塞により、通気穴22からの水の浸入が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り人に着用される履き物に関する。
【背景技術】
【0002】
釣りは、滑りやすい場所で行われることが多い。例えば海釣りは、海藻が付着した岩場や、海水でぬれた防波堤等で行われる。渓流の釣りでは、下半身が水につかった状態で釣りが行われる。釣りは、水に濡れやすい場所で行われる。
【0003】
釣り用履き物においては、濡れにくさや滑りにくさが考慮される。釣り用履き物として、ウェーダー、ブーツ等が公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水の浸入を抑制する観点から、釣り用履き物は、足に密着しやすい構造とされている。足との一体性を高めて動きやすくする観点からも、釣り用履き物は、足に密着しやすい構造とされている。この密着は、釣り用履き物を脱ぐ際において、履き物の内部への空気の浸入を阻害する。この密着により、釣り用履き物を脱ぐ際において、履き物内部の圧力が一時的に低下しやすい。この圧力の低下により、履き物は足に吸い付く。この圧力の低下は、釣り用履き物を脱ぎにくくする。
【0005】
水の浸入を抑制する観点から、ウェーダーやブーツなどの釣り用履き物は、履き物の開口部から底部までの距離が比較的長い。この距離の長さにより、空気は、開口部から底部へと入り込みにくい。この距離の長さにより、釣り用履き物を脱ぐ際において、履き物内部の圧力が一時的に低下しやすい。この圧力の低下により、履き物は足に吸い付く。この圧力の低下は、釣り用履き物を脱ぎにくくする。
【0006】
本発明の目的は、脱ぎやすさを向上させた釣り用履き物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る釣り用履き物は、履き物の内部と外部とを連通する通気穴と、この通気穴の開閉を可能とする閉塞部材とを有する。この釣り用履き物では、上記閉塞部材が外された状態で履き物を脱ぐことにより、外部の空気が上記通気穴を通して内部に導入されうる。
【0008】
好ましくは、足に装着された状態の上記釣り用履き物において、上記通気穴は、人体の足首よりもつま先側に位置している。
【0009】
好ましくは、足に装着された状態の上記釣り用履き物において、上記通気穴は、人体の足首よりも踵側に位置している。
【0010】
好ましくは、上記釣り用履き物は、履き物の少なくとも一部を覆っている帯状部を有する。好ましくは、この帯状部が、上記通気穴を閉塞した状態の上記閉塞部材を覆っている。好ましくは、この帯状部は、履き物の内部に足が挿入されることにより弾性的に伸ばされるように構成されている。好ましくは、この伸ばされた帯状部の収縮力により、上記閉塞部材が押圧される。
【発明の効果】
【0011】
閉塞部材を開けた状態で履き物を脱ぐことにより、履き物の外部から内部へと空気が導入されうる。この空気により、履き物内部の圧力の低下が抑えられ、靴が脱ぎやすくなる。履き物として使用される際には、閉塞部材を閉じておくことにより、履き物内部への水の浸入は防止されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の第一実施形態に係るウェーダー2が示された斜視図である。このウェーダー2は、トラウザー4と、一対のブーツ部6(履き物部)とからなる。トラウザー4は、ブーツ部6と接合されており、トラウザー4とブーツ部6とは一体となっている。
【0014】
トラウザー4は、尻部8と、一対の脚部10と、一対の肩ベルト12とを備えている。トラウザー4は、防水透湿生地からなる。この防水透湿生地により、外部からの水の浸入が阻止され、汗の水蒸気が外部へと放出される。この防水透湿生地により、蒸れが抑制される。防水透湿生地の具体例としては、シマノ社の「ドライシールド」及びゴアテックス社の「GORE−TEX(登録商標)」が挙げられる。
【0015】
図2は、図1のウェーダー2の一部が示された拡大図であり、図3はその要部の断面図である。図2には、トラウザー4の脚部10の一部と、ブーツ部6とが示されている。図3には、ブーツ部6が示されている。
【0016】
ブーツ部6は、底部19と本体20とを備える。底部19は、防滑ソール14、ミッドソール16及びインソール18を備えている。ブーツ部6に代えて、地下足袋又は靴が、履き物部として用いられても良い。底部19の構成は、特に限定されない。
【0017】
防滑ソール14は、フェルトからなる。フェルトは、濡れた岩場等におけるブーツ部6のスリップを防止する。防滑ソール14は、面ファスナー(図示省略)によってミッドソール16に接合されている。防滑ソール14は、ミッドソール16に対して着脱自在である。フェルトが摩耗した場合は、防滑ソール14が交換されうる。
【0018】
ミッドソール16は、ゴム組成物が架橋されてなる。ミッドソール16には、強度に優れたゴムが用いられる。好ましいゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体が例示される。ミッドソール16は、加硫接着によって本体20と水密に接合されている。ミッドソール16が、接着剤によって本体20に接合されてもよい。
【0019】
本体20は、ゴム組成物が架橋されてなる。典型的には、本体20に天然ゴムが用いられる。本体20に合成ゴムが用いられても良い。本体20は、強度及び剛性に優れる。本体20の硬度Hsは、40以上60以下が好ましい。硬度Hsは、スプリング式硬度計(JIS−A型)によって測定される。本体20の厚みは、0.5mm以上2mm以下が好ましい。
【0020】
図3が示すように、ブーツ部6は、その内部と外部とを連通する通気穴22を有している。通気穴22は、本体20に設けられている。更にブーツ部6は、通気穴22の開閉を可能とする閉塞部材としての栓体24を有する。栓体24は、連結部材26によって本体20と連結している。連結部材26の一端部は栓体24に取り付けられており、連結部材26の他端部は本体20に取り付けられている。
【0021】
通気穴22は、穴形成体28により形成されている。穴形成体28が通気穴22を有しており、この穴形成体28が、本体20に取り付けられている。穴形成体28は、本体20の開口部に取り付けられている。穴形成体28と本体20との境界部は、水密とされている。
【0022】
栓体24及び穴形成体28は、軟質な材料からなる。この軟質な材料として、樹脂やゴムが例示される。この樹脂として、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等が例示される。これらの軟質な材料は、開閉部29の水密性を向上させるのに役立つ。
【0023】
栓体24は、通気穴22に対して着脱自在である。栓体24は、通気穴22を密封しうる。栓体24が通気穴22に取り付けられることにより、通気穴22は塞がれる。栓体24が通気穴22に装着されることにより、通気穴22からの水の浸入が阻止される。栓体24が通気穴22から外されると、空気は、通気穴22を通過することができる。穴形成体28と栓体24とにより、通気穴22を開閉しうる開閉部29が構成されている。
【0024】
栓体24は、通気穴22に挿入される挿入部30を有する(図3参照)。挿入部30の最大径は、通気穴22の内径よりも若干大きくされている。挿入部30は、通気穴22を弾性変形させて押し広げつつ、通気穴22に挿入される。この挿入により、挿入部30は、通気穴22の内面に密着しうる。この密着により、水は通気穴22を通過できない。更に、栓体24は、蓋部32を有する。この蓋部32は、通気穴22と挿入部30との境界部を外部から覆いうる。蓋部32は、開閉部29の水密性を向上させるのに役立つ。栓体24により通気穴22が塞がれている限り、水は、通気穴22を通過できない。挿入部30は、先端部が太くされ、かつこの先端部が円錐状とされている。この先端部の形状は、挿入部30を通気穴22に挿入しやすくする。この先端部の形状は、挿入部30を通気穴22から抜けにくくする。
【0025】
図3の破線部は、栓体24が通気穴22から外された状態を示している。通気穴22から外された栓体24は、連結部材26により、本体20と連結されている。連結部材26は、栓体24の紛失を防止する。連結部材26は、通気穴22から外された状態の栓体24を、通気穴22に装着しやすい位置に保持する。連結部材26は、栓体24の着脱を容易とする。
【0026】
水の流れに足を取られにくくする観点から、脚部10は、人体の脚に密着しやすい構造とされている。足との一体性を高めて動きやすくする観点から、ブーツ部6は、足に密着しやすい構造とされている。ウェーダー2と人体との密着は、ウェーダー2を脱ぐ際において、ウェーダー2内部への空気の流入を阻害する。更に、水の浸入を抑制する観点から、ウェーダー2は、その開口部(人体の腰に当たる部分)から底部までの距離が長い。この距離の長さは、ブーツ部6の内部への空気の入り込みにくさを助長する。よって、ウェーダー2を脱ぐ際において、ブーツ部6内部の圧力が一時的に低下しやすい。この圧力の低下により、ブーツ部6が足に吸い付く。この圧力の低下は、ブーツ部6を脱ぎにくくする。
【0027】
開閉部29は、ウェーダー2を脱ぎやすくする。ウェーダー2を脱ぐ際には、栓体24が通気穴22から外される。これにより、外部の空気が、通気穴22を通じてブーツ部6の内部へと導入されうる。ブーツ部6の内部へと導入された空気により、ブーツ部6内部の圧力の低下が抑制され、ウェーダー2が脱ぎやすくなる。
【0028】
更に、開閉部29は、ウェーダー2を履きやすくする。ウェーダー2を履く際には、栓体24が通気穴22から外されるのがよい。これにより、通気穴22を通じて、ブーツ部6内部の空気が、外部に逃げる。この空気の逃げにより、ブーツ部6内部の圧力の上昇が抑制され、ウェーダー2が履きやすくなる。
【0029】
ウェーダー2が使用される際には、通気穴22が栓体24により閉じられる。即ち、ウェーダー2が使用される際には、開閉部29が閉じられる。よって、ウェーダー2を入水させても、ブーツ部6の内部には水が浸入しない。
【0030】
図4は、本発明の第二実施形態に係るウェーダー34の一部が示された拡大図であり、図5はその要部の断面図である。図4には、トラウザー36の脚部の一部と、ブーツ部38とが示されている。図5には、ブーツ部38が示されている。このウェーダー34は、トラウザー36と、一対のブーツ部38(履き物部)とからなる。トラウザー36は、ブーツ部38と接合されており、トラウザー36とブーツ部38とは一体となっている。図示は省略されるが、トラウザー36の構造は、前述したウェーダー2のトラウザー4と同じである。
【0031】
ブーツ部38は、底部40と本体42とを備える。底部40は、防滑ソール44、ミッドソール46及びインソール48を備えている。ブーツ部38に代えて、地下足袋又は靴が、履き物部として用いられても良い。底部40の構成は、特に限定されない。
【0032】
防滑ソール44は、フェルトからなる。フェルトは、濡れた岩場等におけるブーツ部38のスリップを防止する。防滑ソール44は、面ファスナーによってミッドソール46に接合されている。防滑ソール44は、ミッドソール46に対して着脱自在である。フェルトが摩耗した場合は、防滑ソール44が交換されうる。
【0033】
ミッドソール46は、ゴム組成物が架橋されてなる。ミッドソール46には、強度に優れたゴムが用いられる。好ましいゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体が例示される。ミッドソール46は、加硫接着によって本体42と水密に接合されている。ミッドソール46が、接着剤によって本体42に接合されてもよい。
【0034】
本体42は、ゴム組成物が架橋されてなる。典型的には、本体42に天然ゴムが用いられる。本体42に合成ゴムが用いられても良い。本体42は、強度及び剛性に優れる。本体42の硬度Hsは、40以上60以下が好ましい。硬度Hsは、スプリング式硬度計(JIS−A型)によって測定される。本体42の厚みは、0.5mm以上2mm以下が好ましい。
【0035】
図5が示すように、ブーツ部38は、開閉部29を有する。図5に示された開閉部29の構造は、図3で示されたものと同一である。この開閉部29は、ブーツ部38の内部と外部とを連通する通気穴22を有している。通気穴22は、本体42に設けられている。更に開閉部29は、通気穴22の開閉を可能とする閉塞部材としての栓体24を有する。通気穴22は、穴形成体28により形成されている。穴形成体28は、本体42の開口部に取り付けられている。穴形成体28は、本体42に対して水密に取り付けられている。栓体24、通気穴22及び穴形成体28の構造及び材質は、前述したウェーダー2が有するものと同一である。即ち、開閉部29の構造及び材質は、前述したウェーダー2が有するものと同一である。
【0036】
ブーツ部38は、帯状部としてのベルト44を有している。ベルト44は、ブーツ部38の甲部(足の甲が当たる部分)に設けられている。ベルト44は、ブーツ部38の一部を覆っている。ベルト44は、本体42の一部を覆っている。ベルト44は、本体42のインサイド側の下縁部から本体42のアウトサイド側の下縁部にまで伸びている。ベルト44の両端部は、本体42又は底部40に接合されている。しかし、ベルト44の中間部は、本体42及び底部40に接合されていない。ベルト44の中間部とは、ベルト44の両端部以外の部分である。
【0037】
ベルト44は、伸縮性材料からなる。例えばベルト44は、シート状のゴムよりなる。履かれた状態において、ベルト44は、その長手方向に伸ばされた状態となる。ベルト44は、ウェーダー34の内部に足が挿入されることにより弾性的に伸ばされるように構成されている。伸ばされたベルト44は、常時長手方向に縮もうとする。この縮もうとする力によって、ベルト44は、本体42を外側から締め付ける。この締め付けにより、人体の足とブーツ部38との一体性が高まる。ベルト44の一例は、従来において甲部センターベルト等と称されるものである。
【0038】
ベルト44は、通気穴22を閉塞した状態における栓体24を覆っている。ベルト44は、開閉部29を覆っている。縮もうとする力(収縮力)により、ベルト44は、栓体24を、穴形成体28に向かって押圧する。この押圧による力は、栓体24の外れを防止しうる方向に作用する。ベルト44の押圧により、栓体24は、通気穴22から外れにくい。ベルト44は、栓体24の外れを防止する。栓体24を取り外す際には、ベルト44を引き延ばせばよい。ベルト44により、栓体24が露出しない。ベルト44により、栓体24が岩等に摺れて外れてしまうことがない。
【0039】
ベルト44の押圧により、栓体24における蓋部32は、穴形成体28の端面45(図5参照)に押し付けられる。即ち、ベルト44の押圧により、蓋部32と穴形成体28との密着性が高まる。この蓋部32と穴形成体28との密着は、開閉部29の水密性をより一層向上させる。
【0040】
ベルト44は、人体の足とブーツ部38との一体性を高めるのに適した位置に設けられている。ウェーダー34の開閉部29は、このベルト44の位置に対応した位置に設けられている。ベルト44は、閉塞部材(栓体24)の少なくとも一部を覆っている。好ましくは、ベルト44は、閉塞部材(栓体24)の全体を覆っている。
【0041】
図6は、本発明の 第三実施形態に係るウェーダー50におけるブーツ部52の断面図である。このウェーダー50は、トラウザー(図示省略)と、一対のブーツ部52(履き物部)とからなる。トラウザーは、ブーツ部52と接合されており、トラウザーとブーツ部52とは一体となっている。トラウザーの構造は、前述したトラウザー4と同じである。
【0042】
ブーツ部52は、底部54と本体56とを備える。底部54は、防滑ソール58、ミッドソール57及びインソール59を備えている。底部54の構造は、前述した底部19と同じである。
【0043】
ブーツ部52は、開閉部29及び連結部材26を有する。開閉部29及び連結部材26の材質及び構造は、前述したブーツ部6に設けられたものと同じである。開閉部及び連結部材に関して、図6において図3と同しの符合が付され且つ説明が省略される。
【0044】
このブーツ部52では、開閉部29が、踵部に設置されている。足に装着された状態において、ブーツ部52の通気穴22は、人体の足首よりも踵側に位置している。足に装着された状態において、ブーツ部52の開閉部29は、人体の足首よりも踵側に位置している。一方、前述したウェーダー2のブーツ部6においては、このブーツ52と異なる位置に開閉部29が設けられている。足に装着された状態において、ブーツ部6の通気穴22は、人体の足首よりもつま先側に位置している。このように、通気穴22又は開閉部29が設置される位置は、特に限定されない。
【0045】
履き物を脱ぐ過程の初期段階においては、つま先付近又は踵付近に空間が出来やすい。履き物を脱ぐ際に、内部の圧力が低下しやすい部分は、つま先付近又は踵付近である。前述したウェーダー2のように、通気穴22を人体の足首よりもつま先側に配置することにより、履き物を脱ぐ際における内部の圧力低下が効果的に抑制される。前述したウェーダー50のように、通気穴22を人体の足首よりも踵側に配置することにより、履き物を脱ぐ際における内部の圧力低下が効果的に抑制される。
【0046】
図7は、本発明の第四実施形態に係るブーツ60の側面図である。図8は、ブーツ60の要部断面図である。図8は、ブーツ60のつま先部分を示している。
【0047】
このブーツ60は、本体62と底部64とを備えている。本体62の材質は、前述したウェーダー2におけるブーツ部6の本体20と同様である。
【0048】
ブーツ60は、フード65を有している。フード65は、本体62の上端に設けられている。フード65は、本体62よりも剛性の低い材料よりなる。フード65は、ブーツ60を履きやすくする。フード65の材質としては、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、PVC合成皮革等が挙げられる。
【0049】
ブーツ60は、ベルト66を有している。このベルト66の構造及び材質は、前述したウェーダー34におけるベルト44と同様である。ベルト66は、ブーツ60の甲部(足の甲が当たる部分)に設けられている。ベルト66は、ブーツ60の一部を覆っている。ベルト66は、本体62の一部を覆っている。ベルト66は、本体62のインサイド側の下縁部から本体62のアウトサイド側の下縁部にまで伸びている。ベルト66の両端部は、本体62又は底部64に接合されている。しかし、ベルト66の中間部は、本体62に接合されていない。ベルト66の中間部とは、ベルト66の両端部以外の部分である。
【0050】
ベルト66は、伸縮性材料からなる。例えばベルト66は、シート状のゴムよりなる。履かれた状態において、ベルト66は、その長手方向に伸ばされた状態となる。ベルト66は、ブーツ60の内部に足が挿入されることにより弾性的に伸ばされるように構成されている。伸ばされたベルト66は、常時長手方向に縮もうとする。この縮もうとする力によって、ベルト66は、本体62を外側から締め付ける。この締め付けにより、人体の足とブーツ60との一体性が高まる。ベルト66の一例は、従来において甲部センターベルト等と称されるものである。
【0051】
底部64は、インソール68、ミッドソール70、保持層72及びアウトソール74を備えている。
【0052】
インソール68は、布又は発泡合成樹脂からなる。このインソール68は、ブーツ60を履く動作及びブーツ60を脱ぐ動作において、足の滑りに寄与する。インソール68はまた、履き心地に寄与する。インソール68が省略されてもよい。
【0053】
ミッドソール70は、インソール68と積層されている。インソール68とミッドソール70とは、接着剤により接着されている。ミッドソール70は、ゴム又は合成樹脂を基材とする。典型的な基材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)である。ミッドソール70は、発泡体からなる。ミッドソール70は、衝撃吸収に寄与する。
【0054】
保持層72は、ミッドソール70と積層されている。保持層72とミッドソール70とは、接着剤により接合されている。接着剤の基材ポリマーとしては、ポリウレタン(PU)、ポリクロロプレン(CR)及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)が例示される。接着剤が省略されてもよい。保持層72は、発泡合成樹脂からなる。保持層72の典型的な基材樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体である。保持層72の発泡倍率は、ミッドソール70の発泡倍率よりも大きい。保持層72は、変形能に優れる。保持層72は、省略されてもよい。
【0055】
アウトソール74は、保持層72と積層されている。アウトソール74と保持層72とは、接着剤で接合されている。接着剤の基材ポリマーとしては、ポリウレタン(PU)、ポリクロロプレン(CR)及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)が例示される。接着剤が省略されてもよい。アウトソール74は、フェルトからなる。板状のフェルトが型で打ち抜かれることにより、アウトソール74が形成される。フェルトは、釣り場でのスリップを防止する。アウトソール74が、ゴム又は合成樹脂からなっていてもよい。このようなブーツ60の底部64は、前述したウェーダー2等の底部に応用されうる。
【0056】
ブーツ60は、開閉部29を有する。この開閉部29の構造は、前述したウェーダー2が有するものと同一である。よって、開閉部29に関し、図8では、図3と同一の符合が付されている。ブーツ60は、連結部材26を有する。前述したウェーダー2と同様に、この連結部材26は、栓体24と本体62と連結している。連結部材26の一端部は栓体24に取り付けられており、連結部材26の他端部は本体62に取り付けられている。
【0057】
履かれた状態のブーツ60において、開閉部29は、人体の足首よりもつま先側に設けられている。ブーツ60において、開閉部29は、ベルト66よりもつま先側に設けられている。ベルト66は、開閉部29を覆っていない。ベルト66は、通気穴22を閉塞した状態の栓体24を覆っていない。本発明は、このような構成でもよい。前述したウェーダー34と同様に、ベルト66が開閉部29を覆う構成でもよい。
【0058】
本発明において、通気穴及び閉塞部材の構成は、上記実施形態に記載されたものに限定されない。即ち、本発明において、開閉部の構成は、上記実施形態に記載されたものに限定されない。本発明に適用されうる開閉部として、周知のバルブに用いられているものが応用されうる。閉塞部材は、通気穴に対して着脱自在なものに限定されない。閉塞部材の回動により通気穴が開閉しうる開閉部でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、あらゆる釣り用履き物に適用されうる。釣り用履き物には、ウェーダー、ブーツ、足袋等が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係るウェーダーの斜視図である。
【図2】図2は、図1のウェーダーのブーツ部付近の側面図である。
【図3】図3は、図1のウェーダーのブーツ部の断面図である。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態に係るウェーダーのブーツ部付近の側面図である。
【図5】図5は、図4のウェーダーのブーツ部の断面図である。
【図6】図6は、本発明の第三実施形態に係るウェーダーにおけるブーツ部の断面図である。
【図7】図7は、本発明の第四実施形態に係るブーツの側面図である。
【図8】図8は、図7のブーツのつま先付近における断面図である。
【符号の説明】
【0061】
2、34、50・・・ウェーダー
4、36・・・トラウザー
6、38、52・・・ブーツ部
10・・・脚部
14・・・防滑ソール
16、46、57・・・ミッドソール
18、48、59・・・インソール
19、40、64・・・底部
20、42・・・本体
22・・・通気穴
24・・・栓体(閉塞部材)
26・・・連結部材
28・・・穴形成体
30・・・挿入部
36・・・トラウザー
42、62・・・本体
44、66・・・ベルト(帯状部)
60・・・ブーツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履き物の内部と外部とを連通する通気穴と、この通気穴の開閉を可能とする閉塞部材とを有し、
この閉塞部材が外された状態で履き物を脱ぐことにより、外部の空気が上記通気穴を通して内部に導入されうる釣り用履き物。
【請求項2】
足に装着された状態において、上記通気穴が、人体の足首よりもつま先側に位置している請求項1に記載の釣り用履き物。
【請求項3】
足に装着された状態において、上記通気穴が、人体の足首よりも踵側に位置している請求項1に記載の釣り用履き物。
【請求項4】
履き物の少なくとも一部を覆っている帯状部を有し、
この帯状部が、上記通気穴を閉塞した状態の上記閉塞部材を覆っており、
この帯状部は、履き物の内部に足が挿入されることにより弾性的に伸ばされるように構成されており、
この伸ばされた帯状部の収縮力により、上記閉塞部材が押圧される請求項1に記載の釣り用履き物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−6118(P2008−6118A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180548(P2006−180548)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】