説明

釣り竿

【課題】 釣り竿の構造を変えることなく、剛性や反発力を調整できる釣り竿を得る。
【解決手段】 釣り竿の中空内部を気密状態に保持し、釣り竿の内部と外部間に圧力調整弁を介設し、該圧力調整弁によって釣り竿内部の圧力を調整可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空の釣り竿内部を密封状態として、竿の一端に空気調整弁を設けた釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
良好な釣果を得るには剛性や強度の異なる釣り竿を準備しておき、魚の種類に応じて最適な感度の釣り竿を携行するのが一般である。また、大きい魚や遠投用にはより強い反発力の釣り竿が多用される。
【0003】
従来において感度の異なる釣り竿は、釣り竿の材質、外径や肉厚、さらには外面に巻く仕上げ材など各種の条件を変えることによって所望のものを得ている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の如く魚の種類に応じて最適な感度の釣り竿を得るには、剛性や強度などが異なる各種のものを準備しておく必要がある。このため釣り竿の製造は多品種少量生産となって作業が面倒で時間もかかり、いきおい製造コストが高くなるといった問題点がある。
【0005】
さらに、大きい剛性の釣り竿を得るためには上質のカーボン繊維などの高価な材料を用いるため、さらに製造コストが上がるといった問題点もある。
【0006】
本発明は釣り竿内に圧縮空気を注入し、その空気圧力を調整することによって釣り竿の剛性や反発力を変えることが可能になり前述の問題点を解決しようとするものである。
【0007】
さらに本発明の他の目的は、安価な材料を使って反発力の大きな釣り竿を提供することにある。
【0008】
さらに本発明の他の目的は、水中に沈まない釣り竿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、釣り竿の中空部を気密構造とし、該中空部と外部間に空気の圧力調整弁を設け、この圧力調整弁により釣り竿内部の空気圧を任意に調整できるようにして問題点を解決している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の釣り竿は、釣り竿内部に圧縮空気を封入してその圧力を調整可能にしたので、空気圧を変えることで異なった剛性や反発力の釣り竿を同じ釣り竿で得ることができ、いろいろな仕様の釣り竿を製造したり準備したりする必要がなく、釣り竿の製造コストを大幅に下げることができる。さらには釣り竿内の圧縮空気によって大きな浮力が得られ、釣り竿が水中に沈まない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
釣り竿の中空部を気密構造に構成し、該中空部と外部間に空気圧の調整弁を介設する。この調整弁を介して釣り竿内に充填する圧縮空気の圧力を調整することにより釣り竿の剛性や反発力を任意に調整できる。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明に係る釣り竿1の一部を切り欠いた正面図で、外面には適宜の間隔で釣り糸ガイド2が設けられている。釣り竿1は中空に形成され、該中空部3の上端部は接着剤(図示略)などによって密封され、同下端部には密封材4と圧力調整弁5が設けられてそれぞれ気密を保持している。さらに釣り竿1下部には圧力調整弁5を外部の衝撃などから保護するためエンドキャップ6が設けられている。
【0013】
図2は本発明に係る釣り竿1の要部断面図で、密封材4の外周面は接着剤などで釣り竿1の内面に気密保持して固定されている。なおこの固定は密封材4の外面に雄螺子を、釣り竿1の内面に雌螺子をそれぞれ設け、シールテープなどを介在させて螺合により固定させても良い。
【0014】
密封材4の中央部には雌螺子7が設けられており、これにシールテープなどを介在させて圧力調整弁5外面に切られた雄螺子8が螺合され、気密を保持されている。雄螺子8の螺合は圧力調整弁5の端部に切り欠いた凹溝9にドライバー(図示略)先端を嵌合、回転させることで行う。なお密封材4への圧力調整弁5の固定は、前述した螺子の螺合によらずに接着剤などによって行うこともできる。
【0015】
圧力調整弁5の一例(自動車タイヤの空気入れに用いられている例)を詳述すると、圧力調整弁5の内径面に半分ほどに雌螺子10が切られており、この雌螺子10に調整駒11の雄螺子12が螺合される。テーパ状のシールリング13が内径部に当接すると該部は密封され、釣り竿1の中空部3は外部から遮断され気密状態になる。摺動棒14と一体の当接片15はバネ(図示略)等により常に右方への力が加えられており、摺動棒14が左方に押されると当接片15の右側面はその密封状態を開放し、内径部16は外部と導通状態になる。このとき摺動棒14側からの方の空気圧力が高ければ中空部3の圧力は上がり逆に摺動棒14側からの方の空気圧力が低ければ中空部3の圧力は下がる。
【0016】
図3は本発明の他の実施例を示す釣り竿1の要部断面図で、上述の圧力調整弁5を釣り竿1に直接固定している。これは釣り竿1の径方向に雌螺子18を設け、これに圧力調整弁5の雄螺子8をシールテープを介在させて螺合し、該部を密封したものである。この密封は前述した螺子の螺合やシールテープによらず、接着剤によって行なっても良い。また釣り竿1の中空部3と外部との気道を確保するために圧力調整弁5に横孔17を穿設している。
【0017】
釣り竿1内部の圧力を上げるには、例えば自動車の空気入れと同様にすればよい。圧力調整弁5の摺動棒14を左方に押した状態で空気圧を加えれば釣り竿1内部の空気圧は上昇し、空気圧を加えるのを止めると同時に摺動棒14への押圧を開放すれば当接片15は気道を塞いで釣り竿1内の圧力は高い状態に保持される。逆に釣り竿1内の圧力を下げるには、摺動棒14を押圧して当接片15の密封を解いて気道を開ければよい。
【0018】
図4は本発明の他の実施例を示し、釣り竿1を継ぎ竿21、22で構成したもので、部分継ぎ竿21の下部内面には密封材42が、同上部内面には密封材4がそれぞれ接着剤などによって固定され、また密封材4には圧力調整弁5が上記同様に固定されて中空部3は気密状態に維持されている。中空部3の圧力は前記同様に圧力調整弁5によって行う。継ぎ竿21の下部外面はわずかにテーパ状に構成され、該部に前記同様に構成した別の部分継ぎ竿22の上部が嵌合定着されている。同様に継ぎ竿21の上部内面はわずかにテーパ状に構成され、別の継ぎ竿24が嵌合定着されている。
【0019】
図5は本発明の他の実施例を示し、同じ構成とした継ぎ竿21、23は上下両方をテーパ状とした継ぎ材20によって一体化され、これらを数本継ぐことによって釣り竿1を構成する。各継ぎ竿21、22、23は各圧力調整弁5によりそれぞれ独立して中空部3の圧力を調整できる。
【0020】
なお製造時において釣り竿内に圧縮空気を封入する方法としては、加圧室内で釣り竿に密封材4を固定することでも行え、封入する気体は空気に限定されることなく窒素ガスなどでも良い。また、密封材と圧力調整弁は一体形にすることもできる。さらに竹竿を用いる場合はその節を利用すれば密封材4の省略が可能となる。
【0021】
本発明の釣り竿は上述したように釣り竿内部に圧縮空気を封入しその圧力を調整可能としたので、構造が同じ釣り竿でもその内部圧力を変化させることにより釣り竿の剛性や反発力を調整することができる。特に継ぎ竿にあってはそれぞれの反発力を単独で調整できるので、継いで出来上がる1本の釣り竿の感度を微妙に調整可能となり、従来のように仕様(感度)の異なる釣り竿を各種製造する必要がなく生産性があがる。さらには強い反発力を得るために上質(高価)なカーボン材料などを用いる必要がないので製造コストを大幅に引き下げられる。
【0022】
また、釣り竿内に充填された圧縮空気によって大きな浮力が得られるので、釣り竿を誤って手から落としても釣り竿は水中に沈むことなく、これを見失ってなくすことも防止される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る釣り竿の一部を切り欠いた正面図である。
【図2】本発明の要部を拡大した断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す要部の拡大断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例を示す要部の断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 釣り竿
2 釣り糸ガイド
3 中空部
4 密封材
5 圧力調整弁
6 エンドキャップ
7 雌螺子
8 雄螺子
9 凹溝
10 雌螺子
11 調整駒
12 雄螺子
13 シールリング
14 摺動棒
15 当接片
16 内径部
17 横孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を中空とした釣り竿において、密封材などにより該中空内部を気密状態に保持し、釣り竿の中空内部と外部間に圧力調整弁を介設して釣り竿内部の圧力を調整できるようにしたことを特徴とする釣り竿。
【請求項2】
前記釣り竿は数本の継ぎ竿で構成し、各継ぎ竿の内部圧力をそれぞれ調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の釣り竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−204279(P2006−204279A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49683(P2005−49683)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(505069443)
【Fターム(参考)】