説明

釣竿

【課題】釣竿の穂先に直接に釣糸を結び付けて釣竿を手で持って魚の当たりを待つ釣り形態、および、釣竿にリールを取り付けて置き竿状態で魚の当たりを待つ釣り形態の両方をそれぞれの特有の利点を生かしつつ選択的に実現できる万能型の釣竿を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の釣竿1は、竿杆から成る釣竿本体1aと、釣竿本体1aを支持するために突出する脚部10とを備える。脚部10は、釣竿本体1aの重心Gの位置かこれよりも釣竿本体1aの元部側に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に関し、特に、2種類の釣り形態を選択的に実現できる万能型の釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、魚釣りには、釣竿の穂先に直接に釣糸を結び付けて釣竿を手で持って魚の当たりを待ち、当たりを感じて直ぐに合わせるようにする釣り形態と、釣竿にリールを取り付けて該釣竿を三脚などの竿掛けや堤防に支持させた置き竿状態で魚の当たりを待つ釣り形態とがある。
【0003】
前者の釣り形態は、釣り人が釣竿を通して直接に魚の当たりを感じとることができ、素早く合わせることができるため、小さな当たりにも対応して釣ることができるとともに、仕掛けや釣り道具も簡単であることから初心者でも簡単に魚釣りを楽しむことができるという特有の利点を有する。
【0004】
一方、釣竿にリールを取り付けて釣竿を三脚などに支持させた置き竿状態(穂先側が立ち上がった支持状態)で釣る後者の釣り形態は、釣竿を手で持たずに済むため非常に楽であり、また、魚に餌を食い込ませて確実に針掛かりさせて逃がさずに釣ることができるという特有の利点を有する。
【0005】
このように、前者の釣り形態と後者の釣り形態とでは、それぞれ特有の利点があり、したがって、それに合わせてそれぞれ異なるタイプの釣竿が用いられている。すなわち、一般に前者の釣り形態では、穂先に釣糸結合部が存在するだけでリール取り付け部や釣糸ガイドが無い釣竿が用いられ、一方、後者の釣り形態では、釣糸ガイドやリール取り付け部を有する釣竿や、例えば特許文献1に開示されるような釣竿を支持するスタンドを具備する釣竿が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−136856号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前者の釣り形態で用いられる釣竿、すなわち、穂先に釣糸結合部が存在するだけでリール取り付け部や釣糸ガイドが無い釣竿は、手持ちで釣りを行なうが、重さを感じて置き竿にしてしまうと当たりがとりにくくなってしまう。また、置いた釣竿は転がり易く、それ自体で穂先側が立ち上がった置き竿状態を実現することはできず、したがって、後者の釣り形態の前述した特有の利点を得ることが難しい。一方、後者の釣り形態で用いられる釣竿は、一般に軽量ではなく、釣り人が釣竿を通して直接に魚の当たりを感じとることに適しておらず、したがって、前者の釣り形態の前述した特有の利点を得ることが難しい。例えば特許文献1に開示される釣竿は、三角状のスタンドが一体的に取着されて成る釣竿にリールを取り付けて釣竿を地面に置いたときに釣竿の根元が地面に接地して安定するようになっているが、構造が大掛かりであるため、スタンドを使用した接地状態で魚の当たりを待つしかなく、前者の釣り形態の利点を得ることはできない。
【0008】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、釣竿の穂先に直接に釣糸を付けて釣竿を手で持って魚の当たりを待つ釣り形態で釣竿を楽に支持でき、当たりが取りやすいとともに、釣竿にリールを取り付けた場合に置き竿状態で魚の当たりを待つ釣り形態にすることもできる、両方の釣り形態をそれぞれの特有の利点を生かしつつ選択的に実現できる万能型の釣竿を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の釣竿は、釣竿本体と、該釣竿本体を支持するために突出する脚部とを備え、前記脚部が釣竿本体の重心位置かこれよりも釣竿本体の元部側に設けられることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、釣竿本体を支持するために突出する脚部を備えるため、釣竿にリールを取り付けて該釣竿を支持させた置き竿状態で魚の当たりを待つ釣り形態(第2の釣り形態)に特有の利点、すなわち、釣竿を脚部が支持するため、手を添えるように釣竿を支えるだけで済み、非常に楽であり、また、魚に餌を食い込ませて確実に針掛かりさせて逃がさずに釣ることができるという利点を得ることが可能になるとともに、脚部が釣竿の重心位置よりも釣竿本体の元部側に設けられるため、リールが取り付けられずに脚部により支持される支持状態では、釣竿の重心が脚部よりも穂先側に位置し、したがって、脚部の支点を中心に穂先を上下させて魚を誘う動きを置き竿状態で容易に行なうことができる。つまり、釣竿の穂先に直接に釣糸を付けて釣竿を手で持って魚の当たりを待ち、当たりを感じて直ぐに合わせるようにする釣り形態(第1の釣り形態)と同様の釣り形態を置き竿状態で実現することができ、そのため、当該釣り形態に特有の利点、すなわち、釣り人が釣竿を通して直接に魚の当たりを感じとって素早く合わせることができ、小さな当たりにも対応して釣ることができるとともに、仕掛けや釣り道具も簡単であることから初心者でも簡単に魚釣りを楽しむことができるという利点を得ることができる。そして、何よりも、本発明の釣竿に特有の利点は、リールを取り付けるだけで、第1の釣り形態から第2の釣り形態へと(リールを取り外せば、逆に、第2の釣り形態から第1の釣り形態へと)容易に変換することができるという点にある。そのため、本発明の好ましい実施形態では、釣竿の重量の少なくとも1/2以上の重量のリールが脚部よりも釣竿本体の元部側に取り付けられるときに、釣竿本体の穂先側が立ち上がった状態で釣竿本体が脚部によって支持されるようになっている。このように、本発明によれば、第1および第2の釣り形態の両方をそれぞれの特有の利点を生かしつつ選択的に実現できる万能型の釣竿を提供することができる。
【0011】
なお、上記構成において、「釣竿本体」とは、リールが取り付けられていない状態での脚部を除く竿杆自体(竿杆に設けられるグリップやリールシート等を含む)を意味する。また、「釣竿本体の重心」とは、釣竿を延ばして釣りを行なう使用状態にしたときの重心で、例えば、継ぎ釣竿の場合、竿杆を継ぎ合わせた状態での重心、また、振り出し竿の場合、竿杆を完全に引き延ばした状態での重心を意味する。
【0012】
また、上記構成では、釣糸を結合でき或いは挿通できるリング部が釣竿本体の穂先に設けられることが好ましい。また、リールを取り付けるためのリール取り付け部が脚部よりも釣竿本体の元部側に設けられることが好ましい。この場合、リール取り付け部は、脚部の突出方向と反対の方向に面して設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、釣竿の穂先に直接に釣糸を付けて釣竿を手で持って魚の当たりを待つ釣り形態で釣竿を楽に支持でき、当たりが取りやすいとともに、釣竿にリールを取り付けた場合に置き竿状態で魚の当たりを待つ釣り形態にすることもできる、両方の釣り形態をそれぞれの特有の利点を生かしつつ選択的に実現できる万能型の釣竿を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の釣り形態で使用される本発明の第1の実施形態に係る釣竿の全体側面図(穂先の拡大図を含む)である。
【図2】第2の釣り形態で使用される本発明の第1の実施形態に係る釣竿の全体側面図である。
【図3】第1の釣り形態で使用される本発明の第1の実施形態に係る釣竿の全体側面図(脚部の拡大図を含む)である。
【図4】第1の釣り形態で使用される本発明の第2の実施形態に係る釣竿の全体側面図(穂先の拡大図を含む)である。
【図5】第2の釣り形態で使用される本発明の第2の実施形態に係る釣竿の全体側面図(穂先の拡大図を含む)である。
【図6】図4および図5の釣竿の脚部の拡大側面図である。
【図7】図6の脚部を釣竿の元部側から見た拡大背面図である。
【図8】回動規制体の変形例としての係合部材を備える釣竿の元部側の側面図である。
【図9】図8の係合部材の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る釣竿の実施形態について説明する。
【0016】
図1ないし図3は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態の釣竿1は、例えば磯や防波堤で使用される釣糸ガイドが無い振り出し竿(外ガイドが無い延べ竿)であり、穂先側の複数の竿杆が穂先側と反対側の元部側となる元竿の竿杆内に順次収納可能に形成されている。具体的には、釣竿1は、穂先(竿杆)2と、中間竿(竿杆)4A,4Bと、元竿(竿杆)5とから成る釣竿本体1aを備えており、穂先2の先端には、釣糸6を結合でき(図1の拡大図参照)或いは挿通できる(図2の拡大図参照)リング部3が設けられる。また、元竿5には釣用リール9を装着可能なリール取り付け部7が設けられており、その後端側には握持部としてのハンドル8が設けられている。
【0017】
また、図1および図2に示されるように、元竿5には、釣竿1の自立構造を実現するための脚部10が設けられている。脚部10は、後述するように釣竿本体1aを支持するために突出するようになっており、釣竿本体1aの重心Gの位置よりも釣竿本体1aの元部側(元竿5側)に設けられる。ここで、重心Gの位置とは、釣竿本体1aの竿杆が図1および図2に示されるように完全に引き延ばされた状態での釣竿本体1aの重心Gの位置のことである。なお、この釣竿1は、脚部10が設けられた状態でも釣竿1の重心が脚部10を取り付けた位置よりも穂先側にある。
【0018】
また、本実施形態では、一対のリング状のリール脚保持部7a,7aが遊嵌されたリール取り付け部7が設けられ、この保持部7a,7aにてリール9を挟持することによりリール9を釣竿1の前後位置および周方向の向き(上向き、下向きなど)を選択して取り付けられるようになっているため、図2に示されるように、リール9を上向きにした状態で釣竿1を支持できるようになっている。すなわち、本実施形態では、リール9を釣竿1(元竿5)の周方向のいずれの方向にも取り付け可能だが、少なくともリール取り付け部7が脚部10の突出方向と反対の方向に面して設けられるようになっている。また、この場合、リール取り付け部7は、脚部10よりも釣竿本体1aの元部側(元竿5側)に設けられており、釣竿1の重量の少なくとも1/2以上の重量のリール9がリール取り付け部7に取り付けられるときに、釣竿本体1aの穂先2側が立ち上がり、元部が接地した状態で釣竿本体1aが脚部10によって支持されるようになっている(図2参照)。すなわち、釣竿1の重量の少なくとも1/2以上の重量のリール9がリール取り付け部7に取り付けられるときに、釣竿本体1aの重心Gが脚部10よりも元竿5側へ移動するようになっている。
【0019】
脚部10は、図3に明確に示されるように、筒状の基体14と、突出位置と収納位置との間で回動可能に基体14に対して取り付けられる左右一対の支脚12,12(一方の支脚は図示せず)とを有している。具体的には、基体14は、元竿5の先端側に取り付けられており、左右に突出する回動軸16を有する。左右それぞれの回動軸16には、回動可能な支脚12,12が抜け止め(回動軸16の先端が大径になっているため、支脚12,12が抜け止めされる)されて支持されている(図3の拡大図には、支脚12,12の収納状態が二点鎖線で、突出状態が実線でそれぞれ示されている・・・支脚12,12が釣竿1に沿った収納位置からリール取り付け部7側(リール9側)と反対側で回動するように脚部10が釣竿1に対して設けられている)。基体14と支脚12,12とにはそれぞれ、支脚12,12の突出状態と収納状態とをそれぞれ保持する回動規制体としての凹凸部63a,63bが設けられている。本実施形態では、例えば、突出位置および収納位置のそれぞれに対応して基体14の左右の両側面に凸部63aが設けられ、また、基体14の側面と対向する支脚12の側面部位に凸部63aと係脱自在に係合可能な凹部63bが設けられる。
【0020】
なお、凹凸部63a,63bの係脱は、それが形成される材料の可撓性によってなされることが好ましい。なお、回動軸16は、その先端(中心軸)が元竿の後端を向くように傾斜して設けられており、したがって、支脚12,12を突出させると支脚12,12が左右に開き、一方、支脚12,12を収納すると該支脚が釣竿1に沿うようになる。また、本実施形態では、釣竿1の元部を地面50に置いたときに釣竿1が安定して転がらないように、脚部10が突出する側に対応する元部、例えば元竿5の手元端に取り付けられる尻栓60の側面部位に、平面状の接地部60aが形成されている。
【0021】
また、脚部10には、支脚12,12を突出状態(左右に開く方向)へと付勢する付勢体19が設けられている。本実施形態において、この付勢体19は、バネ部材で、具体的には回動軸16の外周に巻回装着されるコイルバネであり、各支脚12を回動軸16の先端へ向けて付勢している。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の釣竿1によれば、釣竿本体1aを地面50に対して支持するために突出する脚部10を備えるため、釣竿1にリール9を取り付けて釣竿1を支持させた置き竿状態(釣竿を地面50に置いた状態)で魚の当たりを待つ釣り形態(図2に示される第2の釣り形態)に特有の利点、すなわち、釣竿1を手で持たずに済むため非常に楽であり、また、魚に餌を食い込ませて確実に針掛かりさせて逃がさずに釣ることができるという利点を得ることが可能になるとともに、脚部10が釣竿本体1aの重心Gの位置よりも釣竿本体1aの元部側に設けられるため、リール9が取り付けられずに脚部10により支持される支持状態(図1および図3の状態)では、釣竿本体1aの重心Gが脚部10よりも穂先2側に位置し、したがって、脚部10の支点を中心に穂先2を上下させて魚を誘う動き(例えば、穂先2を水に浸けて釣糸6が水中51にある状態(図1に二点鎖線で示される状態)と穂先2を水面から持ち上げた状態(図1に実線で示される状態)との間での上下動)を釣竿に手を添えるように持つだけの置き竿と同じような状態で容易に行なうことができる。つまり、釣竿1の穂先2(リング部3)に直接に釣糸6を結び付けて釣竿1を手で持って魚の当たりを待ち、当たりを感じて直ぐに合わせるようにする釣り形態(第1の釣り形態・・・図1および図3)と同様の釣り形態を置き竿状態で実現することができ、そのため、当該釣り形態に特有の利点、すなわち、重心Gが脚部10よりも穂先側にあるため、釣竿1の元部側が脚部10を支点にして上方へ押し上げられるようにバランスし、釣竿1の元部側のハンドル8握持する手に押し当てられることになることから、釣り人が釣竿1を通して直接に魚の当たりを感じとって素早く合わせることができ、小さな当たりにも対応して釣ることができるとともに、仕掛けや釣り道具も簡単であることから初心者でも簡単に魚釣りを楽しむことができるという利点を得ることができる。
【0023】
また、この釣竿1は、図2のように、リール9を取り付けて釣りをすることができる。この場合、釣糸は穂先2のリング部3に挿通される。釣竿1の重心Gは、釣竿1の少なくとも1/2以上の重量のリール9を取り付けることで脚部10を設けた部位よりも元部側となり、そのため、釣竿1の元部を地面50に置いたときに脚部10によって釣竿1の穂先2側を立ち上げて支持することが可能となる。釣竿1の1/2以上の重量のリールは、釣竿1に対し通常使用するバランスのとれた重さのリールであって、また、確実に脚部10を設けた釣竿1にリールを取り付けると、重心Gが脚部10の取り付け位置よりも元部側になるようにできる。また、釣竿1に取り付けるリールの重量は、釣竿の5倍までが釣りをするときの操作性がよく、好ましい。
【0024】
このように、本実施形態の釣竿1では、リール9を取り付けるだけで、第1の釣り形態から第2の釣り形態へと(リール9を取り外せば、逆に、第2の釣り形態から第1の釣り形態へと)容易に変換することができる。
【0025】
また、脚部10が釣竿本体1aの重心Gの位置に設けられていてもよく、この場合でも、穂先2に取り付けた釣糸6と仕掛けが垂下しているため、この重さで穂先側が下方へ引かれることとなり、図1の例と同様の作用効果を奏することとなる。また、このような場合でも、釣竿1の自重の1/2以上の重量のリールを取り付けると、重心Gは脚部10よりも元部側となる。
【0026】
なお、穂先に釣糸取り付け部が設けられていれば、その構造はリング部3に限らず、また、リール9からの釣糸が通過する経由点となっていればよく、リングを延ばして管状に形成したものも含む。
【0027】
図4〜図7は本発明の第2の実施形態を示している。図4および図5に示されるように、本実施形態の釣竿1Aは、穂先2を有する先竿(竿杆)4と元竿(竿杆)5とから成る釣竿本体1aを備えており、これらの竿杆にはそれぞれ穂先も含めて必要な数の釣糸ガイド(リング部)3Aが設けられている。また、元竿5には釣用リール9を装着可能なリールシート(リール取り付け部)7Aが設けられており、その後端側には握持部としてのハンドル8が設けられている。
【0028】
また、本実施形態の釣竿1Aの脚部10Aも、第1の実施形態と同様に、釣竿本体1aの重心G(竿杆が完全に引き延ばされた状態での釣竿本体1aの重心G)の位置よりも釣竿本体1aの元部側(元竿5側)に設けられる。具体的に、脚部10Aは、図6および図7に示されるように、元竿(竿杆)5に一体的に固定される基体としての釣竿装着部14Aと、釣竿装着部14Aに回動可能に支持される一対の支脚12,12とから成り、支脚12,12は、以下で詳しく説明するように、釣竿1Aの竿杆から外方へ突出される位置(図8に二点鎖線で示される突出位置)と、竿杆に沿って添設される(釣竿に沿った)位置(図8に実線で示される位置;倒伏状態または収納状態)との間で回動できるようになっている。
【0029】
より具体的には、脚部10Aの釣竿装着部14Aは、元竿5を上下から挟み込むことにより釣竿1Aに一体に取り付いており、図6および図7に示されるように、上側挟持体11と下側挟持体13との間で元竿5を挟持する。上側挟持体11および下側挟持体13の挟持状態は、これらの挟持体11,13をネジ部材15によって互いに結合することにより釣竿1に着脱自在に取り付けたり、あるいは、挟持体11,13同士を接着結合することにより保持される。これにより、脚部10A全体が竿杆の長手方向へ移動することなく且つ竿杆に対して回動することなく釣竿1Aに一体的に取り付けられる。
【0030】
脚部10Aの基体としての釣竿装着部14Aから延びる支脚12,12は、左右一対形成されており、下側挟持体13と一体に形成されて左右に延びる回動軸16に対して回動可能に枢着されている(図7参照)。この場合、回動軸16は、その中心軸O(および、その先端)が上方(図7参照)および後方を向くように傾斜している。したがって、一対の支脚12,12は、図8に実線で示される収納状態から図8に二点鎖線で示される突出状態へと突出すると、その先端が互いに離れるようにそれぞれ左右方向に開き(支脚12,12の先端は、収納(倒伏)状態よりも突出状態の方が左右に広がる)、逆に収納状態へと回動すると、釣竿の左右側面に沿うようになる。
【0031】
なお、図7に明確に示されるように、脚部10Aには、支脚12,12を突出状態(左右に開く方向)へと付勢する付勢体19Aが設けられている。本実施形態において、この付勢体19Aは、バネ部材で、具体的には回動軸16の外周に巻回装着されるコイルバネであり、各支脚12を回動軸16の先端へ向けて付勢している。そのため、回動軸16の各先端には、付勢される支脚12の回動軸16からの抜けを防止するために抜け止め部材17が設けられている。
【0032】
また、本実施形態では、支脚12,12の収納状態からの回動を規制する回動規制体が脚部10Aの基体である釣竿装着部14Aに設けられている。また、特に、本実施形態では、支脚12,12の突出状態を保持する、すなわち、所定の突出位置からの支脚12,12の更なる突出回動を規制する第2の回動規制体も釣竿装着部14Aに設けられている。具体的には、支脚12,12の収納状態からの回動を規制する第1の回動規制体は、釣竿装着部14Aの下側挟持体13から下方に延びる延出部39の両側で左右に向けて突出する係合突部32によって形成される。この係合突部32は、収納状態の支脚12,12を下側から支持してその収納状態を保持する(図6の二点鎖線参照)。一方、支脚12,12の突出状態を保持する第2の回動規制体は、釣竿装着部14Aの下側挟持体13に設けられ且つ支脚12,12の所定の突出位置で支脚12,12と当接する当接面30として形成される。なお、本実施形態において、支脚12,12は、係合突部32を乗り越えて収納状態と突出状態との間で移行するようになっている。そのため、係合突部32が弾性変形可能に形成され、あるいは、付勢体19Aの付勢力に抗して支脚12,12が偏移することにより係合突部32を乗り越えても良い。
【0033】
このように、本実施形態の釣竿1Aにおいても、釣竿本体1aを地面50に対して支持するために突出する脚部10Aを備えるとともに、脚部10Aが釣竿本体1aの重心Gの位置よりも釣竿本体1aの元部側に設けられるため、図4のように、脚部10Aで釣竿1Aを支持し、グリップ8に手を添えるようにして持つだけでよく、この状態で釣竿1Aを上下動させて魚を誘うと、元部側が脚部10Aを支点として上方へ押し上げられ、ハンドル8が釣竿1Aを握持する手に押し当てられることとなり、容易に当たりを感じ取ることができる。また、図5のようにリール9を取り付け、釣糸ガイド(リング部)3に釣糸6を挿通して、釣竿1Aの元部(ハンドル8の手元側端部)を地面50に置いて穂先2側を立ち上げて支持することが可能になっているため、釣竿1にリール9を取り付けて釣竿1を支持させた置き竿状態(釣竿を地面50に置いた状態)で魚の当たりを待つ釣り形態(図5に示される第2の釣り形態)に特有の前述した利点と、釣竿1の穂先2の釣糸ガイド(リング部)3に直接に釣糸6を結び付けて釣竿1を手で持って魚の当たりを待ち、当たりを感じて直ぐに合わせるようにする釣り形態(図4に示される第1の釣り形態)に特有の前述した利点とを得ることができる。なお、第2の実施形態においても、脚部10Aが釣竿本体1Aの重心Gの位置に設けられてもよい。
【0034】
図8および図9は前述した回動規制体の変形例を示している。この変形例では、支脚12,12を釣竿1Aに沿った位置に保持するための回動規制体の構成が第2の実施形態と異なる。すなわち、本変形例の回動規制体は係合部材20として釣竿1A側に設けられるとともに、回動規制体(係合部材20)による回動規制をスライドカバー操作体82によって解除できるようになっている。
【0035】
具体的には、係合部材20は、ハンドル8の前方側であってリールシート7Aの前端近傍の元竿5に設けられており、図9に明確に示されるように、元竿5の外周に嵌着固定される取付筒体81と、取付筒体81の上側に一体に突設された突設部89に設けられる係脱機構とによって構成される。前記係脱機構は、突設部89に形成された軸孔87(釣竿1Aの長手方向に延びている)内で進退可能な軸部82aを有する円筒状のスライドカバー操作体82と、軸孔87内に設けられ且つ軸部82aを軸孔87から突出させる方向(カバー操作体82を支脚12,12と係合させる方向)に付勢する付勢部材(本実施形態では、バネ)85とを含んでいる。なお、スライドカバー操作体82の内孔82bは、支脚12,12を受け入れ挿入できる内径に設定されている。
【0036】
したがって、この構成では、図8および図9に示されるようにスライドカバー操作体82によって支脚12,12を上側から支持してその収納状態を保持することができる(図8の実線および図9の二点鎖線参照)。すなわち、例えばリール9を下向きにした通常の釣り態勢(図8および図9参照)では、付勢体19Aの付勢力により支脚12,12が(釣竿1Aから突出される位置へ向けて)上向きに回動しようとするが、その回動は、支脚12,12がスライドカバー操作体82の内孔82b内に挿入されて係合されることにより阻止される。すなわち、釣竿1Aに沿った支脚12,12の収納状態が保持される。一方、図9に矢印で示されるようにリール9を握持した手100の例えば親指100cでスライドカバー操作体82を後方(釣竿の軸方向)に引き寄せると、スライドカバー操作体82と支脚12,12との係合状態を解除することができ、解除された支脚12,12は、付勢体19Aの付勢作用により自動的に左右に開いて突出する(図8および図9の釣り態勢では、支脚12,12が上向きに回動する)。なお、スライドカバー操作体82の取り付け位置は、リールを把持する手の指で操作できる位置であることが好ましいが、そのような位置に設置されていない場合にはスライドカバー操作体82を他方の手で操作すれば良い。
【0037】
このように、回動規制体は、脚部10A側ではなく、釣竿1A側に設けることもできる。
【0038】
以上、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、係合部材、脚部の形状は前述した実施形態のそれに限定されず、他の形状を有することができる。また、支脚は2本に限らず、3本以上であっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 釣竿
1a 釣竿本体
2 穂先
3 リング部
7,7A リール取り付け部
9 リール
10,10A 脚部
12 支脚
G 重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿本体と、該釣竿本体を支持するために突出する脚部とを備え、前記脚部が釣竿本体の重心位置かこれよりも釣竿本体の元部側に設けられることを特徴とする釣竿。
【請求項2】
釣竿の重量の少なくとも1/2以上の重量のリールが前記脚部よりも釣竿本体の元部側に取り付けられるときに、釣竿本体の穂先側が立ち上がった状態で釣竿本体が前記脚部によって支持されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】
釣糸を結合でき或いは挿通できるリング部が前記釣竿本体の穂先に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の釣竿。
【請求項4】
リールを取り付けるためのリール取り付け部が前記脚部よりも釣竿本体の元部側に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項5】
前記リール取り付け部は、前記脚部の突出方向と反対の方向に面して設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の釣竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−115151(P2012−115151A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265062(P2010−265062)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】