説明

釣銭精算装置および釣銭精算方法

【課題】顧客の要求に応じて、釣銭精算のたびに顧客に対する精算に柔軟に対応可能な釣銭精算装置および釣銭精算方法を提供する。
【解決手段】釣銭精算装置11は、相互に異なる複数の予め定める返却手法を備える。取引精算時において、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額が算出されるたびに、顧客の指示に応答し、返却手法選択部14が、今回の釣銭精算に用いるべき少なくとも2つの返却手法を、前記複数の返却手法の中から選択する。次いで、釣銭金額分離部15が、前記釣銭金額を、選択された返却手法毎に返却すべき返却金額に分離する。釣銭取扱部16は、複数の返却金額分の釣銭を、選択された返却手法によってそれぞれ返却して精算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、購入金額と顧客から受領する代金との差額である釣銭を顧客に支払うための釣銭精算装置および釣銭精算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品の購入およびサービスの提供に代表されるような商品役務の売買取引において、取引の決済に、現金をやり取りする現金決済だけでなく、いわゆる電子マネーを用いる電子決済が利用されている。取引の決済時に、購入金額を超える代金を買主である顧客が売主に支払うと、購入金額と代金との差額である釣銭が発生する。釣銭の精算にも、現金決済および電子決済を含む多様な返却手法が用いられる。
【0003】
図15は、従来技術の販売登録処理システム1における売買取引の決済処理の一例を示す概念図である。まず、ステップQ01において、売主3が、顧客4に対して、商品役務の購入金額を提示する。次いで、ステップQ02において、顧客4が、売主3に対して、購入金額以上の代金を現金で支払う。代金が購入金額を超えていれば、ステップQ03において、売主3は購入金額と前記代金との差額である釣銭金額を算出し、釣銭金額を顧客4に提示する。ステップQ04において、顧客4は、現金および電子マネーのどちらを用いて釣銭を受取るかを選択して、売主3に指示する。ステップQ05において、売主3は、現金および電子マネーのうちの選ばれたいずれか一方の返却手法を用いて、提示された釣銭金額の全額を支払う。
【0004】
このような、釣銭精算時に現金決済および電子決済を併用する従来技術として、特許文献1および特許文献2が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載される自動販売機は、商品販売時に購入金額を超える現金が代金として支払われると、通常は、代金と購入金額との差分である釣銭の全額を現金で支払う。また、特許文献1の自動販売機は、電子マネー用のICカードへの電子マネーの充填装置としても機能する。すなわち、特許文献1の自動販売機は、顧客が電子マネー用のICカードを自動販売機に予め挿入しておけば、発生する釣銭の全額を現金で返却する代わりに、釣銭を釣銭全額分の電子マネーに変換し、該電子マネーを顧客のICカードに入金する。
【0006】
特許文献2に記載される自動販売機は、代金が現金を用いて支払われて、かつ釣銭を電子マネーで返却する場合、釣銭分の電子マネーがICカードに入金されたことを確認した後に、顧客に商品を引渡す。さらに、釣銭分の電子マネー入金後に商品引渡しが失敗したならば、購入金額分の電子マネーをICカードに入金する。
【0007】
このように、特許文献1および特許文献2では、取引決済時に発生する釣銭に関して、該釣銭を一括してそのまま現金で返却するか、該釣銭を一括して電子マネーで顧客のICカードに入金するかのいずれかが選ばれる。ゆえに、特許文献1および特許文献2では、釣銭全体を単一の返却手法を用いて返却することしかできない。
【0008】
しかしながら、釣銭が一括して現金または電子マネーを用いて返却されるだけでは、販売登録処理システムとしての利便性が乏しくなる。たとえば、本来、現金は紙幣と硬貨とを分離して管理されることが多いため、硬貨は所持したくないが紙幣は所持したいといった要求が顧客に生じる場合がある。この場合、特許文献1および特許文献2では、釣銭全体が単一の精算手法を用いて一括して返却されるため、このような顧客の要求に対応することが困難である。このような問題を解決するために、特許文献3および特許文献4が開示されている。
【0009】
特許文献3に記載される商品販売登録処理装置は、商品の売上合計金額算出中に、顧客に寄付への賛同を呼び掛ける。顧客が寄付に賛同したならば、売上合計金額の10円未満の切上げ処理が行われ、切上げ結果が支払金額として求められ、かつ、切上げ金額が募金額として求められる。そして、売上合計金額と募金額と支払金額とが顧客に提示され、顧客は、売上合計金額と募金額との和である支払金額分の現金を支払う。この結果、本来発生する筈の釣銭が募金として処理されるので、顧客には小銭での釣銭が返却されない。
【0010】
特許文献4の釣銭管理システムは、システム内部において金銭と同等に取扱われるポイントを、顧客毎に積立てている。最新の商品購入の取引精算時には、購入代金から顧客の累積ポイント分が割引かれて仮請求額が算出される。購入代金が顧客の累積ポイントを超えていれば、前記仮請求額の最小紙幣額面未満の切上げ処理が行われて、切上げ結果が実請求額として求められる。実請求額と仮請求額との差分が預かり釣銭金額としてポイント化され、商品購入に伴って発生するポイントと加算されて、新たな累積ポイントとして積立てられ、次回の取引精算に用いられる。この結果、実請求額は常に最小紙幣額面の整数倍になるので、顧客には小銭での釣銭が返却されない。
【0011】
このように、特許文献3および特許文献4では、顧客に返却されるべき釣銭金額が所定の基準金額で切上げられ、切上げ金額分が募金およびポイントに変換されている。この結果、顧客には基準金額未満の小銭を用いる釣銭が返却されない。しかしながら、特許文献3および特許文献4では、小銭分の釣銭の返却時に、売主側が指定する返却手法だけが用いられる。実際の販売現場では、小銭分の釣銭の望まれる返却手法は顧客毎に異なることが想定され、かつ、単一顧客であっても取引のたびに望む返却手法が変化することも考えられる。特許文献3および特許文献4では、釣銭の返却手法の選択に顧客の要望を取入れることは考慮されていないため、顧客を充分に満足させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−170151号公報
【特許文献2】特開2005−216247号公報
【特許文献3】特開2001−93048号公報
【特許文献4】特開2002−236975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上説明したように、従来技術では、取引決済時の釣銭の精算に、現金だけでなく電子マネーが用いられている。特許文献1および特許文献2では、釣銭の精算に際し、現金決済および電子決済のうちのいずれか一方が選択され、選択された決済手法を用いて釣銭全額が一括して支払われる。この場合、釣銭全額のうちの一部の金額が現金で返却されて残りの金額が電子マネーで返却される様な決済手法が存在しないため、電子マネーの利便性が生かされていない。たとえば、釣銭全額のうちの硬貨で返却される金額だけが電子マネーで返却されるパターン、および釣銭全額のうち、顧客が望む金額だけが電子マネーで返却されるパターンなど、顧客が現金と電子マネーとの併用を望む場合、要望に応えることは難しい。
【0014】
また、従来技術では、取引決済時の釣銭の精算に、現金決済と現金決済以外の返却手法とが併用されている。特許文献3および特許文献4では、釣銭の精算に際し、釣銭決済に小銭を用いないために、釣銭金額が所定の基準金額で切上げられて切上げ金額が募金化およびポイント化される。この場合、現金決済に併用される返却手法は売主側が指定しており、顧客毎および取引毎に顧客の要望を取入れることは難しい。また、単一の釣銭精算時に3種類以上の返却手法を用いることを顧客が望む場合、要望に応えることは難しい。
【0015】
本発明の目的は、顧客の要求に応じて、釣銭精算のたびに、顧客に対する釣銭精算に柔軟に対応可能な釣銭精算装置および釣銭精算方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、購入金額を超える代金の受領に対し、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された釣銭金額の釣銭を返却する相互に異なる複数の予め定める返却手法の中から少なくとも2つの返却手法を選択する返却手法選択部と、
前記算出部によって算出された釣銭金額を、前記返却手法選択部によって選択された前記少なくとも2つの返却手法毎に返却すべき金額に分離する釣銭金額分離部と、
前記釣銭金額分離部によって分離された金額の釣銭を、前記返却手法選択部によって選択された返却手法によってそれぞれ返却して精算する釣銭返却部とを含むことを特徴とする釣銭精算装置である。
【0017】
また本発明の釣銭精算装置は、前記返却手法選択部が前記複数の予め定める返却手法の中から2つの返却手法を選択したとき、
前記釣銭金額分離部は、前記算出部によって算出された釣銭金額を、予め設定される基準金額の整数倍の金額からなる上位金額と、それ以外の金額からなる下位金額とに分離し、
前記釣銭返却部は、前記上位金額の釣銭を前記前記返却手法選択部によって選択された一方の返却手法によって返却し、前記下位金額の釣銭を前記前記返却手法選択部によって選択された他方の返却手法によって返却することを特徴とする。
【0018】
さらにまた本発明の釣銭精算装置は、前記基準金額が、紙幣の最小金額に設定されることを特徴とする。
【0019】
また本発明の釣銭精算装置は、金額入力部によって入力された金額を前記基準金額として設定することを特徴とする。
【0020】
さらにまた本発明の釣銭精算装置は、顧客を特定する顧客特定部と、
前記返却手法選択部によって選択された返却手法の組合せを、前記顧客特定部によって特定された顧客毎に個々に記憶する返却手法記憶部とをさらに含み、
前記釣銭返却部は、前記返却手法記憶部に記憶されている返却手法の組合せのうち、前記顧客特定部によって特定された顧客に対して記憶される組合せの手法によって返却することを特徴とする。
【0021】
また本発明の釣銭精算装置の前記返却手法選択部は、
前記複数の予め定める返却手法を顧客に提示する返却方法提示部と、
顧客からの指示を入力するための顧客入力部とを含み、
前記返却方法提示部に提示される前記複数の予め定める返却手法の中から、前記顧客入力部によって入力指示された返却手法を選択することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、購入金額を超える代金の受領に対し、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額を算出して、釣銭を返却する釣銭精算装置が釣銭を返却する釣銭精算方法であって、
前記釣銭金額の釣銭を返却する相互に異なる複数の予め定める返却手法の中から少なくとも2つの返却手法を選択する返却手法選択ステップと、
前記釣銭金額を、前記返却手法選択ステップで選択された前記少なくとも2つの返却手法毎に返却する金額に分離する釣銭金額分離ステップと、
前記釣銭金額分離ステップで分離された金額の釣銭を、前記返却手法選択ステップで選択された返却手法によってそれぞれ返却して精算する釣銭返却ステップとを含むことを特徴とする釣銭精算方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、釣銭精算装置は、購入金額に対する代金を顧客から受領し、購入金額と受領した代金との差額である釣銭を顧客に返却する。また本発明の釣銭精算装置は、精算時に顧客に釣銭を返却する際の返却手法として、相互に異なる複数の釣銭の返却手法を備え、新規取引の決済時に、購入金額を超える代金の受領に対し、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額が算出し、釣銭金額が算出されるたびに、予め定める複数の返却手法の中から、少なくとも2つの返却手法を選択する。また本発明の釣銭精算装置は、前記釣銭金額を、前記選択された返却手法毎に返却すべき金額に分離し、前記選択された前記少なくとも2つの返却手法毎に、前記返却すべき金額分の釣銭を、前記選択された返却手法を用いてそれぞれ返却する。
【0024】
これによって、本発明の釣銭精算装置は、釣銭精算時に釣銭を複数の返却手法を用いて返却することができ、かつ、釣銭の返却手法の組合せを顧客の要求に応じて取引毎に変更することができる。したがって、顧客の要求に応じて、釣銭精算のたびに、顧客に対する釣銭精算に柔軟に対応可能な釣銭精算装置を実現することができる。
【0025】
また本発明によれば、釣銭精算装置は、取引決済時に、前記複数の返却手法の中から2つの返却手法が選択されたとき、前記釣銭金額を上位金額および下位金額の2つに分離し、上位金額および下位金額を2つの返却手法を用いてそれぞれ精算する。ここで、上位金額は、予め設定される基準金額の整数倍の金額であり、下位金額は、それ以外の金額である。すなわち、前記釣銭金額は、前記基準金額以上であって基準金額の倍数である上位金額と、該基準金額未満である下位金額とに2分される。これによって、釣銭精算装置は、取引毎に、基準金額を元に釣銭金額を容易に2分して、2分された金額を相互に異なる返却手法を用いてそれぞれ精算することができる。したがって、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0026】
また本発明によれば、釣銭精算装置は、前記基準金額が紙幣の最小金額に設定される。これによって、釣銭金額が、現金決済時に紙幣だけで返却可能な上位金額と現金決済時に硬貨だけで返却可能な下位金額とに分離される。したがって、釣銭精算装置は、紙幣返却可能な上位金額と、硬貨返却が不可欠な下位金額との返却手法を取引毎に変更することができるので、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0027】
また本発明によれば、金額入力部を用いて顧客から入力された金額が基準金額として設定される。これによって、釣銭金額を顧客が望む基準金額を境に分離して処理することができるので、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0028】
また本発明によれば、釣銭精算装置は、顧客を特定する顧客特定部と、顧客毎の釣銭金額の返却手法の組合せを記憶している返却手法記憶部とをさらに含み、新規取引のたびに、前記返却手法記憶部内の返却手法の組合せのうち、前記顧客特定部によって特定された顧客に対応する組合せを用いて、前記釣銭金額を精算する。これによって、顧客に応じた返却手法を容易に選択することができるので、顧客の利便性を向上させつつ、操作を簡略化することができ、釣銭精算装置の使い勝手を向上させることができる。
【0029】
さらにまた本発明によれば、釣銭精算装置の返却手法選択部は、前記複数の釣銭の返却手法を顧客に提示する返却方法提示部と、顧客からの指示を入力するための顧客入力部とを含み、新規取引のたびに、前記返却方法提示部に提示される複数の返却手法の中から、前記顧客入力部において入力指示された2以上の返却手法を、釣銭の返却手法の組合せとして選択する。これによって、釣銭精算装置は、顧客からの指示に応じた返却手法の組合せを用いて、前記釣銭金額の分離された2以上の金額をそれぞれ返却することができる。したがって、顧客の希望を釣銭精算に反映させることができ、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0030】
また本発明によれば、釣銭精算方法は、顧客からの代金の受領に際し、購入金額と前記代金との差額である釣銭を顧客に返却するための釣銭精算装置において、釣銭を返却するための方法である。釣銭金額が算出されるたびに、予め定める複数の返却手法の中から、少なくとも2つの返却手法が選択される。次いで、前記選択された少なくとも2つの返却手法毎に返却すべき2以上の返却金額に、前記釣銭金額が分離される。最後に、前記選択中の複数の返却手法毎に、前記各返却金額分の釣銭が前記各返却手法を用いてそれぞれ返却される。
【0031】
このように、本発明の釣銭精算方法において、釣銭精算時に釣銭が複数の返却手法を用いて返却可能であって、かつ、釣銭の返却手法の組合せが顧客の要求に応じて取引毎に変更可能である。したがって、顧客の利便性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】本発明の実施の一形態である釣銭精算装置11を含む販売登録処理システム10の機能的構成を示すブロック図である。
【図1B】本発明の実施の一形態である釣銭精算装置11を含む販売登録処理システム10の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の販売登録処理システム10において、顧客毎の釣銭処理情報が無い場合における取引決済処理を示す概念図である。
【図3】図1の販売登録処理システム10において、顧客毎の釣銭処理情報が有る場合における取引決済処理を示す概念図である。
【図4】図1の釣銭精算装置11において、顧客毎の釣銭処理情報が無く、かつ既存の基準金額を用いる場合の釣銭金額分離処理を示す概念図である。
【図5】図1の釣銭精算装置11において、顧客毎の釣銭処理情報が有る場合の釣銭金額分離処理を示す概念図である。
【図6】図1の釣銭精算装置11において、顧客毎の釣銭処理情報が無く、かつ新規の基準金額を用いる場合の釣銭金額分離処理を示す概念図である。
【図7】図1の釣銭精算装置11において、顧客毎の釣銭処理情報が無く、新規の基準金額を用い、かつ入力取消処理を含む場合の釣銭金額分離処理を示す概念図である。
【図8A】図1の釣銭精算装置11において、釣銭精算処理に用いられる実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53の作成手順を示す図である。
【図8B】図1の釣銭精算装置11において、釣銭精算処理に用いられる実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53の作成手順を示す図である。
【図9】図1の釣銭精算装置11において、既存の釣銭の返却手法の組合せおよび既存の基準金額が選ばれる場合に、釣銭精算処理中に顧客に対して目視表示される画面内容の遷移例を示す図である。
【図10】図1の釣銭精算装置11において、釣銭の返却手法の組合せおよび基準金額を顧客が新規設定する場合に、釣銭精算処理中に顧客に対して目視表示される画面内容の遷移例の前半部分を示す図である。
【図11】図1の釣銭精算装置11において、釣銭の返却手法の組合せおよび基準金額を顧客が新規設定する場合に、釣銭精算処理中に顧客に対して目視表示される画面内容の遷移例の後半部分を示す図である。
【図12A】図1の釣銭精算装置11において、決済処理内の釣銭精算処理全体を説明するためのフローチャートである。
【図12B】図1の釣銭精算装置11において、決済処理内の釣銭精算処理全体を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12の釣銭精算処理内において、釣銭金額の分離処理を説明するためのフローチャートである。
【図14A】図12の釣銭精算処理内において、釣銭の返却手法の組合せおよび基準金額を顧客が新規設定するフリー入力処理を説明するためのフローチャートである。
【図14B】図12の釣銭精算処理内において、釣銭の返却手法の組合せおよび基準金額を顧客が新規設定するフリー入力処理を説明するためのフローチャートである。
【図14C】図12の釣銭精算処理内において、釣銭の返却手法の組合せおよび基準金額を顧客が新規設定するフリー入力処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】従来技術の販売登録処理システム1における売買取引の決済処理の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1Aおよび図1Bは、本発明の実施の一形態である釣銭精算装置11を含む販売登録処理システム10の機能的構成を示すブロック図である。以下、図1Aおよび図1Bを総称して図1という。販売登録処理システム10は、売主と顧客との間において、商品役務の売買取引の決済を行うためのシステムである。本発明に係る釣銭精算方法は、釣銭精算装置11で実行される。
【0034】
釣銭精算装置11は、購入金額に対する代金を顧客から受領し、購入金額と受領した代金との差額である釣銭を顧客に返却する装置である。釣銭精算装置11は、算出部13と、返却手法選択部14と、釣銭金額分離部15と、釣銭取扱部16とを少なくとも含む。また釣銭精算装置11は、好ましくは、金額入力部18と、顧客特定部20および返却手法記憶部21と、顧客提示部23および顧客入力部24とのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0035】
釣銭返却部である釣銭取扱部16は、取引決済時に顧客に釣銭を返却する手段であって、相互に異なる複数の釣銭の返却手法を備える。前記複数の返却手法は、たとえば、釣銭金額分の現金を紙幣および硬貨を用いて支払う現金決済であり、釣銭金額分の電子マネーを支払う所謂電子決済であり、釣銭金額分の金銭を募金へ寄付する手法であり、売主が指定する所定の割引ポイントサービスのポイント分の電子データに釣銭金額分の金銭を換算して支払う手法である。釣銭取扱部16は、現金決済を行う現金取扱部26と、電子決済を行う電子マネー取扱部27と、募金寄付を行う募金取扱部28と、金銭のポイント化を行うポイント取扱部29とを含む。
【0036】
算出部13は、新規取引の決済時に、購入金額を超える代金の受領に対し、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額を算出する。返却手法選択部14は、釣銭金額が算出されるたびに、釣銭を返却するための少なくとも2つの返却手法を、釣銭取扱部16が実行可能な複数の返却手法の中から選択する。釣銭金額分離部15は、前記釣銭金額を、前記選択された返却手法毎に返却すべき金額である2以上の返却金額に分離する。釣銭取扱部16は、2以上の前記返却金額分の釣銭を、前記選択された返却手法をそれぞれ用いて、顧客に返却する。
【0037】
このように、釣銭精算装置11は、新規の釣銭精算のたびに、釣銭精算に用いるべき2以上の返却手法を選択し、釣銭金額を2以上の返却金額に分離し、この2以上の各返却金額を選択された2以上の各返却手法を用いてそれぞれ個別に精算する。これによって、釣銭金額を単一の返却手法を用いて一括して精算する従来技術よりも、釣銭金額を複数の返却手法を用いて分離して精算可能な本実施形態の釣銭精算装置11のほうが、顧客に対する釣銭精算を柔軟に対応することができる。したがって、従来技術よりも、顧客の利便性を向上させることができる。
【0038】
さらに、釣銭精算装置11は、2以上の返却手法を併用して釣銭を精算するだけでなく、新規取引において釣銭金額が更新される毎に、併用すべき返却手法を新たに選択して組合せる。すなわち、釣銭精算装置11は、釣銭精算時に釣銭を複数の返却手法を用いて返却可能であって、かつ、釣銭の返却手法の組合せを顧客の要求に応じて取引毎に変更可能である。
【0039】
これによって、顧客は取引のたびに返却手法を選び直すことができるので、顧客に対する釣銭精算により柔軟に対応することができる。たとえば、釣銭金額の返却手法の組合せを顧客に合わせて変更することが可能であり、さらに、単一の顧客が取引毎に前記返却手法の組合せを変更することも可能である。したがって、従来技術よりも顧客の利便性をより向上することができる。
【0040】
釣銭精算装置11において、釣銭精算時に選ばれる返却手法の組合せは、釣銭取扱部16が備える複数の返却手法の中から顧客が任意に選択して組合せてもよく、釣銭精算装置11を備える店舗等の売主が予め定める組合せから選択してもよい。釣銭取扱部16の総ての返却手法から返却手法の組合せが選ばれる場合、顧客は多数の返却手法の中から望みの手法を選択することができるので、顧客における釣銭精算の自由度を最も高くすることができる。逆に、売主が指定する組合せから最新の返却手法の組合せが選択される場合、売主は、釣銭の返却方法を自らが希望する返却手法だけに限定して事前に組合せておくことができるため、釣銭の返却に関して売主の利便性を高くすることができる。
【0041】
また、釣銭精算装置11において、釣銭精算時に選ばれる返却手法の組合せは、顧客の希望だけでなく、売主の事情に鑑みて選択されても良い。たとえば、釣銭精算装置11が現金決済と電子決済とを併用可能である状況下で、釣銭精算装置11内に予め収納されているべき紙幣または硬貨が0になっていた場合、釣銭精算装置11は、現金ではなく電子マネーを用いて釣銭を返却する。これによって、図1の釣銭精算装置11は、釣銭用の紙幣または硬貨が0になっていた場合であっても、釣銭の返却エラーを生じさせることなく、決済を続行することができる。
【0042】
また前記状況下において、釣銭精算装置11は、釣銭金額分の電子マネーを返却先の取扱媒体に返却すると該取扱媒体内の電子マネーの額が該取扱媒体のチャージ上限額を超える事が判れば、電子マネーの形で返却不能になる差額分を自動的に現金で返却する。これによって、釣銭金額のうちの顧客が電子決済を要求する金額の総てを電子マネーで返却すると取扱媒体のチャージ上限額を超える場合でも、釣銭の返却エラーを生じさせることなく、決済を続行することができる。
【0043】
また釣銭精算装置11において、返却手法選択部14は、算出部13によって釣銭金額を算出するたびに、釣銭取扱部16が備える規定の前記複数の返却手法の中から、相互に異なる第1返却手法および第2返却手法を選択する。次いで、釣銭金額分離部15は、前記釣銭金額を、上位金額および下位金額の2つの返却金額に分離する。ここで、上位金額は、予め設定される基準金額の整数倍の金額であり、下位金額は、それ以外の金額であり、たとえば、下位金額は、予め設定される基準金額で前記釣銭金額を除算した剰余の金額であり、上位金額は、前記釣銭金額から下位金額を減算した差の金額である。すなわち、前記釣銭金額は、前記基準金額以上であって基準金額の倍数である上位金額と、該基準金額未満である下位金額とに2分される。最後に、釣銭取扱部16は、第1返却手法を用いて前記上位金額の釣銭を返却し、かつ、第2の返却手法を用いて前記下位金額の釣銭を返却する。
【0044】
これによって、釣銭精算装置11は、取引毎に、基準金額を元に釣銭金額を容易に2分して、2分された金額を相互に異なる返却手法を用いてそれぞれ精算することができる。したがって、釣銭精算装置11は、顧客の利便性をさらに向上させることができる。
【0045】
また釣銭精算装置11が3以上の返却手法を選んで釣銭精算を行う場合、2以上の基準金額を設定し、いずれか1つの基準金額を用いて釣銭金額を2つの返却金額に分離する処理に続いて、いずれかの前記返却金額を他の基準金額を用いて2つの返却金額にさらに分離する処理を繰返せば良い。
【0046】
また釣銭精算装置11において、好ましくは、前記基準金額が紙幣の最小金額に設定される。たとえば、現在の日本国内においては、1000円紙幣が最小金額紙幣であるため、前記基準金額は1000円に設定される。
【0047】
これによって、現金決済時に紙幣だけで返却可能な上位金額と、硬貨の返却が必須な下位金額とに、釣銭金額が分離される。ゆえに、釣銭精算装置11は、紙幣にて返却可能な上位金額と硬貨による返却が不可欠な下位金額の返却手法を取引毎に変更することができるので、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0048】
たとえば、基準金額が1000円に設定され、かつ上位金額が現金決済され、下位金額が電子決済される場合、上位金額の現金だけが紙幣で支払われ、下位金額分金額は電子マネーに変換される。この結果、顧客は、紙幣分の現金を手元に持つことができるとともに、硬貨分の現金については、電子マネーで返却されるので、硬貨の取扱いに伴う煩雑さを解消しつつ、紙幣分について現金を所持することができる。
【0049】
また、硬貨分の現金は、電子マネーとして返却されるので、顧客は、所謂小銭貯金をすることができる。また、買物時に小銭が生じないため、小銭入れ等を持歩いて顧客が小銭を管理する必要がなくなる。さらに、顧客が無意識のうちに、電子マネーのチャージが行われることになるため、顧客の電子マネーに関するチャージの手間を省くことができる。
【0050】
また釣銭精算装置11において、金額入力部18を用いて顧客から入力された金額が前記基準金額として設定される。これによって、釣銭精算装置11は、顧客が望む基準金額を境に釣銭金額を分離して処理するため、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0051】
たとえば、基準金額が顧客からの指示に応じて設定され、かつ上位金額が現金決済されて下位金額が電子決済される場合、紙幣硬貨の別に関らず顧客が必要とした分の金額分が電子マネー化される。これによって、顧客は、釣銭精算時に電子マネーのチャージを意図的に行うことができる。
【0052】
また釣銭精算装置11において、釣銭金額を2以上の返却金額に分離する際には、釣銭金額を基準金額で除算した結果を用いる代わりに、釣銭金額から基準金額を減算した差を用いても良い。このようにすれば、釣銭金額は、基準金額と等しい第1返却金額と、釣銭金額から第1返却金額を減算した差である第2返却金額とに、2分される。また、基準金額が2以上設定される場合、釣銭金額を各基準金額と等しい2以上の第1返却金額と、釣銭金額から全第1返却金額の和を減算した残高である第2返却金額とに分離してもよい。
【0053】
また釣銭精算装置11において、顧客特定部20は、最新の取引決済の相手である顧客を特定するための手段である。また、返却手法記憶部21は、釣銭金額の返却手法の組合せに係るデータである釣銭処理情報を、顧客毎に記憶している。釣銭精算装置11に顧客特定部20および返却手法記憶部21が含まれる場合、釣銭取扱部16は、新規取引のたびに、返却手法記憶部21に記憶されている多数の顧客の釣銭処理情報のうち、顧客特定部20によって特定された顧客に対して記憶される釣銭処理情報が示す返却手法の組合せを用いて、釣銭を返却する。このように、釣銭精算装置11は、顧客に応じた返却手法を容易に選択することができるので、顧客の利便性を向上することができるとともに、顧客の操作を簡略化することができ、使い勝手を向上することができる。
【0054】
また釣銭精算装置11は、好ましくは、釣銭精算処理が完了するたびに、釣銭金額の精算に用いられた2以上の返却手法の組合せを、顧客の釣銭処理情報として取得し、返却手法記憶部21に更新記憶させる。これによって、顧客の次回の釣銭精算処理時に、該顧客の前回の釣銭精算処理時に選択された返却手法の組合せを提示することができるので、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0055】
また、釣銭精算装置11は、釣銭精算装置11自体が返却手法記憶部21を持たず、新規取引のたびに、釣銭精算装置11の外部から釣銭処理情報を取得する構成であってもよい。このようにすれば、釣銭精算装置11は、顧客毎の釣銭処理情報を、他の釣銭精算装置11と共有することができるため、釣銭生産装置11の製造コストを低減することできるとともに、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0056】
さらにまた釣銭精算装置11の返却手法選択部14において、返却方法提示部である顧客提示部23は、釣銭取扱部16の複数の釣銭の返却手法を顧客に提示する。顧客入力部24は、顧客からの指示を入力するための入力手段である。返却手法選択部14に顧客提示部23および顧客入力部24が含まれる場合、返却手法選択部14は、新規取引のたびに、顧客提示部23に提示される複数の返却手法の中から、顧客入力部24において入力指示された2以上の返却手法を、釣銭の返却手法の組合せとして選択する。この結果、釣銭取扱部16は、顧客からの指示に応じた返却手法の組合せを用いて、釣銭を返却することができる。このように、釣銭精算装置11は、顧客からの指示に応じた返却手法を常に選択するので、顧客の最新の希望を釣銭精算に反映することができ、顧客の利便性をさらに向上することができる。
【0057】
釣銭精算装置11は、単一の筐体内に全ての機能を備える構成だけでなく、相互にデータ送受が可能な親機および子機に分割されていても良い。釣銭精算装置11が親機子機に分離可能な構成である場合、たとえば、顧客提示部23および顧客入力部24が子機に備えられ、親機側には売主側の店舗の従業員が操作するための親機提示部および親機入力部がさらに備えられてもよい。親機子機に分割可能な構成の釣銭精算装置11は、たとえば、POS(Point of sale:販売時点情報管理)システムのPOS端末31に適用される。前述の構成の場合、売主側の従業員が親機を操作し、子機を顧客に渡して入力指示させれば、顧客は従業員を気にせずに入力指示を与えられるため、釣銭精算装置11における顧客の使い勝手がさらに増す。
【0058】
釣銭精算装置11が親機および子機に分割される場合、釣銭金額分離部15および返却手法選択部14は、親機と子機とのどちらに備えられていても良い。釣銭金額分離部15および返却手法選択部14が親機側にあれば、子機が提示機能と入力機能とだけを備える必要最小限の構成になるので、子機の構成が簡略化される。釣銭金額分離部15および返却手法選択部14が子機側にあれば、子機の入力部からの指示に応答する返却手法の選択処理が子機内だけで実行されるため、入力指示があるたびに子機から親機へデータを送信する手間が省けるので、処理全体が簡略化される。さらにまた、釣銭取扱部16も、親機および子機のどちらに備えられていても良い。
【0059】
また逆に、釣銭精算装置11が単一筐体内に全ての機能を備える構成である場合、顧客提示部23および顧客入力部24が釣銭精算装置11に関する表示および入力を全て賄えば良い。たとえば、所謂セルフレジ、自動販売機、自動券売機、およびガソリンスタンドの釣銭精算機等に釣銭精算装置11が適用される場合、すなわち顧客自身が釣銭精算装置11の釣銭精算に係る操作を全て行う場合には、釣銭精算装置11は単一筐体の構成で充分機能する。単一筐体の構成であれば、親機子機に分離可能な構成よりも、釣銭精算装置11全体の構成が簡単になるため、部品点数が削減され、製造が容易になる。
【0060】
以下、本実施形態の釣銭精算装置11の構成を具体的に説明する。図1の釣銭精算装置11は、親機であるPOS端末31と、子機である入力端末32とに分割されている。POS端末31は、決済指示処理部34と、親機プログラム部35と、親機入力部36と、親機提示部37と、釣銭処理部38と、親機記憶部39と、顧客特定部20と、釣銭取扱部16とを含む。決済指示処理部34は、前述の算出部13を兼ねる。入力端末32は、子機制御部41と、子機記憶部42と、子機プログラム部43と、子機入力部44と、子機提示部45とを含む。また、販売登録処理システム10は、釣銭精算装置11の他に、顧客情報データベース47を含む。顧客情報データベース47は、ポイント情報記憶部48と返却手法記憶部21とを含む。
【0061】
POS端末31において、基本的には、親機入力部36は、POSシステムの操作者によって操作され、取引精算に係る種々のデータおよび指示が入力される。決済指示処理部34は、親機入力部36からの入力データおよび入力指示、ならびに釣銭処理部38からのデータに応答し、親機プログラム部35内のプログラムに基づいて、取引精算に係る各種の演算処理を行う。前記演算処理には、算出部13における釣銭金額の算出処理が含まれる。親機提示部37は、決済指示処理部34の処理結果を含む取引決済に係る各種の提示内容を、親機の操作者に提示する。
【0062】
釣銭処理部38および親機記憶部39は、決済指示処理部34からの指示およびデータ、ならびに入力端末32からの指示およびデータに基づき、釣銭精算に係る各種の演算処理を行う。釣銭処理部38の演算結果は、決済指示処理部34と入力端末32とにそれぞれ渡される。図1の例では決済指示処理部34と釣銭処理部38とが分けられているが、両者が単一の親機制御部の演算処理で実現されても良い。
【0063】
入力端末32において、基本的には、子機入力部44は、顧客によって操作され、取引精算に係る種々のデータおよび指示が入力される。子機制御部41および子機記憶部42は、子機入力部44からの入力データおよび入力指示、ならびに釣銭処理部38からのデータおよび指示に応答し、子機プログラム部43内のプログラムに基づいて、取引精算に係る各種の演算処理を行う。前記演算処理には、釣銭金額分離部15における釣銭金額の分離処理、および返却手法選択部14における返却手法の組合せの選択処理が含まれる。子機提示部45は、子機制御部41の処理結果を含む取引精算に係る各種の提示内容を、顧客に提示する。子機制御部41は、釣銭金額分離部15と返却手法選択部14とを兼ねる。子機入力部44は、金額入力部18と顧客入力部24とを兼ねる。子機提示部45は、顧客提示部23を兼ねる。
【0064】
以下に、図1の販売登録処理システム10の詳細な構成を説明する。
現金取扱部26は、現金の受領および返却を行う。現金は、たとえば、通貨である紙幣および硬貨で実現される。さらに、本実施形態における現金は、商品券およびプリペイドカード等に代表される金券を含んでいても良い。現金取扱部26は、たとえば、自動販売機に備えられるような、現金の受領および返却を機械的に行う機構で実現される。また現金取扱部26は、一般的なPOS端末に備えられるようなキャッシュドロア(金銭出納箱)で実現され、POS端末31の操作者が手動で金銭を出納してもよい。
【0065】
電子マネー取扱部27は、電子マネーの決済システムとの間で、電子マネーの金額情報の授受を行う。たとえば、電子マネー取扱部27は、電子マネーの蓄積媒体に対する読出し書込み機で実現される。
【0066】
電子マネーは、現金に代わる私製貨幣の一種である。電子マネーのサービス提供者が提供する決済システム上において、貨幣価値を電子データである金額情報に置換え、該金額情報を現金の代わりに取扱う。電子マネーの基本的な決済システムとしては、電子マネーの金額情報の蓄積と、蓄積された該金額情報の読出しおよび書込みとが成されれば良い。
【0067】
電子マネー決済システムにおいて、電子マネーの金額情報がどこに保存されているかという点に注目すると、電子マネーの方式としては、電子マネーのサービス提供者のサーバを蓄積媒体として金額情報が保存される方式と、顧客が手元に所持する取扱媒体内部の集積回路(Integrated Circuit:IC)チップを蓄積媒体として金額情報が保存される方式とがある。前記サーバが蓄積媒体として用いられる場合、通信網を経由してサーバと売主側のPOS端末31とが相互に通信し、該サーバと売主との間で金額情報の送受が行われる。前記通信網は、電話回線網の他に、インターネットおよびLANが含まれる。顧客の手元の集積回路が蓄積媒体として用いられる場合、前記集積回路と売主側のPOS端末31との間で、金額情報が直接送受される。
【0068】
電子マネーの取扱媒体には、たとえば、非ICカードと、ICカードと、電子マネー対応機器とがある。非ICカードは、会員カードおよびクレジットカード等に代表され、磁気カード等で実現される。非ICカードは、金額情報の蓄積媒体となる集積回路がカード内部に備えられない構成であり、電子マネーのサービス提供者のサーバを蓄積媒体として用いる。ICカードおよび電子マネー対応機器は、蓄積媒体となる集積回路を内部に備える構成である。電子マネー対応機器としては、たとえば、前記集積回路を内蔵する携帯電話機が挙げられる。
【0069】
支払手法に基づいて分類すれば、電子マネーの方式としては、ICOCAおよびEddyなどに採用されているプリペイド方式と、PiTaPaなどに採用されているポストペイ方式とがある。SMART_ICOCAに採用されているように、カード内の集積回路に記録される金額情報が少なくなると、銀行口座からのチャージが自動的に行われるオートチャージの方式もある。
【0070】
ICを含まない非ICカード対するICカードの利点としては、金額情報を記録した蓄積媒体が現前としてそこにあるので、サービス提供者のサーバと釣銭精算装置11との間の通信を省略することができることが挙げられる。またICカードの利点としては、金額情報が引出されることを許可するに当たって必要となる認証を省略することができる。
【0071】
図1の例では、電子マネーの取扱媒体の一例として、携帯電話機等に代表される電子マネーの対応機器60が挙げられている。対応機器60は、電子マネーの蓄積媒体61のほかに、制御部62、入力部63、入出力部64、プログラム部65、および表示部66を含む。入力部63は、たとえば、テンキーを含むキーボードで実現される。入出力部64は、たとえば、外部機器とのインターフェイスで実現される。表示部66は、たとえば、液晶表示装置で実現される。
【0072】
電子マネーの対応機器60において、基本的には、入力部63は、対応機器60の操作者である顧客によって操作され、対応機器60の機能に係る種々のデータおよび指示が入力される。入出力部64は、対応機器60と外部の他の機器との間で、種々のデータを送受する。制御部62は、入力部63からの入力データおよび入力指示、ならびに入出力部64からのデータに応答し、プログラム部65内のプログラムに基づいて、前記機能に係る各種の演算処理を行う。前記演算処理には、蓄積媒体61に対する電子マネーの金額情報の授受が含まれる。表示部66は、制御部62の処理結果を含む前記機能に係る各種の提示内容を目視表示して、顧客に提示する。また制御部62の処理結果は、入出力部64から外部の他の機器へ送られる。
【0073】
電子マネー対応機器60に蓄積媒体61である集積回路が組込まれることの利点としては、対応機器60に搭載されたソフトウェアを起動することによって、対応機器60の入力部63および入出力部64と蓄積媒体61との接続を行い、入力部63および入出力部64からの入力に応答して返却手法の設定を変更できることが挙げられる。さらに、蓄積媒体61内の金額情報などの確認を、対応機器60自体で行うことができる。特に釣銭の精算に伴って電子マネーの増減が頻繁であれば頻繁であるほど、蓄積媒体61に蓄積される金額情報の確認をこまめに行うことの必要性が増大するので、対応機器60で金額情報の確認が容易となることは、重要な効果である。
【0074】
現状において、電子マネーには、使用期限が設けられている。たとえば、最終取引から5年と決められている。現状において、実際には、電子マネーのセキュリティなどの問題から、店舗側が誤っていたからといって、店舗側が電子マネーに金額を返還することはできない仕組みになっている。電子マネーの現金化も、できない仕組みとなっている。
【0075】
電子マネーを用いる釣銭返却の実際の制御は、概略的には、「6000円分の金額データが蓄積されている電子マネー」に対して「300円分を電子マネーに追加する」という場合、「300円を追加する」という情報が、釣銭精算装置11から電子マネーの蓄積媒体に対して送信される。300円分の金額データを加算した場合に蓄積媒体のチャージ上限額を超える場合、電子マネー取扱システムから釣銭精算装置11に対して、エラーが返され、300円分の金額情報の加算は成されない。また、他の実際の制御として、電子マネーの取扱システムから「現在蓄積額6000円」という情報を引出し、蓄積額を「6300円」にしてから電子マネーの取扱システムに情報を返す、という方式も可能である。
【0076】
募金取扱部28は、POS端末31を経由して、顧客からの募金を処理する。たとえば、募金取扱部28における募金への引落しは、実際には、売主側が所持する貯金箱と同等の情報蓄積部に顧客からの募金金額分の金額情報が蓄積され、後日該情報蓄積部に蓄積される全金額情報分の現金を募金主催者に売主が提供することによって実現される。また、募金取扱部28における募金への引落しは、募金主催者によって指定された銀行口座に顧客からの募金金額が逐次振込まれることによって実現されてもよい。
【0077】
ポイント取扱部29は、売主が提供するポイントサービスにおけるポイントを処理する。本実施形態におけるポイントとは、売主と顧客との間の取引精算において金銭と同等に取扱われると定められている情報であって、たとえば顧客毎に積立てられている。前記取引精算時には、たとえば、顧客からの申出に応答して、売主が、請求すべき購入金額から顧客のポイント分の金額を割引いて、割引後の購入金額の精算を顧客に求める。ポイント取扱部29における釣銭のポイント化は、実際には、顧客からの変換すべき金額分のポイントのデータが、売主が所持する顧客情報データベース47内で、各顧客に対応付けられているポイント量情報として蓄積される。
【0078】
電子マネーとポイントとの最も大きな差異は、電子マネーはグローバルに使用することができるけれども、ポイントはローカルにしか利用できないという点である。これは、電子マネーの決済システムには多数の売主が参加しているけれども、ポイントサービスシステムに参加する売主は電子マネーよりも限定されているためである。ただし、電子マネー決済システムと異なり、ポイントサービスシステムでは、金銭とポイントとの換算率を売主毎に設定することが可能なので、売主毎のサービスを反映させることができる。
【0079】
親機提示部37および子機提示部45は、たとえば、提示内容を画像化して目視表示するためのディスプレイでそれぞれ実現される。勿論、親機提示部37および子機提示部45は、提示内容の画像化に限らず、提示内容を音響化して表示してもよく、発光素子の点滅によって表示してもよく、その他どのような表示手法を用いても良い。親機入力部36および子機入力部44は、たとえば、利用者が操作可能なキーボードで実現されてもよく、表示装置と組合されたタッチパネルで実現されても良い。
【0080】
たとえば、親機提示部37および子機提示部45が表裏一体に形成された平面状の表示装置で実現され、親機入力部36および子機入力部44が親機提示部37および子機提示部45の画面上に重ねて配置されるタッチパネルで実現されてもよい。この場合、親機提示部37側の親機入力部36が売主側の操作者によって操作され、子機提示部45側の子機入力44が顧客によって操作される。
【0081】
入力端末32においては、たとえば、子機提示部45の画面内容と子機入力部44とが連動して、顧客の指示入力を受付ける。すなわち、子機提示部45の画面内に、顧客に選択可能な各種の選択肢を目視表示する領域を設け、各領域と子機入力部44とを連動させる。たとえば、子機入力部44がキーボードで実現される場合、子機提示部45の画面内の領域に番号が付され、顧客は、選択した選択肢の領域に付された番号を、子機入力部44のキーボードから入力する。また子機入力部44がタッチパネルで実現される場合、子機提示部45の画面上に該タッチパネルが重ねて配置され、顧客は、タッチパネル内の選択した選択肢の領域に重なる部分を押下接触する。
【0082】
親機記憶部39および子機記憶部42は、たとえば、通電されていなくても記憶内容を保持可能な記憶装置でそれぞれ実現される。この場合、記憶保持に電力が不必要なので、釣銭精算装置11の消費電力量を削減することができる。勿論、記憶内容の保持に通電が必要な記憶装置であってもよい。
【0083】
POS端末31内の親機記憶部39には、登録釣銭処理一覧51と、実行釣銭処理一覧52と、釣銭金額テーブル53とが格納されている。初期状態では、親機記憶部39には、登録釣銭処理一覧51だけが格納される。登録釣銭処理一覧51は、釣銭精算時に顧客が選択可能な返却パターンをフィールド内容とする1以上のレコードを有するテーブルである。返却パターンとは、釣銭精算装置11が実行可能な複数の返却手法のうちの少なくとも1つの返却手法からなる組合せと、該組合せを用いる釣銭精算時に用いるべき基準金額とを含む。釣銭精算時に顧客が選択可能な返却パターンが、可能な限り登録釣銭処理一覧51に予め設定されている。
【0084】
たとえば、返却パターンは、2つの釣銭返却手法が組合わされ、かつ、基準金額が紙幣の最小金額に設定されている。すなわち、図1の例では、「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は電子マネーで選択」、「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分はポイントに変換」、「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は募金に寄付」、「紙幣部分は電子マネーで返却、硬貨部分は現金で返却」、「紙幣部分は電子マネーで返却、硬貨部分はポイントに変換」、および「紙幣部分は電子マネーで返却、硬貨部分は募金に寄付」のパターンである。
【0085】
またたとえば、返却パターンは、2つの釣銭返却手法が組合わされ、かつ、基準金額が顧客から入力指示される最新の金額に設定されている。すなわち、図1の例では、「1円単位で指示される基準金額分を募金に寄付、残金を現金で返却」、および「1円単位で指示される基準金額分を募金に寄付、残金を電子マネーで返却」のパターンである。
【0086】
さらにまた、図1の例における「フリー入力」パターンは、顧客が選択する2以上の返却手法の最新の組合せが釣銭の返却手法の組合せとして用いられ、かつ基準金額が顧客から入力指示される最新の金額に設定される。すなわち、「フリー入力」パターン選択時は、返却手法の組合せおよび基準金額が、その場で顧客によって指定される。
【0087】
また、図1の例において、返却パターンは、複数の釣銭返却手法の組合せに限らず単一の釣銭返却手法だけを用いるパターンも含まれる。すなわち、図1に示すように、「釣銭全額を現金で返却」、「釣銭全額を電子マネーで返却」、「釣銭全額をポイントに変換」、および「釣銭全額を募金に寄付」のパターンである。このように、複数の釣銭返却手法の組合せに限らず単一の釣銭返却手法だけを用いて釣銭を精算することができるので、釣銭精算装置11の使い勝手がさらに向上する。
【0088】
前記返却パターンは、図1の例に限らず、他のパターンも含まれる。新しい返却パターンが発生した場合、釣銭精算装置11は、新しい返却パターンをフィールド内容とするレコードを、登録釣銭処理一覧51に追加することができる。
【0089】
取引精算に先立って、売主は、POS端末31側の親機入力部36を操作して、登録釣銭処理一覧51から任意の組合せを1つ以上選択する。釣銭処理部38は。売主の選択に応答し、実行釣銭処理一覧52と釣銭金額テーブル53とを作成する。
【0090】
実行釣銭処理一覧52は、売主によって選択された返却パターンをフィールド内容とする1以上のレコードを有するテーブルである。釣銭金額テーブル53は、実行釣銭処理一覧52に記載される返却パターンで用いる返却手法と該返却手法で払い戻すべき返却金額とを対応付けるテーブルである。釣銭金額テーブル53は、返却手法名のフィールドと該返却手法で払い戻すべき返却金額のフィールドとを含む1以上のレコードを有し、かつ「現在の釣銭」フィールドと現在の釣銭残高のフィールドとを含むレコードをさらに有する。
【0091】
作成された実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53は、POS端末31の親機記憶部39に格納される。また、新規に作成された実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53は、釣銭処理部38から入力端末32に送られる。入力端末32において、子機制御部41は、実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53をPOS端末31から取得すると、両者を入力端末32内の子機記憶部42に格納する。上述の処理は、実行釣銭処理一覧52の新規作成時、または変更更新時だけに実行され、普段の釣銭精算処理時には行われない。
【0092】
図1の販売登録処理システム10において、取引決済開始後、顧客特定部20は、たとえば、予め準備される顧客カードの読取等によって、顧客を特定するための顧客情報を取得する。顧客特定部20による顧客情報の取得に応答し、顧客情報が存在する場合、決済指示処理部34は、顧客情報データベース47に記憶される各種情報の中から、取得された最新の顧客情報によって特定される顧客に関する情報を取得する。顧客に関する情報には、顧客が前回選択した釣銭の返却手法の組合せを示す釣銭処理情報が含まれる。
【0093】
決済指示処理部34は、取引決済に係る処理として、たとえば、売上げた商品役務の売上げ個数および単価を自己に登録して、前記売上げた商品役務全てにおける売上げ個数と単価との積の総和である購入金額を算出する。次いで、決済指示処理部34は、親機提示部37および子機提示部45の少なくとも一方を用いて購入金額を顧客に提示して、購入金額の精算を顧客に促す。前記取引決済の決済手法は、現金決済でもよく電子決済でもよい。また購入金額の少なくとも一部が、顧客の現在の累積ポイントに基づいて割引かれ、割引後の購入金額を精算対象としても良い。
【0094】
顧客から代金を受領すると、受領した代金と購入金額とを比較する。取引決済に電子決済が用いられる場合、購入金額以下の電子マネーがPOS端末31側に受領されるので、釣銭となる電子マネーは発生しない。取引決済に現金決済が用いられる場合および電子決済と現金決済とが併用される場合、受領した代金が購入金額と一致すれば、釣銭は発生しないので取引決済が完了する。なお、現状では、電子決済時に釣銭を電子マネー以外の方式で返却することはシステム上認められていないので、現金決済と電子決済の併用時には、購入金額内の電子決済で支払われた分以外の残金が現金決済され、受領した現金と残金との間に釣銭が生じる場合があると考える。受領した代金が購入金額を超えていれば、算出部13によって釣銭金額が算出される。
【0095】
釣銭が算出される場合、決済指示処理部34は、釣銭処理部38に、釣銭の精算処理を行わせる。釣銭処理部38は、釣銭金額を入力端末32に渡す。顧客情報データベース47から顧客に関する情報が取得可能な場合、今回の顧客の釣銭処理情報も渡される。
【0096】
釣銭金額テーブル53内の各返却手法レコードの返却金額は、最新の取引決済開始時には全て「0」に初期化されている。子機制御部41は、POS端末31から釣銭金額を取得すると、釣銭金額テーブル53の「現在の釣銭」レコードの金額、すなわち釣銭残高を、受取った釣銭金額に書換えて更新する。また、取引決済時において、子機制御部41は、実行釣銭処理一覧52を元に、顧客またはPOS端末31の操作者が選択可能な返却パターンの一覧表を作成し、該一覧表を子機提示部45に表示させる。
【0097】
POS端末31から釣銭金額と釣銭処理情報とが受信された場合、釣銭残高の更新後、子機制御部41は、受信した釣銭処理情報に基づいて更新された釣銭残高の分離処理を行い、各返却手法レコードの返却金額を変更する。釣銭金額だけを受信した場合、子機制御部41は、返却パターンの選択画面を表示させる。利用すべき返却パターンおよび各返却手法毎の基準金額が選択指定されると、子機制御部41は、釣銭残高の分離処理を行い、各返却手法レコードの返却金額を変更する。返却パターンおよび各返却手法レコードの返却金額が確定したならば、子機制御部41は、最新の釣銭金額テーブル53と、最新の返却パターンである釣銭処理情報とを、POS端末31に送る。
【0098】
釣銭処理部38は、入力端末32から、返却手法毎の返却金額と、最新の選択された返却パターンを示す釣銭処理情報とを受取り、決済指示処理部34に渡す。決済指示処理部34は、釣銭取扱部16を用いて、返却手法毎の返却金額分の釣銭を処理する。さらに、決済指示処理部34は、最新の釣銭処理情報を、顧客情報データベース47に登録する。
【0099】
図1の釣銭精算装置11における釣銭精算処理の概略を、以下に説明する。販売登録処理システム10における商品役務の取引決済において、顧客からの代金が現金で支払われる場合、代金が購入金額を超えるならば、POS端末31の釣銭処理部38は、釣銭金額を入力端末32に渡す。顧客情報データベース47に今回の顧客の釣銭処理情報がある場合、すなわち該顧客が前回選択した釣銭返却手法の組合せの情報がある場合、釣銭処理部38は釣銭金額の他に、釣銭処理情報も入力端末32に渡す。
【0100】
入力端末32は、受取った釣銭金額に基づき、入力端末32内部の釣銭金額テーブル53の釣銭残高を更新する。釣銭処理情報が渡されている場合、該釣銭処理情報に基づいて釣銭残高の分離演算が行われ、入力端末32内の釣銭金額テーブル53の各返却手法レコードの返却金額が更新される。釣銭処理情報が渡されていない場合、入力端末32の顧客提示部23には、実行釣銭処理一覧52に設定されている返却パターンの一覧が表示される。顧客自身、または顧客の指示によって操作を行う操作者は、表示される一覧内から任意の1つの返却パターンを選んで、選択結果を子機入力部44から入力する。
【0101】
入力端末32の子機制御部41は、選択された返却パターンに基づいて、釣銭残高の分離処理を行い、入力端末32内の釣銭金額テーブル53を更新する。返却パターンとして後述する「フリー入力」パターンが選択された場合、釣銭残高分離時の基準金額と選択された返却パターンとが、子機入力部44から入力される。次いで、選択された返却パターンおよび入力された基準金額に基づいて、釣銭残高分離処理が行われ、入力端末32内の釣銭金額テーブル53が更新される。返却パターン確定後、更新後の釣銭金額テーブル53と確定された返却パターンを示す最新の釣銭処理情報とが、入力端末32からPOS端末31の釣銭処理部38に戻る。
【0102】
POS端末31の釣銭処理部38は、入力端末32から受取った釣銭金額テーブル53の各返却手法レコードの返却金額に従い、現金での釣銭返却の指示および電子マネーの取扱媒体への入金処理の指示など、各種の釣銭返却手法での釣銭返却処理の指示を出す。POS端末31の決済指示処理部34は、改めて、現金での釣銭返却および電子マネーの入金処理等の具体的処理を、釣銭取扱部16に行わせる。さらに釣銭処理部38は、今回の取引決済の顧客のデータが顧客情報データベース47に存在する場合、入力端末32から受取った釣銭処理情報を用いて、顧客情報データベース47の該顧客の釣銭処理情報を更新する。
【0103】
この結果、釣銭全額のうちのどの部分の金額をどの返却手法で受取るかという返却手法の組合せは、たとえば、取引決済の完了時に、売主側の店舗の顧客情報データベース47に蓄積される。顧客が前記店舗を次に利用するときには、前回の取引決済時に顧客が選択した返却手法の組合せがまず提示され、提示されたとおりでよいか否かの判断が顧客に対して問掛けられる。
【0104】
以上のように、本実施形態の釣銭精算装置11において、具体的に望まれる効果は、全釣銭のうちの硬貨での返却が必須な金額分を電子マネーとして返却し、紙幣での返却が可能な金額分を現金で返却することによって、顧客における硬貨の取扱いに伴う煩雑さを解消し、かつ現金の所持を可能にすることである。従来技術として、釣銭のうちの硬貨返却分をポイントに変換して返却する先行技術があるけれども、前記先行技術と本実施形態との最も大きな差異は、本実施形態の釣銭精算装置11が、釣銭の返却手法の組合せを、多数のバリエーションの中から顧客によって選択可能としている点である。これによって、釣銭精算装置11における釣銭返却の自由度が増す。本実施形態の釣銭精算装置11は、POS端末を含む販売登録処理システム10に適用するだけに限らず、自動販売機および自動券売機等にも適用可能である。
【0105】
図2は、図1の販売登録処理システム10において、顧客毎の釣銭処理情報が無い場合における取引決済処理を示す概念図である。
【0106】
まず、ステップQ11において、売主55が、顧客56に対して、商品役務の購入金額を提示する。たとえば、釣銭精算装置11は、POS端末31の親機提示部37に提示された購入金額を、顧客56に確認させてもよく、またたとえば、POS端末31の親機提示部37に提示された購入金額を、POS端末31の操作者から口頭で顧客56に告げても良い。ステップQ12において、顧客56が、売主55に対して、購入金額以上の代金を現金で支払う。代金が購入金額と等しければ、取引決済処理は完了する。
【0107】
ステップQ12で顧客から受領した代金が購入金額を超えていれば、ステップQ13において、売主55側のPOS端末31は、購入金額と前記代金との差額である釣銭金額を算出し、該釣銭金額を入力端末32に送る。入力端末32は、送られた釣銭金額を顧客56に提示すると共に、顧客が選択可能な返却パターンを提示する。ステップQ14において、顧客56は、売主55側が提示する返却パターンのうちから、いずれか1つの返却パターンを選択する。図2の例は、「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は電子マネーで返却」パターンが選択された場合の処理例である。
【0108】
ステップQ15において、入力端末32は、選択された返却パターンに基づき、前記釣銭金額を分離して、返却手法毎の返却金額を算出する。算出された返却手法毎の返却金額と前記選択された返却パターンとは、入力端末32からPOS端末31に送られる。ステップQ16においてPOS端末31は、現金決済処理の返却金額分の金銭、すなわち釣銭金額内の紙幣で返却可能な部分を、現金で顧客56に返却する。かつ、ステップQ17において、POS端末31は、電子決済処理の返却金額分の金銭、すなわち釣銭金額内の硬貨での返却が必須の部分を、電子マネーで顧客56に返却する。これによって、釣銭精算装置11は、顧客56の指示に応答して、現金決済および電子決済を併用して釣銭を精算することができる。
【0109】
図3は、図1の販売登録処理システム10において、顧客毎の釣銭処理情報が有る場合における取引決済処理を示す概念図である。まず、ステップQ21において、POS端末31は、今回の取引決済処理における顧客に関する情報を、本社サーバ等に備えられる顧客情報データベース47にリクエストする。今回の顧客に関する情報があれば、ステップQ22において、顧客情報データベース47からPOS端末31に、今回の顧客に関する情報が与えられる。前記顧客に関する情報には、該顧客の釣銭処理情報が含まれる。
【0110】
ステップQ23において、図2のステップQ11と同様に、売主55が、顧客56に対して、商品役務の購入金額を提示する。ステップQ24において、図2のステップQ12と同様に、顧客56が、売主55に対して、購入金額以上の代金を現金で支払う。代金が購入金額と等しければ、取引決済処理は完了する。
【0111】
ステップQ24で顧客56から受領した代金が購入金額を超えていれば、ステップQ25において、売主55側のPOS端末31は、購入金額と前記代金との差額である釣銭金額を算出し、該釣銭金額を入力端末32に送る。かつ、ステップQ22で取得されている釣銭処理情報も、POS端末31から入力端末32に送られる。図3の例は、今回の顧客の釣銭処理情報が「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は電子マネーで返却」パターンである場合の処理例である。入力端末32は、送られた釣銭金額を顧客56に提示すると共に、送られた釣銭処理情報に基づいて返却手法毎の返却金額を算出し、返却パターンと返却金額とを組合わせて顧客56に提示する。ステップQ26において、顧客56は、売主55側が提示する返却パターンおよび返却金額を確認し、提示内容でよければ「確定」を指示する。提示内容の変更が必要ならば、その旨を顧客56が入力端末32に指示し、返却パターンの選択処理および釣銭金額の分離処理が再実行される。釣銭金額の分離と返却金額の提示とは、顧客56が「確定」を指示するまで繰返される。
【0112】
ステップQ27において、確定された返却パターンおよび返却手法毎の返却金額が、入力端末32からPOS端末31に送られる。ステップQ28において、POS端末31は、図2のステップQ16と同様に、現金決済処理の返却金額分の金銭を、現金で顧客56に返却する。かつ、ステップQ29において、POS端末31は、図2のステップQ17と同様に、電子決済処理の返却金額分の金銭を、電子マネーで顧客56に返却する。これによって、釣銭精算装置11は、顧客56の過去の選択結果に応答して、現金決済および電子決済を併用して釣銭を精算することができる。
【0113】
図4は、図1の釣銭精算装置11の取引決済処理において、顧客毎の釣銭処理情報が無い場合かつ既存の基準金額を用いる場合の釣銭金額分離処理を説明するための概念図である。すなわち、図4の例は、図2の取引決済処理における釣銭金額分離処理である。
【0114】
初期状態であるステップR11において、入力端末32の釣銭金額テーブル53の各レコードの金額は、総て「0」に初期化されている。ステップR12において、図2のステップQ13で説明したように、POS端末31から入力端末32に、今回の取引決済処理における釣銭金額が送られる。
【0115】
ステップR12に応答し、ステップR13において、入力端末32の釣銭金額テーブル53の「現在の釣銭」レコードの金額である釣銭残高が、POS端末31から取得された釣銭金額で更新される。図4の例では、POS端末31からの釣銭金額が「9370円」であるので、釣銭残高も「9370」に更新される。この段階で、入力端末32は、顧客が選択可能な返却パターンと現時点の釣銭残高とを、顧客に提示する。
【0116】
次いで、ステップR14において、図2のステップQ14で説明したように、基準金額を含むいずれか1つの返却パターンを、顧客が選択する。ステップR14に応答し、ステップR15において、入力端末32は、選択された返却パターンを用いて釣銭金額を1以上の返却金額に分離し、分離結果を用いて釣銭金額テーブル53の内容を更新する。更新後の釣銭金額テーブル53の内容と選択された返却パターンとから成る釣銭金額の分離結果が、入力端末32から顧客に提示される。
【0117】
図4の例では、「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は電子マネーで返却」パターンが選択されているので、まず、現時点の釣銭残高「9370」が、紙幣の最低金額「1000」を用いて、上位金額「9000」と下位金額「370」とに分離される。次いで、「現金」レコードの返却金額が上位金額「9000」で更新され、「電子マネー」レコードの返却金額が下位金額「370」で更新され、釣銭残高が「0」に更新される。
【0118】
提示される釣銭金額の分離結果を顧客が了承し「確定」を指示したならば、ステップR16において、更新後の釣銭金額テーブル53が、入力端末32からPOS端末31に渡される。かつ、最新の釣銭処理情報として、今回選択された返却パターンが、入力端末32からPOS端末31に渡される。図4のステップR15およびステップR16の処理が、図2のステップQ15の処理に相当する。この結果、POS端末31は、図2のステップQ16およびステップQ17に示すように、更新後の釣銭金額テーブル53に基づいて、実際の釣銭精算を行う。以上の処理によって、図4の釣銭金額分離処理が完了する。
【0119】
図5は、図1の釣銭精算装置11の取引決済処理において、顧客毎の釣銭処理情報が有り、かつ既存の基準金額を用いる場合の釣銭金額分離処理を説明するための概念図である。すなわち、図5の例は、図3の取引決済処理における釣銭金額分離処理である。
【0120】
初期状態であるステップR21において、入力端末32の釣銭金額テーブル53の各レコードの金額は、総て「0」に初期化されている。ステップR22において、POS端末31から入力端末32に、釣銭金額および釣銭処理情報が送られる。図5の例では、送られる釣銭処理情報は、「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は電子マネーで返却」パターンを示す。
【0121】
ステップR22に応答し、ステップR23において、入力端末32は、釣銭処理情報が示す返却パターンを用いて釣銭金額を1以上の返却金額に分離し、分離結果を用いて釣銭金額テーブル53の内容を更新する。更新後の釣銭金額テーブルの内容と用いられた返却パターンから成る釣銭金額の分離結果が、入力端末32から顧客に提示される。図5のステップR22およびステップR23の処理が、図3のステップQ25の処理に相当する。
【0122】
図5の例では、POS端末31からの釣銭金額が「9370円」であり、かつ「紙幣部分は現金で返却、硬貨部分は電子マネーで返却」パターンが選択されているので、まず、釣銭金額「9370」が、紙幣の最低金額「1000」を用いて、上位金額「9000」と下位金額「370」とに分離される。次いで、「現金」レコードの金額が上位金額「9000」で更新され、「電子マネー」レコードの金額が下位金額「370」で更新され、「現在の釣銭」レコードの釣銭残高が「0」に更新される。
【0123】
図3のステップQ26で示したように、提示される釣銭金額の分離結果を顧客が了承し「確定」を指示したならば、ステップR24において、更新後の釣銭金額テーブル53が、入力端末32からPOS端末31に渡される。かつ、最新の釣銭処理情報として、今回用いられた返却パターンが、入力端末32からPOS端末31に渡される。図5のステップR24の処理は、図3のステップQ26およびステップQ27の処理に相当する。この結果、POS端末31は、図3のステップQ28およびステップQ29に示すように、更新後の釣銭金額テーブル53に基づいて、実際の釣銭精算を行う。以上の処理によって、図5の釣銭金額分離処理が完了する。
【0124】
図6は、図1の釣銭精算装置11の取引決済処理において、顧客毎の釣銭処理情報が無く、かつ基準金額を新規設定する場合の釣銭金額分離処理を説明するための概念図である。すなわち、図6の例は、図2において「フリー入力」パターンが選択された場合の例である。
【0125】
初期状態であるステップR31において、入力端末32の釣銭金額テーブル53の各レコードの金額は、総て「0」に初期化されている。ステップR32において、POS端末31から入力端末32に、釣銭金額だけが送られる。ステップR32に応答し、ステップR33において、入力端末32の釣銭金額テーブル53の釣銭残高に、取得された釣銭金額が初期入力される。図6のステップR31〜ステップR33の処理は、図4のステップR11〜ステップR13と同等である。
【0126】
釣銭金額取得後、入力端末32は、現時点の釣銭残高と顧客が選択可能な返却パターンとを、顧客に提示する。顧客が「フリー入力」パターンを選択した場合、入力端末32は、現時点の釣銭残高を顧客に提示しつつ、複数の返却手法のうちのいずれか1つの選択と、選択された返却手法を用いて返却すべき金額の入力とを、顧客に行わせる。返却手法の選択および返却金額の入力は、釣銭残高が0になるまで、または顧客から「確認」が指示されるまで、1回以上繰返される。
【0127】
すなわち、ステップR34において、顧客が、釣銭の返却手法のうちのいずれか1つを選択し、かつ、選択された返却手法を用いて返却すべき金額を入力する。ステップR34に応答し、ステップR35において、入力端末32は、最新の選択返却手法と最新の入力金額とを用いて現時点の釣銭残高を分離し、分離結果に基づいて釣銭金額テーブル53を更新する。詳しくは、前記最新の選択中の返却手法の返却金額に最新の入力金額が代入され、かつ現時点の釣銭残高から最新の入力金額を除算した差で釣銭残高が更新される。更新後の釣銭金額テーブル53の内容が、入力端末32から顧客に提示される。
【0128】
図6の例では、「現金決済」が選択され、かつ「5000円」が入力されているので、まず、「現金」レコードの返却金額が入力金額「5000」で更新される。次いで、現時点の釣銭残高「9370」から入力金額「5000」を減算した差「4270」が算出され、釣銭残高が差「4270」に更新される。
【0129】
ステップR36において、顧客が、釣銭の返却手法のうちの他のいずれか1つを選択し、かつ、選択された返却手法を用いて返却すべき金額を入力する。ステップR36に応答し、ステップR37において、入力端末32は、選択された他の返却手法と入力された金額とを用いて更新後の釣銭残高を分離し、釣銭金額テーブル53をさらに更新する。更新後の釣銭金額テーブル53の内容が、入力端末32から顧客に提示される。
【0130】
図6の例では、「電子決済」が選択され、かつ「4370円」が入力されているので、まず、「電子マネー」レコードの返却金額が入力金額「4370」で更新される。次いで、現時点の釣銭残高「4370」から入力金額「4370」を減算した差「0」が算出され、釣銭残高が差「0」に更新される。
【0131】
ステップR34〜ステップR37の処理によって釣銭残高が「0」に更新された後、更新後の釣銭金額テーブル53の内容が、入力端末32から顧客に提示される。提示される釣銭金額の分離結果を顧客が了承し「確定」を指示したならば、ステップR38において、図4のステップR16と同様に、更新後の釣銭金額テーブル53が、入力端末32からPOS端末31に渡される。かつ、最新の釣銭処理情報として、今回選択された返却パターンが、入力端末32からPOS端末31に渡される。この結果、POS端末31は、更新後の釣銭金額テーブル53に基づいて、実際の釣銭精算を行う。以上の処理によって、図6の釣銭金額分離処理が完了する。
【0132】
図7は、図1の販売登録処理システム10の取引決済処理において、顧客毎の釣銭処理情報が無く、新規の基準金額を用い、かつ入力取消処理を含む場合の釣銭金額分離処理を説明するための概念図である。すなわち、図7の例は、図2において「フリー入力」パターンが選択された場合の例である。図7の処理は図6の処理と類似の処理であるので、図7の説明において、図6のステップと同じ処理を行うステップは、説明を省略することがある。
【0133】
図7のステップR41〜ステップR43において、入力端末32は、図6のステップR31〜ステップR33と同様に、釣銭金額テーブル53の初期化処理と、釣銭金額の取得処理と、釣銭金額テーブル53の初期入力とを行う。
【0134】
入力端末32において、釣銭金額取得から顧客の確定指示入力までの間に、返却手法の選択および返却金額の入力処理と、選択結果および入力金額を用いる釣銭金額テーブル53の演算更新処理とが、釣銭残高が「0」になるまで、または顧客から「確認」が指示されるまで、1回以上繰返される。両処理が繰返される間、返却手法の選択および「取消」の指示が顧客から与えられれば、入力端末32は、選択された返却手法を用いる釣銭金額テーブル53の演算更新処理を取消す。
【0135】
図7の例では、図7のステップR44〜ステップR53が、釣銭金額取得から顧客の確定指示入力までの処理の一例を示している。すなわち、まず、図7のステップR44〜ステップR45において、入力端末32は、1回目の返却手法の選択および返却金額の入力処理と、1回目の釣銭金額テーブル53の演算更新処理を行い、更新後の釣銭金額テーブル53を顧客に提示する。図7のステップR44〜ステップR45の処理は、図6のステップR34〜ステップR35の処理と等しい。
【0136】
次いで、図7のステップR46〜ステップR47において、入力端末32は、2回目の返却手法の選択および返却金額の入力処理と、2回目の釣銭金額テーブル53の演算更新処理とを行い、更新後の釣銭金額テーブル53を顧客に提示する。図7の例では、「電子決済」が選択され、かつ「4300円」が入力されているので、まず、「電子マネー」レコードの返却金額が入力金額「4300」で更新される。次いで、現時点の釣銭残高「4370」から入力金額「4300」を減算した差「70」が算出され、釣銭残高が差「70」に更新される。図7のステップR46〜ステップR47の処理は、例示される入力金額が異なる他は、図6のステップR36〜ステップR37の処理と等しい。
【0137】
さらに、図7のステップR48〜ステップR49において、入力端末32は、3回目の返却手法の選択および返却金額の入力処理と、3回目の釣銭金額テーブル53の演算更新処理とを行い、更新後の釣銭金額テーブル53を顧客に提示する。図7の例では、「募金決済」が選択され、かつ「70円」が入力されているので、まず、「募金」レコードの返却金額が入力金額「70」で更新される。次いで、現時点の釣銭残高「70」から入力金額「70」を減算した差「0」が算出され、釣銭残高が差「0」に更新される。図7のステップR48〜ステップR49の処理は、選択される返却手法および取得される入力金額が異なる他は、図6のステップR36〜ステップR37の処理と等しい。
【0138】
ステップR50において、釣銭の返却手法のうちの過去に選択されている返却手法の中からいずれか1つを顧客が選択し、かつ、顧客が「取消」を指示する。ステップR50に応答し、ステップR51において、入力端末32は、ステップR50で選択された返却手法を用いる釣銭金額テーブル53の演算更新処理を取消し、かつ、取消された返却手法の返却金額を現時点の釣銭残高に加算して、釣銭金額テーブル53を更新する。更新後の釣銭金額テーブル53の内容が、入力端末32から顧客に提示される。
【0139】
図7の例では、「募金決済」が選択され、かつ「取消」が指示されているので、まず、「募金」レコードの現在の返却金額「70」を現時点の釣銭残高「0」に加算した和「70」が算出され、釣銭残高が和「70」に更新される。さらに、「募金」レコードの金額が「0」に更新される。
【0140】
取消処理後、図7のステップR52〜ステップR53において、入力端末32は、4回目の返却手法の選択および返却金額の入力処理と、4回目の釣銭金額テーブル53の演算更新処理とを行い、更新後の釣銭金額テーブル53を顧客に提示する。図7のステップR52〜ステップR53の処理は、図6のステップR36〜ステップR37の処理と等しい。この結果、釣銭残高が「0」に更新される。
【0141】
ステップR44〜ステップR53の処理によって釣銭残高が「0」に更新された後、更新後の釣銭金額テーブル53の内容が、入力端末32から顧客に提示される。提示される釣銭金額の分離結果を顧客が了承し「確定」を指示したならば、ステップR54において、更新後の釣銭金額テーブル53が、入力端末32からPOS端末31に渡される。かつ、最新の釣銭処理情報として、今回選択された返却パターン、すなわち「フリー入力」パターンが、入力端末32からPOS端末31に渡される。この結果、POS端末31は、更新後の釣銭金額テーブル53に基づいて、実際の釣銭精算を行う。図7のステップR54の処理は、図6のステップR38の処理と等しい。以上の処理によって、図7の釣銭金額分離処理が完了する。
【0142】
図8Aおよび図8Bは、図1の釣銭精算装置11において、釣銭精算処理に用いられる実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53の作成手順を示す図である。以下、図8Aおよび図8Bを総称して図8という。図8の処理は、取引決済の釣銭精算処理の実行前に、予め行われている。
【0143】
初期状態では、親機記憶部39には、登録釣銭処理一覧51だけが格納される。ステップS01に示すように、初期状態の実行釣銭処理一覧52には、レコードが存在しない。またステップS02に示すように、初期状態の釣銭金額テーブル53には、釣銭残高を格納すべき「現在の釣銭」レコードだけが含まれる。
【0144】
作成処理開始後、売主側の操作者、すなわちPOS端末31の操作者が、POS端末31の親機入力部36を操作して、登録釣銭処理一覧51に登録されている全返却パターンの中から、1以上の返却パターンを選択する。選択された返却パターンが実行釣銭処理一覧52に登録される。同時に、選択された返却パターンで用いられる返却手法が、該返却手法で返却すべき金額を保持すべきフィールドと共に、釣銭金額テーブル53に登録される。
【0145】
図8の例では、まず、ステップS03において「全額を現金で返却」パターンが選択されると、ステップS04において、「全額を現金で返却」パターンのレコードが、実行釣銭処理一覧52に追加される。さらに、「全額を現金で返却」パターンでは現金決済だけが用いられるので、ステップS05において、「現金決済」フィールドと現金決済の返却金額保持用のフィールドとを含む「現金」レコードが、釣銭金額テーブル53に追加される。
【0146】
次いで、ステップS06において「全額を電子マネーで返却」パターンが選択されると、ステップS07において、前述のパターンのレコードが実行釣銭処理一覧52に追加される。さらに、「全額を電子マネーで返却」パターンでは電子決済だけが用いられるので、ステップS08において、「電子決済」フィールドと電子決済の返却金額保持用のフィールドとを含む「電子マネー」レコードが、釣銭金額テーブル53に追加される。
【0147】
続いて、ステップS09において「紙幣部分を現金で返却、硬貨部分を電子マネーで返却」パターンが選択されると、ステップS10において、実行釣銭処理一覧52に前述のパターンのレコードが追加される。さらに、「紙幣部分を現金で返却、硬貨部分を電子マネーで返却」パターンでは現金決済と電子決済とが併用されるが、「現金」レコードおよび「電子マネー」レコードは釣銭金額テーブル53に既に追加済みなので、ステップS11において、レコードの追加が行われない。
【0148】
さらに続いて、ステップS12において「紙幣部分を電子マネーで返却、硬貨部分を現金で返却」パターンが選択されると、ステップS13において、実行釣銭処理一覧52に前述のパターンのレコードが追加される。さらに、「紙幣部分を電子マネーで返却、硬貨部分を現金で返却」パターンでは現金決済と電子決済とが併用されるが、「現金」レコードおよび「電子マネー」レコードは釣銭金額テーブル53に既に追加済みなので、ステップS14において、レコードの追加が行われない。
【0149】
続いて、ステップS15において「全額をポイントに変換」パターンが選択されると、ステップS16において、前述のパターンのレコードが実行釣銭処理一覧52に追加される。さらに、「全額をポイントに変換」パターンではポイント変換決済が用いられるので、ステップS17において、「ポイント変換」フィールドとポイント変換決済の返却金額保持用のフィールドとを含む「ポイント」レコードが、釣銭金額テーブル53に追加される。
【0150】
さらに続いて、ステップS18において「全額を募金に寄付」パターンが選択されると、ステップS19において、前述のパターンのレコードが実行釣銭処理一覧52に追加される。さらに、「全額を募金に寄付」パターンでは募金決済が用いられるので、ステップS20において、「募金決済」フィールドと募金決済の返却金額保持用のフィールドとを含む「募金」レコードが、釣銭金額テーブル53に追加される。
【0151】
続いて、ステップS21において「フリー入力」パターンが選択されると、ステップS22において、前述のパターンのレコードが実行釣銭処理一覧52に追加される。さらに、「フリー入力」パターンでは、釣銭精算装置11において実行可能な総ての返却手法が選択可能になるが、ステップS21の時点で釣銭金額テーブル53に総ての返却手法のレコードが既に追加済みなので、ステップS23において、レコードの追加が行われない。
【0152】
以上の処理によって、実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53が作成される。実行釣銭処理一覧52および釣銭金額テーブル53の作成には売主の選択が反映されるので、返却手法の選択に係る売主の自由度が増す。
【0153】
図9は、図1の釣銭精算装置11の取引決済処理内において、既存の釣銭の返却手法の組合せおよび既存の基準金額が選ばれる場合に、釣銭精算処理中に顧客に対して目視表示される画面内容の遷移例を示す図である。すなわち、図9の各画面は、図2および図4で説明する釣銭精算処理において顧客に提示される。
【0154】
図9(A)は、POS端末31から入力端末32へ釣銭金額だけが与えられた時点で、入力端末32の子機提示部45に提示される画面内容を示す図である。図9(A)時点では、取得した釣銭金額と、実行釣銭処理一覧52に設定される返却パターンを選択させるための複数の選択肢とが、子機提示部45の画面に提示される。
【0155】
図9(A)の画面提示後、顧客は、図9(A)の画面内の返却パターン選択用の選択肢のうちのいずれか1つを選択する。入力端末32は、顧客の選択に応答し、選択された返却パターンを用いて、図4で説明した釣銭金額分離処理を行う。図9の例では、「紙幣部分は現金で返却、かつ硬貨部分は電子マネーで選択」パターンが選択されている。
【0156】
図9(B)は、選択された返却パターンを用いる釣銭金額分離処理が終了した時点で、入力端末32の子機提示部45に提示される画面内容を示す図である。図9(B)時点では、釣銭金額分離処理の処理結果に基づき、釣銭返却に用いるべく選択中の1以上の返却手法と、選択中の各返却手法でそれぞれ返却されるべき返却金額とが、組合せて提示される。すなわち、釣銭金額分離処理後の釣銭金額テーブル53の内容が表示される。かつ、図9(B)時点の画面には、「確定」および「中止」の選択肢が、さらに提示される。「確定」の選択肢は、現時点の釣銭金額分離処理の処理結果を顧客が了承した場合に、顧客に選択される。「中止」の選択肢は、現時点の釣銭金額分離処理の処理結果を破棄し、釣銭金額分離処理をやり直す際に、顧客に選択される。
【0157】
図9(B)の画面提示後、顧客は、図9(B)の画面内の「確定」および「中止」の選択肢のうちのいずれか1つを選択する。「中止」が選択される場合、入力端末32は、子機提示部45の提示内容を図9(B)の状態から図9(A)の状態に戻し、かつ、現在の釣銭金額テーブル53の内容を、釣銭金額取得直後の状態に戻す。「確定」が選択される場合、入力端末32は、子機提示部45の提示内容を図9(B)の状態から図9(C)の状態に変更する。
【0158】
図9(C)は、「確定」選択後に、入力端末32の子機提示部45に提示される画面内容を示す図である。図9(C)時点では、釣銭の分離処理が完了した旨が顧客に提示される。図9(C)の提示時点で、入力端末32からPOS端末31に、最新の釣銭金額テーブル53が送られる。この結果、POS端末31は、顧客の指示に応答して、1以上の返却手法を用いて釣銭を返却する。以上の処理によって、図9の釣銭金額分離処理が完了する。
【0159】
図10および図11は、図1の釣銭精算装置11の取引決済処理内において、釣銭の返却手法の組合せおよび基準金額を顧客が新規設定する場合に、釣銭精算処理中に顧客に対して目視表示される画面内容の遷移例を示す図である。すなわち、図10および図11は、入力端末32において、図7の例において「フリー入力」パターンが選択される場合の子機提示部45に表示される画面内容の遷移を示す。
【0160】
図10(A)は、POS端末31から入力端末32へ釣銭金額が与えられた時点で、入力端末32の子機提示部45に提示される画面内容を示す図である。図10(A)は、図9(A)と等価である。図10(A)の画面提示後、顧客は、図10(A)の画面内の返却パターン選択用の選択肢のうちのいずれか1つを選択する。図10の例では、「フリー入力」パターンが選択されている。
【0161】
図10(B)は、「フリー入力」パターン選択時に、入力端末32の子機提示部45に提示される画面内容を示す図である。図10(B)の画面は、「フリー入力」パターン選択時専用の画面であって、現在利用可能な返却手法を選択するための選択肢と、各返却手法毎の返却金額の入力欄と、数値入力用のテンキー部分と、数値入力の「取消」の選択肢と、「決定」および「中止」の選択肢とが、表示されている。「フリー入力」パターン選択時専用画面において、前記テンキー部分は、子機提示部45に重ねられるタッチパネルと連動し、数値入力のために用いられる。「フリー入力」パターン選択時専用画面の提示後、「中止」を顧客が指示する場合、入力端末32は、子機提示部45の提示内容を、「中止」指示時の状態から図10(A)の状態に戻し、かつ、現在の釣銭金額テーブル53の内容を、釣銭金額取得直後の状態に戻す。
【0162】
「フリー入力」パターン選択時専用画面の提示後、いずれか1つの返却手法の選択肢を顧客が選択すると、選択された返却手法の返却金額の入力欄が入力可能状態に置かれ、顧客からの金額入力を受付ける。次いで、子機入力部44を操作して顧客が金額を入力し、かつ「決定」を顧客が指示すると、選択された返却手法および入力金額を用いて現時点の釣銭残高の分離演算が行われ、演算結果に基づいて釣銭金額テーブル53が更新される。テーブル更新後、最新の釣銭金額テーブル53の内容が、画面内容に反映される。
【0163】
また逆に、「フリー入力」パターン選択時専用画面の提示後、子機入力部44を操作して顧客が金額を入力し、次いで、いずれか1つの返却手法選択肢を顧客が選択すると、選択された返却手法および入力金額を用いて現在の釣銭残高の分離演算が行われ、演算結果に基づいて釣銭金額テーブル53が更新される。テーブル更新後、最新の釣銭金額テーブル53の内容が、画面内容に反映される。
【0164】
図10の例では、まず、図10(B)において「現金決済」の選択肢が選択されると、図10(C)に示すように、「現金決済」の金額入力欄が入力可能状態に変更される。次いで、図10(D)に示すように、入力端末32に顧客が金額「5000」を入力すると、「現金」レコードの返却金額を「5000」に設定して釣銭残高を「4370」にする演算処理が行われて釣銭金額テーブル53が更新される。テーブル更新後、図10(E)に示すように、最新の釣銭金額テーブル53の内容が、画面に反映される。図10(C)〜図10(E)の処理は、図7のステップR44〜ステップR45の処理に相当する。
【0165】
図10(E)の画面提示後、図10(F)に示すように、顧客が金額「4300」を入力端末32に入力し、かつ、「電子決済」の選択肢が選択されると、図10(G)に示すように、「電子マネー」レコードの返却金額を「4300」に設定して釣銭残高を「70」にする演算処理が行われて釣銭金額テーブル53が更新される。図10(F)〜図10(G)の処理は、図7のステップR46〜ステップR47の処理に相当する。
【0166】
続いて、図10(G)の画面提示後、「募金決済」の選択肢が選択されると、図10(H)に示すように、「募金決済」の金額入力欄が入力可能状態に変更される。次いで、図10(I)に示すように、入力端末32に顧客が金額「70」を入力すると、「募金決済」分の返却金額を「70」に設定して釣銭残高を「0」にする演算処理が行われて釣銭金額テーブル53が更新される。テーブル更新後、図11(J)に示すように、最新の釣銭金額テーブルの内容が、画面に反映される。図11(J)の画面の表示時点では、最新の釣銭残高が「0」になっているので、「決定」選択肢が「確定」選択肢に変更され、顧客の選択を待つ状態になっている。図10(H)〜図10(J)の処理は、図7のステップR48〜ステップR49の処理に相当する。
【0167】
続いて、図11(J)の画面提示後、顧客が「確定」選択肢ではなく、過去に選択済みの返却手法のうちからいずれか1つの返却手法である「募金決済」の選択肢を選ぶ場合、取消処理が開始される。返却手法の再選択後、図11(K)に示すように、「募金決済」の金額入力欄が入力可能状態に変更される。次いで、入力端末32に顧客が「取消」選択肢を選択すると、「募金」レコード分の返却金額を「0」に設定して釣銭残高を「70」に変更する演算処理が行われて、釣銭金額テーブル53が更新される。テーブル更新後、図11(L)に示すように、最新の釣銭金額テーブル53の内容が、画面に反映される。図11(L)の画面表示時点では、釣銭残高が0ではないので、「確定」選択肢が「決定」選択肢に戻される。図10(K)〜図10(L)の処理は、図7のステップR50〜ステップR51の処理に相当する。
【0168】
図11(L)の画面提示後、「電子決済」の選択肢が選択されると、図11(M)に示すように、「電子決済」の金額入力欄「4300」が入力可能状態に変更される。次いで、図11(N)に示すように、入力端末32に顧客が金額「4370」を入力すると、「電子決済」分の返却金額を「4370」に設定して釣銭残高を「0」にする演算処理が行われて釣銭金額テーブル53が更新される。テーブル更新後、図11(O)に示すように、最新の釣銭金額テーブル53の内容が、画面に反映される。図11(O)の画面の表示時点では、最新の釣銭残高が「0」になっているので、「決定」選択肢が「確定」選択肢に変更され、顧客の選択を待つ。図10(M)〜図10(O)の処理は、図7のステップR52〜ステップR53の処理に相当する。
【0169】
顧客が図11(O)で「確定」を選択すると、入力端末32は、図11(P)に示すように、釣銭残高の分離処理が完了した旨を顧客に提示する。図11(P)の提示時点で、入力端末32からPOS端末31に、最新の釣銭金額テーブル53が送られる。この結果、POS端末31は、顧客の指示に応答して、1以上の返却手法を用いて釣銭を返却する。図10(P)の処理は、図7のステップR54の処理に相当する。
【0170】
釣銭全額の返却後、図11(P)に示すように、釣銭残高の分離処理が完了した旨を顧客に提示する。提示後、図11(Q)に示すように、次の釣銭分離処理のために、返却パターンの選択肢を含む画面を提示させる。なお図11(Q)の例は、図10(A)と同等であって、釣銭残高が提示されていない。以上のような図10および図11の処理によって、1以上の返却手法を用いる釣銭金額の返却処理が行われる。
【0171】
図12Aおよび図12Bは、図1の販売登録処理システム10の釣銭精算装置11において、取引決済処理内の釣銭精算処理全体を説明するためのフローチャートである。以下、図12Aおよび図12Bを総称して図12という。
【0172】
取引の決済処理が開始され、顧客に購入金額が提示されると、ステップA00からステップA01に進む。ステップA01において、釣銭精算装置11の決済指示処理部34は、今回の取引決済において、顧客からの支払いが現金であるか否かを判断する。支払いが現金でなければ、顧客からの支払いが電子マネーであると判断され、ステップA01からステップA02に進み、電子決済を用いて今回の取引決済を行う。決済処理が終了すれば、ステップA35において、図12の処理が終了する。支払いが現金であれば、ステップA01からステップA03に進む。
【0173】
ステップA03において、釣銭精算装置11の算出部13は、支払われた現金と購入金額とを比較して、両者の差である釣銭金額を算出する。釣銭金額が「0」であれば、釣銭精算処理が必要無いので、ステップA03からステップA35に進み、図12の処理が終了する。釣銭金額が「0」を超えていれば、釣銭精算処理が必要なので、ステップA03からステップA04に進む。
【0174】
ステップA04において、釣銭精算装置11の返却手法選択部14は、今回の取引決済の顧客を特定するための顧客識別情報が、顧客特定部20から得られているかを判断する。顧客識別情報が得られていれば、ステップA04からステップA05に進み、得られている顧客識別情報によって特定される顧客の釣銭処理情報が、すなわち該顧客が過去に選択した返却パターンが、顧客情報データベース47から取得される。顧客識別情報が得られなければ、ステップA04からステップA06に進み、返却手法選択部14は、選択可能な総ての返却パターンの中からいずれか1つの返却パターンを顧客に選択させる。
【0175】
ステップA07において、釣銭精算装置11の釣銭金額分離部15は、予め定める基準金額に基づき、今回の取引決済における釣銭金額の分離処理を行う。たとえば、ステップA07の時点では、基準金額が紙幣の最小金額に設定され、釣銭金額が上位金額Y1および下位金額Y2の組合せに分離される。ステップA07の釣銭金額の分離処理の詳細は後述する。
【0176】
ステップA08〜ステップA23の処理は、釣銭精算装置11における返却手法の組合せの選択処理、および選択結果に基づく釣銭金額テーブル53の更新処理である。
【0177】
まず、ステップA08において、「全額を現金で返却」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA08からステップA09に進み、釣銭金額テーブル53において、「現金」レコードの返却金額が上位金額Y1と下位金額Y2との和Y1+Y2で更新され、かつ、「電子マネー」レコードの返却金額が「0」に更新される。さらに、ステップA10において、「ポイント」レコードの返却金額および「募金」レコードの返却金額が、どちらも「0」に更新される。全返却手法レコードの返却金額の更新後、ステップA10からステップA24に進む。「全額を現金で返却」パターンが選択されていなければ、ステップA08からステップA11に進む。
【0178】
ステップA11において、「全額を電子マネーで返却」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA11からステップA12に進み、釣銭金額テーブル53において、「現金」レコードの返却金額が「0」に更新され、かつ、「電子マネー」レコードの返却金額が上位金額Y1と下位金額Y2との和Y1+Y2で更新される。さらに、ステップA12からステップA10に進み、「ポイント」レコードおよび「募金」レコードの返却金額が、どちらも「0」に更新される。全返却手法レコードの返却金額の更新後、ステップA10からステップA24に進む。「全額を電子マネーで返却」パターンが選択されていなければ、ステップA11からステップA13に進む。
【0179】
ステップA13において、「紙幣部分を現金で返却、硬貨部分を電子マネーで返却」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA13からステップA14に進み、釣銭金額テーブル53において、「現金」レコードの返却金額が上位金額Y1で更新され、かつ、「電子マネー」レコードの返却金額が下位金額Y2で更新される。さらに、ステップA14からステップA10に進み、「ポイント」レコードおよび「募金」レコードの返却金額が、どちらも「0」に更新される。全返却手法レコードの返却金額の更新後、ステップA10からステップA24に進む。「紙幣部分を現金で返却、硬貨部分を電子マネーで返却」パターンが選択されていなければ、ステップA13からステップA15に進む。
【0180】
ステップA15において、「紙幣部分を電子マネーで返却、硬貨部分を現金で返却」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA15からステップA16に進み、釣銭金額テーブル53において、「現金」レコードの返却金額が下位金額Y2で更新され、かつ、「電子マネー」レコードの返却金額が上位金額Y1で更新される。さらに、ステップA16からステップA10に進み、「ポイント」レコードおよび「募金」レコードの返却金額が、どちらも「0」に更新される。全返却手法レコードの返却金額の更新後、ステップA10からステップA24に進む。「紙幣部分を電子マネーで返却、硬貨部分を現金で返却」パターンが選択されていなければ、ステップA15からステップA17に進む。
【0181】
ステップA17において、「釣銭全額をポイントに変換」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA17からステップA18に進み、釣銭金額テーブル53において、「ポイント」レコードの返却金額が上位金額Y1と下位金額Y2との和Y1+Y2で更新され、かつ、「募金」レコードの返却金額が「0」で更新される。さらに、ステップA18からステップA19に進み、「現金」レコードの返却金額および「電子マネー」レコードの返却金額が、どちらも「0」に更新される。全返却手法レコードの返却金額の更新後、ステップA19からステップA24に進む。「釣銭全額をポイントに変換」パターンが選択されていなければ、ステップA17からステップA20に進む。
【0182】
ステップA20において、「釣銭全額を募金に寄付」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA20からステップA21に進み、釣銭金額テーブル53において、「ポイント」レコードの返却金額が「0」で更新され、かつ、「募金」レコードの返却金額が上位金額Y1と下位金額Y2との和Y1+Y2で更新される。さらに、ステップA21からステップA19に進み、「現金」レコードおよび「電子マネー」レコードの返却金額が、どちらも「0」に更新される。全返却手法レコードの返却金額の更新後、ステップA19からステップA24に進む。「釣銭全額をポイントに変換」パターンが選択されていなければ、ステップA20からステップA22に進む。
【0183】
ステップA22において、「フリー入力」パターンが選択されているか否かが判断される。前述のパターンが選択されていれば、ステップA22からステップA23に進み、「フリー入力」パターン選択時の釣銭精算処理が行われる。ステップA23の処理の詳細は後述する。ステップA23の処理が終了すれば、ステップA35において、図12の処理が終了する。ステップA22において前述のパターンが選択されていなければ、ステップA22からステップA04に戻り、返却手法の選定および釣銭金額の分離が、再度実行される。
【0184】
釣銭金額テーブル53の全返却手法レコードの返却金額が更新された後、ステップA24において、全ての返却手法レコードの返却金額が、顧客に提示される。すなわち、ステップA04〜ステップA23の釣銭金額分離処理の処理結果が、顧客に提示される。釣銭金額テーブル53の内容提示後、釣銭精算装置11は、顧客からの指示を待つ。
【0185】
顧客からの指示に応答し、ステップ25において、顧客から「確定」が指示されたか否かが判断される。顧客からの「確定」指示が無ければ、ステップA25からステップA26に進み、ステップA04〜ステップA23の釣銭金額分離処理の処理結果の取消処理を行う。たとえば、釣銭金額テーブル53の内容を、釣銭金額取得直後の状態に戻す。取消処理後、ステップA26からステップA04に戻り、返却手法の選定および釣銭金額の分離が再度実行される。「確定」が指示されたならば、ステップA26からステップA27に進む。
【0186】
ステップA27〜ステップA34は、釣銭精算装置11における実際の釣銭返却処理である。釣銭金額テーブル53の最新の内容に基づき、返却手法毎に、該返却手法レコードの返却金額が0を超えるか否かが判断される。返却手法レコードの返却金額が0を超える場合だけ、釣銭金額のうちに該レコードの返却手法を用いて返却されるべき部分があると判断され、該レコードの返却手法を用いて該返却金額分の金銭が返却される。
【0187】
図12の例では、ステップA27において、決済指示処理部34は、釣銭金額テーブル53の最新の内容に基づき、釣銭金額のうちに現金決済すべき部分があるか否かを判断する。釣銭金額テーブル53の「現金」レコードの返却金額が0であれば、現金決済すべき部分は無いので、ステップA27からステップA29に進む。返却金額が0を超えていれば、現金決済が必要なので、ステップA27からステップA28に進む。
【0188】
ステップA28において、釣銭取扱部16の現金取扱部26が、「現金」レコードの返却金額分の現金決済処理を行う。すなわち、現金取扱部26から顧客に対し、「現金」レコードの返却金額分の現金が返却される。現金決済後、ステップA28からステップA29に進む。
【0189】
次いで、ステップA29において、決済指示処理部34は、釣銭金額テーブル53の最新の内容に基づき、釣銭金額のうちに電子決済すべき部分があるか否かを判断する。釣銭金額テーブル53の「電子マネー」レコードの返却金額が0であれば、電子決済すべき部分は無いので、ステップA29からステップA31に進む。返却金額が0を超えていれば、電子決済が必要なので、ステップA29からステップA30に進む。
【0190】
ステップA30において、釣銭取扱部16の電子マネー取扱部27が、「電子マネー」レコードの返却金額分の電子決済処理を行う。すなわち、電子マネー取扱部27から顧客の電子マネーの対応機器60の蓄積媒体61に対し、「電子マネー」レコードの返却金額分の電子マネーのデータが送信され、該蓄積媒体61に該データが蓄積される。電子決済後、ステップA30からステップA31に進む。
【0191】
続いて、ステップA31において、決済指示処理部34は、釣銭金額テーブル53の最新の内容に基づき、釣銭金額のうちにポイント変換すべき部分があるか否かを判断する。釣銭金額テーブル53の「ポイント」レコードの返却金額が0であれば、ポイント変換すべき部分は無いので、ステップA31からステップA33に進む。返却金額が0を超えていれば、ポイント変換が必要なので、ステップA31からステップA32に進む。
【0192】
ステップA32において、釣銭取扱部16のポイント取扱部29が、「ポイント」レコードの返却金額分のポイント変換処理を行う。すなわち、ポイント取扱部29は、「ポイント」レコードの返却金額をポイントに返還し、変換後のポイントのデータと今回の顧客の特定情報とを、顧客情報データベース47に蓄積させる。ポイント変換後、ステップA31からステップA33に進む。
【0193】
さらに、ステップA33において、決済指示処理部34は、釣銭金額テーブル53の最新の内容に基づき、釣銭金額のうちに募金に寄付があるか否かを判断する。釣銭金額テーブル53の「募金」レコードの返却金額が0であれば、募金に寄付すべき部分は無いので、ステップA33からステップA35に進み、図12の処理が終了する。返却金額が0を超えていれば、募金寄付が必要なので、ステップA33からステップA34に進む。
【0194】
ステップA34において、釣銭取扱部16の募金取扱部28が、「募金」レコードの返却金額分の募金寄付処理を行う。すなわち、募金取扱部28は、「募金」レコードの返却金額分の現金を外部の募金口座に振込む、または、売主が有する募金用蓄積媒体に前記返却金額分のデータを蓄積して後日募金に応じさせる。募金寄付後、ステップA34からステップA35に進んで、図12の処理が終了する。以上のような手順によって、釣銭精算装置11における釣銭精算処理が行われる。
【0195】
図13は、図12の釣銭精算処理内において、ステップA07の釣銭金額の分離処理を詳細に説明するためのフローチャートである。図13の例において、「X」は現在の釣銭残高の変数であり、「Y」は演算用の仮変数であり、「Y1」は上位金額であり、「Y2」は下位金額である。また図13の例では、基準金額が紙幣の最低金額である「1000円」に設定されている。すなわち、図13においては、釣銭金額のうちの上位金額Y1が紙幣で返却可能な部分であり、下位金額Y2が硬貨での返却が必須の部分である。
【0196】
図13の処理開始後、ステップAC0からステップC1に進む。ステップC1において、釣銭残高Xの最初の値として、現在取得している釣銭金額が釣銭残高Xに代入される。次いで、ステップC2において、上位金額Y1および下位金額Y2の初期化のために、上位金額Y1および下位金額Y2にそれぞれ「0」が代入される。
【0197】
次いでステップC3において、現時点の釣銭残高Xが基準金額以上か否かが判断される。現時点の釣銭残高Xが基準金額未満である場合、該基準金額を用いて釣銭残高を分離することはできないので、ステップC3からステップC7に進む。すなわち、紙幣最低金額を基準金額とする図13の例では、現時点の釣銭残高Xが基準金額未満である場合、釣銭は全額硬貨での返却が必須であると判断される。この場合、現時点の釣銭残高Xがそのまま下位金額Y2に設定され、上位金額Y1が「0」に設定される。ステップC3において現時点の釣銭残高Xが基準金額以上である場合、上位金額Y1と下位金額Y2との分離が可能なので、ステップC3からステップC4に進む。
【0198】
ステップC4において、現時点の釣銭残高Xを基準金額で除算した商が求められ、該商が仮変数Yに代入される。ステップC5において、基準金額と前述の商が代入された仮変数Yとの積が求められ、該積が上位金額Y1に代入される。これによって、上位金額Y1は、基準金額以上の値に設定される。
【0199】
次いで、ステップC6において、現時点の釣銭残高XからステップC5の上位金額Y1を減算した差が求められ、該差を釣銭残高Xに代入することによって、釣銭残高Xが更新される。すなわち、現時点の釣銭残高Xを基準金額で除算した剰余で釣銭残高Xが更新される。続いて、ステップC7において、更新後の釣銭残高Xの値が、下位金額Y2に代入される。最後にステップC8において、更新後の釣銭残高Xが「0」を代入することによって初期化される。釣銭残高の初期化後、ステップC9において、図13の処理が終了する。以上の処理によって、基準金額に基づいて釣銭金額を上位金額および下位金額に分離することが簡単にできる。
【0200】
図14A、図14Bおよび図14Cは、図12の釣銭精算処理のステップA23のフリー入力処理を詳細に説明するためのフローチャートである。すなわち、図14A、図14Bおよび図14Cの処理は、図10(B)のフリー入力専用画面が顧客に提示されている状態で行われる。以下、図14A、図14Bおよび図14Cを総称して図14という。
【0201】
図14の処理開始後、釣銭精算装置11の子機提示部45を用いてフリー入力専用画面が表示され、ステップB00からステップB01に進む。ステップB01〜ステップB09およびステップB13〜ステップB14は、釣銭残高の分離処理であって、かつ返却手法選択後に基準金額を入力する場合の処理である。ステップB01〜ステップB09は、返却手法の選択ステップであり、顧客の入力指示に応答して開始される。
【0202】
ステップB01において、全返却手法のうちから現金決済が選択されたか否かが判別される。現金決済が選択された場合、ステップB02に進み、現金決済以外の他の選択肢が選択された場合、ステップB03に進む。ステップB02において、予め用意されている内部フラグFLAGの値が、現金決済を示す「1」にセットされる。フラグセット後、ステップB02からステップB10に進む。なお、内部フラグは、図14の処理において全返却手法のうちのどの手法が選択されたかを判別するために用いられる。勿論、返却手法の選択判別にフラグ以外の手法が用いられてもかまわない。
【0203】
ステップB03において、全返却手法のうちから電子決済が選択されたか否かが判別される。電子決済が選択された場合、ステップB04に進み、現金決済および電子決済以外の他の選択肢が選択された場合は、ステップB05に進む。ステップB04において、内部フラグFLAGの値が、電子決済を示す「2」にセットされる。フラグセット後、ステップB04からステップB10に進む。
【0204】
ステップB05において、全返却手法のうちからポイント変換が選択されたか否かが判別される。ポイント変換が選択された場合、ステップB06に進み、現金決済、電子決済、およびポイント変換以外の他の選択肢が選択された場合は、ステップB07に進む。ステップB06において、内部フラグFLAGの値が、ポイント変換を示す「3」にセットされる。フラグセット後、ステップB06からステップB10に進む。
【0205】
ステップB07において、全返却手法のうちから募金寄付が選択されたか否かが判別される。募金寄付が選択された場合、ステップB08に進み、返却手法以外の他の選択肢が選択された場合は、ステップB09に進む。ステップB08において、内部フラグFLAGの値が、募金寄付を示す「4」にセットされる。フラグセット後、ステップB08からステップB10に進む。
【0206】
ステップB09において、顧客から「中止」が指示されたか否かが判別される。「中止」が選択されていれば、ステップB09からステップB33に進み、図14の処理が終了する。すなわち、フリー入力処理が中止されたことになる。「中止」選択肢が選択されていなければ、ステップB09からステップB15に進む。この場合、返却手法選択よりも金額入力が先立つ場合の処理に移行する。
【0207】
ステップB10〜ステップB12は、返却手法選択後の処理待ちステップであり、顧客の入力指示に応答して開始される。内部フラグFLAGのセット後、ステップB10において、顧客によって「取消」が指示されたか否かが判断される。「取消」が選択されていれば、ステップB10からステップB11に進む。「取消」が選択されていなければ、ステップB10からステップB12に進む。
【0208】
ステップB11において、釣銭金額テーブル53に対する取消処理が行われる。すなわち、現時点で選択される返却手法の返却金額への入力が取消される。具体的には、まず、現時点の内部フラグFLAGの値が示す返却手法が、現時点で選択中の返却手法であるとして確認される。次いで、釣銭金額テーブル53において、確認された選択中の返却手法の返却金額が現時点の釣銭残高に加算され、加算結果で釣銭残高が入力更新される。さらに、釣銭金額テーブル53において、確認された選択中の返却手法の返却金額が「0」に初期化される。最後に、内部フラグFLAGの値が「0」にリセットされる。取消処理後、ステップB11からステップB01に戻る。
【0209】
ステップB12において、顧客から「中止」が指示されたか否かが判別される。「中止」が選択されていれば、ステップB12からステップB33に進み、図14の処理が終了する。すなわち、フリー入力処理が中止されたことになる。「中止」選択肢が選択されていなければ、ステップB12からステップB13に進む。
【0210】
顧客からの入力指示が「取消」でも「中止」でもない場合、入力指示は金額の入力だと考えられる。ステップB13において、顧客の入力指示に応答し、入力された金額が仮変数Xに代入される。次いで、ステップB14において、現時点で選択される返却手法の返却金額が設定される。具体的には、まず、現時点の内部フラグFLAGの値が示す返却手法が、現時点で選択中の返却手法であるとして確認される。次いで、釣銭金額テーブル53において、確認された選択中の返却手法の返却金額に、ステップB12で設定される仮変数Xの値が代入される。さらに、釣銭金額テーブル53において、現時点の釣銭残高から仮変数Xの値が減算され、減算結果で釣銭残高が更新される。釣銭金額テーブル53の更新後、ステップB14からステップB21に進む。
【0211】
ステップB01〜ステップB09の返却手法選択ルーチンにおいて、顧客からの入力指示が全返却手法および中止指示のどれでもない場合、入力指示は金額の入力だと考えられる。この場合、ステップB09からステップB15に進む。ステップB15〜ステップB20は、釣銭残高の分離処理であって、かつ返却手法選択前に金額を入力する場合の処理である。
【0212】
まず、ステップB15において、顧客の入力指示に応答し、入力された金額が仮変数Xに代入される。次いで、ステップB16において、顧客の次の入力指示に応答し、全返却手法の中からどの返却手法が選択されたのかが判別される。選択結果に応答し、ステップB17〜ステップB20において、選択結果であるいずれか1つの返却手法の返却金額の入力が行われる。すなわち、釣銭金額テーブル53において、現在選択中の返却手法の返却金額に、ステップB15で設定される仮変数Xの値が代入される。さらに、釣銭金額テーブル53において、現時点の釣銭残高から仮変数Xの値が減算され、減算結果で釣銭残高が更新される。更新後の釣銭金額テーブル53は、顧客に提示される。
【0213】
具体的には、全返却手法のうちから「現金決済」が選択される場合、ステップB16からステップB17に進む。ステップB17において、釣銭金額テーブル53内の釣銭残高が、現時点の釣銭残高から仮変数Xの値を減算した差で更新される。かつ、釣銭金額テーブル53内の「現金」レコードの返却金額に、仮変数Xの値が代入される。釣銭金額テーブル53の更新後、ステップB17からステップB21に進む。
【0214】
また、全返却手法のうちから「電子決済」が選択される場合、ステップB16からステップB18に進む。ステップB18において、釣銭金額テーブル53内の釣銭残高が、現時点の釣銭残高から仮変数Xの値を減算した差で更新される。かつ、釣銭金額テーブル53内の「電子マネー」レコードの返却金額に、仮変数Xの値が代入される。釣銭金額テーブル53の更新後、ステップB18からステップB21に進む。
【0215】
さらにまた、全返却手法のうちから「ポイント変換」が選択される場合、ステップB16からステップB19に進む。ステップB19において、釣銭金額テーブル53内の釣銭残高が、現時点の釣銭残高から仮変数Xの値を減算した差で更新される。かつ、釣銭金額テーブル53内の「ポイント」レコードの返却金額に、仮変数Xの値が代入される。釣銭金額テーブル53の更新後、ステップB19からステップB21に進む。
【0216】
また、全返却手法のうちから「募金寄付」が選択される場合、ステップB16からステップB20に進む。ステップB20において、釣銭金額テーブル53内の釣銭残高が、現時点の釣銭残高から仮変数Xの値を減算した差で更新される。かつ、釣銭金額テーブル53内の「募金」レコードの返却金額に、仮変数Xの値が代入される。釣銭金額テーブル53の更新後、ステップB20からステップB21に進む。
【0217】
ステップB21において、返却手法の定まっていない釣銭の残りがあるか否かが判断される。すなわち、更新後の釣銭金額テーブル53の「現在の釣銭」レコードの値である釣銭残高が「0」であるか否かが判断される。更新後の釣銭残高が「0」を超える場合、全釣銭金額の中の釣銭残高分の返却に用いる返却手法が未だ定まっていないため、ステップB21からステップB01に戻り、ステップB01〜ステップB20の釣銭残高分離処理を繰返す。釣銭残高が「0」である場合、全釣銭金額が1以上の部分に分割され、かつ分割された各部分の返却に用いる返却手法が総て定まっている。ゆえに、ステップB21からステップB22に進む。ステップB22において、顧客に提示中のフリー入力専用画面の「決定」選択肢が「確定」選択肢に変更される。
【0218】
ステップB01〜ステップB22において釣銭金額テーブル53が更新された後、ステップB23に進む。ステップB23は、返却手法選択後の処理待ちステップであり、顧客の入力指示に応答して開始される。ステップB23において、顧客の選択結果が何であるかが判断される。顧客が「中止」選択肢を選択していれば、ステップB23からステップB33に進み、図14の処理が終了する。すなわち、フリー入力処理が中止されたことになる。また、「中止」でも「確定」でもない他の入力指示を顧客が行っていた場合、ステップB23からステップB24に進む。
【0219】
ステップB24において、顧客に提示中のフリー入力専用画面の「確定」選択肢が「決定」選択肢に変更される。変更後、ステップB24からステップB01に戻り、前記他の入力指示に応答して、ステップB01〜ステップB22の処理が繰返される。さらにまた、ステップB23において、「確定」選択肢が選択されていれば、ステップB23からステップB25に進む。「確定」の選択は、すなわち、B23の時点の釣銭金額テーブル53の更新内容が顧客に認められることを示す。
【0220】
ステップB25〜ステップB32は、釣銭精算装置11における実際の釣銭返却処理である。図14のステップB25〜ステップB33の処理は、図12のステップA27〜ステップ34とそれぞれ等しい。図14のステップB25〜ステップB33の釣銭返却処理によって、釣銭金額分の釣銭が1以上の返却手法を用いて顧客に返却される。返却後、ステップB33で図14の処理が終了する。以上の処理によって、図1の釣銭精算装置11は、釣銭精算に際し、返却手法の組合せの選択および釣銭金額の分離を、顧客の指示に応答して行うことができる。
【0221】
上述の実施形態で説明した釣銭精算装置11において、種々の構成要素の詳細は、本発明の構成要素の最良の実施形態の1つである。本発明の構成要素の詳細構成は、上述の作用効果が発揮可能な構成であれば、上述した構成に限らず、他の様々な構成が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0222】
10 販売登録処理システム
11 釣銭精算装置
13 算出部
14 返却手法選択部
15 釣銭金額分離部
16 釣銭取扱部
18 金銭入力部
20 顧客特定部
21 返却手法記憶部
23 顧客提示部
24 顧客入力部
31 POS端末
32 入力端末
47 顧客情報データベース
51 登録釣銭処理一覧
52 実行釣銭処理一覧
53 釣銭金額テーブル
60 電子マネー取扱媒体
61 蓄積媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入金額を超える代金の受領に対し、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された釣銭金額の釣銭を返却する相互に異なる複数の予め定める返却手法の中から少なくとも2つの返却手法を選択する返却手法選択部と、
前記算出部によって算出された釣銭金額を、前記返却手法選択部によって選択された前記少なくとも2つの返却手法毎に返却すべき金額に分離する釣銭金額分離部と、
前記釣銭金額分離部によって分離された金額の釣銭を、前記返却手法選択部によって選択された返却手法によってそれぞれ返却して精算する釣銭返却部とを含むことを特徴とする釣銭精算装置。
【請求項2】
前記返却手法選択部が前記複数の予め定める返却手法の中から2つの返却手法を選択したとき、
前記釣銭金額分離部は、前記算出部によって算出された釣銭金額を、予め設定される基準金額の整数倍の金額からなる上位金額と、それ以外の金額からなる下位金額とに分離し、
前記釣銭返却部は、前記上位金額の釣銭を前記前記返却手法選択部によって選択された一方の返却手法によって返却し、前記下位金額の釣銭を前記前記返却手法選択部によって選択された他方の返却手法によって返却することを特徴とする請求項1記載の釣銭精算装置。
【請求項3】
前記基準金額は、紙幣の最小金額に設定されることを特徴とする請求項2記載の釣銭精算装置。
【請求項4】
金額入力部によって入力された金額を前記基準金額として設定することを特徴とする請求項2記載の釣銭精算装置。
【請求項5】
顧客を特定する顧客特定部と、
前記返却手法選択部によって選択された返却手法の組合せを、前記顧客特定部によって特定された顧客毎に個々に記憶する返却手法記憶部とをさらに含み、
前記釣銭返却部は、前記返却手法記憶部に記憶されている返却手法の組合せのうち、前記顧客特定部によって特定された顧客に対して記憶される組合せの手法によって返却することを特徴とする請求項1記載の釣銭精算装置。
【請求項6】
前記返却手法選択部は、
前記複数の予め定める返却手法を顧客に提示する返却方法提示部と、
顧客からの指示を入力するための顧客入力部とを含み、
前記返却方法提示部に提示される前記複数の予め定める返却手法の中から、前記顧客入力部によって入力指示された返却手法を選択することを特徴とする請求項1記載の釣銭精算装置。
【請求項7】
購入金額を超える代金の受領に対し、受領した代金と購入金額との差額である釣銭金額を算出して、釣銭を返却する釣銭精算装置が釣銭を返却する釣銭精算方法であって、
前記釣銭金額の釣銭を返却する相互に異なる複数の予め定める返却手法の中から少なくとも2つの返却手法を選択する返却手法選択ステップと、
前記釣銭金額を、前記返却手法選択ステップで選択された前記少なくとも2つの返却手法毎に返却する金額に分離する釣銭金額分離ステップと、
前記釣銭金額分離ステップで分離された金額の釣銭を、前記返却手法選択ステップで選択された返却手法によってそれぞれ返却して精算する前記釣銭返却ステップとを含むことを特徴とする釣銭精算方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−165076(P2010−165076A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5221(P2009−5221)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(592032522)シャープシステムプロダクト株式会社 (23)
【Fターム(参考)】