説明

鉄及びゼオライトからなる二官能性系による汚染水の処理方法

高酸化度の金属、脂肪族化合物、芳香族化合物、ハロゲン-芳香族化合物、塩素化アルカン及びアルケン化合物又はそれらの混合物により汚染された水の処理方法であって、連続的に置かれた金属鉄、及びシリカ/アルミナ比が>50のゼオライトを含む反応系を通して汚染水を循環させることを含み、水が通過する第一の要素が鉄である、前記方法を記載している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、鉄及びゼオライトからなる二官能性反応系の使用をベースとした、汚染水の処理方法に関する。
より具体的には、本発明は、高酸化度の金属、ハロゲン化溶媒及び油産業由来の化合物により汚染された水の処理方法であって、連続して位置する金属鉄及びゼオライトからなるニ官能系を通して汚染水を循環することを含むことを特徴とする方法に関する。
【0002】
本発明の方法は、反応物質が本発明の二官能性系からなる、透過性反応バリヤー(PRB)の使用により、汚染地下水の処理に都合よく使用することができる。
地下水流の方向に垂直に置かれ、汚染を除去できる透過性バリヤーの現場(in situ)での使用は、地下水の処理に関する未来技術(emerging technique)からなる。
この技術の最も明らかな利点は、エネルギー及び労働力コストをかなり低減することである。しかし、さらに重要なことは、他の目的に関して、処理の間、表面構造の欠如によりその部分が使用可能なことである。
【0003】
バリヤー機能に基づく様々なメカニズムのうち、最も効果的なものは、化学的又は生物学的アプローチにより分解を促進することができる吸着材料の使用又は系に基づいている。
ハロゲン化溶媒及び/又は高酸化数の金属により汚染された水の汚染除去のための従来の透過性反応バリヤー(PRB)は、金属鉄及び/又は顆粒状活性炭素(GAC)を使用する系に基づいている。
鉄の還元力を活用することによる第一の系は、還元可能な物質、例えば、オルガノ-塩素化生成物又は高酸化数の金属に対して単に活性である(US 5,266,213)、WO 92/19556)。
【0004】
第二は、特定の吸収剤であり、それ自体、水中及び特に地下水に存在する妨害物質に対して低い選択性を有する(イオン、フミン酸等、ウイリアムソン,D. 2000年、Construction of a funnel-and-gate treatment system for pesticide-contaminated groundwater. Chemical Oxidation and reactive barriers. Godage B. et al. Eds In II Intl. Conf. On Remediation of chlorinated and recalcitrant compounds. モンテレー、カリフォルニア州、米国, バッテルプレス、コロンバス(2000年))、257〜264頁。シャート, H. 2000年. Funnel-and gate at a former manufactured gas plant site in Kalsruhe, ドイツ: design and construction. In: Chemical Oxidation and reactive barriers. Godage B. et al. Eds., II Intl. Conf. on Remediation of chlorinated and recalcitrant compounds. モンテレー、カリフォルニア州、米国、Battekke Press、コロンバス(2000年)、215〜322頁。)
【0005】
しかし、これらの系は、工業用地に潜在する汚染含水層に同時発生的に多くの場合存在する、主な汚染物質を全て除去することに有効でないことが証明されており、その汚染物質は、多くの場合、無極性化合物、例えばハロゲン化溶媒及び油産業由来の化合物からなる。
金属鉄単独をベースとしたバリヤーの効力を改善するための努力により、金属鉄が石炭(Dahmke, A., Schafer, D. and R. Kober. 1999. Development of coupled in situ reactors and optimization of the geochemical processes downstream of different in situ reactor system. In SAFIRA. Abstracts of the workshop of November 17-18, 1999 at Bitterfeld/Germany, pages 74-78)及び微生物(Alvarez, P. et al. 1998. WO 98/49106; PCT/US 98/08196)と会合する系の形成が導かれた。
【0006】
しかし、鉄/石炭の会合は、限度が変わらずに二つの系の利点と欠点が相加的に導かれた。
鉄ベースの系に有効な処理は、例えば、この元素が一定の厚さに常に存在することを要求し、一方、石炭は、塩化ビニル、1,2-DCA及びクロロ-芳香族化合物(長い分解時間を要求するもの)のような化合物の除去が可能ではない。
前記の重要な状況を克服するために、特定の物質の吸着剤としての無極性ゼオライトの使用を実質的にベースとした、透過性バリヤーが当技術分野に提案されている。
ゼオライトは、透過性反応バリヤー、例えば活性炭素に現在使用されている物質に関して、高い吸収力及び作用期間を有する。
【0007】
特許出願WO 03/0022461には、工業用地近くの汚染含水層に通常存在する汚染物質であって、除去が困難なものを効率的かつ選択的に除去可能にする無極性ゼオライトの使用をベースとした透過性バリヤーが記載されている。
イタリア特許出願MI03A002549には、連続的に置かれた少なくとも二つのタイプの無極性ゼオライトの使用をベースとした透過性バリヤーによる汚染水の処理方法と、これらが低及び高濃度で存在するときに水から有機汚染物の有効な除去を可能にすることが記載されている。
【0008】
公知技術の方法は、幾つかの種類の汚染物質の有効かつ選択的な除去を可能にするが、高酸化度の金属、ハロゲン化溶媒及び油産業由来の化合物が同時発生的に存在する水を効率的に処理する可能性については言及していない。
前記化合物に汚染された水を処理するために、金属鉄及びゼオライトからなる反応系の使用をベースとした改良法が見出された。
【0009】
従って、本発明の目的は、高酸化度の金属、脂肪族化合物、芳香族化合物、ハロゲン-芳香族化合物、塩素化アルカン及びアルケン化合物又はそれらの混合物により汚染された水の処理方法であって、連続的に置かれた金属鉄、及びシリカ/アルミナ比が>50のゼオライトからなる反応系を通して汚染水を循環させることを含み、水が通過する第一の要素は鉄であることを特徴とする方法に関する。
【0010】
本発明の系は、ゼオライト単独又は鉄単独からなる系に関して改善された有効性を有し、低濃度の非還元性化合物、例えば脂肪族化合物、芳香族化合物及び還元が困難な汚染物質、例えばハロゲン-芳香族化合物、1,2-ジクロロ-エタン(1,2 DCA)、ジクロロ-エチレン(DCE)、塩化ビニル(VC)の存在下において、高濃度の鉄により還元可能な化合物、例えば塩素化アルカン及びアルケンにより汚染された水の経済的な処理を提供する。
このことは、鉄とゼオライトが二つの異なるメカニズムにより作用するという事実による:処理の第一の要素は、還元性汚染物質を減少すること、一方、第一のものに連続的に置かれた第二のものは、非還元性汚染物質を除去する。
【0011】
従って、鉄での処理は、高濃度で存在する還元性化合物を除去可能にし、またゼオライトベースの吸着剤を素早く飽和し、一方、ゼオライトは、化学的還元を、最も素早く還元可能な汚染物質にのみ制限し、還元がより難しいもののゼオライト上でのその後の吸着を可能にすることにより、鉄ベースの処理系の厚さの低減を可能にする。金属鉄単独をベースとするバリヤーで操作する場合、還元性化合物、例えばアルケン-塩素化生成物(最も一般的な汚染物質)の化学的還元反応は、素早く還元可能な中間体、例えばテトラクロロ-エチレン及びトリクロロ-エチレン(数時間で分解される)だけでなく、ゆっくり還元可能な化合物、例えばジクロロ-エチレン及び塩化ビニル(分解に1〜2日要求する)も通過する。
【0012】
この場合、単に、反応を完了するのに必要な時間を確実にし、地下水の完全な脱汚染を保証するために多量に存在しなければならない鉄の厚さである。
一方、鉄-ゼオライト混合系で操作する時、よりゆっくりと還元可能な中間体化合物は、ゼオライトにより容易に吸着され、その鉄の厚さにおいてかなりの低減が可能となる。
【0013】
用語ゼオライトは、本明細書中ではその一般的な使用の最も広い範囲とみなされ、より具体的に以下に示すように、例えば、金属シリケート及び純粋なシリカ型をベースとした両方の分子篩を含む。
反応系は、高酸化度の金属、脂肪族化合物、芳香族化合物、ハロゲン芳香族化合物、塩化アルカン及びアルケン化合物又はそれらの混合物により汚染された水の処理のために、透過性反応バリヤーの産生のために有効に使用可能である。
【0014】
特に、本発明の方法は、金属鉄で処理可能な還元性汚染物質の濃度が極めて高い場合、経済的に好都合である。この場合、分解性汚染物質の濃度は、鉄の作用により明らかに低減され、従って、一つの再生と他の再生との間のゼオライトが長期間保証される。
鉄は、水が通過する反応系の第一の要素であり、これが還元性汚染物質に関して低減作用を有するものであることを、本発明の方法は構想している。
一方、鉄と連続的に置かれるゼオライトは、非還元性又はゆっくりと還元可能な汚染物質、例えばジクロロ-エチレン及び塩化ビニルを吸着することにより、除去という課題を担う。このように、還元分解反応は、素早い還元性汚染物質に単に制限され、また、これは鉄単独をベースとした系に要求されるものに対してより少量の鉄の使用を可能にする。
【0015】
この系において、実際、脂肪族塩素化汚染物質テトラクロロエチレン(PCE)及びトリクロロエチレン(TCE)の分解プロセスは、ジクロロエチレン(DCE)、塩化ビニル(VC)及び従ってエチレンを通過する。
DCE及びVCの分解が非常にゆっくりの場合、それは、処理系の金属量は一定に決定される(アーノルド, W.A.及びロバーツ A.L. 2000年。Environ Sci. Technol. 34, 1794〜1805頁)。
【0016】
本発明の場合、考えられる副生成物が許可限度(VCに関して0.5ppb)の1000〜2000倍より高い濃度であっても同様にすべて除去されるように、ゼオライトの次の層の存在により、この比率が低減される。
さらに、ゼオライトが、初期の高濃度の汚染物質(>50ppm)を吸着しなくてもよい場合、作業時間は延長可能である。
実際、単一のゼオライトベース系が、考えられる全ての汚染物質を技術的に処理できたとしても、処理の経済状況は、本発明のニ官能性鉄-ゼオライト系によりかなり向上される。
【0017】
これは、Fe0での分解において、初期部分における第一の反応中間体(例えば、PCEからTCEへの通過)の作成(creation)後、その後の中間体(PCEと同じ分解反応においてDCEからVC及びエチレンへの通過)の濃度の指数関数的減少があるという事実による。
100ppmから50ppmに濃度を低減するために、実際、2ppmから1ppmにそれを低減するのと同じ時間が要求される。従って、望ましい濃度を達成するのに必要な鉄の量は、初期濃度に対数的に単に増加する。これは、金属鉄をベースとした分解系を、吸着系に関して高濃度でより好都合にする。
【0018】
表示的に、Fe0がゼオライトに対して好都合になる濃度(おそらくポンプ及び処理に関しても)は、ppmのテンス(tens)のオーダーにおいて、処理可能な汚染物質約50ppmである。
グラフは、金属鉄系及びゼオライト系に要求される物質のどのような量が、処理されるべき汚染物質の濃度の変動で変わり得るかを一般的な傾向で示している。
【0019】
【表1】

【0020】
当技術分野によく観察されるように、本発明において、用語ゼオライトは、便宜上、一定のIZAコード(例えば、MFI、MOR、FAU、BEA等)を有するゼオライト格子により特徴付けられるが、より好適には微細孔無機分子篩又は微細孔ゼオライト型物質と呼ばれると考えられるべき物質をまた含む。これらの物質は、例えば構造中にAlイオンを含まないか、又は定義に含まれないヘテロ元素(例えば、B、Ga、Fe、Ti、V、P等)を含むため、実際、正式にはゼオライトグループに属すべきではない。
【0021】
従って、本発明に使用する場合、用語ゼオライトは、単語の最も広い意味とみなされるべきである。従って、例えば、純粋なシリカ型(例えばS-1)及びメタロシリケート(例えばTS-1)は、定義に含まれる。
前記コンセプトは当技術分野によく知られている(Molecular Sieves、Science and Technology、H.G.Karge-J.Weitkamp Editors、第1巻、1998年、Springer; Ch. Baerlocher、W.M.Meier及びD.H. Olson、“Atlas of Zeolite Framework Types”、第5版、Elsevier:アムステルダム、2001年。(http://zeolites.ethz.ch/IZA-SC/Atlas pdf/Complete Atlas Ed 5.pdf))。
【0022】
本発明の方法に使用されるゼオライトは、寸法2.6〜7.4のチャンネル及びSi/Al比>200により特徴付けられるゼオライトである。
ZSM-5、モルデン沸石、Yゼオライト及びβゼオライトのゼオライトは、好ましく使用される。
ゼオライトは、除去されるべき汚染物質の濃度により決定され、それらの吸着力、存在する汚染物質の特性及び使用されるゼオライトのタイプにより定量化される量において、反応系に存在する。
本発明の方法に都合よく使用され得るゼオライトは、配合プロセスにかけられたものである。
【0023】
寸法1〜10ミクロンのゼオライトの微結晶は、結合剤、例えばアルミナ(Al2O3)、シリカ及びクレーとの配合物において凝集し、PRBの機能に必要な高い浸透度を確実にできる粒度(0.2〜4mm)が得られることが、このプロセスにより認識される。
結合剤は、通常、使用されるゼオライトの20〜60質量%を示す。
鉄-ゼオライト系は、高酸化度の金属、ハロゲン化溶媒、芳香族炭化水素、芳香族クロロ誘導体で汚染された水の脱汚染に特に好適であることが証明された。
【0024】
本発明による方法は、1,2-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、塩化ビニル、ベンゼン、トルエン、エチル-ベンゼン、o,m,p-キシレン、ナフタレン又はそれらの混合物からなる汚染物質を除去するのに特に有効である。
【0025】
本発明による方法は、重金属イオン、例えばヒ素、クロムを水から効果的に除去することを可能にする。
鉄及びZSM-5ゼオライトからなる系は、有機汚染物質の除去に特に有効であることが証明された。
予期せぬ相乗効果のため、本発明の系は、系のニ官能性及び官能性相乗作用をベースとして、高い全処理力をもって、20ppb〜500ppmの範囲濃度の、法の制限に汚染物質を処理可能である。
【0026】
本発明のプロセスは、透過性反応バリヤー(PRB)の使用により、地下水の脱汚染用に都合よく使用可能である。この場合、連続的に置かれたイオン-ゼオライト系は、地下水の流れに垂直にその場に置かれたバリヤーの活性媒体を形成し、汚染ストリームの部分へのそれらの交差は、汚染種の還元及び固定化により脱汚染を可能にする。
【実施例】
【0027】
例の第一の部分は、金属鉄で還元可能でない、従って、金属鉄バリヤーでの脱汚染プロセスにおいて処理され得ない化合物を、好適なゼオライトで処理可能なことを示している。
鉄バリヤーにおいて最も重要な非処理可能生成物である、1,2Dca、モノクロロベンゼン、1,2,3-クロロベンゼン、1,2,4-クロロベンゼン及びヘキサクロロベンゼンで得られた結果を順に示した。
等温線をバッチ試験で測定した。
【0028】
好適な濃度の汚染物質水溶液20mlを含むテフロン(登録商標)ストッパーを備えた試験管を、試験のために使用した。5〜10mg量のゼオライトを、様々な試験において溶液に加えた。混合物を、約30rpmで1時間、回転運動している装置において攪拌し、その後、その溶液中の汚染物質含量を測定し、その吸着を評価した。
【0029】
材料及び方法
活性物質の特性を測定するために使用した方法の記載
一般方法
特に規定しない限り、10mg量の材料を、攪拌を可能にする最少ヘッドスペースを有する金属環で閉じたテフロン(登録商標)ストッパーを有する管中、水20mlにおいてインキュベートし;汚染化合物(好適な濃度で水溶液100μlまで)を100μlシリンジで加え;攪拌を完全な回転系(粉末混合用の攪拌器)において行った。24時間後の反応の終了時、従って、各吸着用に測定した同等の時間よりも長い期間、混合物を700rpmで15分(')遠心分離し、吸着物質を分離し、非吸着汚染物質を、溶液中のその残渣濃縮物から測定した。各測定は、少なくとも3回行った。各測定に関して、サンプル及び、吸着剤を含まず液体及び汚染物質からなるコントロールを、同じ条件下で調製した。この方法は、全ての試験汚染物質について行った。
【0030】
平衡時間(equilibrium time)の測定
吸着物質10mg〜1gを、室温で、15分〜48時間で時間を変化させ、攪拌しながら、汚染物質100ppb〜5ppmを含む水20mlとインキュベートした。平衡時間は、吸着がそれより増加しないものと考えられる。吸着条件の影響の研究において、接触している少なくとも半分の汚染物質を吸着する吸着量を使用した。
【0031】
カラム試験
汚染物質の混合物を含む合成水又は本物の地下水での吸着試験を、カラムにおいて行った。
カラム直径/吸着粒子直径>50のカラムを製造した(その値は、処理の間に優先的な水路(channels)又はウォール効果がないことを保証するのに必要である)。(粒子の直径により寸法2.5×20cm又は7.5×40cmを有する)カラムは、カラムに沿って飽和をさせるためのサンプリングポイント(ミニナート)を備えていた。カラムの充填は、好適な量のゼオライトで行った。
【0032】
経時的に溶液の均一性を確実にするための、変形テドラーバッグに挿入した汚染物質含有水を、好適な流速で、蠕動ポンプで、逆流してカラムに汲み上げた。溶出液は、即時型ガスクロマトグラフィー分析用テフロン(登録商標)ストッパーを備えたチューブにおいてフラクションコレクターに回収した。その性能は、横軸に溶出量又は時間を示し、縦軸に相対濃度(溶出濃度/初期濃度:C/C0)を示す破過曲線により測定した。
【0033】
TCE、DCA、DCE、VC、トルエン(溶液)の分析
水溶液を、5.666/1(H2O/ヘキサン)の比率において、ヘキサンで、反応チューブと同様のチューブにおいて抽出した;ヘキサン1ミリリットルをGC-ECD又はGC-FID分析用に取り出した。コントロールは、吸着剤なしで、同じ処理を行ったサンプルからなっていた。
【0034】
混合物中のトルエン/TCE、DCE、DCA、VCのGC/MS分析
分析は、ヘッドスペースにおける汚染物質を測定することにより好適な水溶液から行った。使用する系は、フェニガンのGC/MS/DS Mod.MAT/90であった;使用したガスクロマトグラフィーカラムは、ヒューレットパッカードのPONA(長さ50m×0.21mm I.D.及びフィルム0.5μm)であった。35℃で測定したキャリヤーの流速は0.6ml/分(ヘリウム)と判明した。取り出し用ヘッドスペースの各サンプル500μlを、(加熱した)ガスシリンジで、2h、70℃の平衡に維持した薬ビンから、注入した。質量スペクトロメーターは、E.I.(エレクトロニックインパクト)において70eVで、30〜120a.m.uの質量範囲において分解能1500で、スペクトラム各0.8sを獲得するようなスキャニング速度で操作した。
【0035】
実施例1
ZSM-5における1,2-ジクロロエタンの吸着等温線は、50ppb〜200ppmの範囲内の初期濃度の吸着実験で得た。
得られた結果を図1に示した。
【0036】
実施例2
Yゼオライトでのモノクロロベンゼンの吸着等温線は、1000ppb〜20000ppbの範囲内の初期濃度の吸着実験で得た。
得られた結果を図2に示した。
【0037】
実施例3
Yゼオライトでの1,2,3-クロロベンゼンの吸着等温線は、500ppb〜10000ppbの範囲内の初期濃度の吸着実験で得た。
得られた結果を図3に示した。
【0038】
実施例4
Yゼオライトでの1,2,4-クロロベンゼンの吸着等温線は、100ppb〜1000ppbの範囲内の初期濃度の吸着実験で得た。
得られた結果を図4に示した。
【0039】
実施例5
Yゼオライトでのヘキサクロロベンゼンの吸着等温線は、100ppb〜1000ppbの範囲内の初期濃度の吸着実験で得た。
得られた結果を図5に示した。
【0040】
実施例6
シミュレーション装置における使用(図6)
連続的な二つのゼオライトの系:高濃度トルエン用のYゼオライトのカラム、その後、1,2-DCAに特異的でありTCEを除去可能なZSM-5カラム。Fe/ゼオライト系:金属鉄カラム、その後のZSM-5カラム。
【0041】
以下のものからなる汚染物質混合物:
芳香族化合物:トルエン40ppm
鉄で非還元性の化合物:1,2DCA 35ppm
高濃度のアルケン-塩素化化合物, TCE:TCE 367ppm
【0042】
実験条件:
汚染物質:TCE 367ppm;DCA 35ppm;トルエン40ppm。
連続的な二つのゼオライト系:
ゼオライトYカラム:25×100mm(ゼオライト 21g);
ZSM-5カラム:75×400mm(ゼオライト 250g)
【0043】
連続的な鉄-ゼオライト系
Fe0カラム:125×800mm(Fe0 40kg)(T接触1ヶ月)
ZSM-5カラム:25×200mm(ゼオライト 37g)
【0044】
結果を表1に示し、それは鉄がTCEの分解に成功するが、DCA及びトルエン(ZSM-5で効果的に除去された)には不成功であることを示した。
また、そのデータは、もし単にゼオライト(ゼオライトY及びその後ZSM-5)が使用されるならば、飽和は、汚染物質25 lで;金属鉄、その後の25リットル後のZSM-5で達成され、その系は、依然として有効であることを示した。ゼオライトY及びZSM-5の場合、ゼオライト271gを使用し、鉄/ZSM-5の場合、ゼオライト37gを使用した。
【0045】
【表2】

【0046】
実施例7
半分量の鉄での実施例6の系。
Fe0カラム:125×400mm(Fe0 20kg)(T接触 0.5ヶ月)
ZSM-5カラム:25×200mm(ゼオライト 37g)
結果を表2に示した。
【0047】
【表3】

【0048】
実施例6に対して半分の寸法の金属鉄系、その後のZSM-5により、25リットルの後、その系は依然として有効であった。鉄/ZSM-5の場合、使用したゼオライトは37gであり、使用した鉄は20Kgであった。中間生成物のゼオライトの効果は、半分量の鉄及び従って半分の接触時間のために金属鉄での還元反応において生じ、ゼオライトの飽和度はほんの僅か増加した。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ZSM-5における1,2-ジクロロエタンの吸着等温線
【図2】Yゼオライトでのモノクロロベンゼンの吸着等温線
【図3】Yゼオライトでの1,2,3-クロロベンゼンの吸着等温線
【図4】Yゼオライトでの1,2,4-クロロベンゼンの吸着等温線
【図5】Yゼオライトでのヘキサクロロベンゼンの吸着等温線
【図6】シミュレーション装置における使用

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高酸化度の金属、脂肪族化合物、芳香族化合物、ハロゲン-芳香族化合物、塩素化アルカン及びアルケン化合物又はそれらの混合物により汚染された水の処理方法であって、連続的に置かれた金属鉄、及びシリカ/アルミナ比が>50のゼオライトを含む反応系を通して汚染水を循環させることを含み、前記水が通過する第一の要素が鉄であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記処理を、汚染地下水で、地下水の流れに垂直に現場に置かれた透過性反応バリヤー(PRB)に水を通過させることで行い、その反応媒体は、金属鉄及びゼオライトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゼオライトが、寸法2.6〜7.4Åのチャンネル及びSi/Al比が>200である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゼオライトが、ZSM-5ゼオライト、モルデナイト、ゼオライトY及びゼオライトβからなる群より選ばれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼオライトが、アルミナ、シリカ、クレーから選ばれる結合剤との配合物の形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記配合物が、結合剤40〜60質量%を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記水が、1,2-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、塩化ビニル、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o,m,p-キシレン、ナフタレン又はそれらの混合物からなる群より選ばれる化合物により汚染されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記水が、ヒ素、クロムイオンにより汚染されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反応系が、金属鉄及びZSM-5ゼオライトを含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−514669(P2009−514669A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539358(P2008−539358)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010880
【国際公開番号】WO2007/054358
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(599068430)エニ、ソシエタ、ペル、アチオニ (16)
【氏名又は名称原語表記】ENI S.P.A.
【Fターム(参考)】