説明

鉄筋コンクリート構造物に使用するためのコンクリート組成物用の防食添加剤

本発明のこれらおよびその他の目的は、二酸アルカリ塩と、消泡剤とを含む防食添加剤によって達成される。前記消泡剤は、ポリエーテル変性ポリシリコーン類(polysilicones)、リン酸トリアルキル/アルケニル類(trialkane/alkene phosphates)、およびそれらの混合物から成る群より選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート組成物用防食添加剤、より詳細には、鉄筋コンクリート構造物に用いられるコンクリート組成物用の防食添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、本願に引用して援用する、2003年5月29日出願(filed)の米国特許出願第10/447,975号の一部継続出願である。
【0003】
鉄筋コンクリート製の構造物において、コンクリートは少なくとも2つの機能、すなわち圧縮歪の吸収と、補強用棒鋼または鉄筋を腐食から守る機能を持つ。鉄筋は剪断力と引張応力とを吸収する働きをする。
【0004】
構造物の大規模な崩壊や人命の損失など、腐食による損害は毎年数百万ドルに相当すると推定される。硬化したコンクリートの鉄筋に対する保護作用は、特に、セメントの量、コンクリート骨材の粒、水/セメント比、およびコンクリート圧縮(concrete compression)の関数としての、気候および環境条件によって変わる。
【0005】
ジャクリン(Jaklin)による米国特許第4,869,752号では、スチール製構造物またはスチール製鉄筋を腐食から守るため、コンクリート添加剤として変性無機ケイ酸塩類、すなわち、変性アルカリケイ酸塩類を使用することが述べられている。
【0006】
カトート(Katoot)による米国特許第6,277,450号では、金属表面を被覆して、様々な厚さの完全に架橋したポリマーが付着し易いよう金属水酸化物の活性部分に改変する、被覆処理の使用が述べられている。
【0007】
同時係属中の米国特許出願第10/447,975号では、建築および建設業で用いられるような高コストの金属表面のプレコーティングを省いて、長期に亘りより効果的に腐食を防止する、二酸アルカリ塩溶液を単独で、またはコンクリート組成物用防食添加剤の他の組成物と混合して含む、防食添加剤を開示している。
【0008】
しかし、ある組成物を防食添加剤に加えてコンクリートミックスの調製の際の過剰な気泡連行(air entrainment)や泡立ちを抑え、硬化したコンクリートの空気含量を調整する必要がある。凍結/融解性を向上させるには、硬化したコンクリート中に、600〜1,100平方インチ/立方インチ(約236〜約433cm2/cm3)の比表面積を持つ気泡を0.004〜0.008インチ(約0.10〜約0.20mm)の間隔で一様に分散させ、空気連行を約5〜8%に調節するのが最も効果的である。
【0009】
本発明の目的は、コンクリートミックス調製時の空気連行を減らすための、より効果的な試剤を含む改良された防食添加剤の提示である。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、注入前のコンクリートに混合する、水浸透性を低下させ、それに伴って強化用鋼材の腐食の少ない、改良された防食添加剤の提示である。
【0011】
更に本発明の目的は、硬化したコンクリートの空気含量を調整するための、コンクリート生地(substrates)用の改良された防食添加剤の提示である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のこれらおよびその他の目的は、二酸アルカリ塩と消泡剤とを含む防食添加剤によって達成される。消泡剤は、ポリエーテル変性ポリシリコーン類、リン酸トリアルキル/アルケニル類、およびそれらの混合物から成る群より選ばれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の防食添加剤は、二酸アルカリ塩と消泡剤とを含み、消泡剤は、ポリエーテル変性ポリシリコーン類、リン酸トリアルキル/アルケニル類、およびそれらの混合物から成る群より選ばれる。
【0014】
二酸アルカリ塩は次の式で示される。
【化1】

式中、M+はNa+およびK+から成る群より選ばれ、R1は、C1〜C24分枝または直鎖脂肪族炭化水素であり、R2は、C0〜C10分枝または直鎖脂肪族炭化水素である。
【0015】
消泡剤は、ポリエーテル変性ポリシリコーン類(polysilicanes)、リン酸トリアルキル/アルケニル類、およびそれらの混合物から成る群より選ばれる。ポリエーテル変性ポリシリコーン類(silicanes)は、ビックケミー(BYK Chemie)(ドイツ国)より、BYK025およびBYK094の商標で販売されている。
【0016】
リン酸トリアルキル/アルケニル類は次の式で示される。
【化2】

式中、R1、R2、およびR3は、C1〜C8アルカンまたはアルケン炭化水素である。(C49)3PO4の式を持つようなリン酸トリアルキルは、アクゾノーベル(Akzo Nobel)(ドイツ国)より、Phosflex4の商品名で入手可能である。
【0017】
ポリエーテル変性ポリシリコーン類(polysilicanes)は、二酸アルカリ塩の0.1〜2.0重量%、望ましくは約1重量%の量を混合する。リン酸トリアルキル/アルケニル類は、二酸アルカリ塩の1.0〜8.0重量%、望ましくは5.0重量%の量を混合する。
【0018】
二酸アルカリ塩の調製法は、前述の同時係属中の特許出願に開示されている。
【0019】
本発明の防食添加剤は、コンクリート1立方ヤード(約0.765m3)当たり2〜約5ポンド(約0.908〜約2.27kg)の量をコンクリート組成物に混合する。また、安息香酸、マレイン酸などの安定化剤を本発明の防食添加剤に更に加えても良い。
【0020】
以下の実施例は本発明を例証するものである。
【実施例】
【0021】
<実施例1>
次の成分を含むコンクリート混合物(A)
粗骨材 1750
細骨材 1285
ポルトランドセメント 611
減水剤 1.125
を、272ポンド(約123.5kg)の水と混合する。生成する硬化コンクリートの空気含量は約2%である。このようなコンクリート混合物に、様々な量(単位:ポンド)の消泡剤と共に、または消泡剤を加えずに、5.2ポンド(約2.36kg)のアルケニルコハク酸金属塩類(ASA)を混合した結果を次の表1に示す。
【表1】

【0022】
<実施例2>
次の成分を含むコンクリート混合物(B)
粗骨材 1825
細骨材 1284
ポルトランドセメント 436
スラグセメント 197
シリカフューム 25
減水剤 1.125
高域(High Range)減水剤 3.375
を、175ポンド(約79.5kg)の水と混合する。生成する硬化コンクリートの空気含量は約2.3%である。このようなコンクリート混合物に、様々な量の消泡剤と共に3.2ポンド(約1.45kg)のASAを混合した結果を次の表2に示す。
【表2】

【0023】
前記の例は、本発明の防食添加剤が、消泡剤の含有量が前述の場合に空気連行を約2〜8%に調整する効果を示している。
【0024】
本発明を、その例示的な実施の形態に関して述べてきたが、当業者ならば、本発明の意図および範囲から外れることなく、多くの変形または変更を行うことが可能であることは理解されよう。ゆえに、本発明は請求項の範囲およびそれと同等なものによってのみ制限されることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート組成物と混合するための防食添加剤であって、
前記防食添加剤は、
二酸アルカリ塩(alkali-based salt of dioic acid)と、
消泡剤と、
を含み、
前記二酸アルカリ塩は次の式で示され、
【化1】

式中、
+は、Na+およびK+から成る群より選ばれ、
1は、C1〜C24分枝または直鎖脂肪族化合物であり、
2は、C0〜C10分枝または直鎖脂肪族化合物であり、
前記消泡剤は、ポリエーテル変性ポリシリコーン類(polysilicanes)、リン酸トリアルキル/アルケニル類(tri-alkane/alkene phosphates)、およびそれらの混合物から成る群より選ばれる、
ことを特徴とする防食添加剤。
【請求項2】
請求項1に記載の防食添加剤であって、前記コンクリート建築用組成物は、鉄筋コンクリート建造物において鉄筋と共に使用するためのコンクリートであることを特徴とする防食添加剤。
【請求項3】
請求項2に記載の防食添加剤であって、前記防食添加剤の含有量は、コンクリート1立方ヤード(約0.765m3)当たり約3〜約5ポンド(約1.36〜約2.27kg)であることを特徴とする防食添加剤。
【請求項4】
請求項3に記載の防食添加剤であって、前記二酸アルカリ塩はドデセニルブタン二酸ジナトリウム塩(butane dioic acid dodecenyl disodium salt)であることを特徴とする防食添加剤。
【請求項5】
請求項2に記載の防食添加剤であって、前記消泡剤は、前記二酸アルカリ塩の0.1〜2.0重量%の含有量の前記ポリエーテル変性ポリシリコーン(polysilicane)であることを特徴とする防食添加剤。
【請求項6】
請求項5に記載の防食添加剤であって、前記ポリエーテル変性ポリシリコーン(polysilicane)の望ましい含有量は、前記二酸アルカリ塩の約0.1重量%であることを特徴とする防食添加剤。
【請求項7】
請求項2に記載の防食添加剤であって、前記消泡剤は、前記二酸アルカリ塩の1.0〜2.0重量%の含有量の前記リン酸トリアルキル/アルケニルであることを特徴とする防食添加剤。
【請求項8】
請求項7に記載の防食添加剤であって、前記リン酸トリアルキル/アルケニルの望ましい含有量は、前記二酸アルカリ塩の約5.0重量%であることを特徴とする防食添加剤。

【公表番号】特表2007−510614(P2007−510614A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539555(P2006−539555)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/035590
【国際公開番号】WO2005/047203
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506124284)ハイクリエイト テクノロジーズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (3)
【Fターム(参考)】