説明

鉄道ホーム間仮設橋

【課題】仮設、撤去容易で、鉄道施設を損傷することなく重量物を搬送できる鉄道ホーム間仮設橋を提供する。
【解決手段】ホーム端パネルPPを超える長さの2本のガイドレール2の各両端部21、21をホーム上に設置した養生パネル3に載せて支え、ガイドレール2の線路上の部分は、路盤Gから立設した高さ調節支柱4で支え、両ガイドレール2、2間は横桁5で接続する。横桁5上には搬送作業者用の足場板6を敷きつめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータ等の設備の重量部品を一方の鉄道ホームから相対する他方の鉄道ホームに搬送するための鉄道ホーム間仮設橋に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ、エレベータ等の鉄道駅設備や自動販売機等の機器をホームに設置する場合、駅周辺の立地状況によっては、一方のホームへはこれらの重量部品や機器等の重量物を搬入できるが、外部の道路等から設置予定の対向ホームへダイレクトに搬入することができないことがある。
【0003】
一方のホームから設置予定の対向ホームへの重量物の搬送に、ホーム間の既設の階段付き連絡橋や地下道、エレベータを使用することは、かなりの困難を伴うことが多く、不可能な場合もある。
【0004】
相対式ホームでは、線路を挟んで一方のホームから他方のホームを見通せるのであるから、鉄道運行を休止する夜間等に、両ホーム間に仮設橋を架けて、一方のホームから他方のホームへ重量物を搬入するのが搬入労力も少なく、容易である。
【0005】
しかし、限られた時間内に、重量物搬送用の強固な仮設橋を組み付け、搬送し、組み付けた仮設橋を分解して撤去しなければならないのであるから、このような鉄道ホーム間仮設橋は未だ実用化されなかった。
【0006】
河川や谷間を跨ぐ仮設橋は周知である。例えば、特許文献1には、高低差のある両岸の低い方に背の高いプレキャストコンクリート基礎材を、他方の岸に捨てコンクリートを設置して水平を出し、仮設橋を架けることが開示されている。また、特許文献2には、主桁の下面フランジに橋床を敷設して橋床と地面との高低差を小さくする仮設の人道橋が開示されている。
【0007】
これらの仮設橋は、仮設の物であるから、設置や撤去が比較的容易になってはいるが、夜間の短時間に設置と撤去を終わらせることは、想定されていないし、不可能である。また、周囲の既存の岸、路面を掘削したり、損傷したりしないようにする特別の配慮はなされていない。
【0008】
【特許文献1】特開平7−292618号公報
【0009】
【特許文献2】特開平10−72808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、短時間の仮設、撤去が容易で、鉄道施設を損傷することなく重量物を搬送できる鉄道ホーム間仮設橋を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、この発明の鉄道ホーム間仮設橋は、互いに並行に配置され、相対式鉄道ホームの両ホーム端パネルを超える長さを有する重量物搬送用の2本のガイドレールと、上記鉄道ホーム上面に載置され、上記ホーム端パネルを超えた上記ガイドレールの端部を上面で支持する養生パネルと、上記相対式鉄道ホーム間の路盤上に立設され、上記ガイドレールの線路上の部分を支える複数の高さ調節支柱と、上記2本のガイドレールを接続して2本のガイドレールの並行を維持する複数の横桁と、上記複数の横桁上に敷いた足場板とを具備することを特徴とする。
【0012】
上記発明において、上記複数の高さ調節支柱間をつなぐつなぎ材を有するようにすれば、橋の強度が上がり、搬送作業がより安全になる。また、上記ガイドレールの横断面をU字型にすれば、重量物に取り付けキャスタ、あるいは、重量物を載せた台車のキャスタをガイドレールに載せて搬送できるので、脇にずれて線路上に落下するおそれがなくなる。
【発明の効果】
【0013】
この発明においては、重量物搬送用の2本のガイドレールを仮設橋の主桁として、このガイドレールを高さ調節支柱と養生パネルとで支持し、横桁で両ガイドレールをつないで、この横桁上に足場板を敷くようにしたから、ホームとガイドレール、足場板の段差が小さく、重量物搬送作業を容易に行なえるうえ、仮設、撤去が容易で短時間に行なえ、しかも、ホーム面や線路等の鉄道施設を損傷することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、この発明の一実施の形態を示す縦断面図、図2は、図1の実施の形態を示す平面図、図3は、図1の実施の形態を示す横断面図である。
【0016】
図1および図2において、1は鉄道ホーム間仮設橋、2はガイドレール、3は養生パネル、4は高さ調節支柱、5は横桁、6は足場板である。
【0017】
上記ガイドレール2は、相対式鉄道ホームの両ホームP1、P2に架け渡せる長さを有し、2本のガイドレール2、2が互いに並行に配置されている。各ガイドレール2は、図3に示すように、断面が上に凹のU字型の鋼材でできていて、このU字型の溝に、重量物に取り付けキャスタ、あるいは、重量物を載せた台車のキャスタを載せて搬送するようになっている。このガイドレール2は、詳細な図示は省略するが、ガイドレール2自体の搬入が容易なように、複数のレールをつなげてなっている。レールとレールの継ぎ目は、大きな段差やずれがないように接続してある。勿論、設置場所によっては、継ぎ目なしのひとつのレールで長いガイドレール2を構成してもよい。
【0018】
上記養生パネル3は、上記両ホームP1、P2の各々の上面に載置して、ガイドレール2の端部21を上面で支持するもので、合成樹脂板、木製板、厚い合成樹脂シート等、重荷重が加わってもホーム上面を傷つけない材料が選択される。
【0019】
ガイドレール2の断面形は、キャスタの両側を囲うU字型(凹部が上向きのコ型)のほか、キャスタの外側または内側に対向してキャスタをガイドするL型としてもよい。
【0020】
一般に、鉄道ホームにおいては、乗客の乗り降りの際の足元安全確保のために、停車車両の側面に接近させて、線路側にホーム端パネルPPが張り出している。このホーム端パネルPPは張り出し構造であるから、重量物の荷重を支えるには適していない。そこで、養生パネル3は、ホーム端パネルPPを超えた位置でガイドレール2の端部21を支持し、ホーム端パネルPPには搬送される重量物の荷重が加わらないようにしてある。
【0021】
上記高さ調節支柱4は、鉄道ホームP1、P2間の路盤G上に複数本、この実施の形態では、ほぼ等間隔に立設されて、ガイドレール2の線路上の部分を支える。この高さ調節支柱4は、ジャッキのように作業員が高さを自在に調節できるもので、凹凸のある路盤Gに合わせて適宜調節し、ガイドレール2を水平に支持するようにする。
【0022】
上記横桁5は、2本のガイドレール2、2を接続して、2本のガイドレール2、2の並行を維持するためのもので、この実施の形態では、上記高さ調節支柱4の立設位置に1本ずつ配置し、各横桁5の両端に断面コ字型のチャンネル材51を設けて、このチャンネル材51にガイドレール2を収容したうえで、ガイドレール2をチャンネル材51に固定している。横桁5両端のチャンネル材51、51の間隔は等しくして、2本のガイドレール2、2の並行を出してある。
【0023】
高さ調節支柱4の上端部41は、ボルト締め等によりチャンネル材51の底面に固定してある。なお、チャンネル材51を用いずに横桁5を直にガイドレール2にネジ締め等によって固定することもできる。この場合は、高さ調節支柱4の上端部41は、ガイドレール2の底面にボルト締め等により固定する。
【0024】
上記足場板6は、重量物搬送の際の作業員の足場になるものである。足場板6は、複数の横桁5、5上に敷き置かれる。その両端は、養生パネル3上にあることが作業上このましい。足場板6も、ガイドレール2同様、長いものであるから、足場板6自体の搬入の便宜上、適宜複数枚に分割したものを用いてもよい。必要に応じて、その継ぎ目を接続したり、横桁5へ固定したりして、作業の安定化、安全化を図ることが望ましい。
【0025】
ガイドレール2を下から支持する高さ調節支柱4、4は、足場板6上での重量物搬送による横荷重も受ける。そこで、高さ調節支柱4、4を互いにつなぎ材によりつないで構造を強固にしている。この実施の形態では、図1および図3に示した頭つなぎ7、根つなぎ8、斜め材9がつなぎ材である。頭つなぎ7、根つなぎ8は、周知のクランプ(つなぎ金具)71、81により高さ調節支柱4、4と結合され、更に、斜め材9が、クランプ91により頭つなぎ7、根つなぎ8と結合されて、剛性の高い3角構造を形成している。
【0026】
10は、路盤Gからホーム端パネルPPを支持する高さ調節支柱、11は、鉄道レールである。
【0027】
以上のように構成されたこの発明の鉄道ホーム間仮設橋は、ガイドレール2、高さ調節支柱4、横桁5、足場板6等の部品を架橋現場に搬入して短時間で組み付けて強固な仮設橋1を完成させることができる。完成した仮設橋1は、ホームP1、P2と段差が少なく、安定していて、重量物をガイドレール2に沿ってほぼ水平移動のみでホームからホームへ搬送できる。仮設橋1使用後は、速やかに解体、撤去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施の形態を示す縦断面図。
【図2】図1の実施の形態を示す平面図。
【図3】図1の実施の形態を示す横断面図。
【符号の説明】
【0029】
1 鉄道ホーム間仮設橋
2 ガイドレール
21 ガイドレールの端部
3 養生パネル
4 高さ調節支柱
41 高さ調節支柱の上端部
5 横桁
51 チャンネル材
6 足場板
7 頭つなぎ(つなぎ材)
71 クランプ
8 根つなぎ(つなぎ材)
81 クランプ
9 斜め材(つなぎ材)
91 クランプ
G 路盤
PP ホーム端パネル
P1、P2 鉄道ホーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並行に配置され、相対式鉄道ホームの両ホーム端パネルを超える長さを有する重量物搬送用の2本のガイドレールと、
上記鉄道ホーム上面に載置され、上記ホーム端パネルを超えた上記ガイドレールの端部を上面で支持する養生パネルと、
上記相対式鉄道ホーム間の路盤上に立設され、上記ガイドレールの線路上の部分を支える複数の高さ調節支柱と、
上記2本のガイドレールを接続して2本のガイドレールの並行を維持する複数の横桁と、
上記複数の横桁上に敷いた足場板と
を具備することを特徴とする鉄道ホーム間仮設橋。
【請求項2】
上記複数の高さ調節支柱間をつなぐつなぎ材を有する請求項1記載の鉄道ホーム間仮設橋。
【請求項3】
上記ガイドレールの横断面がU字型である請求項1記載の鉄道ホーム間仮設橋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−214930(P2008−214930A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52593(P2007−52593)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【特許番号】特許第3991067号(P3991067)
【特許公報発行日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(507069977)有限会社三橋製作所 (5)
【Fターム(参考)】