説明

銀杏の果肉取り装置

【課題】極めて簡単な構造で小型で安価に製造できると共に、水を使用しなくても効率よく果肉を除去でき、女性でも操作し易く、メンテナンスも容易な銀杏の果肉取り装置を提供するものである。
【解決手段】丸棒10を、銀杏26の種28が通過しない隙間11を設けてコイル状に巻回してコイル状円筒通路1を形成し、このコイル状円筒通路1の一端に銀杏供給部3を設け、他端に種排出口4を形成し、前記コイル状円筒通路1の内側に、モータ17に接続して回転する回転シャフト5を設け、この回転シャフト5に攪拌羽根6をスクリュー状に突設すると共に攪拌棒7を突設して、攪拌羽根6の回転により銀杏26の果肉27を崩しながら、コイル状円筒通路1の隙間11から果肉27だけを外部に排出するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀杏の果肉取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀杏は、その種を食用にするため、種の周りの果肉を取り除く必要がある。この果肉を除去する作業は一般に手作業により行なっているが作業性が悪い問題があった。このため上部に投入口を設けたタンク状のフレームの内側に、正逆回転する複数本のブラシロールを多段に配置し、投入口から投入した銀杏に注水しながら、正逆回転するブラシで果肉を掻き取って種と分離する装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
しかしながら、この装置は、多数のブラシロールを多段に配置して、それぞれに回転力を伝達するため、構造が複雑で装置も高価である。また多量の水をフレーム内に注水しながら、果肉をブラシで掻き取るので種と水を分離しなければならず、しかも廃水に崩された果肉が多量に含まれているので、その廃水処理が面倒であった。
【特許文献1】特開平9−9941
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題を改善し、極めて簡単な構造で装置も小型であり、水を使用しなくても効率よく果肉を除去できる銀杏の果肉取り装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の銀杏の果肉取り装置は、丸棒または丸パイプを、銀杏の種が通過しない隙間を設けてコイル状に巻回してコイル状円筒通路を形成し、このコイル状円筒通路の一端に銀杏供給部を設け、他端に種排出口を形成し、前記コイル状円筒通路の内側に、モータに接続して回転する回転シャフトを設け、このシャフトに攪拌羽根をスクリュー状に突設すると共に攪拌棒を突設して、攪拌羽根の回転により銀杏の果肉を崩しながら、コイル状円筒通路の隙間から果肉だけを外部に排出するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2記載の銀杏の果肉取り装置は、シャフトの外周に扇形状をなす複数枚の攪拌羽根をスクリュー状に突設したことを特徴とするものである。
【0007】
更に本発明の請求項3記載の銀杏の果肉取り装置は、コイル状円筒通路の上部に、その長手方向に沿って散水パイプを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る請求項1記載の銀杏の果肉取り装置によれば、隙間を設けたコイル状円筒通路内を、スクリューコンベアと同様の作用により銀杏を前方に押出していく過程で攪拌棒で果肉を崩し、崩さた果肉は、コイル状円筒通路の隙間から外部に押出されて落下し、更に前進することによりコイル状円筒通路に先端側では種だけが残り、効率よく果肉を除去することができる。また装置の構造が簡略で小型であり、安価に製造できると共に、女性でも操作し易く、メンテナンスも容易である。
【0009】
また請求項2記載の銀杏の果肉取り装置によれば、シャフトの外周に扇形状の複数枚の攪拌羽根をスクリュー状に突設したので、構造が簡単で安価に製造することができる。
【0010】
また請求項3記載の銀杏の果肉取り装置によれば、コイル状円筒通路の上部に、その長手方向に沿って散水パイプを設けて、少量の水を散水しながら果肉を剥離するので、種と果肉の分離が促進され更に効率良く除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の一形態を図1ないし図5を参照して詳細に説明する。図1は銀杏の果肉取り装置を示すもので、コイル状円筒通路1が基台2の上に取付けられ、コイル状円筒通路1の一端側にホッパー状の銀杏供給部3を設け、他端に種排出口4が形成されている。また前記コイル状円筒通路1の内側に図2に示すように、回転シャフト5が回転自在に支持され、この回転シャフト5に複数枚の攪拌羽根6をスクリュー状に突設し、隣接する攪拌羽根6の間の回転シャフト5に攪拌棒7を突設したものである。
【0012】
前記コイル状円筒通路1は、図4に拡大して示すように丸棒10や丸パイプを銀杏の種が通過しない隙間11を設けてコイル状に巻回して、両端に図1に示すように円筒キャップ12、13を取付けたものである。この一方の円筒キャップ12にホッパー状の銀杏供給部3が取付けられ、他方の円筒キャップ13に種排出口4が取付けられている。
【0013】
また前記回転シャフト5には図3および図4に示すように、扇形状に形成された複数枚の攪拌羽根6を間隔をおいてスクリュー状に突設し、隣接する攪拌羽根6の間に攪拌棒7が突設されている。この回転シャフト5の両端は円筒キャップ12、13に取付けた軸受15に回転自在に支持され、ここから突出した一端にはプーリー16Aが取付けられている。また17は基台2の下に設置したモータで、この出力軸にプーリー16Bが取付けられ、これと前記プーリー16Aとがベルト18で連結されている。
【0014】
またコイル状円筒通路1の上部には、その長手方向に沿って散水パイプ20が取付けられている。この散水パイプ20は図3に示すように、底部に所定の間隔で散水孔21が開孔され、ここからコイル状円筒通路1に水22を散水するようになっている。またこのコイル状円筒通路1は、図1に示すように底部を開口したカバー23で覆われている。このカバー23の下方には果肉受け容器24が設けられ、また種排出口4に下方に種受け容器25が設けられている。
【0015】
上記構成の銀杏の果肉取り装置は、先ず銀杏供給部3より熟した銀杏26を投入し、モータ17を回転させると、プーリー16A、ベルト18、プーリー16Bを介して回転シャフト5に動力が伝達されて回転する。銀杏供給部3からコイル状円筒通路1内の供給された銀杏26は図5に示すように、回転シャフト5にスクリュー状に突設した複数枚の攪拌羽根6により、スクリューコンベアと同様の作用により前方に送られ、この時、銀杏26の果肉27が押し潰される。
【0016】
更に前方に送られると攪拌羽根6、6との間に突設された攪拌棒7により崩され、これを繰り返しながら前方に送られていくと、次第に果肉27と種28が分離され、柔らかくなって崩れた果肉27がコイル状円筒通路1の隙間11から押し出されて果肉受け容器24に落下する。
【0017】
更に前方に送られていくと、コイル状円筒通路1の上部に取付けた散水パイプ20から水22が散水され、水22が隙間11から内部に流入して、種28から果肉27が洗い流されて、果肉27が隙間11から落下し、種28だけが送られる。コイル状円筒通路1の先端まで送られてきた種28は種排出口4から銀杏種受け容器25に落下する。
【0018】
従って、スクリューコンベアと同様の作用によりコイル状円筒通路1内を前方に押出されて行く過程で攪拌棒7で崩さた果肉27は、コイル状円筒通路1の隙間11から外部に押出されて落下し、更に前進してコイル状円筒通路1の先端側では種28だけが残り、効率よく果肉27を除去することができる。このように機械的に種28から果肉27を分離するので、散水しなくても分離することができるが、排出側に少量の水22を散水すれば更に効率よく分離、除去することができる。
【0019】
このため果肉受け容器24で捕集された果肉27に含まれる水分も少なく、これをそのまま堆肥として利用できるので、従来装置に比べて廃水処理も容易である。実験によると本発明の銀杏の果肉取り装置では1時間に90Kg処理することができた。また投入側から排出側にかけて連続して水22を散水した場合には、1時間で110〜150Kg処理することができた。
【0020】
なお上記説明では、回転シャフト5に複数枚の攪拌羽根6をスクリュー状に突設した場合について示したが、攪拌羽根を連続したスクリュー状に突設した構造でも良い。また散水パイプ20はコイル状円筒通路1の排出側にだけ取付けた構造でも良く、また散水パイプ20を取付けない構造でも良い。またカバー23は円筒状に限らず底面が開口した角筒状でも良く、またカバー23を取付けない構造でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態による銀杏の果肉取り装置の縦断正面図である。
【図2】コイル状円筒通路を破断して示す銀杏の果肉取り装置の縦断正面図である。
【図3】コイル状円筒通路の内側部分を示す縦断左側面図である。
【図4】コイル状円筒通路の内側部分を拡大して示す縦断正面図である。
【図5】果肉を除去している状態を示すコイル状円筒通路の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 コイル状円筒通路
2 基台
3 銀杏供給部
4 種排出口
5 回転シャフト
6 攪拌羽根
7 攪拌棒
10 丸棒
11 隙間
12 円筒キャップ
14 軸受
15 モータ
20 散水パイプ
22 水
20 カバー
24 果肉受け容器
25 種受け容器
26 銀杏
27 果肉
28 種

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒または丸パイプを、銀杏の種が通過しない隙間を設けてコイル状に巻回してコイル状円筒通路を形成し、このコイル状円筒通路の一端に銀杏供給部を設け、他端に種排出口を形成し、前記コイル状円筒通路の内側に、モータに接続して回転する回転シャフトを設け、このシャフトに攪拌羽根をスクリュー状に突設すると共に攪拌棒を突設して、攪拌羽根の回転により銀杏の果肉を崩しながら、コイル状円筒通路の隙間から果肉だけを外部に排出するようにしたことを特徴とする銀杏の果肉取り装置。
【請求項2】
シャフトの外周に扇形状をなす複数枚の攪拌羽根をスクリュー状に突設したことを特徴とする請求項1記載の銀杏の果肉取り装置。
【請求項3】
コイル状円筒通路の上部に、その長手方向に沿って散水パイプを設けたことを特徴とする請求項1記載の銀杏の果肉取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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