説明

銘板の取付構造

【課題】装飾パネルの開口部に、銘板を、簡単な構造で精度良く且つ位置ズレを生ずることなく設けることができる銘板の取付構造を提供する。
【解決手段】電子機器1の装飾パネル5Aに形成され、装飾パネル5Aに設ける銘板6の平面形状と相補的形状に形成された開口部7と、開口部7を覆うように装飾パネル5Aの裏面に取り付けられ、開口部7に臨む銘板固定部14を有する裏板8と、を備え、銘板6は、装飾パネル5Aに取り付けた裏板8の銘板固定部14に、少なくとも厚み方向の一部を開口部7に挿入した状態で固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メーカー名のロゴやマーク或いは機種名等の銘板を、電子機器の装飾パネルに取り付ける銘板の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銘板の取付構造ではないが、基本的な取付け構造が類似する操作ボタンを、装飾パネルとパネルステイとから成るフロントパネルに取り付ける取付構造が知られている(例えば、特許文献1)。
この操作ボタンの取付構造では、パネルステイの表面に操作ボタンを取り付けると共に、この操作ボタンの操作部を、装飾パネルの開口部を挿通して装飾パネルの前面から突出させるようにしている。この場合の操作ボタンのパネルステイへの取付けは、操作ボタンのホルダ部をパネルステイに突設した一対のピンに、垂設するように固定すると共に、取付けホルダの上部に形成した切欠き部を、装飾パネルをパネルステイに取り付けるためのリブ片に係止するようにしている。これにより、熱膨張等による装飾パネルとパネルステイとの位置ズレが生じても、装飾パネルのリブ片により操作ボタンの位置が規制されるため、開口部の縁端に操作ボタン(の操作部)が接触するなどの支障を生ずることがない。
【特許文献1】特開2001−358475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、従来の操作ボタンの取付構造では、パネルステイに固定した操作ボタンと、操作ボタンが挿通される装飾パネルの開口部と、の間での位置ズレを防止することができるものの、予め操作ボタンと開口部とを位置合わせする必要かあり、操作ボタンの組付けおよび開口部の形成に一定の精度が要求される問題があった。また、操作ボタンの位置に対しこれが係止されるリブ片の位置が制約を受け、或いはリブ片の位置に対し操作ボタンの位置が制約を受ける問題があった。
【0004】
本発明は、装飾パネルの開口部に、銘板を、簡単な構造で精度良く且つ位置ズレを生ずることなく設けることができる銘板の取付構造を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の銘板の取付構造は、電子機器の装飾パネルに形成され、装飾パネルに設ける銘板の平面形状と相補的形状に形成された開口部と、開口部を覆うように装飾パネルの裏面に取り付けられた裏板と、を備え、銘板は、装飾パネルに取り付けた裏板に、少なくとも厚み方向の一部を開口部に挿入した状態で固定されていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、開口部を覆うように装飾パネルの裏面に取り付けられた裏板に、少なくとも一部を開口部に挿入した状態で銘板を固定するようにしているため、銘板と相補的形状に形成された開口部に対し銘板を、所定の微小隙間を存して簡単且つ精度良く固定することができる。また、銘板を固定した後にあって、装飾パネルに熱膨張等が生じても、銘板と開口部との間で位置ズレが一切生ずることがない。さらに、銘板の固定は、単に装飾パネルに取り付けた裏板に固定する構造であるため、この部分の構造を極めて単純なものとすることができる。しかも、装飾パネルに形成した開口部が抜き孔であるため、開口部のエッジ(縁端)を縁だれの無いシャープなものに簡単に形成することができ、銘板の意匠性を損なうことがない。なお、裏板は、樹脂の成形品とすることが好ましく、装飾パネルの裏面に接着或いは両面粘着テープで粘着することが、好ましい。
【0007】
この場合、裏板は、開口部に臨む銘板固定部を有し、銘板は、銘板固定部に固定されていることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、裏板に設けた銘板固定部の突出寸法を適宜変更することにより、銘板の装飾パネルからの突出寸法を自在に調節することができる。なお、銘板固定部は、銘板の厚みおよび装飾パネルからの突出寸法を考慮して凸部とするが、銘板が極端に厚い場合には凹部としてもよい。
【0009】
この場合、裏板は、裏板を開口部に位置決めするための突部を、更に有し、突部は、2箇所で開口部の対角部位に係合していることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、開口部を利用して、裏板を装飾パネルに簡単に位置決めして取り付けることができる。特に、突部の2箇所を開口部の対角部位に係合するようにしているため、裏板を装飾パネルに精度良く且つ不動に位置決めすることができる。なお、突部は、開口部の対角部位に係合する一対の突起で構成することが、好ましい。
【0011】
この場合、銘板は、両面粘着テープを介して裏板に固定されていることが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、銘板を銘板固定部に極めて簡単に固定することができる。また、固定作業のやり直し等も容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明の銘板の取付構造を、AV機器のフロントパネルに適用した場合について説明する。このAV機器は、例えば2層分の記録領域を有するスーパーオーディオCD(Super Audio CD)を再生するSACDプレイヤーであり、そのフロントパネルの左上に、メーカー名のロゴを刻設した銘板が取り付けられている。
【0014】
図1および2に示すように、このAV機器1は、筐体2の内部に再生装置を内蔵すると共に、筐体2の前面にディスプレイ、電源スイッチ、操作ボタン、ランプ、CDの投入口等を配置したフロントパネル3を有している。フロントパネル3は、筐体2の前面に固定した横に長い方形のパネルステイ4と、パネルステイ4の前面にこれを覆うように取り付けた装飾パネル5とで構成されている。また、装飾パネル5は、左装飾パネル5Aと右装飾パネル5Bとの2分割構造を有しており、この左装飾パネル5Aの、左上に銘板6が埋め込むように取り付けられている(図1参照)。
【0015】
図3および図4に示すように、左装飾パネル5Aには、銘板6を見栄え良く装着するための開口部7が形成され、また裏側(後側)から開口部7に臨むように裏板8が取り付けられている。銘板6は、この開口部7に挿入するようにして裏板8に取り付けられている。左装飾パネル5Aは、アルミ押出し成形による成形品であり、開口部7は、成形後の左装飾パネル5Aをプレス等で打ち抜いて形成されている。このため、開口部7のエッジは縁だれのないものとなり、これに設けた銘板6は、高級感を奏するよう見栄えの良好なものになっている。この場合、開口部7は、銘板6の平面形状と相補的形状に、すなわち微小な間隙を存して銘板6をぴったり嵌め込み得るように形成されている。
【0016】
図5に示すように、銘板6は、プレス圧印加工製で変形平行四辺形の平面形状の銘板本体6aと、銘板本体6aから僅かに突出したロゴ部6bとを有しており、銘板本体6aとロゴ部6bとは、左端部がロゴ部6bの大文字部分に対応して上側半円形に突出し、右端部はロゴ部6bの小文字部分に対応してその上側半部が外側に僅かに突出している。この場合、銘板6の肉厚は左装飾パネル5Aの肉厚の約半分となっており、前面が開口部7から僅かに突出するように裏板8に取り付けられている。そして、銘板6を裏板8に取り付ける(固定)場合には、後述する裏板8の銘板固定部14に貼着した両面粘着テープ11を介して、銘板6を裏板8に貼着する(図4参照)。
【0017】
図6に示すように、裏板8は、樹脂成形品であり、方形板状の裏板本体13と、裏板本体13の表側(前側)中央部に形成した方形の銘板固定部14と、銘板固定部14の両側に配設した位置決め用の大突起15aおよび小突起15b(突部)と、で一体に形成されている。裏板本体13は、上記の開口部7に対し一回り大きい平面形状に形成され、左装飾パネル5Aの裏側から開口部7を塞ぐように取り付けられている。銘板固定部14は、裏板本体13から前方に突出しており、この突出寸法により、これに固定した銘板6が左装飾パネル5Aの前面から僅かに突出する(図4参照)。すなわち、銘板固定部14の裏板本体13からの突出寸法により、銘板6の左装飾パネル5Aの前面からの突出寸法が調整されるようになっている。
【0018】
大突起15aおよび小突起15bは、いずれも円形突起であり、大突起15aが上記の開口部7の左下端部に係合し、小突起15bが開口部7の右上端部に係合して、裏板8が開口部7に位置決めされている。すなわち、大突起15aおよび小突起15bは、開口部7の対角位置にそれぞれ係合している。この場合、開口部7の左下端部は鋭角部位となっており、右上端部は幅狭部位となっているため、裏板8は、開口部7に不動に位置決めされている。そして、裏板8を左装飾パネル5Aに取り付ける(固定)場合には、大突起15aおよび小突起15bによる位置決め状態で、左装飾パネル5Aの開口部7廻りに貼着した両面粘着テープ16を介して、銘板6を裏板8に貼着する(図4参照)。
【0019】
図3および図4に示すように、銘板6を左装飾パネル5Aに取り付ける場合には、先ず左装飾パネル5Aの裏面に開口部7の周囲に位置して両面粘着テープ16を貼着すると共に、裏板8の銘板固定部14に同様に両面粘着テープ11を貼着する。次に、大突起15aおよび小突起15bを開口部7位置合わせするようにして裏板8を、両面粘着テープ16を介して左装飾パネル5Aの裏面に粘着(固定)する。続いて、銘板6を左装飾パネル5Aの表側から開口部7に位置合せし、これを開口部7に嵌め込むようにして、銘板固定部(両面粘着テープ11)14に固定する。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、左装飾パネル5Aの裏面に取り付けられた裏板8に、開口部7に挿入した状態で銘板6を固定するようにしているため、銘板6を、開口部7に簡単且つ精度良く固定することができる。また、左装飾パネル5Aに熱膨張等が生じても、銘板6と開口部7との間で位置ズレが一切生ずることがない。さらに、開口部7を、エッジに縁だれの無くシャープに形成することができ、銘板6を、立体的で高級感を奏するように取り付けることができる。
【0021】
なお、本発明の銘板の取付構造は、AV機器のフロントパネル(装飾パネル)に限らず、各種電子機器の装飾パネルに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る銘板を取り付けたAV機器の全体斜視図である。
【図2】AV機器のフロントパネルの分解斜視図である。
【図3】銘板の装飾パネルへの取付状態を表した分解斜視図である。
【図4】銘板の装飾銘板パネルへの取付状態を表した断面図である。
【図5】銘板の構造図である。
【図6】裏板の構造図である。
【符号の説明】
【0023】
1 AV機器 5 装飾パネル
5A 左装飾パネル 6 銘板
7 開口部 8 裏板
11 両面粘着テープ 14 銘板固定部
15a 大突起 15b 小突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の装飾パネルに形成され、前記装飾パネルに設ける銘板の平面形状と相補的形状に形成された開口部と、
前記開口部を覆うように前記装飾パネルの裏面に取り付けられた裏板と、を備え、
前記銘板は、前記装飾パネルに取り付けた前記裏板に、少なくとも厚み方向の一部を前記開口部に挿入した状態で固定されていることを特徴とする銘板の取付構造。
【請求項2】
前記裏板は、前記開口部に臨む銘板固定部を有し、
前記銘板は、前記銘板固定部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の銘板の取付構造。
【請求項3】
前記裏板は、前記裏板を前記開口部に位置決めするための突部を、更に有し、
前記突部は、2箇所で前記開口部の対角部位に係合していることを特徴とする請求項1に記載の銘板の取付構造。
【請求項4】
前記銘板は、両面粘着テープを介して前記裏板に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の銘板の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−124403(P2008−124403A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309664(P2006−309664)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】