説明

銘板及び銘板が貼付された電池パック

【課題】 文字や図形などの大きさを変えることなく、単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることが可能な銘板及び銘板が貼付された電池パックを提供する。
【解決手段】 短冊状に交互に印刷した第一の画像の印刷層18と第二の画像の印刷層19を、レンチキュラーシート15を通して第一の視点20と第二の視点21から見ることによって画像が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に取り付ける銘板及び銘板が貼付された電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の銘板において、表示面積が不足する場合が増えている。その理由としては、電子機器が小型化されているのに対し、PL法対応のための注意事項やリサイクルマーク、安全規格マークなど多くの情報表示が義務化されている、といったことが挙げられる。
【0003】
特に、リチウムイオン二次電池において2008年にPSEマーク(法律を守って製造、輸入した電気製品の証)の表示が義務化され、ますます表示事項が増える傾向にある。
【0004】
製品が小型化され、表示すべき情報量が増えてきているという状況に対応する必要があるが、特にリチウムイオン二次電池において、通常の印刷では表示可能範囲に必要情報を表示しきれない場合が増加している。
【0005】
情報量が多くなった場合、銘板に情報を表示する方法として、さまざまな方法が記載されている。特許文献1では、ケースを透明又は半透明部材にて形成することで、ケースの大型化を招くことなく、部品点数を増やすことなく銘板表示部を設けている。また、銘板数は多くても、一つの銘板に表示する情報量が少ない場合に、銘板シートや転写シートを利用して銘板を貼り付ける方法が特許文献2に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−305386号公報
【特許文献2】特開平10−171358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のような方法を用いた場合、更なる情報量の増加に対応できない恐れがある。すなわち特許文献1による方法では、銘板表示部を覆っている透明又は半透明なケースの銘板表示直上部に情報を表示すると、上下の情報が重なって表示されるので判読できず、情報量を増加させることが難しい。また特許文献2による方法で情報量を増加させるには、文字の大きさを小さくすることが考えられるが、文字の大きさを小さくすると、判読できず、やはり情報量を増加させることが難しい。
【0008】
図4は、従来の銘板を示す電池パックの底面図である。銘板12は、既に電池パック11の底面の表示可能範囲全てを使用しており、注意事項やリサイクルマークは表示しているが、今後、義務化されるPSEマークを表示する領域がない。
【0009】
図4に示す銘板にPSEマークを追加して表示しようとする場合の解決策としては、正面に銘板を1枚追加する方法が考えられる。図5は、従来の銘板にPSEマークを追加して表示するための解決策を示す図で、図5(a)は底面図、図5(b)は正面図、図5(c)は上方斜視図、図5(d)は下方斜視図である。
【0010】
しかし、この場合、正面は意匠面にあたり、この面に2枚目の銘板13を配置することは、デザイン性を低下させ且つデザインの自由度を制限することになり、不都合が生じる。上記の問題を解決するには、表示可能な銘板の単位面積当りの情報量を増加させることにより、銘板を追加することなく従来の大きさで表示することが必要である。
【0011】
すなわち、本発明の技術的課題は、文字や図形などの大きさを変えることなく、単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることが可能な銘板及び銘板が貼付された電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の銘板は、機器の定格や安全規格、リサイクルマーク、注意文等の情報を表示する銘板において、視点によって画像が変化することにより単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることを特徴とする。
【0013】
本発明の電池パックは、機器の定格や安全規格、リサイクルマーク、注意文等の情報を表示する銘板が底面に貼付された電池パックにおいて、前記銘板が視点によって画像が変化することにより単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、文字や図形などの大きさを変えることなく、視点によって画像が変化することにより単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることが可能な銘板及び銘板が貼付された電池パックを提供することができた。また、電池パックには銘板を追加しないですむため、デザイン性及びデザインの自由度の低下を回避することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について銘板の例として電池パックについて図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の銘板を説明する図で、図1(a)は銘板の斜視図、図1(b)は図1(a)の銘板端面であるA部の拡大斜視図である。銘板12は基材16、糊17、第一の画像の印刷層18、第二の画像の印刷層19およびレンチキュラーシート15を有する。第一の画像の印刷層18と第二の画像の印刷層19は、それぞれ短冊状に交互に印刷されている。
【0017】
視点によって画像が変化する方法には、ホログラフィを利用することも可能であるが、視点による表示の切り替えが曖昧になるので、レンチキュラーシートを利用するのが好ましい。
【0018】
第一の視点20から見た場合は第一の画像だけが、第二の視点21から見た場合は第二の画像だけが連続して視認できるような凸レンズを規則的に配列したレンチキュラーシート15が、銘板12の上面に配置されている。第一の視点20は銘板12の左上方にあり、第二の視点21は銘板12の右上方にある。
【0019】
短冊状に印刷された画像の印刷層の幅は、レンチキュラーシートの一つの凸レンズ幅のおよそ2分の1であることが画像形成上好ましい。
【0020】
図2は、本発明の銘板を貼付した電池パックの底面図で、図2(a)は第一の視点、図2(b)は第二の視点から見た場合の銘板の表示イメージである。
【0021】
銘板12の左上方にある第一の視点から銘板12を見ると、レンチキュラーシートの作用により第一の画像の印刷層である短冊状の印刷層のみが連続して視認され、結果として銘板12には図2(a)に示されている一つの情報を知ることができる。銘板12の右上方にある第二の視点から銘板12を見ると、同様に図2(b)に示されているもう一つの情報を知ることができる。
【0022】
これにより、銘板12を追加することなくPSEマーク14を新たに表示することができる。また、単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることにより従来必要とされながらも配置できなかった情報、例えば偽造防止マーク22なども表示可能になる。
【0023】
本発明は、電子機器の銘板において、表示可能な単位面積当りの情報量を増加させれば、銘板を追加しないですむため、デザイン性及びデザインの自由度の低下を回避できることに着目したものである。
【0024】
本発明による銘板は、レンチキュラーシートの作用により見る角度によって画像が変化するので、文字や図形などの大きさを変えることなく従来の方法に比べ表示可能な単位面積当りの情報量を2倍以上に増やすことが可能である。
【0025】
レンチキュラーシートと画像の印刷層との組み合わせにより、視点の数は増やせるので3倍、4倍と表示可能な単位面積当りの情報量を増加させることが可能である。
【0026】
本発明の銘板は、表示すべき情報量に対し表示面積が不足している場合であれば、電気製品だけでなく、その他の製品の銘板にも利用可能である。
【実施例】
【0027】
以下に本発明の実施例を詳述する。
【0028】
本実施例では、凸レンズのピッチが0.4mmのレンチキュラーシートを使用した。短冊状の画像の印刷層の幅は、0.2mmとした。銘板の左上方にある第一の視点から銘板を見ると一つの情報を知ることができ、右上方にある第二の視点から銘板を見ると同様にもう一つの情報を知ることができた。これにより、表示可能な単位面積当りの情報量を2倍にすることができた。
【0029】
図3は、本発明を適用した電池パックの斜視図で、図3(a)は上方斜視図、図3(b)は下方斜視図である。銘板12は30mm×25mmの大きさで、40mm×37mm×25mmの電池パック11の底面に貼り付けた。2枚分の情報量を1枚の銘板で表示したことにより、デザイン性が低下していないことが確認できた。
【0030】
本発明により、文字や図形などの大きさを変えることなく、視点によって画像が変化することにより単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることが可能な銘板及び銘板が貼付された電池パックを提供することができた。また、電池パックには銘板を追加しないですむため、デザイン性及びデザインの自由度の低下を回避することができた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
表示すべき情報量に対し表示面積が不足している製品の銘板及び銘板が貼付された電池パックに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の銘板を説明する図、図1(a)は銘板の斜視図、図1(b)は図1(a)の銘板端面であるA部の拡大斜視図。
【図2】本発明の銘板を貼付した電池パックの底面図、図2(a)は第一の視点、図2(b)は第二の視点から見た場合の銘板の表示イメージ。
【図3】本発明を適用した電池パックの斜視図、図3(a)は上方斜視図、図3(b)は下方斜視図。
【図4】従来の銘板を示す電池パックの底面図。
【図5】従来の銘板にPSEマークを追加して表示するための解決策を示す図、図5(a)は底面図、図5(b)は正面図、図5(c)は上方斜視図、図5(d)は下方斜視図。
【符号の説明】
【0033】
11 電池パック
12 銘板
13 2枚目の銘板
14 PSEマーク
15 レンチキュラーシート
16 基材
17 糊
18 第一の画像の印刷層
19 第二の画像の印刷層
20 第一の視点
21 第二の視点
22 偽造防止マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の定格や安全規格、リサイクルマーク、注意文等の情報を表示する銘板において、視点によって画像が変化することにより単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることを特徴とする銘板。
【請求項2】
機器の定格や安全規格、リサイクルマーク、注意文等の情報を表示する銘板が底面に貼付された電池パックにおいて、前記銘板が視点によって画像が変化することにより単位面積当りの情報量を2倍以上に増加させることを特徴とする電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−40465(P2010−40465A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205155(P2008−205155)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】