説明

鋳型の製造方法

【課題】2種類以上の硬化剤組成物を併用する場合に、これらを明確に区別することができ、作業性および安全性を向上し、安定した鋳型強度と鋳物品質の向上とを両立できる鋳型の製造方法を提供すること。
【解決手段】耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤組成物を用いる鋳型の製造方法であって、エステル化合物と着色剤とを含有する硬化剤組成物が、2塩基酸エステルを50重量%以上含有する硬化剤組成物、トリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有する硬化剤組成物、およびγ―ブチロラクトンを50重量%以上含有する硬化剤組成物から選択される少なくとも2種類の硬化剤組成物を含有し(選択された少なくとも2種類の硬化剤組成物は、互いに異なる着色剤で着色されたものとする)、25℃での着色剤の溶解度が、着色剤を除いた硬化剤組成物100gに対して0.2g以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤組成物を用いる鋳型の製造方法であって、硬化剤組成物として、エステル化合物と着色剤とを含有し、互いに異なる着色剤で着色された少なくとも2種類の硬化剤組成物を含有する鋳型の製造方法、着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、前記着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キット、および特定のエステル化合物と特定の着色剤とを含有し、着色剤の溶解性に優れ、退色しない着色された硬化剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バインダーを用いて主型や中子のような鋳型を製造する造型法として、自硬性鋳型造型法が知られている。前記自硬性鋳型造型法としては、バインダーである水溶性フェノール樹脂を、エステル化合物を含有する硬化剤組成物で硬化せしめる鋳型造型法が知られている。
【0003】
前記鋳型造型法では、耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤をミキサー内で混合する。硬化剤については、異なる硬化速度を示す2種以上の硬化剤組成物を、作業現場にて混合して使用することが多く、各硬化剤組成物をミキサー内に別々に注入する場合、あるいはミキサー手前で各硬化剤組成物を事前に混合する場合がある。作業現場では細心の注意を払って、適切な各硬化剤組成物を選択・使用するが、硬化剤組成物の主成分たるエステル化合物はいずれも同系色(総じて無色透明)であるため、硬化剤組成物の選択ミスに起因した問題が発生することがあった。
【0004】
具体的には、本来、硬化速度が遅い硬化剤組成物を使用すべきところ、誤って硬化速度が早い硬化剤組成物を使用した場合、可使時間が極端に短くなり、鋳型強度が低くなる。この場合、鋳型が壊れる、重量物鋳型の場合は破損鋳型との接触、落下により作業現場にて怪我が発生する、鋳型強度が低いことに起因して、鋳物品質が低下する、鋳型割れや破損により熔湯漏れが発生する、などの問題がある。一方、本来、硬化速度が早い硬化剤組成物を使用すべきところ、誤って硬化速度が遅い硬化剤組成物を使用した場合、木型などの模型から抜型する時間が長くなり、作業時間が長くなる、あるいは鋳型強度が極端に低くなる。この場合にも、鋳型が壊れる、重量物鋳型の場合は破損鋳型との接触、落下により作業現場にて怪我が発生する、鋳型強度が低いことに起因して、鋳物品質が低下する、鋳型割れや破損により熔湯漏れが発生する、などの問題がある。
【0005】
したがって、例えば2種類以上の硬化剤組成物を組み合わせて使用する場合であって、硬化速度が遅い硬化剤組成物と硬化速度が早い硬化剤組成物とを併用する場合、これらを明確に区別できる手法が作業現場では要求されているのが実情であった。
【0006】
また、特定のエステル化合物を着色するに際し、使用する着色剤によっては、エステル化合物に対する溶解性が悪く、さらに経時的に色が退色する場合がある。このため、特定のエステル化合物を含有する硬化剤組成物であって、着色剤の溶解性に優れ、着色剤の経時的な色の退色が防止可能な硬化剤組成物が要求されているのが実情であった。
【0007】
下記特許文献1では、生砂鋳型に使用される表面安定剤を生砂鋳型に均一塗布したことを簡易的に確認することを目的として、かかる表面安定剤を着色することが記載されている。また、下記特許文献2では、リン酸塩系鋳型材に塩基性染料を添加、またカルボン酸類を併せ用いることによって、鋳型の硬化終了を色の変化をもって見分ける点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−253787号公報
【特許文献2】特開昭57−72748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献に記載の方法では、2種類以上の硬化剤組成物を併用する場合に、これらを明確に区別する方法について記載も示唆もしていない。
【0010】
本発明は、2種類以上の硬化剤組成物を併用する場合に、これらを明確に区別することができ、作業性および安全性を向上し、安定した鋳型強度と鋳物品質の向上とを両立できる鋳型の製造方法提供することを目的とする。また、本発明は、2種類以上の硬化剤組成物を併用する場合に、それぞれ特定のエステル化合物に対して着色剤の溶解性が優れ、かつ着色剤の経時的な色の退色が防止可能な鋳型の製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キット、および特定のエステル化合物を含有する硬化剤組成物であって、着色剤の溶解性に優れ、着色剤の経時的な色の退色が防止可能な硬化剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る鋳型の製造方法は、耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤組成物を用いる鋳型の製造方法であって、前記硬化剤組成物が、エステル化合物と着色剤とを含有するものであって、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有する硬化剤組成物、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有する硬化剤組成物、およびエステル化合物としてγ―ブチロラクトンを50重量%以上含有する硬化剤組成物から選択される少なくとも2種類の硬化剤組成物を含有し(但し、選択された少なくとも2種類の前記硬化剤組成物は、互いに異なる着色剤で着色されたものとする)、25℃での前記着色剤の溶解度が、着色剤を除いた硬化剤組成物100gに対して0.2g以上である。
【0012】
また、本発明に係る硬化剤キットは、着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、前記着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キットであって、前記それぞれの硬化剤組成物が着色剤を0.0001〜1重量%含有し、前記第1硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、前記第2硬化剤組成物が、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
【0013】
また、本発明に係る硬化剤キットは、着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、前記着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キットであって、前記それぞれの硬化剤組成物が着色剤を0.0001〜1重量%含有し、前記第1硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤として6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、前記第2硬化剤組成物が、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
【0014】
更に、本発明に係る硬化剤組成物は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、前記着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
また、本発明に係る硬化剤組成物は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
【0015】
更に、本発明に係る硬化剤組成物は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、前記着色剤として6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
また、本発明に係る硬化剤組成物は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る鋳型の製造方法によれば、2種以上の硬化剤組成物が、エステル化合物と着色剤とを含有し、かつ2種以上の硬化剤組成物がそれぞれ異なる色で着色されたものであることから、これらを明確に区別することができる。その結果、鋳型を製造する際、作業現場において、作業性および安全性を向上し、安定した鋳型強度と鋳物品質の向上とを両立できる。また、輸送配管が透明な場合など、輸送配管の内部の色相が判別できる場合、硬化剤組成物の輸送状況が容易に把握できる。加えて、2種以上の硬化剤組成物を、例えばバッチミキサーなどに投入する場合、これらが着色されたものであるため、その投入量を把握するための液面判定が容易になる。
【0017】
更に、本発明に係る鋳型の製造方法において、各硬化剤組成物を特定のエステル化合物と特定の着色剤とにより構成した場合、前述した効果に加えて、それぞれ特定のエステル化合物に対して着色剤の溶解性が優れ、かつ着色された硬化剤組成物の経時的な退色を防止することができる。
【0018】
また、本発明は、着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キットとしても有用である。かかる硬化剤キットを使用することにより、鋳型を製造する際、作業現場において、作業性および安全性を向上し、安定した鋳型強度と鋳物品質の向上とを両立できる。
【0019】
更に、本発明に係る硬化剤組成物は、特定のエステル化合物と特定の着色剤とを含有するため、着色剤の溶解性に優れ、着色剤の経時的な色の退色防止が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る鋳型の製造方法は、耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤として2種類以上の硬化剤組成物を用いる。以下、本発明について具体的に説明する。
【0021】
<硬化剤組成物>
本発明に係る鋳型の製造方法では、硬化剤として2種以上の硬化剤組成物を用いる。2種類以上の硬化剤組成物は、いずれもエステル化合物と着色剤とを含有する。
【0022】
(エステル化合物)
エステル化合物としては、水溶性フェノール樹脂の硬化剤として使用できる従来公知のエステル化合物が使用できるが、水溶性フェノール樹脂の硬化性の観点から、分子内にエステル結合を1〜5個有するエステル化合物が好ましい。また、エステル化合物の炭素数は4〜15が好ましく、5〜12がより好ましく、5〜10が更に好ましい。エステル化合物としては、温度と作業時間の観点から、多塩基酸エステルが好ましく、更に二塩基酸エステルが好ましい。また、エステル化合物としては、温度と作業時間の観点から、多価アルコールと1価カルボン酸とのエステルが好ましく、2〜3価アルコールと酢酸とのエステルが更に好ましい。また、エステル化合物としては、温度と作業時間の観点から、ラクトン類及び1価アルコールと1価カルボン酸とのエステルが好ましい。エステル化合物の具体例としては、多塩基酸エステルとして、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、2−エチルコハク酸ジメチル、2−メチルグルタル酸ジメチル、2−メチルアジピン酸ジメチル、2−メチルセバシン酸ジメチル、2−エチルアゼライン酸ジメチル、2−エチルグルタル酸ジエチル、2−(n−プロピル)グルタル酸ジメチル、2−(n−ブチル)コハク酸ジエチル、2−(n−ブチル)コハク酸ジメチル、2−メチルピメリン酸ジエチル、2−メチルスベリン酸ジメチル、多価アルコールと1価カルボン酸とのエステルとしてエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリアセチン、ラクトン類としてγ−ブチロラクトン、1価アルコールと1価カルボン酸とのエステルとして、ギ酸エチル、アセト酢酸エチル、2−エチルヘキサン酸エチル、2−エチルヘキサン酸メチル等が挙げられる。鋳型強度の観点から、気温や砂の温度が低い場合あるいは作業時間が短い場合は、加水分解速度の速いγ−ブチロラクトン、ギ酸エチルが好ましく、気温や砂の温度が高い場合あるいは作業時間が長い場合は、加水分解速度の遅いコハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、2−エチルコハク酸ジメチル、2−メチルグルタル酸ジメチル、2−メチルアジピン酸ジメチルが好ましく、後述するDBEがより好ましい。気温や砂温度が高くも低くもない場合、あるいは作業時間が長くも短くもない場合には、トリアセチン、エチレングリコールジアセテートが好ましい。本発明では、これらのエステル化合物を単独で、または2種以上を混合して使用できる。
【0023】
なお、二塩基酸エステルとしてDBEは商品名でありDibasic Esterの略称であるが、コハク酸ジメチル:10〜30重量%、グルタル酸ジメチル:50〜70重量%、アジピン酸ジメチル:5〜30重量%の組成からなる。これらの2塩基酸エステルは、加水分解速度が遅く、気温や砂の温度が高い場合や作業時間が長い場合に用いるのが好ましい。
【0024】
硬化剤組成物中のエステル化合物の含有量は、鋳型強度の観点から、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましい。また、過度の硬化反応の促進を防止する観点および鋳型の諸特性の性能向上の観点から、硬化剤組成物中のエステル化合物の含有量は、98重量%以下であることが好ましく、96重量%以下であることがより好ましく、94重量%以下であることが更に好ましい。上記観点を総合すると、硬化剤組成物中のエステル化合物の含有量は、50〜98重量%であることが好ましく、60〜96重量%であることがより好ましく、70〜94重量%であることが更に好ましい。
【0025】
(着色剤)
本発明に係る鋳型の製造方法では、硬化剤として、2種以上の硬化剤組成物を用い、2種以上の硬化剤組成物が、異なる着色剤をそれぞれ含有することにより、異なる色で着色されている点が特徴である。
【0026】
本発明では、着色剤は互いに異なる色であることに特徴があるが、マンセル表色系において、色相環1周を100で表した場合の色相間隔がお互いに10以上離れた領域から選ばれるものが好ましい。マンセル表色系において、色相は赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)の主要色相で環を作り、各々の中間色として黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、赤紫(PR)を加える。これらの10色相を感覚的に等しく10分割し、5に当たるところに色相の代表となるものを配置する。このように色相を環状に表したものを色相環(hue circle)という。色相環において、色相環1周を100で表した場合、赤(R)は5、黄赤(YR)は15、黄(Y)は25、黄緑(GY)は35、緑(G)は45、青緑(BG)は55、青(B)は65、青紫(PB)は75、紫(P)は85、赤紫(PR)は95に配置される。色相環において反対側に位置する色は補色の関係にあるが、この関係にある色の組み合わせが、互いの着色剤を含有する硬化剤組成物の色調を際立たせるので好ましい。色相間隔で言えば、2種類以上の硬化剤組成物の判別を容易にする観点から、お互いに10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。色相環において、色相環1周を100で表した場合、赤(R)が5であり、緑(G)が45であり、青(B)が65であるので、例えば、第1の着色剤として赤(R)を選択した場合、第2の着色剤として青(B)を選択し、第3の着色剤として緑(G)を選択するのが好ましい。
【0027】
着色剤としては、例えば青色系の着色剤として、α,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンなどが挙げられる。また、赤色系の着色剤として、6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンなどが挙げられる。これらの着色剤を、硬化剤組成物中、0.0001〜1重量%含有することが好ましく、0.0005〜0.1重量%含有することがより好ましく、0.001〜0.01重量%含有することが更に好ましく、0.001〜0.005重量%含有することが更に好ましく、0.001〜0.003重量%含有することがより更に好ましい。着色剤の含有量をかかる範囲内に調整することにより、硬化剤組成物を確実に着色しつつ、着色剤の沈殿を防止することができる。また、硬化剤組成物を確実に着色しつつ、着色剤の沈殿を防止するためには、25℃での着色剤の溶解度が、着色剤を除いた硬化剤組成物(エステル化合物含有組成物)100gに対して0.2g以上であることが必須である。
【0028】
本発明に係る鋳型の製造方法では、第1硬化剤組成物は、青色に安定的に着色しつつ、経時的な色の退色を防止できる観点から、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、着色剤として4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオン及び1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。経時的な色の退色防止の観点から、第1硬化剤組成物中の全エステル化合物に占める2塩基酸エステルの割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることが更に好ましい。
【0029】
同様に、第2硬化剤組成物は、赤色に安定的に着色しつつ、経時的な色の退色を防止できる観点から、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、着色剤として、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。経時的な色の退色防止の観点から、第2硬化剤組成物中の全エステル化合物に占めるトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましく、実質的に100重量%であることがより更に好ましい。
【0030】
また、本発明に係る鋳型の製造方法では、第1硬化剤組成物は、赤色に安定的に着色しつつ、経時的な色の退色を防止できる観点から、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤として6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。経時的な色の退色防止の観点から、第1硬化剤組成物中の全エステル化合物に占める2塩基酸エステルの割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることが更に好ましい。
【0031】
同様に、第2硬化剤組成物は、青色に安定的に着色しつつ、経時的な色の退色を防止できる観点から、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。経時的な色の退色防止の観点から、第2硬化剤組成物中の全エステル化合物に占めるトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの割合は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましく、実質的に100重量%であることがより更に好ましい。
【0032】
第1硬化剤組成物は、2塩基酸エステルをエステル化合物の50重量%以上含有する場合には、遅い硬化剤として使用することができる。また、第2硬化剤組成物は、トリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有する場合には、速い硬化剤として使用することができる。
【0033】
(フェノール化合物単量体)
本発明の硬化剤組成物には、外気温度が高い場合(例えば40℃以上の場合)においても、鋳型の最終強度を低下させることなく、可使時間を延長できる観点から、フェノール化合物単量体が含有されてもよい。
【0034】
フェノール化合物単量体としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、クミルフェノール、ノニルフェノール、ブチルフェノール、フェニルフェノール、エチルフェノール、オクチルフェノール、アミルフェノール、ナフトール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシンや、これらの混合物等が挙げられる。更にレゾルシン残渣、ビスフェノールA残渣、あるいはクロロフェノール、ジクロロフェノール等やその他の置換フェノール等も使用することができる。本発明では、これらのフェノール化合物単量体を単独で、または2種以上を混合して使用できる。なかでも、好ましくはレゾルシンやビスフェノールA、より好ましくはレゾルシンを含有する場合、鋳型の最終強度を低下させることなく可使時間を更に延長できる。
【0035】
本発明の硬化剤組成物が上記フェノール化合物単量体を含有する場合、可使時間を延長させる観点から、その含有量は、硬化剤組成物中、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましい。また、最終強度維持の観点から、上記フェノール化合物単量体の含有量は、硬化剤組成物中、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。上記観点を総合すると、上記フェノール化合物単量体の含有量は、硬化剤組成物中、1〜30重量%であることが好ましく、2〜20重量%であることがより好ましい。
【0036】
(その他の成分)
本発明の硬化剤組成物には、本発明の効果を阻害しない程度に香料や界面活性剤やアルコール類等の添加剤が必要に応じて含有されてもよい。ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテルのような非イオン性界面活性剤が含有されると、混練砂から発せられる臭気を低減することができるため好ましい。非イオン性界面活性剤の添加量は、エステル化合物100重量部に対して、1〜20重量部が好ましい。また、非イオン性界面活性剤の添加量は硬化剤組成物中、1〜10重量%が好ましい。また、炭素数3〜12の1価アルコールや分子中に少なくとも1個の芳香環を有するアルコールのようなアルコール類が含有されると、鋳型強度を向上させ、高強度の鋳型が得られるため好ましく、なかでも、ベンジルアルコールが好ましい。ベンジルアルコールの添加量はエステル化合物100重量部に対して、1〜40重量部が好ましい。また、ベンジルアルコールの添加量は硬化剤組成物中、1〜30重量%が好ましく、5〜30重量%が好ましい。
【0037】
本発明に係る鋳型の製造方法では、第1硬化剤組成物と第2硬化剤組成物とに加えて、硬化剤として他の硬化剤組成物を併用してもよい。この場合、かかる他の硬化剤組成物は、第1硬化剤組成物および第2硬化剤組成物と異なる色で着色されてもよく、あるいは着色剤を含有しないことにより、着色されていなくてもよい。
【0038】
前述のとおり、第1硬化剤組成物と第2硬化剤組成物とは互いに異なる色で着色されており、作業現場において、作業者により容易に識別可能である。このため、第1硬化剤組成物および第2硬化剤組成物は、これらを含有する硬化剤キットとしても有用である。
【0039】
なかでも、第1硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、第2硬化剤組成物が、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤キットは、経時的な退色を防止することができるため有用である。
【0040】
前記硬化剤キットにおいて、前記第1硬化剤組成物及び前記第2硬化剤組成物に、それぞれの着色剤は硬化剤組成物中、0.0001〜1重量%含有することが好ましく、0.0005〜0.1重量%含有することがより好ましく、0.001〜0.01重量%含有することが更に好ましく、0.001〜0.005重量%含有することが更に好ましく、0.001〜0.003重量%含有することがより更に好ましい。着色剤の含有量をかかる範囲内に調整することにより、硬化剤組成物を確実に着色しつつ、着色剤の沈殿を防止することができる。また、硬化剤組成物を確実に着色しつつ、着色剤の沈殿を防止するためには、着色剤を除いた硬化剤組成物(エステル化合物含有組成物)100gに対する着色剤の25℃における溶解度が、0.2g以上である。
【0041】
本発明に係る鋳型の製造方法は、耐火性粒子に、少なくとも前述した第1硬化剤組成物および第2硬化剤組成物を含む硬化剤と、水溶性フェノール樹脂とを添加した鋳型用組成物(混練砂)から鋳型を製造する。
【0042】
<耐火性粒状材料>
本発明に用いる耐火性粒状材料は、天然砂であってもよく、人工砂であってもよい。天然砂としては、石英質を主成分とする珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂等が例示できる。また、人工砂としては、合成ムライト砂、アルミナボールサンド、SiO2/Al23系の鋳物砂、SiO2/MgO系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂等が例示できる。上記人工砂とは、天然より産出する鋳物砂ではなく、人工的に金属酸化物の成分を調製し、溶融または焼結した鋳物砂のことを表す。
【0043】
<水溶性フェノール樹脂>
本発明の鋳型の製造方法で使用可能な水溶性フェノール樹脂は、エステル化合物で硬化可能な樹脂であり、一般にはアルカリ条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られるものである。このうちフェノール化合物としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシン、カテコール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール、その他の置換フェノールを含めたフェノール類や、カシューナット殻液のような各種のフェノール化合物の混合物等が用いられる。また、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等を1種または2種以上が用いられる。また、これらに、尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のアルデヒド化合物と縮合が可能なモノマーや、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価の脂肪族アルコール化合物や、水溶性高分子のポリアクリル酸塩や、セルロース誘導体高分子、ポリビニルアルコール、リグニン誘導体などが混合して用いられる。
【0044】
水溶性フェノール樹脂の合成に用いられるアルカリ触媒としては、LiOH、NaOH、KOHなどのアルカリ金属の水酸化物が挙げられるが、特にNaOH、KOHが好ましい。また、これらのアルカリ触媒を混合して用いてもよい。
【0045】
水溶性フェノール樹脂の合成において、フェノール化合物に対するアルデヒド化合物のモル比は、1.0〜6.0モル倍が好ましく、より好ましくは1.1〜5.5モル倍である。またフェノール化合物に対するアルカリ触媒のモル比は、0.2〜5.0モル倍が好ましく、より好ましくは0.5〜4.0モル倍である。
【0046】
本発明において、水溶性フェノール樹脂中の固形分重量(105℃で3時間乾燥後の固形重量)は、鋳型強度の観点から、25〜90重量%が好ましく、より好ましくは30〜85重量%である。また、水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、鋳型強度の観点から、500〜8000が好ましく、より好ましくは800〜5000である。
【0047】
なお、水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定できる。
【0048】
(水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量の測定方法)
(a)サンプル調製:試料に同重量のイオン交換水を加え、0.1重量%のHSOを加えて中和する。生成した沈殿を濾過分離し、水洗し、乾燥する。これをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、GPC用のサンプルを調製する。
(b)カラム:ガードカラムTSX(東洋曹達工業社製)HXL(6.5mmφ×4cm)1本と、TSK3000HXL(7.8mmφ×30cm)1本と、TSK2500HXL(7.8mmφ×30cm)1本を使用する。注入口側よりガードカラム−3000HXL−2500HXLの順に接続する。
(c)標準物質:ポリスチレン(東洋曹達工業社製)
(d)溶出液:THF(流速:1cm3/min)
(e)カラム温度:25℃
(f)検出器:紫外分光光度計(フェノールの紫外吸収の最大ピークの波長において定量)
(g)分子量計算の為の分割法:時間分割(2sec)
【0049】
<その他の成分>
本発明においては、得られる鋳型の強度を向上させる目的で、鋳型用組成物にグリコール類および/またはエーテルアルコール類を配合してもよい。グリコール類としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が例示できる。エーテルアルコール類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が例示できる。これらの化合物の配合量は、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して、1〜30重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。
【0050】
また、本発明においては、鋳型の強度を向上させる観点から、鋳型用組成物にシランカップリング剤や尿素などを配合してもよい。シランカップリング剤の例としては、γ−(2−アミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量部である。
【0051】
本発明に係る鋳型の製造方法では、耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤として少なくとも第1硬化剤組成物および第2硬化剤組成物を混練して、混練砂を得る工程、および前記混練砂を型込めして造型する工程を有する。混練砂を製造する方法としては、バッチミキサーにより耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、第1硬化剤組成物および第2硬化剤組成物を添加して混合する方法や、連続ミキサーに各成分を供給して混合する方法が挙げられる。型込めする際の混練砂の温度は、通常−10〜50℃程度であるが、可使時間を確保する観点から、−5〜40℃が好ましく、0〜35℃がより好ましい。
【0052】
混練砂中の硬化剤組成物の含有量は、鋳型強度の観点から、耐火性粒子100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。また、混練砂中の水溶性フェノール樹脂の含有量は、鋳型強度、作業性、臭気、およびコストの観点から、その固形分の含有量として耐火性粒子100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
【0053】
本発明の鋳型の製造方法は、アルミニウム鋳物のような非鉄合金系鋳物や、鋳鋼系鋳物あるいは鋳鉄系鋳物等を製造するための鋳型の造型に好適であるが、特に鋳造に関する用途を限定されるものではない。
【0054】
本発明の鋳型の製造方法において、容器が透明の場合や配管が透明の場合に、作業現場において、容易に第1の硬化剤組成物と第2の硬化剤組成物を判別することが出来るため、これらそれぞれの硬化剤組成物を間違いなく使用することが出来るので、安定して鋳型を製造することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
<退色性の評価>
各硬化剤組成物の退色の有無については、各放置条件にて放置後、以下の判定基準に基づいて評価した。
「遮光25℃」は、25℃一定において完全に外からの光を遮り10日間放置した。「耐熱性(遮光50℃)」は、50℃一定において完全に外からの光を遮り10日間放置した。「耐光性(光25℃)」は直接太陽光を当てず、外光の当たる場所(建屋の北側の窓付近:300〜15000ルクス)にて朝から夜の一日を通して10日間放置した。(夜間の12時間は300ルクス以下であった。)判定基準は10日後に目視により青色系の第1液硬化剤組成物と赤色系の第2液硬化剤組成物が区別できる場合はA、不可能な場合はBとした。
【0056】
<着色剤の溶解度>
下記表1〜4に示すエステル化合物含有組成物(着色剤を除いた硬化剤組成物)100gに、下記表1〜4に示す各種着色剤0.2gを25℃で60分間、超音波をかけて溶解させ、不溶物が認められない時は、溶解度が0.2g以上とし、不溶物が認められた時は、溶解度が0.2g未満とした。
【0057】
<着色剤溶液の調製>
本発明では、着色剤が粉体であるので、確実に正確な濃度の着色剤を得る目的からマスターバッチとして0.2重量%の着色剤溶液を得て、それを更に希釈して以下の硬化剤組成物を得た。作業上の確実性と容易さの観点から0.2重量%の着色剤溶液とした。溶解度が0.2g未満のものは、不溶物が残存し、このようなマスターバッチが調整できなかった。従って、本発明の硬化剤組成物を希釈して得ることが出来なかったので、表1〜4には評価なしとして示した。
【0058】
製造例1〜8、比較製造例1
エステル化合物含有組成物としてDBEを60重量%含有したもの(エチレングリコールジアセテート/DBE/ベンジルアルコール/レゾルシン=10重量%/60重量%/20重量%/10重量%)を用い、これに表1に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第1硬化剤組成物を調製した。なお、本発明の実施例では、DBEとして、コハク酸ジメチル:13重量%、グルタル酸ジメチル:64重量%、アジピン酸ジメチル:23重量%の組成のものを使用した。
【0059】
製造例9〜19、比較製造例2
エステル化合物含有組成物としてDBEを92重量%含有したもの(DBE/レゾルシン/ポリオキシエチレンラウリルエーテル=92重量%/4重量%/4重量%)を用い、これに表1に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第1硬化剤組成物を調製した。DBEは上記製造例1〜8および比較製造例1で用いたものと同じものを用いた。
【0060】
【表1】

【0061】
表1の結果から、製造例1〜19に係る第1硬化剤組成物では、着色剤により青色系に着色され、かつ経時的な退色が防止されていることがわかる。一方、比較製造例1〜2に係る第1硬化剤組成物では、着色剤の溶解度が低いため、十分に識別可能な程度に着色することができなかった。
【0062】
製造例20〜30、比較製造例3〜4
エステル化合物含有組成物としてエチレングリコールジアセテートを90重量%含有したもの(エチレングリコールジアセテート/レゾルシン=90重量%/10重量%)を用い、これに表2に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第2硬化剤組成物を調製した。
【0063】
製造例31〜41、比較製造例5〜6
エステル化合物含有組成物としてトリアセチンを92重量%含有したもの(トリアセチン/レゾルシン/ポリオキシエチレンラウリルエーテル=92重量%/4重量%/4重量%)を用い、これに表2に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第2硬化剤組成物を調製した。
【0064】
【表2】

【0065】
表2の結果から、製造例20〜41に係る第2硬化剤組成物では、着色剤により赤色系に着色され、かつ経時的な退色が防止されていることがわかる。一方、比較製造例3〜6に係る第2硬化剤組成物では、着色剤の溶解度が低いため、十分に識別可能な程度に着色することができなかった。
【0066】
製造例42〜45、比較製造例7
エステル化合物含有組成物としてDBEを60重量%含有し(エチレングリコールジアセテート/DBE/ベンジルアルコール/レゾルシン=10重量%/60重量%/20重量%/10重量%)、これに表3に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第1硬化剤組成物を調製した。DBEは上記製造例1〜8および比較製造例1で用いたものと同じものを用いた。
【0067】
製造例46〜49
エステル化合物含有組成物としてDBEを92重量%含有し(DBE/レゾルシン/ポリオキシエチレンラウリルエーテル=92重量%/4重量%/4重量%)、これに表3に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第1硬化剤組成物を調製した。DBEは上記製造例1〜8および比較製造例1で用いたものと同じものを用いた。
【0068】
【表3】

【0069】
表3の結果から、製造例42〜49に係る第1硬化剤組成物では、着色剤により赤色系に着色され、かつ経時的な退色が防止されていることがわかる。一方、比較製造例7に係る第1硬化剤組成物では、着色剤の溶解度が低いため、十分に識別可能な程度に着色することができなかった。
【0070】
製造例50〜52、比較製造例8
エステル化合物含有組成物としてエチレングリコールジアセテートを90重量%含有し(エチレングリコールジアセテート/レゾルシン=90重量%/10重量)、これに表4に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第2硬化剤組成物を調製した。
【0071】
製造例53〜55、比較製造例9
エステル化合物含有組成物としてトリアセチンを92重量%含有し(トリアセチン/レゾルシン/ポリオキシエチレンラウリルエーテル=92重量%/4重量%/4重量%)、これに表4に記載の各着色剤を各濃度(対硬化剤組成物)にて配合することにより、第2硬化剤組成物を調製した。
【0072】
【表4】

【0073】
表4の結果から、製造例50〜55に係る第2硬化剤組成物では、着色剤により青色系に着色され、かつ経時的な退色が防止されていることがわかる。一方、比較製造例8および9に係る第2硬化剤組成物では、着色剤の溶解度が低いため、十分に識別可能な程度に着色することができなかった。
【0074】
実施例1
青色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例1、2、5、および6で得られたものを選択し、赤色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例23、24、27、および28で得られたものを選択した。製造例1、2、5、および6に係る青色系の第1硬化剤組成物のうち、任意の1種と、製造例23、24、27、および28に係る赤色系の第2硬化剤組成物のうち、任意の1種とを併用して16種の鋳型を製造したところ、2種類の硬化剤組成物は明確に目視にて判別できるため、作業性および安全性が良好であった。
【0075】
実施例2〜4
青色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例1、2、5、および6で得られたものを選択し、赤色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例31、34、35、38、および39で得られたものを選択した(実施例2)。また、青色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例12、13、16、および17で得られたものを選択し、赤色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例31、34、35、38、および39で得られたものを選択した(実施例3)。更に、青色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例12、13、16、および17で得られたものを選択し、赤色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例23、24、27、および28で得られたものを選択した(実施例4)。
【0076】
実施例1と同様に、各実施例(実施例2〜4)における青色系の第1硬化剤組成物の任意の1種と赤色系の第2硬化剤組成物の任意の1種とを併用して鋳型(実施例2:20種の鋳型、実施例3:20種の鋳型、実施例4:16種の鋳型)を製造したところ、2種類の硬化剤組成物は明確に目視にて判別できるため、いずれも作業性および安全性が良好であった。
【0077】
比較例1
青色系の第1硬化剤組成物として、着色剤の溶解度が低く、着色できない比較製造例1および2で得られたものを選択し、赤色系の第2硬化剤組成物として、着色できない比較製造例3、4、5および6で得られたものを選択した。比較製造例1および2に係る青色系の第1硬化剤組成物のうち、任意の1種と、比較製造例3、4、5および6に係る赤色系の第2硬化剤組成物のうち、任意の1種とを併用して8種の鋳型を製造したところ、2種類の硬化剤組成物は目視にて判別できないため、作業性および安全性が悪化した。
【0078】
実施例5〜8
赤色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例42〜45で得られたものを選択し、青色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例50〜52で得られたものを選択した(実施例5)。赤色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例42〜45で得られたものを選択し、青色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例53〜55で得られたものを選択した(実施例6)。また、赤色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例46〜49で得られたものを選択し、青色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例53〜55で得られたものを選択した(実施例7)。更に、赤色系の第1硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例46〜49で得られたものを選択し、青色系の第2硬化剤組成物として、着色性がよく、かつ経時的な色の退色を防止できる製造例50〜52で得られたものを選択した(実施例8)。
【0079】
実施例1と同様に、各実施例(実施例5〜8)における赤色系の第1硬化剤組成物の任意の1種と青色系の第2硬化剤組成物の任意の1種とを併用して鋳型(実施例5:12種の鋳型、実施例6:12種の鋳型、実施例7:12種の鋳型、実施例8:12種の鋳型)を製造したところ、2種類の硬化剤組成物は明確に目視にて判別できるため、いずれも作業性および安全性が良好であった。
【0080】
比較例2
赤色系の第1硬化剤組成物として、着色剤の溶解度が低く、着色できない比較製造例7で得られたものを選択し、青色系の第2硬化剤組成物として、着色できない比較製造例8および9で得られたものを選択した。比較製造例7に係る赤色系の第1硬化剤組成物と、比較製造例8および9に係る青色系の第2硬化剤組成物のうち、任意の1種とを併用して2種の鋳型を製造したところ、2種類の硬化剤組成物は目視にて判別できないため、作業性および安全性が悪化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性粒状材料、水溶性フェノール樹脂、および硬化剤組成物を用いる鋳型の製造方法であって、
前記硬化剤組成物が、エステル化合物と着色剤とを含有するものであって、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有する硬化剤組成物、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有する硬化剤組成物、およびエステル化合物としてγ―ブチロラクトンを50重量%以上含有する硬化剤組成物から選択される少なくとも2種類の硬化剤組成物を含有し(但し、選択された少なくとも2種類の前記硬化剤組成物は、互いに異なる着色剤で着色されたものとする)、
25℃での前記着色剤の溶解度が、着色剤を除いた硬化剤組成物100gに対して0.2g以上である鋳型の製造方法。
【請求項2】
選択された少なくとも2種類の前記硬化剤組成物が含有する各々の着色剤は、マンセル表色系において、色相環1周を100で表した場合の色相間隔が、10以上離れている請求項1に記載の鋳型の製造方法。
【請求項3】
前記硬化剤組成物における前記着色剤の含有量が、0.0001〜1重量%である請求項1又は2に記載の鋳型の製造方法。
【請求項4】
2種類以上の前記硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤組成物と、
エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、硬化剤組成物である請求項1〜3の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
【請求項5】
2種類以上の前記硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤として6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤組成物と、
エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、硬化剤組成物である請求項1〜3の何れか1項に記載の鋳型の製造方法。
【請求項6】
着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、前記着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キットであって、
前記それぞれの硬化剤組成物が着色剤を0.0001〜1重量%含有し、
前記第1硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
前記第2硬化剤組成物が、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、硬化剤キット。
【請求項7】
着色剤を含有する第1硬化剤組成物と、前記着色剤とは異なる色の着色剤を含有する第2硬化剤組成物とからなる硬化剤キットであって、
前記それぞれの硬化剤組成物が着色剤を0.0001〜1重量%含有し、
前記第1硬化剤組成物が、エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、かつ着色剤として6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有し、
前記第2硬化剤組成物が、エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、硬化剤キット。
【請求項8】
鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、前記着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤組成物。
【請求項9】
鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤として1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤組成物。
【請求項10】
鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物として2塩基酸エステルを50重量%以上含有し、前記着色剤として6−(シクロヘキシルアミノ)−3−メチル−3H−ジベンゾ[f、ij]イソキノリン−2,7−ジオン、1−シクロヘキシルアミノ−9,10−アントラセンジオン、1−(メチルアミノ)−9,10−アントラキノン、および1−アミノ−4−ヒドロキシ−2−フェノキシアントラキノンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤組成物。
【請求項11】
鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、エステル化合物と着色剤とを含有し、前記エステル化合物としてトリアセチンおよびエチレングリコールジアセテートの少なくとも1種を50重量%以上含有し、かつ着色剤としてα,α−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−4−(エチルアミノ)−1−ナフタレンメタノール、1,4−ビス[(2−エチルヘキシル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン、および4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−1H−ナフト[2,3−f]イソインドール−1,3,5,10(2H)−テトラオンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する硬化剤組成物。