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鋳片表面温度計測方法および鋳片表面温度計測装置
説明

鋳片表面温度計測方法および鋳片表面温度計測装置

【課題】計測装置の設置場所の制限を受けることなく連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測すること。
【解決手段】ホーンアンテナ102によって連続鋳造機内の鋳片7から放射されたミリ波領域の電磁波を受信し、ホーンアンテナ102によって受信されたミリ波領域の電磁波を用いて鋳片7の表面温度を計測する。このような構成によれば、計測装置を小型化することができるので、計測装置の設置場所の制限を受けることなく連続鋳造機内における鋳片7の表面温度を計測することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機内の鋳片の表面温度を計測する鋳片表面温度計測方法および鋳片表面温度計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造工程は、鋳型にて一次冷却することで周囲に凝固シェルが形成された鋳片を連続的に引き抜き、サポートロール群を形成する各ロール間隙に設けられたスプレーノズルからスプレーされる冷却水による二次冷却を行って内部まで完全に凝固させることによって、スラブ,ブルーム,ビレットなどの鋳片を製造する鋳片の製造方法の一つである。この連続鋳造における1次冷却、2次冷却は鋳片の安定製造と品質の維持という観点で極めて重要である。1次冷却が不十分な場合、表面の凝固層が鋳型を出た後で再融解し、内部の未凝固の溶鋼が漏れ出すブレークアウトが発生することがある。また、1次、2次冷却において均一な冷却が実現できていない場合、鋳片表面に温度むらに起因する割れの発生や、曲げ、矯正時の割れ発生を誘発するケースなども見られる。さらに高速鋳造時に2次冷却が不足した場合、連続鋳造機端で鋳片を切断機によって切断した際に中心部から未凝固の溶鋼が漏れ出す場合も発生し得る。
【0003】
このため、連続鋳造機内での鋳片の凝固過程を伝熱モデルを用いて予測したり、連続鋳造機端付近に配置された超音波センサを利用して鋳片内部の凝固状態を把握する手法がある。しかしながら、伝熱モデルを用いて鋳片内部の凝固状態を予測する場合、鋳片内部の凝固状態を正確に予測するためには、鋳型内の鋳片の温度を常時計測する必要がある。一方、機端の超音波センサを利用して鋳片内部の凝固状態を計測する場合には、連続鋳造機機端付近における鋳片内部の凝固状態がわかるだけであるため、冷却条件の変更が有効になるのはその後の鋳造分だけであって、現在機内にある鋳片にはほとんど反映できず、速やかな条件変更ができない。
【0004】
そこで、近年、鋳型から連続鋳造機端までの間の連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する発明が提案されている(特許文献1,2,3参照)。具体的には、特許文献1記載の発明は、赤外線放射温度計を用いて連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する。特許文献2記載の発明は、渦流センサを用いて連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する。特許文献3記載の発明は、鋳片から放射されるマイクロ波を利用して連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する。このような発明によれば、鋳片の表面温度を計測することによって、伝熱モデルを用いた鋳片内部の凝固状態の予測精度を向上させることができる。また、鋳型により近い箇所で鋳片の表面温度を計測し、計測結果に基づいて鋳片内部の凝固状態を推定できるので、推定された凝固状態に基づく速やかな2次冷却制御も可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−195959号公報
【特許文献2】特開2008−256605号公報
【特許文献3】特開昭62−269029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3記載の発明には、以下に示すような問題がある。
【0007】
特許文献1記載の発明は、赤外線放射温度計を用いて連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する。ところが、赤外線放射温度計の計測精度は水蒸気や水の存在によって大きく変化する。一般に、連続鋳造機内には、高温の水蒸気が大量に存在する。このため、特許文献1記載の発明では、鋳片の表面温度を計測する際、赤外線放射温度計の計測精度を向上させるために、鋳片表面への冷却水の噴霧を一時的に中断し、水蒸気が発生しない環境としてから鋳片の表面温度を計測する。しかしながら、冷却水の噴霧を一時的に中断した場合には、鋳片が冷却されなくなるために、鋳片の凝固層が薄い箇所などでは、復熱,再融解によってブレークアウトが発生する可能性がある。このため、赤外線放熱温度計の設置場所は、鋳片の凝固層が十分に厚くなる場所に限定されてしまう。
【0008】
特許文献2記載の発明は、渦流センサを用いて連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する。渦流センサの計測精度は、赤外線放射温度計と違い、水や水蒸気の影響を受けにくい。しかしながら、渦流センサの計測精度を向上させるためには、渦流センサを構成する電磁コイルを大きくする必要があることから、赤外線放射温度計と同様、設置場所が限られてしまう。一方、小さい電磁コイルを用いて渦流センサを構成した場合、渦流センサの計測精度を向上させるためには渦流センサと鋳片との間の距離を短くする必要があることから、渦流センサの耐熱性が問題となる。また、鋳片と渦流センサとが接触した場合には、渦流センサが故障する可能性がある。
【0009】
特許文献3記載の発明は、鋳片から放射されるマイクロ波を利用して連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測する。マイクロ波の波長は1〜10cmと長いために、渦流センサと同様、その計測精度は水や水蒸気の影響を受けにくい。しかしながら、鋳片から放射されるマイクロ波の強度は非常に弱い。このため、マイクロ波を利用して鋳片の表面温度を計測する場合には、鋳片から放射されたマイクロ波を集束するためのアンテナが必要になることから、計測装置の構成が大きくなり、赤外線放射温度計や渦流センサと同様、設置場所が限られてしまう。
【0010】
このように、特許文献1〜3記載の発明によれば、計測装置の設置場所が限定されるために、鋳片の任意の位置における表面温度を計測し、計測結果に基づいて鋳片の凝固状態を最適に制御することが困難であった。鋳片の凝固状態を最適に制御することは、鋳片の品質や生産効率を向上させる上で重要である。このため、計測装置の設置場所の制限を受けることなく連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測可能な鋳片表面温度計測方法および鋳片表面温度計測装置の提供が望まれている。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、計測装置の設置場所の制限を受けることなく連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測可能な鋳片表面温度計測方法および鋳片表面温度計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋳片表面温度計測方法は、連続鋳造機内の鋳片から放射されたミリ波領域の電磁波を受信する受信ステップと、受信ステップによって受信されたミリ波領域の電磁波を用いて鋳片の表面温度を計測するステップと、を含む。
【0013】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋳片表面温度計測装置は、連続鋳造機内の鋳片を搬送するロールと鋳片との接触点又は接触点から電磁波を受信するアンテナまでの電波経路において放射されたミリ波領域の電磁波を受信する受信部と、受信部によって受信されたミリ波領域の電磁波を用いて鋳片の表面温度を算出する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る鋳片表面温度計測方法および鋳片表面温度計測装置によれば、計測装置を小型化することができるので、計測装置の設置場所の制限を受けることなく連続鋳造機内における鋳片の表面温度を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である連続鋳造機の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である表面温度計測装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示すホーンアンテナの配置位置を示す模式図である。
【図4】図4は、ホーンアンテナが2枚の金属板の接触点から放射された電磁波を受信する様子を示す模式図である。
【図5】図5は、本願発明および熱電対を用いた鋳片の表面温度の計測結果を示す図である。
【図6】図6は、ホーンアンテナの配置位置の変形例を示す模式図である。
【図7】図7は、ロールと鋳片との接触点,ホーンアンテナ,および反射鏡の配置位置関係を説明するための模式図である。
【図8】図8は、図1に示す連続鋳造機の動作を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、図2に示す表面温度計測装置の変形例の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である連続鋳造機の構成について説明する。
【0017】
〔連続鋳造機の概略構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である連像鋳造機の概略構成について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である連続鋳造機の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である連続鋳造機1は、図示しない取鍋から溶鋼2が注入されるタンディッシュ3と、浸漬ノズル4を介してタンディッシュ3から注がれた溶鋼2を表面の凝固シェル5が樹枝状晶に成長するまで整形しつつ半凝固させる銅製の鋳型6と、鋳型6から半凝固状態の鋳片7を垂直下方に引き抜きつつ冷却する鋳片支持ロール8aと、鋳片支持ロール8aによって引き抜かれた鋳片7を冷却搬送する鋳片支持ロール8bと、鋳片支持ロール8bによって搬送された鋳片7を水平方向に冷却搬送する鋳片支持ロール8cと、鋳片支持ロール8cによって搬送された鋳片7を所定の長さに切断するガス切断機9と、を備える。ガス切断機9によって切断された鋳片7は、圧延工程等の後工程へと順次送られる。
【0019】
タンディッシュ3と浸漬ノズル4との間には、スライディングノズル10が設けられている。スライディングノズル10は、浸漬ノズル4から鋳型6へと単位時間あたりに注がれる溶鋼2の量を調整する。
【0020】
〔表面温度計測装置の構成〕
図2および図3を参照して、本発明の一実施形態である表面温度計測装置100の構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態である表面温度計測装置100の構成を示すブロック図である。図3は、図2に示すホーンアンテナ102の配置位置を示す模式図である。
【0021】
図2に示すように、表面温度計測装置100は、ホーンアンテナ102,導波管103,吸入口104,変換器105,増幅回路(AMP)106,アイソレータ107,増幅回路(AMP)108,デバイダ109,94GHz発振器110,ハイブリッドデバイダ111,ミキサ112,ミキサ113,および演算部114を備える。
【0022】
ホーンアンテナ102は、図3に示すように、鋳片支持ロールを構成するロール12aとロール12bとの間に、受信面が鋳片ロール12aと鋳片7との接触点Pに向くように配置されている。ホーンアンテナ102は、受信面において受信したミリ波を導波管103に給電する。本実施形態では、ミリ波とは、1〜10mm程度の波長を有する電磁波を意味する。
【0023】
ここで、図4を用いて、ホーンアンテナ102の受信面をロール12aと鋳片7との接触点Pに向ける理由について説明する。図4は、ホーンアンテナ102が2枚の金属板ABおよび金属板ACの接触点Aから放射された電磁波Lを受信する様子を示す模式図である。
【0024】
金属板ABおよび金属板ACの(放射率,反射率,温度)をそれぞれ(ε1,r1,T1),(ε2,r2,T2)とし、接触点Aから放射された電磁波Lが金属板ABおよび金属板ACでそれぞれn回およびm回反射すると仮定すると、金属板ABの温度T1と金属板ACの温度T2とが等しい時には、ホーンアンテナ102が受信する電磁波LのエネルギーEは以下の数式(1)によって表される。
【0025】
【数1】

【0026】
ここで、数式(1)中におけるパラメータEb(T1)は、温度T1における黒体放射エネルギーを示す。また、パラメータε1*およびパラメータε2*はそれぞれ、複数回の反射および放射の積分値を示し、以下の数式(2)および数式(3)によって表される。なお、これらの数式の詳細については参考文献(ISIJ, ‘83-S1223, P.169)を参照のこと。
【0027】
【数2】

【数3】

【0028】
電磁波Lの周波数および波長をそれぞれ100GHz,3.3mm、金属板ABおよび金属板ACを表面に酸化膜が形成されていない鉄(放射率:ε1=ε2=0.01,反射率:r1=r2=0.99)とすると、ホーンアンテナ102が2枚の金属板ABおよび金属板ACの接触点Aから放射された電磁波Lを受信する場合、パラメータε1*とパラメータε2*との和(ε1*+ε2*)の値は約0.065となる。一方、ホーンアンテナ102を金属板ACに正対させることによって、反射成分を考慮せずに金属板ACから放射される放射成分のみを受信する場合には、パラメータr1,r2の値を0として、パラメータε1*とパラメータε2*との和(ε1*+ε2*)の値は約0.01となる。
【0029】
このことから、ホーンアンテナ102が2枚の金属板ABおよび金属板ACの接触点Aから放射された電磁波Lを受信する場合、ホーンアンテナ102が受信する電磁波LのエネルギーEは、ホーンアンテナ102を金属板ACに正対させた場合にホーンアンテナ102が受信する電磁波LのエネルギーEの約6.5倍になることがわかる。一般に、金属表面は反射率が高いために、金属表面から放射されるミリ波の強度は低い。従って、ホーンアンテナ102の受信面をロール12aと鋳片7との接触点Pに向けることによって、ホーンアンテナ102が受信するミリ波のエネルギー量を増加させ、ミリ波を感度良く受信することができる。
【0030】
なお、実際にロール12aと鋳片7との接触点Pをライン方向から観察すると、鋳片7の赤みの色は確認できるが、鏡面反射のように外部からの光が反射して見えることがなく、温度が低い時には接触点P付近は影によって暗くなっている。これは、観察方向に到達する反射成分が低いことが意味する。従って、ホーンアンテナ102の受信面をロール12aと鋳片7との接触点Pに向けて配置した場合には、ホーンアンテナ102が受信する反射量が小さくなり、ホーンアンテナ102が受信する放射量が見かけ上大きくなる。これにより、電磁波の受信系のみで鋳片7の表面温度を計測することができる。
【0031】
導波管103は、中空状の金属部材によって構成され、ホーンアンテナ102に接続されている。導波管103は、ホーンアンテナ102が受信したミリ波信号を導波する。吸入口104は、導波管103の端部に設けられ、導波管103からホーンアンテナ102へと冷却風を通風することによって導波管103内の水蒸気を減少させる。同軸変換器105は、導波管103によって導波されたミリ波信号を同軸モードに変換した後、同軸ケーブルにミリ波信号を伝送する。
【0032】
ホーンアンテナ102と導波管103とは、金属加工物であるので、鋳片7に接触したり、鋳片7からの熱によって劣化したりした場合であっても、ホーンアンテナ102と導波管103との交換のみで済む。また、ホーンアンテナ102が受信したミリ波信号は、導波管103を介して同軸変換器105に導波されるので、ホーンアンテナ102と同軸変換器105とを離間配置し、鋳片7の直上にはホーンアンテナ102と導波管103のみが配置された簡素な構成にすることができる。但し、ホーンアンテナ102と同軸変換器105との間の距離が長いと検出誤差の原因になるので、導波管103の長さは可能な限り短い方がよい。
【0033】
増幅回路106は、同軸変換器105によって伝送されたミリ波信号を増幅する。アイソレータ107は、増幅回路106によって増幅されたミリ波信号から同軸変換器105で発生する反射波信号や外部から混入する逆方向信号を除去する。増幅回路108は、アイソレータ107から出力されたミリ波信号を増幅する。デバイダ109は、増幅回路108によって増幅されたミリ波信号を同相成分信号と直交成分信号とに分離し、分離された同相成分信号と直交成分信号とをそれぞれミキサ112およびミキサ113に入力する。
【0034】
発振器110は、94GHzの周波数を有するミリ波を基準搬送波として発振する。ハイブリッドデバイダ111は、発振器110によって発振された基準信号に0°および90°の位相変化を与え、0°および90°の位相変化が与えられた基準信号をそれぞれミキサ112およびミキサ113に入力する。ミキサ112は、デバイダ109から入力された同相成分信号とハイブリッドデバイダ111から入力された基準信号とをミキシングすることによって、同相成分信号を生成する。
【0035】
ミキサ113は、デバイダ109から入力された直交成分信号とハイブリッドデバイダ111から入力された基準信号とをミキシングすることによって、直交成分信号を生成する。演算部114は、ミキサ112およびミキサ113から入力された同相成分信号と直交成分信号との二乗和を演算し、演算された二乗和の平方根を鋳片7の表面温度の情報として情報処理装置200に入力する。なお、表面温度計測装置100に演算部114を設けずに、情報処理装置200がミキサ112およびミキサ113から入力された同相成分信号と直交成分信号との二乗和を演算するようにしてもよい。
【0036】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である連続鋳造機1によれば、表面温度計測装置100が、連続鋳造機1内の鋳片7から放射されたミリ波領域の電磁波を受信し、受信されたミリ波領域の電磁波を用いて鋳片7の表面温度を計測する。このような構成によれば、表面温度計測装置100を小型化することができるので、計測装置の設置場所の制限を受けることなく連続鋳造機1内における鋳片7の表面温度を計測できる。
【0037】
ミリ波は、マイクロ波と比較すると指向性が高い。一般に、集束性に優れたアンテナを用いたとしても焦点の広がりは波長以下にはならないので、表面温度の計測点が狭い場合には、より指向性が高いアンテナを用いることが望ましい。従って、マイクロ波と比較して波長が短いミリ波領域の電磁波を用いる鋳片7の表面温度を計測することによって、表面温度の計測点が狭い場合であっても、指向性が高いアンテナを用いて鋳片7の表面温度を計測することができる。
【0038】
本発明の一実施形態である連続鋳造機1によれば、表面温度計測装置100は、受信面が鋳片7を搬送するロール12aと鋳片7との接触点Pに向けて配置されたホーンアンテナ102を用いてミリ波領域の電磁波を受信するので、ミリ波領域の電磁波を高感度に受信し、鋳片7の表面温度を精度よく計測することができる。ここで、鋳片7の表面温度の計測結果を図5に示す。図5に示す実線および破線はそれぞれ、本願発明および熱電対を用いた鋳片の表面温度の計測結果を示す。図5に示すように、本願発明によれば、熱電対による計測結果に対し10℃程の誤差で鋳片7の表面温度を計測することができることがわかる。
【0039】
なお、図5に示すように、計測される表面温度は時間に応じて増減する。従って、表面状態や周囲環境によって表面温度の計測誤差が増加する可能性がある場合には、表面温度計測装置100は、鋳片7の表面温度の計測時間を長くし、計測時間内における表面温度の平均値を鋳片7の表面温度として算出してもよい。
【0040】
本実施形態では、ホーンアンテナ102の受信面を鋳片ロール12aと鋳片7との接触点Pに向けるように配置したが、図6に示すように、鋳片7から放射されるミリ波をホーンアンテナ102側に集束させる反射鏡101を設けてもよい。この場合、図7に示すように、反射鏡101は、ロール12aと鋳片7との接触点およびホーンアンテナ102の配置位置をそれぞれ焦点位置Aおよび焦点位置Bとする楕円面Rの一部を反射面として有する。また、実際に計測される温度はロールと鋳片の平均値になるが、その補正がオフセット補正や線形的な補正である場合もあるが、環境により冷却状況などが複雑な場合には熱伝導モデルから鋳片の表面温度を高精度に求めることも可能である。
【0041】
集束装置の大きさは、集束させる電磁波の波長の増加に応じて大きくなる。従って、ミリ波を集束させる場合には、集束装置の小型化が可能となり、ロール間等の狭い場所にも集束装置を設置することができる。なお、鋳片7から放射されるミリ波をホーンアンテナ102側に集束させる集束装置は反射鏡101に限定されることはなく、設置スペースや周辺構造との干渉等を考慮してパラボラアンテナや電磁波レンズ等のその他の集束装置を用いてもよい。但し、水滴等の付着を防ぐために集束装置の温度は100℃以上に保つことが望ましい。
【0042】
〔制御装置の構成〕
図8を参照して、連続鋳造機1の動作を制御する制御装置の構成について説明する。
【0043】
図8は、連続鋳造機1の動作を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。図8に示すように、制御装置は、表面温度計測装置100と情報処理装置200とを備える。表面温度計測装置100は、鋳片7の表面温度に関する情報を計測し、計測された情報を情報処理装置200に入力する。本実施形態では、表面温度計測装置100は、鋳片支持ロール8a又は鋳片支持ロール8b付近に配置され、鋳片支持ロール8a又は鋳片支持ロール8bによって冷却搬送される鋳片7の表面温度に関する情報を計測する。表面温度計測装置100は、本発明に係る受信部および演算部して機能する。
【0044】
情報処理装置200は、マイクロコンピュータ等の演算処理装置によって構成され、凝固層厚さ計算部201を備える。凝固層厚さ計算部201は、表面温度計測装置100から入力された鋳片7の表面温度に関する情報を用いて鋳片7の凝固層の厚さを計算する。情報処理装置200は、凝固層厚さ計算部201によって計測された凝固層の厚さに基づいて連続鋳造機1の動作を制御する。具体的には、情報処理装置200は、凝固層厚さ計算部201によって計測された凝固層の厚さに基づいて流動制御指令や冷却制御指令を出力することによって、浸漬ノズル4から鋳型6に注がれる溶鋼2の量や鋳片7の冷却温度をフィードバック制御する。また、情報処理装置200は、凝固層厚さ計算部201によって計測された凝固層の厚さに基づいて凝固層の割れや鋳片7の凝固完了点を予測し、予想結果に基づいて鋳片7の引き抜き速度や冷却水の温度をフィードフォワード制御する。
【0045】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。例えば、本実施形態では、図9に示すように、鋳片7の幅方向にホーンアンテナ102を複数配置し、鋳片7の幅方向の複数点における表面温度を計測するようにしてもよい。また、本実施形態では、94GHzの周波数で検波したが、94±0.1GHzの周波数で検波して100MHzの中間周波数を有する同相成分信号と直交成分信号を生成した後、100MHzの周波数で検波するようしてもよい。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 連続鋳造機
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 浸漬ノズル
5 凝固シェル
6 鋳型
7 鋳片
8a,8b,8c 鋳片支持ロール
9 ガス切断機
100 表面温度計測装置
101 反射鏡
102 ホーンアンテナ
103 導波管
104 吸入口
105 変換器
106,108 増幅回路(AMP)
107 アイソレータ
109 デバイダ
110 94GHz発振器
111 ハイブリッドデバイダ
112,113 ミキサ
114 演算部
200 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造機内の鋳片から放射されたミリ波領域の電磁波を受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信されたミリ波領域の電磁波を用いて前記鋳片の表面温度を計測するステップと、
を含むことを特徴とする鋳片表面温度計測方法。
【請求項2】
受信面が鋳片を搬送するロールと鋳片との接触点に向けて配置されたアンテナを用いて前記ミリ波領域の電磁波を受信することを特徴とする請求項1に記載の鋳片表面温度計測方法。
【請求項3】
前記アンテナは、前記ミリ波領域の電磁波を集束させて受信する集束機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の鋳片表面温度計測方法。
【請求項4】
前記鋳片の幅方向に前記アンテナを複数配置し、該複数のアンテナを用いて該鋳片の幅方向の複数点における表面温度を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳片表面温度計測方法。
【請求項5】
連続鋳造機内の鋳片を搬送するロールと鋳片との接触点又は接触点から電磁波を受信するアンテナまでの電波経路において放射されたミリ波領域の電磁波を受信する受信部と、
前記受信部によって受信されたミリ波領域の電磁波を用いて前記鋳片の表面温度を算出する演算部と
を備えることを特徴とする鋳片表面温度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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