鋳物砂の吹き込み装置、及び鋳物砂の吹き込み方法
【課題】汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる鋳物砂の吹き込み装置を提供する。
【解決手段】砂鋳型造型用の金型1の外周面に形成されると共に金型1のキャビティに連通する複数の吹き込み口5・5・・・を通じて、金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置10であって、内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部13、及び収容部13内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に吹き込み口5に係合可能なノズル部14を有する容器11を吹き込み口5・5・・・の数と同数備える容器群と、前記容器群の各容器11の各収容部13に接続され、各収容部13内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で各収容部13内の鋳物砂を金型1のキャビティ内に吹き込むエア供給装置及び各エアホース12とを備える。
【解決手段】砂鋳型造型用の金型1の外周面に形成されると共に金型1のキャビティに連通する複数の吹き込み口5・5・・・を通じて、金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置10であって、内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部13、及び収容部13内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に吹き込み口5に係合可能なノズル部14を有する容器11を吹き込み口5・5・・・の数と同数備える容器群と、前記容器群の各容器11の各収容部13に接続され、各収容部13内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で各収容部13内の鋳物砂を金型1のキャビティ内に吹き込むエア供給装置及び各エアホース12とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物砂を砂鋳型造型用の型のキャビティ内に吹き込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳物を製造する際に用いる鋳型として、鋳物砂から造型される砂鋳型がある。砂鋳型の造型は、目的とする砂鋳型と同じ形状のキャビティ面を有する砂鋳型造型用の型(金型)のキャビティ内に鋳物砂が吹き込まれ、さらにこのキャビティ内に吹き込まれた鋳物砂が硬化されることにより行われる。なお、金型の外周面には金型のキャビティに連通する吹き込み口が形成されており、当該吹き込み口からキャビティ内に鋳物砂が吹き込まれる。
従来、図14(a)に示すように、キャビティ内に鋳物砂を吹き込む際に、内部に鋳物砂を収容可能な収容部110、及び収容部110内の鋳物砂を噴出するノズル部120・120・・・を有する吹き込み装置100が用いられている。具体的には、上記各ノズル部120と吹き込み口とを係合し、この状態で各ノズル部120から収容部110内の鋳物砂を噴出することにより、この噴出した鋳物砂がキャビティ内に吹き込まれる(図14(b)参照)。
一般に、吹き込み口の数や配置位置は、造型対象である砂鋳型の形状等に応じて適宜設定されており、金型の種類毎に異なる。
【0003】
例えばエンジンのシリンダーヘッドのように、複数の種類の砂鋳型を用いて製造されるものがある(エンジンのシリンダーヘッドで、約10〜12種類の砂鋳型が用いられる)。この場合、各砂鋳型を造型するためには、砂鋳型の種類毎に対応する種類の金型がそれぞれ用いられる。
ここで、前述のように金型の種類毎に吹き込み口の数や配置位置が異なるので、例えば吹き込み口の数が三つの金型200に対しては三つの各ノズル部120を有する収容部110(図14(a)参照)、吹き込み口の数が二つの金型210に対しては二つの各ノズル部120を有する収容部130(図15参照)といった具合に、金型の種類毎にノズル部の数や配置位置が適宜設定された専用の吹き込み装置が必要になってくる。
しかし、このように金型の種類毎に専用の吹き込み装置を用意すると、装置の製造コストがかかり、さらに装置の保管スペースについて広いスペースが必要になる点で不利である。従って、実用性を考慮すると、種類の異なる金型に対しても鋳物砂を吹き込むことが可能な装置の方が好ましい。
【0004】
特許文献1に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、複数のノズル部が所定位置に配置されたブロープレート、及び各ノズル部の開閉手段を備える。そして、開閉手段で各ノズル部を適宜開放・閉鎖し、開放したノズル部と金型の吹き込み口とを係合し、さらに開放したノズル部から鋳物砂を噴出し、これによりキャビティ内に鋳物砂を吹き込む。
これによると、各ノズル部を適宜開放・閉鎖することにより鋳物砂が噴出する位置を変更できるので、種類の異なる金型にも対応することが可能になる。
しかし、ブロープレート上に配置された各ノズル部の位置関係を変更できず、予定している複数種類の金型にのみ対応できるように構成しているので、汎用性に劣る点で不利である。
そこで、ブロープレート上に新たにノズル部を設けていくと、対応できる金型の種類を追加することも可能である。しかし、追加対応させる金型の種類毎に、ブロープレート上にノズル部の配置位置を新たに設定していく必要があり、煩雑な作業を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−117395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる鋳物砂の吹き込み装置、及び鋳物砂の吹き込み方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数備える容器群と、前記容器群の各容器の各収容部に接続され、前記各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む気体供給手段とを備える。
【0008】
請求項2に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記気体供給手段は、前記各収容部内に供給する気体の気圧を前記収容部毎に制御可能である。
【0009】
請求項3に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記各収容部の内周面には、前記噴出部に向かって傾斜して、前記噴出部に連なる傾斜部が形成される。
【0010】
請求項4に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、前記各収容部に接続され、前記鋳物砂の硬化を促進する気体を前記各収容部を通じて前記型のキャビティ内に供給する硬化ガス供給手段を備える。
【0011】
請求項5に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、を有する容器を、前記複数の吹き込み口の数と同数備える。
【0012】
請求項6に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記圧縮気体は、前記鋳物砂の硬化を抑制する気体である。
【0013】
請求項7に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記各容器の各収容部の内周面には、前記開口部に向かって傾斜して、前記開口部に連なる傾斜部が形成される。
【0014】
請求項8に記載の鋳物砂の吹き込み方法は、砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂を収容して、前記各容器の各噴出部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、前記各容器の各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む。
【0015】
請求項9に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に供給される気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0016】
請求項10に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0017】
請求項11に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0018】
請求項12に記載の鋳物砂の吹き込み方法は、砂鋳型造型用の型の外周に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂及び前記圧縮気体を収容して、前記各開閉部で前記各開口部を閉じることにより前記各収容部を密封して、前記各容器の前記開口部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、前記各開閉部で前記各開口部を開けることにより前記各収容部を開封し、前記各収容部内の圧縮気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む。
【0019】
請求項13に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される圧縮気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0020】
請求項14に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0021】
請求項15に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第一実施形態の概略構成図である。
【図2】鋳物砂吹き込み完了後の金型のキャビティ内を示す図である。
【図3】金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの順序を示す図であり、(a)は各容器を用意した状態を示し、(b)は各容器のノズルを金型の各吹き込み口に係合した状態を示し、(c)は各容器の収容部に各エアホースを接続した状態を示す。
【図4】図3に示す金型とは種類の異なる金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの順序を示す図である。
【図5】傾斜部を示す図である。
【図6】本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第二実施形態の概略構成図である。
【図7】鋳物砂吹き込み完了後の金型のキャビティ内を示す図である。
【図8】開閉部の一例を示す図であり、(a)は開閉部が開口部を閉じた状態を示し、(b)は開閉部が開口部を開けた状態を示す。
【図9】治具を上方から見た図である。
【図10】開閉部及び治具を示す図であり、(a)は図8(a)に示す開閉部及び治具の拡大図であり、(b)はその変形例である。
【図11】開閉部の一例を示す図であり、(a)は開閉部が開口部を閉じた状態を示し、(b)は開閉部が開口部を開けた状態を示す。
【図12】図11に示す開閉部を上方から見た図である。
【図13】金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの順序を示す図であり、(a)は各容器を用意した状態を示し、(b)は各容器の開口部を金型の各吹き込み口に係合した状態を示す。
【図14】従来の鋳物砂の吹き込み装置を示す図である。
【図15】従来の鋳物砂の吹き込み装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
以下に、本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第一実施形態である鋳物砂の吹き込み装置10について、図面を参照して説明する。
【0025】
吹き込み装置10は、砂鋳型造型用の型(金型)1のキャビティ内に鋳物砂(砂に粘結剤等を混合したもの)を吹き込む装置である。
吹き込み装置10が金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むことにより、金型1のキャビティの形状に応じた砂鋳型が造型される(図1及び図2参照)。
砂鋳型は、鋳物砂から造型された鋳型である。砂鋳型には、鋳物の外形を成形する外型や、中空部分を含む鋳物を製造するときに用いられ鋳物の内形を成形する中子等がある。
図1に示すように、金型1は、上型2、及び上型2と衝合可能な下型3を有する。そして、上型2と下型3とが衝合された状態にて、金型1内(上型2と下型3との間)にキャビティが形成される。キャビティは、成形の目的とする砂鋳型と同じ形状を有する内部空間であり、成形面となるキャビティ面を有する。
金型1には、鋳物砂を前記キャビティ内に流入するための流路4・4・・・が形成されている。流路4・4・・・の一端は金型1の外周面で開口して吹き込み口5・5・・・をなし、他端は金型1のキャビティに接続されている。つまり、流路4・4・・・は、金型1のキャビティの内外を連通する連通路である。
なお、吹き込み口5・5・・・の数や配置位置、つまり流路4・4・・・の数や配置位置は、造型対象である砂鋳型の形状等に応じて適宜設定されており、金型1の種類毎に異なる。
【0026】
吹き込み装置10は、容器11・11・・・、エアホース12、エア供給装置(不図示)、アミンガス供給装置(不図示)を備える。
【0027】
各容器11は、エアホース12を介してエア供給装置又はアミンガス供給装置と接続可能に構成されている。
例えば、エアホース12の端部をエア供給装置又はアミンガス供給装置に対して着脱容易な形態に構成し、適宜着脱することにより、エアホース12の接続対象を切り替える構成、若しくは、適宜の切替え弁を介してエアホース12にエア供給装置及びアミンガス供給装置を接続し、前記切替え弁を切り替えることにより、エアホース12の接続対象を切り替える構成等が適用できる。このようにして、容器11・11・・・内にエアホース12・12・・・を介してエア又はアミンガスを供給可能とする構成である。
【0028】
容器11・11・・・及びそれらに接続されるエアホース12・12・・・の数は、金型1に形成されている吹き込み口5・5・・・の数と一致し、金型1の種類(吹き込み口5・5・・・の数)に応じて変更される。以下では、容器11・11・・・のうちの任意の一つの容器11について説明する。
【0029】
容器11は、内部に鋳物砂を収容可能な収容部13、及び収容部13内(収容部13の内周面で囲まれる空間内)に収容される鋳物砂を噴出するノズル部14を備える。容器11は、中空の四角柱形状に形成されている。
【0030】
収容部13は、容器11の内部に形成される略四角柱形状の空間であり、両端に開口を有する。収容部13内に鋳物砂を収容可能に構成されている。
収容部13の一端(金型1に設置した際に重力が作用する向きとなる側であり、図1における下端)の開口は、ノズル部14と接続されている。また、収容部13の他端の開口は、エアホース12と接続可能に構成されている。
【0031】
収容部13の内周面には、一端に向かうに従い内方に傾斜して(ノズル部14に向かって連続的に傾斜して)、ノズル部14に連なる傾斜部15が形成されている。つまり、収容部13内における傾斜部15の形成箇所の断面形状は、ノズル部14に向けて狭くなるテーパ形状になる。そして、傾斜部15により収容部13内の鋳物砂がノズル部14へと誘導されるように構成されている。
【0032】
ノズル部14は、基端部から先端部まで貫通した孔が形成された筒状の部材である。
ノズル部14の基端部は、収容部13の一端の開口と接続されており、収容部13内に収容されている鋳物砂が、ノズル部14の孔を通じてノズル部14の先端部から噴出可能に構成されている。
ノズル部14の先端部は、吹き込み口5の形状に応じた形状に形成されており、吹き込み口5と係合可能に構成されている。
【0033】
収容部13の他端の開口は、両端が開口する管状の部材であるエアホース12の一端と接続可能に構成されている。
エアホース12の他端は、エア供給装置又はアミンガス供給装置と接続可能に構成されている。
収容部13がエアホース12を介してエア供給装置と接続されているときは、エア供給装置からエアホース12を通じて収容部13内にエアを供給できる。
また、収容部13がエアホース12を介してアミンガス供給装置と接続されているときは、アミンガス供給装置からエアホース12を通じて収容部13内にアミンガス(鋳物砂の硬化を促進する気体)を供給できる。
【0034】
エア供給装置及びアミンガス供給装置は、複数の収容部13・13・・・とエアホース12・12・・・を介して接続可能に構成されている。また、エア供給装置は、各収容部13と接続された状態にて、各収容部13内に供給するエアの気圧を収容部13毎に制御可能に構成されている。
【0035】
各収容部13内に鋳物砂が収容され、さらに各収容部13がエア供給装置に接続されている状態で、エア供給手段(エア供給装置及び各エアホース12)から各収容部13内にエアが供給されると、供給されたエアの気圧で各収容部13内の鋳物砂が各ノズル部14から噴出する。
また、各収容部13内が空所の状態であり、さらに各収容部13がアミンガス供給装置に接続されている状態で、アミンガス供給手段(アミンガス供給装置及び各エアホース12)から各収容部13内にアミンガスが供給されると、供給されたアミンガスが各ノズル部14から噴出する。
【0036】
以下では、図3(a)に示すように、三つの吹き込み口5・5・5が一列に並んで形成されている金型1a(上型2a・下型3a)のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの手順について説明する。
なお、以下の(1)〜(5)の順に鋳物砂の吹き込み作業が行われることとする。
【0037】
(1)三つの容器11・11・11が用意される(図3(a)参照)。
(2)各容器11の各収容部13内に、鋳物砂がそれぞれ収容される。
(3)金型1aの上型2aと下型3bとが衝合された状態にて、各吹き込み口5に各容器11の各ノズル部14の先端部が挿入され、各ノズル部14の先端部が各吹き込み口5に係合される(図3(b)参照)。
(4)各収容部13が各エアホース12を介してエア供給装置に接続され(図3(c)参照)、さらにエア供給装置が作動される。これにより、エアが各エアホース12を流れていき、各収容部13内に供給される。そして、各収容部13内に供給されたエアの気圧で各収容部13内の鋳物砂が各ノズル部14から噴出して、各流路4を通じて金型1aのキャビティ内に吹き込まれる。
(5)所定時間経過後(各収容部13内の鋳物砂の噴出完了後)、エア供給装置が停止される。そして、各エアホース12の他端がエア供給装置から外されて、アミンガス供給装置に接続され、さらにアミンガス供給装置が作動される。これにより、アミンガスが各エアホース12を通じて各収容部13内に搬送され、そして各ノズル部14から噴出して、金型1aのキャビティ内に吹き込まれる。そして、アミンガスの作用により金型1aのキャビティ内の鋳物砂が硬化して、砂鋳型になる。
【0038】
なお、四つの吹き込み口5・5・5・5が二つずつ二列に並んで形成されており、金型1aとは種類が異なる金型1bのキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときは、上記(1)において四つの容器11・11・11・11を用意すればよい(図4(a)参照)。以後は、上記(2)〜(5)に基づいて、用意した各容器11の各収容部13内に鋳物砂を収容する作業、各容器11の各ノズル部14を各吹き込み口5に係合する作業、各収容部13内へのエアの供給作業、金型1bのキャビティ内へのアミンガスの供給作業を行えばよい(図4(b)及び図4(c)参照)。
【0039】
以上のように構成することで、各容器11がユニット化されて互いに独立しているので、各容器11の各ノズル部14の位置関係を自由に設定できる。これにより、様々な種類の金型に対応できる。また、種類が異なる金型に用いる場合でも、鋳物砂の吹き込み対象となる金型に形成される吹き込み口5・5・・・の数と同数の容器11・11・・・を用意すれば、以後は上記(2)〜(5)に基づいて各種作業を行えばよく、煩雑な作業を要しない。従って、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる。
【0040】
また、前述のようにエア供給装置から各収容部13に供給されるエアの気圧は収容部13毎に制御可能に構成されている。従って、上記(4)においてエアを各収容部13内に供給する際、収容部13毎にエアの気圧を適宜設定することにより、各収容部13内の鋳物砂にかかるエアの気圧を最適化できる。
例えば、金型1のキャビティ内における深い部分A、複雑な形状の部分、狭い(細い)形状の部分等、鋳物砂を充填しにくい部分に吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内に対しては、供給するエアの気圧を高めに設定する(図1及び図2参照)。これにより鋳物砂を確実に充填できる。
また、金型1のキャビティ内における浅い部分B等、吹き込まれた鋳物砂の圧力等により摩耗しやすい部分に吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内に対しては、供給するエアの気圧を低めに設定する(図1及び図2参照)。これにより金型1のキャビティの摩耗を抑制できる。
【0041】
また、鋳物砂は、粘結剤(接着剤)を含むため、粘性が高く、このため気圧を付加されても崩れにくい。これにより、図14(b)に示すように、従来の吹き込み装置100を用いると各ノズル部120上にある鋳物砂は各ノズル部120から噴出しやすいが、その他の位置にある鋳物砂は、収容部110内へ供給されたエアが各ノズル部120(吹き込み口)へショートカットしてしまうため、収容部110内に残留しやすい。そして、収容部110内に残留した鋳物砂は粘結剤を含むために経時変化で空気中の水分と反応して硬化してしまう。
本実施形態では、図5に示すように、一つのノズル部14が接続される収容部13に対してそれぞれエアを供給すると共に、各収容部13の内周面に傾斜部15をそれぞれ設けることにより、気圧を付加された各収容部13内の鋳物砂が各ノズル部14へと誘導される。これにより、上記(4)においてエアの気圧で鋳物砂を噴出する際、各収容部13内の鋳物砂を全て各ノズル部14から噴出でき、各収容部13内に鋳物砂が残留することを防止できる。
【0042】
また、上記(5)に示すように、エアの供給作業終了後、すでに各吹き込み口5に、各ノズル部14及び各収容部13を介して接続されている状態にある各エアホース12を用いて、アミンガスの供給作業を行うので、アミンガスの供給作業を簡素化でき、円滑に行える。なお、前述のように各収容部13の内周面に傾斜部15を設けることにより、各収容部13内の鋳物砂を全て各ノズル部14から噴出できるので、上記(5)においてアミンガスが各エアホース12を通じて各収容部13内に搬送されても、各収容部13内に硬化した鋳物砂が発生する等の問題は生じない。
【0043】
また、上記(2)において各収容部13内に鋳物砂を収容する際、収容部13毎に収容する鋳物砂の種類(砂の種類・粒径や、粘結剤の種類・濃度等)を適宜設定することにより、上記(5)において造型された砂鋳型の強度(崩壊性)を部分毎に狙った大きさにでき、最適化できる。
例えば、金型1のキャビティ内の細い形状の部分Cに送り込まれる鋳物砂を収容する収容部13c内には、粘結剤の量が多い鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。これにより、造型された砂鋳型の細い形状の部分の強度が高くなり、この細い形状の部分が鋳込み中に破損することを防止できる。
また、金型1のキャビティ内の複雑な形状の部分Dに圧送される鋳物砂を収容する収容部13d内には、粘結剤の量が少ない鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。これにより、造型された砂鋳型(中子)の複雑な形状の部分の崩壊性がよくなり、鋳込み後の砂鋳型の除去を確実にできる。
なお、鋳込み後の鋳物砂の除去には、熱処理(粘結剤を熱で燃焼させる)やノッキング等の方法が用いられる。
【0044】
また、図14(a)及び図15に示すように、砂鋳型の造型の際に、同一種類の鋳物砂を用いるとき、一般に砂鋳型における最も強度を必要とする部分の強度に合わせて、造型に用いる鋳物砂の種類を設定する。これにより、砂鋳型における高い強度を必要としない部分にも高い強度を発揮できる鋳物砂を用いることになり、鋳物砂の材料費がかかる。
本実施形態では、上記(2)において収容部13毎に鋳物砂の種類を適宜設定することにより、部分毎に最適な種類の鋳物砂を用いた砂鋳型を造型できるので、鋳物砂を無駄なく使え、鋳物砂の材料費を低減できる。
【0045】
また、上記(2)において各収容部13内に鋳物砂を収容する際、収容部13毎に収容する鋳物砂の量を適宜設定することにより、鋳物砂の使用量を最適化でき、鋳物砂を無駄なく使える。
例えば、金型1のキャビティ内の深い(厚肉)部分Aに吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内には、多量の鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。
また、金型1のキャビティ内の浅い(薄肉)部分Bに吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内には、少量の鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。
【0046】
また、前述のように鋳物砂の量・種類や、エア供給装置から圧送されるエアの気圧を収容部13毎に最適化することで、上記(3)において金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む際に使用するエネルギー量や、鋳込み後に砂鋳型を除去する際に使用するエネルギー量等を低減できる。
【0047】
なお、上記(2)において収容部13毎に種類の異なる鋳物砂が収容された各容器11を用意し、上記(4)において各容器11にエアを供給する際に、容器11毎にエアを供給するタイミングに時間差を設け、これにより各容器11の各ノズル部14から鋳物砂が噴出するタイミングをそれぞれ異ならせてもよい。
このように構成することで、金型1のキャビティ内に種類の異なる鋳物砂を積層させることができ、これにより肉厚部分に強度の異なる層が形成された砂鋳型を造型できる。
【0048】
[第二実施形態]
以下に、本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第二実施形態である鋳物砂の吹き込み装置20について、図面を参照して説明する。
なお、以下では第一実施形態の鋳物砂の吹き込み装置10と異なる部分について説明し、同様の部材に対しては同一符号を付し、詳細な説明およびそれに付随する効果等の記載は省略する。
【0049】
吹き込み装置20は、砂鋳型造型用の型(金型)1のキャビティ内に鋳物砂(砂に粘結剤等を混合したもの)を吹き込む装置である。
吹き込み装置20が金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むことにより、金型1のキャビティの形状に応じた砂鋳型が造型される(図6及び図7参照)。
図6に示すように、吹き込み装置20は、容器21・21・・・を備える。
容器21・21・・・の数は、金型1に形成されている吹き込み口5・5・・・の数と一致し、金型1の種類(吹き込み口5・5・・・の数)に応じて変更される。以下では、容器21・21・・・のうちの任意の一つの容器21について説明する。
【0050】
容器21は、内部に鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な収容部22、及び収容部22を密封・開封する開閉部を備える。容器21は、一端が開口する中空の四角柱形状に形成されている。
【0051】
収容部22は、先端(金型1に設置した際に重力が作用する向きとなる側であり、図6における下端)に開口部23を有する中空形状に形成されており、収容部22内(収容部22の内周面で囲まれる空間内)に鋳物砂及び圧縮気体を収容可能に構成されている。
収容部22の内周面には、先端部に向かうに従い内方に傾斜して(開口部23に向かって連続的に傾斜して)、開口部23に連なる傾斜部24が形成されている。つまり、容器21内における傾斜部24の形成箇所の断面形状は、開口部23に向けて狭くなるテーパ形状になる。そして、傾斜部24により収容部22内の鋳物砂が開口部23に誘導されるように構成されている。
収容部22の先端部の開口部23は、吹き込み口5の形状に応じた形状に形成されており、吹き込み口5と係合可能に構成されている。
【0052】
前記開閉部は、開口部23を閉じることにより収容部22を密封する。また、前記開閉部は、開口部23を開けることにより収容部22を開封する。つまり、前記開閉部は、開口部23を開閉することにより、収容部22内を開封または密封することが可能である。
前記開閉部の一例として、図8に示す開閉部25や、図11に示す開閉部26がある。
【0053】
図8(a)及び図8(b)に示すように、開閉部25は、球状の部材であり、収容部22内に収容されている。また、開閉部25は、外径が開口部23の内径よりも僅かに大きく設定されており、開口部23を通過不能に構成されている。そして、収容部22内に圧縮気体が供給されると、前記開閉部は、供給された圧縮気体の気圧で開口部23側へ押されて、開口部23に係止し、該開口部23を閉じる(図8(a)参照)。
このように、開閉部25が開口部23を閉じた状態で、容器21の開口部23を吹き込み口5に係合させる(挿入する)と、開閉部25が、上型2に設けられる治具6に当接し、さらに治具6から抗力を受けて収容部22内に押し込まれ、これにより開口部23を開ける(図8(b)参照)。
治具6は、流路4内における吹き込み口5近傍に設けられている。治具6は、吹き込み口5に向かって突出し、開閉部25を収容部22内に押し込む凸部6aと(図8(a)参照)、流路4の延在する方向に貫通し、流路4を流れる鋳物砂が通過する空所部6b・6b・・・と(図9参照)、を有する。
なお、開閉部25と凸部6aとの当接面の形状について、開閉部25の当接面を、凸部6aの当接面(突起形状)に略沿うように凹ませて、凹部25aからなる形状にしてもよい(図10(a)参照)。また、凸部6aの当接面を、開閉部25の当接面(球面形状)に略沿うように湾曲させて、湾曲部6cからなる形状にしてもよい(図10(b)参照)。
【0054】
また、図11(a)及び図11(b)に示すように、開閉部26は、板状の部材であり、治具27により支持されている。
治具27は、開閉部26をスライド自在に支持する部材であり、さらに開口部23を吹き込み口5に対して係合した状態に支持する部材である。
治具27は円筒状に形成されていて、その内周面には雌螺子が形成されている。治具27の一端側には、外周面に雄螺子が形成された開口部23がねじ込まれて取り付けられている。
治具27の他端部は、吹き込み口5に応じた形状に形成されており、吹き込み口5の周縁部に取り付け可能に構成されている。治具27の他端部が吹き込み口5の周縁部に取り付けられると、治具27の一端側に取り付けられている開口部23が、吹き込み口5に対向した状態になり、吹き込み口5と係合した状態になる。
治具27の一端側に取り付けられている開口部23の下方には、開閉部26が開口部23に対して隙間なく配置されている。開閉部26は、治具27に形成されている左右方向に貫通する孔に貫入しており、当該孔をスライド可能に構成されている。開閉部26の上面には収容部22内の鋳物砂のモレを防止するパッキン26aが配置されている。また、開閉部26には上下方向に貫通し、収容部22内の鋳物砂の通過を許容する貫通孔26bが形成されている。貫通孔26bは、パッキン26aに対して開閉部26のスライド方向(左右方向)に所定間隔を空けて配置されている(図12参照)。
開閉部26をパッキン26aが開口部23の下方にくる位置にスライドすると、開閉部26により開口部23が閉じられ(図11(a)参照)、開閉部26を貫通孔26bが開口部23の下方にくる位置にスライドすると、開口部23を通じて開口部23が開放される(図11(b)参照)。
【0055】
以下では、図13(a)及び図13(b)に示すように、九つの吹き込み口5・5・・・が三つずつ三列に並んで形成されている金型1c(上型2c・下型3c)のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの手順について説明する。
なお、以下の(a)〜(f)の順に鋳物砂の吹き込み作業が行われることとする。
【0056】
(a)九つの容器21・21・・・が用意される(図13(a)参照)。
(b)各容器21の各収容部22内に、鋳物砂及び圧縮された不活性ガス(鋳物砂の硬化を抑制する気体)がそれぞれ収容される。
(c)各前記開閉部で各開口部23が閉じられて、各収容部22が密封される。つまり、各収容部22内に鋳物砂及び圧縮された不活性ガス(圧縮不活性ガス)が封入される。
(d)金型1cの上型2cと下型3cとが衝合された状態にて、各開口部23が各吹き込み口5に係合される(図13(b)参照)。このとき、各容器21は、各開口部23が下方を向いた状態になる。また、各収容部22内にて、上部に圧縮不活性ガスが存在し、この圧縮不活性ガスの下方に鋳物砂が存在した状態になり、圧縮不活性ガスが気圧で鋳物砂を下方に向けて押している状態になる。
(e)各前記開閉部で各開口部23が開けられ、各収容部22が開封される。これにより、各収容部22内に収容されている圧縮不活性ガスの気圧で、各収容部22内の鋳物砂が各開口部23から噴出して、各流路4を通じて金型1cのキャビティ内に吹き込まれる。
(f)所定時間経過後(各収容部22内の鋳物砂の噴出完了後)、金型1cのキャビティ内に吹き込まれた鋳物砂にアミンガスが吹き付けられる。そして、アミンガスの作用により金型1cのキャビティ内の鋳物砂が硬化して、砂鋳型になる。
【0057】
なお、金型1cとは種類が異なる金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときは、上記(a)において当該種類が異なる金型に形成される吹き込み口5・5・・・の数と同数の容器21・21・・・を用意すればよい。以後は、上記(b)〜(f)に基づいて、用意した各容器21の各収容部22内への鋳物砂及び圧縮不活性ガスの収容作業、各収容部22の密封作業、各収容部22の各開口部23の各吹き込み口5への係合作業、各収容部22の開封作業、アミンガスの供給作業を行えばよい。
【0058】
以上のように構成することで、各容器21がユニット化されて互いに独立しているので、各収容部22の各開口部23の位置関係を自由に設定できる。これにより、様々な種類の金型に対応できる。また、種類が異なる金型に用いる場合でも、鋳物砂の吹き込み対象となる金型に形成される吹き込み口5・5・・・の数と同数の容器21・21・・・を用意すれば、以後は上記(b)〜(f)に基づいて各種作業を行えばよく、煩雑な作業を要しない。従って、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる。
【0059】
また、鋳物砂(詳細には、鋳物砂に含まれる粘結剤)は、大気中では時間経過と共に硬化していき、短時間(通常30分程)で硬化を完了してしまう。
本実施形態では上記(b)及び(c)に示すように、各収容部22内に圧縮不活性ガスを封入して、各収容部22内の鋳物砂が大気と接触することを防止している。これにより、不活性ガスの作用で各収容部22内の鋳物砂の硬化を抑制できるので、各収容部22内の鋳物砂の長期保存・使用時間の延長が可能になる。なお、不活性ガスに代えて窒素ガスを用いてもよい。
【0060】
また、各収容部22の内周面に傾斜部24をそれぞれ設けることにより、上記(e)において圧縮不活性ガスの気圧を付加された各収容部22内の鋳物砂が各開口部23へと誘導される。これにより、各収容部23内の鋳物砂を全て各開口部23から噴出でき、各収容部22内に鋳物砂が残留することを防止できる。
【0061】
また、上記(b)において各収容部22内に圧縮不活性ガスを収容する際、収容部22毎に収容する圧縮不活性ガスの気圧の高さを、金型1のキャビティ内における各収容部22内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて適宜設定することにより、上記(e)において圧縮不活性ガスの気圧で鋳物砂を金型1のキャビティ内に吹き込む際、鋳物砂にかかる圧縮不活性ガスの気圧を最適化できる。
また、上記(b)において各収容部22内に鋳物砂を収容する際、収容部22毎に収容する鋳物砂の種類(砂の種類・粒径や、粘結剤の種類・濃度等)を、金型1のキャビティの形状に応じて適宜設定することにより、上記(f)において造型された砂鋳型の強度(崩壊性)を部分毎に狙った大きさにでき、最適化できる。さらに、鋳物砂を無駄なく使え、鋳物砂の材料費を低減できる。
また、上記(b)において各収容部22内に鋳物砂を収容する際、収容部13毎に収容する鋳物砂の量を、金型1のキャビティの形状に応じて適宜設定することにより、鋳物砂の使用量を最適化でき、鋳物砂を無駄なく使える。
【0062】
また、上記(e)に示すように各収容部22内に収容さていれる圧縮不活性ガスの気圧で、各収容部22内の鋳物砂を金型1のキャビティ内に吹き込むように構成し、エア供給装置等を用いない。従って、装置構成を簡素化でき、さらに金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む際に使用するエネルギー量を低減できる。
【0063】
なお、上記(a)〜(c)の工程に代えて以下の(a1)、(b1)の工程を行うように構成してもよい。
(a1)収容部22内に鋳物砂及び圧縮不活性ガスを封入されている容器21が予め多数用意される。
(b1)上記(a1)において用意された多数の容器21・21・・・の中から金型の種類毎に必要な数(本実施形態では九つ)の各容器21が選択される。
以後は、上記(b1)において選択された各容器21を使って上記(d)〜(f)に基づいた作業が行われる。
前述のように、容器21の収容部22内には圧縮不活性ガスが封入されており、収容部22内の鋳物砂の長期保存ができるので、このような収容部22内に鋳物砂及び圧縮不活性ガスが封入されている容器21を予め多数用意しておく構成が可能になる。
【符号の説明】
【0064】
1 金型
5 吹き込み口
10 鋳物砂の吹き込み装置
11 容器
12 エアホース
13 収容部
14 ノズル部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物砂を砂鋳型造型用の型のキャビティ内に吹き込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳物を製造する際に用いる鋳型として、鋳物砂から造型される砂鋳型がある。砂鋳型の造型は、目的とする砂鋳型と同じ形状のキャビティ面を有する砂鋳型造型用の型(金型)のキャビティ内に鋳物砂が吹き込まれ、さらにこのキャビティ内に吹き込まれた鋳物砂が硬化されることにより行われる。なお、金型の外周面には金型のキャビティに連通する吹き込み口が形成されており、当該吹き込み口からキャビティ内に鋳物砂が吹き込まれる。
従来、図14(a)に示すように、キャビティ内に鋳物砂を吹き込む際に、内部に鋳物砂を収容可能な収容部110、及び収容部110内の鋳物砂を噴出するノズル部120・120・・・を有する吹き込み装置100が用いられている。具体的には、上記各ノズル部120と吹き込み口とを係合し、この状態で各ノズル部120から収容部110内の鋳物砂を噴出することにより、この噴出した鋳物砂がキャビティ内に吹き込まれる(図14(b)参照)。
一般に、吹き込み口の数や配置位置は、造型対象である砂鋳型の形状等に応じて適宜設定されており、金型の種類毎に異なる。
【0003】
例えばエンジンのシリンダーヘッドのように、複数の種類の砂鋳型を用いて製造されるものがある(エンジンのシリンダーヘッドで、約10〜12種類の砂鋳型が用いられる)。この場合、各砂鋳型を造型するためには、砂鋳型の種類毎に対応する種類の金型がそれぞれ用いられる。
ここで、前述のように金型の種類毎に吹き込み口の数や配置位置が異なるので、例えば吹き込み口の数が三つの金型200に対しては三つの各ノズル部120を有する収容部110(図14(a)参照)、吹き込み口の数が二つの金型210に対しては二つの各ノズル部120を有する収容部130(図15参照)といった具合に、金型の種類毎にノズル部の数や配置位置が適宜設定された専用の吹き込み装置が必要になってくる。
しかし、このように金型の種類毎に専用の吹き込み装置を用意すると、装置の製造コストがかかり、さらに装置の保管スペースについて広いスペースが必要になる点で不利である。従って、実用性を考慮すると、種類の異なる金型に対しても鋳物砂を吹き込むことが可能な装置の方が好ましい。
【0004】
特許文献1に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、複数のノズル部が所定位置に配置されたブロープレート、及び各ノズル部の開閉手段を備える。そして、開閉手段で各ノズル部を適宜開放・閉鎖し、開放したノズル部と金型の吹き込み口とを係合し、さらに開放したノズル部から鋳物砂を噴出し、これによりキャビティ内に鋳物砂を吹き込む。
これによると、各ノズル部を適宜開放・閉鎖することにより鋳物砂が噴出する位置を変更できるので、種類の異なる金型にも対応することが可能になる。
しかし、ブロープレート上に配置された各ノズル部の位置関係を変更できず、予定している複数種類の金型にのみ対応できるように構成しているので、汎用性に劣る点で不利である。
そこで、ブロープレート上に新たにノズル部を設けていくと、対応できる金型の種類を追加することも可能である。しかし、追加対応させる金型の種類毎に、ブロープレート上にノズル部の配置位置を新たに設定していく必要があり、煩雑な作業を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−117395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる鋳物砂の吹き込み装置、及び鋳物砂の吹き込み方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数備える容器群と、前記容器群の各容器の各収容部に接続され、前記各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む気体供給手段とを備える。
【0008】
請求項2に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記気体供給手段は、前記各収容部内に供給する気体の気圧を前記収容部毎に制御可能である。
【0009】
請求項3に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記各収容部の内周面には、前記噴出部に向かって傾斜して、前記噴出部に連なる傾斜部が形成される。
【0010】
請求項4に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、前記各収容部に接続され、前記鋳物砂の硬化を促進する気体を前記各収容部を通じて前記型のキャビティ内に供給する硬化ガス供給手段を備える。
【0011】
請求項5に記載の鋳物砂の吹き込み装置は、砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、を有する容器を、前記複数の吹き込み口の数と同数備える。
【0012】
請求項6に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記圧縮気体は、前記鋳物砂の硬化を抑制する気体である。
【0013】
請求項7に記載の鋳物砂の吹き込み装置においては、前記各容器の各収容部の内周面には、前記開口部に向かって傾斜して、前記開口部に連なる傾斜部が形成される。
【0014】
請求項8に記載の鋳物砂の吹き込み方法は、砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂を収容して、前記各容器の各噴出部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、前記各容器の各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む。
【0015】
請求項9に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に供給される気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0016】
請求項10に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0017】
請求項11に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0018】
請求項12に記載の鋳物砂の吹き込み方法は、砂鋳型造型用の型の外周に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂及び前記圧縮気体を収容して、前記各開閉部で前記各開口部を閉じることにより前記各収容部を密封して、前記各容器の前記開口部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、前記各開閉部で前記各開口部を開けることにより前記各収容部を開封し、前記各収容部内の圧縮気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む。
【0019】
請求項13に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される圧縮気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0020】
請求項14に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【0021】
請求項15に記載の鋳物砂の吹き込み方法においては、前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第一実施形態の概略構成図である。
【図2】鋳物砂吹き込み完了後の金型のキャビティ内を示す図である。
【図3】金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの順序を示す図であり、(a)は各容器を用意した状態を示し、(b)は各容器のノズルを金型の各吹き込み口に係合した状態を示し、(c)は各容器の収容部に各エアホースを接続した状態を示す。
【図4】図3に示す金型とは種類の異なる金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの順序を示す図である。
【図5】傾斜部を示す図である。
【図6】本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第二実施形態の概略構成図である。
【図7】鋳物砂吹き込み完了後の金型のキャビティ内を示す図である。
【図8】開閉部の一例を示す図であり、(a)は開閉部が開口部を閉じた状態を示し、(b)は開閉部が開口部を開けた状態を示す。
【図9】治具を上方から見た図である。
【図10】開閉部及び治具を示す図であり、(a)は図8(a)に示す開閉部及び治具の拡大図であり、(b)はその変形例である。
【図11】開閉部の一例を示す図であり、(a)は開閉部が開口部を閉じた状態を示し、(b)は開閉部が開口部を開けた状態を示す。
【図12】図11に示す開閉部を上方から見た図である。
【図13】金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの順序を示す図であり、(a)は各容器を用意した状態を示し、(b)は各容器の開口部を金型の各吹き込み口に係合した状態を示す。
【図14】従来の鋳物砂の吹き込み装置を示す図である。
【図15】従来の鋳物砂の吹き込み装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
以下に、本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第一実施形態である鋳物砂の吹き込み装置10について、図面を参照して説明する。
【0025】
吹き込み装置10は、砂鋳型造型用の型(金型)1のキャビティ内に鋳物砂(砂に粘結剤等を混合したもの)を吹き込む装置である。
吹き込み装置10が金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むことにより、金型1のキャビティの形状に応じた砂鋳型が造型される(図1及び図2参照)。
砂鋳型は、鋳物砂から造型された鋳型である。砂鋳型には、鋳物の外形を成形する外型や、中空部分を含む鋳物を製造するときに用いられ鋳物の内形を成形する中子等がある。
図1に示すように、金型1は、上型2、及び上型2と衝合可能な下型3を有する。そして、上型2と下型3とが衝合された状態にて、金型1内(上型2と下型3との間)にキャビティが形成される。キャビティは、成形の目的とする砂鋳型と同じ形状を有する内部空間であり、成形面となるキャビティ面を有する。
金型1には、鋳物砂を前記キャビティ内に流入するための流路4・4・・・が形成されている。流路4・4・・・の一端は金型1の外周面で開口して吹き込み口5・5・・・をなし、他端は金型1のキャビティに接続されている。つまり、流路4・4・・・は、金型1のキャビティの内外を連通する連通路である。
なお、吹き込み口5・5・・・の数や配置位置、つまり流路4・4・・・の数や配置位置は、造型対象である砂鋳型の形状等に応じて適宜設定されており、金型1の種類毎に異なる。
【0026】
吹き込み装置10は、容器11・11・・・、エアホース12、エア供給装置(不図示)、アミンガス供給装置(不図示)を備える。
【0027】
各容器11は、エアホース12を介してエア供給装置又はアミンガス供給装置と接続可能に構成されている。
例えば、エアホース12の端部をエア供給装置又はアミンガス供給装置に対して着脱容易な形態に構成し、適宜着脱することにより、エアホース12の接続対象を切り替える構成、若しくは、適宜の切替え弁を介してエアホース12にエア供給装置及びアミンガス供給装置を接続し、前記切替え弁を切り替えることにより、エアホース12の接続対象を切り替える構成等が適用できる。このようにして、容器11・11・・・内にエアホース12・12・・・を介してエア又はアミンガスを供給可能とする構成である。
【0028】
容器11・11・・・及びそれらに接続されるエアホース12・12・・・の数は、金型1に形成されている吹き込み口5・5・・・の数と一致し、金型1の種類(吹き込み口5・5・・・の数)に応じて変更される。以下では、容器11・11・・・のうちの任意の一つの容器11について説明する。
【0029】
容器11は、内部に鋳物砂を収容可能な収容部13、及び収容部13内(収容部13の内周面で囲まれる空間内)に収容される鋳物砂を噴出するノズル部14を備える。容器11は、中空の四角柱形状に形成されている。
【0030】
収容部13は、容器11の内部に形成される略四角柱形状の空間であり、両端に開口を有する。収容部13内に鋳物砂を収容可能に構成されている。
収容部13の一端(金型1に設置した際に重力が作用する向きとなる側であり、図1における下端)の開口は、ノズル部14と接続されている。また、収容部13の他端の開口は、エアホース12と接続可能に構成されている。
【0031】
収容部13の内周面には、一端に向かうに従い内方に傾斜して(ノズル部14に向かって連続的に傾斜して)、ノズル部14に連なる傾斜部15が形成されている。つまり、収容部13内における傾斜部15の形成箇所の断面形状は、ノズル部14に向けて狭くなるテーパ形状になる。そして、傾斜部15により収容部13内の鋳物砂がノズル部14へと誘導されるように構成されている。
【0032】
ノズル部14は、基端部から先端部まで貫通した孔が形成された筒状の部材である。
ノズル部14の基端部は、収容部13の一端の開口と接続されており、収容部13内に収容されている鋳物砂が、ノズル部14の孔を通じてノズル部14の先端部から噴出可能に構成されている。
ノズル部14の先端部は、吹き込み口5の形状に応じた形状に形成されており、吹き込み口5と係合可能に構成されている。
【0033】
収容部13の他端の開口は、両端が開口する管状の部材であるエアホース12の一端と接続可能に構成されている。
エアホース12の他端は、エア供給装置又はアミンガス供給装置と接続可能に構成されている。
収容部13がエアホース12を介してエア供給装置と接続されているときは、エア供給装置からエアホース12を通じて収容部13内にエアを供給できる。
また、収容部13がエアホース12を介してアミンガス供給装置と接続されているときは、アミンガス供給装置からエアホース12を通じて収容部13内にアミンガス(鋳物砂の硬化を促進する気体)を供給できる。
【0034】
エア供給装置及びアミンガス供給装置は、複数の収容部13・13・・・とエアホース12・12・・・を介して接続可能に構成されている。また、エア供給装置は、各収容部13と接続された状態にて、各収容部13内に供給するエアの気圧を収容部13毎に制御可能に構成されている。
【0035】
各収容部13内に鋳物砂が収容され、さらに各収容部13がエア供給装置に接続されている状態で、エア供給手段(エア供給装置及び各エアホース12)から各収容部13内にエアが供給されると、供給されたエアの気圧で各収容部13内の鋳物砂が各ノズル部14から噴出する。
また、各収容部13内が空所の状態であり、さらに各収容部13がアミンガス供給装置に接続されている状態で、アミンガス供給手段(アミンガス供給装置及び各エアホース12)から各収容部13内にアミンガスが供給されると、供給されたアミンガスが各ノズル部14から噴出する。
【0036】
以下では、図3(a)に示すように、三つの吹き込み口5・5・5が一列に並んで形成されている金型1a(上型2a・下型3a)のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの手順について説明する。
なお、以下の(1)〜(5)の順に鋳物砂の吹き込み作業が行われることとする。
【0037】
(1)三つの容器11・11・11が用意される(図3(a)参照)。
(2)各容器11の各収容部13内に、鋳物砂がそれぞれ収容される。
(3)金型1aの上型2aと下型3bとが衝合された状態にて、各吹き込み口5に各容器11の各ノズル部14の先端部が挿入され、各ノズル部14の先端部が各吹き込み口5に係合される(図3(b)参照)。
(4)各収容部13が各エアホース12を介してエア供給装置に接続され(図3(c)参照)、さらにエア供給装置が作動される。これにより、エアが各エアホース12を流れていき、各収容部13内に供給される。そして、各収容部13内に供給されたエアの気圧で各収容部13内の鋳物砂が各ノズル部14から噴出して、各流路4を通じて金型1aのキャビティ内に吹き込まれる。
(5)所定時間経過後(各収容部13内の鋳物砂の噴出完了後)、エア供給装置が停止される。そして、各エアホース12の他端がエア供給装置から外されて、アミンガス供給装置に接続され、さらにアミンガス供給装置が作動される。これにより、アミンガスが各エアホース12を通じて各収容部13内に搬送され、そして各ノズル部14から噴出して、金型1aのキャビティ内に吹き込まれる。そして、アミンガスの作用により金型1aのキャビティ内の鋳物砂が硬化して、砂鋳型になる。
【0038】
なお、四つの吹き込み口5・5・5・5が二つずつ二列に並んで形成されており、金型1aとは種類が異なる金型1bのキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときは、上記(1)において四つの容器11・11・11・11を用意すればよい(図4(a)参照)。以後は、上記(2)〜(5)に基づいて、用意した各容器11の各収容部13内に鋳物砂を収容する作業、各容器11の各ノズル部14を各吹き込み口5に係合する作業、各収容部13内へのエアの供給作業、金型1bのキャビティ内へのアミンガスの供給作業を行えばよい(図4(b)及び図4(c)参照)。
【0039】
以上のように構成することで、各容器11がユニット化されて互いに独立しているので、各容器11の各ノズル部14の位置関係を自由に設定できる。これにより、様々な種類の金型に対応できる。また、種類が異なる金型に用いる場合でも、鋳物砂の吹き込み対象となる金型に形成される吹き込み口5・5・・・の数と同数の容器11・11・・・を用意すれば、以後は上記(2)〜(5)に基づいて各種作業を行えばよく、煩雑な作業を要しない。従って、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる。
【0040】
また、前述のようにエア供給装置から各収容部13に供給されるエアの気圧は収容部13毎に制御可能に構成されている。従って、上記(4)においてエアを各収容部13内に供給する際、収容部13毎にエアの気圧を適宜設定することにより、各収容部13内の鋳物砂にかかるエアの気圧を最適化できる。
例えば、金型1のキャビティ内における深い部分A、複雑な形状の部分、狭い(細い)形状の部分等、鋳物砂を充填しにくい部分に吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内に対しては、供給するエアの気圧を高めに設定する(図1及び図2参照)。これにより鋳物砂を確実に充填できる。
また、金型1のキャビティ内における浅い部分B等、吹き込まれた鋳物砂の圧力等により摩耗しやすい部分に吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内に対しては、供給するエアの気圧を低めに設定する(図1及び図2参照)。これにより金型1のキャビティの摩耗を抑制できる。
【0041】
また、鋳物砂は、粘結剤(接着剤)を含むため、粘性が高く、このため気圧を付加されても崩れにくい。これにより、図14(b)に示すように、従来の吹き込み装置100を用いると各ノズル部120上にある鋳物砂は各ノズル部120から噴出しやすいが、その他の位置にある鋳物砂は、収容部110内へ供給されたエアが各ノズル部120(吹き込み口)へショートカットしてしまうため、収容部110内に残留しやすい。そして、収容部110内に残留した鋳物砂は粘結剤を含むために経時変化で空気中の水分と反応して硬化してしまう。
本実施形態では、図5に示すように、一つのノズル部14が接続される収容部13に対してそれぞれエアを供給すると共に、各収容部13の内周面に傾斜部15をそれぞれ設けることにより、気圧を付加された各収容部13内の鋳物砂が各ノズル部14へと誘導される。これにより、上記(4)においてエアの気圧で鋳物砂を噴出する際、各収容部13内の鋳物砂を全て各ノズル部14から噴出でき、各収容部13内に鋳物砂が残留することを防止できる。
【0042】
また、上記(5)に示すように、エアの供給作業終了後、すでに各吹き込み口5に、各ノズル部14及び各収容部13を介して接続されている状態にある各エアホース12を用いて、アミンガスの供給作業を行うので、アミンガスの供給作業を簡素化でき、円滑に行える。なお、前述のように各収容部13の内周面に傾斜部15を設けることにより、各収容部13内の鋳物砂を全て各ノズル部14から噴出できるので、上記(5)においてアミンガスが各エアホース12を通じて各収容部13内に搬送されても、各収容部13内に硬化した鋳物砂が発生する等の問題は生じない。
【0043】
また、上記(2)において各収容部13内に鋳物砂を収容する際、収容部13毎に収容する鋳物砂の種類(砂の種類・粒径や、粘結剤の種類・濃度等)を適宜設定することにより、上記(5)において造型された砂鋳型の強度(崩壊性)を部分毎に狙った大きさにでき、最適化できる。
例えば、金型1のキャビティ内の細い形状の部分Cに送り込まれる鋳物砂を収容する収容部13c内には、粘結剤の量が多い鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。これにより、造型された砂鋳型の細い形状の部分の強度が高くなり、この細い形状の部分が鋳込み中に破損することを防止できる。
また、金型1のキャビティ内の複雑な形状の部分Dに圧送される鋳物砂を収容する収容部13d内には、粘結剤の量が少ない鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。これにより、造型された砂鋳型(中子)の複雑な形状の部分の崩壊性がよくなり、鋳込み後の砂鋳型の除去を確実にできる。
なお、鋳込み後の鋳物砂の除去には、熱処理(粘結剤を熱で燃焼させる)やノッキング等の方法が用いられる。
【0044】
また、図14(a)及び図15に示すように、砂鋳型の造型の際に、同一種類の鋳物砂を用いるとき、一般に砂鋳型における最も強度を必要とする部分の強度に合わせて、造型に用いる鋳物砂の種類を設定する。これにより、砂鋳型における高い強度を必要としない部分にも高い強度を発揮できる鋳物砂を用いることになり、鋳物砂の材料費がかかる。
本実施形態では、上記(2)において収容部13毎に鋳物砂の種類を適宜設定することにより、部分毎に最適な種類の鋳物砂を用いた砂鋳型を造型できるので、鋳物砂を無駄なく使え、鋳物砂の材料費を低減できる。
【0045】
また、上記(2)において各収容部13内に鋳物砂を収容する際、収容部13毎に収容する鋳物砂の量を適宜設定することにより、鋳物砂の使用量を最適化でき、鋳物砂を無駄なく使える。
例えば、金型1のキャビティ内の深い(厚肉)部分Aに吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内には、多量の鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。
また、金型1のキャビティ内の浅い(薄肉)部分Bに吹き込まれる鋳物砂を収容する収容部13内には、少量の鋳物砂を収容する(図1及び図2参照)。
【0046】
また、前述のように鋳物砂の量・種類や、エア供給装置から圧送されるエアの気圧を収容部13毎に最適化することで、上記(3)において金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む際に使用するエネルギー量や、鋳込み後に砂鋳型を除去する際に使用するエネルギー量等を低減できる。
【0047】
なお、上記(2)において収容部13毎に種類の異なる鋳物砂が収容された各容器11を用意し、上記(4)において各容器11にエアを供給する際に、容器11毎にエアを供給するタイミングに時間差を設け、これにより各容器11の各ノズル部14から鋳物砂が噴出するタイミングをそれぞれ異ならせてもよい。
このように構成することで、金型1のキャビティ内に種類の異なる鋳物砂を積層させることができ、これにより肉厚部分に強度の異なる層が形成された砂鋳型を造型できる。
【0048】
[第二実施形態]
以下に、本発明に係る鋳物砂の吹き込み装置の第二実施形態である鋳物砂の吹き込み装置20について、図面を参照して説明する。
なお、以下では第一実施形態の鋳物砂の吹き込み装置10と異なる部分について説明し、同様の部材に対しては同一符号を付し、詳細な説明およびそれに付随する効果等の記載は省略する。
【0049】
吹き込み装置20は、砂鋳型造型用の型(金型)1のキャビティ内に鋳物砂(砂に粘結剤等を混合したもの)を吹き込む装置である。
吹き込み装置20が金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むことにより、金型1のキャビティの形状に応じた砂鋳型が造型される(図6及び図7参照)。
図6に示すように、吹き込み装置20は、容器21・21・・・を備える。
容器21・21・・・の数は、金型1に形成されている吹き込み口5・5・・・の数と一致し、金型1の種類(吹き込み口5・5・・・の数)に応じて変更される。以下では、容器21・21・・・のうちの任意の一つの容器21について説明する。
【0050】
容器21は、内部に鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な収容部22、及び収容部22を密封・開封する開閉部を備える。容器21は、一端が開口する中空の四角柱形状に形成されている。
【0051】
収容部22は、先端(金型1に設置した際に重力が作用する向きとなる側であり、図6における下端)に開口部23を有する中空形状に形成されており、収容部22内(収容部22の内周面で囲まれる空間内)に鋳物砂及び圧縮気体を収容可能に構成されている。
収容部22の内周面には、先端部に向かうに従い内方に傾斜して(開口部23に向かって連続的に傾斜して)、開口部23に連なる傾斜部24が形成されている。つまり、容器21内における傾斜部24の形成箇所の断面形状は、開口部23に向けて狭くなるテーパ形状になる。そして、傾斜部24により収容部22内の鋳物砂が開口部23に誘導されるように構成されている。
収容部22の先端部の開口部23は、吹き込み口5の形状に応じた形状に形成されており、吹き込み口5と係合可能に構成されている。
【0052】
前記開閉部は、開口部23を閉じることにより収容部22を密封する。また、前記開閉部は、開口部23を開けることにより収容部22を開封する。つまり、前記開閉部は、開口部23を開閉することにより、収容部22内を開封または密封することが可能である。
前記開閉部の一例として、図8に示す開閉部25や、図11に示す開閉部26がある。
【0053】
図8(a)及び図8(b)に示すように、開閉部25は、球状の部材であり、収容部22内に収容されている。また、開閉部25は、外径が開口部23の内径よりも僅かに大きく設定されており、開口部23を通過不能に構成されている。そして、収容部22内に圧縮気体が供給されると、前記開閉部は、供給された圧縮気体の気圧で開口部23側へ押されて、開口部23に係止し、該開口部23を閉じる(図8(a)参照)。
このように、開閉部25が開口部23を閉じた状態で、容器21の開口部23を吹き込み口5に係合させる(挿入する)と、開閉部25が、上型2に設けられる治具6に当接し、さらに治具6から抗力を受けて収容部22内に押し込まれ、これにより開口部23を開ける(図8(b)参照)。
治具6は、流路4内における吹き込み口5近傍に設けられている。治具6は、吹き込み口5に向かって突出し、開閉部25を収容部22内に押し込む凸部6aと(図8(a)参照)、流路4の延在する方向に貫通し、流路4を流れる鋳物砂が通過する空所部6b・6b・・・と(図9参照)、を有する。
なお、開閉部25と凸部6aとの当接面の形状について、開閉部25の当接面を、凸部6aの当接面(突起形状)に略沿うように凹ませて、凹部25aからなる形状にしてもよい(図10(a)参照)。また、凸部6aの当接面を、開閉部25の当接面(球面形状)に略沿うように湾曲させて、湾曲部6cからなる形状にしてもよい(図10(b)参照)。
【0054】
また、図11(a)及び図11(b)に示すように、開閉部26は、板状の部材であり、治具27により支持されている。
治具27は、開閉部26をスライド自在に支持する部材であり、さらに開口部23を吹き込み口5に対して係合した状態に支持する部材である。
治具27は円筒状に形成されていて、その内周面には雌螺子が形成されている。治具27の一端側には、外周面に雄螺子が形成された開口部23がねじ込まれて取り付けられている。
治具27の他端部は、吹き込み口5に応じた形状に形成されており、吹き込み口5の周縁部に取り付け可能に構成されている。治具27の他端部が吹き込み口5の周縁部に取り付けられると、治具27の一端側に取り付けられている開口部23が、吹き込み口5に対向した状態になり、吹き込み口5と係合した状態になる。
治具27の一端側に取り付けられている開口部23の下方には、開閉部26が開口部23に対して隙間なく配置されている。開閉部26は、治具27に形成されている左右方向に貫通する孔に貫入しており、当該孔をスライド可能に構成されている。開閉部26の上面には収容部22内の鋳物砂のモレを防止するパッキン26aが配置されている。また、開閉部26には上下方向に貫通し、収容部22内の鋳物砂の通過を許容する貫通孔26bが形成されている。貫通孔26bは、パッキン26aに対して開閉部26のスライド方向(左右方向)に所定間隔を空けて配置されている(図12参照)。
開閉部26をパッキン26aが開口部23の下方にくる位置にスライドすると、開閉部26により開口部23が閉じられ(図11(a)参照)、開閉部26を貫通孔26bが開口部23の下方にくる位置にスライドすると、開口部23を通じて開口部23が開放される(図11(b)参照)。
【0055】
以下では、図13(a)及び図13(b)に示すように、九つの吹き込み口5・5・・・が三つずつ三列に並んで形成されている金型1c(上型2c・下型3c)のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときの手順について説明する。
なお、以下の(a)〜(f)の順に鋳物砂の吹き込み作業が行われることとする。
【0056】
(a)九つの容器21・21・・・が用意される(図13(a)参照)。
(b)各容器21の各収容部22内に、鋳物砂及び圧縮された不活性ガス(鋳物砂の硬化を抑制する気体)がそれぞれ収容される。
(c)各前記開閉部で各開口部23が閉じられて、各収容部22が密封される。つまり、各収容部22内に鋳物砂及び圧縮された不活性ガス(圧縮不活性ガス)が封入される。
(d)金型1cの上型2cと下型3cとが衝合された状態にて、各開口部23が各吹き込み口5に係合される(図13(b)参照)。このとき、各容器21は、各開口部23が下方を向いた状態になる。また、各収容部22内にて、上部に圧縮不活性ガスが存在し、この圧縮不活性ガスの下方に鋳物砂が存在した状態になり、圧縮不活性ガスが気圧で鋳物砂を下方に向けて押している状態になる。
(e)各前記開閉部で各開口部23が開けられ、各収容部22が開封される。これにより、各収容部22内に収容されている圧縮不活性ガスの気圧で、各収容部22内の鋳物砂が各開口部23から噴出して、各流路4を通じて金型1cのキャビティ内に吹き込まれる。
(f)所定時間経過後(各収容部22内の鋳物砂の噴出完了後)、金型1cのキャビティ内に吹き込まれた鋳物砂にアミンガスが吹き付けられる。そして、アミンガスの作用により金型1cのキャビティ内の鋳物砂が硬化して、砂鋳型になる。
【0057】
なお、金型1cとは種類が異なる金型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込むときは、上記(a)において当該種類が異なる金型に形成される吹き込み口5・5・・・の数と同数の容器21・21・・・を用意すればよい。以後は、上記(b)〜(f)に基づいて、用意した各容器21の各収容部22内への鋳物砂及び圧縮不活性ガスの収容作業、各収容部22の密封作業、各収容部22の各開口部23の各吹き込み口5への係合作業、各収容部22の開封作業、アミンガスの供給作業を行えばよい。
【0058】
以上のように構成することで、各容器21がユニット化されて互いに独立しているので、各収容部22の各開口部23の位置関係を自由に設定できる。これにより、様々な種類の金型に対応できる。また、種類が異なる金型に用いる場合でも、鋳物砂の吹き込み対象となる金型に形成される吹き込み口5・5・・・の数と同数の容器21・21・・・を用意すれば、以後は上記(b)〜(f)に基づいて各種作業を行えばよく、煩雑な作業を要しない。従って、汎用性に優れ、種類の異なる金型に対しても容易に対応することができる。
【0059】
また、鋳物砂(詳細には、鋳物砂に含まれる粘結剤)は、大気中では時間経過と共に硬化していき、短時間(通常30分程)で硬化を完了してしまう。
本実施形態では上記(b)及び(c)に示すように、各収容部22内に圧縮不活性ガスを封入して、各収容部22内の鋳物砂が大気と接触することを防止している。これにより、不活性ガスの作用で各収容部22内の鋳物砂の硬化を抑制できるので、各収容部22内の鋳物砂の長期保存・使用時間の延長が可能になる。なお、不活性ガスに代えて窒素ガスを用いてもよい。
【0060】
また、各収容部22の内周面に傾斜部24をそれぞれ設けることにより、上記(e)において圧縮不活性ガスの気圧を付加された各収容部22内の鋳物砂が各開口部23へと誘導される。これにより、各収容部23内の鋳物砂を全て各開口部23から噴出でき、各収容部22内に鋳物砂が残留することを防止できる。
【0061】
また、上記(b)において各収容部22内に圧縮不活性ガスを収容する際、収容部22毎に収容する圧縮不活性ガスの気圧の高さを、金型1のキャビティ内における各収容部22内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて適宜設定することにより、上記(e)において圧縮不活性ガスの気圧で鋳物砂を金型1のキャビティ内に吹き込む際、鋳物砂にかかる圧縮不活性ガスの気圧を最適化できる。
また、上記(b)において各収容部22内に鋳物砂を収容する際、収容部22毎に収容する鋳物砂の種類(砂の種類・粒径や、粘結剤の種類・濃度等)を、金型1のキャビティの形状に応じて適宜設定することにより、上記(f)において造型された砂鋳型の強度(崩壊性)を部分毎に狙った大きさにでき、最適化できる。さらに、鋳物砂を無駄なく使え、鋳物砂の材料費を低減できる。
また、上記(b)において各収容部22内に鋳物砂を収容する際、収容部13毎に収容する鋳物砂の量を、金型1のキャビティの形状に応じて適宜設定することにより、鋳物砂の使用量を最適化でき、鋳物砂を無駄なく使える。
【0062】
また、上記(e)に示すように各収容部22内に収容さていれる圧縮不活性ガスの気圧で、各収容部22内の鋳物砂を金型1のキャビティ内に吹き込むように構成し、エア供給装置等を用いない。従って、装置構成を簡素化でき、さらに金型1のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む際に使用するエネルギー量を低減できる。
【0063】
なお、上記(a)〜(c)の工程に代えて以下の(a1)、(b1)の工程を行うように構成してもよい。
(a1)収容部22内に鋳物砂及び圧縮不活性ガスを封入されている容器21が予め多数用意される。
(b1)上記(a1)において用意された多数の容器21・21・・・の中から金型の種類毎に必要な数(本実施形態では九つ)の各容器21が選択される。
以後は、上記(b1)において選択された各容器21を使って上記(d)〜(f)に基づいた作業が行われる。
前述のように、容器21の収容部22内には圧縮不活性ガスが封入されており、収容部22内の鋳物砂の長期保存ができるので、このような収容部22内に鋳物砂及び圧縮不活性ガスが封入されている容器21を予め多数用意しておく構成が可能になる。
【符号の説明】
【0064】
1 金型
5 吹き込み口
10 鋳物砂の吹き込み装置
11 容器
12 エアホース
13 収容部
14 ノズル部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、
内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数備える容器群と、
前記容器群の各容器の各収容部に接続され、前記各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む気体供給手段とを備える鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項2】
前記気体供給手段は、前記各収容部内に供給する気体の気圧を前記収容部毎に制御可能である請求項1に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項3】
前記各収容部の内周面には、前記噴出部に向かって傾斜して、前記噴出部に連なる傾斜部が形成される請求項1又は請求項2に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項4】
前記各収容部に接続され、前記鋳物砂の硬化を促進する気体を前記各収容部を通じて前記型のキャビティ内に供給する硬化ガス供給手段を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項5】
砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、
内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、
前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、
を有する容器を、前記複数の吹き込み口の数と同数備える鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項6】
前記圧縮気体は、前記鋳物砂の硬化を抑制する気体である請求項5に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項7】
前記各容器の各収容部の内周面には、前記開口部に向かって傾斜して、前記開口部に連なる傾斜部が形成される請求項5又は請求項6に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項8】
砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、
内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、
前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂を収容して、
前記各容器の各噴出部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、
前記各容器の各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項9】
前記各収容部内に供給される気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項8に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項10】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項8又は請求項9に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項11】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項12】
砂鋳型造型用の型の外周に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、
内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、
前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂及び前記圧縮気体を収容して、
前記各開閉部で前記各開口部を閉じることにより前記各収容部を密封して、
前記各容器の前記開口部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、
前記各開閉部で前記各開口部を開けることにより前記各収容部を開封し、前記各収容部内の圧縮気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項13】
前記各収容部内に収容される圧縮気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項12に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項14】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項12又は請求項13に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項15】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項1】
砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、
内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数備える容器群と、
前記容器群の各容器の各収容部に接続され、前記各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む気体供給手段とを備える鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項2】
前記気体供給手段は、前記各収容部内に供給する気体の気圧を前記収容部毎に制御可能である請求項1に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項3】
前記各収容部の内周面には、前記噴出部に向かって傾斜して、前記噴出部に連なる傾斜部が形成される請求項1又は請求項2に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項4】
前記各収容部に接続され、前記鋳物砂の硬化を促進する気体を前記各収容部を通じて前記型のキャビティ内に供給する硬化ガス供給手段を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項5】
砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み装置であって、
内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、
前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、
を有する容器を、前記複数の吹き込み口の数と同数備える鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項6】
前記圧縮気体は、前記鋳物砂の硬化を抑制する気体である請求項5に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項7】
前記各容器の各収容部の内周面には、前記開口部に向かって傾斜して、前記開口部に連なる傾斜部が形成される請求項5又は請求項6に記載の鋳物砂の吹き込み装置。
【請求項8】
砂鋳型造型用の型の外周面に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、
内部に前記鋳物砂を収容可能な収容部、及び前記収容部内に収容される前記鋳物砂を噴出可能であると共に前記吹き込み口に係合可能な噴出部を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、
前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂を収容して、
前記各容器の各噴出部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、
前記各容器の各収容部内に気体を供給することにより、供給した前記気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項9】
前記各収容部内に供給される気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項8に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項10】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項8又は請求項9に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項11】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項12】
砂鋳型造型用の型の外周に形成されると共に前記型のキャビティに連通する複数の吹き込み口を通じて、前記型のキャビティ内に鋳物砂を吹き込む鋳物砂の吹き込み方法であって、
内部に前記鋳物砂及び圧縮気体を収容可能な中空形状に形成されると共に、前記吹き込み口に係合可能な開口部を有する収容部と、前記開口部を閉じることにより前記収容部を密封し、前記開口部を開けることにより前記収容部を開封する開閉部と、を有する容器を前記複数の吹き込み口の数と同数用意して、
前記各容器の各収容部内に前記鋳物砂及び前記圧縮気体を収容して、
前記各開閉部で前記各開口部を閉じることにより前記各収容部を密封して、
前記各容器の前記開口部を前記複数の吹き込み口にそれぞれ係合して、
前記各開閉部で前記各開口部を開けることにより前記各収容部を開封し、前記各収容部内の圧縮気体の気圧で前記各収容部内の鋳物砂を前記型のキャビティ内に吹き込む鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項13】
前記各収容部内に収容される圧縮気体の気圧は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項12に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項14】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の種類は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項12又は請求項13に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【請求項15】
前記各収容部内に収容される鋳物砂の量は、前記金型のキャビティ内における前記各収容部内の鋳物砂が吹き込まれる部分の各形状に応じて設定される請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の鋳物砂の吹き込み方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−11216(P2011−11216A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155653(P2009−155653)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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