説明

鋼管鉄塔の主柱材取替装置に用いる締付具

【課題】 鋼管鉄塔の主柱材取替装置において、ジャッキによる支持部材の押し上げ時および引き下げ時の両方の応力を支持することができると共に、ずれ止めの効果を有する締付具を提供する。
【解決手段】 本発明は、鋼管鉄塔の主柱材取替装置において、装置を主柱材に固定するための締付具を、2体の半割り円筒状体を軸方向に所定の隙間を開けた状態で、半割り円筒状体の外周面に取り付けられる複数のリブにより互いを接続して形成し、締付具に設けられた隙間に主柱材に取り付けたリング状の帯板を嵌め合わせるようにして、2体の締付具を鋼管の外周面に設置し、互いをボルトの締付けによって固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管鉄塔の主柱材を取り替えるための主柱材取替装置に用いられる締付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼管鉄塔の主柱材に経年変化や災害等に起因して腐食や変形等の損傷が生じた場合、損傷した主柱材の取り替えが行われている。従来、主柱材を取り替える場合には、送電経路を迂回させる仮線路を設け、送電線を鉄塔から取り外して主柱材の取替作業を行っているが、大規模な設備を必要とし、多額の費用がかかるという問題があった。
【0003】
そこで、送電線を架線した状態で鉄塔の主柱材を取り替えるための工法が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。この主柱材取替工法は、取替対象の主柱材の上側に連なる上側主柱材と、取替対象の主柱材の下側に連なる下側主柱材とに固定具を固定し、これら上側と下側の固定具の間にジャッキが介在された支持部材を設置し、前記ジャッキにより支持部材を押し上げて主柱材の応力を支持部材に移した後、取替対象の主柱材を取り外して新たな主柱材を挿入し、支持部材を押し上げた量だけジャッキにより支持部材を引き下げて、新たな主柱材を組み付けることで、主柱材の取り替えを行っている。
【0004】
前記主柱材取替工法では、前記固定具に半割り円筒状の締付具を設けており、これら2つの締付具を鋼管の外周面に嵌め、互いをボルトナットで固定して鋼管の外周面を締め付けて、固定具を主柱材に固定している。これと共に、締付具と主柱材との間に、取替対象の主柱材に連なる主柱材から取替対象の主柱材の方向にくさびを圧入して、ジャッキにより支持部材を押し上げる時の固定具のずれ止めを行っている(特許文献1参照)。また、取替対象の主柱材の上下に連なる主柱材において、取替対象の主柱材から遠い側の主柱材継手部のフランジに締付具の端面を係止させて、ジャッキにより支持部材を押し上げる時の固定具のずれ止めを行う場合もある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−189421号公報
【特許文献2】特開平10−153015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、鉄塔の主柱材には、送電線の重量や鉄塔の自重などにより圧縮の応力が発生している。しかし、電線路に水平角度がある箇所に使用される角度鉄塔や送電線を引留める箇所に使用される引留鉄塔では、送電線によって一定の方向に引っ張られているため、主柱材に常時引張の応力が発生している場合がある。このような常時引張の応力が発生している主柱材の取り替えを行う場合には、ジャッキにより支持部材を押し上げる時よりも、支持部材を押し上げた量だけジャッキにより支持部材を引き下げる時に固定具に大きな応力が発生する。この常時引張の応力が発生している主柱材の取り替えに特許文献1の主柱材取替工法を採用した場合、ジャッキにより支持部材を押し上げる時の固定具のずれ止めのために圧入されたくさびは、取替対象の主柱材に連なる主柱材から取替対象の主柱材の方向に圧入されているため、ジャッキにより支持部材を引き下げる時にはくさびの効果は少なく、固定具にずれが発生する可能性がある。
【0007】
なお、締付具の両方向からくさびを圧入することで、ジャッキにより支持部材を引き下げる時においても、固定具のずれを防止できるようになるが、締付具の大きさが圧入したくさび分大きくなり、主柱材にはガセットプレート,金具およびボルトなどが設けられているため、締付具を主柱材に取り付けるスペースが確保できないという問題がある。
【0008】
一方、常時引張の応力が発生している主柱材の取り替えに特許文献2の主柱材取替工法を採用した場合には、ジャッキにより支持部材を押し上げる時の固定具のずれ止めのために、取替対象の主柱材の上下に連なる主柱材において、取替対象の主柱材から遠い側の主柱材継手部のフランジに締付具の端面を係止させているため、ジャッキにより支持部材を引き下げる時には効果がなく、固定具にずれが発生する可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、ガセットプレート,金具およびボルトなどが設けられている主柱材に固定可能な大きさで、ジャッキによる支持部材の押し上げ時および引き下げ時に固定具に発生する応力を支持することができると共に、固定具のずれ止めの効果を有する主柱材取替装置に用いる締付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の主柱材取替装置に用いる締付具は、鋼管鉄塔の取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に各々固定される2つの固定具と、これら2つの固定具の間にジャッキが介在されて設置される支持部材とを備えた主柱材取替装置において、前記固定具は、固定具を主柱材に固定するための締付具と、締付具を支持部材またはジャッキと連結するための支持部材取付台とを有しており、前記締付具は、半割り円筒状体の軸方向の一方の端部にベース板を取り付け、2体の前記半割り円筒状体を軸方向に所定の隙間を開けて半割り円筒状体側を互いに向き合わせ、ベース板間の半割り円筒状体の外周面に取り付けられる複数のリブにより互いを接続して形成されることを特徴としている。
【0011】
また、取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材の鋼管外周面に沿ってリング状の帯板を取り付け、締付具を形成する2体の半割り円筒状体間に設けられた隙間に前記リング状の帯板を嵌め合わせるようにして、2体の締付具を鋼管の外周面に設置し、互いをボルトの締付けによって固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の主柱材取替装置に用いる締付具によれば、締付具は、締付具を形成する2体の半割り円筒状体間に設けられた隙間にリング状の帯板を嵌め合わせて、主柱材に固定されるため、ジャッキにより支持部材を押し上げる時には、リング状の帯板に対して取替対象の主柱材側に位置する半割り円筒状体がリング状の帯板と当接して、締付具に発生する応力を支持すると共に、固定具のずれを防止する。また、ジャッキにより支持部材を引き下げる時には、リング状の帯板に対して取替対象の主柱材側とは反対側に位置する半割り円筒状体がリング状の帯板と当接して、締付具に発生する応力を支持すると共に、固定具のずれを防止する。この結果、ジャッキによる支持部材の押し上げ時および引き下げ時に締付具に発生する応力を支持することができると共に、固定具のずれを防止でき、常時引張の応力が発生している主柱材であっても取り替えることができる。
【0013】
また、締付具内にずれ止めの機能を有しており、締付具の外部からくさび等のずれ止めを設ける必要が無いため、締付具の大きさが大きくならず、主柱材にガセットプレート,金具およびボルトなどが設けられていても、締付具を主柱材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】主柱材に取り付けられた主柱材取替装置を示す正面図である。
【図2】締付具を示す正面図である。
【図3】締付具を示す上面図である。
【図4】締付具を形成する締付具用金具を示す正面図である。
【図5】締付具を形成する締付具用金具を示す上面図である。
【図6】上側および下側主柱材に取り付けられたリング状の帯板を示す正面図である。
【図7】リング状の帯板を示す平面図である。
【図8】下側主柱材に取り付けられた固定具を示す正面図である。
【図9】下側主柱材に取り付けられた固定具を示す側面図である。
【図10】下側主柱材に取り付けられた固定具を示す上面図である。
【図11】下側主柱材に取り付けられた固定具を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、主柱材に取り付けられた主柱材取替装置を示す正面図である。この主柱材取替装置1は、鋼管鉄塔において、腕金が取り付けられた主柱材よりも下方の主柱材の取り替えに好適に用いられ、この主柱材の取替作業を送電線が架線された状態で実行可能とするものである。
【0017】
図1に示すように、主柱材取替装置1は、取替対象の主柱材2を取り替えるために、取替対象の主柱材2の上側に連なる上側主柱材3から、取替対象の主柱材2の下側に連なる下側主柱材4にかけて設置される。この主柱材取替装置1は、上側主柱材3および下側主柱材4に固定される固定具5を備える。これら2つの固定具5の間には、鋼管で形成される支持部材6とジャッキ7が設置されている。これら支持部材6およびジャッキ7の列が、固定具5の幅方向の両端に2列設置されている。また、固定具5は、固定具5を上側主柱材3および下側主柱材4に固定するための締付具8と、締付具8を支持部材6またはジャッキ7と連結するための支持部材取付台9とを有している。
【0018】
ジャッキ7は、シリンダ71とロッド72とロッド接続鋼管73とを有して構成される。シリンダ71は、下側主柱材4に固定される固定具5の幅方向の両端に取り付けられる固定プレート10に固定されると共に、図示しない油圧ポンプに接続されている。ロッド接続鋼管73は、シリンダ71で進退駆動されるロッド72の先端に下端が固定されると共に、上端に、支持部材6の下側フランジが固定される。このジャッキ7は取替対象の主柱材2と支持部材6との間で応力を移す際に、操作者による油圧ポンプの操作に基づいてシリンダ71でロッド72を進退駆動し、上側主柱材3および下側主柱材4に固定される固定具5間の距離を調整するようになっている。
【0019】
支持部材6の上端は、上側主柱材3に固定される固定具5の幅方向の両端に取り付けられる固定プレート10に支持部材接続鋼管11を介して固定される。
【0020】
図2は締付具8を示す正面図、図3は締付具8を示す上面図、図4は締付具8を形成する締付具用金具14を示す正面図、図5は締付具8を形成する締付具用金具14を示す上面図である。締付具8は、図4および図5に示す半割り円筒状体12の軸方向の一方の端部にベース板13が取り付けられた締付具用金具14により形成される。具体的には、図2および図3に示すように、2体の締付具用金具14a,14bを、半割り円筒状体12a,12bの軸方向に所定の隙間19を開けて半割り円筒状体12a,12b側を互いに向き合わせた状態にし、ベース板13a,13b間の半割り円筒状体12a,12bの外周面に複数のリブ15a,15b,15cを取り付けることで、2体の締付具用金具14a,14bを接続して、締付具8を形成する。また、半割り円筒状体12a,12bの周方向の端部に取り付けられているリブ15a,15cおよびベース板13には、ボルト接続用の穴16,17が設けられている。なお、図2および図3に示す実施形態では、リブ15a,15b,15cの枚数が3枚の場合を示しているが、締付具8が支持する応力と締付具8の強度に応じてリブの枚数を変更してもかまわない。
【0021】
図6は上側主柱材3および下側主柱材4に取り付けられたリング状の帯板18を示す正面図、図7はリング状の帯板18を示す平面図である。締付具8を取替対象の主柱材2に連なる上側主柱材3および下側主柱材4に取り付けるために、図6および図7に示すように、上側主柱材3および下側主柱材4の締付具8を取り付ける位置の鋼管外周面に沿って、2つに分割されたリング状の帯板18を溶接により取り付ける。リング状の帯板18は、締付具用金具14を形成する半割り円筒状体12の厚さと同じ板厚とし、帯板の幅は、締付具8を形成する2体の締付具用金具14a,14b間に設けられた隙間19より若干小さくする。
【0022】
図8は下側主柱材4に取り付けられた固定具5を示す正面図、図9は下側主柱材4に取り付けられた固定具5を示す側面図である。締付具8を下側主柱材4に固定するには、2体の締付具8を半割り円筒状体12の内周面を対向させて、下側主柱材4の鋼管の外周面に設置し、半割り円筒状体12の周方向の端部に取り付けられているリブ15のボルト接続用の穴16位置で、互いをボルト20の締付けによって固定する。この時、締付具8を形成する締付具用金具14a,14b間に設けられた隙間19に、下側主柱材4に取り付けられたリング状の帯板18を嵌め合わせて設置する。
【0023】
下側主柱材4に固定した締付具8の取替対象の主柱材2側のベース板13aに支持部材取付台9を取り付ける。支持部材取付台9は、溝形鋼からなる取付台用部材21で構成されており、2つの取付台用部材21で下側主柱材4を挟むようにして、ベース板13aに設けられたボルト接続用の穴17と取付台用部材21の中央部のフランジ面とをボルトで接合して固定する。
【0024】
図10は下側主柱材4に取り付けられた固定具5を示す上面図である。図8から図10に示すように、支持部材取付台9の締付具8と接合していない側のフランジ面には、保持金具22が取り付けられる。保持金具22は、図4および図5に示す半割り円筒状体12の軸方向の一方の端部にベース板13が取り付けた締付具用金具14に、半割り円筒状体12の周方向の端部にボルト接続用の穴を設けたフランジ23が取り付けられて形成されている。2つの取付台用部材21の中央部のフランジ面間に保持金具22のベース板13をボルトで接合して固定すると共に、2つの保持金具22を下側主柱材4の鋼管の外周面に嵌め、互いをフランジ23位置でボルト接合して、鋼管の外周面を締め付けて、保持金具22を下側主柱材4に固定する。
【0025】
また、図示していないが、支持部材取付台9の保持金具22と接合している側のフランジ面の端部付近には、ジャッキ7を取り付けるための、固定プレート10が取り付けられる。
【0026】
図11は下側主柱材4に取り付けられた固定具5を示す下面図である。締付具8の支持部材取付台9を取り付けていない側のベース板13bには、図11に示すように、ボルト接続用の穴17間に接続板24を取り付けて、2つの締付具8を連結している。
【0027】
上側主柱材3に固定される固定具5については、下側主柱材4に固定された固定具5と同様の方法で取り付けられ、図1に示すように、下側主柱材4に固定された固定具5を上下対称に配置したような構成を有している。上側主柱材3への固定具5の固定について、概略を説明する。
【0028】
締付具8の締付具用金具14a,14b間に設けられた隙間19に、上側主柱材3に取り付けられたリング状の帯板18を嵌め合わせて、鋼管の外周面に2体の締付具8を設置し、互いをボルト20の締付けによって固定する。続いて、上側主柱材3に固定した締付具8の取替対象の主柱材2側のベース板13に支持部材取付台9を取り付ける。支持部材取付台9の締付具8と接合していない側のフランジ面に保持金具22を取り付け、2つの保持金具22で上側主柱材3に固定する。支持部材取付台9の保持金具22と接合している側のフランジ面の端部付近には、支持部材接続鋼管11を取り付けるための、固定プレート10を取り付ける。締付具8の支持部材取付台9を取り付けていない側のベース板13に接続板24を取り付けて、2つの締付具8を連結する。
【0029】
固定具5を上側主柱材3および下側主柱材4に固定した後、これら2つの固定具5の間に、鋼管で形成される支持部材6とジャッキ7を設置する。この支持部材6およびジャッキ7の列を、固定具5の幅方向の両端に2列設置して、主柱材取替装置1の設置が完了する。
【0030】
このようにして設置された主柱材取替装置1を用いて、主柱材を取り替える手順について説明する。
【0031】
まず、取替対象の主柱材2に接続されている斜材や水平材や補助材などの部材のボルトを取り外して、取替対象の主柱材2から切り離す。続いて、取替対象の主柱材2と下側主柱材4を接続するフランジ継手のボルトを緩め、油圧ポンプを操作して、ジャッキ7により支持部材6を押し上げると、支持部材取付台9間に押し開き力が働き、締付具8を介して上側主柱材3が持ち上げられて、取替対象の主柱材2と下側主柱材4を接続するフランジ継手間に隙間が生じる。この時、締付具8は、リング状の帯板18に対して取替対象の主柱材2側に位置する締付具用金具14の半割り円筒状体12がリング状の帯板18と当接して、締付具8に発生する応力を支持すると共に、締付具8のずれを防止している。取替対象の主柱材2に圧縮の応力が発生している場合には、ジャッキ7により支持部材6を押し上げる時に最も大きな応力が固定具5に発生する。
【0032】
取替対象の主柱材2と下側主柱材4を接続するフランジ継手間に隙間が生じると、取替対象の主柱材2に作用していた応力が支持部材6に移る。支持部材6に応力が移ると、取替対象の主柱材2と下側主柱材4を接続するフランジ継手のボルトと取替対象の主柱材2と上側主柱材3を接続するフランジ継手のボルトを取り外して、取替対象の主柱材2を撤去する。
【0033】
新たな主柱材を下側主柱材4の上端と上側主柱材3の下端との間に配置し、新たな主柱材と上側主柱材3とを接続するフランジ継手部および新たな主柱材と下側主柱材4とを接続するフランジ継手部にボルトを挿入して、仮止めする。続いて、油圧ポンプを操作して、支持部材6を押し上げた量だけジャッキ7により支持部材6を引き下げると、支持部材取付台9間を狭めようとする力が働き、締付具8を介して上側主柱材3が引き下げられて、新たな主柱材と上側および下側主柱材3,4とを接続するフランジ継手間の隙間が無くなる。この時、締付具8は、リング状の帯板18に対して取替対象の主柱材2側とは反対側に位置する締付具用金具14の半割り円筒状体12がリング状の帯板18と当接して、締付具8に発生する応力を支持すると共に、締付具8のずれを防止している。取替対象の主柱材2に引張の応力が発生している場合には、ジャッキ7により支持部材6を引き下げる時に最も大きな応力が固定具5に発生する。
【0034】
新たな主柱材と上側および下側主柱材3,4とを接続するフランジ継手間の隙間が無くなれば、フランジ継手部のボルトを本締めして、新たな主柱材を組み付ける。新たな主柱材を組み付けた後、取替対象の主柱材2に接続されていた斜材や水平材や補助材などの部材を取り付け、主柱材取替装置1を取り外して、主柱材の取り替えが完了する。
【0035】
このように、締付具8は、締付具8を形成する2体の締付具用金具14a,14b間に設けられた隙間19に、上側および下側主柱材3,4の鋼管外周面に取り付けられたリング状の帯板18を嵌め合わせて、主柱材3,4に固定されるため、ジャッキ7により支持部材6を押し上げる時には、リング状の帯板18に対して取替対象の主柱材2側に位置する締付具用金具14の半割り円筒状体12がリング状の帯板18と当接して応力を支持すると共に、ずれ止めの効果を有する。また、ジャッキ7により支持部材6を引き下げる時には、リング状の帯板18に対して取替対象の主柱材2側とは反対側に位置する締付具用金具14の半割り円筒状体12がリング状の帯板18と当接して応力を支持すると共に、ずれ止めの効果を有する。
【0036】
また、締付具8内にずれ止めの機能を有しており、締付具8の外部からくさび等のずれ止めを設ける必要が無いため、締付具8の大きさが大きくならず、主柱材にガセットプレート,金具およびボルトなどが設けられていても、締付具8を主柱材に固定することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 主柱材取替装置
2 取替対象主柱材
3 上側主柱材
4 下側主柱材
5 固定具
6 支持部材
7 ジャッキ
8 締付具
9 支持部材取付台
10 固定プレート
11 支持部材接続鋼管
12 半割り円筒状体
13 ベース板
14 締付具用金具
15 リブ
16 リブに設けられたボルト接続用の穴
17 ベース板に設けられたボルト接続用の穴
18 リング状の帯板
19 締付具用金具間に設けられた隙間
20 ボルト
21 取付台用部材
22 保持金具
23 フランジ
24 接続板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管鉄塔の取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に各々固定される2つの固定具と、これら2つの固定具の間にジャッキが介在されて設置される支持部材とを備えた主柱材取替装置において、
前記固定具は、固定具を主柱材に固定するための締付具と、締付具を支持部材またはジャッキと連結するための支持部材取付台とを有しており、
前記締付具は、半割り円筒状体の軸方向の一方の端部にベース板を取り付け、2体の前記半割り円筒状体を軸方向に所定の隙間を開けて半割り円筒状体側を互いに向き合わせ、ベース板間の半割り円筒状体の外周面に取り付けられる複数のリブにより互いを接続して形成されること、
を特徴とする鋼管鉄塔の主柱材取替装置に用いる締付具。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼管鉄塔の主柱材取替装置に用いる締付具において、
取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材の鋼管外周面に沿ってリング状の帯板を取り付け、締付具を形成する2体の半割り円筒状体間に設けられた隙間に前記リング状の帯板を嵌め合わせるようにして、2体の締付具を鋼管の外周面に設置し、互いをボルトの締付けによって主柱材に固定することを特徴とする鋼管鉄塔の主柱材取替装置に用いる締付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−231600(P2011−231600A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113651(P2010−113651)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(592233174)株式会社デンロコーポレーション (22)