説明

錠剤分包機

【課題】上部錠剤収集機構140の両縦割片側部分141,142を当接状態で装備しても磨屑状粉塵がほとんど発生しない錠剤分包機300を実現する。
【解決手段】錠剤フィーダ格納庫12を複数と、それを筐体内に保持するとともに筐体から前方への引出も可能とする引出機構350と、錠剤フィーダ格納庫12に装備されていて錠剤フィーダ13から排出された錠剤を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構140と、その下方の下部錠剤収集機構(15)及び包装装置(17)とを備えており、上部錠剤収集機構140が縦割形の縦割左側部分141と縦割右側部分142とに分かれて、縦割左側部分141が錠剤フィーダ格納庫12の隣接対の左側の右側面に装備され、縦割右側部分142が上記隣接対の右側の錠剤フィーダ格納庫12の左側面に装備されている錠剤分包機300において、錠剤フィーダ格納庫12の隣接対に係る引出機構350の一対の引出経路を前開き状態(θ)にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の錠剤を収容しておき処方箋や調剤指示に応じて所望の錠剤を自動排出して分包する錠剤分包機に関し、詳しくは、筐体に複数装備されている錠剤フィーダ格納庫がそれぞれ筐体から引き出せるようになっている錠剤分包機に関し、更に詳しくは上部錠剤収集機構が縦割左側部分と縦割右側部分とに分かれている錠剤分包機に関する。
また、上部錠剤収集機構と下部錠剤収集機構との中間に一時貯留機構を備えている錠剤分包機にも関する。
【背景技術】
【0002】
玉剤やそれに準じたカプセル剤といった錠剤を分包する幾つかの錠剤分包機10,20,30,40について、その構造等を、図面を引用して説明する。
そのうち、錠剤分包機10は、錠剤手撒き装置も一時貯留機構も付いていない最も基本的な構成のものであるが(図11(a)〜(c)参照、例えば特許文献1,2参照)、錠剤分包機20は、錠剤分包機10に錠剤手撒き装置21+22が組み込まれたものであり(図11(d)参照、例えば特許文献3参照)、錠剤分包機30は、錠剤分包機20に一時貯留機構31が組み込まれたものであり(図12参照、例えば特許文献4,5参照)、錠剤分包機40は、上部錠剤収集機構140が内面清掃容易化のため縦に二分割されたものである(図13参照、例えば特許文献6参照)。
【0003】
先ず、基本構成の錠剤分包機10を説明するが、図11は、(a)が左前から見た錠剤分包機10の外観斜視図、(b)が錠剤分包機10の内部構造を示す模式図、(c)が左前から見た錠剤分包機10の外観斜視図である。この錠剤分包機10は(特許文献1,2も参照)、各種の錠剤1を種類分けして収容した多数の錠剤フィーダ13と、これらの錠剤フィーダ13から排出された錠剤1を収集する錠剤収集機構14,15と、この錠剤収集機構14,15から受けた錠剤1を包装する包装装置17と、マイクロプロセッサシステム等からなるコントローラ18(制御装置)とを具えている。そして、コントローラ18の制御の下、処方箋データや派生した調剤指示データ等に応じて該当する錠剤フィーダ13から必要個数の錠剤1を排出させ、それを錠剤収集機構14,15で収集して下方の錠剤投入部16(収集錠剤投入口)へ送り込み、更に包装装置17で分包する。分包は服用単位や施用単位で区分しながら包装帯2(分包紙)で密封包装するようになっている。
【0004】
詳述すると、錠剤分包機10の筐体内には、上の方に薬品庫11(薬品棚部、錠剤収納庫格納部)が設けられるとともに、下の方に包装装置17が設けられ、さらに、これらの間を錠剤収集機構としての上部錠剤収集機構14と下部錠剤収集機構15が連絡しているが、薬品庫11には、個々にスライドしうる複数の錠剤フィーダ格納庫12(錠剤収納庫)が横に並べて配設され、それぞれの錠剤フィーダ格納庫12には、数個から数十個のカセット着脱式の錠剤フィーダ13が縦横に並べて格納されている。
各錠剤フィーダ13は、多数の錠剤1を排出可能に収容する錠剤カセットと、この錠剤カセットを着脱可能に支持してその排出駆動を行うベース部とに大別され、指定錠数だけ錠剤1を排出して上部錠剤収集機構14に送り込むようになっている。
【0005】
上部錠剤収集機構14は、ダクト等の導管からなり、錠剤フィーダ格納庫12に分散して数本ずつ設けられているが、何れも鉛直状態・縦置き状態で装着されていて、多数の錠剤フィーダ13間を並行して走る複数の案内路部分となっている。
錠剤フィーダ格納庫12は、水平にスライドさせることで、それに装備されている上部錠剤収集機構14及び錠剤フィーダ13と共に、前方に引き出せるようになっている。
下部錠剤収集機構15は、比較的大きなホッパ状部材や漏斗状部材からなり、薬品庫11の下方であって包装装置17の上方にあたるところに組み込まれて、上部開口が総ての上部錠剤収集機構14の下端をカバーするほどに大きく開いており、下部開口が包装装置17の錠剤投入部16に向けて絞られていて、何れの上部錠剤収集機構14によって案内されて来た錠剤1も下部開口へ向けて集めて包装装置17へ送り込むので、総ての上部錠剤収集機構14から包装装置17に至る共通路部分となっている。
【0006】
そして、用量や用法等を記した処方箋等の指定に基づく操作パネル19の操作あるいは図示しない適宜な入力装置や処方オーダリングシステムでの調剤指示に応じて、コントローラ18の制御の下、幾つかの錠剤フィーダ13から排出された錠剤1は、各上部錠剤収集機構14を介して下部錠剤収集機構15内へ落下し、その下部錠剤収集機構15で集められて、その下方の出口から包装装置17の錠剤投入部16へ投入される。このような錠剤収集経路を経て、錠剤1は、包装装置17によって包装帯2に分包される。包装装置17は、包装帯2を所定長ずつ送り出すとともに加熱シーリングしながら分包を行う。このように、錠剤の自動分包に際し、錠剤1が適宜の錠剤フィーダ13から錠剤収集機構14,15を経て包装装置17へ一錠またはその倍数ごとに供給されるようになっている。
【0007】
次に、錠剤手撒き装置21+22の付いた錠剤分包機20を説明する、図11(d)は、錠剤分包機20の左側面図である。この錠剤分包機20は(特許文献3も参照)、上述したように錠剤分包機10に錠剤手撒き装置21+22が組み込まれたものであり、錠剤手撒き装置21+22は、例えばカセット式の予備撒き部21と、例えばコンベア式の作動部22とからなる。予備撒き部21には多数の区画室が縦横に並べて形成されており、各区画室は、上面が錠剤投入のため解放され、下面・底面が錠剤排出のためシャッタ等で出来ていて開閉するようになっている。予備撒き部21は、各区画室への錠剤手撒きのために、錠剤分包機20の筐体から前方へ引き出し可能になっている。また、予備撒き部21への錠剤投入は手撒きでも、作動部22は、自動で錠剤1を排出するようになっている。具体的には、錠剤分包機20の筐体内で、押し込まれた予備撒き部21の下方に位置する所に設けられていて、予備撒き部21の区画室から排出された錠剤1を受け取って一区画室分ずつ下部錠剤収集機構15を介して包装装置17へ送り込むようになっている。
【0008】
さらに、錠剤手撒き装置21+22に加えて一時貯留機構31も筐体内に組み込まれている錠剤分包機30を説明する。図12は、一時貯留機構31を引出可能にした試作の錠剤分包機30について、(a)が錠剤フィーダ格納庫12も一時貯留機構31も総て筐体内に押し込んだところを左前から見た外観斜視図、(b)が内部構造を示す模式図、(c)が錠剤フィーダ格納庫12を一つと一時貯留機構31とを筐体から引き出したところを左前から見た外観斜視図である。
【0009】
一時貯留機構31は、上側の上部錠剤収集機構14及び錠剤手撒き装置21+22と下側の下部錠剤収集機構15との中間層に設けられて、錠剤フィーダ13から排出されて上部錠剤収集機構14に案内されて落下した錠剤1を一旦留め置き、適切な時期に放下して下部錠剤収集機構15へ落下させるものである。一時貯留することで、各錠剤フィーダ13の排出タイミングの相違ひいては落下開始時刻のバラツキや,各上部錠剤収集機構14の落下経路長の相違ひいては落下時間のバラツキなどに起因する錠剤1の収集時刻のバラツキを解消し、一包分の錠剤1を纏めて一斉に下部錠剤収集機構15へ落下させることで、包装装置17の投入待ち時間を短縮し、錠剤分包の高速化に役立っている。
【0010】
一時貯留機構31は、中空を上下方向・鉛直方向に向けた筒体とその中空を開閉する開閉部材とが主要部材であり、マトリクス状の平面配置の上部錠剤収集機構14それぞれに対応させて筒体と開閉部材とをマトリクス状に平面配置したものと、一列分の上部錠剤収集機構14に一つの単列貯留機構32を配置したものとがあり、図示した錠剤分包機30の一時貯留機構31では、後者の単列貯留機構32が複数列設されている。また、一時貯留機構31には、複数の単列貯留機構32の開閉部材を同時に開閉動作させるために、各単列貯留機構32に一端側から連結された複列同時駆動機構33も設けられていて、その複列同時駆動機構33が開閉部材の動作駆動を行うようになっている。
【0011】
上述した錠剤分包機10,20,30では、上部錠剤収集機構14が錠剤フィーダ格納庫12それぞれに組み込まれている。このため、上部錠剤収集機構14を清掃するときには、先ず錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11や筐体から前方へ引き出して、上部錠剤収集機構14の上下端を露出させ、その状態で上下の開口から清掃用具を中空に差し込んで上部錠剤収集機構14の内側の錠剤落下経路囲繞面を拭くことで綺麗にしていた。もっとも、このような清掃作業は、作業者に不自然な姿勢を強いるので負担になるばかりか遣りにくいため能率も悪いので、上部錠剤収集機構14の内面を清掃するのが容易な錠剤分包機を実現することが求められていた。
【0012】
そして、その要請に応えるために、上部錠剤収集機構14を縦割したうえで錠剤フィーダ格納庫12の引出に随伴して上部錠剤収集機構の内側の錠剤落下経路囲繞面が露出するように改良した錠剤分包機40が開発されている(例えば特許文献6参照)。図13は、錠剤分包機40の要部構成を示しており、(a)が総ての錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11に押し込んだときの上部錠剤収集機構140等の平面図、(b)が一部の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11から前方へ引き出したときの上部錠剤収集機構140等の平面図、(c)が上部錠剤収集機構140を右斜め上から見下ろした斜視図、(d)が上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142を左斜め上から見下ろした斜視図である。
【0013】
図示した錠剤分包機40の具体的な構成は、錠剤を収容して逐次排出する錠剤フィーダ13と、それを複数装備しており筐体から引出可能な錠剤フィーダ格納庫12を複数と、それに装備されていて錠剤フィーダ13から排出された錠剤を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構140と、そこから落下した錠剤を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構15と、そこから投入された錠剤を包装帯に区分包装する包装装置17とを備えた錠剤分包機40において、上部錠剤収集機構140が縦割形の縦割左側部分141と縦割右側部分142とを具備し、縦割左側部分141が錠剤フィーダ格納庫12の隣接対の左側の右側面に装備され、縦割右側部分142が上記隣接対の右側の錠剤フィーダ格納庫12の左側面に装備されたものとなっている。
【0014】
このような錠剤分包機40にあっては、隣接対の錠剤フィーダ格納庫12を共に筐体の中に収めた状態では、縦割左側部分141と縦割右側部分142とが合わさって、上部錠剤収集機構140が落下錠剤の案内路として本来の機能を発揮するので、自動調剤が支障なく行われる。また、上部錠剤収集機構140を清掃するときには、先ず隣接対の錠剤フィーダ格納庫12,12の片方だけを筐体から前方へ引き出す。そうすると、引き出された錠剤フィーダ格納庫12の側面のところに上部錠剤収集機構140の内側の錠剤落下経路囲繞面が露出するので、拭き掃除等が対面式で容易かつ迅速に行える。
それから、それを筐体に押し戻し、隣接対の他方の錠剤フィーダ格納庫12を引き出して、同様にすれば、残りの片方も綺麗になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−192702号公報
【特許文献2】特開2006−109860号公報
【特許文献3】特開2007−209600号公報
【特許文献4】特開2001−087353号公報
【特許文献5】特開2011−182889号公報
【特許文献6】特開2011−182890号公報
【特許文献7】特願2010−288960号
【特許文献8】特願2011−221098号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このような錠剤分包機40では、上部錠剤収集機構140を左右に縦割りにして個別引出可能な錠剤フィーダ格納庫12の隣接対の右左側面に分けて装備したことにより、上部錠剤収集機構140の内面を清掃するのが容易な錠剤分包機となっている。
ところで、そのように上部錠剤収集機構140を縦割りにした場合、取り扱う錠剤が比較的大きければ縦割左側部分141と縦割右側部分142との合わせ目に隙間があっても或る程度までなら許容されるが、それが許容されないときには、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と縦割右側部分142との合わせ目に不所望な隙間ができないよう両縦割片側部分141,142を密着状態かそれに近い状態で当接させることになる。
【0017】
しかしながら、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と縦割右側部分142とを当接させながら別個に引き出すと、引出時に両縦割片側部分141,142が擦れ合うため、両者141,142の当接面から磨屑(すりくず)状の粉塵が発生することもある。このような磨屑状粉塵は、上部錠剤収集機構140がステンレススチール等から作られている場合、毒性がないうえ、量も極僅かでしかないので、実害は無いが、目にとまると違和感を与えるため、発生させないに越したことはない。
そこで、上部錠剤収集機構を左右に縦割りにして個別引出可能な錠剤フィーダ格納庫の隣接対の右左側面に分けて当接状態で装備しても磨屑状粉塵のほとんど発生しない錠剤分包機を実現することが、基本的な技術課題となる。
【0018】
ところで、錠剤フィーダ格納庫12は機械部が個々に分離されているので、個別引出を前提にした改良を考えることができたが、一時貯留機構31の場合、単列貯留機構32だけみれば列毎に分離されているが、何れの単列貯留機構32も同一の複列同時駆動機構33に連結されているので、錠剤フィーダ格納庫12とは設置状況が異なる。そこで、やはり錠剤落下経路の中間部を構成する一時貯留機構31について、全体が連結されていることを前提として、錠剤落下経路囲繞面の清掃作業が容易になるよう、工夫し改良した試作品が上述の錠剤分包機30であり(図12(c)参照)、一時貯留機構31を前方へ引き出せるようにしたうえで、錠剤落下経路囲繞面を持つ単列貯留機構32を手前側に配置し、錠剤落下経路囲繞面を持たない複列同時駆動機構33を奥側に配置したものである。
【0019】
しかしながら、この程度の改良では、複数の単列貯留機構32が並列になっていて、その錠剤落下経路囲繞面が平面状に広がって分布しているため、一時貯留機構31のうち中央部分や奥寄り部分を清掃するときには、作業者が屈み込むような姿勢を強いられるうえ、意に反して舞い上がってしまった付着物が清掃済み部分に再付着してしまうことも考えられる。このため、清掃作業が遣りにくく能率も悪いので、更なる改良が求められる。
そして、かかる要請に応えるために、単列貯留機構の内面を清掃するのが容易になった錠剤分包機が開発されている(特許文献7参照)。
【0020】
その具体的な構成は、錠剤を収容して逐次排出する錠剤フィーダ13と、前記錠剤フィーダ13を複数装備しており筐体から前方へ引出可能な錠剤フィーダ格納庫12を複数と、前記錠剤フィーダ格納庫12に装備されていて前記錠剤フィーダ13から排出された錠剤1を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構14を複数と、前記上部錠剤収集機構14から落下した錠剤1を一時貯留してから放下する単列貯留機構32を複数と、前記単列貯留機構32を複数同時に動作させて錠剤放下を一斉に行わせる複列同時駆動機構33と、前記錠剤フィーダ格納庫12の下方に設けられていて前記単列貯留機構32から落下した錠剤1を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構15と、前記下部錠剤収集機構15の下方に設けられていて前記下部錠剤収集機構15から投入された錠剤1を包装帯2に区分包装する包装装置17とを備えた錠剤分包機30において、前記複列同時駆動機構33と前記単列貯留機構32との連結部に分離係合可能な伝動機構を設け、前記複列同時駆動機構33を奥側に配置し、その手前側に前記単列貯留機構32を左右に並走状態で配置するとともに一つずつ前方へ引き出せるようにした、というものである。
【0021】
また、それに加えて、前記上部錠剤収集機構14が縦割りにて左右に分かれた形の縦割左側部分141と縦割右側部分142とを具備した上部錠剤収集機構140になっており、前記上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141が前記錠剤フィーダ格納庫12の隣接対のうち左側のものの右側面に装備され、前記上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142が前記隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫12の左側面に装備されているという上述の錠剤分包機40をも前提として、前記単列貯留機構32が前記上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141か縦割右側部分142か何れか一方の下端部に付設されている、又は前記単列貯留機構32の縦割左側部分が前記上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141の下端部に付設されるとともに前記単列貯留機構32の縦割右側部分が前記上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142の下端部に付設されている、というものになっている。
【0022】
しかしながら、このような錠剤分包機を試作し稼動させて評価したり種々の事態を仮定した思考実験にて評価してみると、更なる課題も浮かび上がってきた。すなわち、単列貯留機構を上部錠剤収集機構と同様に左右に縦割りして縦割左側部分も縦割右側部分も単列貯留機構が上部錠剤収集機構に随伴して引き出されるようにしたものでは、単列貯留機構まで対面状態で清掃作業を行うことができるので、作業性に優れているという利点がある一方、単列貯留機構を上部錠剤収集機構の縦割片側部分の一方に付設したものでは、安全性を厳しく評価するため例えば単列貯留機構が錠剤を保持したまま引き出されてしまったという想定外の事態を仮想した場合ですら、引出中あらぬ所に錠剤が落下してしまうという不都合が起こりえないので、安全性に優れているという利点がある。
【0023】
このように両者には一長一短があり、まだ改善の余地があることが判明したため、双方の長所を兼ね備えた装置を開発し提供することが望まれることとなる。
そこで、単列貯留機構を上部錠剤収集機構に随伴させて引き出しても引出中は一時貯留錠剤の不所望な落下を防止することができ引出後は対面状態で清掃できる錠剤分包機を実現することが更なる技術課題となる(特許文献8参照)。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の錠剤分包機は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、錠剤を収容して逐次排出する錠剤フィーダと、前記錠剤フィーダを複数装備した錠剤フィーダ格納庫を複数と、前記錠剤フィーダ格納庫を筐体内に保持するとともに筐体から前方への引出も可能とする引出機構と、前記錠剤フィーダ格納庫に装備されていて前記錠剤フィーダから排出された錠剤を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構と、前記錠剤フィーダ格納庫の下方に設けられていて前記上部錠剤収集機構から落下した錠剤を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構と、前記下部錠剤収集機構の下方に設けられていて前記下部錠剤収集機構から投入された錠剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えており、且つ、前記上部錠剤収集機構が縦割りにて左右に分かれた形の縦割左側部分と縦割右側部分とを具備しており、前記縦割左側部分が前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち左側のものの右側面に装備され、前記縦割右側部分が前記隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫の左側面に装備されている錠剤分包機において、
前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係る前記引出機構の一対の引出経路が前開き状態になっていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の錠剤分包機は(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤分包機であって、前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち何れか一方が前記筐体から前方へ引き出されると、前記錠剤フィーダ格納庫のうち引き出された錠剤フィーダ格納庫と隣接対をなさないが隣に並んでいる錠剤フィーダ格納庫を含む他の錠剤フィーダ格納庫について、前記筐体から前方への引出を阻止するロック機構を設けたことを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明の錠剤分包機は(解決手段3)、錠剤を収容して逐次排出する錠剤フィーダと、前記錠剤フィーダを複数装備した錠剤フィーダ格納庫を複数と、前記錠剤フィーダ格納庫を筐体内に保持するとともに筐体から前方への引出も可能とする引出機構と、前記錠剤フィーダ格納庫に装備されていて前記錠剤フィーダから排出された錠剤を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構を複数と、前記上部錠剤収集機構から落下した錠剤を一時貯留してから放下する単列貯留機構を複数と、前記単列貯留機構を複数同時に動作させて錠剤放下を一斉に行わせる複列同時駆動機構と、前記錠剤フィーダ格納庫の下方に設けられていて前記単列貯留機構から落下した錠剤を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構と、前記下部錠剤収集機構の下方に設けられていて前記下部錠剤収集機構から投入された錠剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えており、且つ、前記上部錠剤収集機構が縦割りにて左右に分かれた形の縦割左側部分と縦割右側部分とを具備しており、前記縦割左側部分が前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち左側のものの右側面に装備され、前記縦割右側部分が前記隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫の左側面に装備されている錠剤分包機において、
前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係る前記引出機構の一対の引出経路が前開き状態になっていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の錠剤分包機は(解決手段4)、上記解決手段3の錠剤分包機であって、前記複列同時駆動機構と前記単列貯留機構との連結部に分離係合可能な伝動機構を設け、前記複列同時駆動機構を奥側に配置し、その手前側に前記単列貯留機構を左右に並走状態で配置するとともに個別に前方へ引き出せるようにしたうえで、
前記単列貯留機構を前記上部錠剤収集機構の縦割左側部分か縦割右側部分か何れか一方の下端部に付設し、更に、前記単列貯留機構を前記上部錠剤収集機構の縦割左側部分に付設する態様では前記単列貯留機構のうち右側部分を着脱自在な引出時錠剤落下防止部材にし、前記単列貯留機構を前記上部錠剤収集機構の縦割右側部分に付設する態様では前記単列貯留機構のうち左側部分を着脱自在な引出時錠剤落下防止部材にしたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の錠剤分包機は(解決手段5)、上記解決手段3の錠剤分包機であって、前記複列同時駆動機構と前記単列貯留機構との連結部に分離係合可能な伝動機構を設け、前記複列同時駆動機構を奥側に配置し、その手前側に前記単列貯留機構を左右に並走状態で配置するとともに個別に前方へ引き出せるようにしたうえで、
前記単列貯留機構を縦割りにした形で左右の縦割左側部分と縦割右側部分とに分けて、前記単列貯留機構の縦割左側部分を前記上部錠剤収集機構の縦割左側部分の下端部に付設し、前記単列貯留機構の縦割右側部分を前記上部錠剤収集機構の縦割右側部分の下端部に付設し、更に、前記単列貯留機構の縦割左側部分に錠剤貯留放下切替用の可動部材が装備されている態様では前記単列貯留機構の縦割左側部分に右側から着脱自在な引出時錠剤落下防止部材を装着し、前記単列貯留機構の縦割右側部分に錠剤貯留放下切替用の可動部材が装備されている態様では前記単列貯留機構の縦割右側部分に左側から着脱自在な引出時錠剤落下防止部材を装着したことを特徴とする。
【0029】
また、本発明の錠剤分包機は(解決手段6)、上記解決手段4,5の錠剤分包機であって、着脱自在な前記引出時錠剤落下防止部材は前記単列貯留機構の他の部材より背丈が小さいものであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の錠剤分包機は(解決手段7)、上記解決手段4〜6の錠剤分包機であって、前記上部錠剤収集機構の内部空間の上側部分の前後の長さが前記単列貯留機構の内部空間の前後の長さより長くなっており、前記上部錠剤収集機構の内部空間の下側部分の前後の長さを前記上部錠剤収集機構の内部空間の上側部分の前後の長さから前記単列貯留機構の内部空間の前後の長さへ漸減させる斜め上向き斜面を具備した前後長漸減部材を前記上部錠剤収集機構の前下部分と後下部分のうち何れか一方または双方に対して着脱自在に装着したことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の錠剤分包機は(解決手段8)、上記解決手段3〜7の錠剤分包機であって、前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち何れか一方が前記筐体から前方へ引き出されると、前記錠剤フィーダ格納庫のうち引き出された錠剤フィーダ格納庫と隣接対をなさないが隣に並んでいる錠剤フィーダ格納庫を含む他の錠剤フィーダ格納庫について、前記筐体から前方への引出を阻止するロック機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
当接面同士の擦れ合い時に発生する磨屑状粉塵の量は一般に当接圧力が大きいほど且つ擦れ合う距離が長いほど多くなるところ、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段1,3)、錠剤フィーダ格納庫の数だけある引出機構の引出経路のうち錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係る引出経路対については従来の平行状態から前開き状態に改新したことにより、錠剤フィーダ格納庫を筐体から引き出すとその錠剤フィーダ格納庫と隣接対の錠剤フィーダ格納庫とが離れるようになったため、隣接対の錠剤フィーダ格納庫同士が当接し合っているのが共に筐体に深く押し込まれているときに限られることから、引出経路の一端部を除いて磨屑状粉塵の発生要因が消滅するので、磨屑状粉塵の発生量が激減する。
したがって、この発明によれば、上部錠剤収集機構を左右に縦割りにして個別引出可能な錠剤フィーダ格納庫の隣接対の右左側面に分けて当接状態で装備しても磨屑状粉塵がほとんど発生しない錠剤分包機を実現することができ、上述の基本課題が解決される。
【0033】
また、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段2,8)、ロック機構を設けたことにより、上述した基本課題が高位に解決される。すなわち、解決手段1,3の錠剤分包機にあっては、錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係る引出経路対を平行状態から前開き状態に改新したことにより、上述の基本課題を解決しているが、その反射的な作用として、錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係らない引出経路が後開き状態=前窄み状態になるため、錠剤フィーダ格納庫を密に並べた場合、複数の錠剤フィーダ格納庫を引き出そうとしたときに錠剤フィーダ格納庫同士が干渉し合って変形や故障といった不所望な事態が惹起される、という可能性が芽生えるが、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段2,8)、錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち何れか一方が筐体から前方へ引き出されると、それと干渉し合う可能性のある錠剤フィーダ格納庫を含む他の錠剤フィーダ格納庫が、ロック機構によって、筐体から前方へ引き出せなくなるので、上述した不所望な事態の発生が回避される。
【0034】
さらに、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段4)、単列貯留機構が上部錠剤収集機構の縦割左側部分か縦割右側部分か何れか一方の下端部に付設されていることから、隣接対の錠剤フィーダ格納庫の片方を筐体から前方へ引き出すと、隣接対の何れか一方の引き出し時に、上部錠剤収集機構の縦割片側部分と一緒に随伴して単列貯留機構も一つずつ前方に出て来る。そのため、上部錠剤収集機構の内側の錠剤落下経路囲繞面の拭き掃除等のついでに、単列貯留機構も一つずつ楽な姿勢で清掃することができる。また、隣接対の錠剤フィーダ格納庫を共に筐体の中に収めれば、単列貯留機構も上部錠剤収集機構と共に筐体内に戻って、単列貯留機構が複列同時駆動機構に連結されるので、動作可能状態になる。そのため、本発明の錠剤分包機は、上部錠剤収集機構の内面ばかりか単列貯留機構の内面までも清掃するのが容易なものとなっている。
【0035】
しかも、単列貯留機構のうち付設先の清掃面と同じ向きの一側部分を着脱自在な引出時錠剤落下防止部材にしたことにより、引出中あらぬ所に錠剤が落下してしまうことがなくて安全性に優れているという利点を損なうことなく、引出後は引出時錠剤落下防止部材を外すことで容易かつ迅速に単列貯留機構の内側の錠剤落下経路囲繞面を露出させることができる。そして、単列貯留機構についても拭き掃除等を対面式で行うことができる。
したがって、この発明によれば、単列貯留機構を上部錠剤収集機構に随伴させて引き出しても引出中は一時貯留錠剤の不所望な落下を防止することができ引出後は対面状態で清掃できる錠剤分包機を実現することができ、その結果、上述した基本的な技術課題に加えて上述の更なる技術課題まで解決される。
【0036】
また、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段5)、上部錠剤収集機構の縦分割を見習って、単列貯留機構も左右に縦割したうえで、縦割左側部分についても縦割右側部分についても上部錠剤収集機構の下端部に単列貯留機構を付設したことにより、隣接対の錠剤フィーダ格納庫の片方を筐体から前方へ引き出すと、上部錠剤収集機構の縦割片側部分と共に単列貯留機構の縦割片側部分も前方に出て来て、上部錠剤収集機構も単列貯留機構も、内側の錠剤落下経路囲繞面が露出するので、拭き掃除等が対面式で容易かつ迅速に行える。そのため、本発明の錠剤分包機は、上部錠剤収集機構の内面ばかりか単列貯留機構の内面までも対面式で容易かつ迅速に清掃しうるものとなっている。
【0037】
しかも、縦割にした単列貯留機構の左右部分のうち錠剤貯留放下切替用の可動部材が装備されている方には、着脱自在な引出時錠剤落下防止部材を装着したことにより、引出中あらぬ所に錠剤が落下してしまうという不都合が起こりえなくなるため、安全性が向上する。なお、引出時錠剤落下防止部材の装着部分については、拭き掃除等が対面式で容易かつ迅速に行えるという利点が失われたようにも見えるが、引出後に引出時錠剤落下防止部材を外すことで容易かつ迅速に単列貯留機構の内側の錠剤落下経路囲繞面を露出させることができるので、上記利点は維持されている又は簡単に回復する。
したがって、この発明によれば、単列貯留機構を上部錠剤収集機構に随伴させて引き出しても引出中は一時貯留錠剤の不所望な落下を防止することができ引出後は対面状態で清掃できる錠剤分包機を実現することができる。
【0038】
なお、上部錠剤収集機構の縦分割を見習って単列貯留機構も左右に縦割りにするとともに、やはり上部錠剤収集機構の個別引出を見習って縦割片側部分単位で個別に引き出せるようにした場合、縦割左側部分と縦割右側部分とを平行にしたまま当接状態で引き出すと当接面同士の擦れ合い時に磨屑状粉塵が発生するという上述の基本課題まで、上部錠剤収集機構から単列貯留機構に敷衍されるが、単列貯留機構の縦割左側部分と縦割右側部分がそれぞれ上部錠剤収集機構の縦割左側部分と縦割右側部分に随伴して個別引出されるようにしたことにより、単列貯留機構の左右の縦割片側部分に係る引出経路対も前開き状態になるため、上部錠剤収集機構ばかりか単列貯留機構についても磨屑状粉塵の発生量が激減する。その結果、上述した基本的な技術課題に加えて更なる技術課題まで解決される。
【0039】
また、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段6)、引出時錠剤落下防止部材の背丈が低いことから、上部錠剤収集機構と共に引き出した単列貯留機構に引出時錠剤落下防止部材が装着されていても、単列貯留機構の内部空間を覗き込むのが容易なので、引出時錠剤落下防止部材を取り外す前に、単列貯留機構の内部状態を目視確認して、引出時錠剤落下防止部材の取り外して行う清掃の必要性を判断することができる。
【0040】
また、本発明の錠剤分包機にあっては(解決手段7)、単列貯留機構内の斜め上向き斜面は、錠剤の汚れが強く付着したりして清掃が遣りにくい所であるが、そのような斜面を具備した前後長漸減部材を着脱自在にしたことにより、清掃の遣り難さが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例1について、錠剤分包機の要部構造を示し、(a)〜(e)何れも平面図である。
【図2】その錠剤分包機の錠剤フィーダ格納庫とその引出機構の要部構造を示し、(a)〜(d)何れも平面図である。
【図3】その錠剤分包機の錠剤フィーダ格納庫の引出機構のロック機構の構造を示し、(a)〜(f)何れも平面図である。
【図4】その錠剤分包機の上部錠剤収集機構の構造を示し、(a)が上部錠剤収集機構と単列貯留機構とを右斜め上から見下ろした斜視図、(b)が上部錠剤収集機構の縦割左側部分を右斜め上から見下ろした斜視図、(c)が上部錠剤収集機構の縦割右側部分と単列貯留機構とを左斜め上から見下ろした斜視図である。
【図5】その錠剤分包機の全体構造を示し、(a)と(b)が平面図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
【図6】その錠剤分包機の内部構造を示す模式図である。
【図7】単列貯留機構の構造を示し、(a)が角筒体の斜視図、(b)が開閉機構の斜視図、(c)と(d)が単列貯留機構の斜視図である。
【図8】一時貯留機構の構造を示し、(a)と(b)が一時貯留機構の斜視図、(c)と(d)と(e)が単列貯留機構の縦断正面図である。
【図9】本発明の実施例2について、錠剤分包機の要部の構造を示し、(a)と(b)が平面図、(c)が上部錠剤収集機構と単列貯留機構とを右斜め上から見下ろした斜視図、(d)が上部錠剤収集機構および単列貯留機構の縦割右側部分を左斜め上から見下ろした斜視図である。
【図10】本発明の実施例3について、錠剤分包機のうち上部錠剤収集機構と単列貯留機構との構造を示し、(a)と(b)が内部構造を示す模式図、(c)が上部錠剤収集機構の縦割右側部分の左側面図、(d)と(e)が上部錠剤収集機構の縦割右側部分の正面図、(f)と(g)が引出時錠剤落下防止部材の斜視図、(h)が前後長漸減部材の斜視図である。
【図11】従来の錠剤分包機の構造を示し、(a)が左前から見た錠剤分包機の外観斜視図、(b)が錠剤分包機の内部構造を示す模式図、(c)が左前から見た錠剤分包機の外観斜視図、(d)が錠剤手撒き装置付き錠剤分包機の左側面図である。
【図12】一時貯留機構を引出可能にした試作の錠剤分包機の構造を示し、(a)が左前から見た錠剤分包機の外観斜視図、(b)が錠剤分包機の内部構造を示す模式図、(c)が左前から見た錠剤分包機の外観斜視図である。
【図13】上部錠剤収集機構を縦割した錠剤分包機の要部構造を示し、(a)と(b)が平面図、(c)が上部錠剤収集機構を右斜め上から見下ろした斜視図、(d)が縦割右側部分を左斜め上から見下ろした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
このような本発明の錠剤分包機について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜3により説明する。
図1〜図8に示した実施例1は、上述した解決手段1〜4(出願当初の請求項1〜4)を具現化したものであり、図9に示した実施例2は、上述した解決手段5,6,8(出願当初の請求項5,6,8)を具現化したものであり、図10に示した実施例3は、上述した解決手段5〜8(出願当初の請求項5〜8)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
また、それらについて背景技術の欄で述べたことは以下の各実施例についても共通するので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【実施例1】
【0043】
本発明の錠剤分包機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)〜(e)は何れも錠剤分包機300の平面図であり、そのうち(a)が錠剤フィーダ格納庫12と上部錠剤収集機構140と引出機構350の配設状態を示し、(b)が総ての錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11に押し込んだときの錠剤フィーダ格納庫12と上部錠剤収集機構140とロック機構360の配設状態を示し、(c)が隣接対の一方の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11から前方へ引き出したときの状態を示し、(d)が隣接対の他方の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11から前方へ引き出したときの状態を示し、(e)が前面パネル延伸部12aを拡大して示している。
【0044】
また、図2(a)〜(d)は、何れも、錠剤分包機300の錠剤フィーダ格納庫12とその引出機構350の要部構造を示す平面図である。
さらに、図3は、(a)〜(f)が何れも平面図であり、そのうち(a)は複数の錠剤フィーダ格納庫12を同時に引き出そうとしたときの状態を示し、(b)は一つの錠剤フィーダ格納庫12を引き出したときにロック機構360が機能している状態を示し、(c)は総ての錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11に押し込んだときのロック機構360の拡大図、(d)は何れか一つの錠剤フィーダ格納庫12を引き出したときのロック機構360の拡大図、(e),(f)は他の構成例のロック機構360の拡大図である。
【0045】
また、図4は、(a)が上部錠剤収集機構140と単列貯留機構320とを右斜め上から見下ろした斜視図、(b)が上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141を右斜め上から見下ろした斜視図、(c)がが上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142とその下端に付設された単列貯留機構320とを左斜め上から見下ろした斜視図である。図5は、錠剤分包機300の三面図で、(a)と(b)が平面図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。図6は、その錠剤分包機300の内部構造を示す模式図である。また、図7は、単列貯留機構320の構造を示し、(a)が角筒体321の斜視図、(b)が開閉機構325の斜視図、(c)と(d)が単列貯留機構320の斜視図である。図8は、一時貯留機構310の構造を示し、(a)と(b)が一時貯留機構310の斜視図、(c)と(d)と(e)が単列貯留機構320の縦断正面図である。
【0046】
錠剤分包機300は(図1〜図6参照)、既述した従来の錠剤分包機30と同様、錠剤1を収容して逐次排出する錠剤フィーダ13を多数と、錠剤フィーダ13を複数装備している錠剤フィーダ格納庫12を複数と、錠剤フィーダ格納庫12を複数装備した薬品庫11と、錠剤フィーダ格納庫12に一対一で対応して複数設けられていて錠剤フィーダ格納庫12を筐体内に保持するとともに筐体から前方への引出も可能とする引出機構350と、何れか一つの錠剤フィーダ格納庫12が筐体から前方へ引き出されると他の錠剤フィーダ格納庫12について筐体から前方への引出を阻止するロック機構360と、錠剤フィーダ格納庫12に装備されていて錠剤フィーダ13から排出された錠剤1を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構140を複数と、上部錠剤収集機構140から落下した錠剤1を一時貯留してから放下する単列貯留機構320を複数と、単列貯留機構320を複数同時に動作させて錠剤放下を一斉に行わせる複列同時駆動機構330とを備えている。
【0047】
また、錠剤分包機300は、それらに加え、やはり錠剤分包機30と同様、薬品庫11の下方に設けられていて単列貯留機構320から落下した錠剤1を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構15と、下部錠剤収集機構15の下方に設けられていて下部錠剤収集機構15から錠剤投入部16に投入された錠剤1を包装帯2に区分包装する包装装置17と、それらの動作制御を担うコントローラ18や操作パネル19も備えている。錠剤手撒き装置21+22も、単列貯留機構320の下方に来ているが、装備されている。
この錠剤分包機300が既述した従来の錠剤分包機30と相違するのは、既述した従来の錠剤分包機40と同様に上部錠剤収集機構14が改造されて上部錠剤収集機構140になっている点と、何れの従来機とも異なり、引出機構350では隣接対の引出経路が前開き状態になっている点と、ロック機構360が追加された点と、一時貯留機構31が改造されて一時貯留機構310になっている点である。以下、これらの相違点を詳述する。
【0048】
引出機構350は(図1,図2参照)、例えば筐体や薬品庫11に固設された固定ガイド部351と錠剤フィーダ格納庫12に装着された可動スライド部352とを具備した直線レール機構などからなり、固定ガイド部351に挿着された可動スライド部352が長手方向に摺動することにより、錠剤フィーダ格納庫12が進退するようになっている。ここで図示した引出機構350は、長手方向を前後に向けて錠剤フィーダ格納庫12の上に配置されているが、錠剤フィーダ格納庫12の下に配置されていて良く、錠剤フィーダ格納庫12の上下両方に配置されていて良い。また、図示した引出機構350では可動スライド部352が一本だけになっているが、可動スライド部352が二重スライド等の多重構造になっていても良い。
【0049】
また、引出機構350は何れも長手方向・摺動方向が水平になる状態で錠剤分包機300に装備されているが、平面視では(図1(a),図2参照)、錠剤フィーダ格納庫12の隣接対(12,12)に係る引出機構350の一対(350,350)の引出経路が前開き状態になっている。すなわち、何れの上部錠剤収集機構140についても、それを挟んで隣接対をなす錠剤フィーダ格納庫12,12が存在するが、そのような隣接対(12,12)に対応している一対の引出機構350,350を平面視すると、両者の引出経路の間隔が後側では狭く前側では広くなっている。
【0050】
その引出経路対(350,350)の開き角θは、多少誇張して図示したが、引き出しに伴って当接状態が速やかに解消されれば良いので、1゜程度で足りることが多い。これは、例えば長さ・奥行きが60cmの錠剤フィーダ格納庫12の隣接対を共に筐体に押し込んだときには前面に間隙ができないが錠剤フィーダ格納庫12の隣接対を共に筐体から引き出したときには前面に約1cmの間隙ができる程度の小さな角度であり、あまり目立たないけれども、押込時と引出時とで間隙がほとんど変わらない平行状態とは明確に異なるものとなっている。
【0051】
なお、隣接対の引出機構350,350だけを前開き状態にし錠剤フィーダ格納庫12は平行配置した場合は(図1(e),図2(a),(b)参照)、前方引出時に錠剤フィーダ格納庫12が引出経路対(350,350)の開き角θに基づいて横方向にも若干移動するので、隣接対のうち左側の錠剤フィーダ格納庫12には、前面パネル延伸部12aを左側に設け、隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫12には、前面パネル延伸部12aを右側に設けておくと、引出時の干渉を避けるとともに、押込時の隙間を無くすことができる。隣接対の引出機構350,350と共に隣接対の錠剤フィーダ格納庫12も前開き状態にした場合は(図2(c),(d)参照)、左側の錠剤フィーダ格納庫12については、前面パネル延伸部12aを右側にし、右側の錠剤フィーダ格納庫12については、前面パネル延伸部12aを左側にするのが良い。
【0052】
ロック機構360は(図1(b)〜(d),図3参照)、上部錠剤収集機構140を挟んでいる錠剤フィーダ格納庫12の隣接対(12,12)に係る一対の引出機構350の引出経路対(350,350)を平行状態から前開き状態にしたことの反射的な作用として、錠剤フィーダ格納庫12の隣接対(12,12)に係らないが隣り合っている引出経路同士すなわち上部錠剤収集機構140を挟んでいないが隣同士で並んでいる二つの引出機構350,350の引出経路同士が後開き状態=前窄み状態になるため、錠剤フィーダ格納庫12を密に並べた場合、複数の錠剤フィーダ格納庫12を引き出そうとしたときに錠剤フィーダ格納庫12同士が干渉し合うという不具合(図3(a)参照)を解消するために導入されたものである。
【0053】
ロック機構360は、錠剤フィーダ格納庫12の隣接対(12,12)のうち何れか一方が薬品庫11や筐体から前方へ引き出されると(図3(a)*参照)、その引き出された錠剤フィーダ格納庫12と隣接対をなさないが隣に並んでいる錠剤フィーダ格納庫12について(図3(a)**参照)、薬品庫11や筐体から前方への引出を阻止するようになっていれば足りるが、この例では(図3(b)参照)、何れか一つの錠剤フィーダ格納庫12が薬品庫11や筐体から引き出されると(図3(b)*参照)、他の錠剤フィーダ格納庫12総てについて、前方への引出を阻止するようになっている。
【0054】
そのようなロック機構360の具体例を一つ挙げると(図3(b)〜(d)参照)、錠剤フィーダ格納庫12夫々の後端に付設された複数の錠部361と、それら総ての錠部361と係合しうる所に設けられた横長の錠前部362と、この錠前部362を開錠側へ付勢する開錠付勢バネ363と、錠剤フィーダ格納庫12夫々の後端が当接する所に設けられた複数の施錠リンク364と、施錠リンク364夫々に付設されて対応するものを施錠側へ付勢する複数の施錠付勢バネ365とを具えた純機械式のものがある。施錠リンク364は、揺動可能に支持されて、錠前部362の切欠部にも当接するものである。
【0055】
そして、錠剤フィーダ格納庫12が総て薬品庫11や筐体に押し込まれると、施錠付勢バネ365の付勢に反して施錠リンク364が総て開錠側へ揺動し、その状態では錠前部362が開錠付勢バネ363の付勢によって開錠側へスライドするため、総ての錠部361が、錠前部362との係合を解かれて、引出可能状態になる(図3(c)参照)。
その状態から一つでも錠剤フィーダ格納庫12が前方へ引き出されると(図3(d)参照)、それに付設されている錠部361も随伴前進して錠前部362との係合位置を離れる(図3(d)*参照)。すると、そこの施錠付勢バネ365の付勢が働いて施錠リンク364が施錠側へ揺動し、施錠付勢バネ365の方が開錠付勢バネ363より付勢力が強いので、それに応じて錠前部362が施錠側へスライドするため、先に引き出された一つを除いて残り総ての錠部361が、錠前部362と係合して、引出不可の状態になる。
【0056】
なお、引き出された錠剤フィーダ格納庫12と隣接対をなさないが隣に並んでいる錠剤フィーダ格納庫12についてだけ薬品庫11や筐体から前方への引出を阻止するものの具体例も一つ挙げると、カム機構のものが簡便である(図3(e),(f)参照)。これは、錠剤フィーダ格納庫12の後端に付設された錠部361を原節とし、筐体内の後部で横スライドする錠前部362を従節としたものである。そして、錠剤フィーダ格納庫12が薬品庫11や筐体に押し込まれると、その錠部361が対応する錠前部362をスライドさせて隣の錠剤フィーダ格納庫12の錠部361を開錠する(図3(e)参照)。これに対し(図3(f)参照)、錠剤フィーダ格納庫12が前方へ引き出されると、その錠部361が随伴前進し(図3(f)*参照)、そこへ錠前部362がスライドするとともに隣の錠剤フィーダ格納庫12の錠部361を施錠するようになっている。
【0057】
上部錠剤収集機構140は(図4(a)参照)、従来の上部錠剤収集機構14を左右均等に縦割りして縦割左側部分と縦割右側部分とに分割したものでも良いが、図示の例では製造も清掃も容易化すべく、縦割左側部分141は平坦な単板に錠剤フィーダ13の錠剤排出口への連通穴を穿孔して作られ(図4(b)参照)、縦割右側部分142は(図4(c)参照)、やはり平坦な単板に錠剤フィーダ13の錠剤排出口への連通穴を穿孔するが、更に前縁部分と後縁部分が同じ幅だけ折り曲げ加工されて縦割左側部分141に向けられることで、作られている。縦割左側部分141は、隣り合っている一対の錠剤フィーダ格納庫12,12のうち左側のものの右側面に装備され、縦割右側部分142は、上記の隣接対の錠剤フィーダ格納庫12,12のうち右側のものの左側面に装備されている。
【0058】
位置合わせの許容度を上げるために平板の縦割左側部分141は縦割右側部分142より少し広めになっており、対向状態では上端面と下端面が解放されて開口になっている。また、一つの上部錠剤収集機構140が、隣接対の錠剤フィーダ格納庫12,12に装備された多数の錠剤フィーダ13から排出される錠剤を総て落下案内するようになっている。さらに、下部錠剤収集機構15の上部開口の前後幅を狭めるとともに単列貯留機構320を短くして複列同時駆動機構330の内蔵空間を筐体内に確保することができるよう、この上部錠剤収集機構140は下端部が絞られた形で下端開口が少し狭くなっている。
【0059】
一時貯留機構310は、一時貯留機構31と同様に、複数の単列貯留機構320と単数の複列同時駆動機構330とからなるが、単列貯留機構32が改造されて単列貯留機構320になり、複列同時駆動機構33が改造されて複列同時駆動機構330になって、単列貯留機構320と複列同時駆動機構330との連結部が分離係合可能な伝動機構の導入によって着脱自在なものになっている点で相違する。また、一時貯留機構310の平面配置については、一時貯留機構31と同様、複列同時駆動機構330が奥側に配置され、その手前側に複列同時駆動機構330が左右に並走状態で配置されているが、一時貯留機構310の前方引出については、複列同時駆動機構330が固定される一方、単列貯留機構320がそれぞれ対応する縦割右側部分142の下端部に付設されて縦割右側部分142と共に一つずつ前方へ引き出されるようになった点で、一時貯留機構31と異なる。
【0060】
単列貯留機構320は(図7参照)、角筒体321と開閉機構325とを組み合わせた典型例を図示したが、そのうち角筒体321は(図7(a)参照)、前後に細長い左側板322及び右側板323と、例えば右上隅に貫通穴324の形成された前板および後板とからなり、上面と下面とが解放されていて、中空が錠剤落下経路になっている。角筒体321のうち左側板322は(図7(a),図8(e),図4(c)参照)、着脱自在な引出時錠剤落下防止部材を兼ねており、この例では取り外しや持ち運びに便利な把手322aが両端に装備されている。また、開閉機構325は(図7(b)参照)、平らで前後に細長い板体326と、板体326の上辺が連結固定された細長い支軸327と、支軸327の奥側の端部にクランクピン状に偏心して連結された係合軸328とを具えている。
【0061】
板体326を角筒体321の中空に遊挿させるとともに、支軸327を貫通穴324に挿通させて、抜け止めを装着することで、単列貯留機構320が出来ており(図7(c),(d)参照)、係合軸328を周回運動させて例えば最上位置に来させると板体326が縦になって角筒体321の中空すなわち錠剤落下経路が開通され(図7(c),図8(d)参照)、係合軸328を逆向きに周回運動させて最上位置から斜め下方へ移動させると板体326が斜めになって角筒体321の中空すなわち錠剤落下経路が閉鎖されるようになっている(図7(d),図8(c)参照)。また、このような単列貯留機構320では、角筒体321の左側板322の右側面と開閉機構325の板体326の左側面とが、主たる錠剤落下経路囲繞面になっている。
【0062】
複列同時駆動機構330は、単列貯留機構320を複数同時に動作させて錠剤放下を一斉に行わせることができるものであって、それぞれの単列貯留機構320との連結部が着脱可能になっていて単列貯留機構320の個々の離脱を許容するとともに、連結された単列貯留機構320に対しては開閉動作の駆動を行えるようになっていれば足りるが、図示した具体例のものは(図8(a),(b)参照)、左右に延びたガイド331と、ガイド331に装着された電動モータ332と、ガイド331と同様に左右に延びていてガイド331に案内されて左右にだけ往復動しうるスライダ333と、スライダ333を例えば左方へ付勢する付勢バネ334とを具えている。
【0063】
そして、電動モータ332が起動されていない状態では、スライダ333が可動範囲内で左方へ移動しているが(図8(a)参照)、電動モータ332が起動されると、スライダ333が可動範囲内で右方へ移動するようになっている(図8(b)参照)。
また(図8(a),(b)参照)、この複列同時駆動機構330には、単列貯留機構320と同じ個数だけ揺動アーム335も具わっており、揺動アーム335は単列貯留機構320と同じピッチで左右に並べて列設されて単列貯留機構320と一対一で対応している。揺動アーム335は、何れも、支点336を中心にして揺動しうる状態で固定されており、例えば上端部がスライダ333の係合穴等に係合していて、スライダ333の左右移動に随伴して揺動すなわち所定範囲内での双方向回転を行うものとなっている。
【0064】
また、揺動アーム335の揺動部分たとえば下端部には長穴状の係合穴337が形成されており、係合穴337の幅が単列貯留機構320の係合軸328の軸径より僅かに広くなっている。そのため(図8(a)参照)、単列貯留機構320が筐体の中に押し込まれると、その係合軸328が係合穴337に挿入されて両者が係合し、単列貯留機構320が筐体から前方へ引き出されると、その係合軸328が係合穴337から抜け出て両者が離脱するので、このような揺動アーム335は駆動側伝動部材になっており、係合軸328は従動側伝動部材となっており、両伝動部材335,328は複列同時駆動機構330と単列貯留機構320との連結部に設けられた分離係合可能な伝動機構になっている。そして、電動モータ332の起動されない常態では単列貯留機構320の錠剤落下経路が閉じられ(図8(a),(c)参照)、電動モータ332が起動されると単列貯留機構320の錠剤落下経路が開けられるものとなっている(図8(b),(d)参照)。
【0065】
角筒体321の左側板322が単列貯留機構320における着脱自在な引出時錠剤落下防止部材になっていることについて詳述すると(図7(a),図8(e),図4(c)参照)、左側板322は、マグネット等の引力部材や,面ファスナ等の係止部材,フック等の掛止部材などを利用して、錠剤落下経路の開閉を担う揺動部材・可動部材を保持している角筒体321の前板および後板に対し、着脱自在に装着されている。そして、電動モータ332が起動されない常態や縦割右側部分142及び単列貯留機構320の引出時には、錠剤落下経路の開閉を担う板体326の下端部が左側板322に当接して、板体326と角筒体321の前板と後板と左側板322とによって錠剤1の一時貯留空間が維持されるため、単列貯留機構320を上部錠剤収集機構140に随伴させて引き出しても引出中は一時貯留錠剤の不所望な落下を防止することができるものとなっている。
【0066】
なお、この実施例では、単列貯留機構320が上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142の下端に付設されていることから、単列貯留機構320のうち左側に位置している部分である左側板322が着脱自在な引出時錠剤落下防止部材になっている。
これに対し、図示は割愛したが、単列貯留機構320が上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141の下端に付設されている場合は、単列貯留機構320のうち右側に位置している部分である右側板323を着脱自在な引出時錠剤落下防止部材にし、錠剤落下経路開閉用の板体326の支軸327を右上から左上に移設し、常態や引出時には板体326が右下がり傾斜状態で下端部を右側板323に当接させるようにすれば良い。
【0067】
この実施例1の錠剤分包機300(錠剤分包機)について、その使用態様及び動作を説明する。基本的な使い方や動作については、従来と同様なので、繰り返しとなる説明は割愛して、ここでは、従来との相違点である上部錠剤収集機構140と一時貯留機構310との清掃作業の遣り方を詳述する。一時貯留機構310のうち複列同時駆動機構330は錠剤落下経路囲繞面を持たないので、分解修理等の保守作業は別として、通常行う清掃作業では、一時貯留機構310については単列貯留機構320を清掃すれば足りる。
【0068】
分包時等の定常状態では(図1(b),図5,図6参照)、錠剤フィーダ格納庫12が総て薬品庫11に押し込まれて筐体に収まっており、どの上部錠剤収集機構140も、縦割左側部分141と縦割右側部分142とが密接状態や近接状態で対向していて、対向内面が錠剤落下経路を囲繞しており、上端開口から下端開口へ落下錠剤を案内することができる。また、どの単列貯留機構320も、対応する上部錠剤収集機構140の下端部で錠剤落下経路を囲繞しており、複列同時駆動機構330の駆動によって錠剤落下経路を開閉することで(図8(a),(b)参照)、閉状態では、ばらばら落下して来た錠剤1を一時貯留することができ(図8(c)参照)、開時には貯留錠剤を一斉に放下することができる(図8(d)参照)。
【0069】
そして、上部錠剤収集機構140と単列貯留機構320とを清掃するときには、既述した自動分包の動作を停止させてから、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と、上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142及び単列貯留機構320とに分けて行う。詳述すると、錠剤フィーダ格納庫12が総て薬品庫11に押し込まれている状態で(図1(b)参照)、先ず、隣り合っている二個の錠剤フィーダ格納庫12のうち片方だけを薬品庫11から前方へ引き出す。引き出したのが隣接対のうち左側の錠剤フィーダ格納庫12であれば(図1(c)参照)、上部錠剤収集機構140のうち縦割左側部分141が筐体の外に出て(図4(b)参照)、その部分の錠剤落下経路囲繞面が全域露出するので、それを拭き掃除等で綺麗にするが、錠剤落下経路囲繞面が右横向きで露出するので、その清掃作業は、対面状態で行える。具体的には、一つずつ立った姿勢で内窓の拭き掃除に近い感じで楽に行える。
【0070】
それから、その清掃済み錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11に押し戻すとともに、それと隣接対をなす又は別の隣接対をなす右側の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11から前方へ引き出す(図1(d)参照)。すると、今度は上部錠剤収集機構140のうち縦割右側部分142とそれに付設されている単列貯留機構320とが筐体の外に出て(図4(c)参照)、その部分の錠剤落下経路囲繞面が全域露出するので、それを拭き掃除等で綺麗にする。このときも、上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142については、錠剤落下経路囲繞面が左横向きで露出するので、その清掃作業はやはり対面状態で行うことができる。
【0071】
これに対し、単列貯留機構320については、引き出しによって錠剤落下経路囲繞面が上下に向けてなら露出するが、引き出しただけでは未だ錠剤落下経路囲繞面の露出状態が対面状態で清掃できるほど十分な横向きにはならないので、もう一手間だけ掛け、単列貯留機構320から左側板322を取り外す(図4(c),図8(e)参照)。左側板322は着脱自在なので、一手間かかるといっても簡単に取り外すことができる。
そうすると、取り外した左側板322は、任意の姿勢で取り扱えるので、その錠剤落下経路囲繞面322aを対面状態で清掃することができる(図8(e)参照)。
【0072】
また、左側板322が取り去られた後、単列貯留機構320では、開閉機構325の板体326の錠剤落下経路囲繞面326aが斜め上向きがかった左横向きで露出するので(図8(e)参照)、その清掃作業も対面状態で行うことができる。単列貯留機構320は、上部錠剤収集機構140の下端に付設されていて低めの所にあるので、真横より斜め上向きの方が作業しやすい性質もあるので、却って好都合である。
そして、清掃を終えたら、左側板322を単列貯留機構320に再装着し、それから清掃済み縦割右側部分142装着先の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11に押し戻す。
【0073】
こうして、上部錠剤収集機構140の錠剤落下経路囲繞面の清掃が容易かつ迅速に行われるが、かかる上部錠剤収集機構140の錠剤落下経路囲繞面の清掃時に加えて、錠剤フィーダ13に錠剤を補充するときにも、対応する錠剤フィーダ格納庫12が薬品庫11ひいては筐体から前方へ引き出されるので、錠剤フィーダ格納庫12の引出はしばしば行われる。そして、その度に、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と縦割右側部分142とが当接部位で擦れ合うことになるが、この錠剤分包機300では、錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11や筐体から引き出すとその錠剤フィーダ格納庫12と隣接対(12,12)をなす錠剤フィーダ格納庫12とが速やかに離れるようになっている。
【0074】
そのため、錠剤フィーダ格納庫12の隣接対(12,12)に挟まれている上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と縦割右側部分142とが当接し合っているのは、その隣接対の錠剤フィーダ格納庫12,12が共に筐体に深く押し込まれているときに限られることとなる。これにより、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と縦割右側部分142とが擦れ合うのは、錠剤フィーダ格納庫12の引き出し始めと押し込み終わりとの僅かなときだけになので、擦れ合いによって上部錠剤収集機構140から磨屑状粉塵が発生することは、ほとんど無くなる。
【0075】
また、この錠剤分包機300では、錠剤フィーダ格納庫12のうち何れか一つでも薬品庫11や筐体から引き出されると、その引き出された錠剤フィーダ格納庫12と干渉し合う可能性のある錠剤フィーダ格納庫12はもとより(図3(a)参照)、そうでない錠剤フィーダ格納庫12であっても、引き出されないで残った他の錠剤フィーダ格納庫12が、総てロック機構360によって押し込み位置にロックされて、薬品庫11や筐体から前方へ引き出すことができなくなる(図3(b)参照)。
そのため、錠剤フィーダ格納庫12を密に並べておいても、引き出した錠剤フィーダ格納庫12,12同士が干渉し合うという不所望な事態の発生が確実に回避される。
また、地震等で激しく揺さぶられたような場合でも、錠剤フィーダ格納庫12が幾つも前方へ出てきてその勢いで錠剤分包機300が倒れてしまうという心配も無い。
【0076】
また、上述したことから明らかなように、上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142と共に単列貯留機構320が筐体から前方へ引き出されるとき、単列貯留機構320には左側板322が装着されており、単列貯留機構320では左側板322と板体326とよって錠剤落下経路が閉じられている。そのため、例えば仮に単列貯留機構320に錠剤1が保持されている状態のまま上部錠剤収集機構140と共に単列貯留機構320が筐体から前方へ引き出されてしまったとすると、その場合でも、左側板322が装着されていれば錠剤1は単列貯留機構320に保持され続けるので、引き出し操作を行っている途中で錠剤1が単列貯留機構320から落下してしまうことは起こりえず、左側板322を取り外して初めて錠剤1が単列貯留機構320から落ちるため、落下した錠剤1が錠剤分包機300の内部に残留するという不所望な事態の発生は確実に回避することができる。
【実施例2】
【0077】
本発明の実施例2について、錠剤分包機400の具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図9は、(a)が隣接対のうち左側の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11から前方へ引き出したときの上部錠剤収集機構140等の平面図、(b)が隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫12を薬品庫11から前方へ引き出したときの上部錠剤収集機構140等の平面図、(c)が上部錠剤収集機構140と単列貯留機構320とを右斜め上から見下ろした斜視図、(d)が上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142と単列貯留機構320の縦割右側部分422とを左斜め上から見下ろした斜視図である。
【0078】
この錠剤分包機400が上述した実施例1の錠剤分包機300と相違するのは、一体物であった単列貯留機構320が一体物でない単列貯留機構420になった点である。
単列貯留機構420は、一時貯留機構310を縦割りにて左右に分けた形の縦割左側部分421と縦割右側部分422とに分割したのに等しいものであるが、図示の例では、縦割左側部分141が平板で縦割右側部分142が立体化されているのに対応して、縦割左側部分421は単列貯留機構320の角筒体321の左側板322に相当する平板になっており、縦割右側部分422は、単列貯留機構320から左側板322を取り去った残部総てに加え、引出時錠剤落下防止部材423も、具備したものとなっている。
【0079】
そして、単列貯留機構420の縦割左側部分421は、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141を下方へ延長する形で、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141の下端部に一体的に付設されて、縦割左側部分141に付随して筐体から前方へ引き出されると縦割左側部分141と一緒に錠剤落下経路囲繞面を右向きで露出するようになっている。また、単列貯留機構420の縦割右側部分422は、上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142の下端部に対し一体加工にて又は後付にて付設されて、縦割右側部分142に付随して筐体から前方へ引き出されると縦割右側部分142と一緒に錠剤落下経路囲繞面を左向きで露出するようになっている。
【0080】
引出時錠剤落下防止部材423は、上述した左側板322と同様、マグネット等の引力部材や,面ファスナ等の係止部材,フック等の掛止部材などを利用して、錠剤落下経路の開閉を担う揺動部材・可動部材を保持している角筒体321の前板および後板に対し、着脱自在に装着されている。そして、電動モータ332が起動されない常態や縦割右側部分142及び単列貯留機構320の引出時には、錠剤落下経路の開閉を担う板体326の下端部が引出時錠剤落下防止部材423に当接して、板体326と角筒体321の前板と後板と引出時錠剤落下防止部材423とによって錠剤1の一時貯留空間が維持されるため、単列貯留機構320を上部錠剤収集機構140に随伴させて引き出しても引出中は一時貯留錠剤の不所望な落下を防止することができるものとなっている。
【0081】
なお、引出時錠剤落下防止部材423の背丈が単列貯留機構320のそれに一致している場合は、引出時錠剤落下防止部材423を左側板322を兼ねるものとみなすことができるとともに、縦割左側部分421を縦割左側部分141の単なる下方延長部とみることができ、そうすると、錠剤分包機400が、上述した実施例1の錠剤分包機300のように、単列貯留機構420を上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142に付設したものとなる。
【0082】
これに対し、引出時錠剤落下防止部材423のの背丈が単列貯留機構320のそれより小さい場合は、錠剤分包機300と明確に異なり、縦割左側部分421が錠剤落下経路囲繞部材として機能する。また、その場合、縦割左側部分421も引出時錠剤落下防止部材423も錠剤落下経路囲繞部材として機能し、引出時錠剤落下防止部材423の担当範囲から外れた錠剤落下経路囲繞面を縦割左側部分421が担当するので、縦割左側部分421と引出時錠剤落下防止部材423とを併せた錠剤落下経路囲繞面の背丈が単列貯留機構320のそれに一致していれば良い。
【0083】
この場合、隣り合っている二個の錠剤フィーダ格納庫12のうち片方だけを薬品庫11から前方へ引き出すと、上部錠剤収集機構140のうち縦割左側部分141か縦割右側部分142か何れか一方が薬品庫11から外に出るとともに、随伴して単列貯留機構420のうち縦割左側部分421か縦割右側部分422か何れか対応する方も外に出るので、両者の錠剤落下経路囲繞面を拭き掃除等で綺麗にするが、その清掃作業は、縦割左側部分421については引き出したら直ちに、また縦割右側部分422については引出後に着脱自在な引出時錠剤落下防止部材423を取り外せば、立った姿勢で内窓の拭き掃除と同じほど楽に行えるので、拭き掃除等が対面式で容易かつ迅速に行える。
【0084】
また、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141及び縦割右側部分142と同様に、単列貯留機構420の縦割左側部分421及び縦割右側部分422も、筐体内に深く押し込まれた状態で当接し合うように配設した場合ですら、当接し合っているのは筐体に深く押し込まれているときに限られるため、擦れ合いによって単列貯留機構420から磨屑状粉塵が発生することもほとんど無い。
【実施例3】
【0085】
本発明の錠剤分包機の実施例3について、その要部の具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図10(a),(b)は、上部錠剤収集機構140と単列貯留機構420の内部構造を示す模式図であり、そのうち(a)は上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141と縦割右側部分142とが密着した実装状態を示し、(b)は両者を左右に引き離した展開状態を示している。
【0086】
また、図10(c)は、上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142の左側面図であり、図10(d),(e)は、上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142の正面図であり、そのうち(d)は、引出時錠剤落下防止部材423と前後長漸減部材424を装着させた状態を示し、(e)は引出時錠剤落下防止部材423と前後長漸減部材424を取り外した状態を示している。さらに、図10(f)は、引出時錠剤落下防止部材423の外面側の斜視図、図10(g)は、引出時錠剤落下防止部材423の内面側・錠剤落下経路囲繞面側の斜視図、図10(h)は、前後長漸減部材424の斜視図である。
【0087】
この錠剤分包機は、実用性をより高めるために、上述した実施例2の錠剤分包機400における上部錠剤収集機構140及び単列貯留機構420を更に改良したものである。
具体的には、錠剤フィーダ13の錠剤排出口への連通穴から錠剤落下経路へ放出された錠剤1が錠剤落下経路を落下している途中で低位置の連通穴に飛び込んでしまうのを防止するために、カバー14aが、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141及び縦割右側部分142の双方に設けられている(図10(a)〜(c)参照)。
【0088】
また、引出時錠剤落下防止部材423は(図10(c)〜(g)参照)、装着時の保持力を確保するために、両端の当接着脱部の背丈Bが単列貯留機構420の縦割右側部分422の前板や後板と同じになっている。しかも、引出時に錠剤が落下するのを防止する機能を損なわない範囲で、大半を占める中間部の背丈Aを単列貯留機構420の他の部材の背丈より小さくしたことにより、引出時錠剤落下防止部材423を取り外すまでもなく単列貯留機構420の内部を目視確認するのが容易に行えるものとなっている。
【0089】
さらに、上部錠剤収集機構140の内部空間(錠剤落下経路)の上側部分の前後の長さが単列貯留機構420の内部空間(錠剤落下経路)の前後の長さより長くなっているのは上述した錠剤分包機300,400と同じであるが、その具現化は、上例のように上部錠剤収集機構140の縦割右側部分142の前下隅や後下隅を斜めに折り曲げて隅取を行うのでなく、縦割右側部分142の内部空間の前下隅や後下隅に前後長漸減部材424を装着するようになっている(図10(c)〜(e),(h)参照)。
【0090】
前後長漸減部材424は、例えば側面視が直角三角形の厚板や箱状体に形成されており(図10(c),(h)参照)、引出時錠剤落下防止部材423と同様の手段で或いは他の手段で着脱自在になっているので(図10(e)参照)、それを縦割右側部分142の前下隅や後下隅に内装すると(図10(c),(d)参照)、上部錠剤収集機構140の内部空間の前下部分や後下部分が埋められると同時に、前後長漸減部材424の斜め上向き斜面425(図10(h)参照)が上部錠剤収集機構140の内部空間の下側部分を画成することとなって(図10(c)参照)、上部錠剤収集機構140の内部空間の下側部分の前後の長さが、上から下へ長さ測定位置を移してみたとき、上部錠剤収集機構140の内部空間の上側部分の前後の長さから、単列貯留機構420の内部空間の前後の長さへ、漸減することとなる。
【0091】
また、この前後長漸減部材424の斜め上向き斜面425は、落下して来た錠剤1が強く当たるところなので、基材がステンレススチール等の金属の場合、衝撃緩和と粉塵付着防止のため例えばポリ弗化エチレン等で表面がコーティングされている。
上部錠剤収集機構140や単列貯留機構420も、例えばステンレススチールの板を加工して作った場合、当接部の材質が共に金属になり、同質の金属同士が引出時に擦れると異音がしたり表面が傷んだりすることもあるので、当接面の少なくとも一方にポリ弗化エチレン等のコーティングを施して当接面の材質の異なるものとなっている。
【0092】
この場合、基本的な使い方や動作さらには上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141や単列貯留機構320の清掃作業については、上述したのと同様なので、繰り返しとなる説明は割愛する。縦割右側部分142についても、前後長漸減部材424の装着部位は別として、縦割右側部分142の大部分の清掃作業は、上述したのと同様なので、やはりその説明を割愛し、ここでは、前後長漸減部材424の清掃作業と、縦割右側部分142における前後長漸減部材424の装着部位に対する清掃作業を説明する。
【0093】
前後長漸減部材424は着脱自在なので簡単に取り外すことができ、取り外した前後長漸減部材424は、任意の姿勢で取り扱えるので、その斜め上向き斜面425も他の表面も対面状態など作業しやすい状態で清掃することができる。
また、前後長漸減部材424を取り去った後の縦割右側部分142は、錠剤落下経路囲繞面に加えて前後長漸減部材424の装着部位までも左横向きで露出するので、その清掃作業は前後長漸減部材424の装着部位をも含めて対面状態で行うことができる。
【0094】
[その他]
なお、上記実施例では、ロック機構360が機械部品の組み合わせだけで具現化されていたが、ロック機構360は、機械部品と電子制御回路等との組み合わせで具現化しても良い。何れを採用するかは、停電時機能維持の重要性や,保守・改修等の容易化,さらには原価低減などを勘案して決めると良い。
【0095】
また、上記実施例では、図示と説明を割愛したが、単列貯留機構320が複列同時駆動機構330に対して離脱状態から係合状態に戻るときに、係合軸328が係合穴337に円滑に挿入されるよう、更に改良するのも好ましい。例えば係合軸328の先端にテーパ加工を施す等のことにより係合軸328の先端を尖らせても良く、例えば弱いバネなどの付勢手段を錠剤分包機300に付設して単列貯留機構320を外力の無いときには閉状態に強制することにより係合軸328を係合に適合した状態に維持するのも良く、揺動アーム335や係合軸328それぞれに対して個別に可動範囲や停止位置を規制するとともにその範囲や規制を個々に調整しうるようにしても良い。
【0096】
さらに、上記実施例では、錠剤手撒き装置21+22が単列貯留機構320の下方に配置されていたが、錠剤手撒き装置21+22は単列貯留機構320の上方に配置しても良く、例えば、何れかの錠剤フィーダ格納庫12について、最下段の錠剤フィーダ13を省き、その代わりに錠剤手撒き装置21+22を組み込めば、錠剤手撒き装置21+22が単列貯留機構320の上方に来るとともに、錠剤フィーダ格納庫12に随伴して引き出されるので、錠剤手撒き装置21+22の清掃や修理等も容易になる。
【0097】
また、上記実施例3では、上部錠剤収集機構140の縦割左側部分141や縦割右側部分142の具体例として、錠剤フィーダ13の錠剤排出口への連通穴が縦横に多数形成された単板に対し、横長のカバー14aを多段に付設したものを挙げたが、図10に示したようなカバー14aを前後のフレーム等で保持することで縦割左側部分141や縦割右側部分142を構成しても良い。その場合、錠剤フィーダ13の錠剤排出口への連通穴が横長のスリット状になるとともに、単板を省くことも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の錠剤分包機は、錠剤手撒き装置21+22の付いていない錠剤分包機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1…錠剤、2…包装帯(分包紙)、
10…錠剤分包機、
11…薬品庫、12…錠剤フィーダ格納庫、13…錠剤フィーダ、
14…上部錠剤収集機構、15…下部錠剤収集機構、16…錠剤投入部、
17…包装装置、18…コントローラ(制御装置)、19…操作パネル、
20…錠剤分包機、
21…予備撒き部(手撒き装置)、22…作動部(手撒き装置)、
30…錠剤分包機、
31…一時貯留機構、32…単列貯留機構、33…複列同時駆動機構、
40…錠剤分包機、
140…上部錠剤収集機構、141…縦割左側部分、142…縦割右側部分、
300…錠剤分包機、
320…単列貯留機構、321…角筒体、
322…左側板(引出時錠剤落下防止部材)、322a…把手、
323…右側板、324…貫通穴、325…開閉機構、
326…板体、327…支軸、328…係合軸(従動側伝動部材)、
330…複列同時駆動機構、331…ガイド、
332…電動モータ、333…スライダ、334…付勢バネ、
335…揺動アーム(駆動側伝動部材)、336…支点、337…係合穴、
350…引出機構、351…固定ガイド部、352…可動スライド部、
360…ロック機構(錠機構)、361…錠部(可動側錠部)、
362…錠前部(引止側錠部)、363…開錠付勢バネ、
364…施錠リンク、365…施錠付勢バネ、
400…錠剤分包機、
420…単列貯留機構、421…縦割左側部分、
422…縦割右側部分、423…引出時錠剤落下防止部材、
424…前後長漸減部材、425…斜め上向き斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容して逐次排出する錠剤フィーダと、前記錠剤フィーダを複数装備した錠剤フィーダ格納庫を複数と、前記錠剤フィーダ格納庫を筐体内に保持するとともに筐体から前方への引出も可能とする引出機構と、前記錠剤フィーダ格納庫に装備されていて前記錠剤フィーダから排出された錠剤を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構と、前記錠剤フィーダ格納庫の下方に設けられていて前記上部錠剤収集機構から落下した錠剤を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構と、前記下部錠剤収集機構の下方に設けられていて前記下部錠剤収集機構から投入された錠剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えており、且つ、前記上部錠剤収集機構が縦割りにて左右に分かれた形の縦割左側部分と縦割右側部分とを具備しており、前記縦割左側部分が前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち左側のものの右側面に装備され、前記縦割右側部分が前記隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫の左側面に装備されている錠剤分包機において、
前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係る前記引出機構の一対の引出経路が前開き状態になっていることを特徴とする錠剤分包機。
【請求項2】
前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち何れか一方が前記筐体から前方へ引き出されると、前記錠剤フィーダ格納庫のうち引き出された錠剤フィーダ格納庫と隣接対をなさないが隣に並んでいる錠剤フィーダ格納庫を含む他の錠剤フィーダ格納庫について、前記筐体から前方への引出を阻止するロック機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の錠剤分包機。
【請求項3】
錠剤を収容して逐次排出する錠剤フィーダと、前記錠剤フィーダを複数装備した錠剤フィーダ格納庫を複数と、前記錠剤フィーダ格納庫を筐体内に保持するとともに筐体から前方への引出も可能とする引出機構と、前記錠剤フィーダ格納庫に装備されていて前記錠剤フィーダから排出された錠剤を下方へ案内して落下させる上部錠剤収集機構を複数と、前記上部錠剤収集機構から落下した錠剤を一時貯留してから放下する単列貯留機構を複数と、前記単列貯留機構を複数同時に動作させて錠剤放下を一斉に行わせる複列同時駆動機構と、前記錠剤フィーダ格納庫の下方に設けられていて前記単列貯留機構から落下した錠剤を収集して下方へ投入する下部錠剤収集機構と、前記下部錠剤収集機構の下方に設けられていて前記下部錠剤収集機構から投入された錠剤を包装帯に区分包装する包装装置とを備えており、且つ、前記上部錠剤収集機構が縦割りにて左右に分かれた形の縦割左側部分と縦割右側部分とを具備しており、前記縦割左側部分が前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち左側のものの右側面に装備され、前記縦割右側部分が前記隣接対のうち右側の錠剤フィーダ格納庫の左側面に装備されている錠剤分包機において、
前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対に係る前記引出機構の一対の引出経路が前開き状態になっていることを特徴とする錠剤分包機。
【請求項4】
前記複列同時駆動機構と前記単列貯留機構との連結部に分離係合可能な伝動機構を設け、前記複列同時駆動機構を奥側に配置し、その手前側に前記単列貯留機構を左右に並走状態で配置するとともに個別に前方へ引き出せるようにしたうえで、
前記単列貯留機構を前記上部錠剤収集機構の縦割左側部分か縦割右側部分か何れか一方の下端部に付設し、更に、前記単列貯留機構を前記上部錠剤収集機構の縦割左側部分に付設する態様では前記単列貯留機構のうち右側部分を着脱自在な引出時錠剤落下防止部材にし、前記単列貯留機構を前記上部錠剤収集機構の縦割右側部分に付設する態様では前記単列貯留機構のうち左側部分を着脱自在な引出時錠剤落下防止部材にしたことを特徴とする請求項3記載の錠剤分包機。
【請求項5】
前記複列同時駆動機構と前記単列貯留機構との連結部に分離係合可能な伝動機構を設け、前記複列同時駆動機構を奥側に配置し、その手前側に前記単列貯留機構を左右に並走状態で配置するとともに個別に前方へ引き出せるようにしたうえで、
前記単列貯留機構を縦割りにした形で左右の縦割左側部分と縦割右側部分とに分けて、前記単列貯留機構の縦割左側部分を前記上部錠剤収集機構の縦割左側部分の下端部に付設し、前記単列貯留機構の縦割右側部分を前記上部錠剤収集機構の縦割右側部分の下端部に付設し、更に、前記単列貯留機構の縦割左側部分に錠剤貯留放下切替用の可動部材が装備されている態様では前記単列貯留機構の縦割左側部分に右側から着脱自在な引出時錠剤落下防止部材を装着し、前記単列貯留機構の縦割右側部分に錠剤貯留放下切替用の可動部材が装備されている態様では前記単列貯留機構の縦割右側部分に左側から着脱自在な引出時錠剤落下防止部材を装着したことを特徴とする請求項3記載の錠剤分包機。
【請求項6】
着脱自在な前記引出時錠剤落下防止部材は前記単列貯留機構の他の部材より背丈が小さいものであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載された錠剤分包機。
【請求項7】
前記上部錠剤収集機構の内部空間の上側部分の前後の長さが前記単列貯留機構の内部空間の前後の長さより長くなっており、前記上部錠剤収集機構の内部空間の下側部分の前後の長さを前記上部錠剤収集機構の内部空間の上側部分の前後の長さから前記単列貯留機構の内部空間の前後の長さへ漸減させる斜め上向き斜面を具備した前後長漸減部材を前記上部錠剤収集機構の前下部分と後下部分のうち何れか一方または双方に対して着脱自在に装着したことを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れかに記載された錠剤分包機。
【請求項8】
前記錠剤フィーダ格納庫の隣接対のうち何れか一方が前記筐体から前方へ引き出されると、前記錠剤フィーダ格納庫のうち引き出された錠剤フィーダ格納庫と隣接対をなさないが隣に並んでいる錠剤フィーダ格納庫を含む他の錠剤フィーダ格納庫について、前記筐体から前方への引出を阻止するロック機構を設けたことを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れかに記載された錠剤分包機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−85666(P2013−85666A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228371(P2011−228371)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】