説明

錠剤容器

【課題】 容器内の錠剤の衝撃による破損を防止し、取出しに際して錠剤が容易にこぼれ出ることがなく、しかも取り出さない他の錠剤に触れることがないばかりか、所定数の錠剤の取出しを容易にする。
【解決手段】 収納部4と該収納部の周壁上面を閉塞する蓋部5とを備える容器本体2と、該容器本体の内周面へ周壁を嵌合させた嵌合部材3とからなり、該嵌合部材の周壁の一部を屈曲して、所定数の錠剤のみが嵌合可能な錠剤嵌合部13を形成し、該錠剤嵌合部の上方蓋部部分を錠剤取出用の小蓋部11に形成し、嵌合部材3の周壁外面に複数の突部15を形成し、該突部を介して嵌合部材3を容器本体の内周面へ嵌合させ、さらに、嵌合部材3は錠剤の衝撃を緩衝する緩衝材で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠剤を収納する錠剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤を収納する容器として、例えば、矩形状の有底周壁からなる容器本体と、容器本体の周壁上端にヒンジを介して連結された蓋体とからなり、錠剤の取出しは蓋体を開けることで行う錠剤容器が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上記のような錠剤容器は、一般に硬質の合成樹脂で成形されているため、携帯用等として使用する場合には、振動等により錠剤が容器内面に衝突し破損することがあった。また、蓋体を開けると容器本体の全面が開口するため、錠剤の大半が容器本体からこぼれ出やすいばかりか、取り出さない他の錠剤にも触れることがあるため、衛生上からも好ましくなかった。
【0004】
本発明の目的は、容器内の錠剤の衝撃による破損を防止し得る錠剤容器を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、取出しに際して錠剤が容易にこぼれ出ることがなく、しかも取り出さない他の錠剤に触れることがないばかりか、錠剤の衝突音の低減が可能で、かつ、所定数の錠剤の取出しが容易な錠剤容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、収納部4と該収納部の周壁7上面を閉塞する蓋部5とを備える容器本体2と、該容器本体の内周面へ周壁を装着させた嵌合部材3とからなり、該嵌合部材の周壁外面に複数の突部15を形成し、該突部を介して該嵌合部材周壁を上記容器本体2の内周面へ嵌合させたことを特徴とする。
【0007】
第2の手段として、第1の手段を有すると共に、上記嵌合部材3の周壁の一部を屈曲して、所定数の錠剤のみが嵌合可能な錠剤嵌合部13を形成し、該錠剤嵌合部13の上方蓋部部分を錠剤取出用の小蓋部11に形成したことを特徴とする。
【0008】
第3の手段として、第2の手段を有すると共に、上記嵌合部材3は矩形状の帯状枠体からなり、該帯状枠体角部の両側を内方へ屈曲することで、該角部をU字状の錠剤嵌合部13に形成したことを特徴とする。
【0009】
第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1つの手段を有すると共に、上記嵌合部材3は錠剤の衝撃を緩衝する緩衝材からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の手段に係る発明によれば、周壁に形成した突部を介して嵌合部材を容器本体に嵌合させるので、突部間の嵌合部材部分に弾性が付与されることになり、よって、錠剤が嵌合部材に衝突することによって受ける衝撃力が緩和されることになる。
【0011】
第2の手段に係る発明によれば、容器本体に嵌合した嵌合部材に所定数の錠剤のみが嵌合可能な錠剤嵌合部を形成し、かつ、蓋部に錠剤取出用の小蓋部を形成したので、錠剤取出しに際しては、蓋部を開けることなく、小蓋部を開ければよく、小蓋部の開蓋では容器本体の全面が開口することがないため、錠剤の大半がこぼれ出るといったことが防止される。また、錠剤嵌合部には小蓋部から取出し可能な所定数の錠剤のみが嵌合可能であるから、錠剤取出しに際して、取り出さない他の錠剤に触れることがない。さらに、錠剤嵌合部には必要な所定数の錠剤のみが嵌合されるため、換言すれば自動的に所要数の錠剤が他から分離されるため、錠剤取出しが容易である。
【0012】
第3の手段に係る発明によれば、帯状枠体の角部を錠剤嵌合部に形成するので、換言すれば彎曲状に成形可能な角部を錠剤嵌合部に形成するので、錠剤嵌合部をU字状にすることが容易である。
【0013】
第4の手段に係る発明によれば、嵌合部材は緩衝材からなるので、錠剤の容器本体に対する衝撃力が大でも、この衝撃力は緩衝材によりほぼ吸収されるため、錠剤の破損が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に示す実施形態を参照しながら本発明を説明する。
【0015】
1は本発明に係る矩形状の錠剤容器で、容器本体2と嵌合部材3とを主たる構成要素とする。容器本体2は収納部4と蓋部5とで形成されている。収納部4は矩形状の底壁6と、この底壁外周から起立する周壁7とで形成されている。
【0016】
蓋部5は、収納部周壁7上面に凹凸の係合手段を介して下部を係合させた矩形状の周壁8と、周壁8の上端開口を閉塞する頂壁9とで形成されている。頂壁9の右前部に位置する角部10は、頂壁の他部分から切り離されて小蓋部11に形成され、小蓋部は弾性反転自在な3点ヒンジを介して頂壁9の他部分に連結されている。この小蓋部11は後述するように錠剤嵌合部13の上方に位置する。
【0017】
蓋部5は収納部4と別体に成形することも可能であるが、本実施形態では蓋部周壁8の後壁下端中央部と収納部周壁7の後壁上端中央部とを薄肉ヒンジ12で連結することにより蓋部5と収納部4とを一体に成形する。
【0018】
嵌合部材3は、角部を彎曲させた矩形状の帯状枠体からなり、容器本体2の周壁7、8内面に嵌合されている。嵌合部材3の1つの角部、すなわち小蓋部11と対応する位置にある嵌合部材3の角部は、その両側を内方へく字状に屈曲することでU字状の錠剤嵌合部13に形成されている。
【0019】
帯状枠体を上記のようにく字状に屈曲すると、図3に示すように、U字状角部の両端から短辺14、14が左右に延出する形状となるが、ここでより好ましくは左右の短辺14、14をU字の両端から直角に延出させることにより、両短辺が同一平面上に位置して、仮想線Lで示すように一直線状に並ぶようにする。このようにすることにより短辺14、14とこれらに連続する帯状枠体部分とのなす交差角度Xを、錠剤Tが錠剤嵌合部13に流入し易い角度にすることができる。
【0020】
仮に、両短辺14、14が一直線状に並ぶことなく互いに接近するように内方へ傾斜していると、これらは錠剤嵌合部13への漏斗状の入口を形成することになって錠剤の目詰りを招くことになる。反対に両短辺が外方へ傾斜することにより交差角度Xが小さくなると、この交差部に錠剤が引っ掛って錠剤嵌合部13に流入できないことになる。
【0021】
錠剤嵌合部13は所定数の錠剤Tのみが嵌合可能な面積とする。本実施形態では1つの錠剤のみが嵌合可能な面積とする。
【0022】
なお、上記では錠剤嵌合部13は帯状枠体の角部に形成されているが、これに限定されることなく、角部以外の部分を錠剤嵌合部13とすることも可能である。
【0023】
一方、帯状枠体からなる嵌合部材3の周壁外面に複数の突部15を突設し、これら突部を介して嵌合部材3を容器本体2の周壁7、8内面に嵌合させる。突部15は帯状枠体の弾性を高める観点から、帯状枠体角部の両側および短辺14、14とこれらに連続する帯状枠体部分との交差部に設ける。突部15の形状に特に限定はないが、本実施形態では上下方向への突条で形成する。
【0024】
上記では嵌合部材3は帯状の枠体からなるが、枠体の底面に底板を設けることも可能である。
【0025】
嵌合部材3は錠剤の衝突による衝撃力を緩衝する機能を有しており、したがって、材質としては低密度ポリエチレン等の衝撃を吸収可能な緩衝材が好ましい。
【0026】
なお、容器本体の高さは、錠剤の上下方向の動きを規制し得るように錠剤の厚さに応じて定める。
【0027】
次に作用について説明する。
【0028】
錠剤容器1から錠剤を取り出すには、容器本体2を小蓋部11が下になるように下方に傾斜させればよく、すると所定数の、本実施形態では1つの錠剤Tのみが錠剤嵌合部13に嵌合する。次いで、小蓋部11を開いて錠剤嵌合部13の開口を下方に向けると、1つの錠剤が錠剤嵌合部13から離脱する。
【0029】
容器本体2内の錠剤の数が少なくなってくると、振動等により錠剤が嵌合部材3に衝突するが、嵌合部材は緩衝材からなり、しかも、突部15を適宜間隔をおいて配置したことにより嵌合部材3は弾性を付与されているため、錠剤の衝突による破損が防止されるとともに、衝突時に発生する衝撃音も低減される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る錠剤容器の平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】嵌合部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 錠剤容器
2 容器本体
3 嵌合部材
4 収納部
5 蓋部
7 収納部の周壁
11 小蓋部
13 錠剤収納部
15 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部4と該収納部の周壁7上面を閉塞する蓋部5とを備える容器本体2と、該容器本体の内周面へ周壁を装着させた嵌合部材3とからなり、
該嵌合部材の周壁外面に複数の突部15を形成し、該突部を介して該嵌合部材周壁を上記容器本体2の内周面へ嵌合させたことを特徴とする錠剤容器。
【請求項2】
上記嵌合部材3の周壁の一部を屈曲して、所定数の錠剤のみが嵌合可能な錠剤嵌合部13を形成し、
該錠剤嵌合部13の上方蓋部部分を錠剤取出用の小蓋部11に形成したことを特徴とする請求項1記載の錠剤容器。
【請求項3】
上記嵌合部材3は矩形状の帯状枠体からなり、該帯状枠体角部の両側を内方へ屈曲することで、該角部をU字状の錠剤嵌合部13に形成したことを特徴とする請求項2記載の錠剤容器。
【請求項4】
上記嵌合部材3は錠剤の衝撃を緩衝する緩衝材からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の錠剤容器。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−260128(P2007−260128A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88846(P2006−88846)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】