説明

錠剤

【課題】崩壊性が良好で、かつ機械的強度に優れる錠剤及びその製造法を提供するものである。
【解決手段】(A)漢方剤、塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等以外の薬効成分、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を含有する錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、崩壊性と機械的強度が両立した錠剤及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品の経口投与製剤のうち、錠剤は、調剤に便利である、剤形中の成分含量が正確である、苦味等のマスキングが容易である、大量生産が可能である等の利点を有することから、最も広範囲に利用されている。一方、錠剤には、製剤技術の微妙な差によってバイオアベイラビリティーが変動しやすいため、他の製剤よりも慎重に製剤評価や品質管理を行う必要があるとされている。
【0003】
錠剤の製剤設計に際しては、原料粉体の流動性、結合性、滑沢性などが要求されるほか、圧縮後の錠剤は適度な機械的強度と崩壊性をもっていなければならない。すなわち、機械的強度を高くすれば崩壊性が低下する傾向にあり、崩壊性を良好にすれば機械的強度は低下する傾向にある。
【0004】
カルメロース又はその塩、及び二酸化ケイ素は製剤添加物として知られている。これら2種の添加物を組み合せて配合した錠剤としては特許文献1〜10が知られているが、これらの特許文献には両者を組み合せた場合に得られる錠剤の機械的強度がどのように変化するかについての記載は全く存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−183964号公報
【特許文献2】特開2003−119134号公報
【特許文献3】特開2005−154281号公報
【特許文献4】特開2007−332063号公報
【特許文献5】特開2007−191419号公報
【特許文献6】再表2004/006945号公報
【特許文献7】特開2005−194203号公報
【特許文献8】特開2005−162619号公報
【特許文献9】特開平10−298061号公報
【特許文献10】特開2007−169195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、崩壊性が良好で、かつ機械的強度に優れる錠剤及びその製造法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、錠剤を製造するにあたって、製剤添加物として知られているカルメロース又はその塩と二酸化ケイ素とを組み合せて配合することにより、良好なバイオアベイラビリティーを示す崩壊性を有しながらも、機械的強度、特に流通段階や取り扱い時、さらにはコーティング時で問題となる摩損がほとんどない錠剤(素錠)が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)薬効成分、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を含有する錠剤(ただし、漢方剤、塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シンバスタチン、ポビドンヨード、ピモベンダン、パンテチン、システイン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩酸メチルエフェドリン、ヨウ化イソプロパミド、ノスカピン、マレイン
酸クロルフェニラミン、硝酸チアミン、無水カフェイン、カミツレ、ウワウルシ、ナプロキセンは薬効成分から除く)を提供するものである。
また、本発明は、(A)薬効成分を含有する錠剤の製造法であって、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を配合することを特徴とする摩損耐性を有する錠剤の製造法を提供するものである。
さらに、(A)薬効成分を含有する錠剤の製造法であって、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を配合することを特徴とする良好な崩壊性を有し、かつ摩損耐性を有する錠剤の製造法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の錠剤は、良好な崩壊性を有しながらも摩損をほとんど生じないことから、流通段階や取り扱い時、さらにはコーティング時での摩損がなく、かつ良好なバイオアベイラビリティーが得られる。特に、本発明の錠剤は、第十五改正日本薬局方「崩壊試験法」の即放性製剤を準拠した方法、すなわち、崩壊試験装置を次の条件(試験液:水、液量:1000mL、試験温度:37±2℃)で作動させることによる崩壊時間が30分以内であり、第十五改正日本薬局方 解説書 参考情報「錠剤の摩損度試験法」に準拠した方法、すなわち、規定の錠剤量をドラムに入れ100回転させ、試験後、目視で欠け数をカウントすることによる摩損度が0であることから、特に有用である。また本発明によれば、良好なバイオアベイラビリティーを示す崩壊性を保持しつつ摩損度の改善された錠剤が容易に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の錠剤は、(A)薬効成分を含有する。当該薬効成分としては、経口投与により薬効を発揮する成分であればよく、特に限定されるべきものではないが、漢方剤、塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シンバスタチン、ポビドンヨード、ピモベンダン、パンテチン、システイン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩酸メチルエフェドリン、ヨウ化イソプロパミド、ノスカピン、マレイン酸クロルフェニラミン、硝酸チアミン、無水カフェイン、カミツレ、ウワウルシ、ナプロキセンは、本発明の錠剤に含有される薬効成分から除かれる(なお、漢方剤は、当帰芍薬散エキス、加味逍遥散エキス、桂枝茯苓丸エキス、大黄甘草湯エキス、葛根湯エキス、柴胡桂枝湯エキス、▲ヨク▼苡仁湯エキス、桂枝加苓朮附湯エキス、防已黄耆湯エキスである。)。
【0011】
薬効成分としては、例えば、催眠・鎮静剤、抗てんかん薬、解熱鎮痛消炎剤、興奮・覚醒剤、鎮暈剤、精神神経用剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、鎮痙剤、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈用剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、高脂血症用薬、鎮咳去痰剤、消化性潰瘍用剤、健胃剤、消化剤、制酸剤、整腸剤、止瀉剤、鎮痛鎮痙剤、胃粘膜修復剤、抗菌剤、止血剤、ビタミン剤、血液凝固阻止剤、肝疾患用剤、痛風治療剤、酵素製剤、糖尿病用剤、抗悪性腫瘍剤、抗インフルエンザウイルス剤等が挙げられる。
【0012】
より具体的には、催眠・鎮静剤としては、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、トリアゾラム、ニトラゼパム、クロルジアゼポキシド、ロラゼパム、アルプラゾラム、オキサゾラム、ロフラゼプ酸エチル、ブロマゼパム、フルジアゼパム、トフィソパム等のベンゾジアゼピン系薬剤、クロチアゼパム、エチゾラム等のチエノジアゼピン系薬剤、フェノバルビタール等のバルビツール酸系薬剤等が挙げられる。抗てんかん薬としては、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドン、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、エトスクシミド、クロバザム、ゾニサミド、ガバペンチン、トピラマート等が挙げられる。解熱鎮痛消炎剤としては、アセトアミノフェン、フェナセチン、メフェナム酸、ジクロフェナク、アスピリン、エテンザミド、サリチルアミド、サリチル酸、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェンブフェン、メピリゾール、インドメタシン、ロキソプロフェン等が挙げられる。興奮・覚醒剤としては、メタンフェタミン、グルタミン酸、ガンマアミノ酪酸等が挙げられる。鎮暈剤としては、イソプロテレノール、ジフェニドール等が挙げられる。精神神経用剤としては、クロルプロマジン等のフェノチアジン系薬剤、ハロペリドール等のブチロフェノン系薬剤、三環系抗うつ薬等が挙げられる。自律神経用剤としては、アセチルコリン等のコリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害剤等が挙げられる。
【0013】
鎮痙剤としてはアトロピン、スコポラミン等のコリン遮断薬が挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、シプロヘプタジン塩酸塩水和物、ジフェンヒドラミン、クレマスチンフマル酸塩、アゼラスチン塩酸塩、オキサトミド、メキタジン、エピナスチン塩酸塩、エバスチン、セチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩、ロラタジン等が挙げられる。抗アレルギー剤としてはクロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム、プランルカスト水和物、モンテルカスト、ラマトロバン、スプラタストトシル酸塩等が挙げられる。
【0014】
強心剤としてはジゴキシン、ジギトキシン等が挙げられる。不整脈用剤としては、プロカインアミド塩酸塩、ジソピラミド、シベンゾリンコハク酸塩、ピルメノール塩酸塩、アプリンジン塩酸塩、メキシレチン塩酸塩、フレカイニド酢酸塩、ピルジカイニド塩酸塩、プロパフェノン塩酸塩等のNaチャンネル遮断薬、アミオダロン塩酸塩、ソタロール塩酸塩等のKチャンネル遮断薬、プロプラノロール塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、アテノロール、カルベジロール等のβ遮断薬等が挙げられる。血圧降下剤としては、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、トリパミド、インダパミド、スピロノラクトン、フロセミド等の利尿剤、プラゾシン塩酸塩、ブナゾシン塩酸塩、ドキサゾシンメシル酸塩、テラゾシン塩酸塩水和物、ウラピジル等のα遮断薬、プロプラノロール塩酸塩、ピンドロール、カルテオロール塩酸塩、アテノロール、メトプロロール酒石酸塩、ボピンドロールマロン酸塩、ビソプロロールフマル酸塩、セリプロロール塩酸塩、チリソロール塩酸塩等のβ遮断薬、アモスラロール塩酸塩、カルベジロール、アロチノロール塩酸塩等のαβ遮断薬、ニフェジピン、ニカルジピン塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、ニルバジピン、バルニジピン塩酸塩、ニソルジピン、ニトレンジピン、アムロジピンベシル酸塩、マニジピン塩酸塩、ベニジピン塩酸塩、フェロジピン、エホニジピン塩酸塩、アゼルニジピン等のカルシウム拮抗薬、カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、デラプリル塩酸塩、イミダプリル塩酸塩、キナプリル塩酸塩、テモカプリル塩酸塩、リシノプリル等のACE阻害薬、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、バルサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン等のアンジオテンシンII受容体拮抗剤等が挙げられる。高脂血症用薬としては、プラバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム、フルバスタチンナトリウム、ピタバスタチンカルシウム、ロスバスタチンカルシウム、エゼチミブ、クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、クリノフィブラート、トコフェロールニコチン酸エステル、ニセリトロール、ニコモール、プロブコール等が挙げられる。
【0015】
鎮咳去痰剤としては、コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン等が挙げられる。消化性潰瘍用剤としては、グルタミン、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、シメチジン、ラニチジン塩酸塩、ファモチジン、ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩、ニザチジン、ラフチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、オルノプロスチル、エンプロスチル、ミソプロストール、ピレンゼピン塩酸塩、プログルミド等が挙げられる。
【0016】
健胃剤としては、例えば、アニス実、アロエ、ウイキョウ、ウコン、ウヤク、延命草、オウゴン、オウバク、オウレン、加工大蒜、ガジュツ、カッコウ、カラムス根、乾薑、枳殻、キジツ、ケイヒ、ゲンチアナ、コウジン、コウボク、ゴシュユ、胡椒、コロンボ、コンズランゴ、サンショウ、山奈、シソシ、シュクシャ、ショウキョウ、ショウズク、青皮、石菖根、センタウリウム草、センブリ、ソウジュツ、ソヨウ、大茴香、ダイオウ、チクセツニンジン、チョウジ、チンピ、トウガラシ、トウヒ、動物胆(ユウタンを含む)、ニガキ、ニクズク、ニンジン、ハッカ(セイヨウハッカを含む)、篳撥(ヒハツ)、ビャクジュツ、ホップ、ホミカエキス、睡菜葉(スイサイヨウ)、モッコウ、ヤクチ、リュウタン、リョウキョウ、ウイキョウ油、ケイヒ油、ショウキョウ油、ショウズク油、チョウジ油、トウヒ油、ハッカ油、レモン油、l−メントール、dl−メントール、塩酸ベタイン、グルタミン酸塩酸塩、塩化カルニチン、塩化ベタネコール、乾燥酵母等が挙げられる。
消化剤としては、例えば、でんぷん消化酵素、たん白消化酵素、脂肪消化酵素、繊維素消化酵素、ウルソデスオキシコール酸、オキシコーラン酸塩類、コール酸、胆汁末、胆汁エキス(末)、デヒドロコール酸、動物胆(ユウタンを含む)等が挙げられる。
整腸剤としては、例えば、整腸生菌成分、赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコ等が挙げられる。
止瀉剤としては、例えば、アクリノール、塩化ベルベリン、グアヤコール、クレオソート、サリチル酸フェニル、炭酸グアヤコール、タンニン酸ベルベリン、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸、タンニン酸アルブミン、メチレンチモールタンニン、カオリン、天然ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム、ペクチン、薬用炭、乳酸カルシウム、アセンヤク、ウバイ、オウバク、オウレン、クジン、ゲンノショウコ、五倍子、サンザシ、センブリ、ヨウバイヒ等が挙げられる。
鎮痛鎮痙剤としては、例えば、塩酸オキシフェンサイクリミン、塩酸ジサイクロミン、塩酸メチキセン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルアニソトロピン、臭化メチルスコポラミン、臭化メチル−l−ヒヨスチアミン、臭化メチルベナクチジウム、ベラドンナエキス、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根総アルカロイドクエン酸塩、塩酸パパベリン、アミノ安息香酸エチル、エンゴサク、カンゾウ、コウボク、シャクヤク等が挙げられる。
胃粘膜修復剤としては、例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム、アルジオキサ、グリチルリチン酸及びその塩類並びに甘草抽出物、L−グルタミン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、塩酸ヒスチジン、ブタ胃壁ペプシン分解物、ブタ胃壁酸加水分解物、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、赤芽柏、エンゴサク、カンゾウ、スクラルファート、レバミピド、マーズレン、ポラプレジンク、アルギン酸ナトリウム、ゲファルナート、テプレノン、トロキシピド、塩酸ベネキサートベータデクス、プラウノトール、マレイン酸イルソグラジン、ソファルコン等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA油、肝油、強肝油、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、塩酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン、リン酸ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ビオチン等が挙げられる。
【0017】
制酸剤としては、合成ケイ酸アルミニウム、天然ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウムビスマス、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、アミノ酢酸、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、グリシン、烏賊骨、石決明、ボレイ、ロートエキス等が挙げられる。
【0018】
肝疾患用剤としては、リバビリン、ラミブジン、エンテカビル水和物、アデホビルピボキシル、プロパゲルマニウム、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。抗菌剤としては、各種抗生物質、レボフロキサシン水和物、オフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、トスフロキサシントシル酸塩、ノルフロキサシン、シタフロキサシン水和物、ロメフロキサシン塩酸塩、ガチフロキサシン、プルリフロキサシン、モキシフロキサシン塩酸塩、エノキサシン、スパルフロキサシン等のキノロン系抗菌剤等が挙げられる。糖尿病用剤としては、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物、メトホルミン塩酸塩、ブホルミン塩酸塩、ピオグリタゾン塩酸塩、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール等が挙げられる。抗悪性腫瘍剤としては、フルオロウラシル、テガフール、ドキシフルリジン、カペシタビン、ファドロゾール塩酸塩、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シクロホスファミド、イマチニブメシル酸塩等が挙げられる。
抗インフルエンザウイルス剤としては、オセルタミビルリン酸塩、アマンタジン塩酸塩等が挙げられる。
【0019】
これらの薬効成分のうち、消化性潰瘍用剤、健胃剤、消化剤、制酸剤、胃粘膜修復剤、整腸剤、ビタミン類等を配合するのが好ましい。さらに、制酸剤、健胃剤、消化剤、胃粘膜修復剤等の胃に作用する薬剤の場合には、特に崩壊性が良好であることが望まれるので、これらの薬効成分を含有する錠剤に適用するのが好ましい。特に、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含有する錠剤の場合に、本発明の効果は顕著に現れる。中でも、2種以上を含有する錠剤がより好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムを含有する制酸剤を配合した錠剤に適用するのが特に好ましい。水酸化マグネシウムの配合量は、製剤全量に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、1〜7重量%が特に好ましい。炭酸水素ナトリウムの配合量は、錠剤全量に対して1〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、10〜30重量%が特に好ましい。炭酸カルシウムとしては、例えば、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムや炭酸カルシウムを主成分とするボレイ、ボレイ末、石決明もしくは烏賊骨などが挙げられる。炭酸カルシウムの配合量は、錠剤全量に対して10〜80重量%が好ましく、15〜70重量%がより好ましく、20〜60重量%が特に好ましい。
水酸化マグネシウムと炭酸水素ナトリウムの質量比は、1:0.1〜15が好ましく、1:1〜12がより好ましく、1:3〜9が特に好ましい。水酸化マグネシウムと炭酸カルシウムの質量比は、1:1〜40が好ましく、1:3〜30がより好ましく、1:5〜20が特に好ましい。炭酸水素ナトリウムと炭酸カルシウムの質量比は、0.1〜15:1〜40が好ましく、1〜12:3〜30がより好ましく、3〜9:5〜20が特に好ましい。
上記錠剤には、必要に応じて、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウム以外の制酸剤、健胃剤、消化剤、整腸剤、止瀉剤、鎮痛鎮痙剤、胃粘膜修復剤、ビタミン類、消泡剤等の薬物を用いることができる。
【0021】
これらの制酸剤を含む薬効成分は、本発明の錠剤中に1〜90質量%、さらに1.5〜85質量%、特に2〜80質量%含有するのが好ましい。
【0022】
(B)カルメロース又はその塩としては、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム等が挙げられるが、このうちカルメロースカルシウムが特に好ましい。カルメロースカルシウムは、成分(C)と組み合せることにより、特に顕著な崩壊性と機械的強度の改善効果が得られる。(B)カルメロース又はその塩は、本発明の錠剤中に1〜20質量%、さらに1.5〜18質量%、特に2〜16質量%含有するのが、良好な崩壊性と機械的強度の向上効果を得る点で好ましい。
【0023】
(C)二酸化ケイ素としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸が挙げられるが、崩壊性及び機械的強度向上効果の点で含水二酸化ケイ素が特に好ましい。(B)二酸化ケイ素は、本発明の錠剤中に、0.1〜10質量%、さらに0.2〜9質量%、特に0.3〜8質量%含有するのが、良好な崩壊性と機械的強度の向上効果を得る点で好ましい。
【0024】
また、本発明の錠剤においては、(B)カルメロース又はその塩と(C)二酸化ケイ素の含有質量比((B)/(C))は、良好な崩壊性と機械的強度の向上効果を得る点から、0.1〜200、さらに0.5〜100、特に1〜75が好ましい。
【0025】
本発明の錠剤には、さらに必要に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、着色剤、矯味剤等の製剤添加物を配合することができる。賦形剤としては、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール等が挙げられる。結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等が挙げられる。崩壊剤としては、クロスポピドン、トウモロコシ澱粉、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等が挙げられる。着色剤としては、タール色素、三二酸化鉄等が挙げられる。矯味剤としてはステビア、アスパルテーム、香料等が挙げられる。
【0026】
本発明の錠剤は、崩壊性が良好であり、かつ機械的強度、特に摩損耐性において優れている。より具体的には、第十五改正日本薬局方「崩壊試験法」の即放性製剤を準拠した方法、すなわち、崩壊試験装置を次の条件(試験液:水、液量:1000mL、試験温度:37±2℃)で作動させることによる崩壊時間が30分以内である。また、第十五改正日本薬局方 解説書 参考情報「錠剤の摩損度試験法」に準拠した方法、すなわち、規定の錠剤量をドラムに入れ100回転させ、試験後、目視で欠け数をカウントすることによる摩損度が0である。このように崩壊性が良好で、かつ摩損度が低いので、製造段階及び流通段階において錠剤が欠けることがなく、かつ服用後は高いバイオアベイラビリティーが得られる。
【0027】
本発明の錠剤の形態としては、裸錠(素錠)、多層錠、有核錠、トローチ、口腔内崩壊錠、チュアブル錠等が挙げられる。
本発明の錠剤には、適当な手段により、皮膜を形成させてもよく、皮膜形成した錠剤としては、フィルムコーティング錠、糖衣錠が挙げられる。本発明の錠剤は、摩損度が極めて低いので、皮膜形成時に問題となることがほとんどなく、薬効成分に適した皮膜を形成することが容易である。
【0028】
本発明の錠剤の製造方法は、特に限定されるべきものではなく、錠剤(錠剤に皮膜を形成する場合は、皮膜形成前の錠剤)中に、(A)薬効成分、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素が含まれるように製造される方法であればよい。すなわち、本発明の錠剤は、直接粉末圧縮法により製造してもよく、乾式顆粒圧縮法、半乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法等のように造粒後に圧縮成形して製造してもよいが、造粒後に圧縮成形するのが好ましい。造粒法は特に制限されず、押し出し造粒、流動層造粒、撹拌造粒、噴霧乾燥造粒、破砕造粒等が採用できる。本発明の錠剤は、(A)薬効成分、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素の混合物を常法に従い打錠する方法;(A)薬効成分、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を含有する造粒物を製し、次いで打錠する方法等により製することができる。本発明においては、特に(A)薬効成分及び(B)カルメロース又はその塩を混合して造粒し、その後に(C)二酸化ケイ素を添加して造粒するのが好ましい。得られた造粒物は、常法に従い、打錠し、錠剤を製すればよい。また、得られた錠剤は、所望により、常法に従い、皮膜を形成させ、フィルムコーティング錠や糖衣錠とすることができる。
【0029】
本発明の錠剤は、漢方剤、塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シンバスタチン、ポビドンヨード、ピモベンダン、パンテチン、システイン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩酸メチルエフェドリン、ヨウ化イソプロパミド、ノスカピン、マレイン酸クロルフェニラミン、硝酸チアミン、無水カフェイン、カミツレ、ウワウルシ、ナプロキセンが薬効成分(成分(A))から除かれるものであるが、例えば、以下の成分(B)と成分(C)の組み合わせにおいて、除かれる薬効成分が以下のように限定されるものが好ましい。
(1)成分(B)が含水二酸化ケイ素であり、成分(C)がカルメロースの場合、除かれる薬効成分がポビドンヨードである錠剤。
(2)成分(B)が軽質無水ケイ酸であり、成分(C)がカルメロースの場合、除かれる薬効成分がピモベンダンと当帰芍薬散エキス、加味逍遥散エキス、桂枝茯苓丸エキス、大黄甘草湯エキス、葛根湯エキス、柴胡桂枝湯エキスである錠剤。
(3)成分(B)が軽質無水ケイ酸であり、成分(C)がカルメロースナトリウムの場合、除かれる薬効成分がパンテチン、システイン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩酸メチルエフェドリン、ヨウ化イソプロパミド、ノスカピン、マレイン酸クロルフェニラミン、硝酸チアミン、無水カフェインである錠剤。
(4)成分(B)が含水二酸化ケイ素であり、成分(C)がカルメロースナトリウムの場合、除かれる薬効成分がパンテチン、システイン、カミツレ、ウワウルシである錠剤。
(5)成分(B)が含水二酸化ケイ素であり、成分(C)がカルメロースカルシウムの場合、除かれる薬効成分が塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シンバスタチン、ナプロキセン、桂枝加苓朮附湯エキス、防已黄耆湯エキスである錠剤。
なお、本発明の錠剤の製造方法においては、(A)薬効成分から、漢方剤、塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シンバスタチン、ポビドンヨード、ピモベンダン、パンテチン、システイン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩酸メチルエフェドリン、ヨウ化イソプロパミド、ノスカピン、マレイン酸クロルフェニラミン、硝酸チアミン、無水カフェイン、カミツレ、ウワウルシ、ナプロキセンは除かれるべきものではない。
【実施例】
【0030】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0031】
1.錠剤の製造
製造例 核錠
メチルメチオニンスルホニウムクロライド150質量部、ロートエキス3倍散90質量部、ホップ乾燥エキス30質量部、リパーゼAP15質量部、ビオヂアスターゼ(2000)24質量部、ヒドロキシプロピルセルロース24質量部、硬化油110質量部、カルメロースカルシウム70質量部、トウモロコシデンプン38質量部、モノステアリン酸グリセリン10質量部、ステアリン酸ポリオキシル(40)5質量部、タルク25質量部を常法により顆粒化した。この顆粒591質量部とステアリン酸マグネシウム9質量部を混合し打錠用顆粒とした。この打錠用顆粒をφ7mmのパンチを備えた打錠機を用いて打錠し1錠100mgの核錠を製した。
【0032】
実施例1
炭酸水素ナトリウム900質量部、水酸化マグネシウム100質量部、沈降炭酸カルシウム1200質量部、ポリビニルアルコール120質量部、カルメロースカルシウム150質量部、結晶セルロース375質量部、硬化油120質量部、ステアリン酸マグネシウム20質量部を常法により顆粒化した。この顆粒497.5質量部と含水二酸化ケイ素2.5質量部を混合し外層顆粒とした。製造例で製した1錠100mgの核錠と本外層顆粒500mgをφ11mmのパンチを備えた打錠機を用いて、1錠600mgの有核錠を製した。
【0033】
実施例2
炭酸水素ナトリウム900質量部、水酸化マグネシウム100質量部、沈降炭酸カルシウム1200質量部、ポリビニルアルコール120質量部、カルメロースカルシウム150質量部、結晶セルロース360質量部、硬化油120質量部、ステアリン酸マグネシウム20質量部を常法により顆粒化した。この顆粒495質量部と含水二酸化ケイ素5質量部を混合し外層顆粒とした。製造例で製した1錠100mgの核錠と本外層顆粒500mgをφ11mmのパンチを備えた打錠機を用いて、1錠600mgの有核錠を製した。
【0034】
比較例1
炭酸水素ナトリウム900質量部、水酸化マグネシウム100質量部、沈降炭酸カルシウム1200質量部、ポリビニルアルコール120質量部、カルメロースカルシウム150質量部、結晶セルロース390質量部、硬化油120質量部、ステアリン酸マグネシウム20質量部を常法により顆粒化し外層顆粒とした。製造例で製した1錠100mgの核錠と本外層顆粒500mgをφ11mmのパンチを備えた打錠機を用いて、1錠600mgの有核錠を製した。
【0035】
比較例2
炭酸水素ナトリウム900質量部、水酸化マグネシウム100質量部、沈降炭酸カルシウム1200質量部、ポリビニルアルコール120質量部、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース150質量部、結晶セルロース375質量部、硬化油120質量部、ステアリン酸マグネシウム20質量部を常法により顆粒化した。この顆粒495質量部と含水二酸化ケイ素5質量部を混合し外層顆粒とした。製造例で製した1錠100mgの核錠と本外層顆粒500mgをφ11mmのパンチを備えた打錠機を用いて、1錠600mgの有核錠を製した。
【0036】
試験例1
(崩壊試験)
実施例1、2及び比較例1、2で得られた各有核錠につき崩壊試験装置(NT−40H、富山産業製)を用いて崩壊時間を測定した。試験液は水(1000mL、37℃)とし、各例につき6錠を測定し平均値を算出し崩壊時間とした(第十五改正日本薬局方「崩壊試験法」即放性製剤に準拠)。
(結果)
カルメロースカルシウムと含水二酸化ケイ素を配合した実施例1、2については、含水二酸化ケイ素を配合していない比較例1やカルメロースカルシウムを配合していない比較例2に比べ、崩壊時間が極めて短縮化され崩壊性が良好であった。したがって胃酸の中和等が速やかに発現し治療効果が高まると推察された(表1)。
【0037】
試験例2
(硬度)
実施例1、2及び比較例1、2で得られた各有核錠につき錠剤硬度計(PHARMA TEST PTB−311、ジャパンマシナリー製)を用いて錠剤硬度を測定した。各例につき20錠を測定し平均値を算出し硬度とした。
(結果)
含水二酸化ケイ素を配合した実施例1、2については配合していない比較例1に比較して硬度が高まることが判明した。したがって、製造・包装時のハンドリング性や流通下における品質維持に極めて優位に寄与するものと推察された(表1)。
【0038】
試験例3
(摩損度試験)
実施例1、2及び比較例1、2で得られた各有核錠につき摩損度試験を実施した。各例につき15錠を錠剤摩損度試験器(FRIABILATOR TFR−120、富山産業製)にセットし、100回転(毎分25回転×4分)させ、終了後の有核錠の欠け数を目視で確認した(第十五改正日本薬局方 解説書 参考情報 「錠剤の摩損度試験法」に準拠)。
(結果)
含水二酸化ケイ素を配合した実施例1、2については配合していない比較例1に比較して摩損耐性が高まることが判明した。またカルメロースカルシウムとの組合せが良好な成績を示した。したがって、製造・包装時のハンドリング性や流通下における品質維持に極めて優位に寄与するものと推察された(表1)。
【0039】
【表1】

【0040】
試験例1〜3の結果から、薬効成分、カルメロース又はその塩、及び二酸化ケイ素を含有する錠剤は、良好な崩壊性を有し、かつ機械的強度に優れるものであることが判明した。
【0041】
実施例3
炭酸水素ナトリウム9.0kg、水酸化マグネシウム1.0kg、沈降炭酸カルシウム12.0kg、ポリビニルアルコール1.2kg、カルメロースカルシウム1.5kg、結晶セルロース3.5kg、ケイヒ末0.15kg、硬化油1.2kg、ステアリン酸マグネシウム0.2kgを混合機を用いて混合、練合し、次に乾燥機を用いて乾燥し、さらに整粒機を用いて整粒し顆粒を製した。顆粒5.95kgと含水二酸化ケイ素0.05kgを混合し外層顆粒6.0kgを得た。
製造例で製した1錠100mgの核錠12000錠と外層顆粒6.0kgをφ11mmのパンチを備えた有核打錠機を用いて、1錠600mgの有核錠を12000錠製した。
得られた有核錠の崩壊時間17分、硬度11Nであった。
【0042】
実施例4
メチルメチオニンスルホニウムクロライド0.75kg、ロートエキス3倍散0.45kg、ソウジュツ乾燥エキス0.25kg、センブリ末0.15kg、リパーゼAP0.075kg、ビオヂアスターゼ(2000)0.12kg、ヒドロキシプロピルセルロース0.12kg、硬化油0.3kg、カルメロースカルシウム0.35kg、トウモロコシデンプン0.09kgを混合機を用いて混合、練合し、次に乾燥機を用いて乾燥し、さらに整粒機を用いて整粒し顆粒を製した。顆粒2.655kgとステアリン酸マグネシウム0.045kgを混合し打錠用顆粒とし、φ7mmのパンチを備えた打錠機を用いて打錠し1錠90mgの錠剤を30000錠製した。この錠剤12000錠に別途無水エタノールに硬化油0.03kg、モノステアリン酸グリセリン0.02kg、ステアリン酸ポリオキシル(40)0.008kg、精製セラック0.008kg、タルク0.054kgを分散させた分散液を乾燥後1錠あたり10mgとなるように塗布し、1錠100mgの核錠とした。
炭酸水素ナトリウム9.0kg、水酸化マグネシウム1.0kg、沈降炭酸カルシウム12.0kg、ポリビニルアルコール1.2kg、カルメロースカルシウム1.5kg、結晶セルロース3.5kg、ケイヒ末0.15kg、硬化油1.2kg、ステアリン酸マグネシウム0.2kgを混合機を用いて混合、練合し、次に乾燥機を用いて乾燥し、さらに整粒機を用いて整粒し顆粒を製した。顆粒5.95kgと含水二酸化ケイ素0.04kg、l−メントール0.01kgを混合し外層顆粒6.0kgを得た。
上述の1錠100mgの核錠12000錠と外層顆粒6.0kgをφ11mmのパンチを備えた有核打錠機を用いて打錠し、1錠600mgの有核錠を12000錠製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)薬効成分、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を含有する錠剤(ただし、漢方剤、塩酸グルコサミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シンバスタチン、ポビドンヨード、ピモベンダン、パンテチン、システイン、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩酸メチルエフェドリン、ヨウ化イソプロパミド、ノスカピン、マレイン酸クロルフェニラミン、硝酸チアミン、無水カフェイン、カミツレ、ウワウルシ、ナプロキセンは薬効成分から除く)。
【請求項2】
(B)カルメロース又はその塩が、カルメロースカルシウムである請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
(C)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素である請求項1又は2記載の錠剤。
【請求項4】
第十五改正日本薬局方 「崩壊試験法」 即放性製剤を準拠した方法(試験液:水、液量:1000mL、試験温度:37±2℃)による崩壊時間が30分以内であり、第十五改正日本薬局方 解説書 参考情報 「錠剤の摩損度試験法」に準拠した方法(規定の錠剤量をドラムに入れ100回転させ、試験後、目視で欠け数をカウントする)による摩損度が0である請求項1〜3のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項5】
(B)カルメロース又はその塩の含有量が、1〜20質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項6】
(C)二酸化ケイ素の含有量が、0.1〜10質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項7】
(B)カルメロース又はその塩と(C)二酸化ケイ素との含有質量比((B)/(C))が0.1〜200である請求項1〜6のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項8】
(A)薬効成分が、胃に作用する薬剤である請求項1〜7のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項9】
(A)薬効成分が、消化性潰瘍用剤、健胃剤、消化剤、制酸剤、胃粘膜修復剤及び整腸剤から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜8のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項10】
(A)薬効成分が、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム及び無水リン酸水素カルシウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜8のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項11】
(A)薬効成分を含有する錠剤の製造法であって、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を配合することを特徴とする摩損耐性を有する錠剤の製造法。
【請求項12】
(A)薬効成分を含有する錠剤の製造法であって、(B)カルメロース又はその塩、及び(C)二酸化ケイ素を配合することを特徴とする良好な崩壊性を有し、かつ摩損耐性を有する錠剤の製造法。

【公開番号】特開2009−256349(P2009−256349A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80817(P2009−80817)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】