説明

鍵盤楽器の蓋開閉装置

【課題】 安全に且つスムーズに鍵盤蓋を開閉できる鍵盤楽器の蓋開閉装置を提供する。
【解決手段】 楽器ケース1内に設けられて鍵盤部7を開閉自在に覆う鍵盤蓋10には、この鍵盤蓋10を楽器ケース1の前後方向にガイドするガイド溝部20に沿って移動可能にガイドされるガイド軸部14が設けられており、ガイド溝部20には、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動する際にガイド軸部14が一旦落ち込む第1軌道部23と、鍵盤蓋10が開く方向に移動する際にガイド軸部14をガイドして第1軌道部23の上側を通過させる第2軌道部24とが設けられている。従って、鍵盤蓋10を閉じる際に、ガイド軸部14を鍵盤蓋10の自重で第1軌道部23に一旦落し込んで制動することができる。また、鍵盤蓋10を開く際に、ガイド軸部14を第2軌道部24でガイドして第1軌道部23の上側をスムーズに通過させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノなどの鍵盤楽器の蓋開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子ピアノなどの鍵盤楽器の蓋開閉装置においては、特許文献1に記載されているように、鍵盤部が内部に設けられた楽器ケースに、その鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋をスライド可能に設けた構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−272354号公報
【0004】
この種の蓋開閉装置は、鍵盤蓋の後部にピニオンギアが設けられ、このピニオンギアが噛み合って回転移動するラックギアが楽器ケース内に設けられていると共に、鍵盤蓋の前端下部をガイドするガイド部が楽器ケース内に設けられた構成になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような鍵盤楽器の蓋開閉装置では、鍵盤蓋をスライドさせて鍵盤部を開閉する際に、鍵盤蓋の後部に位置するピニオンギアが楽器ケース内のラックギアによってガイドされると共に、鍵盤蓋の前端下部が楽器ケース内のガイド部によってガイドされることにより、鍵盤蓋を円滑に移動させることができても、鍵盤蓋を閉じる際に、鍵盤蓋の閉じる動作を制御することができないため、手や指を挟んで怪我をする恐れがあり、安全性に問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、安全に且つスムーズに鍵盤蓋を開閉することができる鍵盤楽器の蓋開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、鍵盤部が内部に設けられた楽器ケースと、この楽器ケースにその前後方向にスライド可能に設けられて前記鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋と、この鍵盤蓋を前記楽器ケースの前後方向にガイドするガイド部とを備えた鍵盤楽器の蓋開閉装置において、
前記鍵盤蓋には、前記ガイド部に移動可能にガイドされるガイド移動部が設けられており、前記ガイド部は、前記鍵盤蓋が閉じる方向に移動する際に前記ガイド移動部が一旦落ち込む第1軌道部と、前記鍵盤蓋が開く方向に移動する際に前記ガイド移動部をガイドして前記第1軌道部の上側を通過させる第2軌道部とを備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、鍵盤蓋をスライドさせて鍵盤部を閉じる際に、鍵盤蓋のガイド移動部を鍵盤蓋10の自重でガイド部の第1軌道部に一旦落し込んで制動することができる。このため、鍵盤蓋の閉じる動作を一旦停止させたり、あるいは閉じる速度を極端に遅くしたりすることができるので、鍵盤蓋が勢い良く閉じるのを確実に防ぐことができる。また、鍵盤蓋をスライドさせて鍵盤部を開く際には、鍵盤蓋のガイド移動部をガイド部の第2軌道部でガイドして第1軌道部の上側を通過させることができるので、この第2軌道部でガイド移動部を滑らかにガイドして鍵盤蓋を円滑に開くことができる。これにより、安全に且つスムーズに鍵盤蓋を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1において、鍵盤蓋を閉じた状態を示した断面図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器において、鍵盤蓋を開いた状態を示した断面図である。
【図3】図2に示された鍵盤楽器において、楽器ケースの側板に設けられた前側ガイド部の前部側を示した要部の拡大斜視図である。
【図4】図3に示された前側ガイド部におけるガイド溝部を示した要部の拡大側面図である。
【図5】図4に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を閉じる際に鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込む状態を示した要部の拡大側面図である。
【図6】図5に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部のストッパ部に当接して停止した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図7】図6に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を持ち上げてガイド軸部が第1軌道部のストッパ部を乗り越えた状態を示した要部の拡大側面図である。
【図8】図1に示された蓋開閉装置において、鍵盤部を覆って閉じた状態の鍵盤蓋の前端部を押し上げて、鍵盤蓋を開く状態を示した要部の拡大側面図である。
【図9】図8に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部がガイド溝部に沿って移動して第1、第2の各軌道部に接近した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図10】図9に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく第2軌道部に導かれる状態を示した要部の拡大側面図である。
【図11】図10に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく第2軌道部を通過した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図12】図5に示されたガイド溝部において、鍵盤部を開放させて露出させた状態の鍵盤蓋を持ち上げた状態のままで閉じる際に、ガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく第2軌道部を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図13】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2において、鍵盤蓋のガイド軸部をガイドする前側ガイド部におけるガイド溝部の前部側を示した要部の拡大斜視図である。
【図14】図13に示された前側ガイド部におけるガイド溝部を示した要部の拡大側面図である。
【図15】図14に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を閉じる際に鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込む状態を示した要部の拡大側面図である。
【図16】図15に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が軌道規制部の下側に位置する第1軌道部のストッパ部に当接して停止した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図17】図16に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を持ち上げてガイド軸部が第1軌道部のストッパ部を乗り越えた状態を示した要部の拡大側面図である。
【図18】図13に示されたガイド溝部において、鍵盤部を覆って閉じた状態の鍵盤蓋の前端部を押し上げて、鍵盤蓋を開く状態を示した要部の拡大側面図である。
【図19】図18に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部がガイド溝部に沿って移動して第1、第2の各軌道部に接近した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図20】図19に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく軌道規制部を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図21】図20に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が軌道規制部によって第1軌道部に落ち込むことなく第2軌道部を通過した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図22】図15に示されたガイド溝部において、鍵盤部を開放させて露出させた状態の鍵盤蓋を持ち上げた状態のままで閉じる際に、ガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく軌道規制部によってガイドされて第2軌道部を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図23】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態3において、鍵盤蓋のガイド軸部をガイドする前側ガイド部におけるガイド溝部に設けられる軌道規制部を分解して示した要部の拡大斜視図である。
【図24】図23に示された前側ガイド部におけるガイド溝部を示した要部の拡大側面図である。
【図25】図24に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を閉じる際に鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込む状態を示した要部の拡大側面図である。
【図26】図25に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が軌道規制部の可動板の下側に位置する第1軌道部のストッパ部に当接して停止した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図27】図26に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を持ち上げてガイド軸部が軌道規制部の可動板を押し上げて第1軌道部のストッパ部を乗り越えた状態を示した要部の拡大側面図である。
【図28】図24に示されたガイド溝部において、鍵盤部を覆って閉じた状態の鍵盤蓋の前端部を押し上げて、鍵盤蓋を開く状態を示した要部の拡大側面図である。
【図29】図28に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部がガイド溝部に沿って移動して第1、第2の各軌道部に接近した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図30】図29に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく軌道規制部の可動板上を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図31】図30に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく第2軌道部を通過した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図32】図25に示されたガイド溝部において、鍵盤部を開放させて露出させた状態の鍵盤蓋を持ち上げた状態のままで閉じる際に、ガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく軌道規制部の可動板上を移動して第2軌道部を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図33】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態4において、鍵盤蓋のガイド軸部をガイドする前側ガイド部におけるガイド溝部に設けられる軌道規制部を分解して示した要部の拡大斜視図である。
【図34】図33に示された前側ガイド部におけるガイド溝部を示した要部の拡大側面図である。
【図35】図34に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を閉じる際に鍵盤蓋のガイド軸部が軌道規制部の第2規制部で規制されて第1軌道部に落ち込む状態を示した要部の拡大側面図である。
【図36】図35に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が軌道規制部の第1規制部の下側に位置する第1軌道部のストッパ部に当接して停止した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図37】図36に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋を持ち上げてガイド軸部が軌道規制部の第1規制部を押し上げて第1軌道部のストッパ部を乗り越えた状態を示した要部の拡大側面図である。
【図38】図35に示されたガイド溝部において、鍵盤部を覆って閉じた状態の鍵盤蓋の前端部を押し上げて、鍵盤蓋を開く状態を示した要部の拡大側面図である。
【図39】図38に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部がガイド溝部に沿って移動して第1、第2の各軌道部に接近した状態を示した要部の拡大側面図である。
【図40】図39に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第1軌道部に落ち込むことなく軌道規制部の第1規制部上を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図41】図40に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が軌道規制部の第2規制部を押し倒して第2軌道部を通過する状態を示した要部の拡大側面図である。
【図42】図41に示されたガイド溝部において、鍵盤蓋のガイド軸部が第2軌道部を通過して、第2規制部が第2軌道部を塞いだ状態を示した要部の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、図1〜図12を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器ケース1を備えている。
【0011】
この楽器ケース1は、底板2と、この底板2の前端部(図1では左端部)に起立して設けられた前板3と、底板2の後端部(図1では右端部)に起立して設けられた後板4と、底板2の両端部(図1では紙面の表裏側の端部)に起立して設けられた一対の側板5と、この一対の側板5の前後方向(図1では左右方向)における中間部よりも後側に位置する後側上部と後板4の上部とに設けられた天板6とを備えている。これにより、楽器ケース1は、天板6の前側が上方に開放されたほぼ箱形状に形成されている。
【0012】
この楽器ケース1内には、図1および図2に示すように、鍵盤部7が上方に露出した状態で設けられている。すなわち、この鍵盤部7は、楽器ケース1内の底板2における前部側(図1では左側)に配置された鍵盤シャーシ(図示せず)と、この鍵盤シャーシ上に並列に配列された複数の鍵8とを備えている。この場合、複数の鍵8は、複数の白鍵と複数の黒鍵とからなり、これらが鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に取り付けられ、この状態で楽器ケース1の上方に露出するように構成されている。
【0013】
また、この楽器ケース1には、図1および図2に示すように、鍵盤部7の上側を開閉可能に覆う鍵盤蓋10が前後方向(図1では左右方向)にスライド可能に設けられている。この鍵盤蓋10は、図1に示すように、鍵盤部7の上方に配置されて鍵盤部7を覆って閉じた状態のときに、その後端部(図1では右端部)が楽器ケース1の天板6の前部下側に配置されるように構成されている。
【0014】
また、この鍵盤蓋10は、図2に示すように、鍵盤部7の上方から楽器ケース1の天板6の下側に配置されて鍵盤部7を露出させて開いた状態のときに、その後端部(図2では右端部)が楽器ケース1の天板6における後端部の下側に配置され、且つ前端部(図2では左端部)が楽器ケース1の天板6における前部の下側に配置された状態で、楽器ケース1内に収納されるように構成されている。
【0015】
この場合、鍵盤蓋10の前端部(図1では左端部)には、図1および図2に示すように、取手部12が設けられており、この取手部12の下部には前側支持部13が斜め下側に向けて設けられている。この前側支持部13の両側に位置する各下端部には、楽器ケース1の側板5の内面に向けて突出した状態で、一対のガイド軸部14がそれぞれ取り付けられている。このガイド軸部14は、図示しないが、前側支持部13の下端部から側板5に向けて突出して設けられた軸に円形状のキャップを設けた構成になっている。
【0016】
また、鍵盤蓋10の後端部には、図1および図2に示すように、後側金具15が下側に突出して設けられており、この後側金具15には、1本のシャフト16が回転可能に取り付けられている。このシャフト16の両端部には、それぞれピニオンギア17がシャフト16と共に回転するように取り付けられている。
【0017】
この鍵盤蓋10の蓋開閉装置11は、図1および図2に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14をガイドする前側ガイド部18と、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16およびピニオンギア17をガイドする後側ガイド部19とを備えている。
【0018】
前側ガイド部18は、図1および図2に示すように、楽器ケース1の側板5の内面にその前端部から前後方向における中間部、つまり天板6の前端部の下側に位置する側板5の中間部に亘って嵌め込まれたガイド板である。この前側ガイド部18には、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14をガイドするためのガイド溝部20が、前板3の上端部から鍵盤部7の上側に沿って緩やかに傾斜した状態で設けられている。
【0019】
後側ガイド部19は、図1および図2に示すように、楽器ケース1の側板5の内面にその前後方向における中間部付近、つまり天板6の前部の下側に位置する中間部から天板6の後端部の下側に位置する箇所に亘って設けられている。この後側ガイド部19は、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16をガイドする軸ガイド溝部21と、鍵盤蓋10のシャフト16に取り付けられたピニオンギア17が噛み合って回転移動するラックギア22とを備え、これらが後方に向けて斜め下側に緩やかに傾斜した状態で設けられた構成になっている。
【0020】
これにより、蓋開閉装置11は、図1に示すように、鍵盤蓋10が鍵盤部7の上方に配置されて鍵盤部7を覆って閉じた状態のときに、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の前端部に位置し、且つ鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21の前端部に位置すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22の前端部に位置し、この状態で鍵盤蓋10が鍵盤部7を覆うように構成されている。
【0021】
また、この蓋開閉装置11は、図1および図2に示すように、鍵盤蓋10が前後方向に移動して鍵盤部7を開閉する際に、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20に沿って移動し、且つ鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21に沿って移動すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態で回転移動するように構成されている。
【0022】
さらに、この蓋開閉装置11は、図2に示すように、鍵盤蓋10が鍵盤部7の上方から楽器ケース1の天板6の下側に配置されて鍵盤部7を露出させて開いた状態のときに、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の後端部に位置し、且つ鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21の後端部に位置すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22の後端部に位置し、この状態で鍵盤蓋10が楽器ケース1内に収納され、鍵盤部7を上側に開放するように構成されている。
【0023】
ところで、この蓋開閉装置11における前側ガイド部18には、図1〜図4に示すように、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動する際に鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が一旦落ち込む第1軌道部23と、鍵盤蓋10が開く方向に移動する際に鍵盤蓋10のガイド軸部14をガイドして第1軌道部23の上側を通過させる第2軌道部24とを備えている。
【0024】
第1軌道部23は、図3および図4に示すように、前側ガイド部18のガイド溝部20における前部、つまり前板3の上端部から立ち上り、この立ち上がった上部から後方に向けて緩やかに上昇を開始した傾斜部分に位置し、この箇所におけるガイド溝部20内の底面が落ち込んだ形状に形成されている。
【0025】
すなわち、この第1軌道部23は、図4に示すように、その後部(図4では右側)から前側(図4では左側)に向けてガイド溝部20内の底面が急な傾斜で落ち込むように形成された落ち込み部23aと、この落ち込み部23aの下部がほぼ平坦に形成されたランニング部23bと、このランニング部23bの前部(図4では左側部)に立ち上がって形成されたストッパ部23cとを有している。
【0026】
これにより、第1軌道部23は、図5〜図7に示すように、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動して鍵盤蓋10のガイド軸部14が第1軌道部23に到達すると、鍵盤蓋10の自重によってガイド軸部14が落ち込み部23aに沿って落ち込んでランニング部23b上を移動した上、ストッパ部23cに当接して一旦停止し、この状態で鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げて前側(図7では左側)に向けて引くことにより、ガイド軸部14がストッパ部23cを乗り越えて再びガイド溝部20に沿って前側に向けて移動するように構成されている。
【0027】
また、第2軌道部24は、図3および図4に示すように、前側ガイド部18のガイド溝部20における第1軌道部23の上側に位置する箇所に、ガイド溝部20内の上面に沿って連続する状態で形成されている。すなわち、この第2軌道部23は、図4に示すように、その後部(図4では右側)から前側(図4では左側)に向けてガイド溝部20内の上面に沿って連続することにより、ガイド溝部20内における第1軌道部23の上方に位置した状態で設けられている。
【0028】
これにより、第2軌道部24は、図8〜図11に示すように、鍵盤蓋10が閉じた状態で鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら開く方向に移動する際に、鍵盤蓋10のガイド軸部14がガイド溝部20内の上面に沿って移動しながら、第2軌道部24に到達すると、この第2軌道部24の上面に沿ってガイド軸部14が滑らかに移動することにより、ガイド軸部14が第1軌道部23に落ち込むことなく、第1軌道部23の上方を通過するように構成されている。
【0029】
次に、このような鍵盤蓋10の蓋開閉装置11の作用について説明する。
まず、鍵盤蓋10が完全に開いている状態から鍵盤蓋10を閉じる場合について説明する。このときには、図2に示すように、鍵盤蓋10が楽器ケース1の天板6の下側に配置され、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の後端部に位置し、且つ鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21の後端部に位置すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22の後端部に位置している。この状態では、鍵盤蓋10が楽器ケース1内に収納され、鍵盤部7が上側に開放されている。
【0030】
この状態で、鍵盤蓋10の取手部12を手前側に引くと、図2に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の後端部から前側(図2では左側)に向けて移動し、且つ鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部から前側(図2では左側)に向けて移動すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部から前側(図2では左側)に向けて回転移動する。
【0031】
このときには、前側ガイド部18のガイド溝部20が前下がり(図2では左下り)に緩やかに傾斜しているが、後側ガイド部19の軸ガイド溝部21とラックギア22とが前上がり(図2では左上がり)に緩やかに傾斜しているため、鍵盤蓋10の重量が主にピニオンギア17を介してラックギア22に加わる。このため、鍵盤蓋10の取手部12を手前側に引く際には、その引き始めが重いが、鍵盤蓋10が半分程度の長さ引き出されると、鍵盤蓋10の重量がガイド軸部14とピニオンギア17とを介してガイド溝部20とラックギア22とにほぼ均等に加わる。
【0032】
この状態で、更に鍵盤蓋10が引き出されると、今度は、鍵盤蓋10の重量がガイド軸部14を介してガイド溝部20に重く加わる。このため、鍵盤蓋10を引き出す力が徐々に軽くなると共に、鍵盤蓋10の引き出し速度が徐々に速くなり、鍵盤蓋10が勢いよく、閉じる方向(図2では左側)に向けて移動する。
【0033】
そして、鍵盤蓋10の前端部が鍵盤部7の前部に移動し、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の後部側(図5では右側)に接近し、この状態で更に前側(図5では左側)に移動すると、図5に示すように、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の自重によって第1軌道部23内に落ち込む。
【0034】
すなわち、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前(図2では右側)に接近した状態で、更に前側に移動するときには、図5に示すように、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の重量によって押し下げられるので、このガイド軸部14がガイド溝部20の底面に連続する第1軌道部23の落ち込み部23aに沿って第1軌道部23内に落ち込む。
【0035】
すると、ガイド軸部14は、図5および図6に示すように、第1軌道部23のランニング部23bに沿って移動した後、第1軌道部23のストッパ部23cに当接する。これにより、ガイド軸部14の移動が停止すると共に、鍵盤蓋10が完全に閉じる前の状態で、鍵盤蓋10の閉じる方向への移動が停止する。
【0036】
この状態で、図7に示すように、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げると、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越えるので、ガイド軸部14が第1軌道部23の前側に位置するガイド溝部20に戻り、このガイド溝部20に沿って移動する。これにより、図1に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部に位置すると共に、鍵盤蓋10が鍵盤部7を覆って完全に閉じる。
【0037】
次に、鍵盤部7を覆って閉じた状態の鍵盤蓋10を開く場合につて説明する。
このときには、図8に示すように、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図8では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部から上方に移動する。そして、図9に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の前部側(図9では左側)に接近する。
【0038】
この状態で更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図9では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。すなわち、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前に到達した状態で、更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図9では右側)に向けて移動させる際には、図10に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20内の上面に沿って移動するため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことがなく、第2軌道部24内を移動する。
【0039】
この状態で、更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図9では右側)に向けて移動させると、図11に示すように、ガイド軸部14が第2軌道部24の上面に沿って移動する。このため、ガイド軸部14が第1軌道部23に落ち込むことがなく、ガイド軸部14が第2軌道部24でガイドされながら第1軌道部23の上方を通過して、その後方(図11では右側)に位置するガイド溝部20内に戻る。
【0040】
この後、図2に示すように、ガイド軸部14はガイド溝部20でガイドされながらガイド溝部20の後端部に移動すると共に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部に移動し、且つシャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部に回転移動する。これにより、鍵盤蓋10が楽器ケース1の天板6の下側に配置されて開き、鍵盤部7を開放する。
【0041】
ところで、楽器ケース1内に収納されている鍵盤蓋10を引き出して閉じる際に、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げた状態のままで引き出して鍵盤蓋10を閉じる場合には、図12に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20でガイドされて第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の後部側(図12では右側)に接近した状態で、更に前側に移動すると、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。
【0042】
すなわち、ガイド軸部14が第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近して、図12に示すように、更に前側(図12では左側)に移動する際には、鍵盤蓋10の取手部12が持ち上げられているため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ちこむことがなく、第2軌道部24内に導かれ、この第2軌道部24によってガイドされる。このため、ガイド軸部14が円滑にガイドされるので、鍵盤蓋10がスムーズに移動して鍵盤部7を覆って閉じる。
【0043】
このように、この鍵盤楽器の蓋開閉装置11によれば、楽器ケース1にその前後方向にスライド可能に設けられて鍵盤部7を開閉自在に覆う鍵盤蓋10に、この鍵盤蓋10を楽器ケース1の前後方向にガイドする前側ガイド部18のガイド溝部20によってガイドされるガイド軸部14が設けられており、ガイド溝部20には、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動する際にガイド軸部14が一旦落ち込む第1軌道部23と、鍵盤蓋10が開く方向に移動する際にガイド軸部14をガイドして第1軌道部23の上側を通過させる第2軌道部24とが設けられているので、鍵盤蓋10を安全に且つスムーズに開閉することができる。
【0044】
すなわち、この鍵盤楽器の蓋開閉装置11では、鍵盤部7を露出させて開いている状態の鍵盤蓋10をスライドさせて鍵盤部7を閉じる際に、鍵盤蓋10のガイド軸部14を鍵盤蓋10の自重でガイド溝部20の第1軌道部23に一旦落し込んで制動することができる。このため、鍵盤蓋10の閉じる動作を一旦停止させることができるので、鍵盤蓋10が勢い良く閉じるのを防ぐことができ、これにより鍵盤蓋10を閉じる際に、手や指を挟んで怪我をすることがなく、安全に鍵盤蓋10を閉じることができる。
【0045】
この場合、この蓋開閉装置11では、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動し、ガイド軸部14がガイド溝部20に沿って移動して第1軌道部23と第2軌道部24とに接近し、この状態で更にガイド軸部14が前側に移動する際に、ガイド軸部14がガイド溝部20内の底面に沿って移動するので、鍵盤蓋10の自重によってガイド軸部14を第1軌道部23の落ち込み部23aに沿って移動させて第1軌道部23内に確実に落とし込むことができ、この落ち込んだガイド軸部14を第1軌道部23のストッパ部23cで一旦停止させることができる。
【0046】
また、この鍵盤楽器の蓋開閉装置11では、鍵盤部7を覆っている鍵盤蓋10をスライドさせて開く際に、鍵盤蓋10のガイド軸部14をガイド溝部20の第2軌道部24でガイドして第1軌道部23の上側を通過させることができるので、この第2軌道部24でガイド軸部14を滑らかにガイドして鍵盤蓋10を円滑に開くことができる。これにより、鍵盤蓋10をスムーズに開くことができる。
【0047】
すなわち、鍵盤蓋10を開く際には、鍵盤蓋10の前端部が持ち上げられながらガイド軸部14がガイド溝部20に沿って移動して第1軌道部23と第2軌道部24とに接近し、この状態で更にガイド軸部14が後側に移動すると、鍵盤蓋10が持ち上げられているので、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことなく、ガイド軸部14を第2軌道部24内に導くことができると共に、この第2軌道部24によってガイド軸部14を滑らかにガイドしてその後方に位置するガイド溝部20にスムーズに導くことができる。
【0048】
さらに、この蓋開閉装置11によれば、開いた状態の鍵盤蓋10の前端部を持ち上げた状態のままで引き出して鍵盤蓋10を閉じる際に、鍵盤蓋10が持ち上げられているため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ちこむことがなく、ガイド軸部14を第2軌道部24内に導いて滑らかにガイドすることができる。このため、第2軌道部24によってガイド軸部14を円滑にガイドすることができるので、鍵盤蓋10をスムーズに移動させて閉じることができる。
【0049】
(実施形態2)
次に、図13〜図22を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図12に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図13および図14に示すように、ガイド軸部14をガイドするガイド溝部20の軌道を、第1軌道部23と第2軌道部24とのいずれかに規制するための軌道規制部27を備えた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0050】
この軌道規制部27は、図13および図14に示すように、ガイド溝部20における第1軌道部23と第2軌道部24との間に設けられている。この軌道規制部27は、その上面が平坦面をなし、下面側が第1軌道部23に沿う形状に形成されている。すなわち、この軌道規制部27は、その上面が第2軌道部24の上面と平行な状態で対応する平坦面に形成され、下面が第1軌道部23の落ち込み部23a、ランニング部23b、ストッパ部23cにそれぞれ平行な状態で対応する屈曲面に形成されている。
【0051】
これにより、軌道規制部27は、図15〜図17に示すように、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動して鍵盤蓋10のガイド軸部14が第1軌道部23に接近すると、鍵盤蓋10の自重によってガイド軸部14を第1軌道部23の落ち込み部23aに沿って落し込ませて、第1軌道部23のランニング部23b上を移動させた上、第1軌道部23のストッパ部23cに当接させて一旦停止させるように構成されている。
【0052】
また、この軌道規制部27は、図18〜図21に示すように、鍵盤蓋10が閉じた状態で鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら開く方向に移動する際に、鍵盤蓋10のガイド軸部14が第2軌道部24に接近すると、ガイド軸部14を第1軌道部23内に落とし込むことなく、第1軌道部23の上方を通過させるように、ガイド軸部14を第2軌道部24に導き、この第2軌道部24内に沿って滑らかに移動させるように構成されている。
【0053】
さらに、この軌道規制部27は、図22に示すように、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動する際に、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら移動させると、鍵盤蓋10のガイド軸部14が第1軌道部23に接近しても、ガイド軸部14を第1軌道部23内に落し込むことなく、第1軌道部23の上側に位置する第2軌道部24に導き、この第2軌道部24内でガイド軸部14を滑らかに移動させるように構成されている。
【0054】
次に、この実施形態2における鍵盤楽器の蓋開閉装置11の作用について説明する。
まず、鍵盤蓋10が完全に開いている状態から鍵盤蓋10を閉じる場合について説明する。このときには、鍵盤蓋10の取手部12を手前側に引くと、実施形態1と同様、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の後端部から前側に向けて移動する。
【0055】
これと同時に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部から前側に向けて移動すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部から前側に向けて回転移動する。
【0056】
そして、鍵盤蓋10の前端部が鍵盤部7の前部に移動し、図15に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の後部側(図15では右側)に接近し、この状態で更に前側(図15では左側)に移動すると、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の自重によって第1軌道部23内に落ち込む。
【0057】
すなわち、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近した状態で、更に前側に移動するときには、図15に示すように、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の重量によって押し下げられるので、実施形態1と同様、このガイド軸部14がガイド溝部20の底面に連続する第1軌道部23の落ち込み部23aに沿って第1軌道部23と軌道規制部27との間に落ち込む。
【0058】
すると、ガイド軸部14は、図16に示すように、第1軌道部23のランニング部23bに沿って移動した後、第1軌道部23のストッパ部23cに当接する。これにより、ガイド軸部14が軌道規制部27の下側に位置した状態で、ガイド軸部14の移動が停止すると共に、鍵盤蓋10が完全に閉じる前の状態で、鍵盤蓋10の閉じる方向への移動が停止する。
【0059】
この状態で、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げると、図17に示すように、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越えて軌道規制部27の上側に位置するので、ガイド軸部14が第1軌道部23の前側に位置するガイド溝部20に戻り、このガイド溝部20に沿って移動する。これにより、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部に位置すると共に、鍵盤蓋10が図1に示すように鍵盤部7を覆って完全に閉まる。
【0060】
次に、鍵盤部7を覆って閉じた状態の鍵盤蓋10を開く場合につて説明する。
このときには、図18に示すように、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図18では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部から上方に移動する。そして、図19に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の後部側(図19では左側)に接近し、この状態で更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図19では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。
【0061】
すなわち、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近した状態で、更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図19では左側)に向けて移動させる際には、図20に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20内の上面に沿って移動する。このため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことがなく、ガイド軸部14が第2軌道部24と軌道規制部27との間に挿入する。
【0062】
この状態で、更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図20では右側)に向けて移動させると、図21に示すように、ガイド軸部14が第2軌道部24の上面に沿って移動する。このため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことがなく、ガイド軸部14が第2軌道部24と軌道規制部27とでガイドされながら第1軌道部23の上方を通過して、その後方(図21では右側)に位置するガイド溝部20内に戻る。
【0063】
この後は、実施形態1と同様、ガイド軸部14がガイド溝部20でガイドされながらガイド溝部20の後端部に移動すると共に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部に移動し、且つシャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部に回転移動する。これにより、鍵盤蓋10が楽器ケース1の天板6の下側に配置されて開き、鍵盤部7を開放する。
【0064】
ところで、楽器ケース1内に収納されている鍵盤蓋10を引き出して閉じる際に、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げた状態のままで引き出して鍵盤蓋10を閉じる場合には、図22に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20でガイドされて第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近し、この状態で更に前側に移動すると、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。
【0065】
すなわち、ガイド軸部14が第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近して、更に前側に移動する際には、図22に示すように、鍵盤蓋10の取手部12が持ち上げられているため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ちこむことがなく、ガイド軸部14が第2軌道部24と軌道規制部27との間に導かれ、この第2軌道部24と軌道規制部27とによってガイドされる。このため、ガイド軸部14が円滑にガイドされるので、鍵盤蓋10がスムーズに移動して鍵盤部7を覆って閉じる。
【0066】
このように、この実施形態2における鍵盤楽器の蓋開閉装置11においても、実施形態1と同様の作用効果があるほか、鍵盤蓋10のガイド軸部14が移動するガイド溝部20の軌道を、第1軌道部23と第2軌道部24とのいずれかに規制するための軌道規制部27を備えているので、鍵盤蓋10を開閉する際に、軌道規制部27によってガイド軸部14を第1軌道部23と第2軌道部24とのいずれかに確実に導くことができ、これにより鍵盤蓋10を良好に開閉させることができる。
【0067】
すなわち、この実施形態2の蓋開閉装置11では、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動し、ガイド軸部14がガイド溝部20に沿って移動して第1軌道部23と第2軌道部24との前部に接近し、この状態で更にガイド軸部14が前側に移動する際に、鍵盤蓋10の自重によってガイド軸部14が少しでも第1軌道部23に落ち込むと、そのガイド軸部14が前側に移動しても軌道規制部27の後端部に当接するので、この軌道規制部27によって確実にガイド軸部14を第1軌道部23内に導くことができる。
【0068】
また、この蓋開閉装置11では、鍵盤蓋10の前端部が持ち上げられながら鍵盤蓋10が開く方向に移動し、ガイド軸部14がガイド溝部20に沿って移動して第1軌道部23と第2軌道部24との前部に接近し、この状態で更にガイド軸部14が後側に移動する際に、鍵盤蓋10が持ち上げられているので、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことなく、第2軌道部24に導くことができると共に、この第2軌道部24に導かれた状態で、鍵盤蓋10を持ち上げている持上げ力が低下しても、軌道規制部27によってガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むのを確実に防ぐことができる。
【0069】
さらに、この蓋開閉装置11によれば、開いた状態の鍵盤蓋10を持ち上げた状態のままで引き出して鍵盤蓋10を閉じる際に、鍵盤蓋10が持ち上げられているため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ちこむことがなく、ガイド軸部14を第2軌道部24と軌道規制部27との間に導いて滑らかにガイドすることができる。
【0070】
このときに、仮に、鍵盤蓋10を持ち上げている持上げ力が低下しても、軌道規制部27によってガイド軸部14が第1軌道部23に落ち込むのを確実に防ぐことができる。このため、第2軌道部24と軌道規制部27とによってガイド軸部14を円滑にガイドすることができるので、鍵盤蓋10をスムーズに移動させて閉じることができる。
【0071】
(実施形態3)
次に、図23〜図32を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図12に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図23および図24に示すように、ガイド軸部14をガイドするためのガイド溝部20の軌道を、第1軌道部23と第2軌道部24とのいずれかに切り替えて規制するための軌道規制部30が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0072】
この軌道規制部30は、図23および図24に示すように、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を開閉可能に塞ぐ可動板31と、この可動板31を支持して可動板31と共に回転する回転軸32と、この回転軸32を回転自在に支持する支持部材33と、可動板31が第1軌道部23の出口を塞ぐように可動板31を付勢するための付勢部材34とを備えている。
【0073】
この場合、可動板31は、図23に示すように、第1軌道部23と第2軌道部24との間で、且つ第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側に開閉可能に配置されている。回転軸32は、図24に示すように、一端部が第1軌道部23と第2軌道部24との間におけるほぼ中間部に配置され、この一端部に可動板31が取り付けられて可動板31と共に回転するように構成されている。
【0074】
また、この回転軸32は、図23および図24に示すように、その他端部が前側ガイド部18の挿入孔18aを通り抜けて楽器ケース1の側板5中に突出し、突出した他端部が支持部材33に回転自在に取り付けられるように構成されている。この場合、回転軸32は、その他端部に小径の取付部32aが設けられ、この小径の取付部32aに付勢部材34が取り付けられるように構成されている。
【0075】
支持部材33は、図24に示すように、上板33aと下板33bとを備え、楽器ケース1の側板5中に配置されている。この場合、上板33aには、回転軸32を回転可能に保持する軸取付溝33cが設けられている。これにより、支持部材33は、上板33aの軸取付溝33c内に、付勢部材34が取り付けられた回転軸32の他端部を配置した状態で、上板33aが下板33b上にビス止めによって取り付けられ、この下板33bが側板5中に取り付けられるように構成されている。
【0076】
また、付勢部材34は、図24に示すように、コイルばねからなり、回転軸32の取付部32aの外周に巻き付けられ、この状態でコイルばねの一端部34aが回転軸32の係止穴32bに係止され、コイルばねの他端部34bが支持部材33の下板33bの係止孔33dに係止され、これにより回転軸32を図23において反時計回りに回転させる方向に付勢するように構成されている。
【0077】
すなわち、この付勢部材34は、回転軸32を図23において反時計回りに回転させて、この回転軸32に取り付けられた可動板31を図23において時計回りに回転させることにより、この可動板31が第1軌道部23の出口、つまり第1軌道部23のストッパ部23cの上側を開閉可能に塞ぐように構成されている。
【0078】
次に、この実施形態3における鍵盤楽器の蓋開閉装置11の作用について説明する。
まず、鍵盤蓋10が完全に開いている状態から鍵盤蓋10を閉じる場合について説明する。このときには、鍵盤蓋10の取手部12を手前側に引くと、実施形態1と同様、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の後端部から前側に向けて移動する。
【0079】
これと同時に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部から前側に向けて移動すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部から前側に向けて回転移動する。
【0080】
そして、鍵盤蓋10の前端部が鍵盤部7の前部に移動し、図25に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の後部側(図25では右側)に接近し、この状態で更に前側(図25では左側)に移動すると、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の自重によって第1軌道部23内に落ち込む。
【0081】
すなわち、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近した状態で、更に前側に移動するときには、図25に示すように、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の重量によって押し下げられるので、実施形態1と同様、このガイド軸部14がガイド溝部20の底面に連続する第1軌道部23の落ち込み部23aに沿って第1軌道部23内に落ち込む。
【0082】
すると、ガイド軸部14は、図26に示すように、第1軌道部23のランニング部23bに沿って移動した後、第1軌道部23のストッパ部23cに当接する。これにより、ガイド軸部14が軌道規制部30の可動板31の下側に位置した状態で、実施形態1と同様、ガイド軸部14の移動が停止すると共に、鍵盤蓋10が完全に閉じる前の状態で、鍵盤蓋10の閉じる方向への移動が停止する。
【0083】
この状態で、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げると、図27に示すように、ガイド軸部14が軌道規制部30の付勢部材34の付勢力に抗して可動板31を押し上げる。すると、可動板31が回転軸32を中心に時計回りに回転し、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側が開放される。これにより、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越え、図27に示すように、ガイド軸部14が第1軌道部23の前側に位置するガイド溝部20に戻る。
【0084】
このように、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越えて第1軌道部23の前側に位置するガイド溝部20に戻ると、軌道規制部30の付勢部材34の付勢力によって可動板31が回転軸32を中心に反時計回りに回転し、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側を再び塞ぐ。このときには、ガイド軸部14がガイド溝部20に沿って移動するので、実施形態1と同様、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部に位置すると共に、鍵盤蓋10が鍵盤部7を覆って完全に閉じる。
【0085】
次に、鍵盤部7を覆って閉じた状態の鍵盤蓋10を開く場合につて説明する。
このときには、図28に示すように、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図28では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部から上方に移動する。そして、図29に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近し、この状態で更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図29では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。
【0086】
すなわち、このときには、軌道規制部30の付勢部材34の付勢力によって可動板31が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側を塞いでいるので、図30に示すように、可動板31上をガイド軸部14が移動する。このため、ガイド軸部14は第1軌道部23内に落ち込むことがなく、第2軌道部24内を移動する。
【0087】
この状態で、更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図31では左側)に向けて移動させると、図31に示すように、ガイド軸部14が第2軌道部24の上面に沿って移動する。このため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことがなく、ガイド軸部14が第2軌道部24でガイドされながら第1軌道部23の上方を通過して、その後方(図31では右側)に位置するガイド溝部20内に戻る。
【0088】
この後は、実施形態1と同様、ガイド軸部14はガイド溝部20でガイドされながらガイド溝部20の後端部に移動すると共に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部に移動し、且つシャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部に回転移動する。これにより、鍵盤蓋10が楽器ケース1の天板6の下側に配置されて開き、鍵盤部7を開放する。
【0089】
ところで、楽器ケース1内に収納されている鍵盤蓋10を引き出して閉じる際に、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げた状態のままで引き出して鍵盤蓋10を閉じる場合には、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20でガイドされて、第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近し、この状態で更に前側に移動すると、図32に示すように、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。
【0090】
すなわち、ガイド軸部14が第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近して、更に前側に移動する際には、図32に示すように、鍵盤蓋10の取手部12が持ち上げられているため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ちこむことがなく、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれ、軌道規制部30の可動居た31上を移動しながら第2軌道部24に沿ってガイドされる。
【0091】
このときにも、軌道規制部30の付勢部材34の付勢力によって可動板31が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側を塞いでいるので、この可動板31上をガイド軸部14が移動する。このため、ガイド軸部14は第1軌道部23の出口であるストッパ部23cに対応する箇所に落ち込むことがなく、第2軌道部24内を移動し、第2軌道部24の前側に位置するガイド溝部20に戻る。これにより、ガイド軸部14が円滑にガイドされるので、鍵盤蓋10がスムーズに移動して鍵盤部7を覆って閉じる。
【0092】
このように、この実施形態3における鍵盤楽器の蓋開閉装置11においても、実施形態1と同様の作用効果があるほか、軌道規制部30が、鍵盤蓋10を開く際に第1軌道部23を塞いでガイド軸部14を第2軌道部24内に導くと共に、鍵盤蓋10を閉じる際にガイド軸部14によって第1軌道部23を開放する構成であることにより、実施形態1よりも、確実に且つ良好に鍵盤蓋10を安全に且つスムーズに開閉させることができる。
【0093】
すなわち、この実施形態3の蓋開閉装置11では、鍵盤蓋10を開く際に軌道規制部30が第1軌道部23を塞いでいるので、ガイド軸部14が第1軌道部23に落ち込むことがなく、ガイド軸部14を第2軌道部24に確実に且つ円滑に導くことができ、また鍵盤蓋10を閉じる際にガイド軸部14が第1軌道部23に落ち込んでストッパ部23cで一旦停止し、この状態で鍵盤蓋10を持ち上がると、ガイド軸部14によって軌道規制部30が第1軌道部23を開放するので、ガイド軸部14がストッパ部23cを良好に乗り越えて鍵盤蓋10を円滑に且つ良好に閉じることができる。
【0094】
この場合、実施形態3の蓋開閉装置11は、軌道規制部30が、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を開閉可能に塞ぐ可動板31と、この可動板31を支持して可動板31と共に回転する回転軸32と、この回転軸32を回転自在に支持する支持部材33と、可動板31が第1軌道部23の出口を塞ぐように可動板31を付勢するための付勢部材34とを備えているので、付勢部材34の付勢力によって可動板31が回転軸32と共に回転し、この可動板31によって第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を開閉可能に塞ぐことができ、これにより鍵盤蓋10を開く際に、ガイド軸部14を可動板31によって第2軌道部24に確実に且つ円滑に導くことができる。
【0095】
また、鍵盤蓋10を閉じる際には、ガイド軸部14が第1軌道部23に落ち込んでストッパ部23cで一旦停止し、この状態で鍵盤蓋10を持ち上がると、ガイド軸部14が付勢部材34の付勢力に抗して回転軸32を中心に可動板31を回転させることができるので、可動板31が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を開放させることができ、これによりガイド軸部14がストッパ部23cを良好に乗り越えて鍵盤蓋10を円滑に且つ良好に閉じることができる。
【0096】
さらに、この実施形態3の蓋開閉装置11では、開いた状態の鍵盤蓋10を持ち上げた状態のままで引き出して鍵盤蓋10を閉じる際に、鍵盤蓋10が持ち上げられていることにより、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ちこむことがなく、ガイド軸部14を第2軌道部24内に導いて滑らかにガイドすることができると共に、可動板31が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を塞いでいるので、第2軌道部24に導かれたガイド軸部14を第2軌道部24によって円滑に且つスムーズにガイドすることができ、これにより鍵盤蓋10をスムーズに移動させて閉じることができる。
【0097】
(実施形態4)
次に、図33〜図42を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態4について説明する。この場合には、図23〜図32に示された実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図33および図34に示すように、ガイド軸部14をガイドするためのガイド溝部20の軌道を、第1軌道部23と第2軌道部24とのいずれかに切り替えて規制するための軌道規制部40が実施形態2と異なる構成であり、これ以外は実施形態3とほぼ同じ構成になっている。
【0098】
すなわち、この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、鍵盤蓋10が開く際に第1軌道部23を塞いでガイド軸部14を第2軌道部24に導く第1規制部41と、鍵盤蓋10が閉じる際に第2軌道部24を塞いでガイド軸部14を第1軌道部23に導く第2規制部42とを備えている。この場合、軌道規制部40は、第1規制部41と第2規制部42がそれぞれ可動する可動板であり、これ以外は実施形態3とほぼ同じ構成になっている。
【0099】
この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を開閉可能に塞ぐ第1規制部41と、第2軌道部24の出口である第1軌道部23の落ち込み部23aに対応する箇所を開閉可能に塞ぐ第2規制部42と、第1、第2の各規制部41、42を一体的に支持して回転する回転軸32と、この回転軸32を回転自在に支持する支持部材33と、第1、第2の各規制部41、40が第1、第2の各軌道部23、24の各出口をそれぞれ塞ぐ方向に向けて回転軸32が回転するように付勢する付勢部材34とを備えている。
【0100】
これにより、軌道規制部40は、図33および図34に示すように、付勢部材34の付勢力によって回転軸32が図33において反時計回りに回転する方向に付勢されていることにより、第1規制部41が第1軌道部23の出口、つまり第1軌道部23のストッパ部23cの上側を塞いで第2軌道部24の入口を開放すると共に、第2規制部42が第2軌道部24の出口、つまり第1軌道部23の落ち込み部23aの上側に位置する箇所の第2軌道部24を塞いで第1軌道部24の入口を開放するように構成されている。
【0101】
また、この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、鍵盤蓋10が閉じる方向に移動してガイド軸部14が第1、第2の各軌道部23、24の手前側に接近した際に、第2軌道部24を塞いでいる第2規制部42によってガイド軸部14を第1軌道部23内に導くように構成されている。
【0102】
また、この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、ガイド軸部14が第1軌道部23に導かれてストッパ部23cに当接して停止されている状態で、鍵盤蓋10が持ち上げられると、ガイド軸部14が付勢部材34の付勢力に抗して第1規制部41を押し上げて第2規制部42と共に回転させることにより、第1軌道部23の出口を開くように構成されている。
【0103】
さらに、この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、ガイド軸部14が第1規制部41を第2規制部42と共に回転させて第1軌道部23の出口を開きながら第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越えた際に、付勢部材34の付勢力によって第1、第2の各規制部41、42が回転軸32を中心に回転し、第1規制部41が第1軌道部23の出口を塞ぐと共に、第2規制部42が第2軌道部24の出口を塞ぐように構成されている。
【0104】
また、この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、鍵盤蓋10を開く方向に移動させてガイド軸部14が第1、第2の各軌道部23、24の手前側に接近した際に、第1軌道部23を塞いでいる第1規制部41上を移動することにより、ガイド軸部14を第2軌道部24内に導き、このガイド軸部14が第2軌道部24を通過し終わるときに、ガイド軸部14が付勢部材34の付勢力に抗して第2規制部42を押し倒して第1規制部41と共に回転させて、第2軌道部24の出口を開くように構成されている。
【0105】
さらにまた、この軌道規制部40は、図33および図34に示すように、ガイド軸部14が第2規制部42を押し倒して第1規制部41と共に回転させて第2軌道部24の出口を開きながら第2軌道部2を通過した際に、付勢部材34の付勢力によって第1、第2の各規制部41、42が回転軸32を中心に反時計回りに回転し、第1規制部41が第1軌道部23の出口を塞ぐと共に、第2規制部42が第2軌道部24の出口を塞ぐように構成されている。
【0106】
次に、この実施形態4における鍵盤楽器の蓋開閉装置11の作用について説明する。
まず、鍵盤蓋10が完全に開いている状態から鍵盤蓋10を閉じる場合について説明する。このときには、鍵盤蓋10の取手部12を手前側に引くと、実施形態1と同様、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14が前側ガイド部18のガイド溝部20の後端部から前側に向けて移動する。
【0107】
これと同時に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部から前側に向けて移動すると共に、シャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部から前側に向けて回転移動する。
【0108】
そして、鍵盤蓋10の前端部が鍵盤部7の前部に移動し、図35に示すように、鍵盤蓋10の前端部に位置するガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前、つまり第1、第2の各軌道部23、24の後部側(図35では右側)に接近し、この状態で更に前側に移動すると、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の自重によって第1軌道部23内に落ち込む。
【0109】
すなわち、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前に接近した状態で、更に前側に移動するときには、図35に示すように、第2軌道部24の出口が第2規制部42によって塞がれていると共に、ガイド軸部14が鍵盤蓋10の重量によって押し下げられるので、実施形態3と同様、このガイド軸部14がガイド溝部20の底面に連続する第1軌道部23の落ち込み部23aに沿って第1軌道部23内に落ち込む。
【0110】
すると、ガイド軸部14は、図36に示すように、第1軌道部23のランニング部23bに沿って移動した後、第1軌道部23のストッパ部23cに当接する。これにより、軌道規制部40の第1規制部41の下側に位置した状態で、実施形態3と同様、ガイド軸部14の移動が停止すると共に、鍵盤蓋10が完全に閉じる前の状態で、鍵盤蓋10の閉じる方向への移動が停止する。
【0111】
この状態で、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げると、図37に示すように、ガイド軸部14が軌道規制部40の付勢部材34の付勢力に抗して第1規制部41を押し上げる。すると、第1規制部41が第2規制部42と共に回転軸32を中心に時計回りに回転し、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側を開放する。これにより、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越え、図37に示すように、ガイド軸部14が第1軌道部23の前側(図37では左側)に位置するガイド溝部20に戻る。
【0112】
このように、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cを乗り越えて第1軌道部23の前側に位置するガイド溝部20に戻ると、軌道規制部40の付勢部材34の付勢力によって第1、第2の各規制部41、42が回転軸32を中心に反時計回りに回転し、第1規制部41が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側を再び塞ぐと共に、第2規制部42が第2軌道部24の出口を塞ぐ。このときには、ガイド軸部14がガイド溝部20に沿って更に移動するので、実施形態1と同様、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部に位置すると共に、鍵盤蓋10が鍵盤部7を覆って完全に閉じる。
【0113】
次に、鍵盤部7を覆って閉じた状態の鍵盤蓋10を開く場合につて説明する。
このときには、図38に示すように、鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図38では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14がガイド溝部20の前端下部から上方に移動する。そして、図39に示すように、ガイド軸部14がガイド溝部20の第1、第2の各軌道部23、24の手前(図39では左側)に接近し、この状態で更に鍵盤蓋10の取手部12を持ち上げながら後方(図39では右側)に向けて移動させると、ガイド軸部14が第2軌道部24内に導かれる。
【0114】
このときには、図39に示すように、軌道規制部40の付勢部材34の付勢力によって第1規制部41が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上側を塞いでいるので、図40に示すように、第1規制部41上をガイド軸部14が移動する。このため、ガイド軸部14は第1軌道部23内に落ち込むことがなく、第2軌道部24内を移動する。
【0115】
この状態で、更に鍵盤蓋10を後方(図40では右側)に向けて移動させると、図40に示すように、ガイド軸部14が第2軌道部24に沿って移動し、第2軌道部24の出口、つまり第1軌道部23の落ち込み部23aに対応する箇所の第2軌道部24に到達し、図41に示すように、ガイド軸部14が軌道規制部40の付勢部材34の付勢力に抗して第2規制部42を押し倒す。すると、第2規制部42が第1規制部41と共に回転軸32を中心に時計回りに回転し、第1軌道部23の入口を塞いで第2軌道部24の出口を開放する。
【0116】
これにより、ガイド軸部14が第2規制部42上を移動しながら第2軌道部24を通過し、図42に示すように、ガイド軸部14が第1、第2の各軌道部23、24の後側(図42では右側)に位置するガイド溝部20に戻る。このときには、軌道規制部40の付勢部材34の付勢力によって第1、第2の各規制部41、42が回転軸32を中心に反時計回りに回転し、第1規制部41が第1軌道部23の出口を塞ぐと共に、第2規制部42が第2軌道部24の出口を塞ぐ。
【0117】
この後は、実施形態1と同様、ガイド軸部14はガイド溝部20でガイドされながらガイド溝部20の後端部に移動すると共に、鍵盤蓋10の後端部に位置するシャフト16が後側ガイド部19の軸ガイド溝部21における後端部に移動し、且つシャフト16の両側のピニオンギア17が後側ガイド部19のラックギア22に噛み合った状態でラックギア22の後端部に回転移動する。これにより、鍵盤蓋10が楽器ケース1の天板6の下側に配置されて開き、鍵盤部7を開放する。
【0118】
このように、この実施形態4における鍵盤楽器の蓋開閉装置11においても、実施形態1と同様の作用効果があるほか、軌道規制部40が、鍵盤蓋10が開く際に第1軌道部23を塞いでガイド軸部14を第2軌道部24に導く第1規制部41と、鍵盤蓋10が閉じる際に第2軌道部24を塞いでガイド軸部14を第1軌道部23に導く第2規制部42とを備えている構成であるから、実施形態3よりも、確実に且つ良好に鍵盤蓋10を安全に且つスムーズに開閉させることができる。
【0119】
すなわち、この実施形態4の蓋開閉装置11では、鍵盤蓋10を開く際に軌道規制部40の第1規制部41が第1軌道部23の出口を塞いでいるので、ガイド軸部14を軌道規制部40の第1規制部41上を移動させることができる。このため、ガイド軸部14が第1軌道部23内に落ち込むことがなく、ガイド軸部14を第2軌道部24内に確実に且つ円滑に導くことができ、これにより鍵盤蓋10をスムーズに開くことができる。
【0120】
また、この実施形態4の蓋開閉装置11では、鍵盤蓋10を閉じる際に軌道規制部40の第2規制部42が第2軌道部24の出口を塞いでいるので、ガイド軸部14を第1軌道部23内に確実に落し込んでストッパ部23cで一旦停止させることができる。この場合、鍵盤蓋10が早い速度で閉じる方向に移動してガイド軸部14が第1軌道部23の入口を飛び越えても、第2規制部42によってガイド軸部14を受け止めて第1軌道部23内に確実に導くことができる。
【0121】
また、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cで一旦停止した状態で、鍵盤蓋10が持ち上がられると、ガイド軸部14が軌道規制部40の第1規制部41を押し上げるので、ガイド軸部14によって第1軌道部23を確実に開放することができる。これにより、ガイド軸部14がストッパ部23cを良好に乗り越えるので、鍵盤蓋10を円滑に且つ良好に閉じることができる。
【0122】
この場合、実施形態4の蓋開閉装置11は、軌道規制部40が、第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を開閉可能に塞ぐ第1規制部41と、第2軌道部24の出口である第1軌道部23の落ち込み部23aの上側に位置する箇所の第2軌道部24を開閉可能に塞ぐ第2規制部42と、この第1、第2の各規制部41、42を支持して共に回転する回転軸32と、この回転軸32を回転自在に支持する支持部材33と、第1、第2の各規制部41、42が第1、第2の各軌道部23の各出口を塞ぐように付勢するための付勢部材34とを備えていることにより、第1、第2の各規制部41、42によって第1、第2の各軌道部23の各出口を開閉可能な状態で確実に且つ良好に塞ぐことができる。
【0123】
このため、鍵盤蓋10を開く際に、付勢部材34の付勢力によって第1規制部41が第1軌道部23の出口であるストッパ部23cの上部を確実に塞ぐことができるので、この第1規制部41によってガイド軸部14を第2軌道部24内に確実に且つ円滑に導くことができ、また鍵盤蓋10を閉じる際に、第2規制部42が第2軌道部24の出口を塞いでいるので、この第2規制部42によってガイド軸部14を第1軌道部23内に確実に且つ良好に落し込んでストッパ部23cで一旦停止させることができる。
【0124】
この場合、ガイド軸部14が第1軌道部23のストッパ部23cに当接して一旦停止している状態で、鍵盤蓋10を持ち上がると、ガイド軸部14が付勢部材34の付勢力に抗して第1規制部41を押し上げることにより、回転軸32を中心に第1規制部41を回転させて第1軌道部23の出口を開放させることができ、これによりガイド軸部14がストッパ部23cを良好に乗り越えるので、鍵盤蓋10を円滑に且つ良好に移動させて閉じることができる。
【0125】
なお、上述した実施形態4では、第1、第2の各規制部41、42を1本の回転軸32に一体的に取り付けて連動させるように構成した場合について述べた、これに限らず、例えば回転軸を、筒軸とこの筒軸内に回転可能に挿入された軸部とで構成し、筒軸に第1、第2の規制部41、42の一方を取り付け、軸部に第1、第2の規制部41、42の他方を取り付けて、第1、第2の規制部41、42をそれぞれ独立して動作するように構成しても良い。
【0126】
この場合には、第2規制部42が第1軌道部23の落ち込み部23a側に位置する入口を塞いだ際に、第2規制部42が当接して第2規制部42の下限位置を規制するためのダボ(図示せず)を第1、第2の各軌道部23、24間に設ければ良い。このように構成すれば、鍵盤蓋10を開く際に、ガイド軸部14が第2軌道部24を通過するときに、ガイド軸部14が第2規制部42を押し倒しても、ダボによって第2規制部42を所定位置に規制することができるので、第1、第2の規制部41、42がそれぞれ独立して動作する構成であっても、ガイド軸部14を第1軌道部23内に落し込むことなく、第2規制部42によって円滑に且つ良好に移動させることができる。
【0127】
また、上述した実施形態1〜4およびその変形例では、鍵盤蓋10の前端部にガイド軸部14を設け、前側ガイド部18のガイド溝部20の前部に第1、第2の各軌道部23、24を設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば鍵盤蓋10の後端部にガイド軸部14を設け、前側ガイド部18のガイド溝部20の後部に第1、第2の各軌道部23、24を設けた構成でも良く、また鍵盤蓋10の中間部にガイド軸部14を設け、前側ガイド部18のガイド溝部20の中間部に第1、第2の各軌道部23、24を設けた構成でも良い。
【0128】
さらに、上述した実施形態1〜4およびその変形例では、鍵盤蓋10を閉じる際に第1軌道部23のストッパ部23cが鍵盤蓋10のガイド軸部14を一旦停止させるように構成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば第1軌道部23のストッパ部23cは、鍵盤蓋10のガイド軸部14が当接してゆっくり乗り越えるように形成されていても良い。この場合には、第1軌道部23のストッパ部23cによって鍵盤蓋10の閉じる速度を極端に遅くすることができるので、これによっても鍵盤蓋10を安全に開閉することができる。
【0129】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0130】
(付記)
請求項1に記載の発明は、鍵盤部が内部に設けられた楽器ケースと、この楽器ケースにその前後方向にスライド可能に設けられて前記鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋と、この鍵盤蓋を前記楽器ケースの前後方向にガイドするガイド部とを備えた鍵盤楽器の蓋開閉装置において、
前記鍵盤蓋には、前記ガイド部に移動可能にガイドされるガイド移動部が設けられており、前記ガイド部は、前記鍵盤蓋が閉じる方向に移動する際に前記ガイド移動部が一旦落ち込む第1軌道部と、前記鍵盤蓋が開く方向に移動する際に前記ガイド移動部をガイドして前記第1軌道部の上側を通過させる第2軌道部とを備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置である。
【0131】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤楽器の蓋開閉装置において、前記ガイド移動部が移動する軌道を、前記第1軌道部と前記第2軌道部とのいずれかに規制するための軌道規制部を備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置である。
【0132】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鍵盤楽器の蓋開閉装置において、前記軌道規制部は、前記鍵盤蓋が開く際に前記第1軌道部を塞いで前記ガイド移動部を前記第2軌道部に導くと共に、前記鍵盤蓋が閉じる際に前記ガイド移動部によって前記第1軌道部を開放する構成であることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置である。
【0133】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の鍵盤楽器の蓋開閉装置において、前記軌道規制部は、前記鍵盤蓋が開く際に前記第1軌道部を塞いで前記ガイド移動部を前記第2軌道部に導く第1規制部と、前記鍵盤蓋が閉じる際に前記第2軌道部を塞いで前記ガイド移動部を前記第1軌道部に導く第2規制部とを備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置である。
【符号の説明】
【0134】
1 楽器ケース
7 鍵盤部
10 鍵盤蓋
11 蓋開閉装置
14 ガイド軸部
17 ピニオンギア
18 前側ガイド部
19 後側ガイド部
20 ガイド溝部
22 ラックギア
23 第1軌道部
23a 落ち込み部
23b 平坦部
23c ストッパ部
24 第2軌道部
27、30、40 軌道規制部
31 可動板
32 回転軸
33 支持部材
34 付勢部材
41 第1規制部
42 第2規制部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤部が内部に設けられた楽器ケースと、この楽器ケースにその前後方向にスライド可能に設けられて前記鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋と、この鍵盤蓋を前記楽器ケースの前後方向にガイドするガイド部とを備えた鍵盤楽器の蓋開閉装置において、
前記鍵盤蓋には、前記ガイド部に移動可能にガイドされるガイド移動部が設けられており、
前記ガイド部は、前記鍵盤蓋が閉じる方向に移動する際に前記ガイド移動部が一旦落ち込む第1軌道部と、前記鍵盤蓋が開く方向に移動する際に前記ガイド移動部をガイドして前記第1軌道部の上側を通過させる第2軌道部とを備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤楽器の蓋開閉装置において、前記ガイド移動部が移動する軌道を、前記第1軌道部と前記第2軌道部とのいずれかに規制するための軌道規制部を備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤楽器の蓋開閉装置において、前記軌道規制部は、前記鍵盤蓋が開く際に前記第1軌道部を塞いで前記ガイド移動部を前記第2軌道部に導くと共に、前記鍵盤蓋が閉じる際に前記ガイド移動部によって前記第1軌道部を開放する構成であることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置。
【請求項4】
請求項2に記載の鍵盤楽器の蓋開閉装置において、前記軌道規制部は、前記鍵盤蓋が開く際に前記第1軌道部を塞いで前記ガイド移動部を前記第2軌道部に導く第1規制部と、前記鍵盤蓋が閉じる際に前記第2軌道部を塞いで前記ガイド移動部を前記第1軌道部に導く第2規制部とを備えていることを特徴とする鍵盤楽器の蓋開閉装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−11729(P2013−11729A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144281(P2011−144281)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】