説明

長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルとその製造方法

【課題】ペットボトル本体内に内容物が充填されているときに比し、実質的にその縦幅(高さ)が縮小できるペットボトルを製造する方法を提唱すること。
【解決手段】上端部の飲み口部と、該飲み口部の高さ方向の幅と、底部の高さ方向の幅とを除いて、高さ方向の一部或いは全部が水平方向の蛇腹状となっているペットボトル本体であって、この成型されたペットボトル本体を縦方向に圧縮させ、上記ペットボトル本体の蛇腹状部分がその長手方向の一方或いは両方からペットボトル本体の中心方向に押し圧した際、上記蛇腹状部分が重なりあう潰された状態を保つことができるようになしかつ、上記蛇腹状を構成する谷部をペットボトル本体の軸線方向に向う略々環状の窪みに造型してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にプリフォームを使用しストレッチブローとかインデクションブローとか、一般的にはペット樹脂ブローなどと呼ばれているブロー成形方法を用いて、ジュースやミネラルウォーターの容器を造型するものであり、特に内容物が充填されているときと、空のときでは高さが異なるペットボトルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂ボトルの生産量は、近年膨大なものになっている。
【0003】
しかし、ペットボトル本体内のジュースやミネラルウォーターを飲み干して、該ペットボトル本体を破棄する時、飲み干す以前の形状の儘であり、これを所謂ゴミ箱に破棄する場合は、まるで空気をゴミ箱に捨てたような状態ですぐ満杯となり、あげくは路上に破棄され、生活環境を悪化させる最大の欠点があり、加えてそれは飲み干されたペットボトル本体の回収費や、清掃の為の人件費は公共事業の大きな負担となっているのである。
【0004】
またこの種合成樹脂ボトルは、それをブロー成形など手軽な手段で製造できる反面、激しい振動を伴う自動車やその他の搬送手段や、積み重ねられる店頭での展示の際の、振動に対応できる強度が未だ充分とは言えないものがあった。
【0005】
さらにこの事は、容器を製造する業者からジュースやミネラルウォーターなどを充填する会社に搬送する際も、当該ペットボトル本体が嵩ばってまるで空気を搬送しているような状態で、製品の搬送費にかかる割合は相当なものとなっていたのである。
【0006】
そこで本願発明者は先に液体容器の廃品を回収するに当たって、その容器を簡単に縮小することができるように工夫した液体容器を提供した。
【0007】
これは比較的軟質の合成樹脂で作られ、上端に口部をもった液体ペットボトル本体の周襞を蛇腹状としたことである。(特許文献1参照)
【0008】
また、これに加えペットボトル本体の垂直方向及び/あるいは捩り方向に負荷を与えることによって、実質的にその容積が縮小するような形状としたこと、およびこの縮小された形状を保持する手段とペットボトル本体の発明(特許文献2参照)を提唱した。
【0009】
この結果いずれも上記目的即ち、ペットボトル本体を押し潰した際その高さ、及び容器をより縮小させその状態を保たせるに充分対処できたのである。このように高さ方向で伸縮できるボトルは、その成型工場から内容物の充填工場に縮小させて多量に一度に搬送するのに便利であり、飲み干したあとのゴミ箱での収容量を飛躍的に向上させかつ処理工場に搬送する絶対量を可及的に多くできる利点がある。
【0010】
しかし乍らこのことにとどまらず、ジュースなどの内容物をたとえば海岸などで寝そべった状態で飲むときは、ペットボトルそれ自身の垂直軸を湾曲させることができれば便利であり、また飲むのを途中でやめた場合は、その飲み終えた部分だけ縮小できれば、従来その高さ容量を変更できなかったのと異なり、ハンドバックなどに容易に収容できるから、その携行が頗る便利となることが考えられる。
【0011】
このようなボトルは一見その外観形状を蛇腹状とすることで解決したかのようであるが、実際の比較的薄い合成樹脂製材料の、しかも近時「安価」でしかも比較的強靭な材料である所謂ペット樹脂では、度重なる伸縮動作の結果、蛇腹状を構成する特に山部や谷部が折れたり、破れたり、傷が生じたり、あるいは縮んだ状態を保つことなく、元の状態となろうとする復元力が働くなどの結果、所謂ペットボトル樹脂で蛇腹状容器を作ることは不可能とさえ言われていたのである。
【0012】
【特許文献1】特開2001−213418(要約書)
【特許文献2】特開2002−68156 (要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
総じて本発明の目的は、ペットボトル本体内に内容物が充填されているときに比し、実質的にその縦幅(高さ)が縮小できるペットボトルを製造する方法を提唱することにある。
【0014】
他の目的は、このペットボトル本体の成型工場から、ミネラルウォーターやジュースを充填する工場への搬送時は、その高さ(容積)を頗る縮小させ、同工場で再び正規の容量,高さのペットボトル本体となすペットボトルとその製造方法を提唱することにある。
【0015】
他の目的は、ペットボトル本体内のジュースやミネラルウォーターを飲み干して、該ペットボトル本体を破棄する時、幼児やお年寄りでも簡単に当該ペットボトル本体の容積(高さ)を頗る小さくすることが出来るようにしたペットボトルとその製造方法を提唱することにある。
【0016】
他に本発明の目的は、当該ペットボトル本体が持ち易く、その表面に結露などが発生しても、滑り落すようなことのない形状のペットボトルの製造方法を提唱することにあり、他に本発明の目的は当該ペットボトル本体の内容物を飲む途中にあって空になった部分の縦幅を縮小できるようにしたことである
【0017】
他に本発明の目的は、従来飲み干された空の容器はそのままの縦幅(高さ)の状態で捨てられ、すぐゴミ箱が満杯になって収容しきれなくなったのに比し、その収容個数を従来の商品と比べさらに頗る増大させたことであり、このことは同時に空のペットボトル本体の搬送を同時に多量に成し得るから、その運送量や回収費や清掃回収のための人件費を、頗る軽減させることができるようにしたことである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
また、かかるペットボトル本体はこれを多量に安価に製造するのに適し、しかも蛇腹部分及び各蛇腹を構成する各襞の形成が確実でその結果、当該ペットボトル本体を潰したとき、その潰された状態を保つことができるようにしたペットボトルとその製造方法を提唱することができたのである。
【0019】
而して本発明の特徴は上端部の飲み口部の縦幅を除いて、縦方向の一部或いは全部が水平方向の蛇腹状となっているペットボトル本体にあって、その製造過程にあっては内容物が充填されている時の縦幅(高さ、容積)より実質的に低い状態で成型されたペットボトルであって、かかるペットボトルはその製造工場から内容物を充填する工場に搬送する際その縦幅(高さ、容積が)実質的に縮小されているから従来の搬送量よりその量を頗る増大させ得たのである。
【0020】
また本発明のペットボトルはその外周を蛇腹状としたから持ち易く、外表面に所謂結露が発生しても滑って落すような虞れはないのである。
【0021】
他に本発明の特徴としては、内容物を飲み干す等の動作でペットボトル本体に空白部が出来たとき、内容物が充填されていたときの高さより実質的に小容積で低い高さの状態とすることが出来るようにしたことである。
【0022】
この結果このペットボトルに所謂「飲み残し」が生じた場合でも、これをハンドバックのような鞄に入れて携帯することが可能となり、かつ飲み終えて破棄する場合はこれを押し潰して、その容量、高さを頗る縮小させてからゴミ箱などに捨てられるので、従来のようにゴミ箱がすぐ満杯になることがなくなり、まるで空気を運ぶような運送,回収作業を飛躍的に改善できたのである。
【0023】
総じて本発明ペットボトル及びその製造方法の特徴としては、上端部の飲み口部と、該飲み口部の高さ方向の幅と、底部の高さ方向の幅とを除いて高さ方向の一部或いは全部が水平方向の蛇腹状となっているペットボトル本体を成型加工する行程と、この成型されたペットボトル本体を縦方向に圧縮させ、上記ペットボトル本体の蛇腹状部分がその長手方向の一方或いは両方からペットボトル本体の中心方向に押し圧した際、上記蛇腹状部分が重なりあう潰された状態を保つことができるようになしかつ、上記蛇腹状を構成する谷部をペットボトル本体の軸線方向に向う略々環状の窪みに造型したことである。
【0024】
いまかかるボトル本体を、その成型工場から充填工場に搬送する際、あるいは内容物を飲み干して圧潰させる際など、高さ方向から押すと先ず、その肉厚の薄い山部が押され襞の上面と下面が重なり合う方向に移動する。
【0025】
さらに継続して高さ方向からの力が加わる結果、その力は徐々に谷部方向に移行し緩和されるものであり、このとき本発明では折曲による荷重負担が最も多い上記谷部を環状の窪み形状とすることによって、該環状の窪み形状はその荷重応力を平均的に分散させる構造であるから、ボトル本体の折曲作用に充分耐え、再三に亘る高さ方向の伸縮作用でも、谷部が破れたり損傷したりして内容物が溢出するような不祥事の発生を未然に防止できたのである。
【0026】
またこの場合各蛇腹状部は、上面が湾曲状で下面が直線状の断面「>」で構成したことも本発明の特徴である。
【0027】
而して、上記ペットボトル本体を押し潰そうとする力は蛇腹状部の上面に伝わり、該上面は湾曲状であるから当然のこと乍ら上面の直線状より長く、その分押し潰された上面はその内端が環状の窪みの上方を押圧する。その結果、かかる環状の窪みの中心位置は下方に回動(移動)する作用をなすのであって、それは各蛇腹状の上面と下面とを容易に重合させる作用力として働くことになるから、幼児や老人などの比較的少い力でも極く容易に本発明ペットボトル本体を折り畳んだ状態とすることが出来たのである。
【0028】
さらにこの場合、容積が約500ミリリットルの通常のペットボトル樹脂で作られた場合、各蛇腹状部のその最下段を除く下面の高さ(巾)が約5乃至7mmで、その上面の高さ(巾)が下面の高さ(巾)より稍々広い(高い)巾となっていることも本発明の特徴となっており、上記環状の窪みの直径は、大略0.5乃至3.0mmであることもその特徴となっているのである。
【0029】
また上記の略々環状の窪みには、この窪に内端部が連なりかつ、蛇腹状を構成する襞の上辺および下辺内方向に、湾状の凹みを設けたこともその特徴となっている。
【0030】
而してこの湾状の凹みの存在は、上記環状の窪みの作用を更に増長させるもので、それだけ本発明のペットボトル本体を伸縮される場合僅かな力で、それも各蛇腹状部が確実に重り合って、ペットボトル本体の高さを1/3〜1/8程度に縮小できるようになったのである。
【0031】
この場合上記の略々湾状の凹みは、その長さが2乃至5mmで、8乃至15Rの湾状であることが良いこと度重なる実験の結果判明している。なお、上記ペットボトル本体を構成する各蛇腹状部の上面は、その最上段を除いて16乃至20Rの湾曲状であることが適していることも、その実験の結果知られたことである。
【0032】
而して本発明の長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法によって得られかつ、上記の蛇腹状部分が重なりあう潰された状態のペットボトル本体は、その儘の状態で該ペットボトル本体内に充填される内容物の充填工場に搬送され、上記内容物が充填される以前に空気を送り込み膨らませるか、あるいは内容物を充填する圧力で、ペットボトル本体を潰された以前の原形状態になるよう復元できるようにしたもので、このときペットボトル本体を圧縮させる行程はペットボトル本体内の空気を吸引しつつ行うものである。
【0033】
また本発明を実施するに当って、必要ならボトル本体を圧縮させる手段としては、ペットボトル本体を縦方向に圧縮させる機械的機構を用いてもよい。
【0034】
他に上記ペットボトル本体を成型加工する行程にあっては、その金型内にプリフォームを自動的に供給し、約40キロの高圧エアーで蛇腹状のペットボトル本体を成型するもので、欺くなすことによって本発明ペットボトル本体を成型工場から内容物の充填工場に搬送する際及び、かかる充填工場で再び引き伸し、その容積を拡大する作業さらには内容物を飲み干し、その分だけ容積を縮小する動作、そして完全に押し潰して捨てる作業の伸縮作動にあっても当該ペットボトルに皹が入ったり、破れたり折れ曲ったりするような虞れのないペットボトルを製造し得たのである。
【0035】
なお本発明は、上端部の飲み口部と、底部の小さい高さ方向の幅と、中間部に設けたフラット部とを有し、この飲み口部と高さ方向の幅とフラット部とを除いて長手方向の全部或いは一部が水平方向の蛇腹状となっている全てのペットボトル本体にも摘要されることも当然であり、ペットボトル本体の全体形状は、楕円を含む円柱,矩形を含む角柱,截頭を含む円錐および角錐,鼓(HOURGLASS DREAM-SHAPED),樽形から適宜選ばれるようにしたことも、上記ペットボトル本体の水平断面形状を、楕円を含む丸形,矩形を含む角形から適宜選ばれるようにしたことも、上記ペットボトル本体の外周に、容器内容物の案内や商標などが印刷されたレッテルを巻装させ得るような容器の製造手段に摘要できるようにしたことも本発明の技術的な範疇であるものと考える。
【発明の効果】
【0036】
以上述べたペットボトル本体(1)の主な効果は、ペットボトル本体を破棄する時、その容積を頗る小さくすることが出来るようにしたことであり、ゴミ箱などに収容できる個数を頗る増大させたことである。
【0037】
またかかる縮小させたペットボトル本体は、その搬送量を同時に多量に成しできるから、その回収費や清掃回収の為の人件費を、頗る軽減できたことである。
【0038】
さらに本発明のペットボトル本体は、その外観の形状の見栄えがよく、使用する者に多大な興味を持たせかつ、ペットボトル本体の蛇腹の形状が摩擦止めとなり、使用中にペットボトル本体が滑り落下させたり、あるいは内容物を溢出させたりする虞も未然に防止できるのである。
【0039】
また本発明によって潰された状態のペットボトル本体といえどもその形状は意匠的に見栄えのよいもので、そのまま外の容器としても利用できるのである等々が知られている。
【0040】
総して本発明の効果は上端部の飲み口部と、底部の小さい高さ方向の幅と、この飲み口部と高さ方向の幅とを除いて長手方向の全部或いは一部が水平方向の蛇腹状となしペットボトル本体に、該ペットボトル本体内のジュースやミネラルウォーターを飲み干して、該ペットボトル本体を破棄する時その容積を簡単な操作と少ない力で、幼児や老人でも頗る小さくすることが出来る容器を簡単に大量に製造できるようにしたことである。
【0041】
なお本発明にはその他に優れた発明の目的、特徴、作用効果を有するが、これらは以下の実施例の説明で明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
即ち図1で(1)はペットボトル本体で、上端部の飲み口部を除いたその高さ(長さ)方向の外周と内周は蛇腹状(2)となっている。
【0043】
図2では上記ペットボトル本体(1)内の、仮令えばミネラルウォーターを未だ充填していない時、あるいは飲み干してから高さ(長さ)方向にその一方からあるいは両方から押し潰した状態を示した。
【0044】
即ち本発明はこのようなペットボトル本体(1)を押し潰した状態とするため及び潰れた状態を保つため秀れた構成を有し、秀れた作用を発揮するのである。
【0045】
そのペットボトル本体(1)の構成の一例として図1(500ミリリットルのペットボトル)でわかるように(3)は、その外周に雄ねじを刻設したペットボトル本体(1)の直径約28mm,高さ23mm程度の飲み口部で、その直下方は第1段目(最上段)の蛇腹状(2)の内端部と連接されている。而してこの第1段の蛇腹状の外径(2A)は66.4mmφと、ペットボトル本体(1)の蛇腹状の最大の外径70.8mmφ(2n)より小さい径となっている。
【0046】
この場合上記第1段の蛇腹状の外径(2A)に対し第2段の蛇腹状の外径(2B)は、上記第1段の蛇腹状の外径(2A)より大きくペットボトル本体(1)の最大の外径(2N)より小さくする。
【0047】
さらにこれと連なりかつ上記第2段の蛇腹状の外径(2B)より大きく、ペットボトル本体(1)の第3段の蛇腹状の外径(2C)とすることで側面からみて階段状となっているが、勿論これは上記のように3段とすることに限らず以下4段の外径(2D)の外、適宜の複数段でもよい。
【0048】
具体的に図1の容器は、高さ195mm×最大直径71.5mm,容量500ミリリットルのペットボトル本体(1)にあって、11段の襞2A〜2Nを有する形状とした。
【0049】
また上記の第2段目の蛇腹状の外径(2B)の外径は67.9mmとした。
【0050】
またこれと同様、第3段目の蛇腹状の外径(2C)は69.7mmとした。
【0051】
また以下の第4段乃至第11段の蛇腹状の外径は蛇腹状最大の外径(2N)と同じであり、それぞれの間の内径もまた上記第3段の蛇腹状(2C)と第4段の蛇腹状(2D)との間のそれと同一である。
【0052】
この場合上記各襞は、アダムスキー(Adamski)型と呼ばれる未確認飛行物体(UFO)のような形状をしており、従って水平方向の上下に2分されたような形状となっている。
【0053】
この時図1で上記第1段の蛇腹状の外径(2A)の下(h2)の高さは5.5mm,第2段の蛇腹状の外径(2B)の上(h1)は7mm,下は(h2)5mm,第3段の蛇腹状の外径(2C)のそれは上が8.5mm,下が6.5mmとなした。
【0054】
より具体的に上記蛇腹状はその断面形状、特に肉厚が重要な構成のポイントとなっており、それは図3で示している。
【0055】
即ち上記蛇腹状(2)を構成する谷部(P)の肉厚が、同山部(Q)の肉厚との比較に於て、厚く造型されていることであり、具体的な例としては谷部(P)の肉厚は、0.49mmであり、山部(P)の肉厚は0.27mm,この谷部(P)と山部(Q)との略中間部の厚さは0.39mmとした。
【0056】
この3図で示した形状のものは、本願発明者が先に提唱し2004年4月14日に日本国に特許出願(特願2004−118549号)したものを、本願発明はさらにこれを改良したものである。
即ち、上記谷部(P)よりさらにペットボトル本体(1)の軸線方向に突出させて環状の窪み(R)を設けたことであり、この窪み(R)はその直径が0.5乃至3.0mm、わけても図1のペットボトル本体(1)では、1.0mmが最適であることが解っている。
【0057】
なお図7は、図4の構成のものに比べてさらに改良したもので、上記谷部(P)にあって上記窪み(R)にその内端部に連なり、かつ蛇腹状(2)を構成する襞の上辺および下辺の内方向に湾状の凹み(T)(U)を設けたものである。
【0058】
この場合上記湾状の凹み(T)(U)は2乃至5mm程度で、8乃至15mmRの湾状が好ましいが、特に上記窪み(R)も加えてその長さが約3.5mmで12mmRが最もよい。
なおこれらの数値は、一般的に市販されている500ミリリットルの容積で、11段の蛇腹状(2)とした場合で、350ミリリットル,1リットル,2リットルの場合や、その蛇腹状(2)の段数の大小で、これら数値も適宜変更されるものである。
【0059】
また図12で(W)は、本発明ペットボトル本体(1)を造型する以前に図示していない金型内に挿入されるプリフォームである。
図示したプリフォーム(W)は、上記実施例に示された500ミリリットルのペットボトル本体(1)を造型するものであるが、その高さは約147mm、最大径は27.97mmである。
【0060】
而してこのプリフォーム(W)は、上記ペットボトル本体(1)の図示しないキャップを被冠させるねじ部(b)が、その最下段にあり、該ねじ部(b)よりプリフォーム(W)の頂上まで3等分(a)(a’)(a’’)とし、それぞれの周壁の厚みを最下段(a)は1.85mm、第2段(a’)は2.00mm、第3段(a’’)は1.9mmとすることが肝要である。
【0061】
さらにここでは詳細な図示及び説明をしていないが、このプリフォーム(W)を成型の為に加熱する際、上記第1段(a)部分は高い(強い)加熱を行い、第2段(a’)は中程に、第3段の(a’’)は比較的低い温度で加熱することが肝要である。
【0062】
而してペットボトル本体(1)を造型するに当り、金型内にプリフォーム(W)を導き、金型及びプリフォーム(W)を加熱して同時にプリフォーム(W)内に熱風を送る。そのとき一般的に金型内のプリフォーム(W)の外側は、その内側に比べて温度が高い。これはプリフォーム(W)を再加熱する工程においてその外側に設置されたヒーターにより過熱するためでもある。
【0063】
ここでプリフォーム(W)の加熱手段を述べると、図12でプリフォーム(W)はこれを金型内に導く以前に予熱されたのち金型内に導かれる。プリフォーム(W)の予熱は、対峙させた数本の加熱ヒーターパネル(4)内を所定時間通過させることで、所定の温度に軟化させるものであるが、この場合ヒーターパネル(4)は、縦方向即ちプリフォーム(W)の高さ方向に数段ヒーター(5)が配置されプリフォーム(W)に熱を照射するようになっている。
【0064】
このとき、このヒーター(5)は前記プリフォーム(W)の第1段(a)(最下段)の部分は高く、これに比較して第2段(a’)は中程,第3段(a’’)(最上段)は低くなるように温度調節することが肝要である。
【0065】
またプリフォーム(W)の肉厚自身も第1段(a)は1.85mmと他の比較に於て薄く、第2段(a’)は2.00mmと最も厚く、図に於て最上段(a’’)〔実際ボトル本体(1)となったときは最下段〕は1.9mm程度の厚さとすると良いことが判明している。
【0066】
実際にブロー成型の時膨んだプリフォーム(W)は、先ず金型の谷部(P)を造型する点に接するようにするため、その肉厚が厚く(多く)なり逆に山部(Q)は、比較的遠くなるので肉厚が薄くなるように造型できるようにすることもこの実施例では重要な要素である。
【0067】
さらに図4にみられるように、上記第1段乃至3段の襞(2A〜2C)の寸法の例であるが、上記巾広のそろばん球形状の上面の形状は、外方向に突出したこの実施例では120乃至20mmRの湾状となっており、これに対して下面は0.8mmRの山部(Q)を介して直線状となっていることも重要なポイントである。
【0068】
本実施例のこの構成をその作用と併せて説明すると、図1でペットボトル本体(1)は、中間部(B)及び下部を含む胴部(A)と上方の肩部(C)に2分され、胴部(A)は内外径が同一の襞で形成され、肩部(C)は外観的に飲み口部(3)方向が緩傾斜の凸状に湾曲され、特にこの肩部(C)は中間部(B)から飲み口部(3)までの間で、襞を形成する谷部(P)の内径を徐々に減少させると共に、その傾斜角度も胴部(A)より差を大きくしたから、この中央部が伸張している状態にあっては襞を形成する山部(Q),谷部(P)の内径及び傾斜面は材料の持つ強度と弾性で伸長・伸展状態を保つことができるのである。
【0069】
なおペットボトル本体(1)の底部を急傾斜の凹状とすることで、所謂「すわり」がよくなること当然である。
【0070】
ここで重要なことは、上記ペットボトル本体(1)の肩部(C)の断面形状でそれは図11に示した。
即ち、それはペットボトル本体(1)に於ける飲み口部(3)の厚さ(a1)は1.740mmで、これと蛇腹状(2)の第1段における上面中間に至る部分(6)の間の厚さ(b1)は0.797mmと厚く、これとの比較で上記の中間から第1段の山部(Q)に至る間の厚さ(c1)は0.194mm,山部(Q)の厚さ(d1)はこの実施例で0.137mm,この山部(Q)から谷部(P)に向う中間部の厚さ(e1)は0.191mmとそれぞれ薄くなっていることである。
【0071】
さて、ペットボトル本体(1)の成型が完了して、これを充填工場に搬送する時あるいは内容物を飲み干しペットボトル本体(1)を図2のように両手(G)(H)の平(ひら)間に垂直に置き、ペットボトル本体(1)の中間方向に両手(G)(H)で押圧すると、図のようにペットボトル本体(1)は押し潰されたような状態となる。
【0072】
このとき、上記第1段目の蛇腹状(2)の上面は、飲み口部(3)から中間に至る部分(6)を他に比べて頗る厚くし、これと比較して第2段目以下は薄くなっているから、丁度硬い円盤状のもので柔らかい胴部(A)を押し潰すことになるから、その押し潰す動作に大きな力を要せず、さらに上記第1段の外径(2A)は上記のように第2段の外径(2B)より小さくしたからボトル本体(1)の各蛇腹状(2)部は順次折り畳まれた状態となることにより、幼児でも老人でも簡単にその嵩(高さ)を縮小できるようになったのである。
【0073】
さらに本発明の実施例ではより容易に潰すための多くの工夫がある。即ちまず図3,5で示す状態から肩部(C)の襞を押圧すると、谷部(P)の端面が上下の関係で隣に位置する襞の谷の端面を圧縮することになる。この時点で襞の山部(Q)の頂点からみた状態では、両側の谷部(P)がこの山部(Q)の頂点側に押し寄せられたことに相当しこの際、襞の上面は下面に対して緩傾斜側の圧縮分力は傾斜が少ない為、かつ下面の急傾斜側の圧縮分力より大きいことから、急傾斜側の谷部(P)が山部(Q)の頂点側に移動したことになる。
【0074】
いま図4,5で示した実施例で、ペットボトル本体(1)には2つの大きな変化が生じている。
【0075】
即ちその第1は、上記襞を構成する山部(Q)の内径が拡大圧力で増加、あるいは谷部(P)の内径が圧縮圧力で減少すること、その第2は、襞を構成する下面の急傾斜面が屈曲することである。
【0076】
続いてこの急傾斜側が山部(Q)直下を通過して、さらに図でみられるように上面の緩傾斜側の内側に潜り込んで、ペットボトル本体(1)の高さを短縮状態まで移動させると、山部(Q)の内径及び谷部(P)の内径が復元する力が働き、または下面が上記の操作で屈曲状態となっていたものを伸展状態に復元して安心した状態となる。従って常に圧縮力を加えておかなくとも、この短縮状態を保つようになることができたのである。
【0077】
而して、上記ペットボトル本体(1)を押し潰そうとする力は上記のように蛇腹状(2)部の上面に伝わり、該上面は湾曲状であるから当然のこと乍ら、上面の直線状より長く、その分押し潰された上面はその内端が環状の窪み(R)の上方を押圧する。その結果、図5,6のようにかかる環状の窪み(R)の中心位置(X)は下方に回動(移動)する作用(X’)をなすのであって、それは各蛇腹(2)状の上面と下面とを容易に重合させる作用力として働くことになるから、さらに比較的少い力で極く容易に本発明ペットボトル本体を折り畳んだ状態とすることができたのである。
【0078】
なお、図7,8に示した上記湾状の凹み(U),(T)の存在は、上記環状の窪み(R)の作用を更に増長させるもので、それだけ本発明のペットボトル本体(1)を伸縮される場合、僅かな力で、それも各蛇腹状(2)部が確実に重り合って、ペットボトル本体の高さを1/3〜1/8程度に縮小できるようになったのである。
【0079】
この外本発明のペットボトル本体(1)は度重なる実験で、その高さ(容積)が1/3乃至1/4以下となり、このペットボトル本体を成型工場から充填工場に運ぶときはその容量を小さく、充填工場では元の状態になる容積まで内容物を充填でき、飲んでいる際はそのペットボトル本体を湾曲させたり、その飲み量に応じて縮められ、かつ破棄するときはその容量を“0”に近い状態に縮めるなどの度々の伸縮作用や湾曲折り曲げ作用に耐えられる構造となっているのである。
【0080】
それは上述したプリフォーム(W)自身の形状と、その予備加熱の手段にも及ぶ。即ち、従来のペットボトルは、その飲み口部以下の容器全体は同一厚さのものが常に要求されていたのであり、その為にはプリフォームの飲み口部より僅か下の部分は、その径を縮小する手段が採られていた。即ち、ペットボトルの飲み口部はその径が小径であり厚く造型され、ペットボトル本体の外径に向かうに従いその厚さが縮小されるのを防止したものである。
【0081】
この点本発明では、敢えて飲み口部(3)からその中間部に至るまでの間を厚くすることで、少い力でペットボトル本体(1)を縮小させることができたのであり、またプリフォーム(W)自身の予熱の行程にあっても、ペットボトル本体(1)の高さ方向のその温度を上・中・下で変えるようにしたことで、これによってもペットボトル本体(1)を容易に縮小させたり再び元の高さに戻しても、損傷ないようになし得たのである。
【0082】
なお上記ペットボトル本体(1)の襞は巾広のアダムスキー型のUFOのような形状をしており、従って水平方向の上下に2分されていること上述の通りである。
【0083】
図において蛇腹状を構成する襞の正面は巾広のアダムスキー型のUFO形状で、その上面(n)は巾広のアダムスキー型のUFO形状の内面も、下面の形状も外方向に突出したこの実施例では、上面が20mmRの湾状となっており、これに対して下面の形状は0.8mmRの山部(Q)を介して直線状となっていることが重要なポイントである。
【0084】
そして内径の小さな谷部(P)は圧縮圧力を受けて圧力応力が発生している。
【0085】
圧縮圧力が無くなると応力が開放されるように作用し、ジュースのような内容物が充填されると伸長状態に復元するのである。
【0086】
また、この実施例は前記のようにペットボトル本体(1)の肩部(C)の襞の径が下方に向うに従い大径とした場合で、その結果押し潰された各襞はその外周辺が内周辺に対して上方となる傾斜上に重ね合わせられる。
【0087】
この結果ペットボトル本体(1)は、度重なる実験ではその高さ(容積)が1/5乃至1/8以下となり、これをゴミ箱などに放棄してもそのスペースを格段に少なくすることができたのである。
【0088】
また、飲用容器として通常出廻っている商品は500ミリリットルであるから、一度にこれを「飲み干す」ことはほとんどない。
【0089】
従って、飲み残しがあっても容積はそのままの空の部分がある容器を携行しなくてはならない。
【0090】
その点本発明の容器は飲み干されて空となった部分を縮めて携行できるようにしたから、ハンドバックの中でも容易に収容できるのである。
【0091】
さらに多くの飲料容器に用いられるペットボトルは、その商標や内容の説明あるいは出所を表す表示のフラットな掲載部分がペットボトル本体(1)の中間部に設けられるが、このような容器でも上記同様の作用効果がある。

【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明ペットボトル本体全体の正面図
【図2】潰された状態のペットボトル本体全体の正面説明図
【図3】蛇腹形状を構成する襞部の断面拡大図
【図4】同襞の拡大断面作用説明図
【図5】押し潰している段階の襞の説明図
【図6】潰している状態の作用断面説明図
【図7】他の実施例の襞の拡大断面作用説明図
【図8】同作用説明の断面図
【図9】同潰した状態の作用説明図
【図10】同潰した状態の拡大作用説明図
【図11】ペットボトル本体の飲み口部から肩部にかけての断面拡大説明図
【図12】プリフォームの断面説明図
【符号の説明】
【0093】
1 ペットボトル
2 蛇腹状
3 飲み口部
4 ヒーターパネル
5 ヒーター
6 第1段の口部から中間部
2A 第1段外径
2B 第2段外径
2C 第3段外径
2D 第4段外径
2N 第N段外径
h1 上
h2 下
a 最下段
a’ 第2段
a’’ 第3段
b ねじ部
A 胴部
B 中間部
C 肩部
G 両手
H 両手
P 谷部
Q 山部
R 窪み
S 肉厚
T 凹み
U 凹み
V 中間部の厚さ
W プリフォーム
X 中心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部の飲み口部と、該飲み口部の高さ方向の幅と、底部の高さ方向の幅とを除いて、高さ方向の一部或いは全部が水平方向の蛇腹状となっているペットボトル本体であって、この成型されたペットボトル本体を縦方向に圧縮させ、上記ペットボトル本体の蛇腹状部分がその長手方向の一方或いは両方からペットボトル本体の中心方向に押し圧した際、上記蛇腹状部分が重なりあう潰された状態を保つことができるようになしかつ、上記蛇腹状を構成する谷部をペットボトル本体の軸線方向に向う略々環状の窪みに造型したことが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項2】
上記請求項1に示した各蛇腹状部は、上面が湾曲状で下面が直線状の断面「>」で構成されていることが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項3】
上記請求項2に示した各蛇腹状部のその最下段を除く、下面の高さ(巾)が約5乃至7mmで、その上面の高さ(巾)が、下面の高さ(巾)より稍々広い(高い)巾となっていることが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項4】
請求項1において、略々環状の窪みの直径は0.5乃至3.0mmであることが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項5】
請求項1および請求項4における略々環状の窪みに内端部が連なりかつ、蛇腹状を構成する襞の上辺および下辺内方向に湾状の凹みを設けたことが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項6】
請求項5における略々湾状の凹みは、その長さが2乃至5mmで、8乃至15Rの湾状であることが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項7】
上記請求項2に示した各蛇腹状部の上面は、その最下段を除いて16乃至20Rの湾曲状であることが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトル。
【請求項8】
上端部の飲み口部と、該飲み口部の高さ方向の幅と、底部の高さ方向の幅とを除いて、高さ方向の一部或いは全部が水平方向の蛇腹状となっているペットボトル本体を成型加工する工程と、この成型されたペットボトル本体を縦方向に圧縮させ、上記ペットボトル本体の蛇腹状部分がその長手方向の一方或いは両方からペットボトル本体の中心方向に押し圧した際、上記蛇腹状部分が重なりあう潰された状態を保つことができるようになしたペットボトルの製造手段にあって、上記蛇腹状を構成する谷部をペットボトル本体の軸線方向に向う略々環状の窪みに造型する工程を有することが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。
【請求項9】
上記請求項8に示した各蛇腹状部は、上面が湾曲状で下面が直線状の断面「>」に構成する行程を有することが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。
【請求項10】
上記請求項9に示した各蛇腹状部のその最下段を除く、下面の高さ(巾)が約5乃至7mmで、その上面の高さ(巾)が、下面の高さ(巾)より稍々広い(高い)巾となるようになす構成の行程を有することが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。
【請求項11】
請求項8において、略々環状の窪みの直径は0.5乃至3.0mmとなす行程を有することが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。

【請求項12】
請求項8および請求項11における略々環状の窪みには、この窪に内端部が連なりかつ、蛇腹状を構成する襞の上辺および下辺内端部に湾状の凹みを設ける行程を有することが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。
【請求項13】
請求項8および請求項11における略々環状の窪みは、その長さが2乃至5mmで、8乃至15Rの湾状とする行程を有することが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。
【請求項14】
上記請求項8に示した各蛇腹状部の上面は、その最下段を除いて16乃至20Rの湾曲状とすることが特徴の、長さ方向が縮小された状態を保つことが可能なペットボトルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−1575(P2006−1575A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178783(P2004−178783)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(595153354)株式会社江商 (19)
【Fターム(参考)】