長ピストン液圧機械
より小さく軽量な液圧ポンプ/モータは、その中を往復動する各シリンダの軸方向長さと同じ長さの本体部分を持つピストンで顕著に改良された容積効率を与える。各シリンダの壁を円周方向にかつ半径方向に横断して形成された複数の各潤滑チャンネルが、各ピストンの全作動の間、該ピストンの軸方向円筒本体により常にほとんど完全に閉鎖されるように位置決めされる。各潤滑チャンネルは、全体にシリンダブロック内で単一の連続した潤滑通路を形成するように互いに相互連結され、流体「入力」又は流体「出力」通路に連結されるのではなく、各シリンダの弁端から入り各シリンダの円筒壁と各ピストンの軸方向円筒本体との間を通過する最小流れの流体によってのみ補充される。いくつかの実施例が種々のバネ偏寄押さえ組立体と組み合わせて開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の移動のために及び(又は)エネルギ節約アキュムレータ装置内での流体の貯蔵及び回収のために使用される液圧トランスミッションのような比較的「重労働の」自動車使用に適する液体液圧ポンプ/モータ機械に関する。〔注:「液体」という用語は例えば空気及び(又は)他のガスを圧縮するためのポンプのような「ガス」液圧ポンプから区別するために使用される。〕
【背景技術】
【0002】
シリンダブロック内に形成され、駆動素子の回転軸線のまわりで第1の半径方向の距離だけ隔てて円周方向に位置するそれぞれのシリンダ内に装着された往復運動ピストンを有する液圧ポンプ及びモータは周知であり、広く使用されている。このようなポンプ/モータ機械の大半は可変変位能力を有し、ほぼ2つの基本的なデザインを有する:(a)ピストンが可変的に傾斜するが他の方法で固定された斜板に対して回転シリンダブロック内で往復運動するか又は(b)ピストンが回転及び転頭運動するロータの表面上で摺動する非回転の(即ち転頭運動のみを行う)「揺動体」を含むようにしばしば分割される可変的に傾斜した回転する斜板に対して固定されたシリンダブロック内で往復運動する。ここでの本発明はこれら両方のデザインに適用できるが、ピストンが固定のシリンダブロック内で往復運動するような後者の形式の機械の改善に特に適し、ここではそれを説明する。
【0003】
上述のように、本発明は(「ガス」から区別されるような)「液体」形式の液圧機械に関し、明細書及び特許請求の範囲全体にわたってここで使用されるような「流体(単数又は複数)」及び「加圧流体(単数又は複数)」という用語は圧縮可能なガスではなく、非圧縮性の液体を特定することを意図することを理解すべきである。液体の非圧縮性のため、これら2つの異なる形式の液圧機械の圧力及び負荷デューティサイクルは、ガス圧縮形式の機械のためのデザインが液体形式の機械に使用するのに不適当であり、またその逆も真であるように、根本的に異なる。それ故、次の事項はすべて液体形式の液圧機械及び、主として、上述の技術分野で特定したような重労働の自動車応用に関連し、それに適用できることを理解すべきである。
【0004】
固定のシリンダブロックを備えた液圧機械は、重い回転シリンダブロックを支持し保護しなければならないような機械よりも、一層軽量及び一層小型に製造できる。しかし、このような軽量の機械は装着及び支持が困難な回転及び転頭運動する斜板組立体を必要とする。高圧/高速使用に対しては、斜板組立体は、非回転のピストンのヘッドと回転及び転頭運動する斜板の対応する平坦な表面との間で相対運動を許容するような方法で、支持しなければならない。すぐ前に述べたように、このような従来の斜板はしばしば回転/転頭運動するロータ部分と、転頭運動のみを行う揺動体部分とに分割され、後者は、接続「ドッグボーン」を介して非回転ピストンのヘッドに適合する平坦な表面を有する。
【0005】
すなわち、このような固定のシリンダブロックは今まで各ピストンの一端を転頭運動するが回転しない揺動体の平坦な表面に相互接続するために「ドッグボーン」(すなわち、2つの球状端部をもつロッド)延長ロッドを使用していた。ドッグボーンの一方の球状の端部はピストンのヘッド端部に枢着され、一方、他方の球状の端部は枢着された普通の「シュー」素子により通常覆われ、このシュー素子は非回転ピストンのヘッドと転頭運動する斜板の対応する平坦な表面との間のすべての相対運動中斜板の揺動体の平坦な表面に対して常に完全に及び平坦に接触保持されねばならない。当業界で周知のように、このような相対運動は0°から離れるような斜板のすべての傾斜において生じる変化する非円形経路を追従する。このようなドッグボーンはこのような軽量の機械の回転斜板の複雑さ及び製造コストを大幅に増大させる。
【0006】
ドッグボーンロッドはまた時として各ピストンの一端を、回転シリンダブロックを備えた液圧機械の傾斜した(非回転の)斜板に相互接続するために使用される。しかし、よりしばしば、この後者の形式の機械は、このようなドッグボーンを省略し、代わりに、細長いピストンを使用し、各々のピストンは斜板の非回転の平坦な表面に有効に接触する(これまた、通常、枢着された普通のシュー素子により覆われた)球状のヘッドを一端に有する。このような細長いピストンは、各ピストンの軸方向の円筒状本体のかなりの部分がピストンの最大ストローク中さえ常にそのそれぞれのシリンダの壁により支持された状態を維持するように、設計される。このような細長いピストンのためのこの付加的な支持は、ピストンがそのシリンダブロックと一緒に回転する際に、ピストンヘッドが傾斜した非回転の斜板上で摺動するときに、各球状のピストンヘッドの最小の横方向変位を保証するように設計される。
【0007】
一般に、このような細長いピストンは主として「ブローバイ」により潤滑され、ちなみに、ブローバイとは、往復運動ピストンが高圧流体を駆動するか又はこれにより駆動されるときに各シリンダの壁と各ピストン本体の外周辺との間で強制される高圧流体の部分である。このようなブローバイは、公差がシリンダの壁とピストンの長い円筒状本体との間に十分な流体の流れを許容する場合にのみ、良好な潤滑を提供し、良好な潤滑を保証するのに十分なブローバイはしばしばポンプ又はモータ機械の容積効率に悪影響を与える。例えば、10立方インチの機械はブローバイとして毎分4ガロンもの多くの流体を使用することがある。一層小さな公差はしばしばブローバイを減少させるために使用することができるが、このような公差の減少は機械の圧力及びデューティ負荷の大きさと共に増大する十分な潤滑の必要性により制限される。もちろん、このようなブローバイは仕事を達成するようにピストンを駆動するか又はピストンにより駆動されるためにその他の方法で使用されるような流体を使用することにより達成される。それ故、すぐ上で述べた例においては、ブローバイ潤滑に使用される毎分4ガロンの流体は機械の容積効率を減少させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下に説明する本発明は、同時に(a)ピストンの適当な潤滑及び(b)ピストンと斜板との間の接触を維持するために使用される装置の単純化を保証しながら、このような細長いピストンを備えた機械の容積効率を改善することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は液圧機械の種々の実施の形態として開示され、これらすべては、固定のシリンダブロック内で往復運動する細長いピストンと、ユニークな潤滑くぼみを備えたシリンダと、回転及び転頭運動する斜板、又は好ましくは割り型斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分に摺動接触する各ピストンに(ドッグボーン無しで)直接取り付けられたシューとを含む、簡単な構造上の特徴の新規な組合せを共有する。このような簡単な構造上の特徴は協同効果的に (a)容積効率の顕著な90%の増大及び(b)12立方インチもの大きな容量の機械の駆動シャフトでさえ、機械を完全に組立てたときには、手で容易に旋回させることができるようなそのような増大した機械的効率を与える。
【0010】
各開示された機械はポンプ又はモータとして作動することができる。1つの実施の形態は、機械の駆動素子と一緒に常に回転しながら、ピストンが常に所定の最大ストロークで運動するように、駆動素子の軸線に関して所定の傾斜角度で固定された斜板を有する。他の開示された機械の斜板は各方向において最大値までの運動範囲全体にわたってピストンのストロークを制御するために当業界で周知の方法により或る角度範囲にわたって変化できる傾斜を有する。〔しかし、当業者なら、本発明が回転するシリンダブロック及び機械の駆動素子と一緒には回転しない斜板を備えた液圧機械に等しく適用できることを認識できよう。〕
本発明に係る各機械においては、各ピストンは細長く、好ましくはその中でピストンを往復運動させるそれぞれのシリンダの軸方向長さと実質上同じ長さの軸方向の円筒状本体部分を有する。好ましくは、各ピストンはまた球状のヘッド端部を有し、このヘッド端部は、通常通りに枢着されたシュー及び比較的簡単な装置により、機械の斜板の平坦な面と有効に摺動接触するように維持される。各円筒状のピストン本体の軸方向長さはピストンの球状の第1の端部の最小の横方向変位を常に保証するように選択される。それ故、本発明のための好ましいピストンは「細長い」。すなわち、各ピストンがその最大ストロークへ伸長した場合でさえ、そのそれぞれのシリンダ内で依然として支持されるピストンの部分は、機械の作動中常にピストンの伸長した球状端部の最小横方向変位を保証するのに十分なものである。
【0011】
〔注:本発明の説明を簡単にするため、各ピストンは軸方向の円筒状本体部分及び球状のヘッド端部を有するものとして説明し、一方、各それぞれのシリンダは弁端部と、開いたヘッド部分とを有し、各ピストンの球状のヘッド端部は常に開いたヘッド部分を越えて延びる。更に、すべての好ましい実施の形態に対して、各開示された液圧機械(例えばモータであってもポンプであっても)は周知の「閉ループ」構成(図10参照)において同様の液圧機械(例えば対応するポンプ又はモータ)と対にされ、この閉ループ構成においては、各ポンプ110の出口139から出る高圧流体は関連するモータ10の入力36へ直接送給され、一方、各モータ10の出口37から出る低圧流体は関連するポンプ110の入力136へ直接送給される。当業界で理解されているように、この閉ループ装置内の流体の一部は「ブローバイ」のために連続的に失われ、サンプに収集される;そして、流体はチャージポンプによりサンプから閉ループへ自動的に戻り送給され、閉ループ装置内で所定の流体容積を常に維持する。〕
本発明によれば、各機械のシリンダブロック内に形成された各シリンダは各シリンダの円筒状の壁内に形成されたそれぞれの潤滑チャンネルを具備する。この潤滑チャンネルは、そのそれぞれのシリンダ内でのピストンの往復運動中常に、各それぞれの潤滑チャンネルがその全体のストローク中のピストンの軸方向の円筒状本体によりほぼ完全に閉じた状態に維持されるように、位置決めされる。〔これらの潤滑チャンネル内での流体の運動は2つ下の文節から始めて一層詳細に説明する。〕好ましくは、各それぞれの潤滑チャンネルは円周方向で形成され、各シリンダを半径方向で横断する。
【0012】
また、各機械の固定のシリンダブロック内に形成された複数の別の通路はすぐ前に述べた潤滑チャンネルの各々を相互接続する。互いに関するすべての潤滑チャンネルの相互接続はシリンダブロック内に単一の連続する潤滑通路を形成する。この連続的な潤滑通路はシリンダブロック内に全体的に形成され、好ましくは各シリンダを横断し、シリンダが駆動素子の回転軸線のまわりでセンタリングされるのと実質上同じ半径方向の距離で円周方向においてセンタリングされる。
【0013】
開示された好ましい実施の形態においては、すぐ上で述べた連続する潤滑通路は流体「入力」又は流体「出力」通路のいずれによっても接続されないが、代わりに、機械の作動中常にピストンの円筒状本体部分によりほぼ完全に閉じられるという事実に特に注意されたい。それ故、この連続的な潤滑通路へ供給される潤滑流体の唯一の源は各シリンダの各それぞれの円筒状の壁と各それぞれのピストンの軸方向の円筒状本体との間の流体の補助的な(二次的な)最小流れである。作動中、この潤滑通路は、各シリンダの弁端部から進入し次いで各シリンダの壁と各駆動されるピストンの本体部分の外周辺との間を通過する高圧流体の初期の最小流れによりほぼ瞬間的に満たされる。この補助的な最小流れは連続的な潤滑通路内で高圧を常に有効に維持する。必要なら、各シリンダの開いた端部の近傍にそれぞれ位置する複数のシール部材が各ピストンの本体部分と各それぞれのシリンダの開いたヘッド部分との間のブローバイを実質上排除するための比較的に気密のシールを随意に提供でき、それによって、最小のブローバイのみがこの潤滑通路からシリンダの開いた端部を通って逃避するのを許容する。しかし、実際には、シリンダの開いた端部からの比較的最小のブローバイのみが本発明の細長いピストンを通過して移動し、また、駆動シャフトの軸受等の十分な潤滑のためには少量のブローバイミストだけで済むので、このような随意のシール部材は必ずしも必要ではないことが判明した。
【0014】
それにも拘らず、この閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体は、ピストンが往復運動する際に各それぞれのシリンダ内の常に変化する圧力の結果常に移動する。すなわち、各シリンダ内の圧力が各ピストンの帰還ストローク時に低圧へ減少すると、閉じた潤滑通路内の高圧流体は各シリンダの壁と各ピストンの本体の外周辺との間で再度駆動されて、このような圧力減少に遭遇している各シリンダの弁端部に至る。しかし、低圧の方へ駆動される潤滑流体は「失われず」、即ち「ブローバイ」とはならず、チャージポンプにより閉ループ液圧装置内へ補充されるために液溜めへ戻ることはない。代わりに、この低圧潤滑流体はチャージポンプの使用を必要とせずに閉ループへ直ちに戻り、閉じた連続的な潤滑通路は増大した圧力に遭遇している各シリンダの弁端部からの高圧流体の同様の流れの進入により直ちに補充される。
【0015】
すぐ前に述べた潤滑通路は、ブローバイを実質上減少させながら、ピストンの高速往復運動のための適当な潤滑を提供する。本発明に従って作られた商業用のプロトタイプの首尾よい作動中、ブローバイは90%だけ減少した。すなわち、比較できる仕様の従来の商業的な液圧機械が体験するブローバイはほぼ毎分4ないし5ガロンの範囲であり、一方、本発明のプロトタイプが体験するブローバイは毎分0.5ないし0.7ガロンの範囲であり、本発明の液圧機械の容積効率を顕著に増大させる。
【0016】
上述のように、固定のシリンダブロックを備えた液圧機械は同様の仕様を有する従来の回転ブロックを備えた液圧機械よりも一層小型及び一層計量に製造できる。細長いピストンの改善された潤滑の結果、開示された本発明は自動車の使用に必要な高速/高圧仕様を満たすためにこのような一層小型で一層軽量のデザインの使用を可能にする。
【0017】
更に、本発明の開示された液圧機械の可変の回転斜板のための本発明の大幅に簡単化された支持組立体に特に注目されたい。ここに開示するすべての本発明の支持組立体は各ピストンの外端と従来の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分との間に通常装着されるドッグボーンを排除する。更に、1つの実施の形態もまた、従来の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分を排除する。すべての実施の形態において、通常のシューは各ピストンの球状のヘッドに直接装着され、ポンプのシリンダの弁端部に液圧圧力が存在しない場合にそのような有効な摺動接触を維持するのに十分な最小バネ偏倚により斜板の平坦な面部分に対して有効な摺動接触を行うように維持される。
【0018】
3つの簡単化された支持機構を開示する:第1の簡単化された支持機構はポンプの駆動素子の回転軸線のまわりで円周方向に位置する単一のコイルバネにより偏倚されるユニークな押さえ板組立体を有する。本発明の第2の支持機構は更に簡単であり、各ピストンの球状のヘッドに直接装着された従来のシューとまったく同様であるが、最小偏倚即ちバイアスは複数のバネにより供給され、各バネは各それぞれのピストンの本体部分と各それぞれのシリンダの弁端部との間で各それぞれのピストンの本体部分内に位置する。第2の支持機構は第1のものよりも組立てが多少困難であるが、後者は著しく簡単で、計量で、製造コストが安い。
【0019】
第3の開示された簡単化された支持機構は好ましい構成を有する。すなわち、この機構は伝統的な割り型斜板を有するが、転頭運動/回転するロータ部材上で転頭運動のみを行う揺動体部分を支持するようにニードル軸受を付加することにより修正される。この第3の実施の形態も第1の実施の形態と同様のユニークな押さえ板組立体を有するが、この後者の押さえ板は複数のバネにより偏倚され、各バネは各ピストンのヘッドに関連する摺動シューのまわりで円周方向にそれぞれ位置する。この第3の実施の形態は摺動シューの作動の力学における目覚しい変化を提供し、シューと斜板との間の相対運動の表面速度を大幅に減少させ、それによって、磨耗及びコストを減少させ、機械の効率を大幅に増大させる。
【0020】
本発明により導入された重要な変更は同様の仕様を有する従来の機械よりも一層軽量で一層小型の液圧機械を提供する。更に、上述のように、プロトタイプの仕事の実際の試験により、本発明が顕著に増大した容積効率及び機械的な効率を有する機械を提供することが証明された。略述すれば、ここに開示する本発明は、機械の重量及び寸法並びに製造コストを大幅に減少させ、組立てを簡単にしながら、顕著に増大した効率を有する機械を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を追加できる形式の液圧機械の作動は周知である。それ故、このような作動については詳細に述べない。上述のように、各開示された機械は、周知の「閉ループ」液圧装置において、適当に対応するポンプ又はモータに接続される。
液圧モータ
図1を参照すると、液圧モータ10は複数のシリンダ14(1つのみを示す)を備えた固定のシリンダブロック12を有し、シリンダ内では、複数のそれぞれ対応するピストン16がピストン16の引き戻し位置とピストンの伸長位置16´との間で往復運動する。各ピストンは細長い軸方向の円筒状本体部分22の一端においてネック部20に装着された球状ヘッド18を有し、本体部分は、図示の好ましい実施の形態では、各それぞれのシリンダ14の長さと実質上同じ長さを有する。
【0022】
各球状端部18はロータ28の表面に形成された平坦な面26上で摺動するそれぞれのシュー24内に嵌合し、このロータは機械の駆動素子即ちシャフト30に固定される。シャフト30はシリンダブロック12の中心でボア内の軸受に支持される。ロータ28の面26は駆動シャフト30の軸線32に対して所定の最大角度(例えば25°)で傾斜する。
【0023】
シリンダブロック12の左端にキャップとしてボルト止めされたモジュラー式の弁組立体33はシリンダ14に対して出入りする流体の送給を規制する複数のスプール弁34(1つのみを示す)を有する。上述のように、開示された機械の各々はポンプとして又はモータとして作動することができる。好ましい実施の形態のこの説明のために、図1に示す固定角度を持つ斜板を備えた機械はモータとして作動している。それ故、駆動シャフト30の各1回転の第1の半回転中、入口36からの高圧流体はポート37を通して各それぞれのシリンダ14の弁端部へ入り、各それぞれのピストンをその引き戻し位置からその完全伸長位置へ駆動する;そして、各1回転の第2の半回転中は、各ピストンがその完全な引き戻し位置へ戻るときに、低圧流体がポート37及び流体出口39を通して各それぞれのシリンダから引き出される。
【0024】
当業界で周知の方法において:流体入口36及び出口39は好ましくは適当な「閉ループ」パイプを介して対応する液圧ポンプに接続され、そのため、流体圧力は常に球状端部18及びそれぞれのシュー24を平坦な表面26に対して偏倚する。各それぞれのピストンの連続的な伸長及び引き戻しはロータ28を回転させ、それによって、シャフト30を駆動する。
【0025】
また、当業界で周知のように、モータ10は、循環する液圧流体の閉ループにおいて、対応する液圧ポンプ(例えば、図3に示し、後述するポンプ110)に接続される;そして、平坦な面26は、入口36及び出口39を通して閉ループ内で循環している液圧流体の流量が比較的小さいときに、ピストン16が比較的ゆっくり往復運動して駆動シャフト30の比較的ゆっくりした回転を生じさせるように、最大の傾斜角度で固定される。
【0026】
しかし、閉ループ内の循環する流体の流量が増大すると、それに従ってピストンの往復運動速度が増大し、駆動シャフト30の回転速度も増大する。自動車速度及び圧力(例えば4000rpm又は4000psi)で作動するときは、ピストンの潤滑は危険な状態となり、ブローバイによる損失も大幅に増大することがある。本発明により、シリンダブロック12は、このような潤滑要求に対処し、このようなブローバイ損失を減少させるように、修正される。
【0027】
ここで、図1、2の両方を参照すると、各シリンダ14の円筒状の壁はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40により半径方向で横断される。複数の通路42はシリンダブロック12内で連続的な潤滑通路を形成するようにすべての潤滑チャンネル40を相互接続する。各それぞれの潤滑チャンネル40は、各ピストンの全体のストローク中は、各それぞれのピストン16の軸方向の円筒状本体22により実質上閉じられる。すなわち、各円筒状本体22の外周辺は各それぞれの潤滑チャンネル40を常に包囲する壁として作用する。従って、ピストン16が最大ストロークにわたって往復運動している場合でさえ、すべての潤滑チャンネル40を相互接続する連続的な潤滑通路は実質上閉じたままとなる。連続的な潤滑通路40、42は、流体チャンネル及び接続通路の相対寸法を明瞭のために誇張して示した図2の概略図示から最も良く認識できるように、シリンダブロック12内で簡単かつ経済的に形成される。
【0028】
液圧モータ10の作動中、すべての相互接続された潤滑チャンネル40は、入口36からポート37を通して各シリンダ14へ入り、シリンダの壁と各ピストン16の外周辺との間に強制される高圧流体の最小流れにより、ほぼ瞬間的に満たされる。各潤滑チャンネル40からの潤滑流体の損失は各シリンダ14の開いた端部の近傍に位置する取り巻きシール44により制限される。それにも拘らず、潤滑チャンネル40のこの閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体は、駆動シャフト30の回転の各半サイクルにおけるピストンが往復運動する際のピストン運動及び圧力変化に応答して、各シリンダの各それぞれの円筒状の壁と各それぞれのピストンの軸方向の円筒状本体との間の流体の連続的な最小流れの結果、適度ではあるが連続的に流れる。各シリンダ14内の圧力が各ピストン16の帰還ストローク時に低圧へ減少すると、閉じた潤滑通路40、42内の高圧流体は各シリンダ14の壁と各ピストン16の本体部分22の外周辺との間に再度駆動されて、このような圧力減少に遭遇している各シリンダ14の弁端部に至る。
【0029】
しかし、当業者に注意を促すことは、シリンダ14内へ戻る流体のこのすぐ前で述べた最小流れは「失われ」ないという事実である。代わりに、この流体の流れはポンプ及びモータを相互接続する周知の液圧流体閉ループへ直ちに戻る。更に、流体のこの最小流れは液溜めへ戻らず、それ故、チャージポンプにより閉ループ液圧装置へ補充する必要がない。最後に、閉じた連続的な潤滑通路40、42は増大する圧力に遭遇している各シリンダの弁端部からの高圧流体の同様の最小流れの進入により直ちに補充される。
【0030】
上述のように、すべての潤滑チャンネル40を相互接続する閉じた連続的な潤滑通路42からの最小ブローバイ損失が存在する。すなわち、各シリンダ14の端部においてシール44を通過してこの閉じた連続的な潤滑通路から漏洩するある最小の流体流れが依然として存在する。しかし、いかなるこのような最小ブローバイも各ピストン16の反対側の端部のまわりへ入る高圧流体の同様の最小流れにより瞬間的に補充される。
【0031】
すぐ上で述べた潤滑構成は著しく簡単であるばかりか、製造及び作動のコストを更に減少させるために液圧機械のピストン/斜板インターフェイス装置の同様の簡単化を許容する。
【0032】
液圧モータ10の説明を完成させるため、図1に示すピストン/斜板インターフェイス装置は(a)普通のニードル及びスラスト軸受を使用して駆動シャフト30上に装着されたロータ28と、(b)ロータ28の回転及び転頭運動する平坦な表面26にピストンシュー24を常に接触維持させるための簡単なバネ偏倚押さえ組立体とを有する。〔注:本発明の簡単化されたピストン/斜板インターフェイス装置の3つの実施の形態を開示する。これらの押さえ組立体の内の第1のもののみを図1、3に示すモータ及びポンプと組み合わせて示すが、これら各々は以後の別個の区分で詳細に説明する。〕
本発明の押さえ組立体の第1の実施の形態は、図1に示すように、シャフト30のまわりに位置し、軸線32のまわりで円周方向にシリンダブロック12内に形成された適当な割れ目52内に受け入れられたコイルバネ50を有する。バネ50はこれまたシャフト30及び軸線32のまわりで円周方向に位置する押さえ素子54を偏倚する。押さえ素子54は複数の開口を具備し、各開口はそれぞれのピストン16のネック部20を取り囲む。それぞれの特殊なワッシャ56は押さえ素子54と各ピストンシュー24との間に位置する。各ワッシャ56はロータ28の平坦な面26をシューと常に接触維持させるようにそれぞれのシュー24の外周辺に接触する延長部58を有する。
【0033】
潤滑及びピストン/斜板インターフェイスの双方を著しく簡単化する、すぐ前に述べた液圧モータ10は、有効であり、製造費が安く、作動が経済的である。
可変液圧ポンプ
本発明に係る液圧機械の第2の好ましい実施の形態を図3に示す。可変液圧ポンプ110は図1に示し上述した液圧モータ10のシリンダブロック12と同一のモジュラー式の固定シリンダブロック112を有する。シリンダブロック112は複数のシリンダ114(1つのみを示す)を有し、これらのシリンダ内では、対応する複数の対応するピストン116がピストン116の引き戻し位置と可変の伸長位置(最大伸長をピストンの位置116´として示す)との間で往復運動する。各ピストンは細長い軸方向の円筒状本体部分122の一端でネック部120に装着された球状ヘッド118を有し、本体部分は、図示の実施の形態では、各それぞれのシリンダ114の長さと実質上同じ長さを有する。各球状のピストンヘッド118はシリンダブロック112の中心のボア内の軸受により支持された駆動素子即ちシャフト130に枢着された(後に一層詳細に説明する)ロータ128の表面に形成された平坦な面126上で摺動するそれぞれのシュー124内に嵌合する。
【0034】
液圧モータ10に関して説明した方法と同様の方法で、可変ポンプ110はモジュラー式の弁組立体133を具備し、この弁組立体はモジュラー式のシリンダブロック112の左端上にキャップとしてボルト止めされ、同様に、シリンダ114に対して出入りする流体の送給を規制する複数のスプール弁134(1つのみを示す)を有する。
【0035】
上述のように、開示された各機械はポンプとして又はモータとして作動できる。この好ましい実施の形態の説明のために、図3に示す可変角度の斜板を備えた機械110はポンプとして作動しており、駆動シャフト130は原動機(図示せず)例えば車両のエンジンにより駆動される。それ故、駆動シャフト130の各回転の1つの半回転中、各ピストン116が伸長位置へ移動するときに、低圧流体は各それぞれのシリンダ114内へ引き込まれ、入口136を通って循環する液圧流体の「閉ループ」からポート137へ入る;そして、各回転の次の半回転中、その完全な引き戻し位置へ戻る各それぞれのピストン116の駆動が高圧流体をポート137から出口139を通して液圧閉ループ内へ導く。次いで、高圧流体は適当な閉ループパイプ(図示せず)を通して例えば上述のポンプ12のような対応する液圧ポンプへ送給され、当業界で周知の方法で送給されている高圧流体の容積(毎分ガロン)に応じて変化する速度で、対応するポンプのピストンを移動させる。
【0036】
モジュラー式のシリンダブロック112を再度参照すると、このシリンダブロックは既に説明したシリンダブロック12と同一に構成される。すなわち、各シリンダ114の円筒状の壁はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル140により半径方向で横断される。複数の通路142はすべての潤滑チャンネル140を相互接続し、シリンダブロック112内に連続的な潤滑通路を形成する。面2−2におけるシリンダブロック112の横断面は精確に図2のシリンダブロック12の横断面のように見える。
【0037】
実際、図1、2に示す液圧モータ10の装置を参照しての本発明の連続的な潤滑通路40、42に関する上述の説明の殆どすべては、各シリンダ114の開いた端部の近傍に位置する取り巻きシール144を随意に含ませることにより各潤滑チャンネル140からの潤滑流体のまさしく極限の最小の損失を含んで、図3に示す液圧ポンプ110のシリンダブロック112内の連続的な潤滑通路140、142の作動に等しく適用される。同様に、閉じた連続的な潤滑通路140、142内の潤滑流体の流れは、ピストンが往復運動する際の駆動シャフト130の回転の各半サイクルにおけるピストンの運動及び圧力変化に応答する二次的な最小流体流れの結果、適度ではあるが連続している。もちろん、ポンプ110において異なるように、各ピストン116が伸長位置へ移動しているときに、各シリンダ14内に低流体圧力が存在し、一方、シリンダの壁と各ピストン116の外周辺との間で強制される高圧流体の源は、原動機(図示せず)による駆動シャフト130の回転により各ピストン116がその伸長位置からその完全に引き戻された位置へ移動しているときに、生じる。
【0038】
しかし、当業者に再度注意を促すことは、このすぐ上で述べた各シリンダ114内へ戻る二次的な最小流体流れは「失われ」ないという事実である。代わりに、最小流体流れはポンプ及びモータを相互接続する周知の液圧流体閉ループへ直ちに戻される。すなわち、この二次的な流体流れは液溜めへは戻らず、それ故、チャージポンプにより閉ループ液圧装置内へ補充する必要はない。また、各シリンダ114の端部においてシール144を通過して閉じた連続的な潤滑通路140、142から漏洩する最小のブローバイが存在することがあるが、いかなるそのような最小ブローバイも、増大した圧力に遭遇している各ピストン116の反対側の端部のまわりへ入る同様の最小流体流れにより瞬間的に補充される。
【0039】
上述の前段部分で説明したように、本発明は、機械の斜板装置が(a)各ピストンの外端と普通の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分との間に普通装着されるドッグボーンを省略することにより及び(b)図1、3に示す実施の形態では、揺動体部分自体及び非回転の揺動体を斜板の回転/転頭運動するロータ部分に装着するために従来必要であった装置を省略することにより、簡単化されるのを許容する。
【0040】
更に図3を参照すると、ポンプ110のロータ128は軸線132に垂直な軸線129のまわりで駆動シャフト130に枢着される。それ故、ロータ128は駆動シャフト130と一緒に回転するが、軸線130に関するその傾斜角度は0°(即ち垂直)から±25°まで変化することができる。図3においては、ロータ128は+25°で傾斜している。この可変の傾斜は次のように制御される:軸線129のまわりでのロータ128の枢動は駆動シャフト130を取り囲む摺動カラー180の位置により決定され、それに関して軸方向に可動である。制御リンク182は、駆動シャフト130の表面上でのカラー180の軸方向の運動が軸線129のまわりでロータ128を枢動させるように、カラー180をロータ128に接続する。例えば、カラー128が図3で右に移動すると、ロータ128の傾斜は図示の+25°の傾斜から0°(即ち垂直)に戻り、次いで−25°まで連続的に変化する。
【0041】
カラー180の軸方向の運動は、ヨーク186がヨークの制御アーム188の関節運動によりヨークのシャフト190の軸線のまわりで回転するときに、ヨーク186のフィンガ184により制御される。ヨーク186はヨークのアーム188の底部に接続された普通のリニアサーボ機構(図示せず)により作動させられる。この好ましい実施の形態においては、ヨーク186の素子の残りはすべて、モジュラー式の斜板ハウジング192内に収容され、ヨークのシャフト190はハウジング192に固定された軸受内で支持されるが、ヨーク制御アーム188はハウジング192の外部に位置する。
【0042】
また、斜板のロータ128は制御リンク182と実質上同一のシャドウリンク194により平衡され、シャドウリンクはカラー180の正確に反対側の位置でカラー180に同様に接続されることに留意されたい。
ピストンシュー押さえ組立体
流体圧力はロータ128の方向にピストン116を常に偏倚し、図示の普通のスラスト板組立体はその荷重を支持するために設けられる。しかし、自動車の使用に必要な作動速度(例えば4000rpm)においては、ピストンシュー124とロータ128の平坦な表面126との間の一定の接触を保証するために、付加的な偏倚負荷が必要である。本発明における従来のドッグボーンの省略により、本発明の可変液圧機械は3つの簡単なバネ偏倚押さえ組立体のうちの1つを使用することによりこのような付加的な偏倚を提供し、第1の組立体は図1の液圧モータ10に関して既に簡単に上述したものと同様である。
【0043】
(a)単一のバネ偏倚を伴う押さえ組立体
押さえ組立体のための本発明の第1の実施の形態の以下の説明は図3を続けて参照するが、ここではまた、(a)矢印の方向から見たときの図3の面4A−4Aにおける拡大図を示す図4A及び(b)明瞭化のために一部を省略した、図1に示すものと同じ図の拡大図を示す図4Bをも参照する。
【0044】
ポンプ110のための押さえ組立体はシャフト130のまわりに位置し、軸線132のまわりで円周方向にシリンダブロック112内に形成された適当な割れ目152内に受け入れられたコイルバネ150を有する。コイルバネ150は、これまたシャフト130及び軸線132のまわりで円周方向に位置する押さえ素子154を偏倚する。押さえ素子154は複数の円形開口160を具備し、各円形開口はそれぞれのピストン116のネック部120を取り囲む。複数の特殊なワッシャ156はそれぞれ押さえ素子154と各ピストンシュー124との間に位置する。各ワッシャ156はロータ128の平坦な面126にシューを常に接触維持させるようにそれぞれのシュー124の外周辺に接触する延長部158を有する。
【0045】
ロータ128の傾斜が機械の作動中に変更されるときに、斜板のすぐ前に説明した部分及びピストンシュー押さえ組立体の位置は相対的に変化する。相対位置のこのような変化は、ロータ128の種々の傾斜、即ち、図4A、4Bにおける+25°;図5A、5Bにおける+15°;図6A、6Bにおける0°;及び図7A、7Bにおける−25°として示す。〔注:当業者なら、各ピストンシュー124がロータ128の平坦な面126に接触するシュー124の平坦な表面上でセンタリングされた普通の圧力平衡空洞を有し、各それぞれのシュー空洞は、シュー/ロータ境界面に存在する流体圧力が各ピストン116のヘッドでの流体圧力と常に平衡することを保証するように、適当なシューチャンネル162及びピストンチャンネル164を介して接続されることを認識できよう。ピストンチャンネル164が各ピストン116の球状ヘッド118の中心を通るので、チャンネル164の位置は押さえ組立体の種々の部品の相対運動の認識を容易にするために使用することができる。〕
図6A、6Bに示す0°の傾斜でのこれらの部品の相対位置を参照すると、(各ピストン116の各球状ヘッド118の中心での)各ピストンチャンネル164は押さえ素子154の各それぞれの円形開口160に関して同じ半径方向の位置を有する。斜板のロータ128の他の図示の傾斜を示す図から分かるように、0°以外のすべての傾斜において、各ピストンチャンネル164の相対的な半径方向の位置は各開口160について異なり、各特殊なワッシャ156の相対位置も異なる。
【0046】
これらの図示の斜板の傾斜の各々において、各9個の開口160に置ける異なる相対位置はそれ自体、ロータ128がこれらの傾斜の各々において完全な1回転にわたって回転及び転頭運動するときに、一定に変化することを認識しなければならない。例えば、図4Aに示す25°の傾斜において、ロータ128の各1回転中に、押さえ素子154の頂部(即ち12:00時位置)において開口160のみを通して運動が生じていることを観察した場合、頂部の開口160内で見られる部品の相対位置は他の8個の開口160の各々において見られる相対位置に適合するように連続的に変化する。
【0047】
すなわち、0°以外の傾斜(例えば、図7Aに示す−25°の傾斜)において、ロータ128の各1回転中、各特殊なワッシャ156は、同時に各シュー124がロータ128の平坦な面126上でスリップするときに、押さえ素子514の表面上でスリップし;これらの部品の各々は他の8個の開口160の各々内で見ることのできるような種々の各々の位置に亘ってそれ自体の開口160に関して変化する。このような相対運動は±25°で最大であり、各々は、斜板のロータ128の角度傾斜及び固定のシリンダブロック112内の各ピストン116の水平位置に応じて寸法を変化させる(レムニスケート即ち「数字8」を辿るように思える)周期的な経路を追従する。
【0048】
それ故、各それぞれのシュー124とロータ128の平坦な表面126との間の適正な接触を保証するため、好ましい実施の形態においては、図4Aないし図7Aの各図面における特殊なワッシャ156と各開口160の境界との相対位置から分かるように、ロータ128の各1回転中常に及びロータ128のすべての傾斜に対して、開口160の境界が各特殊なワッシャ156の表面の半分以上と接触維持されるように、各開口160の境界の寸法が選択される。図面から分かるように、各開口160にとっては、円形の境界が好ましい。
【0049】
(b)多数のバネピストン偏倚を伴う押さえ組立体
本発明の押さえ組立体の第2の実施の形態は、組立てが僅かに一層困難ではあるが、著しく簡単で、安価である。この第2の実施の形態は本発明に係る更なる液圧機械210の単一のピストンの拡大部分横断面図として図8に概略的に示す。ピストン216はモジュラー式の固定シリンダブロック212内のシリンダ214内に位置し、後者はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40´´により半径方向で横断される。既に詳述した他の液圧機械に関連して説明したような方法で、各潤滑チャンネル40´´は機械の他のシリンダの同様のチャンネルに相互接続され、シリンダブロック212内に連続的な潤滑通路を形成する;そして、同様に、各潤滑チャンネル40´´からの潤滑流体の損失を更に最小化するために、各シリンダ214の開いた端部の近傍に随意の取り巻きシール44´´を配置することができる。
【0050】
図1、3に示す固定のシリンダブロック212とモジュラー式のシリンダブロックとの間の唯一の相違は、固定のシリンダブロック212が大きな軸方向の円周コイルバネもこれを保持するための軸方向の円周割れ目も有しないことである。
【0051】
図示しないが、液圧機械210のモジュラー式の固定シリンダブロック212は(図1に示すような)モジュラー式の固定角度斜板組立体又は(図3に示すような)モジュラー式の可変角度斜板組立体のいずれかに接続できるが、いずれの場合も、液圧機械210は一層簡単な押さえ組立体を提供する。すなわち、この実施の形態の押さえ組立体はそれぞれのコイルバネ250と組み合わせた各ピストン216のためのそれぞれの普通のピストンシュー224のみを有し、コイルバネはまた各それぞれのピストン216に関連する。
【0052】
各ピストンシュー224はすぐ上で述べた第1の押さえ組立体において示した普通のシューと同様であり、同様に、上述したものと同様の方法で機械の斜板のロータ228の表面に形成された平坦な面226上で摺動するようにピストン216の球状ヘッド218に装着される。各コイルバネ250は、それぞれ、各それぞれのシリンダ214の弁端部において液圧弁ポート237のまわりで円周方向に着座され、各それぞれのピストン216の本体部分内に位置する。
【0053】
これまた、すぐ上で説明した方法で、各シュー224は、各ピストン216の水平位置及び軸線230に関するロータ228の傾斜に応じて寸法を変化させるレムニスケート運動を伴って、ロータ228の平坦な面226上でスリップする。液圧機械210の通常の作動中、シュー224は液圧圧力により斜板の平坦な面226と接触を維持する。それ故、コイルバネ250により提供されるバネ偏倚は最小のままだが、各それぞれのシリンダ214の弁端部において液圧圧力がしない場合でも、各シュー224と平坦な面226との間の有効な摺動接触を維持するのに依然として十分なものである。
【0054】
バネ250のすぐ上で述べた最小偏倚は組立てを容易にするのみならず、組立て中に遭遇し、磨耗により生じる細かいほこり及び金属屑の随伴を阻止するのにも十分なものであることが判明した。更に、再度、この第2の実施の形態は僅かな極めて安価な部品のみでこの必要な機能を提供するという事実に特に注目されたい。
【0055】
(c)多数のバネシュー偏倚を伴う押さえ組立体
図9を参照すると、好ましい押さえ組立体は好ましい液圧機械即ちポンプ310内において開示され、このポンプは、図3に示すポンプ110と実質上同様であるが、改善された普通の割り型斜板構成を有する。
【0056】
上述した他の液圧機械のように、それぞれの摺動シュー324を各々有する複数のピストン316は上述したようなシリンダブロック12、112と同一のシリンダブロック312内に形成されたそれぞれのシリンダ314内で往復運動する。各シュー324は適当なニードル軸受372、374により対応するロータ328上に装着された揺動体327に形成された平坦な面326上で摺動し、これらの軸受は、ロータ328が当業界で周知の方法により転頭運動及び回転している状態で、揺動体327が回転無しに転頭運動するのを許容する。
【0057】
当業者にとっては、軸線329のまわりでの揺動体327及びロータ328の傾斜は、図3に示すポンプ110に関して上述した方法と正確に同じ方法で、摺動カラー380、制御リンク382及び平衡用シャドウリンク394の位置により制御されることは明らかとなろう。
【0058】
シュー324は上述の項目(a)で詳細に述べた第1の押さえ組立体と実質上同一の押さえ組立体により押さえられる。しかし、この好ましい実施の形態においては、次のようにして、大きな単一のコイルバネ150が小さな個々の複数のコイルバネと交換される:
押さえ板354は揺動体327に固定されるか、さもなければ、図4−7に関連して詳細に上述した押さえ素子154と同一である。同様に、各シュー324は詳細に上述したような各特殊なワッシャ156と同一のそれぞれの特殊なワッシャ356の円周方向の延長部を受け入れ、各ピストン316のネック部は押さえ板354に形成された対応する複数のそれぞれの開口360の1つ内に位置し、これらすべては、上述の項目(a)で詳細に説明した第1の押さえ組立体の装置と正確に類似する。
【0059】
揺動体327はロータ328と一緒に回転しないが、揺動体327の転頭運動はロータ328の転頭運動と同一であり、それ故、シュー324と揺動体327の平坦な表面326との間の相対運動はまた上述の項目(a)で詳細に説明したものと同一である。
【0060】
この実施の形態においては、複数の個々のコイルバネ350は、各シリンダ314の弁端部において液圧圧力が存在しない場合に、各シュー324と揺動体327の平坦な面326との間の有効な摺動接触を維持するのに必要な最小バネ偏倚を提供する。各コイルバネ350は各シュー324のまわりで円周方向に位置し、各特殊なワッシャ356と各シュー324の底部のすぐ上方に形成されたカラーとの間で捕縛される。
【0061】
すぐ上で述べた好ましい実施の形態は、開示した他の実施の形態と同じ、完全な潤滑での容積効率の顕著な改善を提供する。更に、これはまた、摺動シューの作動の力学における劇的な変化を提供し、効率を大いに改善し、磨耗及びこのような磨耗に関連する付随のコストを著しく減少させる。
【0062】
本発明の液圧機械はすべて、有効な潤滑を伴う顕著に改善された容積効率、及び、製造を比較的簡単かつ安価にすることにより及び有効な作動に必要な部品の数を減少させることにより更なる経済性を提供するピストン/斜板インテーフェイス組立体を提供する。
【0063】
従って、ここで述べた本発明の実施の形態は本発明の原理の適用を単に例示するものである。図示の実施の形態についてのここでの参照は、本発明にとって本質的であると思われる特徴をそれ自体列挙する特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ピストン/斜板の境界面(インターフェイス)でシリンダブロック内に組み込まれた本発明の特徴を示す、固定のシリンダブロックと、固定の傾斜角度を有する回転/転頭運動する斜板とを備えた液圧機械の概略部分断面図である。
【図2】図を明瞭にするため一部を省略した、面2−2における図1の液圧機械の固定のシリンダブロックの概略部分断面図である。
【図3】これまたピストン/斜板の境界面でシリンダブロック内に組み込まれた本発明の特徴を示す、固定のシリンダブロックと、可変の傾斜角度を有する回転/転頭運動する斜板とを備えた液圧機械の概略部分断面図である。
【図4】図4A及び図4Bは、明瞭のために一部を図示省略した、斜板が+25°で傾斜したときのピストンのヘッド端部、シュー及び特殊なワッシャの相対位置、並びに、斜板の平坦な面に対して各摺動シューを偏倚するバネ偏倚押さえ素子を示す、図1、3に示す斜板及びピストンシュー押さえ組立体のそれぞれ部分概略図及び横断面であり、図4Aは矢印の方向における図3の面4A−4Aに沿って見た図であり、一方、図4Bは図4Aの面4B−4Bに沿って見た図である。
【図5】図5A及び図5Bは、斜板が+15°で傾斜したときの図4A、4Bに示す同じ部品を示す図であり、図5Bは図5Aの面5B−5Bに沿って見た図である。
【図6】図6A及び図6Bは、斜板が0°で傾斜したときの図4A、4Bに示す同じ部品を示す図であり、図6Bは図6Aの面6B−6Bに沿って見た図である。
【図7】図7A及び図7Bは、斜板が−25°で傾斜したときの図4A、4Bに示す同じ部品を示す図であり、図7Bは図7Aの面7B−7Bに沿って見た図である。
【図8】図1、3に示すものと同様の別の液圧機械のための単一のシリンダ及びピストンの拡大部分概略横断面図であるが、本発明のピストンシューのためのバネ偏倚押さえ組立体の一層簡単化した第2の実施の形態を示す図である。
【図9】図3に示すものと実質上同一の固定シリンダブロックを備えるが、可変の傾斜角度を持つ普通の割り型斜板の改善されたバージョンを含み、回転/転頭運動するロータに装着された転頭運動のみを行う揺動体を有する、別の液圧機械の一部を示す、本発明の別の実施の形態の部分概略横断面図であり、明瞭のために、シリンダブロックの弁端部及びハウジングの一部並びに他の部品を図示省略した図である。
【図10】2つの液圧機械の従来の「閉ループ」構成を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の移動のために及び(又は)エネルギ節約アキュムレータ装置内での流体の貯蔵及び回収のために使用される液圧トランスミッションのような比較的「重労働の」自動車使用に適する液体液圧ポンプ/モータ機械に関する。〔注:「液体」という用語は例えば空気及び(又は)他のガスを圧縮するためのポンプのような「ガス」液圧ポンプから区別するために使用される。〕
【背景技術】
【0002】
シリンダブロック内に形成され、駆動素子の回転軸線のまわりで第1の半径方向の距離だけ隔てて円周方向に位置するそれぞれのシリンダ内に装着された往復運動ピストンを有する液圧ポンプ及びモータは周知であり、広く使用されている。このようなポンプ/モータ機械の大半は可変変位能力を有し、ほぼ2つの基本的なデザインを有する:(a)ピストンが可変的に傾斜するが他の方法で固定された斜板に対して回転シリンダブロック内で往復運動するか又は(b)ピストンが回転及び転頭運動するロータの表面上で摺動する非回転の(即ち転頭運動のみを行う)「揺動体」を含むようにしばしば分割される可変的に傾斜した回転する斜板に対して固定されたシリンダブロック内で往復運動する。ここでの本発明はこれら両方のデザインに適用できるが、ピストンが固定のシリンダブロック内で往復運動するような後者の形式の機械の改善に特に適し、ここではそれを説明する。
【0003】
上述のように、本発明は(「ガス」から区別されるような)「液体」形式の液圧機械に関し、明細書及び特許請求の範囲全体にわたってここで使用されるような「流体(単数又は複数)」及び「加圧流体(単数又は複数)」という用語は圧縮可能なガスではなく、非圧縮性の液体を特定することを意図することを理解すべきである。液体の非圧縮性のため、これら2つの異なる形式の液圧機械の圧力及び負荷デューティサイクルは、ガス圧縮形式の機械のためのデザインが液体形式の機械に使用するのに不適当であり、またその逆も真であるように、根本的に異なる。それ故、次の事項はすべて液体形式の液圧機械及び、主として、上述の技術分野で特定したような重労働の自動車応用に関連し、それに適用できることを理解すべきである。
【0004】
固定のシリンダブロックを備えた液圧機械は、重い回転シリンダブロックを支持し保護しなければならないような機械よりも、一層軽量及び一層小型に製造できる。しかし、このような軽量の機械は装着及び支持が困難な回転及び転頭運動する斜板組立体を必要とする。高圧/高速使用に対しては、斜板組立体は、非回転のピストンのヘッドと回転及び転頭運動する斜板の対応する平坦な表面との間で相対運動を許容するような方法で、支持しなければならない。すぐ前に述べたように、このような従来の斜板はしばしば回転/転頭運動するロータ部分と、転頭運動のみを行う揺動体部分とに分割され、後者は、接続「ドッグボーン」を介して非回転ピストンのヘッドに適合する平坦な表面を有する。
【0005】
すなわち、このような固定のシリンダブロックは今まで各ピストンの一端を転頭運動するが回転しない揺動体の平坦な表面に相互接続するために「ドッグボーン」(すなわち、2つの球状端部をもつロッド)延長ロッドを使用していた。ドッグボーンの一方の球状の端部はピストンのヘッド端部に枢着され、一方、他方の球状の端部は枢着された普通の「シュー」素子により通常覆われ、このシュー素子は非回転ピストンのヘッドと転頭運動する斜板の対応する平坦な表面との間のすべての相対運動中斜板の揺動体の平坦な表面に対して常に完全に及び平坦に接触保持されねばならない。当業界で周知のように、このような相対運動は0°から離れるような斜板のすべての傾斜において生じる変化する非円形経路を追従する。このようなドッグボーンはこのような軽量の機械の回転斜板の複雑さ及び製造コストを大幅に増大させる。
【0006】
ドッグボーンロッドはまた時として各ピストンの一端を、回転シリンダブロックを備えた液圧機械の傾斜した(非回転の)斜板に相互接続するために使用される。しかし、よりしばしば、この後者の形式の機械は、このようなドッグボーンを省略し、代わりに、細長いピストンを使用し、各々のピストンは斜板の非回転の平坦な表面に有効に接触する(これまた、通常、枢着された普通のシュー素子により覆われた)球状のヘッドを一端に有する。このような細長いピストンは、各ピストンの軸方向の円筒状本体のかなりの部分がピストンの最大ストローク中さえ常にそのそれぞれのシリンダの壁により支持された状態を維持するように、設計される。このような細長いピストンのためのこの付加的な支持は、ピストンがそのシリンダブロックと一緒に回転する際に、ピストンヘッドが傾斜した非回転の斜板上で摺動するときに、各球状のピストンヘッドの最小の横方向変位を保証するように設計される。
【0007】
一般に、このような細長いピストンは主として「ブローバイ」により潤滑され、ちなみに、ブローバイとは、往復運動ピストンが高圧流体を駆動するか又はこれにより駆動されるときに各シリンダの壁と各ピストン本体の外周辺との間で強制される高圧流体の部分である。このようなブローバイは、公差がシリンダの壁とピストンの長い円筒状本体との間に十分な流体の流れを許容する場合にのみ、良好な潤滑を提供し、良好な潤滑を保証するのに十分なブローバイはしばしばポンプ又はモータ機械の容積効率に悪影響を与える。例えば、10立方インチの機械はブローバイとして毎分4ガロンもの多くの流体を使用することがある。一層小さな公差はしばしばブローバイを減少させるために使用することができるが、このような公差の減少は機械の圧力及びデューティ負荷の大きさと共に増大する十分な潤滑の必要性により制限される。もちろん、このようなブローバイは仕事を達成するようにピストンを駆動するか又はピストンにより駆動されるためにその他の方法で使用されるような流体を使用することにより達成される。それ故、すぐ上で述べた例においては、ブローバイ潤滑に使用される毎分4ガロンの流体は機械の容積効率を減少させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下に説明する本発明は、同時に(a)ピストンの適当な潤滑及び(b)ピストンと斜板との間の接触を維持するために使用される装置の単純化を保証しながら、このような細長いピストンを備えた機械の容積効率を改善することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は液圧機械の種々の実施の形態として開示され、これらすべては、固定のシリンダブロック内で往復運動する細長いピストンと、ユニークな潤滑くぼみを備えたシリンダと、回転及び転頭運動する斜板、又は好ましくは割り型斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分に摺動接触する各ピストンに(ドッグボーン無しで)直接取り付けられたシューとを含む、簡単な構造上の特徴の新規な組合せを共有する。このような簡単な構造上の特徴は協同効果的に (a)容積効率の顕著な90%の増大及び(b)12立方インチもの大きな容量の機械の駆動シャフトでさえ、機械を完全に組立てたときには、手で容易に旋回させることができるようなそのような増大した機械的効率を与える。
【0010】
各開示された機械はポンプ又はモータとして作動することができる。1つの実施の形態は、機械の駆動素子と一緒に常に回転しながら、ピストンが常に所定の最大ストロークで運動するように、駆動素子の軸線に関して所定の傾斜角度で固定された斜板を有する。他の開示された機械の斜板は各方向において最大値までの運動範囲全体にわたってピストンのストロークを制御するために当業界で周知の方法により或る角度範囲にわたって変化できる傾斜を有する。〔しかし、当業者なら、本発明が回転するシリンダブロック及び機械の駆動素子と一緒には回転しない斜板を備えた液圧機械に等しく適用できることを認識できよう。〕
本発明に係る各機械においては、各ピストンは細長く、好ましくはその中でピストンを往復運動させるそれぞれのシリンダの軸方向長さと実質上同じ長さの軸方向の円筒状本体部分を有する。好ましくは、各ピストンはまた球状のヘッド端部を有し、このヘッド端部は、通常通りに枢着されたシュー及び比較的簡単な装置により、機械の斜板の平坦な面と有効に摺動接触するように維持される。各円筒状のピストン本体の軸方向長さはピストンの球状の第1の端部の最小の横方向変位を常に保証するように選択される。それ故、本発明のための好ましいピストンは「細長い」。すなわち、各ピストンがその最大ストロークへ伸長した場合でさえ、そのそれぞれのシリンダ内で依然として支持されるピストンの部分は、機械の作動中常にピストンの伸長した球状端部の最小横方向変位を保証するのに十分なものである。
【0011】
〔注:本発明の説明を簡単にするため、各ピストンは軸方向の円筒状本体部分及び球状のヘッド端部を有するものとして説明し、一方、各それぞれのシリンダは弁端部と、開いたヘッド部分とを有し、各ピストンの球状のヘッド端部は常に開いたヘッド部分を越えて延びる。更に、すべての好ましい実施の形態に対して、各開示された液圧機械(例えばモータであってもポンプであっても)は周知の「閉ループ」構成(図10参照)において同様の液圧機械(例えば対応するポンプ又はモータ)と対にされ、この閉ループ構成においては、各ポンプ110の出口139から出る高圧流体は関連するモータ10の入力36へ直接送給され、一方、各モータ10の出口37から出る低圧流体は関連するポンプ110の入力136へ直接送給される。当業界で理解されているように、この閉ループ装置内の流体の一部は「ブローバイ」のために連続的に失われ、サンプに収集される;そして、流体はチャージポンプによりサンプから閉ループへ自動的に戻り送給され、閉ループ装置内で所定の流体容積を常に維持する。〕
本発明によれば、各機械のシリンダブロック内に形成された各シリンダは各シリンダの円筒状の壁内に形成されたそれぞれの潤滑チャンネルを具備する。この潤滑チャンネルは、そのそれぞれのシリンダ内でのピストンの往復運動中常に、各それぞれの潤滑チャンネルがその全体のストローク中のピストンの軸方向の円筒状本体によりほぼ完全に閉じた状態に維持されるように、位置決めされる。〔これらの潤滑チャンネル内での流体の運動は2つ下の文節から始めて一層詳細に説明する。〕好ましくは、各それぞれの潤滑チャンネルは円周方向で形成され、各シリンダを半径方向で横断する。
【0012】
また、各機械の固定のシリンダブロック内に形成された複数の別の通路はすぐ前に述べた潤滑チャンネルの各々を相互接続する。互いに関するすべての潤滑チャンネルの相互接続はシリンダブロック内に単一の連続する潤滑通路を形成する。この連続的な潤滑通路はシリンダブロック内に全体的に形成され、好ましくは各シリンダを横断し、シリンダが駆動素子の回転軸線のまわりでセンタリングされるのと実質上同じ半径方向の距離で円周方向においてセンタリングされる。
【0013】
開示された好ましい実施の形態においては、すぐ上で述べた連続する潤滑通路は流体「入力」又は流体「出力」通路のいずれによっても接続されないが、代わりに、機械の作動中常にピストンの円筒状本体部分によりほぼ完全に閉じられるという事実に特に注意されたい。それ故、この連続的な潤滑通路へ供給される潤滑流体の唯一の源は各シリンダの各それぞれの円筒状の壁と各それぞれのピストンの軸方向の円筒状本体との間の流体の補助的な(二次的な)最小流れである。作動中、この潤滑通路は、各シリンダの弁端部から進入し次いで各シリンダの壁と各駆動されるピストンの本体部分の外周辺との間を通過する高圧流体の初期の最小流れによりほぼ瞬間的に満たされる。この補助的な最小流れは連続的な潤滑通路内で高圧を常に有効に維持する。必要なら、各シリンダの開いた端部の近傍にそれぞれ位置する複数のシール部材が各ピストンの本体部分と各それぞれのシリンダの開いたヘッド部分との間のブローバイを実質上排除するための比較的に気密のシールを随意に提供でき、それによって、最小のブローバイのみがこの潤滑通路からシリンダの開いた端部を通って逃避するのを許容する。しかし、実際には、シリンダの開いた端部からの比較的最小のブローバイのみが本発明の細長いピストンを通過して移動し、また、駆動シャフトの軸受等の十分な潤滑のためには少量のブローバイミストだけで済むので、このような随意のシール部材は必ずしも必要ではないことが判明した。
【0014】
それにも拘らず、この閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体は、ピストンが往復運動する際に各それぞれのシリンダ内の常に変化する圧力の結果常に移動する。すなわち、各シリンダ内の圧力が各ピストンの帰還ストローク時に低圧へ減少すると、閉じた潤滑通路内の高圧流体は各シリンダの壁と各ピストンの本体の外周辺との間で再度駆動されて、このような圧力減少に遭遇している各シリンダの弁端部に至る。しかし、低圧の方へ駆動される潤滑流体は「失われず」、即ち「ブローバイ」とはならず、チャージポンプにより閉ループ液圧装置内へ補充されるために液溜めへ戻ることはない。代わりに、この低圧潤滑流体はチャージポンプの使用を必要とせずに閉ループへ直ちに戻り、閉じた連続的な潤滑通路は増大した圧力に遭遇している各シリンダの弁端部からの高圧流体の同様の流れの進入により直ちに補充される。
【0015】
すぐ前に述べた潤滑通路は、ブローバイを実質上減少させながら、ピストンの高速往復運動のための適当な潤滑を提供する。本発明に従って作られた商業用のプロトタイプの首尾よい作動中、ブローバイは90%だけ減少した。すなわち、比較できる仕様の従来の商業的な液圧機械が体験するブローバイはほぼ毎分4ないし5ガロンの範囲であり、一方、本発明のプロトタイプが体験するブローバイは毎分0.5ないし0.7ガロンの範囲であり、本発明の液圧機械の容積効率を顕著に増大させる。
【0016】
上述のように、固定のシリンダブロックを備えた液圧機械は同様の仕様を有する従来の回転ブロックを備えた液圧機械よりも一層小型及び一層計量に製造できる。細長いピストンの改善された潤滑の結果、開示された本発明は自動車の使用に必要な高速/高圧仕様を満たすためにこのような一層小型で一層軽量のデザインの使用を可能にする。
【0017】
更に、本発明の開示された液圧機械の可変の回転斜板のための本発明の大幅に簡単化された支持組立体に特に注目されたい。ここに開示するすべての本発明の支持組立体は各ピストンの外端と従来の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分との間に通常装着されるドッグボーンを排除する。更に、1つの実施の形態もまた、従来の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分を排除する。すべての実施の形態において、通常のシューは各ピストンの球状のヘッドに直接装着され、ポンプのシリンダの弁端部に液圧圧力が存在しない場合にそのような有効な摺動接触を維持するのに十分な最小バネ偏倚により斜板の平坦な面部分に対して有効な摺動接触を行うように維持される。
【0018】
3つの簡単化された支持機構を開示する:第1の簡単化された支持機構はポンプの駆動素子の回転軸線のまわりで円周方向に位置する単一のコイルバネにより偏倚されるユニークな押さえ板組立体を有する。本発明の第2の支持機構は更に簡単であり、各ピストンの球状のヘッドに直接装着された従来のシューとまったく同様であるが、最小偏倚即ちバイアスは複数のバネにより供給され、各バネは各それぞれのピストンの本体部分と各それぞれのシリンダの弁端部との間で各それぞれのピストンの本体部分内に位置する。第2の支持機構は第1のものよりも組立てが多少困難であるが、後者は著しく簡単で、計量で、製造コストが安い。
【0019】
第3の開示された簡単化された支持機構は好ましい構成を有する。すなわち、この機構は伝統的な割り型斜板を有するが、転頭運動/回転するロータ部材上で転頭運動のみを行う揺動体部分を支持するようにニードル軸受を付加することにより修正される。この第3の実施の形態も第1の実施の形態と同様のユニークな押さえ板組立体を有するが、この後者の押さえ板は複数のバネにより偏倚され、各バネは各ピストンのヘッドに関連する摺動シューのまわりで円周方向にそれぞれ位置する。この第3の実施の形態は摺動シューの作動の力学における目覚しい変化を提供し、シューと斜板との間の相対運動の表面速度を大幅に減少させ、それによって、磨耗及びコストを減少させ、機械の効率を大幅に増大させる。
【0020】
本発明により導入された重要な変更は同様の仕様を有する従来の機械よりも一層軽量で一層小型の液圧機械を提供する。更に、上述のように、プロトタイプの仕事の実際の試験により、本発明が顕著に増大した容積効率及び機械的な効率を有する機械を提供することが証明された。略述すれば、ここに開示する本発明は、機械の重量及び寸法並びに製造コストを大幅に減少させ、組立てを簡単にしながら、顕著に増大した効率を有する機械を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を追加できる形式の液圧機械の作動は周知である。それ故、このような作動については詳細に述べない。上述のように、各開示された機械は、周知の「閉ループ」液圧装置において、適当に対応するポンプ又はモータに接続される。
液圧モータ
図1を参照すると、液圧モータ10は複数のシリンダ14(1つのみを示す)を備えた固定のシリンダブロック12を有し、シリンダ内では、複数のそれぞれ対応するピストン16がピストン16の引き戻し位置とピストンの伸長位置16´との間で往復運動する。各ピストンは細長い軸方向の円筒状本体部分22の一端においてネック部20に装着された球状ヘッド18を有し、本体部分は、図示の好ましい実施の形態では、各それぞれのシリンダ14の長さと実質上同じ長さを有する。
【0022】
各球状端部18はロータ28の表面に形成された平坦な面26上で摺動するそれぞれのシュー24内に嵌合し、このロータは機械の駆動素子即ちシャフト30に固定される。シャフト30はシリンダブロック12の中心でボア内の軸受に支持される。ロータ28の面26は駆動シャフト30の軸線32に対して所定の最大角度(例えば25°)で傾斜する。
【0023】
シリンダブロック12の左端にキャップとしてボルト止めされたモジュラー式の弁組立体33はシリンダ14に対して出入りする流体の送給を規制する複数のスプール弁34(1つのみを示す)を有する。上述のように、開示された機械の各々はポンプとして又はモータとして作動することができる。好ましい実施の形態のこの説明のために、図1に示す固定角度を持つ斜板を備えた機械はモータとして作動している。それ故、駆動シャフト30の各1回転の第1の半回転中、入口36からの高圧流体はポート37を通して各それぞれのシリンダ14の弁端部へ入り、各それぞれのピストンをその引き戻し位置からその完全伸長位置へ駆動する;そして、各1回転の第2の半回転中は、各ピストンがその完全な引き戻し位置へ戻るときに、低圧流体がポート37及び流体出口39を通して各それぞれのシリンダから引き出される。
【0024】
当業界で周知の方法において:流体入口36及び出口39は好ましくは適当な「閉ループ」パイプを介して対応する液圧ポンプに接続され、そのため、流体圧力は常に球状端部18及びそれぞれのシュー24を平坦な表面26に対して偏倚する。各それぞれのピストンの連続的な伸長及び引き戻しはロータ28を回転させ、それによって、シャフト30を駆動する。
【0025】
また、当業界で周知のように、モータ10は、循環する液圧流体の閉ループにおいて、対応する液圧ポンプ(例えば、図3に示し、後述するポンプ110)に接続される;そして、平坦な面26は、入口36及び出口39を通して閉ループ内で循環している液圧流体の流量が比較的小さいときに、ピストン16が比較的ゆっくり往復運動して駆動シャフト30の比較的ゆっくりした回転を生じさせるように、最大の傾斜角度で固定される。
【0026】
しかし、閉ループ内の循環する流体の流量が増大すると、それに従ってピストンの往復運動速度が増大し、駆動シャフト30の回転速度も増大する。自動車速度及び圧力(例えば4000rpm又は4000psi)で作動するときは、ピストンの潤滑は危険な状態となり、ブローバイによる損失も大幅に増大することがある。本発明により、シリンダブロック12は、このような潤滑要求に対処し、このようなブローバイ損失を減少させるように、修正される。
【0027】
ここで、図1、2の両方を参照すると、各シリンダ14の円筒状の壁はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40により半径方向で横断される。複数の通路42はシリンダブロック12内で連続的な潤滑通路を形成するようにすべての潤滑チャンネル40を相互接続する。各それぞれの潤滑チャンネル40は、各ピストンの全体のストローク中は、各それぞれのピストン16の軸方向の円筒状本体22により実質上閉じられる。すなわち、各円筒状本体22の外周辺は各それぞれの潤滑チャンネル40を常に包囲する壁として作用する。従って、ピストン16が最大ストロークにわたって往復運動している場合でさえ、すべての潤滑チャンネル40を相互接続する連続的な潤滑通路は実質上閉じたままとなる。連続的な潤滑通路40、42は、流体チャンネル及び接続通路の相対寸法を明瞭のために誇張して示した図2の概略図示から最も良く認識できるように、シリンダブロック12内で簡単かつ経済的に形成される。
【0028】
液圧モータ10の作動中、すべての相互接続された潤滑チャンネル40は、入口36からポート37を通して各シリンダ14へ入り、シリンダの壁と各ピストン16の外周辺との間に強制される高圧流体の最小流れにより、ほぼ瞬間的に満たされる。各潤滑チャンネル40からの潤滑流体の損失は各シリンダ14の開いた端部の近傍に位置する取り巻きシール44により制限される。それにも拘らず、潤滑チャンネル40のこの閉じた連続的な潤滑通路内の潤滑流体は、駆動シャフト30の回転の各半サイクルにおけるピストンが往復運動する際のピストン運動及び圧力変化に応答して、各シリンダの各それぞれの円筒状の壁と各それぞれのピストンの軸方向の円筒状本体との間の流体の連続的な最小流れの結果、適度ではあるが連続的に流れる。各シリンダ14内の圧力が各ピストン16の帰還ストローク時に低圧へ減少すると、閉じた潤滑通路40、42内の高圧流体は各シリンダ14の壁と各ピストン16の本体部分22の外周辺との間に再度駆動されて、このような圧力減少に遭遇している各シリンダ14の弁端部に至る。
【0029】
しかし、当業者に注意を促すことは、シリンダ14内へ戻る流体のこのすぐ前で述べた最小流れは「失われ」ないという事実である。代わりに、この流体の流れはポンプ及びモータを相互接続する周知の液圧流体閉ループへ直ちに戻る。更に、流体のこの最小流れは液溜めへ戻らず、それ故、チャージポンプにより閉ループ液圧装置へ補充する必要がない。最後に、閉じた連続的な潤滑通路40、42は増大する圧力に遭遇している各シリンダの弁端部からの高圧流体の同様の最小流れの進入により直ちに補充される。
【0030】
上述のように、すべての潤滑チャンネル40を相互接続する閉じた連続的な潤滑通路42からの最小ブローバイ損失が存在する。すなわち、各シリンダ14の端部においてシール44を通過してこの閉じた連続的な潤滑通路から漏洩するある最小の流体流れが依然として存在する。しかし、いかなるこのような最小ブローバイも各ピストン16の反対側の端部のまわりへ入る高圧流体の同様の最小流れにより瞬間的に補充される。
【0031】
すぐ上で述べた潤滑構成は著しく簡単であるばかりか、製造及び作動のコストを更に減少させるために液圧機械のピストン/斜板インターフェイス装置の同様の簡単化を許容する。
【0032】
液圧モータ10の説明を完成させるため、図1に示すピストン/斜板インターフェイス装置は(a)普通のニードル及びスラスト軸受を使用して駆動シャフト30上に装着されたロータ28と、(b)ロータ28の回転及び転頭運動する平坦な表面26にピストンシュー24を常に接触維持させるための簡単なバネ偏倚押さえ組立体とを有する。〔注:本発明の簡単化されたピストン/斜板インターフェイス装置の3つの実施の形態を開示する。これらの押さえ組立体の内の第1のもののみを図1、3に示すモータ及びポンプと組み合わせて示すが、これら各々は以後の別個の区分で詳細に説明する。〕
本発明の押さえ組立体の第1の実施の形態は、図1に示すように、シャフト30のまわりに位置し、軸線32のまわりで円周方向にシリンダブロック12内に形成された適当な割れ目52内に受け入れられたコイルバネ50を有する。バネ50はこれまたシャフト30及び軸線32のまわりで円周方向に位置する押さえ素子54を偏倚する。押さえ素子54は複数の開口を具備し、各開口はそれぞれのピストン16のネック部20を取り囲む。それぞれの特殊なワッシャ56は押さえ素子54と各ピストンシュー24との間に位置する。各ワッシャ56はロータ28の平坦な面26をシューと常に接触維持させるようにそれぞれのシュー24の外周辺に接触する延長部58を有する。
【0033】
潤滑及びピストン/斜板インターフェイスの双方を著しく簡単化する、すぐ前に述べた液圧モータ10は、有効であり、製造費が安く、作動が経済的である。
可変液圧ポンプ
本発明に係る液圧機械の第2の好ましい実施の形態を図3に示す。可変液圧ポンプ110は図1に示し上述した液圧モータ10のシリンダブロック12と同一のモジュラー式の固定シリンダブロック112を有する。シリンダブロック112は複数のシリンダ114(1つのみを示す)を有し、これらのシリンダ内では、対応する複数の対応するピストン116がピストン116の引き戻し位置と可変の伸長位置(最大伸長をピストンの位置116´として示す)との間で往復運動する。各ピストンは細長い軸方向の円筒状本体部分122の一端でネック部120に装着された球状ヘッド118を有し、本体部分は、図示の実施の形態では、各それぞれのシリンダ114の長さと実質上同じ長さを有する。各球状のピストンヘッド118はシリンダブロック112の中心のボア内の軸受により支持された駆動素子即ちシャフト130に枢着された(後に一層詳細に説明する)ロータ128の表面に形成された平坦な面126上で摺動するそれぞれのシュー124内に嵌合する。
【0034】
液圧モータ10に関して説明した方法と同様の方法で、可変ポンプ110はモジュラー式の弁組立体133を具備し、この弁組立体はモジュラー式のシリンダブロック112の左端上にキャップとしてボルト止めされ、同様に、シリンダ114に対して出入りする流体の送給を規制する複数のスプール弁134(1つのみを示す)を有する。
【0035】
上述のように、開示された各機械はポンプとして又はモータとして作動できる。この好ましい実施の形態の説明のために、図3に示す可変角度の斜板を備えた機械110はポンプとして作動しており、駆動シャフト130は原動機(図示せず)例えば車両のエンジンにより駆動される。それ故、駆動シャフト130の各回転の1つの半回転中、各ピストン116が伸長位置へ移動するときに、低圧流体は各それぞれのシリンダ114内へ引き込まれ、入口136を通って循環する液圧流体の「閉ループ」からポート137へ入る;そして、各回転の次の半回転中、その完全な引き戻し位置へ戻る各それぞれのピストン116の駆動が高圧流体をポート137から出口139を通して液圧閉ループ内へ導く。次いで、高圧流体は適当な閉ループパイプ(図示せず)を通して例えば上述のポンプ12のような対応する液圧ポンプへ送給され、当業界で周知の方法で送給されている高圧流体の容積(毎分ガロン)に応じて変化する速度で、対応するポンプのピストンを移動させる。
【0036】
モジュラー式のシリンダブロック112を再度参照すると、このシリンダブロックは既に説明したシリンダブロック12と同一に構成される。すなわち、各シリンダ114の円筒状の壁はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル140により半径方向で横断される。複数の通路142はすべての潤滑チャンネル140を相互接続し、シリンダブロック112内に連続的な潤滑通路を形成する。面2−2におけるシリンダブロック112の横断面は精確に図2のシリンダブロック12の横断面のように見える。
【0037】
実際、図1、2に示す液圧モータ10の装置を参照しての本発明の連続的な潤滑通路40、42に関する上述の説明の殆どすべては、各シリンダ114の開いた端部の近傍に位置する取り巻きシール144を随意に含ませることにより各潤滑チャンネル140からの潤滑流体のまさしく極限の最小の損失を含んで、図3に示す液圧ポンプ110のシリンダブロック112内の連続的な潤滑通路140、142の作動に等しく適用される。同様に、閉じた連続的な潤滑通路140、142内の潤滑流体の流れは、ピストンが往復運動する際の駆動シャフト130の回転の各半サイクルにおけるピストンの運動及び圧力変化に応答する二次的な最小流体流れの結果、適度ではあるが連続している。もちろん、ポンプ110において異なるように、各ピストン116が伸長位置へ移動しているときに、各シリンダ14内に低流体圧力が存在し、一方、シリンダの壁と各ピストン116の外周辺との間で強制される高圧流体の源は、原動機(図示せず)による駆動シャフト130の回転により各ピストン116がその伸長位置からその完全に引き戻された位置へ移動しているときに、生じる。
【0038】
しかし、当業者に再度注意を促すことは、このすぐ上で述べた各シリンダ114内へ戻る二次的な最小流体流れは「失われ」ないという事実である。代わりに、最小流体流れはポンプ及びモータを相互接続する周知の液圧流体閉ループへ直ちに戻される。すなわち、この二次的な流体流れは液溜めへは戻らず、それ故、チャージポンプにより閉ループ液圧装置内へ補充する必要はない。また、各シリンダ114の端部においてシール144を通過して閉じた連続的な潤滑通路140、142から漏洩する最小のブローバイが存在することがあるが、いかなるそのような最小ブローバイも、増大した圧力に遭遇している各ピストン116の反対側の端部のまわりへ入る同様の最小流体流れにより瞬間的に補充される。
【0039】
上述の前段部分で説明したように、本発明は、機械の斜板装置が(a)各ピストンの外端と普通の回転/転頭運動する斜板の転頭運動のみを行う揺動体部分との間に普通装着されるドッグボーンを省略することにより及び(b)図1、3に示す実施の形態では、揺動体部分自体及び非回転の揺動体を斜板の回転/転頭運動するロータ部分に装着するために従来必要であった装置を省略することにより、簡単化されるのを許容する。
【0040】
更に図3を参照すると、ポンプ110のロータ128は軸線132に垂直な軸線129のまわりで駆動シャフト130に枢着される。それ故、ロータ128は駆動シャフト130と一緒に回転するが、軸線130に関するその傾斜角度は0°(即ち垂直)から±25°まで変化することができる。図3においては、ロータ128は+25°で傾斜している。この可変の傾斜は次のように制御される:軸線129のまわりでのロータ128の枢動は駆動シャフト130を取り囲む摺動カラー180の位置により決定され、それに関して軸方向に可動である。制御リンク182は、駆動シャフト130の表面上でのカラー180の軸方向の運動が軸線129のまわりでロータ128を枢動させるように、カラー180をロータ128に接続する。例えば、カラー128が図3で右に移動すると、ロータ128の傾斜は図示の+25°の傾斜から0°(即ち垂直)に戻り、次いで−25°まで連続的に変化する。
【0041】
カラー180の軸方向の運動は、ヨーク186がヨークの制御アーム188の関節運動によりヨークのシャフト190の軸線のまわりで回転するときに、ヨーク186のフィンガ184により制御される。ヨーク186はヨークのアーム188の底部に接続された普通のリニアサーボ機構(図示せず)により作動させられる。この好ましい実施の形態においては、ヨーク186の素子の残りはすべて、モジュラー式の斜板ハウジング192内に収容され、ヨークのシャフト190はハウジング192に固定された軸受内で支持されるが、ヨーク制御アーム188はハウジング192の外部に位置する。
【0042】
また、斜板のロータ128は制御リンク182と実質上同一のシャドウリンク194により平衡され、シャドウリンクはカラー180の正確に反対側の位置でカラー180に同様に接続されることに留意されたい。
ピストンシュー押さえ組立体
流体圧力はロータ128の方向にピストン116を常に偏倚し、図示の普通のスラスト板組立体はその荷重を支持するために設けられる。しかし、自動車の使用に必要な作動速度(例えば4000rpm)においては、ピストンシュー124とロータ128の平坦な表面126との間の一定の接触を保証するために、付加的な偏倚負荷が必要である。本発明における従来のドッグボーンの省略により、本発明の可変液圧機械は3つの簡単なバネ偏倚押さえ組立体のうちの1つを使用することによりこのような付加的な偏倚を提供し、第1の組立体は図1の液圧モータ10に関して既に簡単に上述したものと同様である。
【0043】
(a)単一のバネ偏倚を伴う押さえ組立体
押さえ組立体のための本発明の第1の実施の形態の以下の説明は図3を続けて参照するが、ここではまた、(a)矢印の方向から見たときの図3の面4A−4Aにおける拡大図を示す図4A及び(b)明瞭化のために一部を省略した、図1に示すものと同じ図の拡大図を示す図4Bをも参照する。
【0044】
ポンプ110のための押さえ組立体はシャフト130のまわりに位置し、軸線132のまわりで円周方向にシリンダブロック112内に形成された適当な割れ目152内に受け入れられたコイルバネ150を有する。コイルバネ150は、これまたシャフト130及び軸線132のまわりで円周方向に位置する押さえ素子154を偏倚する。押さえ素子154は複数の円形開口160を具備し、各円形開口はそれぞれのピストン116のネック部120を取り囲む。複数の特殊なワッシャ156はそれぞれ押さえ素子154と各ピストンシュー124との間に位置する。各ワッシャ156はロータ128の平坦な面126にシューを常に接触維持させるようにそれぞれのシュー124の外周辺に接触する延長部158を有する。
【0045】
ロータ128の傾斜が機械の作動中に変更されるときに、斜板のすぐ前に説明した部分及びピストンシュー押さえ組立体の位置は相対的に変化する。相対位置のこのような変化は、ロータ128の種々の傾斜、即ち、図4A、4Bにおける+25°;図5A、5Bにおける+15°;図6A、6Bにおける0°;及び図7A、7Bにおける−25°として示す。〔注:当業者なら、各ピストンシュー124がロータ128の平坦な面126に接触するシュー124の平坦な表面上でセンタリングされた普通の圧力平衡空洞を有し、各それぞれのシュー空洞は、シュー/ロータ境界面に存在する流体圧力が各ピストン116のヘッドでの流体圧力と常に平衡することを保証するように、適当なシューチャンネル162及びピストンチャンネル164を介して接続されることを認識できよう。ピストンチャンネル164が各ピストン116の球状ヘッド118の中心を通るので、チャンネル164の位置は押さえ組立体の種々の部品の相対運動の認識を容易にするために使用することができる。〕
図6A、6Bに示す0°の傾斜でのこれらの部品の相対位置を参照すると、(各ピストン116の各球状ヘッド118の中心での)各ピストンチャンネル164は押さえ素子154の各それぞれの円形開口160に関して同じ半径方向の位置を有する。斜板のロータ128の他の図示の傾斜を示す図から分かるように、0°以外のすべての傾斜において、各ピストンチャンネル164の相対的な半径方向の位置は各開口160について異なり、各特殊なワッシャ156の相対位置も異なる。
【0046】
これらの図示の斜板の傾斜の各々において、各9個の開口160に置ける異なる相対位置はそれ自体、ロータ128がこれらの傾斜の各々において完全な1回転にわたって回転及び転頭運動するときに、一定に変化することを認識しなければならない。例えば、図4Aに示す25°の傾斜において、ロータ128の各1回転中に、押さえ素子154の頂部(即ち12:00時位置)において開口160のみを通して運動が生じていることを観察した場合、頂部の開口160内で見られる部品の相対位置は他の8個の開口160の各々において見られる相対位置に適合するように連続的に変化する。
【0047】
すなわち、0°以外の傾斜(例えば、図7Aに示す−25°の傾斜)において、ロータ128の各1回転中、各特殊なワッシャ156は、同時に各シュー124がロータ128の平坦な面126上でスリップするときに、押さえ素子514の表面上でスリップし;これらの部品の各々は他の8個の開口160の各々内で見ることのできるような種々の各々の位置に亘ってそれ自体の開口160に関して変化する。このような相対運動は±25°で最大であり、各々は、斜板のロータ128の角度傾斜及び固定のシリンダブロック112内の各ピストン116の水平位置に応じて寸法を変化させる(レムニスケート即ち「数字8」を辿るように思える)周期的な経路を追従する。
【0048】
それ故、各それぞれのシュー124とロータ128の平坦な表面126との間の適正な接触を保証するため、好ましい実施の形態においては、図4Aないし図7Aの各図面における特殊なワッシャ156と各開口160の境界との相対位置から分かるように、ロータ128の各1回転中常に及びロータ128のすべての傾斜に対して、開口160の境界が各特殊なワッシャ156の表面の半分以上と接触維持されるように、各開口160の境界の寸法が選択される。図面から分かるように、各開口160にとっては、円形の境界が好ましい。
【0049】
(b)多数のバネピストン偏倚を伴う押さえ組立体
本発明の押さえ組立体の第2の実施の形態は、組立てが僅かに一層困難ではあるが、著しく簡単で、安価である。この第2の実施の形態は本発明に係る更なる液圧機械210の単一のピストンの拡大部分横断面図として図8に概略的に示す。ピストン216はモジュラー式の固定シリンダブロック212内のシリンダ214内に位置し、後者はその中で円周方向に形成されたそれぞれの潤滑チャンネル40´´により半径方向で横断される。既に詳述した他の液圧機械に関連して説明したような方法で、各潤滑チャンネル40´´は機械の他のシリンダの同様のチャンネルに相互接続され、シリンダブロック212内に連続的な潤滑通路を形成する;そして、同様に、各潤滑チャンネル40´´からの潤滑流体の損失を更に最小化するために、各シリンダ214の開いた端部の近傍に随意の取り巻きシール44´´を配置することができる。
【0050】
図1、3に示す固定のシリンダブロック212とモジュラー式のシリンダブロックとの間の唯一の相違は、固定のシリンダブロック212が大きな軸方向の円周コイルバネもこれを保持するための軸方向の円周割れ目も有しないことである。
【0051】
図示しないが、液圧機械210のモジュラー式の固定シリンダブロック212は(図1に示すような)モジュラー式の固定角度斜板組立体又は(図3に示すような)モジュラー式の可変角度斜板組立体のいずれかに接続できるが、いずれの場合も、液圧機械210は一層簡単な押さえ組立体を提供する。すなわち、この実施の形態の押さえ組立体はそれぞれのコイルバネ250と組み合わせた各ピストン216のためのそれぞれの普通のピストンシュー224のみを有し、コイルバネはまた各それぞれのピストン216に関連する。
【0052】
各ピストンシュー224はすぐ上で述べた第1の押さえ組立体において示した普通のシューと同様であり、同様に、上述したものと同様の方法で機械の斜板のロータ228の表面に形成された平坦な面226上で摺動するようにピストン216の球状ヘッド218に装着される。各コイルバネ250は、それぞれ、各それぞれのシリンダ214の弁端部において液圧弁ポート237のまわりで円周方向に着座され、各それぞれのピストン216の本体部分内に位置する。
【0053】
これまた、すぐ上で説明した方法で、各シュー224は、各ピストン216の水平位置及び軸線230に関するロータ228の傾斜に応じて寸法を変化させるレムニスケート運動を伴って、ロータ228の平坦な面226上でスリップする。液圧機械210の通常の作動中、シュー224は液圧圧力により斜板の平坦な面226と接触を維持する。それ故、コイルバネ250により提供されるバネ偏倚は最小のままだが、各それぞれのシリンダ214の弁端部において液圧圧力がしない場合でも、各シュー224と平坦な面226との間の有効な摺動接触を維持するのに依然として十分なものである。
【0054】
バネ250のすぐ上で述べた最小偏倚は組立てを容易にするのみならず、組立て中に遭遇し、磨耗により生じる細かいほこり及び金属屑の随伴を阻止するのにも十分なものであることが判明した。更に、再度、この第2の実施の形態は僅かな極めて安価な部品のみでこの必要な機能を提供するという事実に特に注目されたい。
【0055】
(c)多数のバネシュー偏倚を伴う押さえ組立体
図9を参照すると、好ましい押さえ組立体は好ましい液圧機械即ちポンプ310内において開示され、このポンプは、図3に示すポンプ110と実質上同様であるが、改善された普通の割り型斜板構成を有する。
【0056】
上述した他の液圧機械のように、それぞれの摺動シュー324を各々有する複数のピストン316は上述したようなシリンダブロック12、112と同一のシリンダブロック312内に形成されたそれぞれのシリンダ314内で往復運動する。各シュー324は適当なニードル軸受372、374により対応するロータ328上に装着された揺動体327に形成された平坦な面326上で摺動し、これらの軸受は、ロータ328が当業界で周知の方法により転頭運動及び回転している状態で、揺動体327が回転無しに転頭運動するのを許容する。
【0057】
当業者にとっては、軸線329のまわりでの揺動体327及びロータ328の傾斜は、図3に示すポンプ110に関して上述した方法と正確に同じ方法で、摺動カラー380、制御リンク382及び平衡用シャドウリンク394の位置により制御されることは明らかとなろう。
【0058】
シュー324は上述の項目(a)で詳細に述べた第1の押さえ組立体と実質上同一の押さえ組立体により押さえられる。しかし、この好ましい実施の形態においては、次のようにして、大きな単一のコイルバネ150が小さな個々の複数のコイルバネと交換される:
押さえ板354は揺動体327に固定されるか、さもなければ、図4−7に関連して詳細に上述した押さえ素子154と同一である。同様に、各シュー324は詳細に上述したような各特殊なワッシャ156と同一のそれぞれの特殊なワッシャ356の円周方向の延長部を受け入れ、各ピストン316のネック部は押さえ板354に形成された対応する複数のそれぞれの開口360の1つ内に位置し、これらすべては、上述の項目(a)で詳細に説明した第1の押さえ組立体の装置と正確に類似する。
【0059】
揺動体327はロータ328と一緒に回転しないが、揺動体327の転頭運動はロータ328の転頭運動と同一であり、それ故、シュー324と揺動体327の平坦な表面326との間の相対運動はまた上述の項目(a)で詳細に説明したものと同一である。
【0060】
この実施の形態においては、複数の個々のコイルバネ350は、各シリンダ314の弁端部において液圧圧力が存在しない場合に、各シュー324と揺動体327の平坦な面326との間の有効な摺動接触を維持するのに必要な最小バネ偏倚を提供する。各コイルバネ350は各シュー324のまわりで円周方向に位置し、各特殊なワッシャ356と各シュー324の底部のすぐ上方に形成されたカラーとの間で捕縛される。
【0061】
すぐ上で述べた好ましい実施の形態は、開示した他の実施の形態と同じ、完全な潤滑での容積効率の顕著な改善を提供する。更に、これはまた、摺動シューの作動の力学における劇的な変化を提供し、効率を大いに改善し、磨耗及びこのような磨耗に関連する付随のコストを著しく減少させる。
【0062】
本発明の液圧機械はすべて、有効な潤滑を伴う顕著に改善された容積効率、及び、製造を比較的簡単かつ安価にすることにより及び有効な作動に必要な部品の数を減少させることにより更なる経済性を提供するピストン/斜板インテーフェイス組立体を提供する。
【0063】
従って、ここで述べた本発明の実施の形態は本発明の原理の適用を単に例示するものである。図示の実施の形態についてのここでの参照は、本発明にとって本質的であると思われる特徴をそれ自体列挙する特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】ピストン/斜板の境界面(インターフェイス)でシリンダブロック内に組み込まれた本発明の特徴を示す、固定のシリンダブロックと、固定の傾斜角度を有する回転/転頭運動する斜板とを備えた液圧機械の概略部分断面図である。
【図2】図を明瞭にするため一部を省略した、面2−2における図1の液圧機械の固定のシリンダブロックの概略部分断面図である。
【図3】これまたピストン/斜板の境界面でシリンダブロック内に組み込まれた本発明の特徴を示す、固定のシリンダブロックと、可変の傾斜角度を有する回転/転頭運動する斜板とを備えた液圧機械の概略部分断面図である。
【図4】図4A及び図4Bは、明瞭のために一部を図示省略した、斜板が+25°で傾斜したときのピストンのヘッド端部、シュー及び特殊なワッシャの相対位置、並びに、斜板の平坦な面に対して各摺動シューを偏倚するバネ偏倚押さえ素子を示す、図1、3に示す斜板及びピストンシュー押さえ組立体のそれぞれ部分概略図及び横断面であり、図4Aは矢印の方向における図3の面4A−4Aに沿って見た図であり、一方、図4Bは図4Aの面4B−4Bに沿って見た図である。
【図5】図5A及び図5Bは、斜板が+15°で傾斜したときの図4A、4Bに示す同じ部品を示す図であり、図5Bは図5Aの面5B−5Bに沿って見た図である。
【図6】図6A及び図6Bは、斜板が0°で傾斜したときの図4A、4Bに示す同じ部品を示す図であり、図6Bは図6Aの面6B−6Bに沿って見た図である。
【図7】図7A及び図7Bは、斜板が−25°で傾斜したときの図4A、4Bに示す同じ部品を示す図であり、図7Bは図7Aの面7B−7Bに沿って見た図である。
【図8】図1、3に示すものと同様の別の液圧機械のための単一のシリンダ及びピストンの拡大部分概略横断面図であるが、本発明のピストンシューのためのバネ偏倚押さえ組立体の一層簡単化した第2の実施の形態を示す図である。
【図9】図3に示すものと実質上同一の固定シリンダブロックを備えるが、可変の傾斜角度を持つ普通の割り型斜板の改善されたバージョンを含み、回転/転頭運動するロータに装着された転頭運動のみを行う揺動体を有する、別の液圧機械の一部を示す、本発明の別の実施の形態の部分概略横断面図であり、明瞭のために、シリンダブロックの弁端部及びハウジングの一部並びに他の部品を図示省略した図である。
【図10】2つの液圧機械の従来の「閉ループ」構成を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧機械であって、ハウジング内に固定されたシリンダブロック内に形成され、駆動素子の回転軸線のまわりで第1の半径方向の距離を隔てて円周方向に位置するそれぞれのシリンダ内に往復運動自在に装着された複数のピストンを有し、上記各ピストンが本体部分と、同本体部分に接続されたヘッド端部とを有し、上記それぞれのシリンダの各々が弁端部と、開いたヘッド部分とを有し、割り型斜板が上記駆動素子により駆動され、回転及び転頭運動を行う可変的に傾斜したロータ、及び、転頭運動のみを行う揺動体を有し、当該ピストンがまた上記斜板の傾斜に従って所定の最大値まで変化するストロークを有するような液圧装置において、改善が、
上記揺動体上に位置する平坦な面を備え;
上記各ピストンの上記ヘッド端部が球状をしており、狭くなったネック部分により上記本体部分に接続され、上記それぞれのシリンダの上記ヘッド端部を越えて常に延び;
各ピストンの上記本体部分は、上記シューが上記ストローク中常に上記平坦な面と相対摺動接触しているときに上記ピストンの上記ヘッド端部の最小横方向変位を保証するために上記それぞれのシリンダ内で支持されるのに十分な細長い軸方向の円筒状長さを有し;
いかなる中間のドッグボーンをも伴わずに、上記各それぞれのピストンの上記球状のヘッド端部に枢着され直接取り付けられたそれぞれの摺動シューを備え;
上記各それぞれの摺動シューが、上記ピストンと上記平坦な面との間のすべての相対回転運動中、上記揺動体の当該平坦な面に直接摺動接触するように維持され;
上記各摺動シューを上記揺動体の上記平坦な面の方へ偏倚するための押さえ組立体を備えた;
ことを特徴とする液圧機械。
【請求項2】
上記割り型斜板が更に上記回転及び転頭運動するロータ上で上記転頭運動のみを行う揺動体を支持するためのローラ軸受を有することを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項3】
上記押さえ組立体が、
複数のそれぞれの開口を備えた押さえ素子であって、上記押さえ板の上記各それぞれの開口の境界が各それぞれのピストンの上記狭くなったネック部分に近接して位置するような押さえ素子と;
上記押さえ板と各それぞれの摺動シューとの間で各ピストンの上記狭くなったネック部分のまわりに嵌合し、各々が上記各それぞれの摺動シューに円周方向で接触するように円筒状に整合する延長部を有するそれぞれのワッシャと;
を有し、
上記ワッシャは、上記ロータの上記平坦な面が上記駆動素子の上記回転軸線に関して傾斜したときに、上記摺動シューの相対位置の変化に応答して上記押さえ板に関して運動するように同押さえ板に摺動接触することを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項4】
上記押さえ板の上記各それぞれの開口の境界が、上記相対運動中常に、上記各それぞれのワッシャの外周辺の半分以上と接触するように設計されることを特徴とする請求項3に記載の液圧機械。
【請求項5】
上記機械が更に、各それぞれのシリンダの上記弁端部に液圧圧力が存在しない場合に、上記各それぞれのシューと上記斜板の上記平坦な面との間の有効な摺動接触を維持するのに十分な最小バネ偏倚を有することを特徴とする請求項4に記載の液圧機械。
【請求項6】
上記最小バネ偏倚が複数のバネにより提供され、上記各バネが上記押さえ板と上記それぞれのワッシャの1つとの間にそれぞれ位置することを特徴とする請求項5に記載の液圧機械。
【請求項7】
上記最小バネ偏倚が複数のバネにより提供され、上記各バネが各それぞれのピストンの上記本体部分と各それぞれのシリンダの上記弁端部との間にそれぞれ位置することを特徴とする請求項5に記載の液圧機械。
【請求項1】
液圧機械であって、ハウジング内に固定されたシリンダブロック内に形成され、駆動素子の回転軸線のまわりで第1の半径方向の距離を隔てて円周方向に位置するそれぞれのシリンダ内に往復運動自在に装着された複数のピストンを有し、上記各ピストンが本体部分と、同本体部分に接続されたヘッド端部とを有し、上記それぞれのシリンダの各々が弁端部と、開いたヘッド部分とを有し、割り型斜板が上記駆動素子により駆動され、回転及び転頭運動を行う可変的に傾斜したロータ、及び、転頭運動のみを行う揺動体を有し、当該ピストンがまた上記斜板の傾斜に従って所定の最大値まで変化するストロークを有するような液圧装置において、改善が、
上記揺動体上に位置する平坦な面を備え;
上記各ピストンの上記ヘッド端部が球状をしており、狭くなったネック部分により上記本体部分に接続され、上記それぞれのシリンダの上記ヘッド端部を越えて常に延び;
各ピストンの上記本体部分は、上記シューが上記ストローク中常に上記平坦な面と相対摺動接触しているときに上記ピストンの上記ヘッド端部の最小横方向変位を保証するために上記それぞれのシリンダ内で支持されるのに十分な細長い軸方向の円筒状長さを有し;
いかなる中間のドッグボーンをも伴わずに、上記各それぞれのピストンの上記球状のヘッド端部に枢着され直接取り付けられたそれぞれの摺動シューを備え;
上記各それぞれの摺動シューが、上記ピストンと上記平坦な面との間のすべての相対回転運動中、上記揺動体の当該平坦な面に直接摺動接触するように維持され;
上記各摺動シューを上記揺動体の上記平坦な面の方へ偏倚するための押さえ組立体を備えた;
ことを特徴とする液圧機械。
【請求項2】
上記割り型斜板が更に上記回転及び転頭運動するロータ上で上記転頭運動のみを行う揺動体を支持するためのローラ軸受を有することを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項3】
上記押さえ組立体が、
複数のそれぞれの開口を備えた押さえ素子であって、上記押さえ板の上記各それぞれの開口の境界が各それぞれのピストンの上記狭くなったネック部分に近接して位置するような押さえ素子と;
上記押さえ板と各それぞれの摺動シューとの間で各ピストンの上記狭くなったネック部分のまわりに嵌合し、各々が上記各それぞれの摺動シューに円周方向で接触するように円筒状に整合する延長部を有するそれぞれのワッシャと;
を有し、
上記ワッシャは、上記ロータの上記平坦な面が上記駆動素子の上記回転軸線に関して傾斜したときに、上記摺動シューの相対位置の変化に応答して上記押さえ板に関して運動するように同押さえ板に摺動接触することを特徴とする請求項1に記載の液圧機械。
【請求項4】
上記押さえ板の上記各それぞれの開口の境界が、上記相対運動中常に、上記各それぞれのワッシャの外周辺の半分以上と接触するように設計されることを特徴とする請求項3に記載の液圧機械。
【請求項5】
上記機械が更に、各それぞれのシリンダの上記弁端部に液圧圧力が存在しない場合に、上記各それぞれのシューと上記斜板の上記平坦な面との間の有効な摺動接触を維持するのに十分な最小バネ偏倚を有することを特徴とする請求項4に記載の液圧機械。
【請求項6】
上記最小バネ偏倚が複数のバネにより提供され、上記各バネが上記押さえ板と上記それぞれのワッシャの1つとの間にそれぞれ位置することを特徴とする請求項5に記載の液圧機械。
【請求項7】
上記最小バネ偏倚が複数のバネにより提供され、上記各バネが各それぞれのピストンの上記本体部分と各それぞれのシリンダの上記弁端部との間にそれぞれ位置することを特徴とする請求項5に記載の液圧機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−535633(P2007−535633A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500745(P2007−500745)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033863
【国際公開番号】WO2005/093250
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(501050955)トーヴェック・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/033863
【国際公開番号】WO2005/093250
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(501050955)トーヴェック・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
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